(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
過去に受けた処方箋データに基づいて、処方された各医薬品の処方実績データを集計し、当該集計した処方実績データから、処方された際の前記各医薬品それぞれの処方数量をカウントする処方数量カウントステップと、
前記処方数量カウントステップにおいてカウントされた処方数量から、前記各医薬品それぞれにおいて処方頻度が最も高い処方数量を1つずつ選択し、当該選択した各処方数量を、その対応する前記各医薬品の処方単位数として設定するか、又は、前記各医薬品それぞれにおいて処方頻度が高い処方数量の順に、それら処方数量を複数選択するとともに、当該選択した各処方数量を、その対応する前記各医薬品の処方単位数として複数設定し、当該設定した処方単位数にて、入荷した対応する医薬品をそれぞれ分配していき、当該分配した前記処方単位数の各医薬品を1つのトレー毎にそれぞれ収納するとともに、当該収納した各医薬品の医薬品名及び処方単位数を含む医薬品情報データを作成し、さらに、当該医薬品情報データと、前記トレーの固有情報データとを紐付けすることにより、医薬品収納データを作成するトレー収納ステップと、
前記トレー収納ステップにおいて各医薬品が収納されたトレーをそれぞれ医薬品棚に格納するとともに、当該格納した箇所の位置データを対応する前記医薬品収納データに紐付けることで、医薬品処方データを作成し、当該医薬品処方データを記憶手段に記憶させていくトレー格納ステップと、
ネットワークを通じて外部から新規の処方箋データを受けた場合には、当該新規の処方箋データに基づき、前記記憶手段から、該当する医薬品処方データを引き出すデータ引き出しステップと、
前記データ引き出しステップにおいて引き出された医薬品処方データに含まれている前記位置データに基づき、前記医薬品棚に隣接されているピッキングクレーンが、該当する医薬品が収納されているトレーを前記医薬品棚からピックし、前記医薬品を払い出すトレーピッキングステップと、
を含むことを特徴とする医薬品自動ピッキング方法。
前記データ引き出しステップでは、前記処方箋データに含まれている医薬品名及び処方数のデータをキーとすることにより、前記記憶手段から、該当する医薬品処方データを引き出すことを特徴とする請求項1または2記載の医薬品自動ピッキング方法。
前記医薬品袋詰めステップにおいて用いられる処方用袋には、表面に前記新規の処方箋データに基づいて作成される認識情報がバーコードとして印刷されているとともに、裏面が、透明又は半透明となっているものを用い、当該バーコードをバーコード読み取り機で読み取ることによって、前記認識情報に基づく医薬品名及び処方数を表示画面上に表示させ、さらに、当該表示画面上に表示された医薬品名及び処方数と、前記医薬品袋詰めステップにおいて処方用袋に袋詰めされた医薬品の医薬品名及び処方数とが、相互に合致しているか否かを前記処方用袋の裏面を通じて目視により検査を行う処方検査ステップをさらに含むことを特徴とすることを特徴とする請求項4記載の医薬品自動ピッキング方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院や調剤薬局における調剤作業においては、処方箋に基づいて、薬剤師が、医薬品棚から必要な医薬品を指定された数量ピッキングし、その後、そのピッキングした医薬品の種類や数量等に間違いがないかの監査を行い、監査の結果問題が無ければ、ピッキングした医薬品を薬袋に入れ、それを患者等に渡していくといった方法が採られている。
【0003】
このように、処方箋に記入されている医薬品の種類と数量に基づいて、医薬品棚の保管場所を探し、そこから医薬品をピッキングする作業は、人間の記憶と目視が頼りであり、また、最終的な監査も人間の目視となってしまうことから、調剤過誤と言われる医薬品の取り間違いや数量ミスが一定の率で発生してしまう問題がある。
【0004】
医薬品の取り間違い等のミスを防ぐためには、例えば、バーコード等によるチェックが考えられるが、医薬品の小箱にはバーコードが印字されている一方で、ほとんどの錠剤用PTPシートの場合には、通常、バーコードが印字されていないため、目視確認が、唯一の確認手段となってしまっている。
【0005】
