(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明の詳細な説明
本明細書で提供されるのは、リボヌクレアーゼ(RNase)活性関連細菌性RnpAの小分子阻害剤、それらの調製方法、および微生物感染の治療および予防における使用方法である。小分子阻害剤は、rRNAおよびmRNAの消化を触媒する不可欠のタンパク質、RnpA、を含む黄色ブドウ球菌、等の微生物感染治療の新規機序を開拓する。この機序は、今まで、既知でなく、または開発されていなかった。この活性の開拓にあたり、高スループットで二次的な選別アッセイを採用し、RnpA媒介RNA分解の小分子阻害剤の特定を行った。これらの薬剤は、細胞性mRNA分解を制限し、いくつかの微生物に対する抗菌活性を示した。これらの微生物には、米国中に出回っている主なメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)系統、バンコマイシン中程度感受性黄色ブドウ球菌(VISA)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA)および高RnpAアミノ酸保存の他のグラム陽性細菌病原体が含まれる(McDougal et al.、J Clin Microbiol、41:5113−5120(2003)、を参照)。本明細書で提供されるように、RnpA阻害剤は、全身性マウス感染モデルでの疾患を制限し、バイオフィルム関連黄色ブドウ球菌に対し抗菌活性がある。まとめると、これらの知見は、RnpAが黄色ブドウ球菌のRNA分解で重要な役割を果たすことを示し、高スループット選別を使ってmRNA代謝回転阻害剤を特定できることを立証し、RNA異化反応に基づく抗菌療法の原理に対する証明を与える。
【0019】
本明細書記載の材料、化合物、組成物、製品、および方法は、開示内容およびその中の実施例の下記の特定の態様の詳細説明を参照することにより、容易に理解されよう。
【0020】
本材料、化合物、組成物、キット、および方法が開示および記載される前に、以下に記載の態様は、当然変わってもよいので、特定の合成方法または特定の試薬に限定されないことは理解されよう。また、本明細書で使用される用語は、特定の態様のみの説明の目的のためであり、限定する意図はないことも理解されよう。
【0021】
また、この明細書の全体を通して、種々の出版物が引用される。これらの出版物の開示は、その全体が、開示内容が関係する最先端技術をより完全に説明するために、参照によって本出願に組み込まれる。開示された文献は、また、文中で考察されるその文献の内容のために、個別に、具体的に参照によって本明細書に組み込まれる。
【0022】
一般的定義
本明細書および添付の特許請求の範囲では、多くの用語に言及されるが、これらは、下記の意味を持つものとする:
【0023】
本明細書の記載および添付の特許請求の範囲の全体にわたり、単語「含む(comprise)」および単語の他の形、例えば、「含む(comprising)」および「含む(comprises)」は、限定されないが、含む(including)を意味し、例えば、他の添加物、成分、整数、または工程、を排除する意図はない。
【0024】
本説明および添付の特許請求の範囲で使われるように、単数形「1つの」、「ある」、および「その」は、文意が明確に別義を示さない限り、複数の対象を含む。従って、例えば、「組成物(a composition)」への言及は、2つ以上のこのような組成物の混合物を含み、「化合物(the compound)」への言及は、2つ以上のこのような組成物の混合物を含む、等。
【0025】
「任意選択の(Optional)」または「任意選択で(optionally)」は、その後に続くイベントまたは状況が起こっても起こらなくてもよく、また、その説明がイベントまたは状況が起こる場合、および起こらない場合を含むことを意味する。
【0026】
本明細書では、範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までのように表現できる。このような範囲が表される場合、別の態様は、1つの特定の値から、および/またはもう一つの特定の値まで含む。同様に、値が近似値として、先行詞「約」によって表される場合は、特定の値は、別の態様を形成すると理解されるであろう。それぞれの範囲の終点は、他方の終点に関連して、および、他方の終点とは無関係に、意味があることもさらに理解されよう。本明細書でいくつかの値が開示され、それぞれの値は、また、本明細書では、値それ自体に加えて、「約」その特定の値としても開示されることも理解されよう。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」もまた開示される。値が開示されると、「以下の(less than or equal to)」値、「以上の値(greater than or equal to the value)」、および値の間の可能な範囲もまた、当業者には適切に理解されるように、開示されることも理解されよう。例えば、値「10」が開示される場合、「10以下」ならびに「10以上」もまた、開示される。出願全体を通し、データがいくつかの異なるフォーマットで提供され、このデータが終点および始点ならびにデータポイントの任意の組み合わせの範囲を表すことも理解されよう。例えば、特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント「15」が開示される場合、10と15より大きい、以上、未満、以下およびこれらに等しい、ならびに10および15の間、が開示されていると見なされることが理解されよう。また、2つの特定のユニットの間のそれぞれのユニットも開示されていると理解されよう。例えば、10と15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0027】
本明細書で使われる「対象」は、個体を意味する。従って、「対象」は、家畜化動物(例えば、ネコ、イヌ、等)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、等)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、等)、および鳥類、を含むことができる。対象は、また、哺乳動物、例えば、霊長類またはヒトを含むことができる。
【0028】
「減らす(reduce)」またはこの語の他の形、例えば、「減少(reducing)」または「減少(reduction)」は、イベントまたは特性(例えば、細菌感染)を低下させることを意味する。典型的な例では、いくつかの標準的または予測値に対するものであり、換言すれば、相対的であるが、必ずしもいつも参照される標準的な値または比較する値が必要ではないことは理解されよう。例えば、「細菌感染を減らす」は、標準または対照に比べて細菌感染の蔓延を減らすことを意味する。
【0029】
「防ぐ(prevent)」またはこの語の他の形、例えば、「予防(preventing)」または「予防(prevention)」は、特定のイベントまたは特性を停止させ、特定のイベントまたは特性の発生または進行を固定または遅らせること、または特定のイベントまたは特性が発生する機会を最小化することを意味する。例えば、減らす(reduce)より絶対的であるので、典型的な例では、防ぐ(prevent)は、対照に対する比較を必要としない。本明細書で使用されるように、減らすことはできるが防止できないものもあれば、減らすことができ、さらに防止も可能なものもある。同様に、あるものは防止できるが減らすことができないが、あるものは防止され、さらに減らすことも可能である。減らすまたは防ぐが使用される場合は、特に別義が指定されない限り、もう一方の語の使用も明示的に開示されることは理解されよう。
【0030】
「治療(treat)」またはこの語の他の形、例えば、「治療された(treated)」または「治療(treatment)」は、特定の特性またはイベント(例えば、腫瘍成長または生存)を減らす、防ぐ、抑制する、または取り除くために、組成物を投与すること、またはある方法を実行することを意味する。用語「制御する(control)」は、用語「治療(treat)」と同義に使用される。
【0031】
「抗菌」は、任意の濃度で微生物の増殖を治療または制御する(例えば、減らす、防ぐ、抑制する、または除く)能力を意味する。同様に、用語「抗菌性」は、任意の濃度で細胞性細菌増殖を治療または制御する能力を意味する。
【0032】
本明細書の全体を通して、識別子「第1の」および「第2の」は、開示内容の種々の要素および工程を区別するのを助けるためのみの目的で使用されることは理解されよう。識別子「第1の」および「第2の」が、これらの用語で修飾される要素または工程に対し、特定の順番、量、優先度、または重要性を意味することは、まったく意図されていない。
【0033】
化学上の定義
本明細書で使用される用語「置換」は、全ての許容される有機化合物の置換基を含むことが意図されている。広範な態様では、許容可能な置換基には、非環式および環式、分岐および非分岐、炭素環式およびヘテロ環式、ならびに芳香族および非芳香族有機化合物置換基が含まれる。置換基の例には、例えば、下記に記載のものが含まれる。許容可能な置換基は、適切な有機化合物の、1つまたは複数の置換基であっても、同じでまたは異なる置換基であってもよい。本開示の目的のためには、窒素、等のヘテロ原子は、水素置換基および/または本明細書記載のヘテロ原子の原子価に適合するいずれかの許容可能な有機化合物置換基を持つことができる。本開示は、どのような形であれ、許容可能な有機化合物置換基を制限する意図はない。また、用語「置換」または「で置換」は、このような置換は、置換原子および置換基の許容された原子価に一致し、また、置換は、安定な化合物を生じ、例えば、化合物は、例えば、転移、環化、離脱、等により自然に変換を受けないという暗黙の条件を含む。
【0034】
「Z
1」、「Z
2」、「Z
3」、および「Z
4」は、本明細書で一般的記号として種々の特定の置換基を表すために使用される。これらの記号は、任意の置換基でよく、本明細書で開示のものに限定されない。また、それらが、1つの例で特定の置換基であると定義される場合は、それらは、別の例では、いくつかの他の置換基として定義できる。
【0035】
本明細書で使われる用語「脂肪族」は、非芳香族炭化水素基を意味し、分岐および非分岐、アルキル、アルケニル、またはアルキニル基を含む。
【0036】
本明細書で使われる用語「アルキル」は、1〜24炭素原子の分岐または非分岐飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシル、等である。アルキル基は、また、置換されていても未置換であってもよい。アルキル基は、限定されないが、下記に記載されるように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルフォオキソ、スルホニル、スルホン、スルフォキシド、またはチオール、を含む1つまたは複数の基で置換できる。
【0037】
明細書全体を通して、「アルキル」は、一般的に、未置換アルキル基および置換アルキル基の両方を指すのに使われるが、本明細書では、置換アルキル基は、また、具体的に、アルキル基上の特定の置換基を特定することを意味する。例えば、用語「ハロゲン化アルキル」は、1つまたは複数のハロゲン化物、例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素で置換されるアルキル基を具体的に指す。用語「アルコキシアルキル」は、以降で記載する1つまたは複数のアルコキシ基で置換されるアルキル基を具体的に指す。用語「アルキルアミノ」は、以降で記載する1つまたは複数のアミノ基で置換されるアルキル基を具体的に指す、等。「アルキル」が、1つの例で使われ、特定の用語、例えば、「アルキルアルコール」が別の例で使われる場合、用語「アルキル」が、特定の用語、例えば、「アルキルアルコール」、等もまた指さないことを暗示するようには意図されていない。
【0038】
