特許第6010573号(P6010573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010573新型初期炉心燃料集合体構成及びその構成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010573
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】新型初期炉心燃料集合体構成及びその構成方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 5/00 20060101AFI20161006BHJP
   G21C 3/328 20060101ALI20161006BHJP
   G21C 3/326 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G21C5/00 B
   G21C3/30 X
   G21C3/32 G
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-61594(P2014-61594)
(22)【出願日】2014年3月25日
(62)【分割の表示】特願2005-301127(P2005-301127)の分割
【原出願日】2005年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-142356(P2014-142356A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2014年3月25日
【審判番号】不服2015-21016(P2015-21016/J1)
【審判請求日】2015年11月26日
(31)【優先権主張番号】10/966907
(32)【優先日】2004年10月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501010395
【氏名又は名称】ウエスチングハウス・エレクトリック・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】デービッド エル スタッカー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ジェイ フェターマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ブラッドフュート
【合議体】
【審判長】 森 竜介
【審判官】 伊藤 昌哉
【審判官】 松川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−113072(JP,A)
【文献】 特開平9−329682(JP,A)
【文献】 特開平9−329682(JP,A)
【文献】 特開平9−292481(JP,A)
【文献】 米国特許第4451427(US,A)
【文献】 米国特許第5631939(US,A)
【文献】 駒野康男 他2名,「3.2 全MOX−PWR炉心について」,JAERI−Conf,日本原子力研究所,1999年,99−014,24−35頁
【文献】 駒野康男,「全MOX−PWR炉心」,JAERI−Conf,日本原子力研究所,1999年,99−014,113−124頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C3/00-7/36
Google scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧水型原子炉の経済的な初期炉心を構成する方法であって、
所望の平衡サイクル再装荷炉心を構成する、各々が複数の燃料集合体より成る複数の領域の実質的にすべてについてエネルギー出力及び取出燃焼度のデータを用意し、
