(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010581
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】エネルギ変換設備をリファビッシュする方法およびリファビッシュされたエネルギ変換設備
(51)【国際特許分類】
F03B 3/10 20060101AFI20161006BHJP
F03B 3/18 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
F03B3/10 Z
F03B3/18 A
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-116434(P2014-116434)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2014-238090(P2014-238090A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年6月5日
(31)【優先権主張番号】1355172
(32)【優先日】2013年6月5日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513128235
【氏名又は名称】アルストム・リニューワブル・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン ダニエル ラヴィーニュ
(72)【発明者】
【氏名】クロード ベラル
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン アンテオーム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ベルナール ウードリーヌ
【審査官】
田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−057412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 3/10
F03B 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧エネルギを電気的または機械的エネルギに、およびその逆に変換するための設備(2)をリファビッシュする方法であって、このリファビッシュされた設備は、
軸線(Z202)を中心にして可動なランナ(202)を有するフランシス型ポンプタービン(20)と、
ステーベーン(2040)を有するプレディストリビュータ(204)であって、前記ステーベーンは、2つの隣接するステーベーンのそれぞれの対の間に第1の水通過チャネル(C1)を形成している、プレディストリビュータ(204)と、
ディストリビュータ(206)であって、タービンモードで作動するポンプタービンに供給される水の流れの方向でステーベーンの下流に配置されたガイドベーン(2060)を有し、該ガイドベーン(2060)は、2つの隣接する前記ガイドベーンのそれぞれの対の間に第2の水通過チャネル(C2)を形成している、ディストリビュータ(206)と、を備え、前記方法は、
前記ランナ(202)の回転軸線(Z202)に対して平行な前記第1の水通過チャネル(C1)の高さ(h204)を減じるステップa)と、
前記ランナの回転軸線に対して平行な前記第2の水通過チャネル(C2)の高さ(h206)を減じるステップb)と、を含むことを特徴とする、設備(2)をリファビッシュする方法。
【請求項2】
前記ステーベーン(2040)は、上側フランジリング(212)と下側フランジリング(210)との間に取り付けられており、前記ステップa)は、それぞれの第1のチャネル(C1)において、デフレクタ(214)の1つのセクタ(2140)を上側リングおよび/または下側リングに取り付けることによって行われる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ステップb)は、前記ディストリビュータ(206)に代えて、ポンプタービンに、そのチャネル(C2)が前記ランナ(202)の回転軸線(Z202)に対して平行に測定して、前記第1のチャネル(C1)の高さ(h204’)と同じ高さ(h206’)を有するディストリビュータ(206’)を装備することによって行われる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記ガイドベーン(2060)は、水が通過する間に濡らされる2つの反対側の面(2068A,2068B)と、2つの反対側の面から等距離の弦(2062)とを有しており、前記方法は、ステップb)の後にステップc)を含み、該ステップc)は、
ポンプモードにおける前記ガイドベーンの後縁(2064)のレベルにおける弦の直線的な延び(Y2064’)が、この後縁を通過する、前記ランナ(202)の回転軸線(Z202)に対する整放線方向(Uo)と、ポンプタービン(20)のリファビッシュの前にこの直線的な延び(Y2064)とこの整放線方向との間に規定された角度(A1)よりも大きな角度(A1’)を、ポンプタービンの同じ作動点のために形成するように、回動軸線を中心としてディストリビュータ(206’)のガイドベーンの回転を調節することである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記ランナ(202)は、2つの隣接するブレードのそれぞれの対の間に第3の水通過チャネル(C3)を形成するブレード(208)を有し、前記方法は、ステップd)を含み、
該ステップd)は、ポンプタービン(20)がポンプモードで作動する時の前記ブレード(208)における流れ(E)の後縁(2080)のレベルにおいて見た、ランナ回転軸線(Z202)に対して平行な、前記第3のチャネル(C3)の高さ(h202)を減じることである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ステップd)は、前記ランナ(202)に代えて、ポンプタービンに、ランナ(202’)であって、ブレード(208’)の後縁(2080’)のレベルにおいて前記ランナの回転軸線(Z202)に対して平行に測定した前記第3のチャネル(C3)の高さ(h202’)が前記第1のチャネル(C1)および前記第2のチャネル(C2)の高さと同じであるランナ(202’)を装備することによって行われる、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧エネルギを電気的または機械的エネルギに、およびその逆に変換するための設備をリファビッシュする方法、およびこのようなリファビッシュされた設備に関する。
