特許第6010534号(P6010534)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許60105346’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンを含む医薬剤形
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  • 特許6010534-6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンを含む医薬剤形 図000022
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010534
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンを含む医薬剤形
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/407 20060101AFI20161006BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20161006BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20161006BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20161006BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   A61K31/407ZMD
   A61K9/20
   A61K47/14
   A61K47/20
   A61P25/04
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-522134(P2013-522134)
(86)(22)【出願日】2011年8月4日
(65)【公表番号】特表2013-532695(P2013-532695A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】EP2011003900
(87)【国際公開番号】WO2012016695
(87)【国際公開日】20120209
【審査請求日】2014年8月1日
(31)【優先権主張番号】61/370,648
(32)【優先日】2010年8月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10008117.3
(32)【優先日】2010年8月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390035404
【氏名又は名称】グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(72)【発明者】
【氏名】シラー・マルク
(72)【発明者】
【氏名】グリューニング・ナジャ
(72)【発明者】
【氏名】ヘマーニ・アッシシュ
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 特表2006−508114(JP,A)
【文献】 特表2010−504926(JP,A)
【文献】 特表2008−528654(JP,A)
【文献】 新・薬剤学総論(改訂第3版),1987年,p.357-359
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/33−31/80
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/48
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[式中、Rは−H若しくは−CHである]で表される薬理学的に活性な物質又はその生理学的に許容可能な塩、および界面活性剤を含む、1日2回、1日1回又はより低頻度で経口投与するための医薬剤形であって、pH1.2での人工的な胃液900mL内のin
vitro条件下で30分後に、医薬剤形に元々含まれていた一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質の全量を基準として、一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質の少なくとも80重量%を放出する、医薬剤形。
【請求項2】
錠剤である、請求項1記載の医薬剤形。
【請求項3】
抗付着剤(antiadherent)、結合剤、崩壊剤、増量剤、希釈剤、流動促進剤、滑剤および保存剤からなる群から選択される1種またはそれ以上の薬学的な賦形剤をさらに含有する、請求項1または2に記載の医薬剤形。
【請求項4】
− 前記界面活性剤が少なくとも10のHLB値を有し、および/または
− 前記界面活性剤の含有量が、医薬剤形の全重量を基準として少なくとも0.001重量%である、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項5】
前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンの部分的な脂肪酸エステルおよび硫酸エステルからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項6】
一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質が、一般式(I’)
【化2】
[式中、Rは請求項1に定義されるとおりである]
で表される立体化学を有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項7】
一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質が、(1r,4r)−6’−フルオロ−N,N−ジメチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン、(1r,4r)−6’−フルオロ−N−メチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン又はその生理学的に許容可能な塩である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項8】
一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質を10μg〜50μgまたは300μg〜500μgの用量で含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項9】
− 薬物動態パラメーターtmaxが0.5〜16時間の範囲内であり;および/または− 薬物動態パラメータAUC0−t/用量の比が0.3〜20時間/mの範囲内であり;および/または
− 薬物動態パラメータCmax/用量の比が0.04〜2.00m−3の範囲内である、
請求項1〜8のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項10】
疼痛の治療に使用するための、請求項1〜9のいずれか1つに記載の医薬剤形。
【請求項11】
疼痛が、急性、内臓性、神経因性又は慢性の疼痛から選択される、請求項10記載の医薬剤形。
【請求項12】
一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質および界面活性剤を含有する水性造粒流体を湿式造粒するステップを含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の医薬剤形を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは、1日2回、1日1回、又はより低頻度で経口投与するための医薬剤形に関し、同医薬剤形は、一般式(I)
【0002】
【化1】
[式中、Rは−H若しくは−CHである]による、薬理学的に活性な物質又はその生理学的に許容可能な塩を含有する。
【0003】
一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンと呼ぶこともできる。別途明記しなければ、本用語は生理学的に許容可能な塩も含む。
【背景技術】
【0004】
本発明による薬理学的に活性な物質は先行技術より公知であり、口腔から(orally)、口腔経由で(perorally)、非経口的に、経静脈的に、腹腔内に、皮内に、筋肉内に、鼻腔内に、舌下に、直腸的に、又は局所的に、例えば皮膚、粘膜に対して、又は眼内に投与可能である。本化合物は鎮痛特性を示し、特に急性、内臓性、神経因性、又は慢性の疼痛治療に適する(例えば国際公開第2004/043967号(特許文献1)及び国際公開第2008/040481号(特許文献2)を参照)。
【0005】
従来型の鎮痛薬は、即時放出する製剤、又は持続的に放出する製剤として一般的に入手可能である。
【0006】
一方では、経口投与したときに即時放出する製剤は、胃腸管内で鎮痛薬の急速な放出を引き起こすという長所を有する。その結果、比較的高用量の鎮痛薬が速やかに吸収され、短時間内に血漿レベルは高くなり、こうして疼痛緩和の迅速な発現を引き起こす、すなわち投与後短時間のうちに鎮痛作用が開始する。これは、急性疼痛の場合、特に望ましい。
【0007】
しかし、同時に、鎮痛薬が代謝及び/又は排出されると、同薬の血漿レベルが低下するので、鎮痛作用の急速な低下が通常認められる。かかる理由により、鎮痛薬を即時放出する製剤は、一般的に頻繁に、例えば1日当たり8回投与する必要がある。これは、患者の服薬順守に関して有害であるだけでなく、ピーク血漿薬物濃度が比較的高くなり、またピーク血漿薬物濃度とトラフ血漿薬物濃度との間で濃度が大きく変動する原因となり得、これが忍容性を低下させ得る。
【0008】
もう一方では、経口投与したときに持続的に放出する製剤は、必要とする投与が、より低頻度、一般的には1日1回又は1日2回であるという長所を有する。これは患者の服薬順守を改善し、またピーク血漿薬物濃度を低下させ、またピーク血漿薬物濃度とトラフ血漿薬物濃度との間の濃度変動を低減することができ、この場合には忍容性を改善する可能性がある。
【0009】
しかし、同時に、胃腸管での鎮痛薬の放出は持続的である。その結果、比較的低用量の鎮痛薬が速やかに吸収され、血漿レベルは低くなり、疼痛緩和の発現は遅延する、すなわち鎮痛作用は、初回投与後、かなり長時間経過して開始する。
【0010】
さらに、持続的に放出する製剤は、即時放出する製剤よりも高用量の鎮痛薬を一般的に含有するので、誤用されるリスクが高い。より高齢の患者ではとりわけ、固体の医薬剤形を高頻度で服用するのが困難である。この問題に対処するために、様々な装置が開発されており、これを用いて固体の医薬剤形が粉砕可能又は微粉化可能である(錠剤粉砕機)。かかる装置は、例えば高齢者の自宅の介護スタッフにより用いられる。次に、医薬剤形は、例えば、錠剤の嚥下に関係する困難が回避されるように錠剤等としてではなくむしろ粉末として、要介護者に投与される。しかし、医薬剤形が持続性放出型製剤の場合、かかる装置による医薬剤形の粉砕には問題がある。一般に、粉砕は、持続性放出に関与する医薬剤形の内部構造の破壊を引き起こし、こうして持続性放出作用を無効にしてしまう。したがって、投与後、多くの場合、医薬剤形内に当初収納されていた生理学的に活性な物質すべてが、比較的短時間のうちに放出されることになり、こうして物質の血漿濃度は、比較的短い時間、きわめて高濃度に急激に達する(用量ダンピング)。このように、当初持続性放出型であった製剤は、即時放出型の製剤になる。しかし、物質の生理学的な活性に応じて、これはかなりの副作用を引き起こすおそれがあり、極端な場合、患者の死亡さえも引き起こすおそれがある(例えば、J. E. Mitchell, Oral Pharmaceutical dosage forms That Should Not Be Crushed: 2000 Update, Hospital Pharmacy, 2000(非特許文献1)、H. Miller et al., To Crush or Not to Crush, Nursing 2000(非特許文献2)、R. Griffith et al., Tablet Crushing and the law: the implications for nursing; Prof. Nurse 2003(非特許文献3)を参照)。持続性放出型の製剤を意図的に咀嚼すると、これに含まれる物質の過量投与も引き起こされる可能性がある。患者は、より即効性の効果を期待するので、多くの場合、持続性放出型製剤のタイプ及び目的を知らずに、時に医薬剤形を故意に咀嚼することがある。
【0011】
デュアル放出モードの製剤、すなわち即時放出と持続性放出との併用物も公知である(例えば、C.M. Lopez et al., Compressed Matrix Core Tablet as a Quick/Slow Dual−Component Delivery System containing Ibuprofen, AAPS PharmSciTech 2007; 8(3), E1−E8(非特許文献4)を参照)。しかし、これらの製剤は、位置的に互いに分離した即時放出ユニット及び持続性放出ユニットに一般的に依存し、したがってかかる医薬剤形は、特殊かつコストのかかる方法によってのみ調製可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2004/043967号
【特許文献2】国際公開第2008/040481号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】J. E. Mitchell, Oral Pharmaceutical dosage forms That Should Not Be Crushed: 2000 Update, Hospital Pharmacy, 2000