次に、近年、医薬品のピッキング作業の効率化を図るため、医薬品の自動ピッキング、払い出しが行える機器・システムが、開発・導入されつつある。例えば、特許文献1には、処方箋に基づく処方箋データを入力する処方箋データ入力装置と、薬剤が予め収容され、前記処方箋データに従って薬剤を払い出す薬剤払出装置と、前記処方箋データに従ってピッキングされた薬剤についてピッキング監査するピッキング監査装置とを備える調剤システムが開示されている。
【0006】
また、近年は、医薬品のトレーサビリティについても重要性が叫ばれているが、医薬品卸から病院や調剤薬局までは、医薬品のロットナンバーや使用期限等の情報は届いているが、従来の調剤システム等においては、患者までの管理は出来ていないところがほとんどである。
【0007】
また、他の大きな問題の1つは、病院や調剤薬局において、医薬品が患者に渡されるまでの時間(待ち時間)である。患者数の多い病院や調剤薬局では、処方箋を渡してから、患者が医薬品を受け取るまで、1時間以上かかることも多く、調剤における医薬品ピッキング作業の時間短縮は、多くの機関で望まれてきているものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1記載の技術によれば、薬剤を取り揃えるのに要する時間を短縮でき、作業者による薬剤のピッキングの際に、薬剤の取り間違いをも防ぐことができるとしているが、自動化できる医薬品のアイテムは、上位の数百アイテムであり、それに対応するためには、機器自体が高価なものとなってしまうため、病院や調剤薬局に在庫している全ての医薬品アイテムに適用し、運用することは、非常に難しいとされている。
【0010】
また、従来の技術では、以下に示すような、人命に関わる調剤業務のミスを限りなくゼロにするための手段を全てカバーすることは難しいとされている。
(1)医薬品の取り違えを無くす。
(2)医薬品の数量間違えを無くす。
(3)どの患者に、いつ、どのような医薬品を渡したか、といったトレーサビリティを確保する。
(4)処方箋受付から医薬品を渡すまでの時間を短縮させることで、患者の満足度を向上させる。
(5)調剤作業の自動化で、薬剤師の作業軽減と、服薬指導などの本来の業務の拡大を図る。
【0011】
本発明は、上述の問題を解決するためのもので、間違った医薬品を患者に渡してしまうといった調剤過誤を無くすこと、そして、トレーサビリティの完全化と、調剤における医薬品ピッキング生産性を向上させることにより、患者や、薬剤師の満足度を向上させ、また、経費削減による事業経営に大きく貢献する医薬品自動ピッキング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題に対応するため、本発明は、以下の技術的手段を講じている。即ち、請求項1記載の発明は、過去に受けた処方箋データに基づいて、処方された各医薬品の処方実績データを集計し、当該集計した処方実績データから、処方された際の前記各医薬品それぞれの処方数量をカウントする処方数量カウントステップと、前記処方数量カウントステップにおいてカウントされた処方数量から、前記各医薬品それぞれ
において処方頻度
が最も高い処方数量
を1つずつ選択し、当該選択した各処方数量を、その対応する前記各医薬品の処方単位数として設定するか、又は、
前記各医薬品それぞれにおいて処方頻度が高い処方数量の順に、それら処方数量を複数選択するとともに、当該選択した各処方数量を、その対応する前記各医薬品の処方単位数として複数設定し、当該設定した処方単位数にて、入荷した対応する医薬品をそれぞれ分配していき、当該分配した前記処方単位数の各医薬品を1つのトレー毎にそれぞれ収納するとともに、当該収納した各医薬品の医薬品名及び処方単位数を含む医薬品情報データを作成し、さらに、当該医薬品情報データと、前記トレーの固有情報データとを紐付けすることにより、医薬品収納データを作成するトレー収納ステップと、前記トレー収納ステップにおいて各医薬品が収納されたトレーをそれぞれ医薬品棚に格納するとともに、当該格納した箇所の位置データを対応する前記医薬品収納データに紐付けることで、医薬品処方データを作成し、当該医薬品処方データを記憶手段に記憶させていくトレー格納ステップと、ネットワークを通じて外部から新規の処方箋データを受けた場合には、当該新規の処方箋データに基づき、前記記憶手段から、該当する医薬品処方データを引き出すデータ引き出しステップと、前記データ引き出しステップにおいて引き出された医薬品処方データに含まれている前記位置データに基づき、前記医薬品棚に隣接されているピッキングクレーンが、該当する医薬品が収納されているトレーを前記医薬品棚からピックし、前記医薬品を払い出すトレーピッキングステップとを含むことを特徴とする医薬品自動ピッキング方法である。