加圧水型原子炉の初期炉心となるように構成されたときに、平衡サイクル再装荷炉心を構成する対応領域のエネルギー出力及び取出燃焼度をエミュレーションする、その各々が垂直方向長さを有し、以前に原子炉で照射されたことがない複数の新しい燃料集合体を用意し、これらの新しい燃料集合体にはウラニウム235の平均濃縮度が異なる高濃縮度燃料集合体と低濃縮度燃料集合体とがあり、
空間反応度分布の点で平衡サイクル再装荷炉心をエミュレーションするように、複数の新しい燃料集合体を前記データに基づいて配置することにより、内部及び外殻部を有し、高濃縮度燃料集合体が実質的にすべて初期炉心の内部の方へ装荷された初期炉心の全体を、これらの新しい燃料集合体により構成し、
新しい高濃縮度燃料集合体の少なくとも一部に用意された新型格子設計においては、燃料集合体の垂直方向長さに亘って冷却材の横断流を遮るような障壁が延びていないので、冷却材が垂直方向に流動するに際してこれらの燃料集合体の間で冷却材が横方向に有意に循環するように構成され、新型格子は燃料集合体の最も外側を延びる燃料棒の端縁行及び多数の燃料棒の内部行を有し、端縁行の燃料棒は内部行の燃料棒よりも濃縮度が有意に低く、濃縮度が最低である燃料棒が新型格子の隅部に配置され、濃縮度がその次に低い燃料棒が当該格子の端縁行に配置されることを特徴とする原子炉の経済的初期炉心構成方法。
【請求項2】
複数の新しい燃料集合体の束を用意するステップを含み、これらの束はその各々が多数の燃料集合体を有する燃料バッチを含み、これらの燃料集合体の各々はウラニウム平均濃縮度を有するものであり、燃料バッチには実質的に各燃料集合体のウラニウム平均濃縮度が高い高濃縮度燃料バッチと、実質的に各燃料集合体のウラニウム平均濃縮度が中位である中位濃縮度燃料バッチと、実質的に各燃料集合体のウラニウム平均濃縮度が低い低濃縮度燃料バッチとがある請求項1の方法。
【請求項3】
平衡サイクル再装荷炉心は、供給燃料集合体、一度燃焼した燃料集合体及び二度燃焼した燃料集合体のバッチを含み、これら供給燃料集合体、一度燃焼した燃料集合体及び二度燃焼した燃料集合体のバッチは各々ウラニウム235平均濃縮度及びサイズを有し、ここでバッチのサイズは当該バッチ内の燃料集合体の量によって規定されるものであり、供給燃料集合体はウラニウム235平均濃縮度が最高であり、一度燃料した燃料集合体のウラニウム235平均濃縮度はそれより低いが二度燃焼した燃料集合体のウラニウム235平均濃縮度よりは高く、二度燃料した燃料集合体のウラニウム235平均濃縮度が最低であり、初期炉心の高濃縮度燃料バッチは平衡サイクル再装荷炉心の供給燃料集合体バッチとほぼ同じサイズ及び平均濃縮度を有する請求項2の方法。
【請求項4】
平衡サイクル再装荷炉心の一度燃焼した燃料集合体及び二度燃焼した燃料集合体のバッチの各々はさらにサイクル開始時の燃焼度、初期濃縮度及び反応度を有し、初期炉心において、平衡再装荷サイクル炉心の一度燃焼した燃料バッチ及び二度燃焼した燃料バッチのサイクル開始時の燃焼度及び初期濃縮度での反応度に基づく初期平均濃縮度を有する燃料バッチを用いることにより、平衡サイクル再装荷炉心の一度燃焼した燃料バッチ及び二度燃焼した燃料バッチの反応度を近似することを特徴とする請求項3の方法。
【請求項5】
初期炉心の1またはそれ以上の燃料バッチは、同様な平均濃縮度を有する燃料集合体より成る1またはそれ以上のサブバッチを含む請求項3の方法。
【請求項6】
既知の平衡再装荷サイクル炉心の供給燃料バッチをエミュレーションするサイズ及び濃縮度を有する複数の高濃縮度サブバッチを、高濃縮度の燃料バッチとして用意するステップを含む請求項5の方法。
【請求項7】
高濃縮度サブバッチは主として初期炉心の内部に装荷され、低濃縮度の燃料バッチは主として初期炉心の外殻部に装荷される請求項6の方法。
【請求項8】
初期炉心内で結果的に得られる平均濃縮度は、ウラニウム235の約1.5重量パーセントからウラニウム235の約5.0重量パーセントの範囲内にある請求項1の方法。
【請求項9】