この手法は、本明細書記載の他の基にも使用される。すなわち、「シクロアルキル」等の用語は、未置換および置換シクロアルキル成分の両方を意味するが、置換成分は、さらに、本明細書で具体的に特定でき、例えば、特定の置換シクロアルキルは、例えば、「アルキルシクロアルキル」と呼ぶことができる。同様に、置換アルコキシは、具体的に、例えば、「ハロゲン化アルコキシ」と、また、特定の置換アルケニルは、例えば、「アルケニルアルコール」、と呼ぶことができる、等。繰り返すが、一般用語、例えば、「シクロアルキル」および特定の用語、例えば、「アルキルシクロアルキル」を使う手法は、一般用語が、特定の用語もまた含まないことを暗示するようには意図されていない。
【0039】
本明細書で使われる用語「アルコキシ」は、単一の、末端エーテル結合を介して結合したアルキル基であり、すなわち、「アルコキシ」基は、−OZ
1として定義できる。ここでZ
1は、上で定義のアルキルである。
【0040】
本明細書で使われる用語「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む構造式を有する2〜24炭素原子の炭化水素基である。非対称の構造、例えば、(Z
1Z
2)C=C(Z
3Z
4)は、EおよびZ異性体の両方を含むことが意図されている。これは、非対称のアルケンが存在する本明細書の構造式で推定できるか、または明示的に結合記号C=Cにより示されうる。アルケニル基は、限定されないが、以降で記載のように、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルフォオキソ、スルホニル、スルホン、スルフォキシド、またはチオール、を含む1つまたは複数の基で置換できる。
【0041】
本明細書で使われる用語「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む構造式を有する2〜24炭素原子の炭化水素基である。アルキニル基は、以降で記載のように、限定されないが、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルフォオキソ、スルホニル、スルホン、スルフォキシド、またはチオール、を含む1つまたは複数の基で置換できる。
【0042】
本明細書で使われる用語「アリール」は、限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼン、等のいずれかの炭素ベース芳香族基を含む基である。用語「ヘテロアリール」は、芳香族基の環中に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含む基として定義される。ヘテロ原子の例には限定されないが、窒素、酸素、硫黄、およびリンが含まれる。用語「アリール」に包含される用語「非ヘテロアリール」は、ヘテロ原子を含まない芳香族基を含む基であると定義される。アリールまたはヘテロアリール基は、置換されていても未置換であってもよい。アリールまたはヘテロアリール基は、限定されないが、本明細書記載の、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルフォオキソ、スルホニル、スルホン、スルフォキシド、またはチオール、を含む1つまたは複数の基で置換できる。用語「ビアリール」は、アリール基の特定のタイプで、アリール定義に含まれる。ビアリールは、ナフタレンの場合のように、縮合環構造を介して一緒に結合された、またはビフェニルの場合のように、1つまたは複数の炭素−炭素結合を介して結合された2つのアリール基を意味する。
【0043】
本明細書で使われる用語「シクロアルキル」は、少なくとも3つの炭素原子からなる非芳香族炭素ベース環である。シクロアルキル基の例には、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、等が含まれる。用語「ヘテロシクロアルキル」は、環の少なくとも1つの炭素原子が、ヘテロ原子、例えば、限定されないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンで置換されている上記で定義のシクロアルキル基である。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、置換されていても未置換でもよい。シクロアルキル基およびヘテロシクロアルキル基は、限定されないが、本明細書記載のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルフォオキソ、スルホニル、スルホン、スルフォキシド、またはチオールを含む1つまたは複数の基で置換できる。
【0044】
本明細書で使われる用語「シクロアルケニル」は、少なくとも3つの炭素原子からなる非芳香族炭素ベース環であり、少なくとも1つの二重結合、すなわち、C=Cを含む。シクロアルケニル基の例には、限定されないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、等が含まれる。用語「ヘテロシクロアルケニル」は、上記で定義のシクロアルケニル基の1つのタイプであり、環の少なくとも1つの炭素原子がヘテロ原子、例えば、限定されないが、窒素、酸素、硫黄、またはリンで置換される場合の、用語「シクロアルケニル」の意味に包含される。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、置換されていても未置換であってもよい。シクロアルケニル基およびヘテロシクロアルケニル基は、限定されないが、本明細書記載のアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、カルボン酸、エステル、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シリル、スルフォオキソ、スルホニル、スルホン、スルフォキシド、またはチオール、を含む1つまたは複数の基で置換できる。
【0045】
用語「環式基」は、本明細書では、アリール基、非アリール基(すなわち、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニル基)、または両方を指すために使用される。環式基は、置換されていても未置換でもよい1つまたは複数の環系を有する。環式基は、1つまたは複数のアリール基、1つまたは複数の非アリール基、または1つまたは複数のアリール基と1つまたは複数の非アリール基を含むことができる。
【0046】
本明細書で使われる用語「アルデヒド」は、式:−C(O)Hで表される。この明細書全体を通して、「C(O)」または「CO」は、C=Oの略式表記である。
【0047】
本明細書で使われる用語「アミン」または「アミノ」は、式:−NZ
1Z
2で表され、Z
1およびZ
2は、それぞれ、本明細書記載の置換基、例えば、上述の水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。
【0048】
本明細書で使われる用語「カルボン酸」は、式:−C(O)OHで表される。本明細書で使われる「カルボキシラート」または「カルボキシル」基は、式:−C(O)O
−で表される。
【0049】
本明細書で使われる用語「エステル」は、式:−OC(O)Z
1または−C(O)OZ
1で表され、Z
1は、上述のアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。
【0050】
本明細書で使われる用語「エーテル」は、式:Z
1OZ
2で表され、Z
1およびZ
2は、独立に、上述のアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。
【0051】
本明細書で使われる用語「ケトン」は、式:Z
1C(O)Z
2で表され、Z
1およびZ
2は、独立に、上述のアルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。
【0052】
本明細書で使われる用語「ハロゲン化物」または「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を意味する。
【0053】
本明細書で使われる用語「ヒドロキシル」は、式:−OHで表される。
【0054】
本明細書で使われる用語「ニトロ」は、式:−NO
2で表される。
【0055】
本明細書で使われる用語「シリル」は、式:−SiZ
1Z
2Z
3で表され、Z
1、Z
2、およびZ
3は、独立に、上述の水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。
【0056】
用語「スルホニル」は、本明細書では、式:−S(O)
2Z
1で表されるスルフォオキソ基を意味し、Z
1は、上述の水素、アルキル、ハロゲン化アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテロシクロアルケニル基であってよい。
【0057】
本明細書で使われる用語「スルホニルアミノ」または「スルホンアミド」は、式:−S(O)
2NH−で表される。
【0058】
本明細書で使われる用語「チオール」は、式:−SHで表される。
【0059】
本明細書で使われる用語「チオ」は、式:−S−で表される。
【0060】
本明細書で使われる「R
1」、「R
2」、「R
3」、「R
n」、等(nはある整数)は、独立に、上に挙げた1つまたは複数の基を持つことができる。例えば、R
1が直鎖アルキル基の場合、アルキル基の1つの水素原子は、任意選択で、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミン基、アルキル基、ハロゲン化物、等で置換できる。選択された基に応じて、第1の基は、第2の基中に組み込むことができ、または、代わりに、第1の基は、第2の基にぶら下げても(すなわち、結合しても)よい。例えば、語句「アミノ基を含むアルキル基」で、アミノ基は、アルキル基の骨格内に組み込むことができる。あるいは、アミノ基は、アルキル基の骨格に結合できる。選択された基の性質が、第1の基が第2の基に埋め込まれるか、または結合するかを決定するであろう。
【0061】
そうでないとの記述がない限り、化学結合が楔または点線としてではなく、実線のみとして示された式は、それぞれ、可能な異性体、例えば、それぞれ、鏡像異性体、ジアステレオマー、およびメソ化合物、ならびに異性体の混合物、例えば、ラセミまたはスケールミック混合物が意図されている。
【0062】
以降で、開示物質、化合物、組成物、製品、および方法の特定の態様に対し詳細な言及がなされ、それらの例が、付随する実施例中で説明される。
【0063】
化合物
本明細書記載の細菌リボヌクレアーゼ(RNase)の小分子阻害剤は、本明細書に記載される。阻害剤の第1の基は、式I:
【化13】
で表される化合物、ならびにその薬学的に許容可能な塩およびプロドラッグを含む。
【0064】
式Iで、Arは置換もしくは未置換アリール、または置換もしくは未置換ヘテロアリールである。いくつかの例では、Arは、置換もしくは未置換フラン、置換もしくは未置換チオフェン、または置換もしくは未置換フェニルである。
【0065】
また、式Iで、Lは、
【化14】
である。
【0066】
X
1およびX
2は、それぞれ独立にOまたはSとすることができる。いくつかの例では、X
1はOであり、かつX
2はSである。X
3はCH
2またはNHである。Lで、
【化15】
は、式IにおけるArまたは−CH
2O−に対する炭素原子の付着を意味する。たとえば、式Iによる化合物を、Lに基づく下記構造;
【化16】
により表すことができる。いくつかの構造I−Aの例では、X
1およびX
2はOとすることができ、かつX
3はNHとすることができる。
【0067】
さらに、式Iで、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5およびR
6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、置換もしくは未置換アミノ、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換ヘテロアルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換ヘテロアルキニル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルコキシル、置換もしくは未置換アリールオキシル、または置換もしくは未置換カルボキシルからそれぞれ独立に選択される。いくつかの例では、R
1およびR
2は、メチルである。いくつかの例では、R
3、R
4、R
5およびR
6は、水素である。
【0068】
