(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップh)又は前記ステップi)の終了後、前記ステップj)の前に、前記ステップh)又はi)で堆積させた金属又は合金の前記層の上に完全に重なり合う金属又は合金の層を、前記LIGA−UVを用いて前記ステップa)、b)、c)、d)及びe)を繰り返し、続いて前記硬化フォトレジストで覆われていない前記電着させた金属の表面を電気化学的処理によって活性化させて前記ステップf)を繰り返すことによって作製することを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記LIGA−UVを用いて前記ステップa)、b)、c)、d)及びe)を行い、続いて前記硬化フォトレジストで覆われていない前記電着させた金属の表面を電気化学的処理によって活性化させて前記ステップf)を実行することによって、金属又は合金の層をあらかじめ前記ステップa)で用いるバルク金属の平坦な基板上に作製しておき、次いで前記ステップa)を、バルク金属の平坦な基板上に作製した前記金属又は合金の層の上にフォトレジスト層を塗着するステップとして実行し、続いて前記ステップb)から前記ステップj)までの処理を実行することで、前記金属又は合金の層に前記第1の層を完全に重ね合わせることを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
前記バルク金属の平坦な同一基板上に複数の前記多層金属構造を同時に形成し、前記ステップi)後に、少なくとも前記複数の構造の表側からアクセス可能な硬化フォトレジストをプラズマ処理によって指向性をもって除去し、前記下地金属層によって覆われていない部分を除去することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1は、例えばアンクル又はガンギ車等の時計用高精度金属部品の製造のためのLIGA技術(LIthographie Galvanik Abformung(リソグラフィ・電気鋳造・型成形)、ドイツのカールスルーエ原子力研究センター(Karlsruhe Nuclear Research Center)のエールフェルト(W.Ehrfeld)によって考案された方法)の使用について言及している。この方法は、X線照射を発生させるために、重設備であるシンクロトロンを必要とするという欠点を有する。したがって、この方法は時計製造業界で容易に使用できるものではない。
【0003】
非特許文献2は、LIGA技術と類似しているが、X線照射の代わりにUV照射を利用する、LIGA−UVと呼ばれる技術を用いた方法を利用して作製された、ポリイミドを主成分とするフォトレジストのモールドに金属を電着させることによる金属構造の製造について記載している。
【0004】
この金属構造の製造に使用される方法は、
− 支持体のシリコンウエハ上に、電着のための犠牲金属層及びシード層を作製するステップと、
− スピンコートによって感光性ポリイミド層を塗着するステップと、
− 所望のインプレッション(empreinte)に対応するマスクを通して紫外線照射を行うステップと、
− 未照射部分を溶解させることによって現像して、ポリイミドのモールドを得るステップと、
− モールドの開口部分内にその上端の高さまでニッケルを電着させて、ほぼ平坦な上側表面を得るステップと、
− クロムの薄層を真空蒸着させるステップと、
− このクロムの薄層上にスピンコートによって感光性ポリイミド層を堆積させるステップと、
− 所望のインプレッションに対応する新たなマスクを通してUV照射を行い、照射されなかった部分を溶解させることによって現像して、ポリイミドの新たなモールドを得、モールドの開口部分内のクロムの薄層を塩酸溶液で除去し、モールドの開口部分内にニッケルを電着させるステップと、
− 犠牲層を除去し、電着によって得られた金属構造をポリイミドのモールドから分離するステップと
を含む。
【0005】
この方法は、全体的に平行六面体の形状の隆起部が上に載っている金属プレートを製造するために使用されており(V項及び
図9、92ページ)、第2の層は面積がより大きい第1の層の上に完全に重なっている。文献(V項の最終段、93ページ)には、プレートの下に全体的に平行六面体の形状の隆起部を有する反転形の同一構造も同じ技法で製造されたと記載されているが、実際に得られた構造については、図示も、説明もなされていない。
【0006】