初期炉心内では高濃縮度燃料バッチの少なくとも1つが低濃縮度燃料バッチの少なくとも1つに隣接して配置されており、燃料集合体の半径方向の領域設定を行うことにより、初期炉心構成内の高濃縮度燃料バッチが低濃縮度燃料バッチに隣接して配置されることによる大きな熱中性子束のピークを補償するように構成されている請求項2の方法。
【請求項10】
新型格子設計は隣り合う燃料棒の行がほぼ正方形のパターンを成し、燃料棒は平均濃縮度が最低濃縮度から最高濃縮度の範囲内にある少なくとも6つの異なるタイプの何れかであり、その6つのタイプとは極低濃縮度燃料棒、低濃縮度燃料棒、中位濃縮度燃料棒、燃焼可能な吸収体が複合された中位濃縮度燃料棒、高濃縮度燃料棒、及び燃焼可能な吸収体が複合された高濃縮度燃料棒であり、極低濃縮度燃料棒をほぼ正方形パターンの4つの隅部に配置し、低濃縮度燃料棒をほぼ正方形パターンの最も外側の行に配置し、高濃縮度燃料棒及び燃焼可能な吸収体が複合された高濃縮度燃料棒をほぼ正方形パターンの中心の方へ配置する請求項9の方法。
【請求項11】
新しい燃料集合体の各々は最高濃縮度、低濃縮度及び最低濃縮度を含む少なくとも3つの異なる平均濃縮度の何れかを有し、少なくとも1つの最低濃縮度の新しい燃料集合体に隣接して配置される最高濃縮度の新しい燃料集合体のほとんどにおいて、新型格子が用いられる請求項1の方法。
【請求項12】
新しい燃料集合体の各々は最高濃縮度、低濃縮度及び最低濃縮度を含む少なくとも3つの異なる平均濃縮度の何れかを有し、初期炉心の周縁に延びる端縁行には最高濃縮度の新しい燃料集合体は1つも含まれない請求項1の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、原子炉の燃料集合体に係り、さらに詳細には、軽水炉の初期炉心内の原子燃料集合体の配置を管理することによる新しい燃料管理方法に係る。本発明はまた、かかる方法により提供される原子炉の初期炉心(以下、「新型初期炉心」と呼ぶ)に係る。
【背景技術】
【0002】
現代の発電用商業原子炉は、U‐235がわずかに濃縮されたウラニウムを燃料として用いる。原子炉の炉心は、円筒形容器内に配列された多数の細長い矩形の燃料集合体により形成されている。燃料集合体は、炉心内の出力ピークの限界値を含む出力分布のようなある特定の技術的条件を満たすように意図された装荷パターンに従って配列される。他の考慮すべき事項としては、燃料サイクルまたは燃料交換に必要なインターバルの最大化が含まれる。原子炉の初期燃料装荷構成及び原子炉の寿命にわたる燃料の交換及び配置プランは炉心内の燃料管理として知られているが、これは原子炉設計上考慮すべき重要事項である。U‐235がわずかに濃縮された燃料を使用するには、炉心の一部を取り出して新しいまたは新鮮な燃料に定期的に交換する必要がある。従って、前の燃料サイクルからの燃料集合体を新しい燃料と組み合わせるのが普通である。燃料集合体の典型的な在庫には、通常、供給集合体又は未燃焼燃料集合体と呼ばれる約3分の1の新しい燃料集合体、約3分の1の一度燃焼した燃料集合体及び約3分の1の二度燃焼した燃料集合体が含まれる。
【0003】
従って、軽水炉のような原子炉の初期炉心燃料装荷パターンは通常、所与の領域の燃料集合体のU‐235の平均濃縮度に基づく、各々がほぼ等しい比率の3つの濃縮領域を使用する。図1は、3つのほぼ等サイズの燃料バッチ4、6、8を有する公知の従来型装荷パターン2の概略図である。バッチとは、通常は炉心14内に一緒に配置され、その後、永久に取り出される一群の燃料集合体である。図1に示すパターンは炉心14の8分の1だけを示し、炉心の対称性を想定したものであることに注意されたい。これらの領域は2つの低濃縮領域4、6と、高濃縮領域8を含むが、低濃縮領域は一般的に、図示のように、原子炉内部10の方へ一松模様のように装荷され、高濃縮領域は主として炉心外殻部12に装荷される。
【0004】