【0015】
そして、請求項
2記載の発明は、請求項
1記載の医薬品自動ピッキング方法であって、前記医薬品情報には、対応する医薬品の固有ロット番号データを含ませることを特徴としている。さらに、請求項
3記載の発明は、請求項1
または2記載の医薬品自動ピッキング方法であって、前記データ引き出しステップでは、前記処方箋データに含まれている医薬品名及び処方数のデータをキーとすることにより、前記記憶手段から、該当する医薬品処方データを引き出すことを特徴としている。
【0016】
また、請求項
4記載の発明は、請求項1〜
3何れか1項記載の医薬品自動ピッキング方法であって、前記トレーピッキングステップにおいて払い出された医薬品を搬送手段により搬送させる医薬品搬送ステップと、前記医薬品搬送ステップにより搬送された医薬品を処方用袋に袋詰めしていく医薬品袋詰めステップとをさらに含むことを特徴としている。
【0017】
さらに、請求項
5記載の発明は、請求項
4記載の医薬品自動ピッキング方法であって、前記医薬品袋詰めステップにおいて用いられる処方用袋には、表面に前記新規の処方箋データに基づいて作成される認識情報がバーコードとして印刷されているとともに、裏面が、透明又は半透明となっているものを用い、当該バーコードをバーコード読み取り機で読み取ることによって、前記認識情報に基づく医薬品名及び処方数を表示画面上に表示させ、さらに、当該表示画面上に表示された医薬品名及び処方数と、前記医薬品袋詰めステップにおいて処方用袋に袋詰めされた医薬品の医薬品名及び処方数とが、相互に合致しているか否かを前記処方用袋の裏面を通じて目視により検査を行う処方検査ステップをさらに含むことを特徴とすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、処方箋データを分析し、最適な処方数を事前にトレー化することで、医薬品の自動ピッキングが可能となり、さらに、ピッキング時間とピッキングした医薬品の袋詰めや、監査を含めて、従来のシステムに比して、大幅な時間短縮が図れる。また、ピッキングミスが無く、医薬品のトレーサビリティも確立した調剤が可能となる。
【0019】
その他、患者等に医薬品を提供するまでの待ち時間を大幅に短縮することができることから、患者等の不満を解消することができ、また、医薬品のピッキングを自動化することで、薬剤師生産性が格段に向上し、病院や調剤薬局の効率経営に貢献することも可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の第1の実施形態を示したフローで、
図2は、本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の実施形態を示したシステム構成を示したもので、(a)は俯瞰概略図、(b)は側面概略図である。
【0022】
なお、符号については、10が医薬品自動ピッキングシステム、12が医薬品補充部、13がデータベース、14が補充コンベア、16が医薬品棚、18がトレー、20がピッキングクレーン、22が出荷コンベア、24が自動袋詰装置、26がソーター、28が医薬品監査部、30がバーコードリーダー、32が表示装置を示している。
【0023】
本実施形態では、調剤薬局において実施される場合を示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。まず、入荷された医薬品を予め定めた処方単位数にそれぞれ分配していく。その処方数量の決定ルールは、例えば、医薬品Aが、1日1錠服薬で30日処方を想定するのであれば、10錠入りのPPTを3枚(30錠分)用意し、ひと纏めにして分配する。また、10日処方を想定するのであれば、10錠入りのPPTを1枚(10錠分)用意し分配することになる。
【0024】
次に、分配された各医薬品をそれぞれ1つのトレーに収納していく。その際、
図5に示すように、トレーに収納した医薬品の医薬品名及び処方単位数を含む医薬品情報データを作成し、さらに、この医薬品情報データとトレーに割り振られているトレー固有情報とをリンクさせることで、医薬品収納データを作成する。なお、