出願人は、電着によって堆積させた第2の層が第1の層に完全には重なり合わないときにこのような方法を利用した場合、垂直でない堆積金属の成長及び樹脂上部での気泡の生成をまねくことを確認した。
【0007】
特許文献1は、非特許文献2によって教示されている方法に近いLIGA−UVによる多層金属構造の別の製造方法であって、各層が完全に重なり合う2層のピニオンが上に載っている歯車(実施例1)、又は各層が完全に重なり合う3層の熱流束マイクロセンサ(実施例3)の製造に適用される方法を開示している。この方法を、完全には重なり合わない隣接する2つの層を有する構造の製造に利用した場合には、やはり上述の欠点を生じる。
【0008】
また、特許文献2には、セラミックガラス又は半導体のウエハからなる基板上に微小構造を製造する方法が提案されている。この微小構造は、ベース機構を有し、その上にマイクロプラットフォームを支える支持機構が電気鋳造によって選択的に形成される。この方法はまた、マイクロプラットフォームの選択的な電気鋳造にも、さらに、マイクロプラットフォームを支持体と連結し、互いの相対運動を可能にする柔軟な関節機構の形成にも関係する。
【0009】
この微小構造を作製するのに使用される基板の性質は、機械加工によって各層の厚さ出しを行うには脆すぎる。しかし、ベース層が完璧に平坦かつ平滑でなければ、それ以降の堆積層の品質はあまりよいものとならないことがわかっている。
【0010】
一方、得られる金属構造は、それぞれが分離されることなしに基板から切り離すことはできないことがわかっている。しかるに、とりわけ構造の表側にある盲穴又はアクセス困難なその他の部分から樹脂を除去しなければならない場合は、溶媒浴中でしかその除去を行うことができず、この方法も、盲穴から完全に樹脂を取り去ることを保証するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
基板を形成するバルク金属ウエハは、陰極の役割を果たすことで電気鋳造反応にシードを与える(反応を開始させる)ことができる導電性の金属及び/又は合金によって形成され、一般に1〜5mmの厚さを有する。このウエハは、例えば、銅、真鍮又はステンレス鋼からなるものでよい。好ましくは、このウエハはステンレス鋼からなる。
【0019】
電解浴に接することになるバルク金属ウエハの上側表面は、例えばマイクロピーニング、化学エッチン
グ又はレーザーエッチングによって研磨し、又はテクスチャ付けすることができる
。
【0020】
バルク金属ウエハは適切な処理によって脱脂され、電気鋳造の準備をされる。金属ウエハがステンレス鋼からなるときは、適切な処理は、例えば、アルカリ溶液による脱脂を行ってから、酸性環境で中和してその表面を不動態化し、蒸留水で洗浄し、乾燥させるというものである。
【0021】
フォトレジストは、光開始剤の存在下で紫外線の作用を受けて硬化し得る樹脂を主成分とするネガ型フォトレジストであるか、或いは、光開始剤の存在下で紫外線の作用を受けて分解し得る樹脂を主成分とするポジ型フォトレジストである。ネガ型フォトレジストは、例えば、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分とする。有利なエポキシ樹脂は八官能性エポキシ樹脂SU−8(Shell Chemical社)である。このエポキシ樹脂は、一般に、例えば特許文献3及び特許文献4に記載されているものなど、トリアリールスルホニウム塩のうちから選ばれた光開始剤の存在下で使用される。ポジ型フォトレジストは、例えばノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂を主成分とし、DNQ(ジアゾナフトキノン)光開始剤の存在下で使用される。
【0022】
フォトレジストの塗着は、スピンコーティングによって、又は、例えば、ディップコーティング、ロールコーティング、押出しコーティング、スプレーコーティング、さらにはラミネーション(例えばアクリル樹脂を主成分とするドライフィルムの場合)など、その他の技法によって行うことができる。好ましい塗着技法はスピンコーティングである。
【0023】
ステップc)の照射条件で所期の効果(光硬化又は光分解)を引き出すためのフォトレジストの最大厚さは1mmである。1回に塗着することができるフォトレジスト層の最大厚さは、スピンコーティング法では通常は150μmである。フォトレジストの所望の厚さに応じて、フォトレジストは1回で、又は複数回に分けてバルク金属基板上に塗布される。
【0024】