上記構成に従って組み立てられる炉心14の燃料再装荷サイクルの長さは、領域4、6、8の全ての濃縮度をほぼ同一の態様で変化させることにより調整される。しかしながら、こうすると、高濃縮領域8が炉心外殻部12に位置することが主因で中性子の漏洩が大きいため燃料利用率が比較的低いという問題点がある。加えて、3つの領域4、6、8をほぼ同一サイズにするのは、燃料交換画分が所望のサイクル長に応じて異なる、再装荷サイクルに関する現在の業界の燃料管理方式に合致しない。サイクルとは、通常は未燃焼燃料バッチまたは新しい燃料のバッチを炉心内に配置した時点からスタートして高燃焼度の燃料集合体を取り出す時点で終了する、炉心内の常態で静止の燃料配列が変化しない時間のことである。燃料集合体が経験した燃焼数は炉心内にあったサイクルの数である。典型的なサイクルは期間として10乃至18ヶ月の範囲である。一例として、上述した従来法による18ヶ月のサイクルでは各サイクルで炉心の約40%を交換する必要があり、交換される燃料は通常、低いそして高い初期濃縮度の両方を有する燃料集合体の組み合わせよりなる。従って、等サイズのバッチを用いると低濃縮領域を非常に低い燃焼度で取り出すことになり、有意な資金的投資を必要とすることが分かる。かくして、かかる方式は効率が低く経済的でない。平衡燃料管理方式を実行するに必要な初期濃縮度を最小限に抑えることにより、総合的な燃料コストを最大限に節約できる。
【0005】
初期炉心を構成する公知の従来法の非効率性に加えて、かかる方法は当該技術分野の長年の経験に頼って実質的に試行錯誤で行われると本質的にその場限りのものであるという事実がある。初期炉心を実現する体系的なアプローチがあるわけではない。そして、かかる方法により得られる初期炉心はエラーマージンを織り込んで控えめな設計を行う必要があり、このため炉心が平衡状態に到達するのに必要な時間よりも長い時間がかかって、コストが上昇する。
【0006】
従って、公知の初期炉心原子燃料管理方式に付随する実質的な燃料サイクルコストの増加要因を回避するのが望ましい。従って、原子炉の初期炉心を構成する新しい方法が求められている。
【0007】
かくして、初期炉心燃料集合体の管理を含む原子炉の炉心内燃料管理の技術及びそれを実現する方法については改善の余地がある。
【発明の概要】
【0008】
上記及び他の要求については、原子炉の高い経済性と効率性を有する平衡サイクル再装荷炉心を実質的にエミュレーションするように原子炉の初期炉心を装荷する方法に係る本発明により充足される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】原子炉初期炉心の装荷パターンの概略図であり、炉心の対称性を想定して炉心の8分の1を示す。
図1A】仮想線で示す炉心全体の概略図であり、図1の8分の1部分の炉心内位置を強調するものである。
図2】原子炉の平衡サイクル再装荷炉心の概略図である。
図3】本発明による新型初期炉心の概略図である。
図4】図示の燃料棒アレイが格子対称性を想定した図3の初期炉心の新型格子設計の左上方象限を示す概略図である。
図4A図4に示す格子部分の場所を仮想線で示した格子全体の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を、設計目標として平衡サイクルに至るまでの期間が18ヶ月の再装荷炉心のデータを用いて軽水炉初期炉心を構成する方法について説明するが、使用する燃料バッチの数に拘らず他の燃料再装荷サイクルに本発明を等しく適用できることが明らかになるであろう。また、本願の添付図面及びそれに対応する説明は、本発明方法の適用により得られる初期炉心の代表例を提供するものであって、本発明の範囲を限定するものではないことがわかるであろう。
【0011】
本発明をさらに詳細に説明する前に、原子炉業界で常用される用語を概観することが重要である。ある特定のかかる用語は上記の背景情報に記載されている。さらに別の用語を説明する。
【0012】