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品補充部12によりこのような作業が行われる。
【0025】
ここで、
図5に示すように、医薬品情報データに、医薬品のロット番号データを含ませると、患者等に処方した後の医薬品のトレーサビリティ向上に繋がる。例えば、医薬品事故が起きてしまった場合に、どの患者等に該当する薬品を処方したか、ということがすぐさま判明するため、医薬品回収作業等の効率性が高まる。
【0026】
そして、
図6(a)に示すように、医薬品が収納されたトレーをそれぞれ医薬品棚に格納していき、その格納した箇所の位置データを対応する医薬品収納データにリンクさせることで、医薬品処方データを作成し、そのデータをデータベース13等の記憶手段に記憶させていく(
図6(b)参照)。なお、
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品収納データを作成した後、補充コンベア14に医薬品が収納されたトレー18が載せられ、続いて、ピッキングクレーン20が、補充コンベア14の下流側の所定位置にて、トレー18をピックし、医薬品棚16の間を通り抜けながら、任意の箇所にトレー18を格納していくというものである。
【0027】
そして、このピッキングクレーン20が、トレー18を複数ピックし、医薬品棚に格納できるように構成すれば、処理能力の更なる向上が望める。このように自動で医薬品棚へ医薬品を格納することができるため、医薬品の保管上、信頼性の向上に繋がり、さらに、人的な作業を省けることから、作業領域の省スペース化を図ることも可能である。
【0028】
続いて、
図7(a)に示すように、ネットワークを通じて、病院等の外部から新規の処方箋データを受けた場合には、受けた新規の処方箋データに基づいて、データベース13等の記憶手段から該当する医薬品処方データを引き出していく。なお、新規の処方箋データに含まれる医薬品名及び処方数のデータをキーとすることで、データベース13等の記憶手段から医薬品処方データを引き出すようにすると処理効率が良い。
【0029】
また、新規の処方箋データに処方数の異常値が含まれていて(例えば、正しい処方は、30日分で30錠であるのに、30日分で20錠と処方指示を出してしまった)、データベース13等にその異常値に該当するデータが記憶されていない場合には、コンピュータ上に警告を出すように設定しておくと、医薬品事故の発生を防ぐことができる。
【0030】
そして、
図7(b)に示すように、データベース13等の記憶手段から引き出された医薬品処方データに含まれている位置データに基づき、ピッキングクレーン20が、医薬品棚に格納されているトレー18をピックし、
図7(c)に示すように、そのトレー18に収納されている医薬品を払い出していく。例えば、30日処方であれば、PPT3枚が収納されたトレー18、60日処方であれば、PPT3枚が収納されたトレー18を2つ、10日処方であれば、PPT1枚が収納されたトレー18等々、該当するトレー18をピックするように構成する。なお、医薬品や、対象の患者によっては、例えば、3日分処方といった少量処方の場合があるが、その際には、PPT1枚(10錠)が収納されたトレー18をピックし、そこから3日分(3錠)を切り分け、残り(7錠)を再びトレー18に収納した状態で医薬品棚に戻すといった作業も可能である。
【0031】
このように、受けた処方箋データに基づいて、自動で対象の医薬品を払い出すことができるため、処理効率が良く、薬剤師等が、いちいちピッキング作業を行う必要がないため、患者等の待ち時間を大幅に削減することができるようになるわけである。また、医薬品の医薬品棚への格納が、所定の処方単位数で収納されたトレー単位で行われていくため、新規の処方箋データを受けた段階で、あらためて医薬品を分配する必要性が大幅に無くなり、やはり、処方作業の効率化が図られることになる。
【0032】
次に、ピッキングクレーン20によりピックされ払い出される医薬品は、
図8に示すように、搬送手段により搬送させ、下流側で処方用袋35に袋詰めしていき、空になったトレー18は、トレー回収ボックス34等に収納する。
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、払い出された医薬品が、出荷コンベア22により搬送され、その下流側にて人手により処方用袋35に袋詰めされていくようになっている。なお、下流側に自動袋詰装置を設置し、この装置により医薬品を処方用袋35に袋詰めし、空のトレー18を自動的に回収していくようにすると、人的作業を減らすことができるため、作業全般効率の向上となる。