ステップb)で溶媒を除去するためにフォトレジストを加熱する場合の条件は、フォトレジスト製造業者の指示に従って、フォトレジストの種類及び厚さに応じて選択される。SU−8エポキシ樹脂を主成分とする厚さ140μmのフォトレジストの場合、ステップb)は、例えば、65℃で5〜10分間加熱し、次いで95℃で30〜60分間加熱するというものである。ドライアクリルフィルムを主成分とするフォトレジストの場合には、溶媒を蒸発させるためのこの加熱ステップは不要である。
【0025】
フォトレジストを複数回に分けて塗布する必要があり、かつ溶媒を蒸発させるためにフォトレジストを加熱する必要がある場合には、フォトレジストの1回目の塗着を行ったステップa)の終了後にステップb)を実施し、ステップa)及びb)を必要な回数だけ繰り返す。
【0026】
ステップc)は、所望のインプレッションに対応するマスクを通して、フォトレジスト層を365nmの波長で測定して100〜2000mJ/cm
2のUV照射に曝すというものである。この照射は、樹脂の光硬化(ネガ型フォトレジスト)又は樹脂の光分解(ポジ型フォトレジスト)を引き起こす。
【0027】
ステップd)は、ステップc)の光硬化又は光分解を完了させるために、必要に応じて、ステップc)の終了後に得られる層のアニールを行うというものである。ドライアクリルフィルムを主成分とするフォトレジストなど、一部のフォトレジストでは、光硬化を完了させるためのこの加熱ステップは不要である。
【0028】
ステップe)は、フォトレジストの製造業者の指示に従ってフォトレジストの種類に応じて選択される適切な水溶液又は溶媒を用いて、照射されなかった部分(ネガ型フォトレジスト)又は照射された部分(ポジ型フォトレジスト)を溶解させることによって現像を行うというものである。適切な水溶液の例は、炭酸ナトリウムなどの弱塩基のアルカリ溶液であり、適切な溶媒の例は、GBL(γ−ブチロラクトン)、PGMEA(プロピレングリコールメチルエーテルアセテート)及びイソプロパノールである。有利には、現像用の溶媒又は溶液として、SU−8エポキシ樹脂にはPGMEAが、アクリル樹脂には1%炭酸ナトリウム溶液又はイソプロパノールが使用される。
【0029】
ステップf)は、フォトレジストのモールドの開口部分内に金属又は合金の第1の層を電着させ、上側表面をほぼ平坦に機械加工するというものである。
【0030】
バルク金属ウエハからなる基板を用いることで、基板上の金属構造及びモールドを機械加工し、それにより所望の高さで平坦な上側表面が得られるように金属構造及びモールドの平面出しを行うことが可能となる。そのため、モールド内に電気鋳造される金属の高さを高精度で監視する必要がなくなる。その高さは目標厚さよりもやや(10〜30μm)上になるように選び、次いで機械加工によって、とりわけ研削及び研磨によって、表面の凹凸が約1μm以下の平坦な上側表面が得られるように金属構造及びモールドの平面出しを行う。この解決策は、この方法の利用において、よりよい厚さ管理を可能にし、得られる構造の品質を向上させるという利点を有する。というのは、凹凸のある表面上よりも、研磨された平坦な表面上の方が、その後の電着がより規則的に行われるからである。
【0031】
電気鋳造用の金属としては、ニッケル、銅、金又は銀が、また、合金としては、金−銅合金、ニッケル−コバルト合金、ニッケル−鉄合金、ニッケル−マンガン合金、ニッケル−リン合金がよく用いられる。電気鋳造の条件、とりわけ浴の組成、システムの幾何形状、電圧及び電流密度は、電着される各々の金属又は合金ごとに、電気鋳造技術における周知の技法に従って選択される(例えば、非特許文献3参照)。
【0032】
ステップg)は、平坦な上側表面全体に、ここでは下地金属層と呼ぶ金属層を真空蒸着させ、次いで、ステップa)、b)、c)、d)、及びe)を繰り返すというものである。
【0033】
この真空蒸着(PVD)は、従来技術における周知の通常の条件のもとで行うことができる(例えば、非特許文献4参照)。
【0034】
下地金属層の厚さは、一般に50〜500nmであり、好ましくは100〜300nmであり、とりわけ120〜250nmである。
【0035】
蒸着金属は、電鋳金属に応じて、電鋳金属及びフォトレジストに対するその結合能力と、電着反応に対するそのシード能力とによって選ばれる。蒸着金属は、例えば、ニッケル、銅、金、金に重ねたクロム、又はチタンに重ねたニッケルでよい。
【0036】
ステップg)では、ステップa)、b)、c)、d)及びe)は、そのそれぞれのステップについて上述したのとほぼ同様に行われるが、ステップa)の基板となるのは下地金属層であり、新たな層に所望のインプレッションに対応する新たなマスクが使用される。それにより、硬化フォトレジストの第2のモールドが得られる。
