【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
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【文献】
Transl. Oncol., 2013, Vol. 6, No. 3, pp. 319-328
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明者らは、本明細書において、無細胞核酸の分析に特異的であり、産業に利用可能な標準化された手順と適合する簡単かつ頑強かつ高感度かつ選択的な検出/定量につながる一「段階」分析法で定量PCR法を使用することを提唱する。無細胞核酸は、PCRを最適に使用した時に通常選択されるプライマーよって増幅される配列の長さ(100〜300bp)に一般的に対応する180bpのサイズまで強力に断片化されることが以前より知られていた。従って、定量されるDNAの濃度が(ゲノムの)増幅コピーの数に正比例するゲノムDNA分析とは異なり、Q-PCRによって決定される循環DNAの量はコピー数に比例しない。本発明者らの方法は、サイズの特異性および循環DNAの形態を考慮に入れている。これにより、2つの異なる配列の濃度を正確かつ直接的に比較することができ、別の配列に対する配列のパーセントを計算することもできる。体液試料中に存在する無細胞核酸のサイズプロファイルを決定することによって、本発明者らは、健康個体と高レベルのcfDNAを示す個体を識別することが可能なことを証明した。
【0028】
驚いたことに、本発明者らは、癌の経過観察および治療のために、一段階Q-PCR法を使用することによって3種類の重要なバイオマーカー:(1)無細胞核酸の特異的定量;(2)遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)の存在;および(3)アポトーシス率(「完全性指数」または「断片化率」とも呼ばれる)を同時に決定できることを証明した。
【0029】
本発明の方法は特に以下の利点を示す。
・分析に必要な時間を、特に、腫瘍生検材料の分析と比較して大幅に短縮する(解剖医学サービスの介入を必要としない)。
・生物学的試料のサンプリングおよび取り扱いを容易にする。
・到達不可能な腫瘍の非侵襲的分析を可能にする。
・2つの無視できない臨床パラメータ、すなわち、無細胞核酸の量およびアポトーシス率(断片化指数または完全性指数)を加える。これらの値は腫瘍成長と直接関係があるように思われる。
【0030】
本発明の応用分野は、
-親遺伝子の分析、
-臨床遺伝子分析(病態、例えば、癌など)、
-セラグノスティックス(theragnostics)、診断マーカー(すなわち、1つまたはいくつかの遺伝子の変異状況)の関数として療法の方向付けを可能にする治療戦略、
-民族起源の分析
-胎児cirDNA中の性別判定
-特定の生理学的状況の進展
などがあるが、これに限定されない無細胞核酸の検出の全ての利用に関する。
【0031】
前記のように、以前に述べられたEllinger et alのような文献中にはctDNAサイズパターンについて非常に多くの差違がある。ctDNAを研究し、ctDNAが主に小さなサイズのctDNAであることを述べているわずかな最近の報告は、小さなサイズがモノヌクレオソームサイズの周囲にあることを常に示している。このことは、約180bpの強いバンドおよび約360bpの弱いバンドと、時として、それより大きなサイズのスメアをはっきりと示したのに対して、180bp未満ではバンドは絶対に現れない様々なおよび非常に多くのゲル電気泳動分析に基づいている。
【0032】
本発明の説明において示されたようなctDNAサイズパターンに関する本発明者らのデータは、この結論とはっきりと食い違う。本発明者らは本発明者らの結論に確信を持っているので、実施例VIIIにおいて180bp未満のサイズの有意な量のDNAがゲルに存在することを証明する。
【0033】
結果として、かつ下記の実施例により証明されるように、ctDNAは、主に、180bpより小さなサイズのctDNA、特に、100bpより小さなサイズのctDNAであり得る。
【0034】
本発明によれば、本発明者らは、
-ctDNA分析の必須のパラメータとして、100bpより小さなサイズのctDNAの量または濃度を決定し、
-100bpより小さなサイズのctDNAを含む画分からのctDNAの量を、150〜400bpのサイズの画分または300bpまたは400bpより大きなサイズの画分と比較することを提唱する。
【0035】
従って、第1の局面において、本発明は、体液試料中の無細胞核酸を定量する方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程;
c)前記体液試料中の前記無細胞核酸の濃度または量を決定する工程であって、前記核酸は短いサイズ範囲にある核酸であり、100bp未満の長さを有し、好ましくは、40〜99bpに含まれる、工程
を含む、方法に関する。
【0036】
「ほぼ」とは、本明細書では規定された値の±10%を意味することが意図される。
【0037】
好ましい態様において、本発明の方法は、100bp未満のサイズのcf核酸の濃度/量を決定するために実施される。
【0038】
好ましい態様において、工程c)は、PCR法を実行する方法によって実施され、<100bpのサイズの核酸の量/濃度は、<100bp、好ましくは<80bpのDNA領域を増幅するプライマーセットを使用することによって決定される。
【0039】
好ましい態様において、工程c)において、<100bpのcf核酸サイズ画分の量/濃度は、異なるサイズのアンプリコンを検出する2組のプライマー対を使用することによって決定された量/濃度の差違を計算することによって決定され、2つのうちの一方または両方が<100bpである。
【0040】
別の局面において、本発明は、本発明による体液中の無細胞核酸を定量する方法によって得られたサイズ画分の濃度/量を比較することによって、cf核酸の断片化指数を計算するための方法に関する。
【0041】
好ましい態様において、本発明は、体液試料中の無細胞核酸の特定のサイズプロファイルを決定するための方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程
c)-少なくとも、100bp未満、好ましくは40〜99bpに含まれる長さを有する短い核酸の濃度もしくは量を決定する工程、および
-少なくとも、100bp超、好ましくは145bp〜450bpに含まれる長さを有する長い核酸の濃度もしくは量を決定する工程
によって、前記体液試料中の前記無細胞核酸の特定のサイズプロファイルを決定する工程、または
特定のサイズ範囲のcfDNAの比率(比)を決定する工程
を含む、方法に関する。
【0042】
「特定のサイズ範囲のcfDNAの比率(比)を決定する工程」とは、例えば、100bp未満、好ましくは40〜99bpに含まれる長さを有する無細胞核酸の濃度もしくは量と、100bp超、好ましくは145〜450bpに含まれる長さを有する無細胞核酸の濃度もしくは量の比、または逆比を決定する工程を指定することが意図される。
【0043】
より好ましくは、本発明の方法によって定量されることが望ましい前記無細胞核酸は、常染色体からの(または常染色体に由来する)cf核酸である。
【0044】
常染色体からの無細胞核酸とは、性染色体からではない、または性染色体に由来しない核酸を指定することが意図される。
【0045】
好ましい態様において、本発明は、体液試料中の無細胞核酸を定量する方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程
c)-100bp未満、好ましくは40〜99bpに含まれる長さを有する短い核酸の濃度もしくは量を決定する工程、および/または、好ましくは
-145bp〜450bpに含まれる長さを有する長い核酸の濃度もしくは量を決定する工程
によって、前記体液試料中の前記無細胞核酸の濃度または量を決定する工程
を含む、方法に関する。
【0046】
本発明者らは、cfNA、特に循環DNA(「ctDNA」)が正常レベルより高いレベルで放出され、100bp未満の長さの割合が高く、250〜400bpの範囲の長さの割合がかなり低い時に、無細胞核酸(「cfNA」)サイズプロファイルが特異的であることを証明した。これらの特徴は本発明の一部をなす。
【0047】
好ましい態様において、前記無細胞核酸は、無細胞DNA(cfDNA)、無細胞RNA、無細胞siRNA、または無細胞miRNAからなる群より選択される。
【0048】
本発明において、「アポトーシス率」、「DNA断片化指数」、および「完全性指数」という言葉は同じ意味を有する。DNA断片化レベルは完全性指数レベルの逆数である。
【0049】
本発明の方法の好ましい態様において、前記無細胞核酸は循環核酸である。
【0050】
本発明は、本発明による体液試料中の無細胞核酸を定量する方法であって、以下の2つの工程:
c)i)100bp未満の、好ましくは40〜99bpに含まれる長さを有する短い核酸の濃度または量を決定する工程;および
c)ii)-145bp〜450bpに含まれる長さを有する長い核酸の濃度または量を決定する工程
を含む、方法に関する。
【0051】
前記長い無細胞核酸が前記短い無細胞核酸を部分的または完全に含むことが好ましい。
【0052】
別の局面において、本発明は、体液試料中の無細胞核酸の完全性指数を決定するための方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程
c)前記体液試料中の無細胞核酸の完全性指数を決定する工程であって、前記完全性指数は、「長い」サイズ範囲の無細胞核酸の濃度または量と「短い」サイズ範囲の無細胞核酸の濃度または量との比として計算され、前記濃度は、本発明による体液試料中の無細胞核酸を定量する方法によって決定され、前記短いサイズ範囲の核酸は100bp未満の長さを有し、前記長いサイズ範囲は180bp〜450bpに含まれる、工程
を含む、方法を含む。
【0053】
DNA完全性指数(DII)/DNA サイズ画分比(SFR)
本発明によれば、本発明者らは、100bpより小さなctDNAサイズの量を初めて考慮に入れた新しいDNA完全性指数の計算を提供したい。本発明者らはまた、計算において、特定のサイズ範囲、例えば、200〜450を有するctDNAの量と60bp〜100bpまたは43〜100bpのctDNAサイズの量との比をさらに含めたDNA サイズ画分比(SFR)の計算を初めて提供したい。完全性指数(短い長さより長いcf核酸の量に対する、長い長さより長いcf核酸の量に相当する)およびSFR(2つのサイズ画分の比に相当する)は両方とも核酸断片化指数である。
【0054】
従って、完全性指数は、特定のサイズより大きなサイズのctDNAもしくは小さなサイズのctDNAまたは特定のサイズ範囲に含まれるctDNAの量と、別の特定のサイズより大きなもしくは小さなサイズのctDNAまたは別の特定のサイズ範囲に含まれるctDNAの量、あるいは総ctDNAとの比を決定することによって、例えば、180〜200bpより大きなサイズのctDNAの量と、できるだけ100bpより小さなサイズのctDNAの量との比を決定することによって計算することができる。
【0055】
300bpアンプリコンおよび60bpアンプリコンの検出を用いることによって決定される量の比を決定する工程は、得られる値が、60bpより大きなctDNAの量からの300bpより大きなctDNAの量の%に相当するものとして、この考えを考慮に入れてもよい。
【0056】
本発明において、DNA完全性指数(DII)とは、100bpより小さなサイズのctDNAの量を考慮に入れた新たなDNA完全性指数の計算を指定することが意図される。
【0057】
下記の実施例XI〜XVにおいて、本発明者らは、200bpより大きなサイズのctDNAの量と、60bp〜100bpまたは43〜100bpのサイズのctDNAの量との比を計算することによって、この新たなDNA完全性指数計算またはDNA サイズ画分比(SFR)を決定した。できるだけ100bpより小さなサイズのctDNAの量を決定する、この新たな計算によって、ctDNA断片化レベルをより正確に評価することが可能になる。これは、特に、癌患者血漿と健康個体を区別する場合にさらに正確である。
【0058】
このような新たなDNA完全性指数の計算またはDNAサイズ画分比(SFR)の計算は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行しない方法、例えば、キャピラリーゾーン電気泳動、チップベースキャピラリー電気泳動もしくは質量分析、またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する方法、例えば、定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)法によって本発明において実施することができる。
【0059】
Q-PCRなどのPCRが実行される時、Xbpを有するアンプリコンの検出は、実際には、Xbpを超える、またはXbpに等しいサイズを有するctDNA断片の全てを定量することに相当する。
【0060】
同様に、Q-PCRなどのPCRが実行される時、Xbpを有するアンプリコンの検出は、実際には、Xbpを超える、またはXbpに等しいサイズを有するctDNA断片の全てを定量することに相当する。
【0061】
Q-PCRが実行される時、100bp未満のサイズを有するアンプリコンの検出は、実際には、このサイズを超える、またはこのサイズに等しいサイズを有するctDNA断片の全てを定量することに相当する。結果として、100bp未満のサイズを有するこれらのアンプリコンは総ctDNAの定量において考慮に入れなければならない。
【0062】
例えば、Q-PCRが実行される時、60bpに等しいサイズを有するアンプリコンの検出は、実際には、60bpを超える、または60bpに等しいサイズを有するctDNA断片の全てを定量することに相当し、ctDNAの最大濃度/定量に相当する。
【0063】
別の局面において、本発明は、体液試料中の無細胞核酸の前記DNA サイズ画分比(SFR)を決定するための方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程
c)無細胞核酸のサイズ画分比(SFR)を決定する工程であって、前記SFRは、特定のサイズまたは特定のサイズ範囲を有するctDNAの量と別の特定のサイズまたは特定のサイズ範囲を有するctDNAの量との比として計算される、工程
を含む、方法に関する。
【0064】
別の局面において、本発明は、体液試料中の無細胞核酸の前記DNA 完全性指数(DII)の新たな計算またはDNAサイズ画分比(SFR)を決定するための方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程、
c)無細胞核酸のDIIまたはサイズ画分比(SFR)を決定する工程であって、前記DIIまたはSFRは、200bpより大きなサイズのctDNAの量と60bp〜100bpまたは43〜100bpまたは60〜145bpのサイズのctDNAの量との比として計算される、工程
を含む、方法に関する。
【0065】
本発明の体液試料中の無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定するための方法の好ましい態様において、前記長いサイズ範囲の無細胞核酸は前記短いサイズ範囲の無細胞核酸を部分的または完全に含む。