【0033】
袋詰めされた医薬品は、最終的に薬剤師により処方箋データと処方された医薬品が合致しているか否かをチェックする監査というものに回される。
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、袋詰めされた医薬品が、ソーター26により患者等毎に振り分けられ、その後、医薬品監査部28において監査が行われるという流れである。
【0034】
ここで、処方用袋35には、表面に新規の処方箋データに基づいて作成される認識情報がバーコードとして印刷されていて、さらに、裏面が、透明又は半透明となっているものを用い、監査においては、まず、印刷されているバーコードをバーコード読み取り機で読み取ることで、認識情報に含まれる医薬品名及び処方数を表示画面上に表示させ、表示内容と、袋詰めされた医薬品の医薬品名及び処方数とが相互に合致しているかを裏面を通じて目視によりチェックする流れを採ると、作業効率が良い。
【0035】
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品監査部28で、処方用袋35のバーコードをバーコードリーダー30で読み取り、認識情報に含まれる医薬品名及び処方数を表示装置32上に表示させ、確実な監査を行っていく。
【0036】
本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図3は、本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の第2の実施形態を示したフローで、
図2は、本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の実施形態を示したシステム構成を示したもので、(a)は俯瞰概略図、(b)は側面概略図である。
【0037】
なお、符号については、10が医薬品自動ピッキングシステム、12が医薬品補充部、13がデータベース、14が補充コンベア、16が医薬品棚、18がトレー、20がピッキングクレーン、22が出荷コンベア、24が自動袋詰装置、26がソーター、28が医薬品監査部、30がバーコードリーダー、32が表示装置を示している。
【0038】
本実施形態では、調剤薬局において実施される場合を示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。まず、これまでに病院や医師等から受けた処方箋データに基づいて、コンピュータを用い、処方された各医薬品の処方実績データを集計し、この集計した処方実績データから、処方された際の各医薬品の処方数量を計算していく。例えば、医薬品イについては、30日分の処方数である30錠(10錠入りPPTが3枚)がA回処方され、10日分の処方数である10錠(10錠入りPPTが1枚)がB回処方されていたといったように計算していく(ここでは、A>Bとする)。
【0039】
続いて、計算された処方数量から、その医薬品の処方単位数を1又は複数設定していく。設定する処方単位数は、処方される頻度の高いもの、或いは、高いものから順に選択していくことで、医薬品自動ピッキング方法の効率化が図られる。例えば、上記の医薬品イの場合、30日分の数量を処方されることが多い場合、その処方数である30錠を処方単位として設定し、分配する。即ち、10錠入りのPPTを3枚(30錠分)用意し、ひと纏めにして分配するということである。また、2番目に多い10日分の処方数である10錠を2つ目の処方単位数として設定しても良い、その場合は、10錠入りのPPTを1枚(10錠分)用意し分配することになる。
【0040】
次に、分配された各医薬品をそれぞれ1つのトレーに収納していく。その際、
図5に示すように、トレーに収納した医薬品の医薬品名及び処方単位数を含む医薬品情報データを作成し、さらに、この医薬品情報データとトレーに割り振られているトレー固有情報とをリンクさせることで、医薬品収納データを作成する。なお、
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品補充部12によりこのような作業が行われる。
【0041】