【0037】
ステップh)は、下地金属層の存在下で、第2のモールドの開口部分内に金属又は合金の第2の層を電着させ、上面をほぼ平坦に機械加工するというものである。下地金属層が存在することにより、たとえ第2の層が第1の層に完全に重なり合っていなくても、堆積金属の垂直な成長を保証し、気泡の形成を防ぐことができる。第2の層の金属又は合金は、第1の層のものと同じでも、異なっていてもよい。一般には、同じ金属又は合金である。
【0038】
ステップi)は、必要に応じて、ステップg)及びh)を繰り返し、所望の多層金属構造を得るというものである。二層金属構造を製造する場合は、この繰り返しは必要ない。
【0039】
ステップj)は、得られた多層金属構造及び硬化したフォトレジストを層間剥離によってバルク金属基板からはがし、フォトレジストを分離して多層金属構造を切り離し、次いで、下地金属層の、電着させた金属又は合金の2つの層の間に挟まれていない部分を取り除くというものである。
【0040】
バルク金属基板の上面から層間剥離によってはがされた金属構造の下面は、その上面の表面性状を複製する。そのため、その下面は、テクスチャ付けされている場合(金属基板の上面が、例えばエッチング又はマイクロピーニングによってテクスチャ付けされているとき)もあれば、研磨された見かけを有する場合(金属基板の上面が研磨されているとき)もある。後者の場合、構造下面の表面の研磨された見かけは、ここでは研磨によって上面の表面に得られる研磨された見かけと肉眼では見分けがつかない。それでも、適合された照明及び特定の向きと組み合わせた倍率50倍の光学顕微鏡によって、又は走査型電子顕微鏡によって、又は表面解析トポグラフィシステムを使って、観察すれば、2つの表面を見分けることができる。
【0041】
フォトレジストの分離又はストリッピングは、一般に化学的腐食又はプラズマ処理によって行われる。プラズマ処理は指向性のある作用を有することができ、そのため、とりわけ、化学的腐食では保証されない例えば盲穴から樹脂をうまく除去することが可能になる。さらに、この処理は、層間剥離後、互いに結合した構造全体に加えられることから、構造全体をプラズマ発生源に対して同じ向きに保ち、それによって構造の優先部分を処理することが可能となる。
【0042】
フォトレジストのストリッピング後、下地金属層の一部は電鋳金属の2つの層の間に挟まれておらず、したがって除去されなければならない。一般に、この除去は、電鋳金属を腐食させない適切な浴中で下地金属を腐食させることによって行われる。例えば、下地金属層が金である場合は、この除去は、シアン化物溶液を主成分とする金溶解浴中で行われる。
【0043】
本発明の方法は、前記第2の層の上に完全に重なり合う金属もしくは合金の層、及び/又は前記第1の層がその上に完全に重ね合わされる金属もしくは合金の層を有する多層金属構造の製造にも用いることができる。前記第2の層の上に完全に重なり合う層の金属又は合金は、前記第2の層のものと同じでも、或いはそれと異なっていてもよく、前記第1の層がその上に完全に重なり合う層の金属又は合金は、前記第1の層のものと同じでも、或いはそれと異なっていてもよい。一般に、いずれの場合も、同じ金属又は合金である。
【0044】
本発明の方法の一実施形態によれば、ステップh)又はステップi)の終了後、ステップj)の前に、h)又はi)で堆積させた金属又は合金の層の上に完全に重なり合う金属又は合金の層をLIGA−UVによって作製する。当業者であれば、金属層の上に完全に重なり合う金属層の堆積条件を、従来技術中に、とりわけ前出の非特許文献2に見出すであろう。その条件は、例えば、ステップa)、b)、c)、d)及びe)を繰り返し、次いで、電鋳金属の、硬化フォトレジストで覆われていない表面を電気化学的処理によって活性化させ、その上でステップ
f)を繰り返すというものでよい。この活性化は、表面処理技術の分野における周知の技法に従って、電鋳金属に陽極の役割をさせて逆電流を加えることによって行われる。それにより、第1の層に隣接し、それに完全には重なり合わない少なくとも1つの第2の層と、その第2の層に完全に重なり合うもう1つの層とを有する多層金属構造が得られる。
【0045】
本発明の方法のもう1つの実施形態によれば、ステップa)に先立って、金属又は合金の層をLIGA−UVによってあらかじめ作製しておき、その上に金属又は合金の前記第1の層を完全に重ね合わせる。当業者であれば、金属層の上に完全に重なり合う金属層の堆積条件を、従来技術中に、とりわけ前出の非特許文献2に見出すであろう。その堆積条件は、例えば、ステップa)、b)、c)、d)及びe)を行い、次いで、電鋳金属の、硬化フォトレジストで覆われていない表面を電気化学的処理によって活性化させ、その上でステップ