【非特許文献2】H. Miller et al., To Crush or Not to Crush, Nursing 2000
【非特許文献3】R. Griffith et al., Tablet Crushing and the law: the implications for nursing; Prof. Nurse 2003
【非特許文献4】C.M. Lopez et al., Compressed Matrix Core Tablet as a Quick/Slow Dual−Component Delivery System containing Ibuprofen, AAPS PharmSciTech 2007; 8(3), E1−E8
【非特許文献5】Bauer, Froemming, Fuehrer、「Lehrbuch der Pharmazeutischen Technologie」、第6版(1999)
【非特許文献6】Shargel, Wu−Pong, Yu、「Applied Biopharmaceuticals & Pharmacokinetics」、第5版(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、先行技術の医薬剤形と比較して長所を有する6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]−インドール]−4−アミンを含有する医薬剤形を提供することにある。とりわけ、本医薬剤形は、初回投与後すぐに良好な生物学的利用能、及び迅速な疼痛緩和を提供するだけでなく、高い忍容性、良好な服薬順守、及び安全性も有するはずである。
【0015】
この目的は、特許請求の範囲の主題(subject−matter)により達成された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚くべきことに、6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンは、比較的難水溶性であることが判明した。さらに、驚くべきことに、前記難水溶性にもかかわらず、6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンを即時放出し、また良好な生物学的利用能を提供する医薬剤形が調製可能であることが判明した。なおもさらに驚くべきことに、6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンは、比較的長い薬物動態半減時間(t1/2)を有し、したがって、投与後比較的長期間、薬理学的な活性を提供することが判明した。
【0017】
したがって、驚くべきことに、本発明による薬理学的に活性な物質を含有する医薬剤形を、好ましくは経口投与すると、本医薬剤形は即時放出を行うものの、又はたとえそのような場合であっても、疼痛緩和の迅速な発現が実現可能であり、その後に持続性の鎮痛薬効果が続くことが判明した。したがって、本発明による医薬剤形は、医薬組成物を投与した直後に有効成分が適度に高濃度となることから、即時放出−迅速な疼痛緩和をもたらす従来型製剤の有利な特性と、長期に渡り有効成分が適度に高濃度となることから、持続性放出−長期持続性鎮痛作用を提供する従来型製剤の有利な特性とを併せ持つが、また同時に前記従来型製剤の欠点を克服さえもする。本発明による製剤中の薬理学的に活性な物質を服用することにより、迅速に患者はその疼痛と効果的に戦うことができ、同時に、さらなる手段を必要とせずに、また12(又は、例えば24)時間間隔で単に規則的に投与するだけで、長期間に渡りこれを有効に治療することができる。
【0018】
本発明による医薬剤形は、これが最初に投与されたときに、薬理学的に活性な物質が血漿内を速やかに流動開始するのを可能にし、即時放出により患者において疼痛緩和の迅速な発現をもたらすと同時に、比較的長期間に渡り(少なくとも12時間)、長期持続性の治療効果を保証することは特に驚くべきことである。したがって、本発明による医薬剤形が投与されたときには、再び鎮痛作用が急減することなく、患者が苦しむ疼痛を迅速に緩和することが可能である。
【0019】
本発明による医薬剤形は、患者の服薬順守が良好であり、安全である。たとえ、本発明による医薬剤形が、例えば錠剤粉砕機により改変されたとしても、用量のダンピングは生じ得ない−医薬剤形を粉砕しても、即時放出プロファイルをさらに加速させることはない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】整形手術(バニオン切除術)後の急性術後疼痛を有する患者を対象として、式(I’b)による化合物を、異なる単回用量(200、400、600μg)で投与した後24時間に渡り測定した、数値的評価スケール(NRS)の平均値を、モルヒネ及びプラセボと比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、一般式(I)
【0022】
【化2】
[式中、Rは−H若しくは−CHである]による、薬理学的に活性な物質、又はその生理学的に許容可能な塩を含む医薬剤形に関し、前記医薬剤形は、1日2回、1日1回、又はより低頻度で投与するためのものである。
【0023】
一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、Rが−Hのとき、「6’−フルオロ−N−メチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン」、またRが−CHのとき、「6’−フルオロ−N,N−ジメチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン」と呼ぶこともでき、本明細書の目的に照らせば、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、「6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ−[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン」と呼ぶこともできる。
【0024】
好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、一般式(I’)
【0025】
【化3】
[式中、Rは−H若しくは−CHである]
による立体化学を有する、又はその生理学的に許容可能な塩である。
【0026】
本発明による医薬剤形の別の実施形態では、式(I)の化合物は、遊離塩基又はその生理学的に許容可能な塩の形態にある、
【0027】
【化4】
より選択される。
【0028】
一般式(I’a)による遊離塩基は、体系的にそれぞれ「1,1−(3−メチルアミノ−3−フェニルペンタメチレン)−6−フルオロ−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール(トランス)」、又は「(1r,4r)−6’−フルオロ−N−メチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン」と呼ぶことができる。
【0029】
一般式(I’b)による遊離塩基は、体系的にそれぞれ「1,1−(3−ジメチルアミノ−3−フェニルペンタメチレン)−6−フルオロ−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール(トランス)」、又は「(1r,4r)−6’−フルオロ−N,N−ジメチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン」と呼ぶことができる。
【0030】
本明細書で用いる場合、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の定義には、6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ−[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン、その誘導体及びその立体異性体が、任意の可能な形態で含まれ、これにより、特に溶媒和化合物及び多形体、塩、とりわけ酸付加塩及び対応する溶媒和化合物及び多形体が含まれる。
【0031】
好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、一般式(I’)による単一のジアステレオマーとして存在する。
【0032】
別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、ジアステレオマーの混合物として存在する。かかる混合物は、任意の比でジアステレオマーを含有し得る。ジアステレオマー混合物は、例えば60±5:40±5、70±5:30±5、80±5:20±5、又は90±5:10±5の比でジアステレオマーを含有し得る。好ましくは、本発明による医薬剤形は、もう一方のジアステレオマーに対して(すなわち、それぞれトランスに対してシス、及びアンチに対してシン)ジアステレオマー過剰率(de)が、少なくとも50%de、より好ましくは少なくとも60%de、なおもより好ましくは少なくとも70%de、いっそうより好ましくは少なくとも80%de、なおいっそうより好ましくは少なくとも90%de、最も好ましくは少なくとも95%de、及びとりわけ少なくとも98%deで、一般式(I’)によるジアステレオマーを含有する。
【0033】
6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンは、遊離塩基の形態又は酸付加塩の形態で本発明による医薬剤形中に存在し得るが、ここでは、かかる付加塩を形成することができる任意の適する酸が利用可能である。
【0034】
6’−フルオロ−(N−メチル−又はN,N−ジメチル−)−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミンを、例えば、適する酸を用いた反応により対応する付加塩に変換するのは、当業者に周知の方式で実施可能である。適する酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、クエン酸、グルタミン酸、及び/又はアスパラギン酸が挙げられるが、但しこれらに限定されない。塩の形成は、好ましくは溶媒、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アルキル酢酸エステル、アセトン、及び/又は2−ブタノン中で実施される。さらに、トリメチルクロロシラン水溶液も塩酸塩の調製に適する。
【0035】
一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、治療上有効な量で医薬剤形に含まれる。治療上有効な量を構成する量は、化合物、治療の対象となる状態、前記状態の重症度、治療の対象となる患者、及び医薬剤形が即時型又は遅延型放出のいずれの用途で設計されているか、により異なる。
【0036】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、最大で95重量%、より好ましくは最大で50重量%、いっそうより好ましくは最大で25重量%、なおもより好ましくは最大で10重量%、なおもいっそうより好ましくは最大で5重量%、最も好ましくは最大で1.0重量%、及びとりわけ最大で0.5重量%である。
【0037】
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、少なくとも0.001重量%、より好ましくは少なくとも0.005重量%、いっそうより好ましくは少なくとも0.01重量%、なおもより好ましくは少なくとも0.05重量%、なおもいっそうより好ましくは少なくとも0.1重量%、最も好ましくは少なくとも0.5重量%、及びとりわけ少なくとも1.0重量%である。
【0038】
さらに別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、0.320±0.315重量%、より好ましくは0.320±0.310重量%、いっそうより好ましくは0.320±0.305重量%、なおもより好ましくは0.320±0.300重量%、なおもいっそうより好ましくは0.320±0.295重量%、最も好ましくは0.320±0.290重量%、及びとりわけ0.320±0.285重量%の範囲内である。
【0039】
また別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、0.040±0.035重量%、より好ましくは0.040±0.030重量%、いっそうより好ましくは0.040±0.025重量%、なおもより好ましくは0.040±0.020重量%、なおもいっそうより好ましくは0.040±0.015重量%、最も好ましくは0.040±0.010重量%、及びとりわけ0.040±0.005重量%の範囲内である。
【0040】
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、0.6±0.35重量%、より好ましくは0.6±0.30重量%、いっそうより好ましくは0.6±0.25重量%、なおもより好ましくは0.6±0.20重量%、なおもいっそうより好ましくは0.6±0.15重量%、最も好ましくは0.6±0.10重量%、及びとりわけ0.6±0.05重量%の範囲内である。
【0041】