【0066】
本発明の完全性指数またはSFRを決定する方法の好ましい態様において、前記長いサイズ範囲は250bp〜350bpに含まれ、前記短いサイズ範囲は50bp〜99bpに含まれる。
【0067】
本発明の方法の好ましい態様において、無細胞核酸の濃度または無細胞核酸の完全性指数もしくはSFRは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行しない方法、例えば、キャピラリーゾーン電気泳動、チップベースキャピラリー電気泳動、または質量分析によって決定される。
【0068】
このような方法は当業者から周知である (例えば、「Comparisons between capillary zone electrophoresis and real-time PCR for quantification of circulating DNA levels in human sera」, Fuming Sang et al., Journal of Chromatography B Volume 838, Issue 2, 11 July 2006, Pages 122-128; 「Prenatal diagnosis of -thalassemia by chip-based capillary electrophoresis」, Hua Hu et al, Prenatal Diagnosis, Volume 28 Issue 3, Pages 222-229, 2008を参照されたい)。
【0069】
本発明の方法のより好ましい態様において、無細胞核酸の濃度または無細胞核酸の完全性指数もしくはSFRは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する方法によって決定される。
【0070】
このより好ましい態様において、PCR法は、定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)法からなる群より選択される。
【0071】
PCRまたはQ-PCR法は、当業者から周知の標準的な方法である。
【0072】
特定のPCRまたはQ-PCR法の中で、特に、「アレル特異的PCR」法、「アレル特異的Q-PCR」法、または「ブロッカーオリゴヌクレオチドを用いたアレル特異的Q-PCR」法を引用することができる。
【0073】
従って、無細胞核酸の濃度がポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する方法によって決定される時、本発明はまた、体液試料中の無細胞核酸を定量する方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程
c)-前記体液試料中の無細胞核酸から短い増幅断片の濃度を決定する工程であって、前記短い核酸断片は100bp未満、好ましくは40〜99bpに含まれる長さを有する、工程、および/または
-前記体液試料中の無細胞核酸から長い増幅断片の濃度または量を決定する工程であって、前記長い断片は、100bpを超える、または100bpに等しい、好ましくは145bp〜450bpに含まれる長さを有する、工程
を含む、方法に関する。
【0074】
好ましい態様において、前記工程c)は、
c)<100bpの断片の増幅から得られた値から、>100bpの断片の増幅から得られた値を差し引くことによって、好ましくは60〜99bp範囲の断片の増幅から得られた値から、100〜145bp範囲の断片の増幅から得られた値を差し引くことによって、前記体液試料中の無細胞核酸の量を決定する工程
である。
【0075】
より好ましくは、無細胞核酸からの前記短い増幅断片は、55〜65bpに含まれる長さを有し、ほぼ60bp(60bp±6bp)が最も好ましい。
【0076】
本発明が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する方法によって本発明による体液試料中の無細胞核酸を定量する方法である場合、以下の2つの工程:
c)i)短い増幅断片の濃度または量を決定する工程;および
c)ii)-長い増幅断片の濃度または量を決定する工程
を含む。前記長い増幅断片は短い断片を部分的または完全に含むことが好ましい。
【0077】
同じ局面において、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実行する方法によって無細胞核酸の完全性指数またはSFRが決定される時、本発明はまた、体液試料中の無細胞核酸の完全性指数を決定するための方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程
c)前記体液試料中の無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定する工程であって、前記完全性指数またはSFRは、前記無細胞核酸からの長い増幅断片および短い増幅断片の濃度の比として計算され、前記短い断片は100bp未満の長さを有し、前記長い増幅断片は180bp〜450bpに含まれる、工程
を含む、方法に関する。
【0078】
ポリメラーゼ連鎖反応PCRを実行する本発明の完全性指数またはSFRを決定するための方法の好ましい態様において、前記長い増幅断片は250bp〜350bpに含まれ、前記短い増幅断片は50bp〜99bpに含まれる。
【0079】
体液試料中の無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定するための本発明による方法の好ましい態様において、前記長い増幅断片は短い断片を部分的または完全に含む。
【0080】
本発明の完全性指数またはSFRを決定するための方法のより好ましい態様において、前記長い増幅断片は前記短い断片を部分的または完全に含む。
【0081】
別の局面において、本発明は、遺伝子多型、例えば、変異またはSNPを検出するための方法であって、
a)関心対象の対象を特定する工程;
b)前記対象から体液を入手する工程、
c)前記体液試料中の無細胞核酸から短い増幅断片の濃度を決定する工程であって、増幅された前記無細胞核酸の短い断片は、検出される前記遺伝子多型を含有し、前記増幅された無細胞核酸の短い断片は、100bp未満、好ましくは40〜99bpに含まれる長さを有する、工程
を含む、方法を含む。より好ましくは、検出される前記遺伝子多型を含有する前記短い増幅断片は、55〜65bpに含まれる長さを有し、ほぼ60bpが最も好ましい。
【0082】
好ましい態様において、本発明は、無細胞核酸にある遺伝子多型の存在を定性検出するための方法であって、
a)体液試料中の無細胞核酸の濃度または量を決定する工程;
b)以下のパラメータおよび以下の工程:
-一方でA1A2および他方でB1B2が2種類の短い配列を代表するものであり;
-A1A2およびB1B2の配列の長さが50〜100bpであり、長さが+/-20%異なるものとし;
-A1A2またはB1B2のいずれかが遺伝子多型を含み;
-C
B1B2が短い断片B1B2の検出による抽出核酸の初期濃度測定値であり、C
A1A2が短い断片A1A2の検出による抽出核酸の初期濃度測定値だとすると、
i)%C
B1B2/C
A1A2を計算する工程であって、B1B2は、遺伝子多型を含有する配列と定義される、工程;または
ii)%C
A1A2/C
B1B2を計算する工程であって、A1A2は、遺伝子多型を含有する配列と定義される、工程
を統合することによって、遺伝子多型の存在の定性検出を決定する工程、
任意で、%C
B1B2/C
A1A2または%C
A1A2/C
B1B2が、遺伝子多型の存在の定性検出にとって有意な特定の閾値より大きいことを確かめる工程
を含む、方法に関する。
【0083】
好ましくは、工程ii)において、同一の%は変異cf核酸断片の定量検出である。
【0084】
好ましい態様において、本発明は、無細胞核酸にある遺伝子多型の存在を定性検出するための方法であって、以下:
a)本発明による無細胞核酸を定量する方法によって、体液試料中の無細胞核酸の濃度または量を決定する工程であって、無細胞核酸の濃度または量はPCRを実行する方法によって決定される、工程;
b)以下のパラメータおよび以下の工程:
-一方でA1A2および他方でB1B2が2種類の短い増幅配列を代表するものであり;
-A1A2およびB1B2の配列の長さが50〜100bpであり、長さが+/-20%異なるものとし;
-A1A2またはB1B2のいずれかが遺伝子多型を含み;
-C
B1B2が短い増幅断片B1B2の検出による抽出核酸の初期濃度測定値であり、C
A1A2が短い増幅断片A1A2の検出による抽出核酸の初期濃度測定値だとすると、
i)%C
B1B2/C
A1A2を計算する工程であって、B1B2は、遺伝子多型を含有するアンプリコン配列と定義される、工程;または
ii)%C
A1A2/C
B1B2を計算する工程であって、A1A2は、遺伝子多型を含有するアンプリコン配列と定義される、工程
を統合することによって、遺伝子多型の存在の定性検出を決定する工程、
任意で、%C
B1B2/C
A1A2または%C
A1A2/C
B1B2が、遺伝子多型の存在の定性検出にとって有意な特定の閾値より大きいことを確かめる工程
を含む、方法に関する。
【0085】
好ましくは、工程ii)において、同一の%は変異cf核酸断片の定量検出である。
【0086】
好ましい態様において、便利な数の既知試料を用いて、それぞれの変異について正の閾値が決定される。より好ましくは、正の閾値は、少なくとも2%、5%、7%、8%、9%、10%、12.5%、15%である。
【0087】
本発明による無細胞核酸にある遺伝子多型の存在を定性検出するための方法も本発明の一部をなす。ここで、コード鎖にある関心対象の遺伝子多型に対応する核酸は、位置B1またはA2で開始するプライマーの3'末端に位置し、PCRを実行する方法はアレル特異的PCRである。
【0088】
好ましい態様において、検出される前記遺伝子多型は、遺伝性遺伝子多型または体細胞性遺伝子多型である。
【0089】
遺伝子多型とは、特に、
-個体または民族集団を識別することができる遺伝子多型、
-生物学的機能に影響を及ぼす非コード領域にある遺伝子多型、
-RNAエディティングなどの転写後修飾による遺伝子多型、または
-タンパク質配列の修飾を意味する変異などのコード領域にある遺伝子多型
を指定することが意図されるが、これに限定されない。
【0090】
これらの遺伝子多型の中で、病態もしくは生理学的状況に関連した遺伝子多型、または核酸、特に、核酸配列のエキソン領域、イントロン領域、もしくは非コード領域にある特定の遺伝子多型からなる群より選択される核酸の遺伝子多型が好ましい。
【0091】
本発明には、好ましくは、体液試料中の前記無細胞核酸にある遺伝子多型を検出するために、および無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定するために、PCR、特に、Q-PCRを実行する方法も含まれる。前記方法は、
-前記無細胞核酸にある本発明による遺伝子多型を検出するための方法を実行する工程;および
-前記無細胞核酸の完全性指数を決定するために、本発明による方法を実行する工程
を含む。
【0092】
好ましい態様において、前記方法は、体液試料中の無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定するために、本発明の方法を実行する工程を含む。前記方法において、
-前記長い増幅断片は、短い非変異断片、および検出される前記遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を含有する短い変異断片を含み、
-前記長い増幅断片は250bp〜350bpに含まれ、前記短い増幅断片は100bp未満であり、好ましくは、50bp〜99bpに含まれる。
【0093】
より好ましくは、前記増幅変異断片および非変異断片は、55〜65bpに含まれる長さを有し、ほぼ60bpが最も好ましい。
【0094】
より好ましくは、体液試料中の無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定するための方法において、前記長い増幅断片は2種類の短い断片を部分的または完全に含み、短い増幅断片の一方は遺伝子多型を含有する。
【0095】
断片を部分的に含むとは、長い断片が、参照された短い断片の少なくとも10個の連続したbp、より好ましくは15、20、25、30、35、または40個の連続したbpを含有することを本明細書において指定することが意図される。
【0096】
また、本発明の方法の好ましい態様において、変異cf核酸断片および/または非変異cf核酸断片について、前記無細胞核酸の前記cf核酸断片の濃度が計算される。
【0097】
変異断片および非変異断片とはそれぞれ、本発明の方法において検出することが望ましい遺伝子多型を示す断片および遺伝子多型を示さない断片を本明細書において指定することが意図される。
【0098】
本発明の前記方法の好ましい態様において、短い変異断片および/または短い非変異断片について、長い断片および短い断片の濃度の比が計算される。
【0099】
特定の態様において、本発明の方法は、特定の遺伝子多型を示す無細胞核酸断片の濃度を決定する工程をさらに含む。前記断片は、規定された長さを有する遺伝子多型を示し、前記濃度は非変異断片の濃度と比較され、前記非変異断片は変異断片とほぼ同じ長さを有し、好ましくは、変異増幅断片または非変異増幅断片の長さは長さが+20%または-20%類似してもよい。
【0100】
また、本発明の特定の遺伝子多型を検出するための方法の好ましい態様において、前記方法は、
-無細胞核酸抽出物中にある非変異断片および変異断片の濃度を決定する工程;ならびに
-得られた、または得られなかった短い非変異断片に対する短い変異断片の量のパーセントを計算する工程であって、前記パーセント計算値が前記遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)に関連した閾値より大きい場合に、対象が前記遺伝子多型を有するとみなされる、工程
をさらに含む。
【0101】
また、本発明の方法の好ましい態様において、前記方法が、体液試料中の前記無細胞核酸にある遺伝子多型を検出するためにPCR、特に、Q-PCRを実行する場合、増幅変異断片および/または増幅非変異断片について、前記無細胞核酸の前記増幅断片の濃度が計算される。
【0102】
変異断片および非変異断片とはそれぞれ、本発明の方法において検出することが望ましい遺伝子多型を示す断片および遺伝子多型を示さない断片を本明細書において指定することが意図される。
【0103】
本発明の前記方法の好ましい態様において、短い増幅変異断片および/または短い増幅非変異断片について、長い増幅断片の濃度および短い増幅断片の濃度の比が計算される。
【0104】
特定の態様において、本発明の方法は、特定の遺伝子多型を示す無細胞核酸の増幅断片の濃度を決定する工程をさらに含む。前記増幅断片は、規定された長さを有する遺伝子多型を示し、前記濃度は、無細胞核酸の非変異増幅断片の濃度と比較され、前記非変異断片は変異断片とほぼ同じ長さを有し、好ましくは、変異増幅断片または非変異増幅断片の長さは長さが+20%または-20%類似してもよい。
【0105】