f)を実施するというものでよい。それにより、第1の層に隣接し、その第1の層に完全には重なり合わない少なくとも1つの第2の層と、前記第1の層がその上に完全に重なり合うもう1つの層とを有する多層金属構造が得られる。
【0046】
本発明の方法により、第1の層に隣接し、その第1の層に完全には重なり合わない少なくとも1つの第2の層を有する金属構造であって、気泡の形成及び電鋳金属の垂直でない成長による欠陥を有さない金属構造をLIGA−UVによって製造することが可能となる。このような品質の構造は、既知の方法では得られなかったものである。
【0047】
したがって、本発明は、第1の層に隣接し、その第1の層に完全には重なり合わない少なくとも1つの第2の層を有し、上に定義する方法によって得ることができる新規な多層金属構造にも関する。
【0048】
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明の方法のいくつかの実施形態を模式的かつ例示的に示す添付の図面を参照しながら以下に行う詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
【0049】
以下の実施例では、それらの図を参照しながら、その二層構造、その日回しつめ、及びそのスペーサの本発明の方法による製造について説明する。
【実施例1】
【0050】
盲穴付き二層構造の製造
図1A、B及びCは、下面1、上面2、上面の2つの盲穴3、下面の盲穴4、形穴5、逃げ
溝6及び面取り部7を有する二層構造を示す。
【0051】
図2Aに、ステップb)終了後に得られ、基板8を覆うフォトレジスト層9を有する構造を示した。この構造は以下に説明する要領で得られたものである。
【0052】
厚さ1mm、直径150mmのステンレス鋼製ウエハからなる基板8を、アルカリ溶液で脱脂し、続いて酸性環境で中和してその表面を不動態化し、次いで蒸留水で洗浄し、乾燥することによって、脱脂し、電気鋳造の準備をした。続いて、八官能性エポキシ樹脂SU−8−2100(Shell Chemical社)を主成分とする厚さ140μmのネガ型フォトレジストの第1の層をスピンコートによって基板8上に塗着し、次いで、65℃で5分間、さらに95℃で35分間加熱して、溶媒を蒸発させた。続いて、厚さ140μmの同じフォトレジストの第2の層をスピンコートによってフォトレジストの第1の層の上に塗着し、次いで、65℃で7分間、さらに95℃で60分間加熱して、溶媒を蒸発させた。
【0053】
図2Bは、所望のインプレッションに対応するマスクを通して、フォトレジスト層を中心波長365nmの約600mJ/cm
2のUV照射に曝すステップc)に対応するものである。この図では、UV11透過性の支持体10と、堆積させたクロムによって形成される不透過性ゾーン10aとを有するマスクが見て取れる。マスクを形成するその支持体は、ただ1回のバッチで製造できる限りの構造に相当する多数のゾーンを有することができ、そのすべてのゾーンは、マイクロエレクトロニクス業界における周知の技法であるフォトリソグラフィによって極めて高い解像度の輪郭で得られる。
【0054】
この照射は、照射されたゾーン9b内の樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーン9aは硬化しないままに残る。
【0055】
図2Cは、ステップe)終了後に得られる構造を示す。
【0056】
ステップc)終了後に得られる層に対して、硬化を完了させるために、65℃で2分間、さらに95℃で20分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に20分間浸けて溶解させ、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させた。
図2Cでは、硬化フォトレジストのモールド9bが基板8の上に重なり合っているのが見て取れる。
【0057】
図2Dは、ステップf)を実施し、ステップg)に従ってステップa)及びb)を繰り返した後に得られる構造を示す。
【0058】
