【実施例】
【0028】
特に断らないかぎり、すべての試薬はアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)(ウィスコンシン州ミルウォーキー市)より入手したか、又は販売されるものであり、あるいは公知の方法で合成することができるものである。
【0029】
以下に説明される様々な組成の2元及び3元Pt合金は、上で引用された、例えば米国特許第7,419,741号など従来の技術内で説明されているように、NSTFウィスカー担持フィルム上に対応する元素の単独多層をスパッタデポジションにより形成して作製された。この触媒は当量約850及び厚さ20マイクロメートルのプロトン交換膜に適用された。アノード側では、Pt
68.7Co
28.5Mn
2.7組成物において触媒の添加量は一般的に0.05又は0.1mg−Pt/cm
2のPtCoMnである。カソード側では、以下の殆どのデータにおいて各種の合金のPtの添加量は一般的に0.10mg/cm
2で、4つのPtNi実施例においては0.15mg/cm
2のPtである。触媒はホットロールラミネーションで膜表面に移され、この触媒で被覆された膜はガス分散層を追加した後に50cm
2の燃料電池において試験された。カソード触媒の酸素還元活性はエネルギー省によって既定された手順にしたがって測定された。
【0030】
触媒合金組成は、初期スパッタデポジション校正ファイル(
図7においては重量法と表記)、あるいはX線蛍光法(
図6においてはXRFと表記)、あるいは電子マイクロプローブ分析法(
図4と
図5においてはEMPと表記)を含む複数の方法によって決定された。
【0031】
触媒合金の構造特性は、触媒が膜に適用されて燃料電池実験に供される前にX線回折法(XRD)によって測定された。
【0032】
図1は三元Pt合金においてのCoとNi原子の合計パーセンテージと、電子マイクロプローブ分析法(XRD)で測定したPt合金のfcc格子定数のグラフである。線形近似線も示されている。Ptの面心立方格子定数は合金中の遷移金属の量が増加するに従い単調に減少するように見受けられる。
【0033】
図2は一連のPtNi二元触媒において、測定された酸素還元質量活性と、電子マイクロプローブ分析法(XRD)で測定したPt合金のfcc格子定数のグラフである。
図2はPtNiのfcc格子定数が3.71オングストローム近傍での劇的なピークを示す。
【0034】
図3は一連のPtNi二元触媒において、燃料電池で測定された電気化学的表面積の測定値と電子マイクロプローブ分析法(XRD)で測定されたPtNiのfcc格子定数のグラフである。
図3はまたPtNiのfcc格子定数が3.71オングストローム近傍での劇的なピークを示す。
図3は燃料電池で一般的なH
upd法で測定された電気化学的表面積の測定値が上述の格子定数におけるピークを示すことを表す。
【0035】
図4は燃料電池において測定した燃料電池質量活性と、一連のPt
xNi
y合金組成においてのEEMPによって測定された、酸素を含めて検出されたすべての元素を計算に入れたNiの原子パーセンテージのグラフである。
図5は燃料電池において測定した燃料電池質量活性と、一連のPt
xNi
y合金組成においてEMPによって測定された、NiとPtのみを計算に入れたNiの原子パーセンテージのグラフである。
図6は燃料電池において測定した燃料電池質量活性と、一連のPt
xNi
y合金組成においてXRFによって測定されたNiの原子パーセンテージのグラフである。質量活性が組成の関数として鋭いピークを持つように見受けられるが、%Niに対しての、このピークの見かけの位置はその測定方法及び前提条件に大きく左右される。しかし、この質量活性のピークに対応する最も可能性がある相対的Ni/Pt組成値は62% Ni原子パーセントであろう。
【0036】
図7は燃料電池において測定した燃料電池質量活性と、一連のPt
xNi
y合金組成において重量法によって測定されたNiの原子パーセンテージのグラフである。重量法は精度ではないが(±5%)、正確であり、すなわち、このピークがPt
30Ni
70近傍の組成であることを示す。
【0037】
本出願では、以下の態様が提供される。
1. 式PtxNi(1−x)(式中、xは0.21と0.39の間である)、に従う触媒材料を含むナノスケール触媒粒子の薄膜を有するミクロ構造担持ウィスカーを含むナノ構造要素を含む、触媒。
2. 態様1に記載のxが、0.21と0.34の間である、態様1に記載の触媒。
3. 態様1に記載のxが、0.22と0.38の間である、態様1に記載の触媒。
4. 態様1に記載のxが、0.22と0.33の間である、態様1に記載の触媒。
5. 態様1に記載のxが、0.26と0.33の間である、態様1に記載の触媒。
6. 態様1に記載のxが、0.28と0.32の間である、態様1に記載の触媒。
7. Ptのfcc格子定数が、3.73よりも小さい、態様1〜6のいずれか一項に記載の触媒。
8. Ptのfcc格子定数が、3.72よりも小さい、態様1〜6のいずれか一項に記載の触媒。
9. Ptのfcc格子定数が、3.71よりも小さい、態様1〜6のいずれか一項に記載の触媒。
10. Ptのfcc格子定数が、3.69と3.73の間である、態様1〜9のいずれか一項に記載の触媒。
11. Ptのfcc格子定数が、3.70と3.72の間である、態様1〜9のいずれか一項に記載の触媒。
12. Ptのfcc格子定数が3.69と3.73の間であるPtNi二元合金の触媒材料を含むナノスケール触媒粒子の薄膜を有するミクロ構造担持ウィスカーを含むナノ構造要素を含む、触媒。
13. Ptのfcc格子定数が、3.70と3.72の間である、態様12に記載の触媒。
14. 式PtxNi(1−x)(式中、xは0.21と0.39の間である)に従う触媒材料を含むナノスケール触媒粒子の薄膜を有するミクロ構造担持ウィスカーを含むナノ構造要素を含む、触媒。
15. 態様14のxが、0.21と0.34の間である、態様14に記載の触媒。
16. 態様14のxが、0.22と0.38の間である、態様14に記載の触媒。
17. 態様14に記載のxが、0.22と0.33の間である、態様14に記載の触媒。
18. 態様14に記載のxが、0.26と0.33の間である、態様14に記載の触媒。
19. 態様14に記載のxが、0.28と0.32の間である、態様14に記載の触媒。
20. Ptのfcc格子定数が、3.73よりも小さい、態様14〜19のいずれか一項に記載の触媒。
21. Ptのfcc格子定数が、3.72よりも小さい、態様14〜19のいずれか一項に記載の触媒。
22. Ptのfcc格子定数が、3.71よりも小さい、態様14〜19のいずれか一項に記載の触媒。
23. Ptのfcc格子定数が、3.69と3.73の間である、態様14〜22のいずれか一項に記載の触媒。
24. Ptのfcc格子定数が、3.70と3.72の間である、態様14〜22のいずれか一項に記載の触媒。
25. Ptのfcc格子定数が3.69と3.73の間であるPtNi二元合金の触媒材料を含むナノスケール触媒粒子の薄膜を有するミクロ構造担持ウィスカーを含むナノ構造要素を含む、触媒。
26. Ptのfcc格子定数が、3.70と3.72の間である、態様25に記載の触媒。
27. 燃料電池触媒である、態様1〜26のいずれか一項に記載の触媒。
28. 態様1〜27のいずれか一項に記載の触媒を含む、燃料電池膜電極アセンブリ。
29. 態様1〜27のいずれか一項に記載の触媒をカソード触媒として含む、燃料電池膜電極アセンブリ。
本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び原理から逸脱することなく当業者には明白であり、また、本開示は、本明細書に記載した例示的な実施形態に不当に制限されるものではないと理解すべきである。