また、実行する本発明の特定の遺伝子多型を検出するための方法の好ましい態様において、前記方法は、
-無細胞核酸抽出物中にある増幅非変異断片および増幅変異断片の濃度を決定する工程;ならびに
-得られた、または得られなかった短い増幅非変異断片に対する短い増幅変異断片の量のパーセントを計算する工程であって、前記パーセント計算値が前記遺伝子多型に関連した閾値より大きい場合に、対象が前記遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を有するとみなされる、工程
をさらに含む。
【0106】
特に好ましい別の局面において、本発明は、個体における無細胞核酸、特に、循環DNAを分析するための方法であって、
a)定量リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Q-PCR)を実行する方法によって、本発明による前記無細胞核酸を定量する工程;および
b)Q-PCRを実行する方法によって、本発明による前記無細胞核酸の完全性指数を決定する工程;および
c)Q-PCRを実行する方法によって、本発明による前記無細胞核酸にある遺伝子多型の存在を検出する工程
を含む、方法に関する。
【0107】
好ましい態様において、前記核酸は、腫瘍関連遺伝子変化を有する核酸である。
【0108】
以下:
-腫瘍関連遺伝子変化、好ましくは、CRC関連遺伝子変化を有するRASファミリー遺伝子、好ましくは、KRASまたはNRAS;および
-BRAF遺伝子
からなる群より選択される核酸がより好ましい。
【0109】
体液試料とは、全血、血清、血漿、尿、痰、結腸流出液、骨髄、リンパ液、脳脊髄液、涙液、汗、乳、糞便、気管支洗浄液、および腹水からなる群より選択される体液を指定することが意図され、かつ好ましい。
【0110】
好ましい態様において、体液試料は、血漿および血清からなる群より選択される血液試料である。
【0111】
また、本発明の方法の好ましい態様において、前記無細胞核酸は、内因性無細胞核酸または外因性無細胞核酸、特に、ウイルス、細菌、真菌、胎児、および異種移植片に由来する無細胞核酸からなる群より選択される外因性無細胞核酸の群より選択される。
【0112】
関心対象の対象からの内因性無細胞核酸の中で、前記関心対象の対象は、疾患に罹患している対象、または疾患を発症するリスクのある対象、または生理学的状況もしくは生理学的状態を示す対象であることが好ましい。
【0113】
好ましい態様において、前記疾患は癌であり、より好ましくは、結腸直腸癌、肺癌、乳癌、前立腺癌、婦人科癌、頭頚部癌、甲状腺癌、膵臓癌、肝臓癌、または造血癌の群より選択される癌であるが、これに限定されない。
【0114】
また、好ましい態様において、前記癌は転移癌である。
【0115】
別の局面において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿)から癌患者の体液(好ましくは、血漿)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズは50〜100bpの範囲内にあり、かつcfDNAのサイズは101bp超である、工程;
b)2種類の体液試料のそれぞれについて、これらの2種類の断片範囲のレベル間で得られた比を比較する工程であって、<1、好ましくは<0.75の長いサイズ範囲/短いサイズ範囲の比が腫瘍の存在を示す、工程
を含む、方法に関する。
【0116】
本発明は、個体の体液(好ましくは、血漿)試料が癌患者からのものなのか、または健康個体からのものなのか特定する方法であって、
a)本発明の方法によって、体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズは50〜100bpの範囲内にあり、かつcfDNAのサイズは101bp超である、工程;
b)前記体液試料について、これらの2種類の断片間で得られた比を計算する工程であって、<1、好ましくは<0.75の長いサイズ範囲/短いサイズ範囲の比が腫瘍の存在を示す、工程
を含む、方法に関する。
【0117】
好ましい態様において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿または血清)から、癌患者の体液(好ましくは、血漿または血清)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズが50〜100bpの範囲内であり、かつcfDNAのサイズが100〜145bpの範囲内であり、好ましくは、73〜99bpの範囲内であり、かつcfDNAのサイズが100〜120bpの範囲内である、工程;
b)2種類の体液試料のそれぞれについて、これらの2種類の断片範囲のレベル間で得られた比を比較する工程であって、<1、好ましくは<0.5の長いサイズ範囲/短いサイズ範囲の比が腫瘍の存在を示す、工程
を含む方法に関する。
【0118】
別の局面において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿または血清)から、癌患者の体液(好ましくは、血漿または血清)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズが<249bpであり、かつcfDNAのサイズが>249bpであり、好ましくは、cfDNAのサイズが<100bpであり、かつcfDNAのサイズが249〜409bpの範囲内であり、より好ましくは、73〜100bpの範囲内であり、かつcfDNAのサイズが300〜357bpの範囲内である、工程;
b)2種類の体液試料のそれぞれについて、これらの2種類の断片間で得られた比を比較する工程であって、<0.5、好ましくは<0.1の長いサイズ範囲/短いサイズ範囲の比が腫瘍の存在を示す、工程
を含む方法に関する。
【0119】
別の局面において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿または血清)から、癌患者の体液(好ましくは、血漿または血清)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNAを定量する工程であって、それぞれの体液試料について濃度が決定されるcfDNA断片が180bp超の長さの長い断片および100bp未満の長さの短い断片である、工程;
b)2種類の体液試料のそれぞれについて、これらの2種類の断片濃度間で得られた比を比較する工程であって、<0.4、好ましくは<0.1の長い/短い比が腫瘍の存在を示す、工程
を含む、方法に関する。
【0120】
別の局面において、PCR、特に、Q-PCRが実行される時、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿または血清)から、癌患者の体液(好ましくは、血漿または血清)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNAを定量する工程であって、それぞれの体液試料について濃度が決定される増幅断片が180bp超の長さの長い断片および100bp未満の長さの短い断片である、工程;
b)2種類の体液試料のそれぞれについて、これらの2種類の断片濃度間で得られた比を比較する工程であって、<0.4、好ましくは<0.1の長い/短い比が腫瘍の存在を示す、工程
を含む、方法に関する。
【0121】
別の局面において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿)から癌患者の体液(好ましくは、血漿)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズが>145bpである、工程;
b)cfDNA総量から得られたcfDNA量のパーセントを計算する工程であって、%が20%より小さく、好ましくは%が腫瘍の存在を示す、工程
を含む、方法に関する。
【0122】
別の局面において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿)から、cfDNAが高度に放出されている個体、例えば、癌患者からの体液(好ましくは、血漿)を特定または分析する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズ範囲が60〜80bp、100〜145bp、および180〜400bpである、工程;
b)健康個体と非健康個体との間で得られた3種類の定量レベルを直接比較する工程
を含む、方法に関する。
【0123】
本発明者らは、濃度/量を決定することができるcfDNAサイズの範囲は3種類あり、この濃度/量によって、健康対象からのcfDNAと、cfDNAが高度に放出されている個体、例えば、癌患者からのcfDNAを特定、分析、または識別できることを発見した。サイズ範囲は60〜80bp、100〜145bp、および180〜400bpである。特定の生理学的状況の診断、予後、セラグノスティック、または進展は、cfDNAサイズプロファイルを比較することによって、好ましくは、ほぼ70bpの断片、ほぼ100bpの断片、およびほぼ300bpの断片を標的とした時に得られた少なくとも3種類の濃度値を組み合わせることによって、好ましくは、ロジスティック(対数)関数において、これらを組み合わせることによって評価することができる。
【0124】
従って、別の局面において、本発明は、健康個体からの体液(好ましくは、血漿)から、cfDNAが高度に放出されている個体、例えば、癌患者からの体液(好ましくは、血漿)を識別する方法であって、
a)本発明の方法によって2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であり、cfDNAのサイズ範囲が60〜80bp、100〜145bp、および180〜400bpである、工程;
b)ロジスティック関数におけるパラメータとして、これらの3種類の値を用いることによって、サイズプロファイルを決定する工程
を含む、方法に関する。
【0125】
同じ局面において、本発明はまた、健康個体からの体液(好ましくは、血漿)から、cfDNAが高度に放出されている個体、例えば、癌患者からの体液(好ましくは、血漿)を識別する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAは50〜400bp範囲の様々なサイズである、工程;
b)好ましくは、ほぼ70bpの断片、ほぼ100bpの断片、およびほぼ300bpの断片を標的とした時に得られた少なくとも3種類の濃度値を組み合わせることによって、好ましくは、ロジスティック関数、例えば、対数関数において、これらを組み合わせることによって、2種類の体液試料間のこれらの3種類のサイズ範囲について得られたサイズプロファイルを比較する工程
を含む、方法に関する。
【0126】
同じ局面において、本発明はまた、生物学的試料/生物学的液体中で変異cf核酸断片と非変異cf核酸断片を識別する方法であって、
変異断片および非変異断片について計算された長い断片および短い断片の濃度の比を決定および比較する工程を含む、方法に関する。前記方法において、
-前記比は、50〜450bp範囲の様々なサイズで比較され、好ましくは、前記長い断片は200bp〜450bpに含まれ、好ましくは、少なくとも2種類の濃度値は、例えば、ほぼ200bpおよびほぼ300bpであり、前記短い断片は145bp未満であり、好ましくは、50bp〜99bpに含まれる。
【0127】
好ましくは、生物学的液体中に存在する変異cf核酸断片と非変異cf核酸断片との間で80〜145bp/145〜300bpまたは100〜145bp/145〜350の比が比較される。
【0128】
健康個体からの体液(好ましくは、血漿または血清)から、cfDNAが高度に放出されている個体、例えば、癌患者からの体液(好ましくは、血漿または血清)を識別する方法であって、
a)本発明の方法によって、2種類の体液試料中の無細胞DNA(cfDNA)を定量する工程であって、cfDNAのサイズ範囲が60〜80bp、100〜145bp、および180〜400bpである、工程;
b)好ましくは、ほぼ70bpの断片、ほぼ100bpの断片、およびほぼ300bpの断片を標的とした時に得られた少なくとも3種類の濃度値を組み合わせることによって、好ましくは、ロジスティック関数、例えば、対数関数において、これらを組み合わせることによって、2種類の体液試料間のこれらの3種類のサイズ範囲について得られたサイズプロファイルを比較する工程を含む、方法も好ましい。
【0129】
好ましい態様において、本発明による体液を識別する方法は、個体の特定の生理学的状況の進展を診断、予後、セラグノスティック、またはモニタリングするために実行され、工程b)において得られるサイズプロファイル比較は、その特定の生理学的状況を示す。
【0130】
別の局面において、本発明は、個体の特定の生理学的状況、好ましくは、cfDNAが高度に放出されている個体における特定の生理学的状況の進展を診断、予後、セラグノスティック、または評価するための方法であって、
a)本発明による体液試料中の無細胞核酸の完全性指数またはSFRを決定するための方法によって、前記個体から得られた体液試料中の無細胞核酸の完全性指数を時間間隔の間にくりかえし計算する工程であって、前記核酸の存在が前記特定の生理学的状況に関連する、工程、および
b)得られた完全性指数またはSFRを比較し、この時間間隔にわたって無細胞核酸の前記完全性指数が変化したかどうか確かめる工程
を含む、方法に関する。
【0131】
好ましい態様において、前記特定の生理学的状況は、cfDNAの放出または細胞アポトーシスをもたらす生理学的状況であり、好ましくは、癌、糖尿病、鎌状赤血球症、組織外傷、日焼け、血液透析、または激しい努力生産(intense effort production)からなる群より選択される。
【0132】
特定の局面において、前記本発明の方法は、患者において腫瘍進行の診断、予後を行うための方法またはセラグノスティック方法であって、工程a)において、特定の生理学的状況に関連する前記核酸は前記腫瘍に関連し、工程b)において、この時間間隔にわたる完全性指数の減少は癌の進行を示す、方法に関する。
【0133】
好ましい態様において、0.5未満、好ましくは0.1未満の値への完全性指数またはSFRの減少は癌の進行を示す。
【0134】
別の局面において、本発明は、個体、好ましくは、cfDNAが高度に放出されている個体の特定の生理学的状況の進展の診断、予後、セラグノスティック、または評価を行うための方法であって、
a)本発明による体液試料中の無細胞核酸を定量する方法によって、前記個体から得られた体液試料中の短い変異無細胞核酸または短い非変異無細胞核酸の濃度を時間間隔の間にくりかえし計算する工程であって、前記変異核酸または非変異核酸の存在が前記特定の生理学的状況に関連する、工程、および
b)得られた濃度を比較し、この時間間隔にわたって前記無細胞核酸の前記変異増幅断片または非変異増幅断片の濃度が変化したかどうか確かめる工程
を含む、方法に関する。
【0135】
好ましい態様において、前記特定の生理学的状況は、cfDNAの放出をもたらす生理学的状況であり、好ましくは、自己免疫狼瘡、敗血症、心筋梗塞、多発性硬化症、または多くの努力生産からなる群より選択される。
【0136】
また、前記方法の好ましい態様において、特定の生理学的状況に関連する前記核酸は前記腫瘍に関連し、工程b)において、この時間間隔にわたる無細胞核酸の前記変異増幅断片または非変異増幅断片の濃度の増加は癌の進行を示す。