ステップf)で、硬化フォトレジストのモールドの開口部分内にニッケルを電着させ、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得、次いで厚さ約200nmの金の下地層を真空蒸着させ、SU−8−2100エポキシ樹脂を主成分とする同一のフォトレジストの125μmの連続した2つの層に対してステップa)及びb)を繰り返し、ここでのステップb)の加熱は、第1の層に対しては、65℃で5分間、次いで95℃で35分間、第2の層に対しては、65℃で7分間、次いで95℃で60分間とした。
【0059】
図2Dでは、硬化フォトレジスト9bを覆う金層13の上のフォトレジスト層14、及び基板8の上の電鋳層12が見て取れる。
【0060】
図2Eは、所望のインプレッションに対応する新たなマスクを通して、フォトレジストを中心波長365nmの約550mJ/cm
2のUV照射に曝すことでステップc)を繰り返したものに相当する。この図では、UV透過性の支持体15と、堆積させたクロムによって形成される不透過性ゾーン15aとを有するマスクが見て取れる。紫外線11のこの照射は、照射されたゾーン14bの樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーン14aは硬化しないままに残る。
【0061】
図2Fは、ステップg)終了後に得られる構造を示す。ステップc)終了後に得られる層に対して、硬化を完了させるために、65℃で1分間、さらに95℃で15分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを、連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に15分間浸けて溶解させ、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させた。この図では、硬化フォトレジストの第1のモールド9bの上の、下地金属層13の上の硬化フォトレジストの第2のモールド14b、及び基板8の上の、電鋳ニッケル層12が見て取れる。
【0062】
図2Gは、ステップh)終了後に得られる構造を示す。目標厚さをわずかに(10〜30μm)上回る高さまで2回目のニッケル電着を行い、次いで、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得る。この図では、基板8の上の、第1の硬化モールド9b及び第1の電鋳層12の上の、下地金属層13の上の、硬化樹脂の第2のモールド14b及び第2の電鋳層16が見て取れる。
【0063】
図2Hは、ステップh)終了後に得られる構造に対して行う面取り作業を示す。この図では(
図2Gと比較するとより一層)、フライス17及び面取り穴3aが見て取れる。
【0064】
図2Iは、
図1Cの断面図に対応するもので、ステップj)終了後、層間剥離によって金属基板を引きはがし、プラズマ処理によって硬化フォトレジストを除去し、金溶解によって、金層の、電着ニッケルの2つの層の間に挟まれていない部分をストリッピングした後に得られる盲穴付きの二層構造を示す。この図では、第1のニッケル層12、金層13、第2のニッケル層16、及び面取り3a、5a及び7が見て取れる。
【0065】
電着金属構造の層間剥離により、金属構造を、それを樹脂で互いに結合させた状態で一体で保持することが可能になる。この構造分離方式により、構造全体を裏返し、それをプラズマ処理にかけることが可能である。プラズマ処理は、その指向性により、プラズマ発生源の正面にあるすべての樹脂を取り去ることができる。この樹脂除去方式により、とりわけ、構造を単にばらの状態で浴に浸けるだけでは届きにくい金属構造の盲穴及びその他の部分を、特に
図1Cの穴4の場合のように盲穴の直径が極めて小さいときでも、完全にさらうことが可能となる。
【0066】
上述した内容を考慮し、金下地層を除去する際に構造をばらの状態で処理するのを避けるために、以下の一連の作業を採用することができる。
1)フライス17を使った面取り作業(
図2H)、
2)プラズマ処理によるフォトレジスト14bの除去、
3)層13の、層12と層16に挟まれていない部分の金溶解によるストリッピング、
4)層間剥離による基板からの多層金属構造の引きはがし、
5)プラズマ処理によるフォトレジスト9bの分離。
【実施例2】
【0067】
日回しつめの製造
図3A及びBに示す日回しつめを、以下に説明するようにして作製した。
【0068】