別途明記しない限り、本発明の意味するところでは、表示「重量%」は、医薬剤形の全重量当たりの各成分の重量を意味するものとする。医薬剤形がフィルムコーティングされるか、又は一般式(I)による薬理学的に活性な物質をいかなる量も含有することはないが、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の全量を含有するコア部を取り巻く被包媒体(encapsulating medium)により被包されている場合には、表示「重量%」は、前記コア部を形成する組成物の全重量当たりの各成分の重量を意味する。
【0042】
医薬剤形が、被包され又はフィルムコーティングされている場合には、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、好ましくは医薬剤形のコア部内で均質に分布している。好ましくは、被包媒体又はフィルムコーティングは、一般式(I)による薬理学的に活性な物質を何ら含まない。
【0043】
一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは0.1μg〜5000μgの範囲、より好ましくは0.1μg〜1000μgの範囲、及び最も好ましくは1.0μg〜100μgの範囲、又は30μg〜600μgの範囲である。
【0044】
好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、25±20μg、より好ましくは25±15μg、なおもより好ましくは25±10μg、及び最も好ましくは25±5μgの範囲内である。
【0045】
別の好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、40±35μg、より好ましくは40±30μg、なおもより好ましくは40±25μg、いっそうより好ましくは40±20μg、なおいっそうより好ましくは40±15μg、最も好ましくは40±10μg、及びとりわけ40±5μgの範囲内である。
【0046】
なおも別の好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、50±35μg、より好ましくは50±30μg、なおもより好ましくは50±25μg、いっそうより好ましくは50±20μg、なおいっそうより好ましくは50±15μg、最も好ましくは50±10μg、及びとりわけ50±5μgの範囲内である。
【0047】
さらに別の好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、60±35μg、より好ましくは60±30μg、なおもより好ましくは60±25μg、いっそうより好ましくは60±20μg、なおいっそうより好ましくは60±15μg、最も好ましくは60±10μg、及びとりわけ60±5μgの範囲内である。
【0048】
別の好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、100±90μg、より好ましくは100±80μg、なおもより好ましくは100±60μg、いっそうより好ましくは100±40μg、なおいっそうより好ましくは100±20μg、最も好ましくは100±10μg、及びとりわけ100±5μgの範囲内である。
【0049】
なおも別の好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、200±175μg、より好ましくは200±150μg、なおもより好ましくは200±125μg、いっそうより好ましくは200±100μg、なおいっそうより好ましくは200±75μg、最も好ましくは200±50μg、及び特に200±25μgの範囲内である。
【0050】
なおも別の好ましい実施形態では、本医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、400±350μg、より好ましくは400±300μg、なおもより好ましくは400±250μg、いっそうより好ましくは400±200μg、なおいっそうより好ましくは400±150μg、最も好ましくは400±100μg、及びとりわけ400±50μgの範囲内である。
【0051】
好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは50μg〜3000μgの範囲、より好ましくは100μg〜1000μgの範囲、なおいっそうより好ましくは300μg〜500μgの範囲、及び最も好ましくは350μg〜450μgの範囲である。
【0052】
別の好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは200μg〜400μgの範囲、とりわけ250μg〜350μgの範囲である。
【0053】
本明細書の目的に照らせば、表現「疼痛の治療で用いられる」は、「疼痛の治療で用いるように構成される」と等価である。
【0054】
好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは200μg〜400μgの範囲、とりわけ250μg〜350μgの範囲である。
【0055】
好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは250μg〜450μgの範囲、とりわけ300μg〜400μgの範囲である。
【0056】
別の好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは300μg〜500μgの範囲、とりわけ350μg〜450μgの範囲である。
【0057】
さらに別の好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは350μg〜550μgの範囲、とりわけ400μg〜500μgの範囲である。
【0058】
なおもいっそう別の好ましい実施形態では、医薬剤形は急性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは400μg〜600μgの範囲、とりわけ450μg〜550μgの範囲である。
【0059】
別の好ましい実施形態では、医薬剤形は慢性疼痛治療で用いられ、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の用量は、好ましくは0.1μg〜500μgの範囲、より好ましくは1μg〜250μgの範囲、なおいっそうより好ましくは5μg〜100μgの範囲、及び最も好ましくは10μg〜50μgの範囲である。
【0060】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は経口投与用であり、すなわち医薬剤形は経口投与用として構成される。本発明による医薬剤形の投与の好適な代替経路には経膣及び直腸投与が含まれるが、但しこれらに限定されない。
【0061】
本発明による医薬剤形は、1日2回、1日1回、又はより低頻度で投与するためのものであり、すなわち本医薬剤形は、1日2回、1日1回、又はより低頻度で投与するように構成される。
【0062】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は1日2回投与するためのものである。
【0063】
本明細書の目的に照らせば、「1日2回投与する」(bid)とは、好ましくは、本発明による第1の医薬剤形の投与及び後続する本発明による第2の医薬剤形の投与を含む投与計画により投与されるように医薬剤形が構成されることを意味し、第1及び第2の医薬剤形の両方が、約24時間の時間間隔で投与されるが、但し第2の医薬剤形は、第1の医薬剤形が投与された後6時間よりも早くならずに、好ましくは8時間よりも早くならずに、より好ましくは10時間及びとりわけ約12時間よりも早くならずに投与される。
【0064】
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は1日1回投与するためのものである。
【0065】
本明細書の目的に照らせば、「1日1回投与する」(sid)とは、好ましくは、本発明による第1の医薬剤形の投与及び後続する本発明による第2の医薬剤形の投与を含む投与計画により投与されるように医薬剤形が構成されることを意味し、第1及び第2の医薬剤形の両方が、約48時間の時間間隔で投与されるが、但し第2の医薬剤形は、第1の医薬剤形が投与された後18時間よりも早くならずに、好ましくは20時間よりも早くならずに、より好ましくは22時間及びとりわけ約24時間よりも早くならずに投与される。
【0066】
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は、1日1回又はより低頻度で投与するためのものである。
【0067】
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は、1日1回より低頻度、好ましくは4日間で3回(3/4)、3日間で2回(2/3)、5日間で3回(3/5)、2日間で1回(1/2)、1週間に3回(3/7)、5日間で2回(2/5)、3日間で1回(1/3)、1週間に2回(2/7)、4日間で1回(1/4)、5日間で1回(1/5)、6日間で1回(1/6)、又は1週間に1回(1/7)投与するためのものである。本実施形態によれば、2日間で1回(1/2)投与するのが特に好ましい。
【0068】
熟練者は、投与法「1日2回、1日1回、又はより低頻度」とは、特定の時点に投与すべき一般式(I)による薬理学的に活性な物質の全量を含む単一の医薬剤形を投与することにより、あるいは複数の用量単位、すなわち2つ、3つ、又はこれより多くの用量単位を投与するが、但しこの場合、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の全量を含む複数の用量単位の合計が前記特定の時点に投与すべきであり、個別の用量単位は、同時投与又は短時間内、例えば5、10、又は15分内に投与することにより実現可能であることを熟知している。
【0069】
好ましくは、本発明による医薬剤形は、一般式(I)による薬理学的に活性な物質を即時放出させる。好ましくは、医薬剤形は、Ph.Eurに従って、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は具体的にはin vitroで即時放出するように設計される。医薬剤形が、例えば胃液に可溶なコーティングでコーティングされる場合、放出速度は、好ましくはかかるコーティングが溶解した後にモニターされる。
【0070】
本明細書の目的に照らせば、用語「即時放出」は、下記要求事項の少なくとも1つの、好ましくは両方を満たす任意の放出プロファイルを意味する。第1に、医薬剤形は、崩壊媒体に曝露後10分以内に崩壊する。崩壊時間を測定する方法は、当業者にとって公知である。例として、崩壊時間は、例えばErweka ZT−71崩壊テスターを用いるUSP XXIV崩壊試験手順により測定可能である。第2に、医薬剤形は、溶解媒体に曝露後15分以内に薬物の少なくとも70重量%を放出する。好ましくは、本発明による医薬剤形のin vitro放出特性は、50、75、又は100rpmでシンカーを用いたパドル法により、好ましくは、37±0.5℃、pH1.2の人工的な胃液900mL内のin vitro条件下で、又は非人工的な胃液内の同一条件下で求められる。
【0071】
好ましい実施形態では、医薬剤形は、100rpmでシンカーを用いたパドル法によれば、37±0.5℃、pH1.2の人工的な胃液900mLにおけるin vitro条件下で、30分後には、医薬剤形に当初含まれた一般式(I)による薬理学的に活性な物質の全量を基準として、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、なおもより好ましくは少なくとも70重量%、いっそうより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%、及びとりわけ少なくとも95重量%放出する。
【0072】
本発明による医薬剤形は、優れた寿命及び保管安定を示し、すなわち医薬剤形の化学組成、物理的特性、溶出プロファイルのいずれも、保管する際に顕著に変化しない。
【0073】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は、これを40±2℃、75%RH±5%で、最低6週間、好ましくは3ヶ月間保管後、好ましくは一般式(I)による薬理学的に活性な物質の分解又は劣化に起因する望ましくない分解生成物及び不純物の濃度が、それぞれ医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の当初の含有量、すなわち医薬剤形を保管する前のその含有量に対して、最大1.0重量%、より好ましくは最大0.8重量%、なおもより好ましくは最大0.6重量%、いっそうより好ましくは最大0.4重量%、なおいっそうより好ましくは最大0.2重量%、最も好ましくは最大0.1重量%、及びとりわけ最大0.05重量%であるように、医薬剤形に含まれる一般式(I)による薬理学的に活性な物質に対して十分な安定性を提供する。
【0074】
一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、−NRCH基が外れて分解する場合があり、これにより薬理学的に不活性と思われる6’−フルオロ−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサ−3−エン−1,1’−ピラノ[3,4−b]インドール]が生成することが判明した。好ましくは、医薬剤形を40±2℃及び75%RH±5%、又は25±2℃及び60%RH±5%で、最低6週間、好ましくは3ヶ月間保管した後、6’−フルオロ−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサ−3−エン−1,1’−ピラノ[3,4−b]インドール]の濃度は、医薬剤形中の一般式(I)による薬理学的に活性な物質の当初の含有量、すなわち医薬剤形を保管する前のその含有量に対して、最大1.0重量%、より好ましくは最大0.8重量%、なおもより好ましくは最大0.6重量%、いっそうより好ましくは最大0.4重量%、なおいっそうより好ましくは最大0.2重量%、最も好ましくは最大0.1重量%、及びとりわけ最大0.05重量%である。