ここで、
図5に示すように、医薬品情報データに、医薬品のロット番号データを含ませると、患者等に処方した後の医薬品のトレーサビリティ向上に繋がる。例えば、医薬品事故が起きてしまった場合に、どの患者等に該当する薬品を処方したか、ということがすぐさま判明するため、医薬品回収作業等の効率性が高まる。
【0042】
そして、
図6(a)に示すように、医薬品が収納されたトレーをそれぞれ医薬品棚に格納していき、その格納した箇所の位置データを対応する医薬品収納データにリンクさせることで、医薬品処方データを作成し、そのデータをデータベース13等の記憶手段に記憶させていく(
図6(b)参照)。なお、
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品収納データを作成した後、補充コンベア14に医薬品が収納されたトレー18が載せられ、続いて、ピッキングクレーン20が、補充コンベア14の下流側の所定位置にて、トレー18をピックし、医薬品棚16の間を通り抜けながら、任意の箇所にトレー18を格納していくというものである。
【0043】
そして、このピッキングクレーン20が、トレー18を複数ピックし、医薬品棚に格納できるように構成すれば、処理能力の更なる向上が望める。このように自動で医薬品棚へ医薬品を格納することができるため、医薬品の保管上、信頼性の向上に繋がり、さらに、人的な作業を省けることから、作業領域の省スペース化を図ることも可能である。
【0044】
続いて、
図7(a)に示すように、ネットワークを通じて、病院等の外部から新規の処方箋データを受けた場合には、受けた新規の処方箋データに基づいて、データベース13等の記憶手段から該当する医薬品処方データを引き出していく。なお、新規の処方箋データに含まれる医薬品名及び処方数のデータをキーとすることで、データベース13等の記憶手段から医薬品処方データを引き出すようにすると処理効率が良い。
【0045】
また、新規の処方箋データに処方数の異常値が含まれていて(例えば、正しい処方は、30日分で30錠であるのに、30日分で20錠と処方指示を出してしまった)、データベース13等にその異常値に該当するデータが記憶されていない場合には、コンピュータ上に警告を出すように設定しておくと、医薬品事故の発生を防ぐことができる。
【0046】
そして、
図7(b)に示すように、データベース13等の記憶手段から引き出された医薬品処方データに含まれている位置データに基づき、ピッキングクレーン20が、医薬品棚に格納されているトレー18をピックし、
図7(c)に示すように、そのトレー18に収納されている医薬品を払い出していく。例えば、30日処方であれば、PPT3枚が収納されたトレー18、60日処方であれば、PPT3枚が収納されたトレー18を2つ、10日処方であれば、PPT1枚が収納されたトレー18等々、該当するトレー18をピックするように構成する。なお、医薬品や、対象の患者によっては、例えば、3日分処方といった少量処方の場合があるが、その際には、PPT1枚(10錠)が収納されたトレー18をピックし、そこから3日分(3錠)を切り分け、残り(7錠)を再びトレー18に収納した状態で医薬品棚に戻すといった作業も可能である。
【0047】
このように、受けた処方箋データに基づいて、自動で対象の医薬品を払い出すことができるため、処理効率が良く、薬剤師等が、いちいちピッキング作業を行う必要がないため、患者等の待ち時間を大幅に削減することができるようになるわけである。また、医薬品の医薬品棚への格納が、所定の処方単位数で収納されたトレー単位で行われていくため、新規の処方箋データを受けた段階で、あらためて医薬品を分配する必要性が大幅に無くなり、やはり、処方作業の効率化が図られることになる。
【0048】
次に、ピッキングクレーン20によりピックされ払い出される医薬品は、
図8に示すように、搬送手段により搬送させ、下流側で処方用袋35に袋詰めしていき、空になったトレー18は、トレー回収ボックス34等に収納する。
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、払い出された医薬品が、出荷コンベア22により搬送され、その下流側にて人手により処方用袋35に袋詰めされていくようになっている。なお、下流側に自動袋詰装置を設置し、この装置により医薬品を処方用袋35に袋詰めし、空のトレー18を自動的に回収していくようにすると、人的作業を減らすことができるため、作業全般効率の向上となる。