式Iで、隣接R基、例えば、R
1およびR
2、R
3およびR
4、ならびにR
5およびR
6を結合させて、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルケニル、置換もしくは未置換シクロアルキニル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルケニル、または置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキニルを形成できる。たとえば、R
5は置換または未置換エチレン基であってよく、R
6は置換または未置換プロピレン基であってよく、これらが結合して置換または未置換フェニルを形成する。他の隣接R基は、R
1およびR
2、ならびにR
3およびR
4を含む。
【0069】
上述のように、式IのArはフランとすることができる。これらの式Iの実施形態は、下記構造I−D
【化17】
を含むことができる。
【0070】
式Iのいくつかの例において、R
1およびR
2がメチルであり、R
3、R
4、R
5およびR
6が水素であり、かつArが未置換フランである場合、Lは、
【化18】
ではない。
【0071】
式Iの特定の例は、化合物RNPA−2000
【化19】
である。
【0072】
阻害剤の第2の基は、式II
【化20】
により表される化合物ならびにその薬学的に許容可能な塩およびプロドラッグを含む。
【0073】
式IIで、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5は、NおよびCR
1からそれぞれ独立に選択される。R
1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、置換もしくは未置換アミノ、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換ヘテロアルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換ヘテロアルキニル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルコキシル、置換もしくは未置換アリールオキシル、または置換もしくは未置換カルボキシル、から独立に選択できる。いくつかの例では、A
1、A
2、A
3、A
4、およびA
5はそれぞれCR
1である。いくつかの例では、A
3は、−CClである。
【0074】
また、式IIで、R
2およびR
3は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、置換もしくは未置換アミノ、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換ヘテロアルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換ヘテロアルキニル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルコキシル、置換もしくは未置換アリールオキシル、または置換もしくは未置換カルボキシル、からそれぞれ独立に選択できる。いくつかの例で、R
2およびR
3は両方ともが水素である。
【0075】
さらに、式IIで、R
4は、水素、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換ヘテロアルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換ヘテロアルキルから選択される。いくつかの例では、R
4は、カルボン酸を含む。たとえば、R
4は、−CH
2CH
2CO
2Hとすることができる。いくつかの例では、R
4は、置換もしくは未置換アリールまたは置換もしくは未置換ヘテロアリールとすることができる。これらの例は、構造II−A
【化21】
により表すことができる。構造II−Aにおいて、A
6、A
7、A
8、A
9およびA
10は、NおよびCR
6からそれぞれ独立に選択される。R6は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、置換もしくは未置換アミノ、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換ヘテロアルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、置換もしくは未置換ヘテロアルキニル、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換アルコキシル、置換もしくは未置換アリールオキシル、または置換もしくは未置換カルボキシルからそれぞれ独立に選択される。
【0076】
さらに、式IIでは、YはO、S、またはNR
5である。R
5は、水素、置換もしくは未置換アルキル、置換もしくは未置換ヘテロアルキル、置換もしくは未置換アルケニル、置換もしくは未置換ヘテロアルケニル、置換もしくは未置換アルキニル、または置換もしくは未置換ヘテロアルキルから選択される。いくつかの例では、YはSである。これらの例は、構造II−B
【化22】
により表すことができる。
【0077】
任意選択で、YはNR
5とすることができる。これらの例は、構造II−C
【化23】
により表すことができる。
【0078】
式IIで、隣接R基、たとえば、2つの隣接R
1基またはR
2およびR
3基を結合させて、置換もしくは未置換アリール、置換もしくは未置換ヘテロアリール、置換もしくは未置換シクロアルキル、置換もしくは未置換シクロアルケニル、置換もしくは未置換シクロアルキニル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキル、置換もしくは未置換ヘテロシクロアルケニル、または置換もしくは未置換ヘテロシクロアルキニルを形成できる。たとえば、R
2は置換または未置換エチレン基であってよく、R
3は置換または未置換プロピレン基であってよく、これらが結合して置換または未置換フェニルを形成する。
【0079】
式IIの一部の例では、A
1、A
2、A
4およびA
5が、CHであり、R
2およびR
3が水素であり、A
3がCClであり、かつYがSである場合、R
4は−CH
2CH
2CO
2Hではない。
【0080】
式IIの特定の例は、化合物RNPA−3000
【化24】
である。
【0081】
医薬組成物
本明細書記載の化合物またはその誘導体は、医薬組成物として提供できる。目的とする投与モードに応じて、医薬組成物は、好ましくは、正確な投与量の一回投与に適する単位剤形の固体、半固形または液体剤形、例えば、錠剤、坐剤、ピル、カプセル剤、粉剤、液剤、または懸濁剤の形態であってよい。組成物は、薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて、治療有効量の本明細書記載の化合物またはその誘導体を含み、さらに、他の薬剤、医薬品、キャリア、または希釈剤を含んでもよい。薬学的に許容可能とは、生物学的でもなく、その他の理由で望ましくないものでもない材料を意味し、これは、容認できない生物学的影響、または医薬組成物中に含まれるほかの成分との有害な相互作用を生じることなく、選択化合物と一緒に個体に投与できる。
【0082】
本明細書で使用される用語のキャリアは、賦形剤、希釈剤、フィラー、塩、緩衝液、安定剤、溶解剤、脂質、安定剤、または当技術分野で製剤での使用によく知られた他の物質のいずれかを包含する。組成物中での使用のためのキャリアの選択は、組成物のための目的の投与経路に依存する。これらの物質を含む薬学的に許容可能なキャリアおよび製剤の調製は、例えば、レミントンの薬学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、21st Edition、ed.University of the Sciences in Philadelphia、Lippincott、Williams & Wilkins、Philadelphia Pa.、2005、に記載されている。生理学的に受容可能なキャリアの例には、下記が含まれる:緩衝液、例えば、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、および他の有機酸を含む緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性高分子、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシン;単糖類、二糖類、およびブドウ糖、マンノース、またはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート化剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールまたはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;および/または非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)(ICI、Inc.;Bridgewater、New Jersey)、ポリエチレングリコール(PEG)、およびPLURONICS(登録商標)(BASF;Florham Park、NJ)。
【0083】
非経口の注射用に適する本明細書記載の化合物またはその誘導体を含む組成物は、生理学的に受容可能な無菌の水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳剤、および無菌の注射可能溶液または分散液中への再構成用の無菌粉末を含むことができる。適切な水性および非水性キャリア、希釈剤、溶剤またはビークルの例には、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、等)、それらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能有機エステル、例えば、エチルオレアート、が含まれる。適切な流動度は、例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散液の場合には必要粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持できる。
【0084】
これらの組成物は、また、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤を含むことができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、等により推進できる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、等もまた、含めることができる。注射可能剤型の持続的吸収は、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等の使用により実現できる。
【0085】
本明細書記載の化合物またはその誘導体の経口投与用固形剤形には、カプセル剤、錠剤、ピル、粉剤、粒剤が含まれる。固形剤形では、本明細書記載の化合物またはその誘導体が、不活性の通常の賦形剤(またはキャリア)、例えば、ナトリウムクエン酸塩もしくはジリン酸カルシウムまたは(a)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、およびケイ酸、(b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアラビアゴム、(c)軟釈剤、例えば、グリセリン、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定の複合ケイ酸塩、および炭酸ナトリウム、(e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、4級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコール、およびグリセリンモノステアラート、(h)吸着剤、例えば、カオリンおよびベントナイト、ならびに(i)潤滑剤、例えば、滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、またはこれらの混合物、の内の少なくとも1つと混合される。カプセル剤、錠剤、およびピルの場合には、剤形は、また、緩衝剤を含むことができる。