【0137】
別の局面において、本発明は、患者における癌治療の効力をモニタリングするための方法であって、
a)本発明による無細胞核酸を定量する方法によって、少なくとも1種類の癌マーカー核酸について、前記患者から得られた体液試料中の遊離核酸の完全性指数を時間間隔の間に計算する工程、および
b)得られた完全性指数を比較し、この時間間隔にわたって前記無細胞核酸の前記完全性指数が増加または減少したかどうか確かめる工程であって、前記完全性指数の増加はこの癌治療の効力を示し、前記完全性指数の減少はこの癌治療の効力が無いこと示す、工程
を含む、方法に関する。
【0138】
別の局面において、本発明は、個体、例えば、腫瘍を示す患者または腫瘍を示す可能性のある患者において無細胞核酸、特に循環DNAを分析するための方法であって、
a)本発明に従って、前記無細胞核酸にある遺伝子多型、例えば、SNPまたは変異の存在を定性検出する工程;
b)本発明に従って、前記無細胞核酸を定量する工程;および
c)本発明に従って、前記無細胞核酸の完全性指数の決定を実行することによってアポトーシス率を決定する工程
を含む、方法に関する。前記方法は、以下のパラメータおよび計算:
-一方でA1A2および他方でB1B2が2種類の短い増幅配列を代表するものであり;A1B2が長い増幅配列であり、
-A1A2またはB1B2のいずれかが遺伝子多型を含み、
-C
B1B2が短い増幅断片B1B2の検出による抽出核酸の初期濃度測定値であり、C
A1A2が短い増幅断片A1A2の検出による抽出核酸の初期濃度測定値であり、C
A1B2が長い増幅断片だとすると、
-遺伝子多型の存在を定性検出する工程であって、
-%C
B1B2/C
A1A2は特定の閾値より大きく、B1B2は、遺伝子多型を含有するアンプリコン配列と定義されるか;または
-%C
A1A2/C
B1B2は特定の閾値より大きく、A1A2は、遺伝子多型を含有するアンプリコン配列と定義される、工程;
-比C
B1B2/C
A1B2またはC
A1A2/C
A1B2を決定することによって完全性指数を評価する工程、
XおよびYがプライマーの5'末端間の核酸上での距離であるか、増幅断片(もしくはアンプリコン)の長さであると考えると、
X<180およびY>X、好ましくは、50<X<100および200<Y<450
を統合する、方法に関する。
【0139】
好ましい態様において、コード鎖上にある関心対象の遺伝子多型に対応する前記核酸が、位置B1またはA2で開始するプライマーの3'末端に位置し、PCRを実行する方法はアレル特異的PCRである。
【0140】
好ましい態様において、前記長い増幅断片A1B2は、短い非変異断片、および検出される前記遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を含有する変異断片(それぞれ、A1A2およびB1B2、またはB1B2およびA1A2)を部分的または完全に含む。
【0141】
好ましい態様において、前記長い増幅断片A1B2は長さが300bp+/-20%であり、短い非変異断片(A1A2またはB1B2)および変異断片(B1B2またはA1A2)は長さが60bp+/-20%である。
【0142】
別の局面において、本発明は、患者における腫瘍進行の診断もしくは予後を行うための方法、または患者における腫瘍進行を確認する工程を含むセラグノスティック方法であって、
a)本発明による無細胞核酸を定量する方法によって、前記患者からの体液試料中の無細胞核酸の濃度を決定する工程、および
b)本発明による方法によって、前記無細胞核酸の前記短い増幅断片にある遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を検出する工程
を含む、方法に関する。
【0143】
別の局面において、本発明は、患者において、核酸遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)に関連する病理学的状況もしくは生理学的状況、例えば、腫瘍の存在もしくは腫瘍進行の診断、予後を行うための方法、または患者において、核酸遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)に関連する病理学的状況もしくは生理学的状況を決定する工程を含むセラグノスティック方法であって、
a)以下:
-本発明による無細胞核酸を定量する方法によって、前記患者からの体液試料中の無細胞核酸の濃度を決定する工程;
-本発明による方法によって、前記無細胞核酸中の前記遺伝子多型を検出する工程であって、発見された変異無細胞核酸対非変異無細胞核酸のパーセントが閾値より大きいかどうか確かめることによって、患者は前記遺伝子多型がある、または前記遺伝子多型がないと分類され、好ましくは、前記閾値は所与の遺伝子多型に特有のものであり、非変異患者および変異患者のコホートから決定される、工程;ならびに
-本発明による方法によって、試料中の前記無細胞核酸の完全性指数を決定する工程
の群より選択される、少なくとも2種類のバイオマーカーを研究する工程、
b)前記少なくとも2種類のバイオマーカーを含むロジスティック関数によって、前記少なくとも2つの値を組み合わせる工程、ならびに
c)前記患者における病理学的状況または生理学的状況、例えば、腫瘍または腫瘍進行の診断または予後を行うために、前記ロジスティック関数の前記最終値を分析する工程
を含む、方法に関する。
【0144】
必要な場合、本発明の方法における前記SNPに関連した、このような閾値は、前記SNPに関連した特定の遺伝子多型(例えば、SNPもしくは変異)を示す患者または前記SNPに関連した特定の遺伝子多型(例えば、SNPもしくは変異)を示さない患者の、2つの患者群からなるコホートから求めることができる。前記閾値は最小値であり、この値を超えると、遺伝子が変異していることが明確に証明される。
【0145】
本発明はまた、キット、好ましくは、体液試料中の関心対象の遺伝子の無細胞核酸の存在を検出または定量するための、より好ましくは、本発明のIntplexシステムにおいて使用するための2セットの核酸プライマーを含むキットであって、前記関心対象の遺伝子は変異を示しやすく、前記2セットのプライマーは、
a)A1(フォワードプライマー)およびA2(リバースプライマー)と呼ばれる、第1のセットの2種類のプライマーであって、前記2種類のプライマーA1およびA2は、
-最小サイズ15ヌクレオチドおよび最大サイズ30ヌクレオチドを有し、かつ
-2種類のプライマー間で、両プライマーの3'末端間で少なくとも5bpの最小間隔を有し、かつ
-35〜100bpに含まれるサイズ範囲を有するアンプリコンを得ることができ、前記アンプリコンは、関心対象の変異を示さない前記遺伝子の領域にある、第1のセットの2種類のプライマー、
b)B1(フォワードプライマー)およびB2(リバースプライマー)と呼ばれる、第2のセットの2種類のプライマーであって、前記2種類のプライマーB1およびB2は、
-最小サイズ15ヌクレオチドおよび最大サイズ30ヌクレオチドを有し、かつ
-2種類のプライマー間で、両プライマーの3'末端間で少なくとも5bpの最小間隔を有し、かつ
-35〜100bpに含まれるサイズ範囲を有するアンプリコンを得ることができ、前記アンプリコンは、関心対象の変異を示す前記遺伝子の領域にあり、
A1B2は250〜450bpサイズ範囲内にある、第2のセットの2種類のプライマー
を含むことを特徴とする、キットに関する。
【0146】
本発明はまた、好ましくは、本発明の従来のIntPlexシステムにおいて使用するための、本発明によるキットに関する。
・B2プライマーが前記関心対象の変異の位置から5〜85ヌクレオチド下流に位置する、前記関心対象の遺伝子の標的化領域。
・プライマー対A1A2が、前記関心対象の変異の位置から430〜100ヌクレオチド上流に位置する領域に設計されている、前記関心対象の遺伝子の領域。
【0147】
本発明はまた、好ましくは、本発明のインバースIntPlexシステムにおいて使用するための、本発明によるキットに関する。
・A1プライマーが前記関心対象の変異の位置から5〜85ヌクレオチド上流に位置する、前記関心対象の遺伝子の領域。
・プライマー対B1B2が、前記関心対象の変異の位置の100〜430ヌクレオチド下流に位置する領域に設計されている、前記関心対象の遺伝子の領域。
【0148】
本発明はまた、本発明による2セットの核酸プライマーを含むキットであって、
関心対象の遺伝子および/または関連する遺伝子変異は、以下:
A)障害、特に癌における変異:
(それぞれの遺伝子について、NCBI36:Ensembl Contig図のcDNAの中に変異を有するbpの位置番号が示されている)
<http://may2009.archive.ensembl.org/Homo_sapiens/Location/)
B)癌以外の障害における変異:
a)単一遺伝子障害:
常染色体優性遺伝子:家族性高コレステロール血症、ハンチントン病、神経線維腫症1型、マルファン症候群、遺伝性非ポリポーシス、結腸直腸癌、遺伝性多発性外骨腫症、多発性嚢胞腎、軟骨無形成症、鎌状赤血球性貧血、軟骨無形成症、鎌状赤血球性貧血、
b)常染色体劣性対立遺伝子:嚢胞性線維症、鎌状赤血球症、テイ・サックス病、ニーマン・ピック病、脊髄性筋萎縮症、ロバーツ症候群、フェニルケトン尿症、ムコ多糖症、糖原貯蔵症、
c)X染色体優性:レット症候群、色素失調症、アイカルディ症候群、クラインフェルター症候群、色素失調症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、血友病、
d)Y連鎖:男性不妊および耳介多毛症(hypertrichosis pinnae)、
e)ミトコンドリア病:レーバー遺伝性視神経萎縮症
f)多因子および多遺伝子(複合)障害:
喘息、自己免疫疾患、例えば、多発性硬化症、癌、繊毛関連疾患、口蓋裂、糖尿病、心臓病、高血圧、炎症性腸疾患、精神遅滞、気分障害、肥満、屈折異常、不妊
より選択される、キットに関する。
【0149】
本発明はまた、本発明による2セットの核酸プライマーを含むキットであって、関心対象の遺伝子の変異が、KRAS遺伝子およびBRAF遺伝子の変異、特に、BRAF V600E変異からなる群より選択される、キットに関する。
【0150】
本発明は、キット、好ましくは、体液試料中にある遺伝子KRASの無細胞核酸の存在を検出または定量するための、より好ましくは、Intplexシステムにおいて使用するための、1セットまたは2セットの核酸プライマーを含むキットであって、前記遺伝子KRASは、KRAS G12変異、好ましくはG12V、G12D、G12A、G12SおよびG12C変異、ならびにG13D変異の群より選択される変異を示しやすく、前記プライマーセットまたは2セットのプライマーは、
a)A1(フォワードプライマー)およびA2(リバースプライマー)と呼ばれる、第1のセットの2種類のプライマーであって、前記2種類のプライマーA1およびA2は、
-A1については、SEQ ID NO 163-196、
-A2については、SEQ ID NO 250-256
からなる群より選択される、第1のセットの2種類のプライマー;または/ならびに
b)B1(フォワードプライマー)およびB2(リバースプライマー)と呼ばれる、第2のセットの2種類のプライマーであって、前記2種類のプライマーB1およびB2は、
-B1については、SEQ ID NO 244-249、
-B2については、SEQ ID NO 83-120
からなる群より選択される、第2のセットの2種類のプライマー
を含むことを特徴とする、キットに関する。
【0151】
本発明はまた、キット、好ましくは、体液試料中の遺伝子BRAFの無細胞核酸の存在を検出または定量するための、より好ましくは、Intplexシステムにおいて使用するための、1セットまたは2セットの核酸プライマーを含むキットであって、前記遺伝子BRAFは変異V600Eを示しやすく、前記1セットまたは2セットのプライマーは、
a)A1(フォワードプライマー)およびA2(リバースプライマー)と呼ばれる、第1のセットの2種類のプライマーであって、前記2種類のプライマーA1およびA2は、
-A1については、SEQ ID NO 65-81、
-A2については、SEQ ID NO 19
からなる群より選択される、第1のセットの2種類のプライマー;または/ならびに
b)B1(フォワードプライマー)およびB2(リバースプライマー)と呼ばれる、第2のセットの2種類のプライマーであって、前記2種類のプライマーB1およびB2は、
-B1については、SEQ ID NO 38、
-B2については、SEQ ID NO 40-63
からなる群より選択される、第2のセットの2種類のプライマー
を含むことを特徴とする、キットに関する。
【0152】
別の局面において、本発明は、核酸プライマー、好ましくは、体液試料中にある同じKRASイントロン領域の配列を含有する無細胞KRAS DNAの存在を検出または定量するための、好ましくは、患者からの体液試料中にあるこのような無細胞核酸のサイズプロファイルを決定するための核酸プライマーであって、前記核酸は配列SEQ ID NO:1-8(表1を参照されたい)を有するプライマーの群より選択される、核酸プライマーに関する。
【0153】
本発明はまた、核酸プライマーセット、好ましくは、体液試料中にある無細胞KRAS核酸、より好ましくはKRAS DNAの存在を検出または定量するための核酸プライマーセットであって、以下のプライマーセット:
a)配列SEQ ID NO:1を有するプライマー、および配列SEQ ID NO:2-8を有するプライマーの群より選択する少なくとも2つの異なるプライマー、好ましくは、3つの異なるプライマーを含むプライマーセット;
b)配列SEQ ID NO:1を有するプライマー、配列SEQ ID NO:8を有するプライマー、および配列SEQ ID NO:2-7を有するプライマーの群より選択する少なくとも1つのまたは2種類のプライマーを含むプライマーセット;
c)配列SEQ ID NO:1を有するプライマー、配列SEQ ID NO:7を有するプライマー、および配列SEQ ID NO:2-6を有するプライマーの群より選択するプライマーを含むプライマーセット;ならびに
d)SEQ ID NO:1-8を有するプライマーを含むプライマーセット
の群より選択する、核酸プライマーセットに関する。
【0154】
本発明はまた、核酸プライマーセット、好ましくは、体液試料中にあるKRAS G12V変異の存在を証明するためにIntplexシステムにおいて使用するための核酸プライマーセットであって、配列SEQ ID NO:9-14、好ましくは、9-15(表2を参照されたい)を有するプライマーを含む、核酸プライマーセットに関する。
【0155】
より好ましくは、本発明は、核酸プライマーセット、好ましくは、体液試料中にあるKRAS G12変異(G12V、G12D、G12A、G12S、およびG12C)ならびにG13D変異の存在を証明するためにIntplexシステムにおいて使用するための核酸プライマーセットであって、配列SEQ ID NO:28-36、好ましくは、29-37(表4を参照されたい)を有するプライマーを含む、核酸プライマーセットに関する。
【0156】
最後に、本発明は、核酸プライマーセット、好ましくは、体液試料中にあるBRAF V600E変異の存在を証明するためにIntplexシステムにおいて使用するための核酸プライマーセットであって、配列SEQ ID NO:16-21、好ましくは、16-22(表2を参照されたい)を有するプライマーを含む、核酸プライマーセットに関する。