【0075】
ICH及びFDAガイドラインによる、薬物の安定性を測定するための一般的に受け入れられている加速試験法は、薬物を含む医薬製剤の保管に関する(例えば、その容器及び包装内での)。ICHガイドラインによれば、いわゆる加速保管試験は、医薬製剤の場合、40±2℃、75%RH±5%で最低6ヶ月間実施すべきである。さらに、いわゆる長期保管試験は、医薬製剤の場合、25±2℃、60%RH±5%以上で最低12ヶ月間実施すべきである。6ヶ月の期間中に、加速保管試験条件及び長期保管試験条件についてすべての基準が満たされた場合には、長期保管試験は6ヶ月に短縮可能であり、また12ヶ月間の推定データを得るためには、対応するデータを2倍にすればよい。
【0076】
保管期間中、医薬製剤サンプルは、規定された時間間隔で回収され、その薬物含有量、不純物の存在、その放出プロファイル、及び該当する場合にはその他のパラメータについて分析される。ICHガイドラインによれば、すべてのサンプルでは、薬物純度は≧98%であるべきであり、薬物含有量は95〜105%(FDAガイドライン:90〜110%)であるべきである。さらに、医薬製剤は30分内に薬物の>80%を放出すべきである。
【0077】
50mg未満の薬物を含有する錠剤及びカプセルの場合、含量量均一性試験を無作為に選択された剤形10個についてさらに実施する必要がある。個々の含有量が、いずれも平均含有量の85%〜115%の限度外でなければ、医薬製剤は適合性を有する。個々の含有量が上記限度から外れた場合には、別の30個のカプセルを分析しなければならない。個々の含有量が平均含有量の85〜115%の限度から3個より多く外れる場合には、又は個々の含有量が平均含有量の75%〜125%の限度から1つ又は複数外れる場合には、調製物は試験不合格となる。
【0078】
好ましい実施形態では、医薬剤形を長期保管条件下(25℃及び60%相対湿度)、密閉されたガラス容器内で6ヶ月間保管した後、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の分解率は、2.0%、より好ましくは1.5%、なおもより好ましくは1.0%、及び最も好ましくは0.5%を上回らない。
【0079】
別の好ましい実施形態では、医薬剤形を加速保管条件下(40℃及び75%相対湿度)、密閉されたガラス容器内で6ヶ月保管した後、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の分解率は、4%、より好ましくは3%、なおもより好ましくは2%、いっそうより好ましくは1%、及び最も好ましくは0.5%を上回らない。
【0080】
好ましくは、医薬剤形を長期保管条件下(25℃及び60%相対湿度)で6ヶ月保管した後、100rpmでシンカーを用いたパドル法によれば、医薬剤形は、30分後に、pH1.2及び37±0.5℃の人工的な胃液900mLにおけるin vitro条件下で、医薬剤形に当初含まれていた一般式(I)による薬理学的に活性な物質の全体量を基準として、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、なおもより好ましくは少なくとも70重量%、及び最も好ましくは少なくとも80重量%を放出する。
【0081】
好ましくは、医薬剤形を加速保管条件下(40℃及び75%相対湿度)で6ヶ月保管した後、100rpmでシンカーを用いたパドル法によれば、医薬剤形は、30分後に、pH1.2及び37±0.5℃の人工的な胃液900mLにおけるin vitro条件下で、医薬剤形に当初含まれていた一般式(I)による薬理学的に活性な物質の全体量を基準として、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、なおもより好ましくは少なくとも70重量%、及び最も好ましくは少なくとも80重量%を放出する。
【0082】
医薬剤形により投与される薬理学的に活性な物質の吸収特性は、薬物動態パラメータCmax、tmax、及びAUC0−tにより記載され得る。Cmax及びtmaxの測定、並びにAUCの計算は当業者に周知されており、例えば、Bauer, Froemming, Fuehrer、「Lehrbuch der Pharmazeutischen Technologie」、第6版(1999)(非特許文献5)、及びShargel, Wu−Pong, Yu、「Applied Biopharmaceuticals & Pharmacokinetics」、第5版(2005)(非特許文献6)に記載されている。
【0083】
一般式(I)による薬理学的に活性な物質のAUC0−t及びCmaxは、用量に比例することを示す実験的なエビデンスが存在する。
【0084】
本明細書の目的に照らせば、Cmaxは、医薬剤形を単回投与した後に到達する、薬理学的に活性な物質の最高血漿濃度である。
【0085】
本明細書の目的に照らせば、tmaxはCmaxに到達するのに要する時間である。
【0086】
本明細書の目的に照らせば、AUC0−tは、分析的に定量可能な濃度の薬理学的に活性な物質を含有した最終サンプルを単回投与した後、時間tまでの曲線下面積である。
【0087】
本明細書の目的に照らせば、AUC0−72hは、単回投与した後、ベースラインからその後72時間までの曲線下面積である。
【0088】
好ましくは、Cmax/用量の比は、0.01〜3.00m−3の範囲内、いっそうより好ましくは0.02〜2.50m−3の範囲内、より好ましくは0.04〜2.00m−3の範囲内、及び最も好ましくは0.06〜1.69m−3の範囲内である。好ましい実施形態では、Cmax/用量の比は、0.40±0.35m−3、より好ましくは0.40±0.30m−3、なおもより好ましくは0.40±0.25m−3、いっそうより好ましくは0.40±0.20m−3、なおいっそうより好ましくは0.40±0.15m−3、最も好ましくは0.40±0.10m−3、及びとりわけ0.40±0.05m−3の範囲内である。別の好ましい実施形態では、Cmax/用量の比は、0.80±0.70m−3、より好ましくは0.80±0.60m−3、なおもより好ましくは0.80±0.50m−3、いっそうより好ましくは0.80±0.40m−3、なおいっそうより好ましくは0.80±0.30m−3、最も好ましくは0.80±0.20m−3、及びとりわけ0.80±0.10m−3の範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、Cmax/用量の比は、1.20±1.05m−3、より好ましくは1.20±0.90m−3、なおもより好ましくは1.20±0.75m−3、いっそうより好ましくは1.20±0.60m−3、なおいっそうより好ましくは1.20±0.45m−3、最も好ましくは1.20±0.30m−3、及びとりわけ1.20±0.15m−3の範囲内である。
【0089】
好ましくは、tmaxは、15分〜24時間の範囲内、なおもより好ましくは20分〜20時間の範囲内、いっそうより好ましくは0.5〜16時間の範囲内、最も好ましくは1〜12時間の範囲内、及びとりわけ2〜10時間の範囲内である。好ましい実施形態では、tmaxは、4±3.5時間、より好ましくは4±3時間、なおもより好ましくは4±2.5時間、いっそうより好ましくは4±2時間、なおいっそうより好ましくは4±1.5時間、最も好ましくは4±1時間、及びとりわけ4±0.5時間の範囲内である。別の好ましい実施形態では、tmaxは、8±7時間、より好ましくは8±6時間、なおもより好ましくは8±5時間、いっそうより好ましくは8±4時間、なおいっそうより好ましくは8±3時間、最も好ましくは8±2時間、及びとりわけ8±1時間の範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、tmaxは、12±11時間、より好ましくは12±9時間、なおもより好ましくは12±7時間、いっそうより好ましくは12±5時間、なおいっそうより好ましくは12±3時間、最も好ましくは12±2時間、及びとりわけ12±1時間の範囲内である。
【0090】
好ましくは、AUC0−t/用量の比は、0.3〜20時間/mの範囲内、より好ましくは0.4〜18時間/mの範囲内、なおもより好ましくは0.5〜16.5時間/mの範囲内、及び最も好ましくは0.55〜12.5時間/mの範囲内である。好ましい実施形態では、AUC0−t/用量の比は、3±2.5時間/m、より好ましくは3±2時間/m、なおもより好ましくは3±1.5時間/m、いっそうより好ましくは3±1時間/m、なおいっそうより好ましくは3±0.75時間/m、最も好ましくは3±0.5時間/m、及びとりわけ3±0.25時間/mの範囲内である。別の好ましい実施形態では、AUC0−t/用量の比は、6±5時間/m、より好ましくは6±4時間/m、なおもより好ましくは6±3時間/m、いっそうより好ましくは6±2時間/m、なおいっそうより好ましくは6±1.5時間/m、最も好ましくは6±1時間/m、及びとりわけ6±0.5時間/mの範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、AUC0−t/用量の比は、9±8時間/m、より好ましくは9±7時間/m、なおもより好ましくは9±5時間/m、いっそうより好ましくは9±4時間/m、なおいっそうより好ましくは9±3時間/m、最も好ましくは9±2時間/m、及びとりわけ9±1時間/mの範囲内である。
【0091】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は一体型である。
【0092】
別の好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は、コーティング又は被包用材料に取り囲まれているコアを備える。好ましい実施形態では、コアは液体であり、また一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、当該液体中に分散されており、好ましくは溶解されている。
【0093】
好ましくは、本発明による医薬剤形は、自己(マイクロ)乳化薬物送達システム、固溶体、ナノ粒子、シクロデキストリン複合体、リポソーム、ミセル、微粒子化及び/又は非結晶状態の形態で一般式(I)による薬理学的に活性な物質を提供する。
【0094】
一般的な用語では、難水溶性薬物の製剤に関する選択肢として、結晶性固体、非結晶性及び脂質製剤が挙げられる。
【0095】
薬理学的に活性な物質の結晶性製剤からの溶出速度は、粒子サイズを低下させ、これにより溶出のための表面積を増加させること、例えば薬理学的に活性な物質を約2〜5μmの粒径に従来方式で微細化することにより高めることができる。場合によっては、これでは不十分であり、ナノ結晶技術が適用される。ナノ結晶は100〜250nmの粒径を呈し、この粒子サイズは、ボールミル粉砕により、又は濃密気体若しくは超臨界流体技術により得ることができる。
【0096】
固溶体は、薬理学的に活性な物質を、ポリマー中に固定化した非結晶性状態で提供及び維持する。非結晶性の溶液は界面活性剤及びポリマーを含有し得るが、これにより、水と接触して分散する際に、界面活性をもたらす。固溶体は、様々な技術、例えばスプレードライ法及び溶融押出し法を用いて形成可能である。
【0097】
異なる特性を示す脂質製剤は、単純な溶液及び自己乳化薬物送達システム(SEDDS)を含むミセル溶液を分散及び形成するのに利用可能である。賦形剤によっては、消化を必要とする場合があるが(例えば、単純な油性液体)、その他は消化しなくても容易に吸収され得る。脂質製剤は、以下に示すように脂質製剤分類システム(LFCS)に基づき分類される:
【0098】
【表1】
【0099】
別の選択肢は、シクロデキストリン複合体を形成することであり、同複合体内では、薬理学的に活性な物質は、シクロデキストリンの空孔内に位置し、こうして水性媒体の存在下で、より可溶性の形態で分子的に存在する。フィッティングがうまく行くかどうかは、シクロデキストリンの質、並びに薬理学的に活性な物質の物理化学特性及びサイズに強く依存する。
【0100】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は、自己乳化薬物送達システム(SEDDS)とみなすことができる。
【0101】
そのような目的のために、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、好ましくは自己乳化製剤中に組み込まれる。いわゆる自己乳化薬物送達システム(SEDDS)は、機械的手段よりはむしろ化学的手段により得られるエマルジョンを使用する薬物送達システムである。すなわち、同エマルジョンは、特別な混合及び取扱いよりはむしろ薬物製剤の本質的な特性による。前記製剤は水性媒体中で希薄化し、そしてエマルジョンとなる。平均液滴サイズが50nm以下の場合には、自己乳化薬物送達システム(SEDDS)は、自己マイクロ乳化薬物送達システム(SMEDDS)と呼ばれる。脂質製剤分類システムによれば、これらの製剤は、タイプIII製剤の群に一般的に該当する。
【0102】
SEDDSの好ましい部分群は、自己乳化油性製剤(SEOF)である。SEOFは、天然の油又は合成油、界面活性剤、及び親水性溶媒、そして時に共溶媒を一般的に含む。SEOFの主な特徴として、水相で希釈した後、軽く撹拌すれば、微細な水中油型エマルジョン又はマイクロエマルジョンを形成するその能力が挙げられる。これら製剤は、胃腸液で希釈されると、胃腸管内で分散してマイクロエマルジョン又は微細なエマルジョンを形成し得る。
【0103】