【0086】
類似のタイプの固形組成物は、また、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコール、等の賦形剤を使って、軟および硬ゼラチンカプセル剤中のフィラーとして使用可能である。
【0087】
錠剤、糖衣錠、カプセル剤、ピル、および粒剤、等の固形剤形は、腸溶コーティングおよび当技術分野で既知のもの、等のコーティングおよびシェルを使って調製できる。これらは、乳白剤を含んでもよく、また、腸管の特定の部位で、遅延方式で、活性化合物または複数活性化合物を放出する組成物であってもよい。使用できる包埋組成物の例は、高分子物質および蝋である。活性化合物は、また、適切であれば1つまたは複数の上記賦形剤と一緒に、マイクロカプセル剤形に入れてもよい。
【0088】
本明細書記載の化合物またはその誘導体の経口投与用液体剤形には、薬学的に許容可能な乳剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物の他に、液体剤形は、当技術分野で通常使われる不活性希釈剤、例えば、水または他の溶剤、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチル炭酸塩、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル、特に、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセリン、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、またはこれらの混合物、等を含んでもよい。
【0089】
また、このような不活性希釈剤に加えて、組成物は、追加の薬剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、調味料、または賦香剤を含んでもよい。
【0090】
活性化合物の他に、懸濁剤は、追加の薬剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガント、またはこれらの物質の混合物、等を含んでもよい。
【0091】
本明細書記載の化合物またはその誘導体の直腸投与用組成物は、任意選択の坐剤で、これは、化合物を、適切な非刺激性賦形剤またはキャリア、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ろうと混合することにより調製できる。これらの賦形剤またはキャリアは、常温で固体であるが、体温では液体であり、従って、直腸または腟腔中で溶解し、活性成分を放出する。
【0092】
本明細書記載の化合物またはその誘導体の局所投与用剤形には、軟膏、粉剤、噴霧剤、および吸入剤が含まれる。本明細書記載の化合物またはその誘導体は無菌条件下で、生理学的に受容可能なキャリアおよび、必要に応じ、いずれかの防腐剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合される。眼製剤、軟膏、粉剤、および溶液剤は、また、組成物の範囲内にあることが意図されている。
【0093】
組成物は、1つまたは複数の本明細書記載の化合物および薬学的に許容可能なキャリアを含むことができる。本明細書で使われる用語の薬学的に許容可能な塩は、本明細書記載の化合物またはその誘導体の、健全な医学判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしに、対象の組織と接触させる使用に適し、合理的な便益/リスク比に見合った、目的の使用に有効な塩、ならびに、可能であれば、本明細書記載の化合物の双性イオン型、を意味する。用語の塩は、本明細書記載の化合物の相対的に非毒性の、無機および有機酸付加塩を意味する。これらの塩は、化合物の単離および精製の間にインサイチューで、または遊離塩基型の精製化合物を適切な有機または無機酸と別々に反応させ、それにより生成した塩を単離することにより、調製することができる。代表的塩には、下記が含まれる:臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレアート、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、ベンゾアート、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸エステル、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチラートメシラート、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、メタンスルホン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩、等。これらは、アルカリおよびアルカリ土類金属に属するカチオン、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、等、ならびに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、等を含む非毒性アンモニウム、4級アンモニウム、およびアミンカチオン、を含むことができる(S.M.Barge et al.、J.Pharm.Sci.(1977)66、1、を参照。この文献は、参照により少なくとも本明細書で教示された組成物に関して、その全体が、本明細書に組み込まれる)。
【0094】
本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩の対象への投与は、本明細書記載のように、治療有効量の本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩を使って、障害を治療するのに効果的な期間、実施できる。
【0095】
本明細書記載の化合物および組成物または本明細書記載のその薬学的に許容可能な塩の有効量は、当業者によって決定でき、たとえば哺乳動物に対する例示的投与量が1日当たり約0.5〜約200mg/kg体重の活性化合物であり、これは、単回用量または個別分割量の形で、例えば、1〜4回/日投与できる。あるいは、投与量は、1日当たり約0.5〜約150mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約0.5〜100mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約0.5〜約75mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約0.5〜約50mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約0.5〜約25mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約1〜約20mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約1〜約10mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約20mg/kg体重の活性化合物、1日当たり約10mg/kg体重の活性化合物、または1日当たり約5mg/kg体重の活性化合物、であってもよい。方法中で化合物の量の記載に使われる場合、有効量の表現は、所望の薬理学的効果または他の効果を達成する化合物の量、例えば、細菌酵素抑制をもたらす量を意味する。
【0096】
当業者なら、特定の用量レベルおよびいずれかの特定の対象に対する投与頻度は、変化してもよく、これらは、採用される特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、種、年齢、体重、総体的な健康、性別および対象の食事、投与モードおよび時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、および特定の状態の重症度、等の種々の因子に依存することは理解できよう。
【0097】
化合物の作製方法
本明細書記載の化合物は、有機合成の当業者に既知の種々の方法、または当業者により認められているそれの変形法を使って調製できる。本明細書記載の化合物は、容易に入手可能な出発物質から調製できる。最適反応条件は、特定の反応物または使用される溶剤により変化してもよいが、この条件は、当業者により決定されうる。
【0098】
式Iおよび式IIの変形には、追加、除去、または各化合物で記載されるような種々の成分の移動が含まれる。同様に、分子中に1つまたは複数のキラル中心が存在する場合、分子のキラリティーを変えることができる。さらに、化合物合成では、種々の化学基の保護および脱保護を含むことができる。保護および脱保護の使用、および適切な保護基の選択は、当業者により決定できる。保護基の化学については、例えば、Wuts and Greene、有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)、4th Ed.、Wiley & Sons、2006、で見つけることができる。この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0099】
開示化合物および組成物の調製に使用される出発物質および試薬は、市販品供給業者、例えば、Aldrich Chemical Co.、(Milwaukee、WI)、Acros Organics(Morris Plains、NJ)、Fisher Scientific(Pittsburgh、PA)、Sigma(St.Louis、MO)、Pfizer(New York、NY)、GlaxoSmith Kline(Raleigh、NC)、Merck(Whitehouse Station、NJ)、Johnson & Johnson(New Brunswick、NJ)、Aventis(Bridgewater、NJ)、AstraZeneca(Wilmington、DE)、Novartis(Basel、Switzerland)、Wyeth(Madison、NJ)、Bristol−Myers−Squibb(NewYork、NY)、Roche(Basel、Switzerland)、Lilly(Indianapolis、IN)、Abbott(Abbott Park、IL)、Schering Plough(Kenilworth、NJ)、もしくはBoehringer Ingelheim(Ingelheim、Germany)から入手可能であるか、または、文献、例えば、フィーザー・アンド・フィーザーの有機合成試薬(Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis)、Volumes 1−17(John Wiley and Sons、1991);Roddの炭素化合物の科学(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)、Volumes 1−5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers、1989);有機反応(Organic Reactions)、Volumes 1−40(John Wiley and Sons、1991);Marchの最新有機化学(March's Advanced Organic Chemistry)、(John Wiley and Sons、4th Edition);およびLarockの総合有機変換(Comprehensive Organic Transformations)(VCH Publishers Inc.、1989)、で説明されている方法に従って当業者に既知の方法により調製される。他の物質、例えば、本明細書で開示の医薬品キャリアは、市販品供給業者から入手可能である。
【0100】
本明細書記載の化合物を生成する反応は、溶剤中で行うことができ、これらの溶剤は、有機合成の当業者により選択されうる。溶剤は、反応が行われる条件、すなわち、温度および圧力下で、出発物質(反応物)、中間体、または生成物と実質的に非反応性である。反応は、1つの溶媒中、または2つ以上の溶媒の混合物中で行うことができる。生成物または中間体形成は、当技術分野で既知のいずれかの適切な方法に従ってモニタリングできる。例えば、生成物形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、