【0157】
より好ましくは、本発明は、核酸プライマーセット、好ましくは、体液試料中にあるBRAF V600E変異の存在を証明するためにIntplexシステムにおいて使用するための核酸プライマーセットであって、配列SEQ ID NO:23-26、好ましくは、23-27(表4を参照されたい)を有するプライマーを含む、核酸プライマーセットに関する。
【0158】
最後に、本発明は、体液試料中にある無細胞KRAS核酸もしくは無細胞BRAF核酸、より好ましくは、無細胞DNA、任意で、遺伝子多型を示す無細胞DNAの存在を検出もしくは定量するための、または生物学的試料中にある前記無細胞KRAS核酸のサイズプロファイルを決定するためのキットであって、本発明に従って前記に示されたプライマーセットを含む、キットに関する。
【0159】
本発明を実行および使用できるように当業者に完璧に説明するために、以下の実施例が選択され、同様に下記の図面および説明文も選択される。これらの実施例は、本発明者が発明とみなすものの範囲を限定することを目的とせず、下記の実験が単に実施されたことを示すことを目的とする。
【実施例】
【0161】
実施例I:cirDNAのサイズ範囲の決定
Q-PCRによる特異的かつ高感度のcirDNA分析のためのアンプリコンの最適サイズを決定するために、本発明者らは、同じ領域内に60bp、73bp、101bp、145bp、185bp、249bp、300bp、357bp、および409bpのアンプリコンを増幅可能な9つのプライマー対を設計および使用した。これらは、さらに大きなアンプリコン配列の中に小さなアンプリコンが常に含まれるように設計されている。アンチセンスプライマーは、それぞれのプライマー対について同じである。この409bp増幅領域はKRASのイントロン2に位置する。オリゴヌクレオチドプライマー配列を表1に示した。
【0162】
(表1)
【0163】
ゲノムDNAを分析するために、それぞれのプライマー対を用いることによって得られた濃度
図1は、試験されたプライマー対の収量のばらつきについて述べる。全ての結果は、2回繰り返して実施された3回の実験からのものである。ある特定のDNA配列のQ-PCRによる増幅反応効率はプライマーの熱力学特性と関連し、特に、アンプリコンサイズの関数の点で異なる。
図1に示したように、(非常に似たハイブリダイゼーション特性を有する)プライマー対の検出効率は、試験されたアンプリコンのサイズに比例する。
図1に図示したように、検出は101〜185bpアンプリコンの場合に最適であるように思われる。従来より、文献中には150〜250bpの領域の増幅が選択されている。
【0164】
180〜200bpに近いサイズを有するヌクレオソームのモノマーまたは複数のヌクレオソームの存在が既に報告されており、cirDNA放出のためのアポトーシス機構を示す。
【0165】
図2Aは、2人の転移性結腸直腸癌(mCRC)患者からの2種類の血清試料を用いて得られた結果をまとめたものである。これらの2種類の血清試料のcirDNA濃度曲線は、ほぼ3つの相を示す類似するプロファイルを示す。最初の相では、60〜73bpのサイズのアンプリコンの濃度(0.2〜0.3ng/μlの値まで)はほぼ同じであり、101〜145bpのサイズのアンプリコンの2番目の相では、濃度は約0.05ng/μlの値まで急激に減少し、最後に、145〜409bpのサイズのアンプリコンの3番目の相では、cirDNA濃度は横ばいになるか、0.02ng/μlまで非常にゆっくりと減少する。
【0166】
図2Bは、同じ増幅システムを用いることによって決定された、CRC患者血漿中の長さが漸増するアンプリコンのcirDNA濃度を示す。データは同じサイズプロファイリングを示す。
【0167】
ここで用いられた2種類の血清および血漿は、1回目の腫瘍摘出術を待っており、サンプリング時に化学療法に供されていない患者に由来することに留意のこと。
【0168】
図3は、アンプリコンサイズに対する健康対象の血漿試料中のcirDNA濃度のプロファイルをまとめたものである。これらの結果から、101〜145bpのサイズのアンプリコンで高いcirDNA濃度が検出されたことが分かる。mCRC患者の結果とは異なり、健康対象では、101〜145bpより大きなアンプリコンまたは101〜145bpより小さなアンプリコンの検出において結果は非常に有意なばらつきの存在を示さない。
【0169】
本発明者らは、145〜409bpの増幅配列(アンプリコン)および50〜73bpの範囲の別のものを検出した時にcfDNA量を比較することによって、癌患者の血漿と健康個体からの血漿を識別することができる。<0.5、好ましくは<0.1の長い/短い比は腫瘍の存在を示す。
【0170】
cirDNA対ゲノムDNAを分析した時にアンプリコンサイズが重要な理由
従って、配列の長さが漸増するアンプリコンを増幅することによって確かめられたcirDNAのサイズプロファイルから、<100bpのアンプリコンを増幅した時に最適な検出がなされ、腫瘍cirDNAと比較して、非常に高い割合の150〜350bpのサイズのcirDNAが非腫瘍cirDNAに存在することが明らかになった。その結果、
図4の図に示したように、増幅DNA領域のサイズの選択は重要であるように思われる。
【0171】
従って、アンプリコンサイズの選択は、以下の理由で重要である。
・Q-PCRによる分析の感度(試料中のcirDNAの量に応じて10倍超〜50倍までの増加)
・特異性。理由は、アンプリコンサイズ(または最適な増幅の決定)に基づいてcirDNA濃度プロファイルを分析することによって、mCRC患者のcirDNAと健康対象のcirDNAを区別できるからである。50〜100のサイズのアンプリコンについて得られた量と100bpより大きなアンプリコンについて得られた量との比の測定値を用いて、腫瘍由来のcirDNAの存在を予想することができる。mCRC患者におけるcirDNA総量が一般的に多いことに加えて、断片サイズの点での量が、初めて、癌cirDNAの存在に特異的であり、かつ情報を与えてくれるように思われる。
【0172】
さらに、特定のサイズのアンプリコンの濃度を比較することによって計算される完全性指数を測定することによって、この特異性を確かめることができる(
図5)。
【0173】
mCRC患者からのcirDNAを分析した場合、145/60または300/60比は常に1より小さい。逆に、ゲノムDNAの場合、145/60比は2.07である。
【0174】
mCRC患者からのcirDNAにおいて、300/60の完全性指数は145/60の完全性指数より小さい。実際にはmCRC患者では<0.344であるのに対して、健康対象からのcirDNAでは>0.45である。300/60比はゲノムDNAでは0.38である。
【0175】
健康対象およびmCRC患者における145/60および300/60比の初期分析研究は感度100%および特異性100%を示す。従って、145/60比は、特に平均の標準偏差が考慮された時には健康対象とmCRC患者を300/60比より良好に識別するように思われるが、特異性が考慮された時にはあまり良好に区別しないように思われる。300/145比は健康/癌患者を識別するのに最適でなく、一般的に、300/60比で得られた結果とは反対の結果を生じる。すなわち、mCRC患者からのcirDNA の場合、300/145について得られた値の平均はより大きい。だが、完全性指数について以前に実施された少数の研究において従来より用いられてきたのは、このタイプの比(短い断片>100bpおよび<180)である(13-19)。
【0176】
cirDNA検出用の使用プライマー対(従って、特に増幅配列のサイズ)の選択が、標的配列に応じて100〜300bp断片の増幅収量にのみ基づくことを示すことは重要である。これらの完全性指数の計算を用いて、健康対象のcirDNAとmCRC患者のcirDNAを識別することができた。腫瘍発達またはcirDNA総濃度の関数において他の比または完全性指数を計算できたと強調しなければならない。
【0177】
図5のヒストグラムは、60bpおよび145bpの断片を増幅することによって得られた値の相対比率が健康対象ではmCRC患者と比較して逆になることを示す。
【0178】
本発明者らは、cirDNA量が多くなればなるほど、完全性指数は小さくなることを発見した。例えば(
図6)、cirDNA総量の関数において249bpの長い断片の増幅値は減少するのに対して、60bpの短い断片の増幅は増加する。
【0179】
要約すると、本実施例の結果は、Q-PCRによるcfDNA検出に関する革新的な特徴の決定を初めて可能にする。
1.増幅断片(アンプリコン)のサイズはcfDNA定量に大きな影響を及ぼす。
2.100bpより小さなアンプリコンの検出が最適である。
3.完全性指数の測定値を用いて、mCRC対象のcirDNAと健康個体のcirDNAを識別することができ、mCRC対象のcirDNAとゲノムDNAも識別することができる。
4.同一のサイズのアンプリコンを生じるプライマー対の増幅を比較することだけで、cirDNA抽出物をPCR増幅した結果を正確に比較することができる。
【0180】
実施例II:CRC異種移植片マウスモデルから抽出されたcirDNAのQ-PCR分析によるサイズ分布
材料および方法:
a)細胞株および試薬
SW620 CRC細胞をRPMI+10%胎仔ウシ血清中で維持した。SW620細胞はホモ接合性KRAS G12V変異(GGT→GTT)を有する。
【0181】
b)異種移植片モデル
雌無胸腺ヌードマウス(6〜8週齢)の皮下に1x106個の癌細胞を異種移植した。移植して3週間後にマウスをCO2で安楽死させた。腫瘍重量は300〜650mgであった。末梢血を採決してEDTAチューブに入れ、血漿調製のためにすぐに(1時間以内に)使用した。
【0182】
c)血漿および血清の調製
マウス血液試料を5ml BDバキュテナーKE35チューブ(Belliver Industrial)に収集した後に、CR 4jローターを備えたHeraeus Multifuge LR遠心機に入れて2000rpm、4℃で10分間、遠心分離した。上清を滅菌1.5mlエッペンドルフチューブの中に収集し、14000rpm(16000g)、4℃で10分間遠心分離した。次いで、DNA抽出するために上清をすぐに処理するか、または-80℃で保管した。Q-PCRアッセイにおいて、新鮮に単離された血漿または保管された血漿を比較した時に有意差は認められなかった。同じ2段階遠心分離プロセスを用いて血清を調製したが、EDTAを含まないチューブに血液を入れ、次いで、室温で1時間、放置した。マウスおよびヒトの血漿および血清をサンプリング後3時間以内に単離した。
【0183】
d)DNA抽出
同じ手順を用いて、異なる細胞株からのctDNAおよびゲノムDNAを抽出した。QIAmp DNA mini Blood kit(Qiagen, CA)を用いて溶出量60μlで「血液および体液プロトコール(Blood and body fluid protocol)」に従って、200μlの血漿からDNAを精製した。血漿調製中には試料を4℃に保った。使用するまでDNA試料を-20℃に凍結した。Q-PCRアッセイにおいて、新鮮に抽出されたDNAまたは保管されたDNAを比較した時に有意差は認められなかった。
【0184】
e)Q-PCRによるctDNA定量
DNAをQ-PCRアッセイによって定量した。リアルタイムPCR増幅を、My iCycler IQ 5IQまたはChromo4機器においてIQ5 Opticalシステムソフトウェア2.0およびMJ Opticon Monitor3ソフトウェア(Bio-Rad)を用いて反応体積25μlで実施した。それぞれのPCR反応混合物は、12.5μlのmix PCR(Bio-Rad Super mix SYBR Green=Taqポリメラーゼ、MgCl2);2.5μlのそれぞれの増幅プライマー(100pmol/μl);2.5μlのPCRによって分析された水、および5μlのDNA抽出物からなった。サーマルサイクリングは95℃3分の最初の変性工程から開始し、次に、95℃10秒および60℃30秒の40サイクルが行われた。融解曲線は、55℃〜90℃から0.2℃ごとに測定して得られた。定量のためのキャリブレーターとして、HCT116-s細胞およびMC38細胞に由来するゲノムDNAの段階希釈液を使用した。IQ5 Opticalシステムソフトウェア2.0またはMJ Opticon Monitor3ソフトウェアによって検量線から試料濃度を外挿した。MIQEガイドラインにおいて推奨されるような妥当な確実性(95%の確率)で検出することができる濃度である検出限界は3コピー/アッセイであった(21)。
【0185】
CRC臨床試料分析に以前に用いられたものと同じヒトKRASイントロン2の60〜409bp DNA配列を増幅することによって、血漿抽出物をアッセイした。さらに、同じアプローチによって、マウスKRASイントロン1の60〜385bp DNA配列を増幅することによって非腫瘍cirDNAをアッセイした。この方法を用いて、非異種移植対照ヌードマウスからの血漿抽出物もアッセイした。
【0186】
図7Aおよび7Bは、200〜300bpの配列を増幅した時に腫瘍由来cirDNAと非腫瘍由来cirDNAを有意に識別することを初めて証明する。次に、腫瘍cirDNAの<100bpの領域を増幅した時に濃度が最大になることが見出されたが、非腫瘍cirDNAについては105bp配列、腫瘍cirDNAについては60bpを増幅した時に最大に達した。
【0187】
従って、腫瘍cirDNAのcirDNA 完全性指数(300/60)の測定値0.05は、非腫瘍cirDNAの0.57および非異種移植対照マウスcirDNAの0.48より非常に小さい。
【0188】
図8Aおよび8Bは、同じ実験において得られたデータからのcirDNA総量(腫瘍cirDNA量+非腫瘍cirDNA量)と比較した腫瘍ctDNA量の寄与を示す。データは、腫瘍cirDNAの割合が60〜250bp増幅領域から急激に減少し、次いで、いくらか安定することをはっきりと示している。
【0189】
これらの観察は、ヒト試料の分析によって以前に得られた結果を裏付けている。
【0190】
さらに、データは、腫瘍cirDNAと非腫瘍/対照cirDNAとの間のアンプリコン長に基づく濃度プロファイル間の差違を強調している。
【0191】
実施例III:Intplex法
IntPlex分析の一般的な適用
cirDNAは、健康細胞および病理学的細胞または感染因子の遺伝的な印を有する。従って、遺伝子変化は、臨床上の影響があるために一般に好まれる標的である。cirDNAに関する技術的問題の1つは、遺伝子多型、特に、SNP(一塩基多型)を検出するツールとしての用途である。
【0192】
SNPはヒトゲノムにおいて最も豊富にある遺伝的変異である。SNPは個体間の全ての差違の90%超に相当する。SNPは、2本の染色体がある特定の部分において1塩基だけ異なるDNA多型の一種である。2つのヒトゲノムにおいて、無作為に、DNA配列の99.9%は同一である。残りの0.1%は配列変化を含み、このうち最も一般的なタイプは一塩基多型(SNP)である。SNPは安定しており、非常に豊富にあり、ゲノム全体に均一に分布している。これらの変化は、集団内または個体間の多様性、疾患に対する感受性の差違、および薬物に対する個々の応答と関連する。一部は、細胞増殖をもたらし、最終的には癌発症をもたらし得る細胞周期の混乱を担っている。
