【実施例】
【0039】
〔実施例1〕
本実施例では、まず、ポリアニリン粒子10質量部を、ポリビニルブチラール30質量部及びアルコール系溶媒60質量部と混合した後、該アルコール系溶媒を揮発させることにより、ポリアニリンを含有する固形混合物を形成した。前記アルコール系溶媒は、イソプロパノール40質量部、メトキシプロパノール40質量部、ブタノール10質量部、キシレン5質量部、エチルベンゼン5質量部からなる混合溶媒を用いた。
【0040】
次に、ポリアニリンを含有する前記固形混合物20質量部を前記アルコール系溶媒80質量部に浸漬して膨潤させた後、前記加圧分散装置に供給し、加圧力を5MPaとして、防錆塗料組成物前駆体を得た。
【0041】
次に、粘弾性測定装置(Malvern Instruments Ltd.製、商品名:GeminiII)を用い、歪みの値を0.1に設定して貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G”が線形となる線形粘弾性領域下、25±1℃の範囲の温度で、0.1〜100ラジアン/秒の範囲の周波数について周波数分散測定により、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体の貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”と測定した。貯蔵弾性率G’の測定結果を
図1に、損失弾性率G”の測定結果を
図2に、それぞれ示す。
【0042】
図1から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、貯蔵弾性率G’が0.03〜2.50Paの範囲であって領域A内にあることが明らかである。また、
図2から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、損失弾性率G”が0.05〜2.56Paの範囲であって領域B内にあることが明らかである。
【0043】
本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、前記エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はフッ素樹脂のいずれか1種の合成樹脂と所望の割合で混合することにより、ポリビニルブチラール及び前記合成樹脂中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0044】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、イソプロパノール40質量部、メトキシプロパノール40質量部、ブタノール10質量部、キシレン5質量部、エチルベンゼン5質量部からなるアルコール系溶媒を希釈剤(シンナー)として所望の濃度に希釈することにより、ポリビニルブチラール及び該希釈剤中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0045】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、希釈することなく、そのまま防錆塗料組成物とすることもできた。
【0046】
〔実施例2〕
本実施例では、前記加圧分散装置における加圧力を10MPaとした以外は、実施例1と全く同一にして、防錆塗料組成物前駆体を得た。
【0047】
次に、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体の貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G”とを測定した。結果を
図1,2に示す。
【0048】
図1から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、貯蔵弾性率G’が0.99〜14.2Paの範囲であって領域A内にあることが明らかである。また、
図2から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、損失弾性率G”が0.54〜10.0Paの範囲であって領域B内にあることが明らかである。
【0049】
本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、前記エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はフッ素樹脂のいずれか1種の合成樹脂と所望の割合で混合することにより、ポリビニルブチラール及び前記合成樹脂中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0050】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、実施例1と全く同一のアルコール系溶媒を希釈剤として所望の濃度に希釈することにより、ポリビニルブチラール及び該希釈剤中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0051】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、希釈することなく、そのまま防錆塗料組成物とすることもできた。
【0052】
〔実施例3〕
本実施例では、前記加圧分散装置における加圧力を20MPaとした以外は、実施例1と全く同一にして、防錆塗料組成物前駆体を得た。
【0053】
次に、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体の貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G”とを測定した。結果を
図1,2に示す。
【0054】
図1から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、貯蔵弾性率G’が16.0〜73.4Paの範囲であって領域A内にあることが明らかである。また、
図2から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、損失弾性率G”が3.48〜39.4Paの範囲であって領域B内にあることが明らかである。
【0055】
本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、前記エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はフッ素樹脂のいずれか1種の合成樹脂と所望の割合で混合することにより、ポリビニルブチラール及び前記合成樹脂中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0056】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、実施例1と全く同一のアルコール系溶媒を希釈剤として所望の濃度に希釈することにより、ポリビニルブチラール及び該希釈剤中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0057】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、希釈することなく、そのまま防錆塗料組成物とすることもできた。
【0058】
〔実施例4〕
本実施例では、前記加圧分散装置における加圧力を30MPaとした以外は、実施例1と全く同一にして、防錆塗料組成物前駆体を得た。
【0059】
次に、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体の貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G”とを測定した。結果を
図1,2に示す。
【0060】
図1から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、貯蔵弾性率G’が21.5〜95.7Paの範囲であって領域A内にあることが明らかである。また、
図2から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、損失弾性率G”が5.2〜44.9Paの範囲であって領域B内にあることが明らかである。
【0061】
本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、前記エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はフッ素樹脂のいずれか1種の合成樹脂と所望の割合で混合することにより、ポリビニルブチラール及び前記合成樹脂中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0062】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、実施例1と全く同一のアルコール系溶媒を希釈剤として所望の濃度に希釈することにより、ポリビニルブチラール及び該希釈剤中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0063】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、希釈することなく、そのまま防錆塗料組成物とすることもできた。
【0064】
〔実施例5〕
本実施例では、前記加圧分散装置における加圧力を50MPaとした以外は、実施例1と全く同一にして、防錆塗料組成物前駆体を得た。
【0065】
次に、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体を用いた以外は実施例1と全く同一にして、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体の貯蔵弾性率G’と、損失弾性率G”とを測定した。結果を
図1,2に示す。
【0066】
図1から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、貯蔵弾性率G’が106.3〜230.1Paの範囲であって領域A内にあることが明らかである。また、
図2から、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、損失弾性率G”が20.4〜61.1Paの範囲であって領域B内にあることが明らかである。
【0067】
本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、前記エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂又はフッ素樹脂のいずれか1種の合成樹脂と所望の割合で混合することにより、ポリビニルブチラール及び前記合成樹脂中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0068】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、実施例1と全く同一のアルコール系溶媒を希釈剤として所望の濃度に希釈することにより、ポリビニルブチラール及び該希釈剤中にポリアニリンが均一に分散している防錆塗料組成物を得ることができた。
【0069】
また、本実施例で得られた防錆塗料組成物前駆体は、希釈することなく、そのまま防錆塗料組成物とすることもできた。