1Hまたは
13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、UV−可視)、もしくは質量分析法により、またはクロマトグラフィー、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィーによりモニタリングできる。
【0101】
スキーム1に概説するパラレル合成に適した方法を使用して、式Iの化合物を、BOCにより保護されたヘキサヒドロピリダジンまたはピラゾリジン開始物質(Zhang et al., 2003)から調製することができる。多様性は、この順序の第1または第4工程で導入されることができる。
【化25】
【0102】
式Iのヒドロキシイミド化合物を、スキーム2に示される方法を使用して調製することができる。クネーフェナーゲル縮合は、必須のジエステル中間体(Chikauchi et al., 2008)を提供するものであり、これは、中間体である無水マレイン酸(Snkawa and Shibata, 1969)を介して、必須のN−ヒドロキシ‐マレインイミドに変換され得る。さらなる多様性が、鈴木化学(Suzuki chemistry)(Selles, 2004)を使用する代替的な合成方法により達成できる。
【化26】
【0103】
式Iのさらなる例は、スキーム3に示される方法により調製することができる。チオシアン酸アンモニウム、続いて適切なヒドラジドによる酸塩化物の処理により、望ましい標的分子を得る。パラレル合成技術を用いて、この試薬の添加の順序を逆転させることによりこの骨格の多様性を急速に拡大させることができる(スキーム3参照)。その後のヨウ素カリウムによる処理により、類似のジアセチルヒドラジドを提供する。効力を高める任意の構造的修正は、可能性を示す代替的なキレート基との組み合わせにおいて試験される。
【化27】
【0104】
式IIの化合物を、パラレル合成に適した、文献において利用可能な一般的手順を使用して調製することができる(スキーム4参照)。フルフルアルデヒドは、購入することができ、または市販の試薬フルフルアルデヒド−5−ボロン酸を使用して鈴木条件(Suzuki conditions)下にて調製することができる。保護されたロダニンによる得られた中間体の縮合と引き続く脱保護によって、最後から2番目の中間体が提供され、これを多様な求電子試薬で処理してRNPA3000類似体を得ることができる。
【化28】
【0105】
チオキソチアゾリジン環のバイオイソスター(bioisostere)およびフラン部分の複素環のバイオイソスターを有する式IIの化合物を生成するために、同様の手順を使用することができる(たとえば、オキサゾリジンジオンは類似の縮合を受ける(Simchen and Seigl, 1992))。Cherbuliez et al. (1964)の一般的な合成手順をこれらの化合物を調製するために使用することができる(スキーム5参照)。メルカプト酢酸でフェニルチオイソシアナートを縮合することによりN−アリールロダニン(arylrodanine)中間体を調製することができる。スキーム4において上述した置換されたフルフルアルデヒドによる処理により、望ましい標的分子を得る。
【化29】
【0106】
同様の順序(Sahu et al., 1985)により、スキーム6に示した式IIの化合物を提供する。イソチオシアナートおよびクロロ酢酸によるアミンの縮合により、最後から2番目の必須の中間体を提供し、これを、置換されたフルフルアルデヒドで処理することにより、所望の最終の標的化合物に変換することができる。
【化30】
【0107】
活性アッセイ
本明細書で提供されるのは、微生物感染の治療または予防のための化合物を特定する方法である。方法は、本明細書記載の化合物または組成物を調製し、RNase P等の細菌リボヌクレアーゼに対する化合物または組成物の阻害活性をアッセイする段階を含む。RNase Pは、tRNA前駆体の5'末端の成熟を触媒する広範に分布する酵素である(Frank et al.、Annu Rev Biochem、67:153−180(1998);Kazantsev et al.、Nat Rev Microbiol、4:729−740(2006);Walker et al.、Crit Rev Biochem Mol Biol、41:77−102(2006)、を参照)。この酵素は、単一のリボザイムRNA分子および少なくとも1つのタンパク質成分を含むリボ核タンパク質複合体であるという事実により、ユニークである。細菌内で、リボザイム(rnpB)およびタンパク質(RnpA)成分の両方が細胞生存にとって必須である;rnpBは、tRNAのインビトロ処理を媒介するが、一方、RnpAの機能は、明確に確立されていない(Gossringer et al.、J Bacteriol、188:6816−6823(2006);Schedl et al.、Proc Natl Acad Sci USA、70:2091−2095(1973);Waugh et al.、J Bacteriol、172:6316−6322(1990)、を参照)。ドメイン探索(Letunic et al.、Nucleic Acids Res、34:D257−260(2006);Schultz et al.、Proc Natl Acad Sci USA、95:5857−5864(1998)、を参照)により、黄色ブドウ球菌RnpA残基40〜111は、リボヌクレアーゼ様モチーフに最もよく一致することが明らかになった。さらに、いくつかのRNA結合部位は、この領域内に包埋されている(Spitzfaden et al.、J Mol Biol、295:105−115(2000)、を参照)。大腸菌および枯草菌RNase Pは、特定の二重鎖RNAテンプレート、例えば、ガイドRNAおよび4.5s RNAを消化することが明らかになっている(Lundblad et al.、Proc Natl Acad Sci USA、105:2354−2357(2008)、を参照)。これらのテンプレートの切断は、必ずRnpAを必要とする(Liu et al.、Cell、77:1093−1100(1994);Marvin et al.、J Cell Biochem、108:1244−1251(2009)、を参照)。本明細書で提供されるように、RNase P媒介RNA消化は、rnpB、RnpA、または両方に依存する可能性がある。従って、RnpAは、黄色ブドウ球菌RNA分解を調節する。
【0108】
RNA分解は、細菌リボヌクレアーゼの阻害に適した、従って、微生物感染の治療または予防に適した化合物を特定するために使用できる。一部の実施形態では、蛍光ベースアッセイを使用して、化合物を特定できる。この方法は、RNA、RnpA、および蛍光染料を混合して混合物を形成する工程、該混合物を化合物と接触させる工程、ならびに、蛍光を使って、細胞におけるRnpA媒介全細菌RNA分解をモニタリングする工程を含むことができる。対照に比べて減少した蛍光は、RNA分解を示す。本明細書で使われる蛍光の減少とは、対照に比べて、少なくとも約1%の蛍光の減少を意味する。例えば、蛍光の減少は、対照に比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の蛍光の減少であってもよい。対照に比べて、RnpA媒介全細菌RNA分解を減らす化合物は、微生物感染の治療または予防のための化合物として特定できる。本明細書記載の方法で使用するための適切な蛍光染料には、Quant−iT RiboGreen(登録商標)(Invitrogen;Carlsbad、CA)が含まれる。
【0109】
一部の例では、化合物は、Clinical and Laboratory Standards InstituteのMIC微量液体希釈法(broth microdilution)プロトコル(The Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI、以前のNCCLS)、7
th ed.、January 2006、26(2)、M7−A7中の、好気的成長細菌用の希釈抗菌感受性試験法(Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically);承認標準、を参照されたい;また、The Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI、以前のNCCLS)、January 2008、28(1)、M100−S18中の、抗菌感受性試験実施基準(Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing);Eighteenth Informational Supplement、も参照されたい)により指定されているMueller Hinton(MH)ブロス抗菌アッセイを使ってさらにアッセイできる。
【0110】
本明細書で提供される化合物および組成物の細菌RNaseの阻害剤としての活性は、標準的アッセイ、例えば、HPLCアッセイで測定できる。化合物は、細菌RNase酵素アッセイを使って細菌RNaseの阻害剤として試験できる。細菌RNase阻害剤として特定される化合物は、微生物感染の治療または予防に有用である。このアッセイを使って決定された化合物および組成物の活性は、IC
50として報告できる。本明細書で使われるIC
50は、このような応答を測定するアッセイにおける最大応答の50%抑制を実現する特定の試験化合物の量、濃度、または投与量を意味する。
【0111】
特定の態様では、開示化合物および組成物は、実際に合成する必要はなく、その代わりに、いずれかの分子モデリング技術に対する標的として使って、細菌RNaseとの相互作用を予測し、特徴付けることができる。これは、構造的情報およびコンピュータモデリングにより実現される。コンピュータモデリング技術は、選択分子の3次元原子構造の可視化および酵素と相互作用する新規化合物の合理的な設計を可能とする。典型的な例では、酵素の3次元構築は、選択分子のX線結晶学分析またはNMR画像処理由来のデータに依存する。このデータは、細菌RNase用に入手可能である。分子動力学には、力場データ(例えば、Merck分子力場)が必要である。コンピュータグラフィックスシステムは、新規化合物がどのように酵素に連結するかの予測を可能とし、化合物の構造の実験操作により結合特異性を完成させる。一方または両方で小さな変化が生ずる場合に起こる相互作用を予測するには、分子力学ソフトウェアおよび、通常、分子設計プログラムとユーザーの間のユーザーフレンドリーな、メニュー形式のインターフェースを備えた計算能力の高いコンピュータが必要である。
【0112】
分子モデリングシステムの例は、CHARMmおよびQUANTAプログラム(Polygen Corporation、Waltham、MA)である。CHARMmは、エネルギー最小化および分子動力学関数を実行する。QUANTAは、分子構造の構築、グラフィックモデリングおよび解析を実行する。QUANTAは、分子の相互挙動のインタラクティブな構築、修正、可視化、および解析を可能とする。コンピュータ上で、所望の方法で細菌RNaseと相互作用する化合物が特定されるとすぐ、本明細書で開示のように、実際の化合物を合成し、アッセイできる。
【0113】
使用方法
本明細書で提供されるのは、対象の微生物感染を治療する、予防する、または制限する方法である。この方法は、有効量の1つまたは複数の本明細書記載の化合物または組成物、またはその薬学的に許容可能な塩を対象に投与する段階を含む。本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩は、ヒト、例えば、小児および高齢者集団、および動物、例えば、獣医学分野での微生物感染および癌の治療に有用である。微生物感染には、例えば、細菌および真菌感染が含まれる。細菌感染には、桿菌、球菌、スピロヘータ、およびビブリオ属細菌が原因の感染が含まれる。一部の例では、微生物感染は、細菌感染(例えば、グラム陽性細菌感染)である。一部の例では、細菌感染は、例えば、黄色ブドウ球菌等のブドウ球菌感染である。本明細書記載の化合物および組成物は、薬剤耐性黄色ブドウ球菌感染およびバイオフィルム関連黄色ブドウ球菌感染を含む種々の黄色ブドウ球菌感染の治療に有用である。一部の実施形態では、黄色ブドウ球菌感染は、メトシリン耐性黄色ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌MRSA)感染である。他の実施形態では、黄色ブドウ球菌感染は、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌である。任意選択で、黄色ブドウ球菌感染は、多剤耐性である。一部の例では、本明細書記載の化合物および組成物を使って、バチルス感染(例えば、炭疽菌およびセレウス菌感染)、連鎖球菌感染(例えば、肺炎球菌および化膿性連鎖球菌感染)、および腸球菌感染(例えば、フェカリス菌およびバンコマイシン耐性腸球菌感染)を治療できる。