【0193】
SNPを分析する方法の大多数は、熱によってDNAを1本鎖に変成し、正確な条件下で冷却することによって、相補配列鎖と一緒になってDNAを再生する可能性に基づいている(PCR法)。従って、PCRは、最初に特定のポリメラーゼにより、また、増幅される配列を<<区切る>>特定のオリゴヌクレオチドによりDNA配列増幅を分析することによってDNA配列の特定および定量をすることができる。
【0194】
PCRはSNP検出用に以前に改造された。既知のSNPを検出するための最も簡単なPCR法の1つは、アレル特異的オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション(ASO)の名前でも知られるアレル特異的ハイブリダイゼーションである。この方法では、1ヌクレオチドだけ異なる2種類の短いオリゴヌクレオチドプローブが用いられる。研究されているDNAを、これらの2種類の標識プローブと別々にハイブリダイズさせる。ゲノムDNAは、完全に相補する配列を有するプローブとしかハイブリダイズしない。アレル特異的PCR法は、DNA増幅の定量が可能なシグナルをもつ二本鎖DNAマーカーを用いて実施することができる。SYBR Greenによる変異の分析は単純性および迅速性という大きな利点を有する。
【0195】
それにもかかわらず、SYBR Greenによる簡単な分析でも、特に、点変異を特定する場合、ごくわずかな非特異的検出が生じる。従って、このアプローチは、目標が臨床用キットまたは産業用キットである場合、信頼性があまり高くない。この非特異性作用を回避するために様々な方法が開発されたが、2つ以上の工程からなり、そのため、さらに時間がかかる。
【0196】
従って、本発明者らは、遺伝子多型が存在するか、または遺伝子多型が存在しないかを定性的に結論づける分析方法を設計および開発した。遺伝子の変異状況陽性の決定は、非変異cirDNAに対する変異cirDNAのパーセントを計算することによって確立される。それぞれの所与の変異について、<<閾値>>と呼ばれる非特異性のパーセントを決定することが可能である。<<閾値>>を超えると、遺伝子が多型を含むことが明確に証明される。
【0197】
しかしながら、いわゆる<<参照>>増幅の使用はcirDNA分析には危険な場合がある。なぜなら、本発明者らの結果から、この場合、増幅DNA定量は増幅断片(アンプリコン)の長さの関数において非常に大きく変化することが証明されているからである。従って、本発明者らの結果を念頭において、本発明者らは、IntPlex法において、検出される変異を含む100bpより小さなアンプリコンの増幅を同一サイズのアンプリコンの増幅と比較する。
【0198】
cirDNAに含まれる配列内の可能性のある不均衡をできるだけ限定するために、対照アンプリコンは増幅配列の近くに配置される。参照アンプリコンを定量することによって、ある決まったcirDNA総量も決定/確認することができるだろう。
【0199】
モノヌクレオソームのサイズは180〜220bpであるので、220bpより大きなアンプリコンの量と180bpより小さなアンプリコンの量との比は従来より完全性すなわちアポトーシスの程度に相当する。従って、本発明者らは、変異アンプリコンの末端と対照アンプリコンの末端が220bpの最小距離によって分けられるようにIntplexを設計した。
【0200】
長い断片のサイズを短い断片のサイズおよび>180bpまで小さくすることによって、より一般的に健康対象と病態(例えば、癌)をもつ個体を識別すできるように完全性指数(長い断片の増幅/短い断片の増幅)を最適化することができる。
【0201】
図9は、SNPを分析するためのIntPlex法の使用の一例を示す。本実施例では、プライマーB1は、その3'末端に、<<野生型>>状況と比べて塩基変化を含む。プライマーA1およびA2を用いて増幅すると60bpの断片が生じる。変異断片はプライマーB1およびB2によって増幅される。A1およびB2プライマーを用いて増幅すると300bpの断片が生じる。
【0202】
結果として、本発明は、一例として示した模式図に基づいて、
・遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)の存在の定性検出;
・cirDNAの特異的定量;
・アポトーシス率の評価;
図9の模式図における以下の計算による:
-遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)の存在の定性検出:
-特定の閾値より大きな%B1B2/A1A2;
-B1B2は、遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を含む配列と定義される
cirDNA総量:A1A2量の特異的定量
腫瘍cirDNA量:B1B2量の特異的定量
%:B1B2またはA1A2/A1B2でのcirDNA断片化の決定によるアポトーシス率の評価
を統合する、cfDNAを分析するための方法にある。
【0203】
本発明者らが、XおよびYがプライマーの5'末端間のDNA上にある距離であると考えることによって統合システムをモデル化するのであれば、統合システムIntplexは、
(A1A2)=(B1B2)=X
(A1B2)=Y
X<180およびY>X
理想的には、50<X<100および200<Y<350
のようにモデル化することができる。
【0204】
遺伝子変異が存在するか、または遺伝子変異が存在しないかを特定するこの手法は非常に迅速であり、かつ安価であるので非常に便利である。さらに、この手法を用いると、配列決定のような洗練された技法が不要になる。他方で、配列決定を用いると間違いなく答えが得られる(が、汚染または取り扱いのミスが起こる)。
【0205】
cirDNAは、腫瘍由来DNAおよび非腫瘍由来DNAから構成される。腫瘍進行中の、これらの2つのタイプのcirDNAのそれぞれの寄与についてはほとんど知られていない。IntPlexは、この問題について前進を可能にするはずであり、この情報は診断および/または予後の有益な利益をもたらすであろう。実際に、この方法によって、変異DNA量、従って、腫瘍DNA量を非腫瘍DNA量と直接結びつけることができる。このパーセントの計算値を、放出されたcirDNAの総量および腫瘍の進行または後退の両方と相関付けることができる。
【0206】
実施例IV:癌の診断への組み合わせ「変異の特定/定量/完全性指数」の寄与
これらの3種類の診断パラメータは別々に研究することができるが、より著しく、(特に、バイオインフォマティクスソフトウェアの助けを借りて)マルチプレックス分析を行うことによって、癌患者の経過観察のために診断値および個別化された治療選択のためにセラグノスティック値が改善される(
図10)。
【0207】
一人一人の癌患者が背負っているリスクの評価が可能なアルゴリズムを用いて、これらの3種類の因子の寄与をモデル化することができる。
【0208】
単純な例として、本発明者らは、診断因子を=([Mi+1)x(Q+A)として計算することができる。
【0209】
式中、M、Q、およびAは、それぞれ、変異の検出によって決定される危険因子、腫瘍cirDNAの定量によって決定される危険因子、およびアポトーシス指数の評価によって決定される危険因子である。
【0210】
実施例V:IntPlex技術の適用の例
1)癌診断の状況におけるヒト血液試料中のKRAS変異の検出
遺伝子RAS(KRASおよびNRAS)は、結腸腫瘍の50%超および直径が1cmより大きな腺腫の約50%において体細胞変異を受ける。逆に、これは小さな腺腫では非常に稀にしか変異しない(10%未満)。この変異、一般的にSNPはHRASに関係しないが、KRASのコドン12および13ならびにNRASの12、13、および61に影響を及ぼす。これらの変異の正確な役割は分かっていない。これらは小さな腺腫を大きな形成異常の腺腫に変えることがある、または非常に増殖する細胞において初めから存在することがある。KRAS変異は結腸直腸腫瘍の30〜40%に存在する。
【0211】
従って、CRC患者を標的化抗EGFR療法に個々に向けるために、KRASのSNP変異を検出するための簡単かつ迅速な検査が強く必要とされている(6)。実際には、腫瘍細胞が変異KRAS遺伝子を有する場合、強力な特異的EGFR阻害剤の活性が遮断される。2008年のASCO年次大会中に一般的な合意に達した。ここで、EGFRを標的とする療法の対象となる患者は全員、ファーストライン療法を開始する前に最初にKRAS変異検査を受けなければならないことが提唱された(6)。
【0212】
腫瘍切片から得られたDNAの配列決定は、現在、SNPを特定するための<<ゴールドスタンダード>>である。この方法は、摘出後に実施され、解剖病理学検査室および分析検査室の存在を必要とし、費用と時間がかかる。特異的な分析方法によって変異、特に、抗EGFR治療のセラグノスティック状況ではKRAS SNPを簡単かつ厳密に定量および検出できるのであれば、cirDNAは非侵襲的かつ強力な診断ツールになり得るだろう。
【0213】
従って、本発明者らは、標的化CRC治療のセラグノスティック状況においてIntPlex法を、より特異的なKRAS SNP検出に合うようにした。これは、強力で特異的なEGFR阻害剤の使用およびKRASの変異状況に関する差し迫った臨床上の必要性に対する反応をもたらし得るだろう。
【0214】
このシステムでは変異は3'末端に位置し、従って、2つの可能性のある設計:従来(Conventional)Intplexおよびリバース(Reverse)Intplexにつながった。前記のように、Intplexシステムは、100bpより小さなサイズのDNA断片を増幅する2種類のプライマー対(
図9)を含む。この増幅によって、一方の末端から他方の末端まで300bp離れた断片が得られる。この設計は、参照増幅すなわち標準を構成する<<野生型>>配列を増幅するためのプライマー対(A1A2)、および変異配列を増幅する別のプライマー対(B1B2)を含む(
図4)。正確に同じサイズの、かつ他方の近くにある配列を有する「参照」アンプリコンを使用することによって、例えば、「リバース」KRAS(Krev)の場合では (A1G12Vrev16/B1B2)、「従来」KRAS(Kconv)システムの場合では(G12Vconv19/A1A2;図中でのプライマーの名前は異なる)(
図11およびAを参照されたい)の比を計算することによって変異DNAパーセントを決定することが可能である。本発明者らの以前の結果は、cirDNA試料を用いてQ-PCRによって作製されたアンプリコンのサイズが極めて重要なことを示している。さらに、プライマーA1B2を用いて得られた断片(サイズ=300pb)のQ-PCR分析によって、完全性指数(DNA完全性指数(DII))(長い断片と短い断片との比)を決定することができる。DIIはcirDNAの断片化状況を示す。完全性指数はアポトーシス率(ctDNA断片化指数とも呼ばれる)の逆数に相当する。
【0215】
a)Q-PCR IntPlexシステムの設計
従来Intplex(
図11A)では、KRAS G12V変異を検出するために文献中に典型的に用いられるプライマーG12Vが用いられる。このプライマーは、変異が3'末端に位置するセンスオリゴヌクレオチドである。リバースIntplex(
図11B)では、変異が3'末端にあるアンチセンスプライマーが用いられる。これらの2つのシステムのプライマーは全てソフトウェアによって選択された(材料および方法)。システムIntplex KconvおよびKrevは、KRAS変異G12Vを検出するために適用された。この変異を特異的に検出するプライマーは、KRAS遺伝子の変異領域をカバーするように設計されている(
図11A〜11B)。
【0216】
センスプライマーは、コードDNA鎖に含まれる配列を含むと従来より定義される。従来Intplexシステムおよびリバース Intplexシステムは、変異を標的とするプライマーのセンス方向またはアンチセンス方向の点で異なる。
【0217】
b)cirDNAを定量するためのサイズパラメータの重要性の説明
本実験において、本発明者らは、異種移植マウスの血漿試料から単離されたcirDNAを用いて、2つのIntplexシステムKrevおよびKconvを試験した。効力および感度を証明するために、またはKRAS G12VまたはBRAF V600E変異の存在を検出するために、Intplexシステム用に特別設計されたオリゴヌクレオチドプライマーの配列および化学修飾ブロッカーオリゴヌクレオチドの配列を表2に示した。本実施例では、ブロッカー(ASB Q-PCR)法を用いたASまたはQ-PCRを使用した。「従来」IntPlexシステムおよび「インバース」IntPlexシステムを用いてBRAFおよびKRASの変異が検出された。
【0218】
(表2)
【0219】
本発明者らの結果から、KrevおよびKconvを用いて同一プロファイルが得られた(
図12および
図13)。
【0220】
図12および13は、標的配列とは無関係にアンプリコンが同じサイズの時にcirDNA濃度の測定値が同等であることをはっきりと示している。さらに、この結果から、67bpアンプリコン(A1A2およびB1B2)について得られた値は、Kconv およびKrevそれぞれの189bpアンプリコン(KrasH2)について得られた値の2.2倍および1.4倍、312bpアンプリコンおよび320bpアンプリコン(A1B2)について得られた値と比較した時に7.9倍および9.0倍であることが分かる。従って、これらの結果のクロス分析(cross-analysis)は、同一サイズのアンプリコンを生じるプライマーシステムを用いたQ-PCRによるcirDNA定量の正確度を裏付け、結果として2つの分析システムKrevおよびKconvを実証している。
【0221】
(表3)KrevおよびKconvを用いた異なるタイプのDNAのアポトーシス率(完全性指数の逆数)
【0222】
完全性比(アポトーシス率に反比例する)は、短いDNA断片(180bpより小さい)の濃度と長いDNA断片(220bpより大きい)の濃度との比、すなわち、Krevの場合はA1B2/B1B2およびKconvの場合はA1B2/A1A2に相当する。アポトーシス率は、アポトーシス由来のDNAおよび壊死由来のDNAの割合の評価、従って、cirDNAの由来の決定を可能にする。システムKrevを用いて、本発明者らは、胎盤ゲノムDNA(放出されておらず、変異のないDNA)の場合、0.78のアポトーシス率、SW620 CRC培養細胞の変異DNAの場合、2.00のアポトーシス率を得た。システムKconvを用いて、本発明者らは、胎盤DNAの場合、1.28の率、SW620細胞からのDNAの場合、1.92の率を得た(表3)。
【0223】
本発明者らはまた、2つのシステムKrevおよびKconvを用いて、異種移植マウスの血漿試料(と腫瘍を生じるSW620細胞)から単離されたcirDNAのアポトーシス率(完全性指数の逆数に相当する)も計算した。得られたアポトーシス率はKrevの場合、8.33であり、Kconvの場合、8.34であった。cirDNAのアポトーシス率は、ゲノムDNA(胎盤DNAおよびSW620細胞からのDNA)のアポトーシス率より大きい(それぞれ、約8倍および4倍)。胎盤DNAおよび細胞DNAの率を比較した時、これらが組織(胎盤)および細胞に由来したために、従って、サンプリング方法が異なったためにアポトーシス率が異なったのかもしれない。