厚さ1mm、直径150mmのステンレス鋼製ウエハからなる基板を、アルカリ溶液によって脱脂し、続いて酸性環境での中和によってその表面を不動態化し、蒸留水で洗浄し、乾燥することによって、脱脂し、電気鋳造の準備をした。続いて、八官能性エポキシ樹脂SU−8−2100(Shell Chemical社)を主成分とする厚さ140μmのネガ型フォトレジストの第1の層をスピンコートによって基板上に塗着し、次いで、65℃で5分間、さらに95℃で35分間加熱して、溶媒を蒸発させた。続いて、厚さ140μmの同じフォトレジストの第2の層をスピンコートによってフォトレジストの第1の層上に塗着し、次いで、65℃で7分間、さらに95℃で60分間加熱して、溶媒を蒸発させた。
【0069】
続いて、所望のインプレッションに対応するマスクを通して、フォトレジストを中心波長365nmの約750mJ/cm
2のUV照射に曝すことで、ステップc)を実施した。この照射は、照射されたゾーンの樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーンは硬化しないままに残る。
【0070】
続いて、得られた層に対して、硬化を完了させるために、65℃で2分間、さらに95℃で20分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを、連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に20分間浸けて溶解させ、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させた。それにより、ステンレス鋼製基板の上に硬化フォトレジストのモールドを得た。
【0071】
続いて、硬化フォトレジストのモールドの開口部分内にニッケルを電着させ、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得、厚さ約200nmの金層を真空蒸着させ、SU−8−2100エポキシ樹脂を主成分とする同一のフォトレジストの120μmの連続した2つの層に対してステップa)及びb)を繰り返し、ここでのステップb)の加熱は、第1の層に対しては、65℃で5分間、次いで95℃で35分間、第2の層に対しては、65℃で7分間、次いで95℃で60分間とした。
【0072】
続いて、所望のインプレッションに対応する新たなマスクを通して、フォトレジストを中心波長365nmの約700mJ/cm
2のUV照射に曝すことで、ステップc)を繰り返した。紫外線のこの照射は、照射されたゾーンの樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーンは硬化しないままに残る。
【0073】
続いて、硬化を完了させるために、65℃で1分間、さらに95℃で15分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを、連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に15分間浸けて溶解させ、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させた。これにより、基板の上の、硬化フォトレジストの第1のモールド及び電鋳ニッケル層の上の、金下地層の上に、硬化フォトレジストの第2のモールドを得た。
【0074】
続いて、目標厚さをわずかに(10〜30μm)上回る高さまで2回目のニッケル電着を行い、次いで、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得た。
【0075】
続いて、層間剥離によって金属構造から基板をはがし、プラズマ処理によって硬化フォトレジストを除去し、外部と接する金層を金溶解によって除去した。こうして、
図3A及び3Bに示す日回しつめを得た。
【実施例3】
【0076】
スペーサの製造
図4A及びBに示すスペーサを製造するには、厚さ1mm、直径150mmのステンレス鋼製ウエハからなる基板を用意し、アルカリ溶液で脱脂し、酸性溶液中で中和してその表面を不動態化し、続いて蒸留水で洗浄し、乾燥させて、電気鋳造の準備をした。次に、八官能性エポキシ樹脂SU−8−2100(Shell Chemical社)を主成とする厚さ140μmのネガ型フォトレジストの第1の層をスピンコートによって基板上に塗着し、次いで、65℃で5分間、さらに95℃で35分間加熱して、溶媒を蒸発させた。続いて、厚さ140μmの同じフォトレジストの第2の層をスピンコートによってフォトレジストの第1の層の上に塗着し、次いで、65℃で7分間、さらに95℃で60分間加熱して、溶媒を蒸発させた。
【0077】
続いて、所望のインプレッションに対応するマスクを通して、フォトレジストを中心波長365nmの約600mJ/cm