別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、固溶体の形態で一般式(I)による薬理学的に活性な物質を含有する、すなわち固体マトリックス中に分子的に分散されている。固溶体は、好ましくは、分子分散形態の一般式(I)による薬理学的に活性な物質、及び比較的大きな比表面積を有する非結晶性ポリマーマトリックスを含む。一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、好ましくは分子分散形態で存在し、すなわち化合物は凝固した溶液内で真正溶解し、均等に展開している。化合物の粒子サイズは、微結晶性(microcrystalline)でなければ、微細な結晶質(fine crystalline)でもない。代表的な粒径は、好ましくは0.1〜1μmである。
【0104】
なおも別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、ナノテクノロジー製剤化手段により提供され、ナノ粒子の平均サイズは好ましくは1μm未満である。好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、ナノ化された形態で提供される。別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、好ましくは、有機ナノ粒子及び無機ナノ粒子より選択されるナノ粒子と混合され、こうして前記粒子表面に吸着される。
【0105】
有機ナノ粒子は、好ましくは、小さいタンパク質、オリゴペプチド又は脂質のクラスター又は凝集物として存在する小型のタンパク質を含有する。
【0106】
無機ナノ粒子は、好ましくは結晶性シリケートを含有する。このようなシリケートは、鉱物由来、又はメタロシリケートのような人工的なシリケート(例えば、ゼオライト)である。好ましい実施形態では、ナノ粒子は、これが静電荷を帯びるように改変される。ナノ粒子は、好ましくは超微細に粉砕されたシリケートであり、また一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、好ましくはナノ粒子のマイクロ多孔性の表面に結合している。
【0107】
ナノ粒子の形成法は当業者に公知である。1つの方法は、一般式(I)による薬理学的に活性な物質をプロタミンのような適する担体材料と共に、加圧下、規定温度で、穴のあいたストレーナーを備えたジェットを経由して、極度に冷却されたタワー内に噴霧することにより、経口薬物放出するための担体としてコロイド状のナノ粒子を生成することである。急速冷却すると、その結果、ナノ粒子からなる非結晶相が得られる。別の方法は、一般式(I)による薬理学的に活性な物質を、溶液内で適する高分子と混合することである。疎水性化合物を添加することにより、溶媒分子が溶液から除去され、脱溶媒和が生ずる。このような理由により、非常に微細な粒子が形成され、これに一般式(I)による薬理学的に活性な物質が取り込まれる。形成されたナノ粒子を硬化させるために、架橋剤が溶液に添加される場合がある。
【0108】
例えば、固体の脂質ナノ粒子を生成するためには、高圧ホモジナイゼーション法とこれに続くスプレー冷却法が利用可能である。好ましくは、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、適する溶媒中に溶解されるか、又はサブミクロン粒子の形態である。該当する場合には、脂質ベヒクル及び界面活性剤を溶液に添加することができる。最後に、得られた製剤を例えばハードゼラチンカプセル等のカプセルに充填するために、外相としての微細な増量剤材料の他、流動促進剤及びさらなる界面活性剤を添加することができる。
【0109】
いっそう別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、シクロデキストリン(封入体)複合体として提供される。
【0110】
シクロデキストリンは環を形成する糖分子から構成されるが、一般的に、1−4位で連結した5個以上のα−D−グリコピラノシド単位を含む。連結した糖モノマーの代表的な数は、6〜8単位の範囲である。6員糖環分子は、α−シクロデキストリンと呼ばれる。7員糖環分子は、β−シクロデキストリンと呼ばれ、また8員糖環分子は、γ−シクロデキストリンと呼ばれる。これら化合物の形状は、溶媒に露出した、より大きな及びより小さな開口部を有する環状体である。かかる構成により、環状体の内部は疎水的ではないが、但し水性環境よりもきわめて親水性が低く、したがって疎水性分子の受け皿となり得る。環状体の外部は、シクロデキストリンを水溶性にせしめるのに十分に親水性である。
【0111】
一般式(I)による薬理学的に活性な成分をシクロデキストリン内に封入すると、それは物理特性及び化学特性を大幅に改変する。ほとんどの場合、かかる複合体の制御された分解とその結果生じる薬物放出の機構は、水溶液のpH変化に基づき、シクロデキストリン及び封入された分子間の水素結合又はイオン結合の切断を引き起こす。複合体を崩壊させるための代替的手段では、加熱、又はα−D−グリコピラノシド間のα−1−4結合を開裂させることができる酵素作用が活用される。
【0112】
別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、リポソームの形態で提供される。リポソームは、好ましくはリン脂質から構成され、好ましくは球状の形状である。この形状のシェルは、好ましくは層状又は二分子層構造である。別のタイプのリン脂質の構成は単層である。
【0113】
リン脂質は両親媒性特性を有する分子を含み、すなわち、分子は疎水性(親油性)及び親水性(疎油性)部分を有する。水の存在下で、親水性部分は水に引き付けられ、水と向き合う表面を形成する一方、疎水性部分は水により排斥され、水から離れた表面を形成する。したがって、両親媒性分子は、それ自体、上記タイプのうちの1つを構成するように配列する。
【0114】
二分子層構造は、内部が水溶液で満たされた球状の形状で配列するのが好ましい。このタイプは「リポソーム」と呼ばれる。分子の疎水性部分は、層の中央でお互いに向き合い、また分子の親水性部分は、リポソーム外部の水分子と向き合う。リポソーム内部の水溶液は、リポソーム外部の水溶液と同じである。この水溶液に溶けている成分、例えば一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、このようにリポソーム内側にある。リポソームの代表的な直径は、25nm〜1μmである。より小さなもの(25nm〜200nm)は、1つの単一二重層からなり、一方より大きなもの(200nm〜1μm)は、互いの頭部側により多くの二重層シェルを備える。
【0115】
単層構造も球状の形状で配列する。分子の両親媒性特性及び球状形状の単層構造により、球状構造の内部は、分子の疎水性部分で充填され/これにより形成されている。このタイプはミセルと呼ばれている。構造内部には溶媒は存在しない。好ましい実施形態では、ミセル内部は一般式(I)による薬理学的に活性な物質を含有する。
【0116】
別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、微粒子化した状態で提供される。微粒子化技術により、ナノメートルスケールの直径を有する一般式(I)による薬理学的に活性な物質の粒子が調製可能である。前記粒子の比表面積は大きい。
【0117】
ミリング及びグラインディングはナノメートルスケールの粒子を得るのに有用な方法である。微粒子化するための高度な技術としてRESS(超臨界溶液急速膨張法)、SAS(超臨界反溶媒法)及びPGSS(ガス飽和溶液由来粒子法)が挙げられる。
【0118】
RESS法は、超臨界流体を使用し、同法では一般式(I)による薬理学的に活性な物質が、高温高圧下で溶解され、これにより均質な超臨界相が得られる。ノズル経由で溶液を膨張させた後、小型の粒子が形成される。ノズル末端部で膨張することにより、溶解した一般式(I)による薬理学的に活性な物質は結晶として析出し、少量の溶媒を取り込む。溶媒は、超臨界流体状態から通常状態、好適には気相に変化し、結晶を表裏反転させて破壊する。このように、また結晶がお互いに衝突することにより、ナノメートルスケールの直径を有する粒子が形成される。
【0119】
SAS法では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、好ましくは有機溶媒に溶解される。超臨界流体が圧力下で溶液に添加され、したがってこの場合も溶媒に強制的に溶解される。その結果、系全体の容積が増加し、一般式(I)による薬理学的に活性な物質の溶解度は低下する。その低下した溶解度により、一般式(I)による化合物は析出し、直径が小さい粒子を形成する。
【0120】
PGSS法は、SAS法に類似している。本明細書では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質が溶融され、超臨界流体が当該溶融物に溶解される。ノズル経由で膨張するので、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は析出し、ナノメートルスケールの粒子を形成する。
【0121】
好ましい実施形態では、本発明による医薬剤形は、
−非イオン性界面活性剤(例えば、Cremophor(登録商標)EL、Cremophor(登録商標)RH40、Cremophor(登録商標)RH60、d−α−トコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、Solutol(登録商標)HS15、ソルビタンモノオレエート、ポロキサマー407、Labrafil(登録商標)M−1944CS、Labrafil(登録商標)M−2125CS、Labrasol(登録商標)、Gelucire(登録商標)44/14、Softigen(登録商標)767、及びPEG300、400、又は1750のモノ−及びジ−脂肪酸エステル);及び/又は、
−陰イオン界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム、例えばTexapon(登録商標)K12)、セチル硫酸ナトリウム(例えば、Lanette E(登録商標))、セチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(ドクサートナトリウム);及び/又は、
−水不溶性脂質(例えば、ひまし油、トウモロコシ油、綿実油、オリーブ油、ピーナッツ油、ハッカ油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水添植物油、水添ダイズ油、及びココナッツ油及びパーム核油の中鎖トリグリセリド);及び/又は、
−有機性の液体/半固体(例えば、みつろう、d−α−トコフェロール、オレイン酸、中鎖モノ−及びジグリセリド);及び/又は、
−シクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン);及び/又は、
−リン脂質(例えば、水添ダイズホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、L−α−ジミリストイルホスファチジルコリン、及びL−α−ジミリストイルホスファチジルグリセロール)
を含有する。
【0122】
好ましくは、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、マトリックス内に分子的に分散されている。
【0123】
好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、非結晶性マトリックス内に分子的に分散されている。
【0124】
別の好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、非アモルファスマトリックス内に分子的に分散されている。
【0125】
好ましくは、一般式(I)による薬理学的に活性な物質は、本発明による医薬剤形内に均質に分布している。容積がそれぞれ1.0mmである医薬剤形の2つのセグメントに含まれる一般式(I)による薬理学的に活性な物質の含有量は、好ましくは±10%を超えないで、より好ましくは±7.5%を超えないで、なおもより好ましくは±5.0%を超えないで、最も好ましくは±2.5%を超えないで、及びとりわけ±1.0%を超えないで互いに異なる。医薬剤形が、被包又はフィルムコーティングされる場合には、容積がそれぞれ1.0mmである前記医薬剤形の2つのセグメントは、好ましくはそれぞれコアセグメント、すなわち被包用媒体又はフィルムコーティングを何ら含有しないセグメントである。
【0126】
好ましくは、本発明による医薬剤形は、比較的均質な密度分布を特徴とする。好ましくは、容積がそれぞれ1.0mmである医薬剤形の2つのセグメントの密度は、±10%を超えないで、より好ましくは±7.5%を超えないで、なおもより好ましくは±5.0%を超えないで、最も好ましくは±2.5%を超えないで、及びとりわけ±1.0%を超えないで互いに異なる。医薬剤形が、被包される場合には、容積がそれぞれ1.0mmである前記医薬剤形の2つのセグメントは、好ましくはコアセグメント、すなわち被包用媒体又はフィルムコーティングを何ら含有しないセグメントである。
【0127】
好ましい実施形態では、医薬剤形は、界面活性剤をさらに含有する。
【0128】
本明細書の目的に照らせば、用語「界面活性剤」とは、少なくとも1つの疎水基、及び少なくとも1つの親水基を含有する任意の化合物を意味する。好ましくは、界面活性剤は、少なくとも1つの末端疎水基(尾部)、及び少なくとも1つの末端親水基(頭部)を含有する。
【0129】
疎水基は、炭化水素、アルキルエーテル、フルオロカーボン、及びシロキサン基からなる群より選択されるのが好ましい。
【0130】
好ましい実施形態では、界面活性剤は、少なくとも3個の炭素原子、より好ましくは少なくとも4個の炭素原子、なおもより好ましくは少なくとも6個の炭素原子、いっそうより好ましくは6〜30個の炭素原子、及び最も好ましくは8〜24個の炭素原子を含む、少なくとも1つの脂肪族基を含有する。脂肪族基は、飽和又は不飽和の、分岐状又は非分岐状(直線状)の、末端又は内部に位置する脂肪族基であり得る。