【0224】
注目すべきことに、2つのシステムKrevおよびKconvにおいて同一試料のアポトーシス率は非常に似ており、このことは、この尺度のロバストネスを強調する。このロバストネスは、同一サイズの2つの配列の増幅を直接比較したことに加えて、このような配列が極めて類似していたことに由来する。同じサイズであるが、変異配列からかなり離れた(例えば、別の染色体に位置する)<<参照>>配列を用いても類似レベルの正確度は得られないであろう。
【0225】
2)血液試料中のBRAF変異の検出
遺伝子BRAFはCRC腫瘍の14%超において体細胞変異を受ける。変異V600EはBRAF変異の90%超に相当する。KRAS変異と同様に、BRAF変異があると抗EGFR治療が効かなくなる。従って、転移性CRC患者の治療時に(または正確には治療の前に)、この変異の存在(または非存在)の評価が必要とされる。従って、本発明者らは、cirDNAの中のBRAF変異を検出するために従来 IntPlexシステム(変異はプライマーB1の3'末端にある)を設計および開発した(
図14)。
【0226】
このIntplexシステムを用いて、ゲノムの中にBRAF変異V600Eを含むヒトCRC HT29細胞が異種移植されたマウスの血漿試料が分析されている(
図15)。
【0227】
短い参照アンプリコン(A1A2)の平均濃度は31.5ng/mlであり、従って、試料S4 HT29のcirDNA中にある長いアンプリコンの平均濃度(4.2ng/ml)の約8倍であった(
図14)。同様に、プライマー対ヒトWT BRAFを用いて得られた断片の濃度は15ng/mlであり、短いBRAFアンプリコンの濃度の約1/2であった。これらの結果は、短いDNA配列(
<100bp)の標的化が、長い配列(149bpおよび288bp)の標的化より重要なcirDNA抽出物増幅が生じることをはっきりと裏付けている。WT参照配列(A1A2)に対する変異ヒトDNAのパーセントは77.5%であった。これは、このHT29細胞株におけるBRAF変異のヘテロ接合性(染色体対の2本の対立遺伝子のうち1つだけに変異がある)を考慮に入れた時、理論的に50%になったはずである。Intplexシステムの感度を評価するために、異種移植マウスの血漿からのDNA試料S4を胎盤ゲノムDNA試料で1/10に希釈した(
図15)。
図15にまとめた結果から、変異DNAは非変異DNAの6.95%に相当し、これは、無希釈S4試料を用いて得られたものの約1/10であることが分かる。長い配列の増幅は参照配列の増幅よりわずかであるが、有意に少なかった(82.5%)。
【0228】
これらの2つの実験の結果(参照配列A1A2の増幅によって得られた濃度のパーセントとして示される)は、アンプリコンのサイズを正確に考慮に入れる重要性と、IntPlexシステムの妥当性を示している(
図15および
図16)。実際には、変異cirDNAパーセントの計算値は、参照として用いられる増幅システムの関数において劇的に異なることがある:同じサイズ(101bp)の参照を使用した時には77.5%、288bpの参照を使用した時には56.7%。cirDNAがゲノムDNAで(1/10)希釈された時にcirDNAパーセントが同じサイズの参照の場合では6.95%、288bpの参照の場合では8.45%であるという知見は、cirDNAがゲノムDNAで希釈された時にサイズパラメータが重要でないことを示している。
【0229】
アポトーシス率は、無希釈cirDNAの場合では7.41に相当し、希釈cirDNAの場合では1.21に相当するので(すなわち、6倍を超えるので)、cirDNA量の関数においてかなり変化する。この差違は多くの点で重要であり、cirDNAの特徴である。
【0230】
3)ヒト血漿試料中のcirDNAを分析するためのIntPlex法の使用の説明
KRASのSNP変異(G12V、G12D、G12C、G13D、およびG12A)ならびにBRAF変異V600Eは、孤発性変異CRC(すなわち、全てのCRCの75%)の約82%の原因である。これらの変異は、KRAS変異およびBRAF変異がCRCに関連し、抗EGFR療法に応答しない患者(全てのCRCの約50%)の94%に存在する。
【0231】
本発明者らは、IntPlex法を、cirDNA抽出物中のこれらの変異の検出に合うようにした。前記変異の存在を検出するために、Intplexシステム用に特別設計されたオリゴヌクレオチドプライマーの配列および化学修飾ブロッカーオリゴヌクレオチドの配列を表4に示した。本実施例では、ブロッカー(ASB Q-PCR)法を用いたAS Q-PCRを使用した。BRAF変異および6つのKRAS変異が、「従来」IntPlex ASB Q-PCRシステムおよび「インバース」IntPlex ASB Q-PCRシステムそれぞれを用いて検出された。
【0232】
(表4)
【0233】
一例として、
図17は、KRAS変異G12Vを明らかに有するCRC患者(CRC1)、その変異を有すようには見えなかったCRC患者(CRC2)、および健康個体(HHP1)からの血漿試料を用いて得られた結果を示す。
【0234】
CRC1では、cirDNAの断片の68%が変異KRAS G12Vを有するのに対して、他のKRAS変異のパーセントは、この患者では1.2%を超えない。
【0235】
CRC2では、cirDNA断片の0〜6.6%がBRAF変異またはKRAS変異を有するように見える。
【0236】
HHP1では、cirDNA断片の0〜3.2%がBRAF変異またはKRAS変異を有するように見える。
【0237】
CRC2データは、明らかに変異したcirDNAの有意な%を示すが、レベルは4種類の変異について同じであるように見える。非常に稀な症例を除き、これらの変異は互いに相反するという事実を考えると、CRC2の場合、変異状況を特異的に規定するための%変異cirDNAの閾値に達していない。従って、CRC2血漿中の変異cirDNAを定量するために得られた値は非特異的な効果に相当する。ここでは正の閾値を少なくとも7%に固定することができたが、それぞれの変異についての閾値を決定するためには、重要な試料数を用いた研究が必要とされる。さらに、変異パーセントと他のパーセントとの識別を評価するために、アルゴリズムを用いて試料内の閾値を統合することができる。それにもかかわらず、この数字はCRC1だけが変異(G12V)を有していることを示す。
【0238】
驚いたことに、様々な臨床試料におけるこれらの結果および他の結果(示さず)から、文献に記載の結果と比較して(平均して1%であり、10%より決して大きくならない)(5、7)、変異cirDNA断片の割合は極めて高い(17%〜70%)ように見えることが分かる。このことは、腫瘍cirDNAの高感度かつ特異的な分析を生じる本発明者らの方法の能力ならびにその革新的な特徴を示している。
【0239】
結果として、残念なことに、CRC2患者とは対照的に、CRC1患者はEGFR阻害剤で治療することができない。
【0240】
従って、本発明の一部である、この適合されたIntplex法は、cirDNAのサイズ集団の正確な知識に基づく簡単なcirDNA分析法であるように思われる。これは、一段階Q-PCRでcirDNAの直接分析を可能にするオリゴヌクレオチドプライマーの正確な選択に頼っている。循環核酸(NA)分析からの3組の独立したデータ(1.変異検出、2.腫瘍cirDNA濃度およびcirDNA総濃度の正確な定量、ならびに3.cirDNAのアポトーシス起源に関する比の評価)を同じ試験において統合することができる。
【0241】
実施例VI:HHP対象およびCRC対象のcirDNA濃度プロファイル
3人のCRC患者および3人の健康個体からの血漿試料から、前記のように60bp、73bp、101bp、145bp、185bp、249bp、300bp、357bp、409bpの断片を増幅するプライマーセットを用いたq-PCRによってcirDNA濃度を決定した。得られた濃度プロファイルは、これらの全てについてCRC対象または健康対象のいずれかに特異的である。HHP対象の最大値平均は6.19ng/ml血漿であり、CRC対象の最大値平均は943.59ng/ml血漿であった。300/60比および300/73比を使用した時に、HHP/CRC完全性指数の比の計算による最良の識別が得られ(それぞれ、8.18および10.07)、以前のデータが裏付けられた。明らかに、409/60の比が最も高かったが、自由裁量によって考慮に入れなかった。なぜなら、CRC血漿中の409断片の増幅により得られた濃度が分析感度に近かったからである。ある断片サイズ増幅によって得られた濃度を、次のそれぞれの増加するサイズから差し引くことによって、60〜409bpの範囲内にあり、連続した2つのアンプリコンサイズ間のcirDNA量の%を評価することができる(サイズnの増幅断片を検出した時のctDNA濃度をCn、増加する増幅断片サイズシリーズにある、すぐ後ろの大きなサイズの増幅断片を検出した時のcirDNA濃度をCn+1と考えると、両サイズ間に存在する濃度はCn-Cn+1と計算される)。
【0242】
ctDNA%で表された値対ctDNA長さの画分(範囲)を
図18のヒストグラムに示した。データは、CRC血漿およびHHP血漿が60-73bp、73-101bp、および101-145bp範囲にあるcirDNA量の同じプロファイルを示し、73-101範囲ではCRC血漿のレベルの方が著しく高いことを示唆している。145-185〜357-409bp範囲にはHHP cirDNAが存在しないこととは対照的に、cirDNAレベルが9%から2%に減少して有意に検出された。HHPからのcirDNAについて高い割合(35%)の409bpより大きなサイズが見出されたのに対して、CRC cirDNAについては非常に低いレベル(2%)が確かめられた。
【0243】
これらのデータは、当業者からは予想されない、HHP血漿とCRC血漿との良好な識別をはっきりと示している。
【0244】
実施例VII:患者における病理学的状況または生理学的状況、例えば、腫瘍の存在または腫瘍進行の診断または予後を行うための方法において提唱されるロジスティック関数のパラメータ。前記病理学的状況または生理学的状況はSNP遺伝子マーカー(すなわち、癌に関連した変異の存在)に関連する
診断または予後の内容に関連する最終値を得るために、少なくとも2種類のバイオマーカーを含む、ロジスティック関数によって組み合わせることができる値(
図9を参照されたい)
(A1A2)=(B1B2)=X
(A1B2)=Y
X<180およびY>X
理想的には:50<X<100および200<Y<350
式中、
-B1B2は、遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を含有する配列と定義され、
-A1A2は、遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を含有せず、かつ同じDNA鎖に位置する配列と定義され、
-数字は、増幅配列(アンプリコン)のヌクレオチドの数に相当し、
-XおよびYは、それぞれ、
短いアンプリコンの増幅に用いられるプライマーの5'末端間のゲノムDNA上の距離、および長いアンプリコンの増幅に用いられるプライマーの5'末端間のゲノムDNA上の距離である。
【0245】
これらのバイオマーカーは以下を可能にする。
1.それぞれの遺伝子多型プライマーセットについて、特定の閾値より大きなレベルの%B1B2/A1A2を決定することによる、遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)の存在の定性検出。
B1B2は、遺伝子多型(例えば、SNPまたは変異)を含有する配列と定義される。
2.総cirDNAと腫瘍cirDNAの特異的定量:それぞれ、A1A2量およびB1B2量
3.DNA断片化指数の評価(本発明では、「アポトーシス率」、「DNA断片化指数」、および「完全性指数」という言葉は同じ意味を有する):%B1B2またはA1A2/A1B2。
-全ての循環核酸(DNA、RNA、siRNA、miRNAなど)への適用可能性。
-Q-PCR較正用の核酸標準として、特定の長さ、例えば<180bp、理想的には<100bpの核酸の使用。
【0246】
実施例VIII:100bpより小さなサイズのctDNAが大きな割合のctDNAであり、電気泳動分析に基づく以前に確立された仮説が間違っていることを証明する
2人のCRC患者(CRC021およびCRC019)から抽出されたctDNA 20μgのアガロースゲル電気泳動。ラダーは複数の100bp DNA断片からなる。測定直後にゲルの一部を取り出した。CRC021の場合、10〜440bpに対応するゲルの1つの部分を取り出し、Q-PCRに供した。CRC019の場合、30〜130bpおよび130〜500bpに対応するゲルの2つの部分を取り出し、Q-PCRに供した。ctDNAを定量し、前記のKRASイントロンの73bp、145bp、および300bpアンプリコンを検出する時に、前記のようにQ-PCR分析の条件を実施した。CRC021血漿中に、総ctDNAの47%は73〜145bpに見出されたのに対して、36%および17%はそれぞれ145〜300bpおよび>300bp範囲に見出された。CRC019血漿中に、総ctDNAの61%は73〜145bpに見出されたのに対して、35%および5%はそれぞれ145〜300bpおよび>300bp範囲に見出された。30〜130bpのゲル部分において、総ctDNAの57%が観察された(
図19Aおよび
図19Bを参照されたい)。
【0247】
これらのデータは、180bpより小さな、特に100bpより小さなサイズのctDNAが多量に存在することを証明する。従って、電気泳動は、ctDNAサイズを評価するための適切な分析方法ではない。これは、ctDNAが180bpより大きなサイズであると明らかに示した電気泳動分析に基づく以前に確立された仮説が間違っていると初めて証明したものである。
【0248】
本発明者らは、180bpより小さなサイズのctDNA断片が、以下の理由でシグナル閾値より小さくなるために、電気泳動および蛍光色素標識後に見えなくなると推論する。
1.180bpより小さなctDNA断片はヌクレオチドごとに異なる場合があり、そのため正確なサイズでは局所濃度が小さくなる。
2.Sybre greenなどの蛍光色素には最大インターカレーションレベルがあり(すなわち、23ヌクレオチドにつき1つのSybre Green分子)、そのため小さなサイズのctDNAのシグナル強度は厳しく限定される。例えば、69bp DNA断片のシグナルは207bp断片のシグナルの1/3である。
【0249】
実施例IX:100bpより小さな、例えば、60bpのサイズのctDNAのctDNA濃度から決定されるDIIは健康個体とCRC個体を有意に識別する
ゲノムDNAならびにマウス血漿(非異種移植および異種移植)ならびにヒト血漿(健康およびCRC)(
図20を参照されたい)からのctDNAのDII値の比較(表5)。DIIは、KRAS領域中にある300bp配列および60bp配列を標的化することによって得られた濃度の比によって評価された。HHP(n=16)のDII平均値はCRC(n=12)のDII平均値とは有意に異なる(それぞれ、平均、0.565および0.122;p<0.001)。類似の差違が動物モデルにおいて観察された。この場合、平均DIIは健康血漿ctDNA(n=9)については0.447であり、非腫瘍由来ctDNA(n=9)については0.645であり、腫瘍由来ctDNA(n=9)については0.027であった。