2のUV照射に曝すことで、ステップc)を実施した。この照射は、照射されたゾーンの樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーンは硬化しないままに残る。
【0078】
続いて、得られた層に対して、硬化を完了させるために、65℃で1分間、さらに95℃で15分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを、連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に20分間浸けて溶解させ、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させた。それにより、ステンレス鋼製基板の上に硬化フォトレジストのモールドを得た。
【0079】
続いて、硬化フォトレジストのモールドの開口部分内にニッケルを電着させ、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得、約150nmの金層を真空蒸着させ、SU−8−2100エポキシ樹脂を主成分とする同一のフォトレジストの90μmの連続する2つの層に対してステップa)及びb)を繰り返し、ここでのステップb)の加熱は、第1の層に対しては、65℃で5分間、次いで95℃で20分間、第2の層に対しては、45℃で60分間、次いで95℃で60分間とした。
【0080】
続いて、所望のインプレッションに対応する新たなマスクを通して、フォトレジストを中心波長365nmの約500mJ/cm
2のUV照射に曝すことで、ステップc)を繰り返した。紫外線のこの照射は、照射されたゾーンの樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーンは硬化しないままに残る。
【0081】
続いて、硬化を完了させるために、65℃で1分間、さらに95℃で15分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを、連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に15分間浸け、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させることによって、溶解させた。これにより、基板の上の、硬化フォトレジストの第1のモールド及び電鋳ニッケル層の上の、金下地層の上に、硬化フォトレジストの第2のモールドを得た。
【0082】
続いて、目標高さをわずかに(10〜30μm)上回る高さまで2回目のニッケル電着を行い、次いで、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得た。
【0083】
SU−8−2100エポキシ樹脂を主成分とする同一のフォトレジストの140μmの連続した2つの層に対してステップa)及びb)を繰り返し、ここでのステップb)の加熱は、第1の層に対しては、65℃で5分間、次いで95℃で35分間、第2の層に対しては、45℃で7分間、次いで95℃で60分間とした。
【0084】
続いて、所望のインプレッションに対応する新たなマスクを通して、フォトレジストを中心波長365nmの約600mJ/cm
2のUV照射に曝すことで、ステップc)を繰り返した。紫外線のこの照射は、照射されたゾーンの樹脂の光硬化を引き起こすが、照射されなかったゾーンは硬化しないままに残る。
【0085】
続いて、硬化を完了させるために、65℃で1分間、さらに95℃で15分間のアニールを行い、次いで、照射されなかったフォトレジストを、連続する3つのPGMEA浴(純度の昇順に)に15分間浸けて溶解させ、イソプロピルアルコール浴で洗浄し、乾燥させた。これにより、硬化フォトレジストの第3のモールドを電鋳ニッケルの第1および第2の層の上に得た。
【0086】
硬化フォトレジストで覆われていない電鋳ニッケルのその第2の層の上側表面を電気化学的処理によって活性化させた。
【0087】
続いて、目標高さをわずかに(10〜30μm)上回る高さまで3回目のニッケル電着を行い、次いで、研削及び研磨によって平面出しを行って平坦な上側表面を得た。
【0088】
第3の電鋳ニッケル層が第2の電鋳ニッケル層の上に完全に重なり合う場合には、中間の下地層はなくすことができる。
【0089】
続いて、層間剥離によって金属構造から基板をはがし、プラズマ処理によって硬化フォトレジストを除去し、外部と接する金層を金溶解によって除去した。こうして、
図4A及び4Bに示すスペーサを得た。