本願で用いる用語「市松模様」は、同様な濃縮度の燃料集合体がチェックボード上の赤と黒の四角の格子に似た態様で配置され、1つの濃縮度の燃料集合体(例えば、一度燃焼した燃料)がチェックボードの赤の四角に対応する位置に、また、別の濃縮度の燃料集合体(例えば、二度燃焼した燃料)がチェックボードの黒の四角に対応する1つおきの隣接位置に配置された、公知の従来型炉心燃料集合体装荷パターンを説明するために使用される。
【0013】
用語「平衡」は通常、初期炉心サイクルに続く幾つかの燃料再装荷サイクル後達成される、炉心の非常に望ましい、実質的に安定した状態に関連して用いられる。平衡サイクルは、一旦達成されると、非常に効率のよい運転(例えば、燃料の燃焼)及びその後の再装荷サイクルにおける炉心の予測可能で経済的な再装荷を可能にする。従って、通常は、平衡炉心内燃料管理方式を発電所寿命のできるだけ早い時期に実行することが望ましい。平衡状態において、燃料集合体は常に実質的に同じ濃縮度を有し、前の未燃焼燃料集合体と同じ場所に配置され、炉心内にある一度燃焼した集合体及び二度燃焼した集合体は前に一度燃焼した集合体及び前に二度燃焼した集合体が占めるのと同じ場所にシャッフルされる。
【0014】
本願明細書に用いる用語「束」は、1またはそれ以上(即ち、複数)の燃料集合体を指す。
【0015】
用語「格子」は、燃料集合体内の燃料アレイ及びかかるアレイ内の個々の燃料棒の特定の配置を指す。
【0016】
本願発明の新型燃料集合体構成により、かかる望ましい平衡サイクル再装荷炉心の反応度空間分布をきっちりとエミュレーションする初期炉心装荷パターンが得られる。
【0017】
本発明の初期炉心を、例えば図1に示す公知の従来型初期炉心燃料集合体構成、及び図1の初期炉心サイクルに続く幾つかの再装荷サイクル後に通常得られる図2の所望の平衡サイクル炉心と比較すれば、本発明を明確に理解する手助けとなるであろう。
【0018】
上述したように、図1は、対称的形状を想定して炉心14の8分の1を示す概略図で表される公知の従来型初期炉心装荷パターン2を示す。図1Aは、図1に示す8分の1の場所を炉心14の輪郭と共に示す。図1に示すように、装荷パターン2は、文字Aで示す燃料を含む濃縮度が最も高い領域8を炉心14の外殻部12に配置する。領域4、6はそれぞれ、一度燃焼した反応度が低い燃料Bと、二度燃焼した反応度が最も低い燃料Cとを含み、これらは図示のように炉心14の内部10の方へ市松模様に配置されている。上述したかかる構成により、中性子が炉心から漏洩して決して復帰しない炉心外殻部12の近くにピークがある原子炉出力分布が得られる。従って、上述した燃料集合体の構成は燃料利用率が低く、経済的な効率が良くない。
【0019】
本発明の新型初期炉心(例えば、図3の214)及びそれを構成する方法は、上述の欠点を、低い初期濃縮度を可能にしながら同じエネルギーを抽出でき、燃焼サイクルの間中、中心にピークがある出力分布を与える初期炉心214(図3)を提供することにより解消する。詳述すると、本発明は、設計目標としてその望ましい平衡サイクル再装荷炉心114(図2)を使用し、初期炉心214(図3)において少なくとも平衡炉心114の反応度分布をエミュレーションする。平衡サイクル再装荷炉心114(図2)の反応度分布は、目標となる平衡サイクル再装荷炉心114の新しい燃料(例えば、図2の領域108の燃料集合体A´)、一度燃焼した燃料(図2の領域104の燃料集合体B´)及び二度燃焼した燃料(例えば、図2の領域106の燃料集合体C´)をエミュレーションする初期炉心装荷パターン216(図3)内の個別領域の数を求めるモデルを提供する。平衡サイクル再装荷炉心114の反応度の値は、初期炉心214の燃料集合体A、B、Cの初期濃縮により、そして、補助的ではあるが、燃焼可能な吸収材の装荷によりエミュレーションする。これは図2と3を比較するとよくわかるが、以下においてさらに詳しく説明する。
【0020】