【0250】
これは、DIIを決定するために、100bpより小さな、特に、ここで用いられた60bpのサイズのアンプリコンを検出する発見を支持する。
【0251】
(表5)ゲノムDNAならびにマウス血漿(非異種移植および異種移植)からのctDNAからのDII値の比較
【0252】
実施例X:本発明のプライマーデザインを使用し、様々な遺伝子領域において計算されたDIIは高い正確度および少ないばらつきを示す
本発明によるマルチプレックス法において用いられるプライマーのデザインについては2種類の構成:convおよびinvがある。ここで、本発明者らは、KRASおよびBRAF領域(それぞれ、2番目のエキソンホットスポット変異およびV600Eを含有する)におけるconv構成およびinv構成、KRAS遺伝子の2番目のイントロンにおけるconv構成(BRAF conv)を用いてCRC患者血漿からDIIを決定した。本発明者らは、これらのDIIを、同じ遺伝子内の離れた領域において計算されたDII(長いKRAS conv/短いKRAS int、KRAS convにおいて用いられた長い配列の増幅につながるプライマー対を用いて得られた濃度と、KRAS intにおいて用いられた短い配列の増幅につながるプライマー対を用いて得られた濃度との比に相当する)、および2つの異なる遺伝子の離れた領域において計算されたDII(長いKRAS conv/短いBRAF inv、KRAS convにおいて用いられた長い配列の増幅につながるプライマー対を用いて得られた濃度と、BRAF invにおいて用いられた短い配列の増幅につながるプライマー対を用いて得られた濃度との比に相当する)と比較した。
【0253】
第1に、データは、遺伝子領域が何であっても、本発明者らの発明の際に計算されるDII値の高い正確度および少ないばらつきを初めてはっきりと証明する。DII値は0.077から0.094まで異なる(相関係数=9.1%)(
図21を参照されたい)。
【0254】
第2に、同じ遺伝子または異なる遺伝子の中にある離れたDNA配列を標的とするプライマー対を用いて得られた値は異なり、より正確には、本発明のプライマーデザインに従って見出された値より有意に小さい(それぞれ、0.061および0.048)。
【0255】
Q-PCR分析からの値と、以前に述べられた実験条件下でのDNA抽出からの値の最大相関係数は23%(n=12)である。
【0256】
実施例XI:100bpより小さなctDNAサイズ画分の量が関与する様々な指数の決定
図18に示したデータから様々な指数が決定された。これらの指数は異なるサイズ画分から計算された(表6を参照されたい)。
【0257】
(表6)
【0258】
%<100bp、100bpより小さなサイズの(より正確には60〜100bp画分からの)ctDNA断片のパーセント;
DII300/60、300bpより大きなサイズのctDNA断片の濃度とctDNA総濃度との比;
SFR409/<100、409bpより大きなサイズのctDNA断片の濃度と60〜100bp画分の濃度との比;
SFR<100/145-409、60〜100bp画分のctDNA断片の濃度と145〜409bp画分のctDNA断片の濃度との比
【0259】
データは、100bpより小さなctDNA画分の濃度の決定が非常に興味深く、CRC患者の血漿と健康対象の血漿を大まかに識別できることをはっきりと示している。第2に、SFRなどのctDNAサイズ画分比の使用は、この目標を達成する上で大きな助けとなる。
【0260】
実施例XII:ctDNA断片サイズパターンを示す、SFRなどの様々なパラメータの決定
本発明者らは、変異ctDNAのサイズパターンを非変異ctDNAのサイズパターンと比較して研究した。この目標に向けて、本発明者らは、同じ領域内にある、増加した標的サイズを増幅するプライマーセットを使用した。このセットは、KRAS遺伝子のホットスポット領域にある配列(2番目のエキソンの12番目および13番目のコドン)の増幅を生じる。この場合、全てのプライマー対のフォワードプライマーは、特異的に、この領域の点変異または野生型配列を標的とするように設計されている(以下の表7および
図22A〜22Eを参照されたい)。これらのセットは、変異標的配列または非変異標的配列を定量するために高感度および高特異性を促進するように注意深く選択された(以下の表8を参照されたい)。
【0261】
(表7)
【0262】
本実験を実施するために用いられたプライマーは以下の通りである(表8を参照されたい)。
【0263】
(表8)
【0264】
次いで、本発明者らは、ctDNA総濃度(変異ctDNAの濃度および非変異ctDNAの濃度の合計)から、短い標的(82bp)を増幅するプライマーセットを用いて濃度を決定することによって変異ctDNAの%を決定した。
【0265】
ctDNA断片サイズパターンを示す様々なパラメータの決定。データを表(表7)に示すか、またはヒストグラムにプロットした(
図22A〜22Eを参照されたい)。サイズ画分は、それぞれのセットにおいて得られた最も高い値に対する%として表した。<138bpまたは145bpのctDNA断片の割合は、82bp標的を増幅するプライマーセットを用いて決定された濃度を、138bp標的を増幅するプライマーセットを用いた濃度に対して差し引くことによって決定された。値がマイナスになる場合、データは任意に0と表された。>300bpのctDNA断片の割合は、300bp標的を増幅するプライマーセットを使用することによって決定された。ctDNA 完全性指数(DII)は、300bp標的を増幅するプライマーセットを用いて決定された濃度と、82bp標的を増幅するプライマーセットを用いて決定された濃度との比を計算することによって決定された。サイズ画分比(SFR)は、<138 bpまたは145bpの断片の濃度と138-145bp〜300bpの断片の濃度との比を計算することによって決定された。ヒストグラムの下にある数字:4、5、6、14、KRASについて陽性変異状況のあるCRC患者(CRC4〜6およびCRC14)からの血漿。H、健康個体(n=9)。
【0266】
健康個体からのヒト血漿およびKRAS点変異をもつ4人のCRC患者からのヒト血漿の様々なctDNAサイズ画分の割合、完全性指数、ならびにサイズ画分比(本発明者らはSFRと呼ぶ)を図にまとめた。変異ctDNAは主に<138bp断片からなるのに対して、非変異ctDNAは主に138〜300bp範囲の断片からなり、<138bp断片は非常に少ない。または、健康個体のctDNAははっきりと<138bpおよび>300bpの断片からなるように見られ、138〜300bpの断片は目に見えない。
【0267】
データは、ctDNAサイズ画分分析、特に、本発明者らが本研究において計算したサイズ画分比、例えば、SFRの決定によるctDNAサイズ画分分析がKRASの変異ctDNAと非変異ctDNAとの区別に役立ち得ることをはっきりと示している。さらに、サイズ画分分析はctDNA放出機構の内容についての指示を開示することがある。それにもかかわらず、健康個体からのctDNAとは対照的にCRC患者における非腫瘍由来ctDNAは主にアポトーシスに由来し、より少ない程度で腫瘍由来ctDNAに由来し得ることがデータから示唆される。ここで実施されたような連続ネステッドQ-PCRを用いた増幅実験は時間がかかるので、このような指標の計算によってサイズパターン分析が容易になるはずである。
【0268】
実施例XIII:アンプリコン長を使用した時の総ctDNAからの%変異断片の測定値の比較
ctDNAの定量は、CRC40においてKRAS G12D、CRC50においてKRAS G12D、およびCRC60においてKRAS G13D変異を有する腫瘍細胞のある患者の血漿から、82bp、138bp、300bpの漸増するサイズの標的を増幅することによって決定された(表9を参照されたい)。変異ctDNAの定量は、3'に変異を含む同じリバースプライマー、ならびに5'末端から82bp、138bp、および300bp離れた領域を標的とするプライマーから構成されるプライマー対を用いて行われた。非変異ctDNAは、同じフォワードプライマーおよび野生型配列を有する同じリバースプライマー(前の実施例からのデータなど)を用いて定量された。総ctDNAは変異断片と非変異断片の合計に相当する。
【0269】
データは、変異体ctDNA断片%の測定値が、検出されるアンプリコンのサイズに応じて異なることをはっきりと示し、アンプリコンサイズが100bpより小さい時に変異体ctDNA断片の量が非常に多いことを証明している。これにより、変異体断片のパーセントを決定することによって、ctDNAから変異の存在がより正確に検出される。この値が閾値パーセントを上回った時に、陽性検出は決定される。それぞれのCRC血漿について、82bpアンプリコンを検出した時の%変異は138bpアンプリコンの検出と比較してCRC4において約2.5倍、CRC5において3.4倍、およびCRC6において6.3倍に増加するのに対して、値が計算されたctDNAに対する割合%はCRC4において3.3倍、CRC5において3.9倍、およびCRC6において9.3倍であった(表9を参照されたい)。
【0270】
(表9)
【0271】
実施例XIV:生検材料の配列決定によって決定されたKRAS変異状況と本発明によるctDNAに基づく方法によって決定されたKRAS変異状況とが完全に一致することを示す追加データ(表10を参照されたい)
【0272】
(表10)
【0273】
実施例XV:様々なサイズのアンプリコンの検出からのctDNA量を用いて計算されたDII
【0274】
(表11)
【0275】
(表12)
【0276】
本発明者らは、動物実験からの様々な短い配列および長い配列のPCR増幅(下記の表11および前記の実施例を参照されたい)ならびに臨床試料のctDNAのサイズプロファイリング(下記の表12および前記の実施例を参照されたい)を用いてDIIを決定した。
【0277】
本発明者らが、60bpなどの短いアンプリコンを検出することによって決定される濃度がctDNA総濃度に相当すると考えるのであれば、DIIは、長いアンプリコンより大きなサイズのctDNA画分の%に相当する。
【0278】
データから、60bpまたは73bpなどの<100bpのサイズのアンプリコンおよび>249bpのサイズのアンプリコンを検出することによってDIIを計算した時に健康血漿とCRC血漿との間で最大の差が観察されたことが分かる。マウス実験から計算されたDIIは、この観察を裏付けている。
【0279】
より正確には、101bpまたは145bpなどの100bpより大きなサイズのアンプリコンのQ-PCR検出を用いて計算されたDIIと比較した時に、60bpまたは73bpを用いて計算されたDIIは臨床試料において約1/1.5であり、異種移植マウスにおいて約1/17である。従って、100bpより小さな、特に、73bpより小さなアンプリコンサイズの検出の使用によって、健康個体とCRC患者を良好に識別することが可能になる。
【0280】
>300bpの画分の使用より、>409bpの画分の使用によってCRC個体と健康個体が良好に識別されることに留意のこと。
【0281】
実施例XVI:変異を検出するために本発明による方法(特に、前記IntPlex法)を使用した時の変異の下流または上流に位置するDNA領域の説明
非常に多くの報告が、変異を検出するように提唱した時に変異の下流または上流に位置する領域の標的化について説明した。例えば、この領域に対応するDNA配列とハイブリダイズするように様々なプライマー(18〜30ヌクレオチド)が設計された。ここで、本発明者らは、conv構成またはrev構成(それぞれ、従来構成およびインバース(inv)構成、それぞれ、これらのconv構成およびinv構成に関連する分子実体のconv設計およびrev(またはinv)設計とも呼ばれる)のいずれかで、この方法に用いられるプライマーデザインの説明に従って、他の領域を標的化する分子実体の使用を保護することを主張する(
図11)。本発明者らは、以下のパラメータが与えられれば、検出される変異からこれらの領域について説明することができる。
・プライマー最小サイズ=15ヌクレオチド
・プライマー最大サイズ=30ヌクレオチド
・2種類のプライマー間の間隔(両プライマーの3'末端間の間隔)=5bp
・A1A2またはB1B2のアンプリコンサイズ範囲=35〜100bp
・A1B2は250〜450bpのサイズ範囲内にある。
【0282】
図11Aに示したようなconv設計の場合、保護される分子実体は、以下:
・B2プライマーがハイブリダイズし、非センスDNA鎖にある変異の位置から5〜85ヌクレオチド下流に位置する領域
・検出される変異の位置から430〜100ヌクレオチド上流にプライマー対A1A2を設計することができる領域
を標的とする分子実体である。
【0283】
図11Bに示したようなinv設計の場合、保護される分子実体は、以下:
・A1プライマーがハイブリダイズし、非センスDNA鎖にある変異の位置から5〜85ヌクレオチド上流に位置する領域
・検出される変異の位置から100〜430ヌクレオチド下流にプライマー対B1B2を設計することができる領域
を標的とする分子実体である。
【0284】
A)BRAF V600E点変異が関心対象の時に本発明者らの方法の際に標的化されるDNA領域の例
a)プライマーなどの分子実体が、この変異に適用される本発明者らのマルチプレックス法の際に標的とすることができる領域を示した
図23を参照されたい。
【0285】
この変異に適用される前記方法に有用な、選択されたオリゴヌクレオチド(表13および表14を参照されたい)。
b)BRAF従来システム用のB2プライマー用の選択されたオリゴヌクレオチド(表13を参照されたい)
【0286】
(表13)
【0287】
c)BRAFリバース(インバース)システム用のA1用の選択されたオリゴヌクレオチドプライマー(表14を参照されたい)
【0288】
(表14)
【0289】
B):KRAS遺伝子の2番目のエキソンの2番目および3番目のコドンのホットスポット点変異が関心対象の時に本発明者らの方法の際に標的化されるDNA領域の例
a)プライマーなどの分子実体が、この変異に適用される本発明者らのマルチプレックス法の際に標的とすることができる領域およびプライマーを示した
図24A〜24Eを参照されたい。
KRAS領域の2番目のエキソン
Upon:EnsemblデータバンクからのKRAS(ENSG00000133703)
v-Ki-ras2 Kirstenラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ[Source:HGNC Symbol;Acc:6407
点変異;6151
【0290】
KRAS従来設計およびインバース設計:
図24A〜24Eを参照されたい。
【0291】
b)conv構成の際のKRASエキソン2ホットスポット変異を検出するためのA1A2プライマー対用の選択されたDNAオリゴヌクレオチド(表15を参照されたい)
【0292】
(表15)
【0293】
C)インバース構成の際のKRASエキソン2ホットスポット変異を検出するためのA1A2プライマー対用の選択されたDNAオリゴヌクレオチド(表16を参照されたい)
【0294】
(表16)
【0295】
A1:SEQ ID NO 163-196(Amo2〜Amo35、
図24Dを参照されたい)
【0296】
参考文献