【0131】
好ましくは、界面活性剤は、飽和若しくは不飽和脂肪酸から、又は飽和若しくは不飽和脂肪アルコールから誘導可能な少なくとも1つの基を含有し、かかる基はエーテル、カルボン酸エステル、又は硫酸エステル基であるのが好ましい。好ましくは、飽和又は不飽和の脂肪酸又は脂肪アルコールは、少なくとも6個の炭素原子、いっそうより好ましくは6〜30個の炭素原子、及び最も好ましくは8〜24個の炭素原子を含有する。
【0132】
好ましい実施形態では、界面活性剤は、飽和又は不飽和脂肪酸、好ましくはC〜C30脂肪酸、より好ましくはC〜C24脂肪酸、及び最も好ましくはC12〜C22脂肪酸から誘導可能な少なくとも1つの基を含有する。適する脂肪酸の例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びリシノール酸が挙げられる。
【0133】
別の好ましい実施形態では、界面活性剤は、飽和又は不飽和脂肪アルコール、好ましくはC〜C30脂肪アルコール、より好ましくはC〜C24脂肪アルコール、及び最も好ましくはC12〜C22脂肪アルコールから誘導可能な少なくとも1つの基を含有する。適する脂肪アルコールの例として、セチルアルコール、ステアリルアルコール、2−オクチルドデカン−1−オール、及び2−ヘキシルデカン−1−オールが挙げられる。
【0134】
好ましくは、界面活性剤は、最大20,000g/mol、より好ましくは最大15,000g/mol、なおもより好ましくは最大10,000g/mol、いっそうより好ましくは最大5,000g/mol、なおいっそうより好ましくは最大4,000g/mol、最も好ましくは最大3,000g/mol、及びとりわけ100g/mol〜2,500g/molの範囲内の分子量を有する。
【0135】
好ましくは、界面活性剤は、マトリックス内に含まれ、同マトリックス内では一般式(I)による薬理学的に活性な物質が、好ましくは分子的に分散されている。
【0136】
好ましい実施形態では、一般式(I)による薬理学的に活性な物質及び界面活性剤は、マトリックスには、界面活性剤が存在しないが一般式(I)による薬理学的に活性な物質が存在するセグメント、又は一般式(I)による薬理学的に活性な物質が存在しないが界面活性剤が存在するセグメントのいずれも含まれないように、マトリックス中で緊密かつ均質に分布している。
【0137】
好ましい実施形態では、医薬剤形は界面活性剤を含有する。別の好ましい実施形態では、医薬剤形は、2つ以上の界面活性剤の混合物を含有する。
【0138】
好ましい実施形態では、界面活性剤はO/W乳化剤として作用する。別の好ましい実施形態では、界面活性剤は、W/O乳化剤として作用する。
【0139】
好ましくは、医薬剤形は、親水性親油性バランス(HLB)が少なくとも10又は少なくとも11である界面活性剤を含有する。より好ましくは、親水性親油性バランス(HLB)は少なくとも12又は少なくとも13である。最も好ましくは、親水性親油性バランス(HLB)は、14〜16の範囲内である。
【0140】
別の好ましい実施形態では、界面活性剤の親水性親油性バランス(HLB)は、少なくとも27、より好ましくは少なくとも29、なおもより好ましくは少なくとも31、いっそうより好ましくは少なくとも33、なおいっそうより好ましくは少なくとも35、最も好ましくは少なくとも37、及びとりわけ少なくとも39である。特に好ましいこのタイプの界面活性剤は、約40のHLB値を有するラウリル硫酸ナトリウムである。
【0141】
好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、10±3.5、より好ましくは10±3、なおもより好ましくは10±2.5、いっそうより好ましくは10±2、なおいっそうより好ましくは10±1.5、最も好ましくは10±1、及びとりわけ10±0.5の範囲内である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、12±3.5、より好ましくは12±3、なおもより好ましくは12±2.5、いっそうより好ましくは12±2、なおいっそうより好ましくは12±1.5、最も好ましくは12±1、及びとりわけ12±0.5の範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、14±3.5、より好ましくは14±3、なおもより好ましくは14±2.5、いっそうより好ましくは14±2、なおいっそうより好ましくは14±1.5、最も好ましくは14±1、及びとりわけ14±0.5の範囲内である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、15±3.5、より好ましくは15±3、なおもより好ましくは15±2.5、いっそうより好ましくは15±2、なおいっそうより好ましくは15±1.5、最も好ましくは15±1、及びとりわけ15±0.5の範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、16±3.5、より好ましくは16±3、なおもより好ましくは16±2.5、いっそうより好ましくは16±2、なおいっそうより好ましくは16±1.5、最も好ましくは16±1、及びとりわけ16±0.5の範囲内である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、18±3.5、より好ましくは18±3、なおもより好ましくは18±2.5、いっそうより好ましくは18±2、なおいっそうより好ましくは18±1.5、最も好ましくは18±1、及びとりわけ18±0.5の範囲内である。
【0142】
好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、30±3.5、より好ましくは30±3、なおもより好ましくは30±2.5、いっそうより好ましくは30±2、なおいっそうより好ましくは30±1.5、最も好ましくは30±1、及びとりわけ30±0.5の範囲内である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、32±3.5、より好ましくは32±3、なおもより好ましくは32±2.5、いっそうより好ましくは32±2、なおいっそうより好ましくは32±1.5、最も好ましくは32±1、及びとりわけ32±0.5の範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、34±3.5、より好ましくは34±3、なおもより好ましくは34±2.5、いっそうより好ましくは34±2、なおいっそうより好ましくは34±1.5、最も好ましくは34±1、及びとりわけ34±0.5の範囲内である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、36±3.5、より好ましくは36±3、なおもより好ましくは36±2.5、いっそうより好ましくは36±2、なおいっそうより好ましくは36±1.5、最も好ましくは36±1、及びとりわけ36±0.5の範囲内である。なおも別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、38±3.5、より好ましくは38±3、なおもより好ましくは38±2.5、いっそうより好ましくは38±2、なおいっそうより好ましくは38±1.5、最も好ましくは38±1、及びとりわけ38±0.5の範囲内である。別の好ましい実施形態では、界面活性剤のHLB値は、40±3.5、より好ましくは40±3、なおもより好ましくは40±2.5、いっそうより好ましくは40±2、なおいっそうより好ましくは40±1.5、最も好ましくは40±1、及びとりわけ40±0.5の範囲内である。
【0143】
界面活性剤は、イオン性、両性、又は非イオン性であり得る。
【0144】
好適な界面活性剤には、リン脂質、特にレシチン、例えばダイズレシチンが含まれる。
【0145】
好ましい実施形態では、医薬剤形はイオン性界面活性剤、とりわけ陰イオン性界面活性剤を含有する。
【0146】
適する陰イオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム、例えばTexapon(登録商標)K12)等の硫酸エステル、セチル硫酸ナトリウム(例えば、Lanette E(登録商標))、セチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(ドクサートナトリウム)、ジ−[2−エチルヘキシル]−スクシネート及びその対応するカリウム又はカルシウム塩が挙げられるが、但しこれらに限定されない。
【0147】
好ましくは、陰イオン性界面活性剤は、一般式(II−a)
2n+1O−SO(II−a)
を有し、
式中、nは8〜30、好ましくは10〜24、より好ましくは12〜18の整数であり、またMはLi、Na、K、NH4+、1/2Mg2+、及び1/2Ca2+より選択される。
【0148】
さらに適する陰イオン性界面活性剤として、グリココール酸ナトリウム(例えば、Konakion(登録商標)MM、Cernevit(登録商標))、タウロコール酸ナトリウムを含むコール酸の塩、及び対応するカリウム塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0149】
別の好ましい実施形態では、医薬剤形は非イオン性界面活性剤を含有する。適する非イオン性界面活性剤として下記のものが挙げられるが、但しこれらに限定されない:
−直鎖状であっても、また分岐状であってもよい脂肪アルコール、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、2−オクチルドデカン−1−オール、及び2−ヘキシルデカン−1−オール等;
−ステロール、例えばコレステロール等;
−ソルビタンの部分的な脂肪酸エステル、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、及びソルビタントリオレエート等;
−ポリオキシエチレンソルビタンの部分的な脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン−ソルビタン−脂肪酸エステル)、好ましくはポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸ジエステル、又はポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸トリエステル;例えば、モノ−及びトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリル、及びオレイルエステル、例えば「polysorbat」の名称で公知であり、Tween(登録商標)20[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート]、Tween(登録商標)21[ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート]、Tween(登録商標)40[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート]、Tween(登録商標)60[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート]、Tween(登録商標)65[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート]、Tween(登録商標)80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]、Tween81[ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート]、及びTween(登録商標)85[ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート]を含む商標名「Tween」として市販されているタイプ等;好ましくは、一般式(II−b)によるポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸モノエステル
【0150】
【化5】
式中、(w+x+y+z)は、15〜100、好ましくは16〜80、より好ましくは17〜60、なおもより好ましくは18〜40、及び最も好ましくは19〜21の範囲内であり、アルキレンは、6〜30個の炭素原子、より好ましくは8〜24個の炭素原子、及び最も好ましくは10〜16個の炭素原子を含む場合により不飽和のアルキレン基である;
−ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、例えばグリセロールのモノ−、ジ−、及びトリエステル、及び200〜4000g/molの範囲内の分子量を有するマクロゴールのジ−及びモノエステルからなる混合物等、例えばマクロゴールグリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールラウレート、マクロゴールグリセロールオココエート、マクロゴールグリセロールリノレート、マクロゴール−20−グリセロールモノステアレート、マクロゴール−6−グリセロールカプリロカプレート、マクロゴールグリセロールオレエート;マクロゴールグリセロールステアレート、マクロゴールグリセロールヒドロキシステアレート(例えば、Cremophor(登録商標)RH40)、及びマクロゴールグリセロールリジノレート(例えば、Cremophor(登録商標)EL);
−ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、好ましくは約8〜約18個の炭素原子を有する脂肪酸、例えばマクロゴールオレエート、マクロゴールステアレート、マクロゴール−15−ヒドロキシステアレート、商標名「Solutol HS15」として公知のタイプであり、市販されているような12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル等;好ましくは一般式(II−c)による:
CHCH−(OCHCH−O−CO−(CHCH(II−c)
式中、nは6〜500、好ましくは7〜250、より好ましくは8〜100、なおもより好ましくは9〜75、いっそうより好ましくは10〜50、なおいっそうより好ましくは11〜30、最も好ましくは12〜25、及びとりわけ13〜20の整数であり、またmは、6〜28、より好ましくは6〜26、なおもより好ましくは8〜24、いっそうより好ましくは10〜22、なおいっそうより好ましくは12〜20、最も好ましくは14〜18、及びとりわけ16の整数である;
−ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、例えばマクロゴールセチルステアリルエーテル、マクロゴールラウリルエーテル、マクロゴールオレイルエーテル、マクロゴールステアリルエーテル;
−ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー(ポロキサマー);
−サッカロースの脂肪酸エステル、例えばサッカロースジステアレート、サッカロースジオレエート、サッカロースジパルミテート、サッカロースモノステアレート、サッカロースモノオレエート、サッカロースモノパルミテート、サッカロースモノミリステート、及びサッカロースモノラウレート;
−ポリグリセロールの脂肪酸エステル、例えばポリグリセロールオレエート;
−α−トコフェニルコハク酸のポリオキシエチレンエステル、例えばD−α−トコフェニル−PEG−1000−スクシネート(TPGS);
−例えば商標名「Gelucire44/14」、「Gelucire50/13」、及び「Labrasol」として公知のタイプであり、市販されているようなポリグリコール化グリセリド;
−天然又は水添ひまし油とエチレンオキシドとの反応生成物、例えば商標名「Cremophor」として公知であり市販されている様々な液体界面活性剤等;及び
−グリセロール脂肪酸エステル等の多官能性アルコールの部分的な脂肪酸エステル、例えばモノ−及びトリ−ラウリル、パルミチル、ステアリル、及びオレイルエステル、例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート、例えば商標名「Peceol」として公知であり、市販されているグリセリルモノオレエート40;グリセロールジベヘネート、グリセロールジステアレート、グリセロールモノリノレート;エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノパルミトステアレート、ペンタエリトリトールモノステアレート。
【0151】
本発明による医薬剤形に含まれるこのクラスの特に好ましい界面活性剤は、親水性親油性バランス(HLB)が少なくとも10である非イオン性界面活性剤、特にHLB値が少なくとも12である非イオン性界面活性剤、より具体的にはHLB値が14〜16内である非イオン性界面活性剤である。このタイプの界面活性剤の例として、上記界面活性剤「Tween(登録商標)80」及び「Solutol(登録商標)HS15」が挙げられる。
【0152】
Solutol(登録商標)HS−15は、ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート及びポリエチレングリコールの混合物である。これは、約30℃で液体となり、HLBが約15の、室温で白色のペーストである。
【0153】
Tween(登録商標)80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート]は、室温で液体であり、375〜480mPa・sの粘度を有し、約15のHLBを有する。
【0154】
好ましい実施形態では、界面活性剤の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、少なくとも0.001重量%、又は少なくとも0.005重量%、より好ましくは少なくとも0.01重量%、又は少なくとも0.05重量%、なおもより好ましくは少なくとも0.1重量%、少なくとも0.2重量%、又は少なくとも0.3重量%、いっそうより好ましくは少なくとも0.4重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも0.6重量%、及びとりわけ少なくとも0.7重量%、少なくとも0.8重量%、少なくとも0.9重量%、又は少なくとも1.0重量%である。
【0155】
別の好ましい実施形態では、特に医薬剤形が被包されたコアを含有する場合には、界面活性剤の含有量は、コアを形成する組成物の全重量を基準として、少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも15重量%、なおもより好ましくは少なくとも20重量%、いっそうより好ましくは少なくとも25重量%、及びとりわけ少なくとも30重量%である。好ましい実施形態では、界面活性剤の含有量は、コアを形成する組成物の全重量を基準として、好ましくは0.1重量%〜95重量%、より好ましくは1重量%〜95重量%、なおもより好ましくは5重量%〜90重量%、いっそうより好ましくは10重量%〜80重量%、最も好ましくは20重量%〜70重量%、及びとりわけ30重量%〜75重量%の範囲である。
【0156】
別の好ましい実施形態では、特に医薬剤形が錠剤である場合に、界面活性剤の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、0.001重量%〜95重量%、より好ましくは0.01重量%〜50重量%、なおもより好ましくは0.1重量%〜20重量%、いっそうより好ましくは0.15重量%〜15重量%、最も好ましくは0.20重量%〜10重量%及びとりわけ0.25重量%〜5重量%の範囲である。好ましい実施形態では、界面活性剤の含有量は、医薬剤形の全重量を基準として、最大25重量%、より好ましくは最大20重量%、なおもより好ましくは最大15重量%、いっそうより好ましくは最大10重量%、及びとりわけ最大5重量%である。医薬剤形がコーティングされている場合には、「重量%」という表示は、コアを形成する組成物、すなわち、そのコーティングなしの医薬剤形の全重量あたりの界面活性剤の重量を表す。
【0157】
別の好ましい実施形態では、界面活性剤の含有量は、1.00±0.70重量%、より好ましくは1.00±0.60重量%、なおもより好ましくは1.00±0.50重量%、いっそうより好ましくは1.00±0.40重量%、さらにより好ましくは1.00±0.30重量、最も好ましくは1.00±0.20重量%及びとりわけ1.00±0.10重量%の範囲である。
【0158】
本発明による医薬剤形の好ましい実施形態A〜A20を下記の表にまとめる:
【0159】
【表2】
表中、
性質とは、成分の化学的性質を意味し;
含有量とは、剤形の全重量を基準として、重量%で表示した成分含有量を意味し;
は、一般式(I)による薬理学的に活性な物質、又はその生理学的に許容可能な塩を意味し;
は、一般式(I’)による薬理学的に活性な物質又はその生理学的に許容可能な塩を意味し;
は、(1r,4r)−6’−フルオロ−N,N−ジメチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン、又は(1r,4r)−6’−フルオロ−N−メチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン、又はその生理学的に許容可能な塩を意味し;
は、HLB値が少なくとも10である界面活性剤を意味し;
は、HLB値が少なくとも30である陰イオン性界面活性剤を意味し;
は、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム、例えばTexapon(登録商標)K12)、セチル硫酸ナトリウム(例えば、Lanette E(登録商標))、セチルステアリル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(ドクサートナトリウム)、コハク酸ジ−[2−エチルヘキシル]、およびこれらの対応するカリウムもしくはカルシウム塩からなる群から選択される陰イオン性界面活性剤を意味し、
は、ラウリル硫酸ナトリウムを意味する。
【0160】
例えば、上記表によれば、実施形態Aは、医薬剤形の全重量を基準として、一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質を、0.50±0.45重量%の量、および少なくとも10のHLB値を有する界面活性剤を2.75±2.50重量%の量で含有する、本発明による医薬品投与量に関する。
【0161】
特に好ましい実施形態では、
−医薬剤形は、HLB値が少なくとも10である界面活性剤を医薬剤形の全重量を基準として少なくとも0.001重量%の量で含有し;及び/又は
−医薬剤形は、経口投与用であり;及び/又は
−医薬剤形は、0.01%〜95%の薬理学的に活性な物質(A)を含有し;及び/又は
−医薬剤形は、0.1mg〜2,000mgの範囲内の重量を有し;及び/又は
−医薬剤形は、分子量が1,000g/mol〜1500万g/molの範囲内のポリマーを含有し;及び/又は
−医薬剤形は、錠剤であり;及び/又は
−医薬剤形は、湿式造粒または直接打錠により製造され;及び/又は
−医薬剤形は、10μg〜50μg、又は300μg〜500μgの用量で、一般式(I)による薬理学的に活性な物質を含有し;及び/又は
−医薬剤形は、Ph.Eur.に基づき、一般式(I)による薬理学的に活性な物質をin vitroで即時放出し;及び/又は
−tmaxが、0.5〜16時間の範囲内であり;及び/又は
−AUC0−t/用量の比が、0.5〜16.5時間/mの範囲内であり;及び/又は
−Cmax/用量の比が、0.06〜1.69m−3の範囲内である。
【0162】
好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は、錠剤、チュアブル錠、チューインガム、コート錠または散剤(場合によりカプセルに充填される)であるが、特に好ましくは錠剤である。
【0163】
別の好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は、多粒子形態(multi−particulate form)で、好ましくはマイクロ錠剤、マイクロカプセル、顆粒、小丸剤または活性物質結晶の形態で、特に好ましくはマイクロ錠剤、顆粒または小丸剤の形態で存在し、場合によりカプセルに充填されるか、または錠剤を形成するために圧縮される。
【0164】
特に好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形は、好ましくは6±3.0mm、より好ましくは6±2.5mm、さらにより好ましくは6±2.0mm、一層より好ましくは6±1.5mm、最も好ましくは6±1.0mm、特に6±0.5mmの直径を有する錠剤である。
【0165】
本発明の医薬剤形は、当業者に公知の慣用の抗付着剤(antiadherent)、結合剤、崩壊剤、増量剤、希釈剤、流動促進剤、滑剤および保存剤を含む薬学的な賦形剤を含み得る。
【0166】
医薬剤形に含まれ得る好適な抗付着剤はステアリン酸マグネシウムである。好ましい実施態様において、抗付着剤の含有量は、0.001〜5.0重量%の範囲内である。
【0167】
好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形はさらに結合剤を含む。好適な結合剤としてはゼラチン、セルロース、変性セルロース、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、スクロースおよびポリエチレングリコール;特に好ましくはポリビニルピロリドンおよび/または微結晶性セルロースが挙げられるが、これらに限定はされない。好ましい実施態様において、抗付着剤の含有量は、0.001〜30重量%、より好ましくは0.1〜25重量%の範囲内である。
【0168】
好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形はさらに、好ましくはセルロース、二リン酸カルシウム、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ソルビトールおよび炭酸カルシウムからなる群から選択されるがこれらに限定されない増量剤および/または希釈剤、特に好ましくは微結晶性セルロースおよびラクトースを含む。好ましい実施態様において、増量剤および/または希釈剤の含有量は、0.001〜90重量%、より好ましくは0.1〜80重量%、最も好ましくは10〜75重量%の範囲内である。
【0169】
好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形はさらに、滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびステアリンを含有する。好ましい実施態様において、滑剤の含有量は、0.001〜5.0重量%の範囲内である。
【0170】
好ましい実施態様において、本発明の医薬剤形はさらに、崩壊剤、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、架橋ポリビニルピロリドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを含む。好ましい実施態様において、崩壊剤の含有量は、0.001〜5.0重量%の範囲内である。