図2は、目標となる平衡サイクル再装荷炉心の装荷パターン116を示す概略図である。図1と同様に、図2も8分の1の炉心対称性を想定するものである。図示のように、図1の従来型装荷パターン2の高濃縮度燃料Aとは異なり、高濃縮度の燃料集合体A´は領域108において炉心の内部110の方へ配置される。高濃縮度の燃料A´は、領域104において同じく炉心の内部110の方へ配置される一度燃焼した燃料集合体B´と互い違いに配置される。濃縮度が最も低い燃料集合体C´は、主として、炉心外殻部112に配置される。
【0021】
図3は、代表的な初期炉心装荷パターン216及び図2の所望の平衡サイクル再装荷炉心114をエミュレーションするために本発明の新しい方法を用いると得られる初期炉心214の概略図である。詳述すると、本発明の新しい方法によると、所望の平衡サイクル再装荷炉心114の反応度分布は知られている。かかる分布を図2の例に示す。さらに、かかる反応度分布に関するデータを含む多量のデータが、一般的に原子炉の平衡サイクルに関して利用可能であることは周知である。かかるデータは、種々の原子炉の平衡サイクルを長年にわたってモニターすることにより、また、炉心内燃料管理を最適化しようとして原子炉分野で知られた多くの従来法(例えば、アルゴリズム)を開発利用することにより得られている。本質的に、本発明の新しい方法は、かかるデータをとり、それを適用して初期炉心214で非常に経済的で効率の良い平衡サイクル再装荷炉心(図2)の反応度分布をエミュレーションすることを含む。換言すれば、本発明の方法は、達成に通常は何年もかかる所望の最終結果(例えば、平衡サイクル炉心)をエミュレーションし、初期ステップ(例えば、原子炉の初期炉心214)においてそれに匹敵する結果を得ることにより、燃料管理効率及び経済性を劇的に改善する。これは、特定の燃料集合体(104、106、108)の初期濃縮度及び集合体の燃焼可能な吸収体の装荷または燃焼量のような、所望の平衡サイクル再装荷炉心114の既知のパラメータを適用し、かかるパラメータから得られる反応度分布を初期炉心214内で変更可能な燃料集合体パラメータだけを用いてエミュレーションすることを含む。例えば、炉心内の燃料集合体の初期濃縮度、バッチの大きさ及び場所だけは変更可能であるが、他の全てのパラメータは変更できない初期スタートアップ値で、初期炉心はいまだ燃焼を経験していない。従って、本発明の方法は、目標としての所望の平衡サイクル再装荷炉心からの公知のパラメータを用い、それらをできるだけきっちりとエミュレーションすることにより新型初期炉心214を構成するものである。
【0022】
図3は再び初期炉心214の8分の1を示すが、炉心対称性を想定している。図3の初期炉心214を図2の平衡サイクル再装荷炉心114と比較すると、初期炉心214は非常に経済的な目標である平衡サイクル再装荷炉心114の反応度空間分布をサブバッチの量と空間分布の両方の点できっちりと首尾よくエミュレーションすることがわかる。この目標を達成するために、本発明の方法は、公知の初期炉心の3つの実質的に同じ領域(例えば、図1の領域4、6、8)とは異なり、燃料のバッチ及びサブバッチの本質的に任意の必要で好適な組み合わせ及び構成を有する炉心を提供する。詳述すると、初期炉心214の濃縮度は、平衡サイクル未燃焼燃料バッチ108とほぼ同じサイズ及び濃縮度の一群の高濃縮束208を用いることにより得られる。第2に、平衡サイクル再装荷炉心114の燃焼した燃料104、106の近似は、平衡サイクル再装荷炉心114の燃焼した燃料104、106の0でないサイクル開始時(BOC)燃焼度及びBOC初期濃縮度に基づく反応度を近似する初期濃縮度の燃料を初期炉心に配置することにより行われる。その結果得られる初期炉心214の濃縮度範囲は、従来型(例えば、図1を参照)より格段に大きい。例えば、図3の初期炉心214の濃縮度は、ウラニウム235の重量で測定して約0.30から約4.5より大きい値までの範囲内にある。逆に、比較例として、図1の代表的な従来型初期炉心14の濃縮度範囲は、ウラニウム235の重量で約2.35から約4.45の範囲内にある。