【0114】
本明細書記載の治療または予防の方法は、1つまたは複数の追加の薬剤(例えば、抗菌剤)を使った治療をさらに含むことができる。1つまたは複数の追加の薬剤ならびに本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩は、同時投与、ならびに数日間の間隔までの時間的に間をおいた順番を含む、どのような順番でも投与できる。方法は、また、1つまたは複数の追加の薬剤、および/または化合物および本明細書記載の組成物またはその薬学的に許容可能な塩の単回よりも多い投与を含んでもよい。1つまたは複数の追加の薬剤および本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩の投与は、同じ経路でも、異なる経路でもよい。1つまたは複数の追加の薬剤を共に使って治療する場合は、本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩は、1つまたは複数の追加の薬剤を含む医薬組成物として組み合わせてもよい。例えば、本明細書記載の化合物または組成物またはその薬学的に許容可能な塩を、例えば、下記の追加の抗菌剤と組み合わせて、医薬組成物とすることができる:アセダプソン;アセトスルホンナトリウム;アラメシン;アレキシジン;アムジノシリン;アムジノシリンピボキシル;アミシクリン;アミフロキサシン;アミフロキサシンメシレート;アミカシン;アミカシン硫酸塩;アミノサリチル酸;アミノサリチル酸ナトリウム;アモキシシリン;アンホマイシン;アンピシリン;アンピシリンナトリウム;アパルシリンナトリウム;アプラマイシン;アスパルトシン;アストロマイシン硫酸塩;アビラマイシン;アボパルシン;アジスロマイシン;アズロシリン;アズロシリンナトリウム;バカンピシリン塩酸塩;バシトラシン;バシトラシンメチレンジサリチル酸;バシトラシン亜鉛;バンベルマイシン;ベンゾイルパスカルシウム;ベリスロマイシン;ベタマイシン硫酸塩;ビアペネム;ビニラマイシン;ビフェナミン塩酸塩;ビスピリチオンマグスルフェクス;ブチカシン;ブチロシン硫酸塩;カプレオマイシン硫酸塩;カルバドクス;カルベニシリン二ナトリウム;カルベニシリンインダニルナトリウム;カルベニシリンフェニルナトリウム;カルベニシリンカリウム;カルモナムナトリウム;セファクロル;セファドロキシル;セファマンドール;セファマンドールナファート;セファマンドールナトリウム;セファパロール;セファトリジン;セファザフルナトリウム;セファゾリン;セファゾリンナトリウム;セフブペラゾン;セフジニル;セフェピム;セフェピム塩酸塩;セフェテコール;セフィキシム;セフメノキシム塩酸塩;セフメタゾール;セフメタゾールナトリウム;セフォニシド一ナトリウム;セフォニシドナトリウム;セフォペラゾンナトリウム;セフォラニド;セフォタキシムナトリウム;セフォテタン;セフォテタン二ナトリウム;セフォチアム塩酸塩;セフォキシチン;セフォキシチンナトリウム;セフピミゾール;セフピミゾールナトリウム;セフピラミド;セフピラミドナトリウム;セフピロム硫酸塩;セフポドキシムプロキセチル;セフプロジル;セフロキサジン;セフスロジンナトリウム;セフタジジム;セフチブテン;セフチゾキシムナトリウム;セフトリアキソンナトリウム;セフロキシム;セフロキシムアキセチル;セセフロキシムピボキセチル;セフロキシムナトリウム;セファセトリルナトリウム;セファレキシン;セファレキシン塩酸塩;セファログリシン;セファロリジン;セファロチンナトリウム;セファピリンナトリウム;セフラジン;セトサイクリン塩酸塩;セトフェニコール;クロラムフェニコール;クロラムフェニコールパルミチン酸塩;クロラムフェニコールパントテナート複合体;クロラムフェニコールナトリウムスクシナート;クロルヘキシジンホスファニル酸塩;クロロキシレノール;クロルテトラサイクリン重硫酸塩;塩酸クロルテトラサイクリン;シノキサシン;シプロフロキサシン;塩酸シプロフロキサシン;シロレマイシン;クラリスロマイシン;クリナフロキサシン塩酸塩;クリンダマイシン;クリンダマイシン塩酸塩;塩酸パルミチン酸クリンダマイシン;クリンダマイシンリン酸塩;クロファジミン;クロキサシリンベンザチン;クロキサシリンナトリウム;クロキシキン;メタンスルホン酸コリスチンナトリウム;コリスチン硫酸塩;クーママイシン;クーママイシンナトリウム;シクラシリン;サイクロセリン;ダルホプリスチン;ダプソン;ダプトマイシン;デメクロサイクリン;デメクロサイクリン塩酸塩;デメサイクリン;デノフンギン;ジアベリジン;ジクロキサシリン;ジクロキサシリンナトリウム;ジヒドロストレプトマイシン硫酸塩;ジピリチオン;ジリスロマイシン;ドキシサイクリン;ドキシサイクリンカルシウム;ドキシサイクリンフォスファテックス;ドキシサイクリン塩酸塩;ドロキサシンナトリウム;エノキサシン;エピシリン;エピテトラサイクリン塩酸塩;エリスロマイシン;エリスロマイシンアシストラート;エリスロマイシンエストラート;エリスロマイシンエチルコハク酸塩;エリスロマイシングルセプタート;エリスロマイシンラクトビオン酸塩;エリスロマイシンプロピオン酸塩;エリスロマイシンステアリン酸塩;エタンブトール塩酸塩;エチオナミド;フレロキサシン;フロキサシリン;フルダラニン;フルメキン;ホスホマイシン;ホスホマイシントロメタミン;フモキシシリン;塩化フラゾリウム;フラゾリウム酒石酸塩;フシジン酸ナトリウム;フシジン酸;ゲンタマイシン硫酸塩;グロキシモナム;グラミシジン;ハロプロジン;ヘタシリン;ヘタシリンカリウム;ヘキセジン;イバフロキサシン;イミペネム;イソコナゾール;イセパマイシン;イソニアジド;ジョサマイシン;カナマイシン硫酸塩;キタサマイシン;レボフラルタドン;レボプロピルシリンカリウム;レキシスロマイシン;リンコマイシン;リンコマイシン塩酸塩;ロメフロキサシン;塩酸ロメフロキサシン;ロメフロキサシンメシレート;ロラカルベフ;マフェニド;メクロサイクリン;メクロサイクリンスルホサリチル酸塩;メガロマイシンカリウムリン酸塩;メキドクス;メロペネム;メタサイクリン;塩酸メタサイクリン;メテナミン;ヒプル酸メテナミン;メテナミンマンデル酸塩;メチシリンナトリウム;メチオプリム;メトロニダゾール塩酸塩;メトロニダゾールリン酸塩;メズロシリン;メズロシリンナトリウム;ミノサイクリン;ミノサイクリン塩酸塩;ミリンカマイシン塩酸塩;モネンシン;モネンシンナトリウム;ナフシリンナトリウム;ナリジキシ酸ナトリウム;ナリジクス酸;ナタマイシン;ネブラマイシン;ネオマイシンパルミチン酸塩;ネオマイシン硫酸塩;ネオマイシンウンデシレン酸塩;ネチルマイシン硫酸塩;ニュートラマイシン;ニフイラデン(nifuiradene);ニフラルデゾン;ニフラテル;ニフラトロン;ニフルダジル;ニフリミド;ニフィウピリノール(nifiupirinol);ニフラキナゾール;ニフルチアゾール;ニトロサイクリン;ニトロフラントイン;ニトロミド;ノルフロキサシン;ノボビオシンナトリウム;オフロキサシン;オネトプリム(onnetoprim);オキサシリン;オキサシリンナトリウム;オキシモナム;オキシモナムナトリウム;オキソリン酸;オキシテトラサイクリン;オキシテトラサイクリンカルシウム;オキシテトラサイクリン塩酸塩;パルジマイシン;パラクロロフェノール;パウロマイシン;ペフロキサシン;ペフロキサシンメシレート;ペナメシリン;ペニシリンGベンザチン;ペニシリンGカリウム;ペニシリンGプロカイン;ペニシリンGナトリウム;ペニシリンV;ペニシリンVベンザチン;ペニシリンVヒドラバミン;ペニシリンVカリウム;ペンチジドンナトリウム;フェニルアミノサリチル酸塩;ピペラシリンナトリウム;ピルベニシリンナトリウム;ピリジシリンナトリウム;ピルリマイシン塩酸塩;ピバンピシリン塩酸塩;ピバンピシリンパモエート;ピバンピシリンプロベナート;ポリミキシンB硫酸塩;ポルフィロマイシン;プロピカシン;ピラジナミド;ピリチオン亜鉛;キンデカミン酢酸塩;キヌプリスチン;ラセフェニコール;ラモプラニン;レイニーマイシン;レロマイシン(relomycin);レプロマイシン;リファブチン;リファメタン;リファメキシル;リファミド;リファンピン;リファペンチン;リファキシミン;ロリテトラサイクリン;硝酸ロリテトラサイクリン;ロサラマイシン;ロサラマイシン酪酸塩;ロサラマイシンプロピオン酸塩;ロサラマイシンナトリウムリン酸塩;ロサラマイシンステアリン酸塩;ロソキサシン;ロキサルソン;ロキシスロマイシン;サンサイクリン;サンフェトリネムナトリウム;サルモキシシリン;サルピシリン;スコパフンギン;シソマイシン;シソマイシン硫酸塩;スパルフロキサシン;スペクチノマイシン塩酸塩;スピラマイシン;スタリマイシン(stallimycin)塩酸塩;ステフィマイシン;ストレプトマイシン硫酸塩;ストレプトニコジド(streptonicozid);スルファベンズ;スルファベンズアミド;スルファセタミド;スルファセタミドナトリウム;スルファシチン;スルファジアジン;スルファジアジンナトリウム;スルファドキシン;スルファレン;スルファメラジン;スルファメーテル;スルファメタジン;スルファメチゾール;スルファメトキサゾール;スルファモノメトキシン;スルファモキソール;スルファニル酸亜鉛;スルファニトラン;スルファサラジン;スルファソミゾール;スルファチアゾール;スルファザメト;スルフイソキサゾール;スルフイソキサゾールアセチル;スルフイソキサゾールジオラミン;スルホミキシン;スロペネム;スルタミシリン;サンシリンナトリウム;タランピシリン塩酸塩;テイコプラニン;テマフロキサシン塩酸塩;テモシリン;テトラサイクリン;テトラサイクリン塩酸塩;テトラサイクリンリン酸塩複合体;テトロキソプリム;チアンフェニコール;チフェンシリンカリウム;チカルシリンクレシルナトリウム;チカルシリン二ナトリウム;チカルシリン一ナトリウム;チクラトン;塩化チオドニウム;トブラマイシン;トブラマイシン硫酸塩;トスフロキサシン;トリメトプリム;トリメトプリム硫酸塩;トリスルファピリミジン;トロレアンドマイシン;トロスペクトマイシン硫酸塩;チロスリシン;バンコマイシン;バンコマイシン塩酸塩;ヴァージニアマイシン;またはゾルバマイシン。
【0115】
本明細書でさらに提供されるのは、細菌リボヌクレアーゼ、例えば、黄色ブドウ球菌RNase Pのタンパク質成分を阻害する方法である。一部の実施形態では、細菌リボヌクレアーゼは、RnpAである。方法は、細菌リボヌクレアーゼを有効量の本明細書記載の1つまたは複数の化合物または組成物と接触させる段階を含む。このような量は、インビボまたはインビトロで、組成物の化合物または活性成分の治療に有効な濃度を実現するのに十分な量である。
【0116】
本明細書記載の方法および化合物は、予防および治療処理の両方に有用である。本明細書で使われる用語の治療(treating)または治療(treatment)は、予防;発症の開始の遅延;発症後の徴候または症状の悪化の減少、根絶、または遅延;および再発の防止を含む。予防のための使用では、治療有効量の本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩が、発症の前に(例えば、細菌感染の明らかな徴候の前に)、早期発症の間に(例えば、細菌感染の初期徴候および症状時に)、または細菌感染の炎症反応または発生が確定した後で、対象に投与される。予防投与は、感染症状の顕在化の前の数日から数年の間、行うことができる。予防投与は、例えば、黄色ブドウ球菌に曝された対象の予防処置に使用できる。治療処置は、細菌感染が診断された後で、治療有効量の本明細書記載の化合物および組成物またはその薬学的に許容可能な塩を対象に投与する段階を含む。
【0117】
キット