【0049】
袋詰めされた医薬品は、最終的に薬剤師により処方箋データと処方された医薬品が合致しているか否かをチェックする監査というものに回される。
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、袋詰めされた医薬品が、ソーター26により患者等毎に振り分けられ、その後、医薬品監査部28において監査が行われるという流れである。
【0050】
ここで、処方用袋35には、表面に新規の処方箋データに基づいて作成される認識情報がバーコードとして印刷されていて、さらに、裏面が、透明又は半透明となっているものを用い、監査においては、まず、印刷されているバーコードをバーコード読み取り機で読み取ることで、認識情報に含まれる医薬品名及び処方数を表示画面上に表示させ、表示内容と、袋詰めされた医薬品の医薬品名及び処方数とが相互に合致しているかを裏面を通じて目視によりチェックする流れを採ると、作業効率が良い。
【0051】
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品監査部28で、処方用袋35のバーコードをバーコードリーダー30で読み取り、認識情報に含まれる医薬品名及び処方数を表示装置32上に表示させ、確実な監査を行っていく。
【0052】
続いて、本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明に係る医薬品自動ピッキング方法の第3の実施形態を示したフローである。なお、本実施形態のシステム構成については、
図2を用いて説明する。
【0053】
本実施形態では、調剤薬局において実施される場合を示しているが、本発明は、これに限定されるものではない。まず、これまでに病院や医師等から受けた処方箋データに基づいて、コンピュータを用い、処方された各医薬品の処方実績データを集計し、この集計した処方実績データから、処方された際の各医薬品の処方数量を計算していく。例えば、医薬品イについては、30日分の処方数である30錠(10錠入りPPT3枚)がA回処方され、10日分の処方数である10錠(10錠入りPPT1枚)がB回処方されていたといったように計算していく。
【0054】
続いて、計算されたそれぞれの処方数量から、その最大公約数を算出する。上記では、30と10の最大公約数である10である。この10を医薬品の処方最小単位数として設定していく。次に、設定した処方最小単位数により、対象の医薬品を分配し、それぞれ1つのトレーに収納していく。その際、
図5に示すように、トレーに収納した医薬品の医薬品名及び処方単位数を含む医薬品情報データを作成し、さらに、この医薬品情報データとトレーに割り振られているトレー固有情報とをリンクさせることで、医薬品収納データを作成する。なお、
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品補充部12によりこのような作業が行われる。
【0055】
ここで、
図5に示すように、医薬品情報データに、医薬品のロット番号データを含ませると、患者等に処方した後の医薬品のトレーサビリティ向上に繋がる。例えば、医薬品事故が起きてしまった場合に、どの患者等に該当する薬品を処方したか、ということがすぐさま判明するため、医薬品回収作業等の効率性が高まる。
【0056】
そして、
図6(a)に示すように、医薬品が収納されたトレーをそれぞれ医薬品棚に格納していき、その格納した箇所の位置データを対応する医薬品収納データにリンクさせることで、医薬品処方データを作成し、そのデータをデータベース13等の記憶手段に記憶させていく(
図6(b)参照)。なお、
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品収納データを作成した後、補充コンベア14に医薬品が収納されたトレー18が載せられ、続いて、ピッキングクレーン20が、補充コンベア14の下流側の所定位置にて、トレー18をピックし、医薬品棚16の間を通り抜けながら、任意の箇所にトレー18を格納していくというものである。
【0057】
そして、このピッキングクレーン20が、トレー18を複数ピックし、医薬品棚に格納できるように構成すれば、処理能力の更なる向上が望める。このように自動で医薬品棚へ医薬品を格納することができるため、医薬品の保管上、信頼性の向上に繋がり、さらに、人的な作業を省けることから、作業領域の省スペース化を図ることも可能である。