【0023】
さらに、図3の初期炉心214は、平衡サイクル再装荷炉心114の未燃焼燃料領域108をエミュレーションするサイズ及び濃縮度の2つの高濃縮サブバッチ208´を含む。次の2つのサブバッチ204´も同様に、平衡サイクル再装荷炉心114の一度燃焼した部分104の反応度を近似するようにサイズ及び濃縮度が決められている。最後に、残りのサブバッチ、例えば206´は、平衡サイクル再装荷炉心114の二度燃焼した部分106を反映するサイズであり、濃縮度は平衡サイクル再装荷炉心114の二度燃焼した燃料106の反応度をエミュレーションするように同様に選択されている。
【0024】
図3の例において、高濃縮燃料208´の2つのサブバッチは、公知の従来型のように外殻部212にある(例えば、図1の炉心外殻部12の高濃縮燃料8を参照)のではなく、初期炉心214の内部210の方へ配置されている。この方法は、次に、主として初期炉心214の外殻部212に平衡サイクル再装荷炉心114の二度燃焼した燃料106をエミュレーションする燃料のサブバッチ対206´を配置することを含む。初期炉心214内の残りの燃料は、所望の平衡サイクル再装荷炉心をエミュレーションするために必要に応じて任意の組み合わせで濃縮及び配列することができる。例えば、図3に示す初期炉心214は、平衡サイクル再装荷炉心114の一度燃焼した燃料104をエミュレーションするようにサイズ及び濃縮度が決められた2つのサブバッチ204、204´を含む。かかるサブバッチ204、204´は、所望の反応度分布を達成するために必要に応じて断続的に配置される。従って、本発明の初期炉心214及びその構成方法によると、従来型の中性子の漏洩、高濃縮燃料の早すぎる取り出しまたは交換及びそれらに関連する経済的非効率性の問題点が克服される。
【0025】
さらに、初期炉心214は平衡サイクル再装荷炉心114の反応度分布をエミュレーションするため、平衡サイクル炉心への移行時間またはサイクル長が劇的に改善される。かかる改善は、主として、濃縮度範囲が格段に広いこと及び新型初期炉心214に用いるサブバッチのサイズが等しくないことによる。新型炉心設計パラメータのこのセットは、初期炉心214の抜き出し濃縮を最小限に抑え、それにより原子炉内でさらに照射を受けるために繰り延べされた燃料の濃縮度を最大にする効果がある。初期炉心214から平衡サイクル炉心へ繰り延べされる燃料は、目標となる平衡サイクル再装荷炉心114を表す濃縮度及び反応度を有する。
【0026】
上述した新型初期炉心214の設計をサポートするために、新型格子の設計が必要とされる。格子は、燃料の配列及び燃料集合体における燃料棒位置の特定の配置である。図4は、初期炉心214の燃料集合体の少なくとも一部のかかる新型格子設計300の代表例を示す。説明を容易にするために、格子300の左上方象限だけを示す。残りの象限において鏡像対称性が想定されている(格子300内の図4に示す1つの象限の位置を強調する図4Aを参照)。格子300は、低濃縮束(例えば、206´)に隣接する、炉心内方の高濃縮度の燃料束208´を補償するよう設計されている。かかる燃料装荷配列を用いると、低濃縮束206´(図4には図示せず)は吸収度が非常に低いため高濃縮束208の半径方向端縁行304に熱中性子束の大きなピークが生じることがよく知られている。これは、平衡サイクル再装荷炉心114の低反応度の束(例えば、106)の中性子吸収性が初期炉心214の低濃縮束(例えば、204´)よりを格段に大きいため、初期炉心214(図3)ではエミュレーションできない平衡サイクル再装荷炉心114(図2)の1つの局面である。これは、平衡サイクル再装荷炉心114の燃焼した束が高吸収性の核分裂生成物及び高位アクチニドを含むからである。燃焼していない初期炉心の低濃縮束(例えば、206´)は、このような吸収性核生成物を有しない。
【0027】