また、本明細書で提供されるのは、対象の炎症または癌を治療または予防するためのキットである。キットには、いずれかの明細書記載の化合物または組成物を含むことができる。例えば、キットは、式Iの化合物または式IIの化合物を含むことができる。キットは、1つまたは複数の抗菌剤(例えば、オキサシリン)をさらに含むことができる。キットは、本明細書記載のいずれかの化合物または組成物の経口製剤を含むことができる。さらに、キットは、キットを使用するための使用法(例えば、対象を治療するための説明書)を含むことができる。
【0118】
以下の実施例は、本明細書記載の方法および化合物の特定の態様をさらに例示することを意図しており、添付の特許請求の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0119】
黄色ブドウ球菌RNA分解因子は、経験的に特定され、また、下記に示すように、有望な抗菌剤開発標的であることが明らかになった。これを行うために、黄色ブドウ球菌が感染を起こす能力は(その多くが研究室培養条件では細胞密度依存的に調節されている)広範なレパートリーの病原因子の一時的発現に部分的に起因しているという事実を利用した(Novick、R.P.、Mol Microbiol、48:1429−1449(2003)、を参照)。次いで、黄色ブドウ球菌病原因子発現における増殖期調節による変化が、mRNA分解のレベルで発生するか否か、およびこのプロセスに関与するタンパク質が生物体のRNA分解機構のメンバーを含みうるか否かを判定する調査を行った。そのために、GeneChipsを使って、明確に特徴付けられた黄色ブドウ球菌病原因子の、対数期および定常期増殖の間の、mRNA崩壊速度を比較した。
【0120】
結果は、多くの黄色ブドウ球菌病原因子転写物のmRNA代謝回転特性は、2つの増殖期の間で異なることを示した。さらに、対数期および定常期細胞の全体的mRNA崩壊特性が、劇的に異なることが明らかになった;884種の黄色ブドウ球菌mRNAは、定常期増殖の間、安定化された。発現がmRNA崩壊と相関する遺伝子の中にリボヌクレアーゼPのタンパク質成分であるRnpAが含まれており、これが、バルクmRNA代謝回転における何らかの役割を果たしている可能性があることが示唆される。その可能性と一致して、組換え黄色ブドウ球菌RnpAがインビトロでリボヌクレアーゼ活性を示し、RnpA枯渇細胞がmRNA分解の減少を示すことが実証された。RnpAは、哺乳類タンパク質とのアミノ酸保存性が低い必須黄色ブドウ球菌酵素であるため、それは、抗菌剤発見のための適切な標的である。このため、高スループットおよび二次選別アッセイを使って、RnpA媒介RNA分解の小分子阻害剤を特定した。これらの薬剤の1つは、黄色ブドウ球菌mRNA代謝回転を阻害することを示し、高いRnpA保存を伴って、MRSA、VISA、およびVRSA、ならびに他のグラム陽性病原体に対する抗菌活性を示し、かつ、マウス感染急性致死モデルにおける病原性は僅かであった。まとめると、これらの結果は、RnpAが、今まで特性が明らかにされていない黄色ブドウ球菌RNA分解機構のメンバーであることを示し、抗菌剤発見の標的としてのその有用性を確実なものとする。
【0121】
実施例1:黄色ブドウ球菌代謝回転の増殖期依存変化
半減期の測定のために、黄色ブドウ球菌株UAMS−1、RN4220(pCN51;CdCl
2誘導性プロモーターを含むプラスミド)、RN4220(pRNPA;完全長rnpA mRNAを産生できるpCN51)、またはRN4220(pRNPA−A.S.;rnpAアンチセンスRNAを産生できるpCN51)を中間対数期または定常期まで増殖させ、リファンピン(200μg/ml)の添加により転写を停止させた。株UAMS−1に対し、転写停止後0、2.5、5、15および30分で一定量を回収した。試薬を保存するため、RN4220誘導体に対しては、転写停止後0および10分に、一定量を回収した。平板培養の徹底により培養物は、リファンピン耐性を発生しなかった。4回評価したRN4220pRNPA−A.S.細胞以外は、各株および/または増殖期を2回評価した。RNAを各一定分量から単離し、標識し、黄色ブドウ球菌GeneChip(Affymetrix;Santa Clara、CA)にハイブリダイズし、2回測定値を平均して、以前記載のように、全mRNA種のmRNA半減期を測定した(Anderson et al.、J Bacteriol、188:6739−6756(2006);Roberts et al.、J Bacteriol、188:2593−2603(2006)、を参照)。阻害剤暴露細胞のmRNA代謝回転特性を測定するために、対数期黄色ブドウ球菌を、0.5X MICのRnpA阻害剤または等容量の化合物溶媒(DMSO)で30分間処理した。次に、転写物合成を停止し、転写停止後0および5分にmRNA種の転写物力価を測定した(Anderson et al.、J Bacteriol、188:6739−6756(2006);Roberts et al.、J Bacteriol、188:2593−2603(2006)、を参照)。
【0122】
結果は、多くの(41%)病原因子転写物のmRNA代謝回転特性は、2つの増殖期の間で異なることを示し、mRNA代謝回転の調節された変化がそれらの発現に影響を与えることができることを示唆した。さらに、該生物体が、定常期特異的な少なくとも5つの小さな安定RNA(SSR)、すなわち仮定クラスの調節性ノンコーディングRNA分子を産生したことが観察された(Anderson et al.、J Bacteriol、188:6739−6756(2006);Roberts et al.、J Bacteriol、188:2593−2603(2006)、を参照)。さらに、対数期および定常期細胞の全体mRNA代謝回転特性は、かなり異なっていた。以前の測定値と一致して、大部分(90%)の対数期転写物は、急速に分解し(5分以下の半減期)、9%は、中間的安定性を示し(5分を超え、30分以下の半減期)、また1%は、安定である(30分以上の半減期)ことが明らかになった(Anderson et al.、J Bacteriol、188:6739−6756(2006);Roberts et al.、J Bacteriol、188:2593−2603(2006)、を参照)。しかし、定常期増殖の間に、76%、21%、および3%のmRNA種が、それぞれ、短期、中間的、および安定な半減期を示す(
図1)。RNase J1もRNase Yも、増殖期依存形式での異なった発現は認められなかった。定常期増殖の間に抑制された367遺伝子中に、リボヌクレアーゼP(RNase P)のタンパク質成分をコードするrnpAが含まれていた。
【0123】
実施例2:黄色ブドウ球菌RnpAは、リボヌクレアーゼ活性を示し、細胞性mRNA分解に影響する
タンパク質精製
それぞれの推定上の黄色ブドウ球菌リボヌクレアーゼの予測読み枠を、PCR増幅し、プラスミドpET−30Ek/LIC(Novagen;Madison WI)の連結反応非依存性クローニング部位に挿入した。シーケンシングにより、これは、プラスミドのイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘導性プロモーターの制御下で、ヘキサヒスチジンタグを各タンパク質のN末端に融合したことが確認された。形質転換の後で、各タンパク質は、IPTGの存在下で増殖(4時間)させた大腸菌BL21(DE3)細胞から、Ni
+2親和性クロマトグラフィーにより精製された。さらに具体的には、10gの細胞ペレットを、コンプリート、ミニ、EDTAフリープロテアーゼ阻害剤錠剤(Roche;Branford、CT)および20mMイミダゾールを含む50mlの緩衝液A(300mM NaCl、50mM Na
2HPO
4、pH7.4)中に懸濁した。15,000psiでEmulsifex−C3マイクロフルイダイザー(Avestin Inc.;Ottawa、Canada)を7回通すことにより細胞を破砕した。12,000xgで30分間の遠心分離により細胞壊死組織片を取り除き、上清液をAKTA−FPLC高速液体クロマトグラフィーシステム(GE Healthcare Bio−Sciences;Pittsburgh、PA)の5mL Ni−NTA FF−粗製アフィニティカラム(GE Healthcare Bio−Sciences;Piscataway、NJ)に装填した。タンパク質は、緩衝液A中の線形イミダゾール勾配(80mM〜500mM)で単一ピークとして溶出した。各タンパク質の存在を、Coomasie染色SDS−PAGEおよびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)分析分光法(Wistar Institute;Philadelphia、PA)により評価した。
【0124】
プラスミド
プラスミドpRNPA−SおよびpRNPA−A.S.は、黄色ブドウ球菌シャトルベクターpCN51の誘導性CdCl
2の制御下の、それぞれセンスおよびアンチセンス配向の予測Shine−Delgarno配列を含む推定上のrnpA転写ユニットを含む(Charpentier et al.、Appl Environ Microbiol、70:6076−6085(2004)、を参照)。簡単に説明すると、それぞれ、5'末端EcoRIおよびKpnI制限酵素部位(下線部)を含むプライマー5'
GAATTCTCAAATAAAAACGATAAATAAGCGAGTGATGTTA(順方向)配列番号1)および5'
GGTACCTTACTTAATCTTTTTATTAAAAACTTTGGCAA(逆方向)(配列番号2)、または制限酵素配列が逆転されたプライマーを使って、rnpA読み枠および34nt上流配列を黄色ブドウ球菌株UAMS−1からPCR増幅した。得られたPCR産物をpCRII−TOPOベクターに連結し、増殖用に大腸菌INVαF'細胞(Invitrogen、Carlsbad、CA)中に形質転換した。その後、プラスミドDNAをQIAprep Spin Miniprepキット(Qiagen、Valencia、CA)を使って精製した後、EcoRIおよびKpnIで消化し、プラスミド挿入断片を遊離させ、これを、QIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を使ってゲル精製して、EcoRIおよびKpnI消化pCN51に連結した。DNAシーケンシングにより、プラスミドpRNPA−SおよびpRNPA−A.Sの健全性を確認した。
【0125】
ウェスタンブロッティング
アフィニティー精製したPolyQuikウサギ黄色ブドウ球菌RnpAポリクローナル抗体を、Invitrogen(Carlsbad、CA)において生成した。2.5μM CdCl
2(RNA発現誘導用)および10μg/mlエリスロマイシン(プラスミド維持用)を補充したTSB培地中で30分間増殖後、全細菌タンパク質を、プラスミドベクター(pCN51)、RnpA過剰発現プラスミド(pRNPA−S)またはRnpAアンチセンスRNAプラスミド(pRNPA−A.S.)を含むRN4220細胞から単離した。生成タンパク質濃度を、従来のBradfordアッセイにより測定し、2.0μgの各タンパク質試料または精製された黄色ブドウ球菌RnpAを10%SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、ポリビニリデンフッ化物膜(Millipore、Billerica、MA)に移した。膜を10%ミルクでブロッキングし、洗浄後、ウサギRnpA抗体(1:1000希釈)と共にインキュベートし、洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲート抗ウサギ抗体(1:1000希釈;GE Healthcare)と共にインキュベートし、Amersham ECLウェスタンブロッティングシステム(GE Healthcare)を使って、メーカーの推奨に従い、処理した。
【0126】
結果
組換え黄色ブドウ球菌RnpAは、rRNAおよびブドウ球菌性タンパク質A(spa)mRNA、ならびに試験した3つの他のmRNA種の消化を触媒することが明らかになった(
図2Bおよび2C)。他の推定上のRNase IIIを含む黄色ブドウ球菌リボヌクレアーゼ、RNase HII、RNase HIII、RNase Y、RNase J1、およびBNは、これらのアッセイ条件の間、等価のRNA分解活性を示さなかった(