【0171】
医薬剤形はさらに、少なくとも1種の保存剤を含み得る。好適な保存剤には、酸化防止剤、例えば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、レチニルパルミテートおよびセレン;システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベンが含まれるが、これらに限定はされない。
【0172】
好ましい実施態様において、前記医薬剤形はさらにコーティング、特にポリマー系コーティング、より特にはポリビニルアルコール系コーティング、例えば「Opadry」の商標名で市販されているようなものを含む。
【0173】
好ましくは、前記コーティングは医薬剤形を湿気から保護するが、しかしながら、胃液には急速に溶解する。より好ましくは、コーティングされた剤形は、胃液において5分未満、より好ましくは最大4.5分、さらにより好ましくは最大4分、一層より好ましくは最大3.5分、さらにより好ましくは最大3分、最も好ましくは最大2.5分、特に最大2分の崩壊時間を有する。
【0174】
本発明の医薬剤形の製造のためには、種々の固体の補助物資および一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質を、好ましくは、均質化し、湿式、乾式もしくは融合造粒により処理して顆粒を形成し、そして圧縮して錠剤を形成させる。あるいは、これらは補助物質および一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質を直接打錠することにより製造される。
【0175】
好ましい実施態様において、医薬剤形は、一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質を含有する造粒流体からの、特に前記の薬理学的に活性な物質と界面活性剤を含有する水性の造粒流体からの湿式造粒により製造される。好ましくは、得られた造粒流体を次いで、圧縮性顆粒を得るために少なくとも1種の補助物質を含有する固体製剤上に塔頂噴霧(top−sprayed)または塔底噴霧(bottom−sprayed)し、場合によりこれは錠剤に圧縮する前に、さらなる補助物質と混合することができる。
【0176】
本発明のさらなる態様は、疼痛の治療において使用するための上記のような本発明による医薬剤形に関する。
【0177】
本発明のさらなる態様は、1日2回、1日1回、又はより低頻度で、好ましくは、本発明による医薬剤形を、それを必要としている対象に経口投与するステップを含む、疼痛を治療する方法に関する。
【0178】
好ましくは、疼痛は、急性、内臓性、神経因性、又は慢性の疼痛より選択される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.一般式(I)
【化6】
[式中、Rは−H若しくは−CHである]で表される薬理学的に活性な物質、又はその生理学的に許容可能な塩を含む、1日2回、1日1回又はより低頻度で投与するための医薬剤形。
2.Ph.Eur.に従って、一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質のin vitro即時放出をもたらす、上記1記載の医薬剤形。
3.錠剤である、上記1または2に記載の医薬剤形。
4.抗付着剤(antiadherent)、結合剤、崩壊剤、増量剤、希釈剤、流動促進剤、滑剤および保存剤からなる群から選択される1種またはそれ以上の薬学的な賦形剤をさらに含有する、上記1〜3のいずれか1つに記載の医薬剤形。
5.界面活性剤をさらに含む、上記1〜4のいずれか1つに記載の医薬剤形。
6.− 前記界面活性剤が少なくとも10のHLB値を有し、および/または
− 前記界面活性剤の含有量が、医薬剤形の全重量を基準として少なくとも0.001重量%である、
上記5記載の医薬剤形。
7.一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質および界面活性剤を含有する水性造粒流体からの湿式造粒により製造される、上記5または6に記載の医薬剤形。
8.前記界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンの部分的な脂肪酸エステルおよび硫酸エステルからなる群から選択される、上記5、6または7に記載の医薬剤形。
9.一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質が、一般式(I’)
【化7】
[式中、Rは上記1に定義されるとおりである]
で表される立体化学を有する、上記1〜8のいずれか1つに記載の医薬剤形。
10.一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質が、(1r,4r)−6’−フルオロ−N,N−ジメチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン、(1r,4r)−6’−フルオロ−N−メチル−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサン−1,1’−ピラノ[3,4,b]インドール]−4−アミン又はその生理学的に許容可能な塩である、上記1〜9のいずれか1つに記載の医薬剤形。
11.pH1.2での人工的な胃液900mL内のin vitro条件下で30分後に、医薬剤形に元々含まれていた一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質の全量を基準として、一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質の少なくとも80重量%を放出する、上記1〜10のいずれか1つに記載の医薬剤形。
12.一般式(I)で表される薬理学的に活性な物質を10μg〜50μgまたは300μg〜500μgの用量で含む、上記1〜11のいずれか1つに記載の医薬剤形。
13.− 薬物動態パラメーターtmaxが0.5〜16時間の範囲内であり;および/または− 薬物動態パラメータAUC0−t/用量の比が0.3〜20時間/mの範囲内であり;および/または
− 薬物動態パラメータCmax/用量の比が0.04〜2.00m−3の範囲内である、
上記1〜12のいずれか1つに記載の医薬剤形。
14.疼痛の治療に使用するための、上記1〜13のいずれか1つに記載の医薬剤形。
15.疼痛が、急性、内臓性、神経因性又は慢性の疼痛から選択される、上記14記載の医薬剤形。
【実施例】
【0179】
理論的な例:
本発明による医薬剤形の理論的な例を以下の表1に示す。その組成は代表的であるように意図されており、成分、その量、及び剤形を得る手順は変化し得ると理解すべきである。
【0180】
例えば、以下の実施例の成分は、本発明の実施例1による流動床造粒により剤形を処理するために、粒内および粒外成分、ならびに造粒溶液を形成させる成分に分けることができ;あるいは、これらは代替工程、例えば乾式造粒または直接圧縮によって処理することもできる。
【0181】
【表3】
【0182】
実際の例:
以下の例は、本発明についてさらに説明するが、その範囲を制限するものとはみなされない。
【0183】
実施例1:
医薬剤形を、以下の組成に従って流動床造粒により製造した:
【0184】
【表4】
Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102は、異なる平均粒度(50および100ミクロン)を有する微結晶性セルロースである。精製水が造粒流体の一部として使用されたが、造粒工程の間に除去された。
【0185】
基本的手順
流動床造粒工程のために、全ての粒内成分[ラクトース一水和物(200Mおよび100M)、Avicel(登録商標)PH101、クロスカルメロースナトリウム]を量り分けし、710ミクロンスクリーンを通して篩にかけ、5LのPharmatech shellへ入れた。材料をその後Pharmatech blenderを用いて25rpmで10分間混合した。ラウリル硫酸ナトリウムを600gの精製水に溶解することにより、造粒溶液を調製した。400gの対応する溶液を次いで、式(I’)で表される薬理学的に活性な物質(1,1−(3−メチルアミノ−3−フェニルペンタメチレン)−6−フルオロ−1,3,4,9−テトラヒドロピラノ[3,4−b]インドール(トランス))および結合剤(ポリビニルピロリドン)を溶解して薬剤懸濁液を形成させるために使用した。該薬剤懸濁液をDiosna minilab machineを用いて好適な速度で粒内物質上に塔頂噴霧することにより、圧縮性顆粒を得た。その後、該圧縮性顆粒を粒外成分(クロスカルメロースナトリウム、Avicel(登録商標)PH102、ステアリン酸マグネシウム)に添加し、混合した。次いで、錠剤への圧縮をシングルパンチのManesty F3圧縮機で6.00mm NCCP toolingを用いて行った。該錠剤をポリビニルアルコール系コーティング系OPADRY(登録商標)AMBによりコーティングした。
【0186】
用量50μgに関して、25℃および60%rhでの保管後、ならびに40℃および75%RHでの保管後の分解生成物6’−フルオロ−4−フェニル−4’,9’−ジヒドロ−3’H−スピロ[シクロヘキサ−3−エン−1,1’−ピラノ[3,4−b]インドール]の測定含有量は、6ヵ月後に0.1%未満であった。
【0187】
実施例2:
モルヒネ(60mg、制御放出形態)及びプラセボの場合と比較して、式(I’b)による化合物(遊離塩基の含有量を基準として200μg、400μg、及び600μg;マクロゴール400中の化合物(I’b)のヘミクエン酸経口溶液)を単回投与したときの鎮痛効果及び忍容性を確認するために、整形手術(バニオン切除術)後の急性術後疼痛を有する患者を対象に臨床試験を実施した。
【0188】
かかる目的で、男女の患者258例を、ランダム化、プラセボ対照、二重盲検治験に、並行群で割り付けた。投与群では、人口統計学及びベースライン特性に関して十分に均衡していたが、但しベースライン疼痛及び民族性に若干の不均衡が認められた。
【0189】
手術後、すべての患者は、最初に、膝窩ブロックによる術後局所麻酔を用いて治療を受けた。式(I’b)による化合物とモルヒネの反応速度は異なるので、わずかに時間をずらして2つの薬物のうちのいずれか一方又はプラセボにより、患者を治療した。
【0190】
膝窩ブロックを中止する1時間前に、患者をランダム化し、そして膝窩ブロックを中止した後2時間経過して患者の一部について、式(I’b)による化合物(200μg、400μg、又は600μg)又はプラセボを単回投与方式で投与し、もう一方には、モルヒネ又はプラセボを投与した。
【0191】
有効性の主要評価項目は、24時間に渡る絶対的な疼痛強度であった。疼痛強度は、11ポイント数値的評価スケール(NRS)を用いて測定した。各時点において、11ポイント数値的評価スケールに照らしてそのときの疼痛強度を評価するように、患者に教示した。スコアがゼロのとき、疼痛無しに該当し、またスコアが10のとき、考え得る最悪の疼痛を示す。スケジュール化された疼痛評価が欠損している患者では、最終観察の引き延ばし補完法(last observation carried forward:LOCF)により補完を行った。24時間を通じて得られた平均NRS値を図1に示す。
【0192】
異なる時間における疼痛強度の差異の合計を、治療及び部位及びベースライン疼痛強度スコア(疼痛強度NPRSスコアを利用)を要因として共分散分析(ANCOVA)モデルを用いて分析した。ベースライン疼痛強度が欠損していない被験者のみを対象とした。2〜10時間の分析の要約を表3に示す。得られたp値を表4にまとめる。
【0193】
【表5】
【0194】
【表6】
【0195】
したがって、主要なパラメータについて、化合物(I’b)を400μg又は600μgの用量で投与を受けた群とプラセボ群との間で統計的有意差を認めたが、化合物(I’b)を200μgの用量で投与を受けた群については統計的有意差を認めなかった。
【0196】
表5及び6は、5投与群において経験された治療下で発現した有害事象(TEAE(単数又は複数))を要約する。
【0197】
【表7】
【0198】
【表8】
【0199】
表5及び6から、4つの実薬治療すべては上記状況下で良好な忍容性を示すこと、及び最も頻繁に現れた有害事象は、μ−オピオイド受容体作動薬から予想され得るものと一致していることは明白である。化合物(I’b)で治療を受けた患者群の場合、有害事象発生率は用量と共に増加し、600μgの用量では、有害事象発生率は、モルヒネ患者群の発生率と同等である。
【0200】
実施例3:
経口単回投与後に、化合物(I’b)を400μgの用量強度で含む錠剤製剤の生物学的利用能を、マクロゴール400製剤中の化合物(I’b)のヘミクエン酸経口溶液(400μg、400μg/mL経口溶液)と比較して求めるために、臨床試験を実施した。ランダム化、非盲検、3方式交差、単一施設治験において、白人健常男性被験者24例を対象とした。主要な薬物動態パラメータは、AUC0−t、UC0−72h、及びCmaxであった。
【0201】
結果を表7〜9にまとめる。
【0202】
【表9】
【0203】
【表10】
【0204】
【表11】
【0205】
したがって、AUC0−72hに基づく400μg錠剤及び400μg/mL経口溶液の相対的な生物学的利用能は108%であり、生物学的同等性を評価するのに用いられる90%−CIは80%〜125%の範囲内であった。
【0206】
maxに基づく400μg錠剤及び400μg/mL経口溶液の相対的な生物学的利用能も108%であり、生物学的同等性を評価するのに用いられる90%−CIは80%〜125%の範囲内であった。
【0207】
化合物(I’b)を400μgで経口単回投与しても、ガレン製剤とは関係なく安全であり、良好な忍容性を示した。重篤な有害事象は生じなかった。
図1