公知の従来型格子設計(図示せず)では、所与の集合体の各燃料棒は同一濃縮度を有するのが一般的である。高い濃縮度の束では、濃縮度を均等に設計すると、実施例の初期炉心(図3)内には受け入れることのできない高い出力ピークファクターが生じる。従って、本発明の新型格子設計300は、6つの異なるタイプの燃料棒(例えば、図4の格子300を参照)を、高濃縮集合体が低濃縮集合体に隣接する時(例えば、図2の燃料集合体208が燃料集合体206´に隣接する構成を参照)ピークファクターを減少するように設計された構成で使用する。この場合の低濃縮とは、燃焼済み集合体(例えば、104、106)の反応度をエミュレーションするためのウラニウム235の約1重量と2.50重量との間の範囲の濃縮を言う。
【0028】
詳述すると、図4に示すように、束208の半径方向の領域設定は、束208の端縁部における燃料棒302の濃縮度を減少して、それにより束の外殻部212(図3)における異常に多い熱中性子束を補償する束出力分布を得るために利用される。かかる濃縮度の減少は、通常、高濃縮度の束208における熱中性子平均自由行程が比較的短い(例えば、ほぼ1ピッチ)ことにより束208の最初の2つの行304、306に限定される。
【0029】
図4の例は、格子300、または図示のように高濃縮度の束208のような束を形成するために燃料棒を如何に配置するかを示す。6つのタイプの燃料棒302、304、306、308、310、312を使用するが、これらはそれぞれ濃縮レベルが最低濃縮度から最高濃縮度の範囲内にある。前述したように、この例の低濃縮度とはウラニウム235の約1重量と2.50重量との間を言う。中位濃縮度は、ウラニウム235の約2.50重量と3.50重量の間にあるのが好ましく、高濃縮度はウラニウム235の約3.50重量と5重量の間にあるのが好ましい。しかしながら、これらの指定カテゴリー(例えば、低、中、高)には濃縮度にばらつきがあることがわかるであろう。これは、図1−3の燃料集合体(例えば、A、B、C、A´、B´、C´)及び束(4、6、8、104、106、108、204、206、208)の種々の濃縮度及び図4の格子300について凡例で指示される個々の燃料棒(例えば、302、304、306、308、310、312)の種々の濃縮度に関連して理解されるであろう。さらに、図示説明した特定の濃縮度レベル及び範囲は本発明に従って装荷される初期炉心(例えば、214)の一例であるに過ぎないことがわかるであろう。広い範囲の変形配列が本発明の範囲内にある。
【0030】
図4の格子300は、隣接する燃料棒がほぼ正方形のパターンで配列されたものである。低濃縮度の燃料棒302は格子300の隅部に位置する。次に低い濃縮度の燃料棒304は格子300の側部または端縁部に沿って位置する。燃料棒の濃縮度は、棒の位置が格子300の中心に近づくに従って徐々に増加するが、この中心には濃縮度が最も高い燃料棒310及びそれに次いで高い濃縮度の燃料棒308が対称的パターンで配置される。従って、本発明の上述した新型格子設計300は、主として、実施例の初期炉心214(図3)の内側の高濃縮束208、208´(図3に最もよく示す)が低濃縮束206、206´に隣接する(図3に最もよく示す)ために生じる環境の熱束ピークを、格子300の端縁部または側部304における濃縮度を低くして、かかる出力ピークを減少させ、本発明の高効率、従って高い経済性の初期炉心214(図3)をサポートすることにより補償する。
【0031】
本発明を特定の実施例につき詳細に説明したが、当業者はそれらの詳細事項に関する種々の変形及び設計変更が本願の開示全体に照らして想到できることがわかるであろう。従って、図示説明した特定の構成は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、この範囲は頭書の特許請求の範囲の全幅及びその任意そして全ての均等物の範囲を与えられるべきである。
図1
図1A
図2
図3
図4
図4A