図2B)。SDS−PAGEおよびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)分析により、観察されたリボヌクレアーゼ活性は、黄色ブドウ球菌RnpAの存在に関連していることが確認された(
図2A)。
図2Aで、約17.2kDaのバンド(実線矢印;バンド2)は、タンデム型質量分析(Wistar Institute;Philadelphia、PA)により、黄色ブドウ球菌RnpAであると確認され、一方、少量の混入物の上位データ(点線矢印)は、大腸菌50Sリボソームタンパク質L3(バンド1)またはアミノ酸11〜107(バンド3および4)または12〜107(バンド5)に対応する黄色ブドウ球菌RnpAポリペプチド断片であると判定された。にもかかわらず、上述のリボヌクレアーゼアッセイで使用された約1000倍過剰(25μg)なRnpA精製産物のSDS−PAGE評価は、タンパク質調製物内の微量の4つの追加のポリペプチドを示し、RnpA産物と一緒に大腸菌リボヌクレアーゼの混入が存在する可能性が提起された。MALDI分析は、これらのタンパク質の素性が、大腸菌リボソームタンパク質L3、および3つの黄色ブドウ球菌RnpA断片(これは、成熟選択的翻訳産物とは対照的に、タンパク質調製の間の完全長RnpAのタンパク質分解を反映していると思われる)であることを示した。大腸菌リボヌクレアーゼは検出されず、タンパク質調製物のリボ核酸分解活性の原因は、黄色ブドウ球菌RnpAである可能性があることを示唆している。さらに、逆転写酵素媒介PCRは、大腸菌rnpBが、調製物中に検出できなかったことを示し、RnpAリボヌクレアーゼ活性は、黄色ブドウ球菌RnpAおよび大腸菌rnpB RNAを含むキメラRNase P分子の形成に起因するものではないことを確証した。実際、インビトロ合成大腸菌rnpBは、標準的および高Mg
+2反応条件の両方下で、黄色ブドウ球菌RNA分解(単独)を触媒もせず、RnpA媒介RNA消化活性に影響もしなかった。
【0127】
黄色ブドウ球菌RNase J1は、ここで使用した反応条件下で低リボ核酸分解活性を示したが、その後の調査で、それは異なる条件下では強力なリボヌクレアーゼであることが示され(Even et al.、Nucleic Acids Res、33:2141−2152(2005)、を参照)、黄色ブドウ球菌RnpAの推定上のインビトロリボヌクレアーゼ活性をさらに評価するための対照としての使用が可能であった。さらに具体的には、RnpA媒介spa mRNA分解が、アフィニティー精製ウサギポリクローナル黄色ブドウ球菌RnpA抗体の添加により阻害できるか否かを評価した。最初の調査では、抗体は、RnpAのおよびRNase J1のリボ核酸分解活性を制限することは示されなかった。しかし、免疫グロブリン混合物内の抗体のサブセットのみが、酵素の活性に影響を与えるRnpAエピトープを認識できるということを予測して、該抗体がRnpA媒介転写物分解に対しどのような効果を及ぼすか(もしあれば)をモニタリングするためのより感度の高い手段としてspa消化産物の逆転写PCR増幅を使った。結果から、抗体添加は、実際に、完全長spam RNAのRnpA媒介分解を弱く阻害するが、RNase J1活性に対しては効果を示さないことがわかった(
図2D)。等量の免疫前の血清は、RnpA活性に効果を与えなかった。まとめると、これらのデータは、黄色ブドウ球菌RnpAの今まで認識されていなかった機能とはRNA消化の機能であることを示唆している。
【0128】
必須の細菌RNA代謝回転タンパク質の小分子阻害剤は、細菌増殖を妨害し、新規クラスの抗菌剤であることが期待される。この点について、黄色ブドウ球菌RnpAは、必須酵素であることが報告され(Chaudhuri et al.、BMC Genomics、10:291(2009);Jietal.、Science、293:2266−2269(2001)、参照)、従って、化学療法開発の標的と見なすことができる。実際、−34〜+353rnpA mRNA翻訳開始部位に相補的であると予測されるアンチセンスRNA分子の誘導が(プラスミドpCN51の塩化カドミウム誘導性プロモーターの制御下で(Charpentier et al.、Appl Environ Microbiol、70:6076−6085(2004)、参照)、10μM誘導因子の存在下の黄色ブドウ球菌増殖を制限した。逆に、対応するセンス鎖RNA分子、または誘導因子の非存在下で、アンチセンスプラスミド株を発現している細胞では、増殖欠陥は観察されなかった(
図3)。これらの結果は、黄色ブドウ球菌RnpAが、必須タンパク質であることを示す。さらに、このrnpAアンチセンスRNA系を使って、RnpAが黄色ブドウ球菌の細胞性mRNA代謝回転に影響を与えるか否かを評価した。このため、RNA分解特性を、2.5μM CdCl
2の存在下で増殖の間に、プラスミドベクターのみを保有する細胞、または、rnpA mRNAもしくはrnpAアンチセンスRNAプラスミド由来コピーを含む細胞について測定した。
図3に示すように、それぞれrnpA mRNAまたはrnpAアンチセンス発現株内で増加したまたは減少したRnpA産生を可能とするがアンチセンスRNA産生株の細菌増殖を制限しない最適濃度を、経験的に、2.5μMの塩化カドミウム濃度に決定した。結果的に、RNA代謝回転分析は、低減したRnpAレベルが、多くのmRNA種の安定化に相関することを示し、酵素が、バルク細胞性RNA分解に寄与することを示唆した。さらに具体的には、RnpA高発現およびベクター含有細胞中で産生された全対数期転写物のそれぞれ、88%および87%が、10分未満の半減期を示すことが明らかになった。RnpA過剰発現が細胞性RNA分解を加速しなかったという知見は、そのタンパク質のRNA分解活性が、野性型レベルのまま残っているコファクターに依存するか、またはタンパク質が、RNA代謝回転を有効に増加させる濃度に達しなかったことを示す可能性がある。
【0129】
実施例3:RnpA媒介RNA分解の小分子阻害剤の特定
上記結果は、黄色ブドウ球菌RnpAが、インビトロでリボヌクレアーゼ活性を示し、細胞性RNA分解に寄与する必須酵素であることを示す。さらに、このタンパク質は、グラム陽性細菌全体にわたりよく保存されているが、哺乳類タンパク質に対するアミノ酸保存性に欠け、このことにより新規抗生物質薬剤開発のための魅力的な標的となっている。そのために、蛍光ベース高スループットアッセイを使って、29,066市販化合物(ActiProbe−25Kおよび天然物ライブラリー;Timtec;Newark、DE)に対し、RnpA媒介RNA分解の小分子阻害剤の選別を行った。
【0130】
具体的には、ActiProbe−25Kおよび天然物ライブラリー(合計29,940化合物;TimTec Inc.;Newark、DE)のメンバーに対し、黄色ブドウ球菌RnpA媒介全細菌RNA分解の小分子阻害剤を選別した。全ての反応(50μl)を96ウエル形式で行い、1X反応緩衝液(2mM NaCl、2mM MgCl
2、50mMトリス塩酸、pH6.0)中の20pmol RnpA、200ng黄色ブドウ球菌全RNA、および約5μMの各化合物を含めた。混合物を37℃で20分間インキュベートし、この時点で、Quant−iT RiboGreen(登録商標)(100μl;Invitrogen)を加えて、残っているRNA基質の量を定量した。パーセント酵素抑制を残余基質/開始基質*100として計算した。阻害用量設定アッセイのため、20pmol RnpA単独(陽性対照)と共に、または、4つの化合物の内の1つが存在する中で、37℃で1時間、1pmolのspa mRNAをインキュベートした。この化合物は、漸増量(0、2.5、5、10、12.5、15、17.5および20μM)の(ST003531として
図4に表示される)RNPA−2000、漸増量(0、2.5、5、10、12.5、15、20および25μm)の(ST0006630として
図4に表示される)RNPA−3000、漸増量(0、25、100、200、400、800および1000μM)のST040225ならびにST025201(0、1、2.5、5、10、25および50μM)を含むものであった。この後、20μlの各反応混合物を、1.2%ホルムアルデヒド含有アガロースゲルの電気泳動に供し、臭化エチジウム染色により可視化した。
【0131】
化合物RNPA−2000、RNPA−3000およびST025201は、10種の主なU.S. MRSA系統に対するRnpA媒介RNA分解を阻害することが示された(
図4参照)。このRNPA−2000、RNPA−3000およびST025201の化合物の見かけのIC
50値は、それぞれ、15から20μM、12.5から20μM、および5から10μMであった。
【0132】
実施例4:抗菌感受性試験
(ST003531として
図4に示した)RNPA−2000、(ST0006630として
図4に示した)RNPA−3000、ST040225およびST025201の細菌に対するインビトロ活性を、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)ガイドラインに従い、陽イオン調節Mueller−Hintonブロスまたは5%溶解ウマ血液を補充したMHブロス(連鎖球菌属の試験用)を使って、ブロス微量希釈法により測定した。これらの化合物の系列希釈1000(0、4、8、16、32、64、および128μg/ml)を含むマイクロタイタープレートに、10
5コロニー形成ユニット(CFU)/mlを播種し、37℃で18時間、インキュベートした。各単離物に対するMICを、裸眼で検出される生物体の増殖の完全阻害を示すそれぞれの化合物の最小濃度として定義した。
図4に示すように、RNPA−2000、RNPA−3000およびST040225は、MRSAに対する適切な抗菌活性を示す。
【0133】
実施例5:細胞傷害性アッセイ
次に、効果的細菌MIC値(10〜50μg/ml)に対応するRnpA阻害剤濃度が、ヒトの細胞傷害を誘導するか否かを評価した。HepG2ヒト肝細胞(10
5細胞)を、マイクロタイタープレートの個別ウエルに播種し、10%胎仔ウシ血清を補充したダルベッコ変法イーグル培地中で、5%二酸化炭素下、37℃で16時間、インキュベートした。細胞をマイトマイシンCに(5または10μg/ml;陽性対照)、または、MIC値1、2、または4倍(1X、2X、4X)の示されたRnpA阻害化合物に48時間、暴露した。メーカーの推奨(アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関;Manassas、VA)に従い、代謝的に活性な細胞内でのテトラゾリウム塩(MTT)の添加、および続けて還元後に、分光測定(570nm)により細胞生存率を測定した。
【0134】
MTT細胞増殖アッセイ測定は、ST025201がヒト毒性効果を示すことを明らかにした(
図5参照)。したがって、この薬剤は、RnpAを阻害しかつ抗菌性効果を示すが、さらなる発展のための適切なリード分子ではない。反対に、ST040225、ST006630(すなわち、RNPA−3000)、およびST003531(すなわち、RNPA−2000)は、ヒト細胞の生存に影響しなかった(
図5参照)。まとめると、RNPA−2000およびRNPA−3000は、優れたRnpA阻害活性、良好な抗ブドウ球菌活性を示し、ならびにヒト細胞毒性を引き起こさない。
【0135】
添付の特許請求の範囲の化合物および方法は、本明細書記載の特定の化合物および方法により範囲を限定されることはなく、これらは、添付の特許請求の範囲の少数の態様の例示として意図されており、また、機能的に等価ないずれの化合物および方法も、本開示の範囲内にある。示されたおよび本明細書記載のものに加えて、化合物および方法の種々の改変も、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。さらに、特定の代表的な化合物、方法、およびこれらの化合物の態様および方法のみが、具体的に記載されているが、他の化合物および方法ならびに化合物および方法の種々の特徴の組み合わせも、たとえ、具体的に説明されていなくても、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。従って、工程、要素、成分、または構成部分の組み合わせは、本明細書で明示的に述べることができるが、たとえ明示的に述べられていなくても、他の全ての工程、要素、成分、または構成部分の組み合わせも、含まれる。