【0058】
続いて、
図7(a)に示すように、ネットワークを通じて、病院等の外部から新規の処方箋データを受けた場合には、受けた新規の処方箋データに基づいて、データベース13等の記憶手段から該当する医薬品処方データを引き出していく。なお、新規の処方箋データに含まれる医薬品名及び処方数のデータをキーとすることで、データベース13等の記憶手段から医薬品処方データを引き出すようにすると処理効率が良い。
【0059】
また、新規の処方箋データに処方数の異常値が含まれていて(例えば、正しい処方は、30日分で30錠であるのに、30日分で20錠と処方指示を出してしまった)、データベース13等にその異常値に該当するデータが記憶されていない場合には、コンピュータ上に警告を出すように設定しておくと、医薬品事故の発生を防ぐことができる。
【0060】
そして、
図7(b)に示すように、データベース13等の記憶手段から引き出された医薬品処方データに含まれている位置データに基づき、ピッキングクレーン20が、医薬品棚に格納されているトレー18をピックし、
図7(c)に示すように、そのトレー18に収納されている医薬品を払い出していく。例えば、30日処方であれば、PPT3枚が収納されたトレー18、60日処方であれば、PPT3枚が収納されたトレー18を2つ、10日処方であれば、PPT1枚が収納されたトレー18等々、該当するトレー18をピックするように構成する。なお、医薬品や、対象の患者によっては、例えば、3日分処方といった少量処方の場合があるが、その際には、PPT1枚(10錠)が収納されたトレー18をピックし、そこから3日分(3錠)を切り分け、残り(7錠)を再びトレー18に収納した状態で医薬品棚に戻すといった作業も可能である。
【0061】
このように、受けた処方箋データに基づいて、自動で対象の医薬品を払い出すことができるため、処理効率が良く、薬剤師等が、いちいちピッキング作業を行う必要がないため、患者等の待ち時間を大幅に削減することができるようになるわけである。また、医薬品の医薬品棚への格納が、所定の処方単位数で収納されたトレー単位で行われていくため、新規の処方箋データを受けた段階で、あらためて医薬品を分配する必要性が大幅に無くなり、やはり、処方作業の効率化が図られることになる。
【0062】
次に、ピッキングクレーン20によりピックされ払い出される医薬品は、
図8に示すように、搬送手段により搬送させ、下流側で処方用袋35に袋詰めしていき、空になったトレー18は、トレー回収ボックス34等に収納する。
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、払い出された医薬品が、出荷コンベア22により搬送され、その下流側にて人手により処方用袋35に袋詰めされていくようになっている。なお、下流側に自動袋詰装置を設置し、この装置により医薬品を処方用袋35に袋詰めし、空のトレー18を自動的に回収していくようにすると、人的作業を減らすことができるため、作業全般効率の向上となる。
【0063】
袋詰めされた医薬品は、最終的に薬剤師により処方箋データと処方された医薬品が合致しているか否かをチェックする監査というものに回される。
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、袋詰めされた医薬品が、ソーター26により患者等毎に振り分けられ、その後、医薬品監査部28において監査が行われるという流れである。
【0064】
ここで、処方用袋35には、表面に新規の処方箋データに基づいて作成される認識情報がバーコードとして印刷されていて、さらに、裏面が、透明又は半透明となっているものを用い、監査においては、まず、印刷されているバーコードをバーコード読み取り機で読み取ることで、認識情報に含まれる医薬品名及び処方数を表示画面上に表示させ、表示内容と、袋詰めされた医薬品の医薬品名及び処方数とが相互に合致しているかを裏面を通じて目視によりチェックする流れを採ると、作業効率が良い。
【0065】
図2に示す医薬品自動ピッキングシステム10においては、医薬品監査部28で、処方用袋35のバーコードをバーコードリーダー30で読み取り、認識情報に含まれる医薬品名及び処方数を表示装置32上に表示させ、確実な監査を行っていく。