【背景技術】
【0002】
液圧エネルギを電気的または機械的エネルギに、およびその逆に変換する分野では、フランシスポンプタービンの使用が公知である。このようなポンプタービンは、ランナを有し、このランナは、鉛直方向軸線を中心にして可動であり、かつドライブシャフトに堅く結合されており、ドライブシャフトの回転軸線はランナ回転軸線と一致する。このポンプタービンはまた、ランナの周囲に配置されたガイドベーンのセットによって形成されたディストリビュータと、渦形室とディストリビュータとの間に配置されかつステーベーンのセットによって形成されたプレディストリビュータとを有する。タービンモードでは、ディストリビュータは、プレディストリビュータの下流に配置されている。
【0003】
ポンプタービンの第一世代、例えば数十年経過したポンプタービンのレイアウトは、純粋なフランシス型タービンのレイアウトによって強く影響されている。
【0004】
リファビッシュの間、ステーベーンを物理的に変化させることなくガイドベーンを変化させることが一般的である。なぜならば、ステーベーンは、渦形室の機械的強度に寄与し、ステーベーンのあらゆる変更は、実施するのに注意を要するからである。ガイドベーンのこの変更は主に、ガイドベーンの反りを変更することである。したがって、ステーベーンは、ポンプ方向でのガイドベーンからの流れに関して半径方向になりすぎる。この入射の欠如は、機械の良好な性能にとって不都合な付加的な圧力損失を生じることが知られている。
【0005】
したがって、1つの解決手段は、ステーベーンの内部幾何学的角度を減じること、すなわちステーベーンの内部幾何学的角度をより半径方向でなくすることである。この作業は、研削またはオーバーサイジングの技術を用いて達成可能である。しかしながら、プレディストリビュータの構造を変更することは、アセンブリの機械的強度を弱めるリスクを生じ、また、この作業は困難であることが分かっており、ディストリビュータ内の部品のスペース要求を与える。
【0006】
加えて、プレディストリビュータおよびプレディストリビュータに堅く結合されたフランジリングは、コンクリートに埋め込まれた機械的部分である。なぜならば、これらは機械の機械的寸法決めにおける中心的な構成部材であるからである。これは、これらが高レベルの機械的応力を受けるからである。したがって、ステーベーンの輪郭の変更は、構造の弱まりにつながる。加えて、このような作業は、実施するのに時間がかかり、極めて高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、特に、構造を弱めることなく、ポンプモードにおける水の流れの角度とステーベーンの幾何学的な角度との間の入射の欠如を修正する、フランシス型ポンプタービンをリファビッシュする方法を提供することによってこれらの欠点を排除しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明は、液圧エネルギを電気的または機械的エネルギに、およびその逆に変換するための設備をリファビッシュする方法に関し、この設備は、軸線を中心にして可動なランナを有するフランシス型ポンプタービンと、ステーベーンを有するプレディストリビュータであって、前記ステーベーンは、2つの隣接するステーベーンのそれぞれの対の間に第1の水通過チャネルを形成している、プレディストリビュータと、タービンモードで作動するポンプタービンに供給される水の流れの方向でステーベーンの下流に配置されたガイドベーンを有するディストリビュータであって、前記ガイドベーンは、2つの隣接するガイドベーンのそれぞれの対の間に第2の水通過チャネルを形成している、ディストリビュータと、を備える。本発明によれば、この方法は、
ランナの回転軸線に対して平行に見た第1の水通過チャネルの高さを減じるステップa)と、
ランナの回転軸線に対して平行に見た第2の水通過チャネルの高さを減じるステップb)と、を含む。
【0009】
本発明によれば、ポンプモードでは、水の流れは、ディストリビュータ出口において、より半径方向の方向を有する。これは、ステーベーンのジオメトリを変更することなく、流体の流れの角度とステーベーンの幾何学的角度との間の入射の欠如が修正されることを可能にする。
【0010】
発明の有利であるが必須ではない態様によれば、変換設備をリファビッシュする方法は、あらゆる技術的に許容可能な組合せにおいて、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでよい:
−それぞれの第1のチャネルにおいて、デフレクタの1つのセクタをトップリングおよび/またはボトムリングに取り付けることによって、ステーベーンは、上側フランジリングと下側フランジリングとの間に取り付けられる。
−ステップb)は、ディストリビュータを変更することによって、特にポンプタービンに、ディストリビュータであって、そのチャネルがランナの回転軸線に対して平行に測定して、第1のチャネルの高さと同じ高さを有するディストリビュータを装備することによって実行される。
−ガイドベーンは、水が通過する間に濡らされる2つの反対側の面と、2つの反対側の面から等距離の弦とを有する一方で、方法は、ステップb)の後にステップc)を含み、このステップc)は、回動軸線を中心としてディストリビュータのガイドベーンの回転を調節することであり、その際、ポンプモードにおいてガイドベーンの後縁のレベルにおける弦の直線的な延びが、この後縁を通過する、ランナの回転軸線に対する整放線方向と角度を形成し、この角度は、ポンプタービンリファビッシュの前の、この直線的な延びとこの整放線方向との間に規定された角度よりも大きく、ポンプタービンの同じ作動点のために形成する。
−ランナは、ブレードを有し、これらのブレードは、2つの隣接するブレードのそれぞれの対の間に、第2の水通過チャネルを形成しており、方法は、ステップd)を含み、このステップd)は、ポンプタービンがポンプモードで作動する時のブレードにおける流れの後縁のレベルにおいて見た、ランナ回転軸線に対して平行な第3のチャネルの高さを減じることである。
−ステップb)は、ランナを変更することによって、特にポンプタービンに、ブレードの後縁においてランナの回転軸線に対して平行に測定したその第3のチャネルが第1および第2のチャネルの高さと同じであるランナ、を装備することによって実行される。
【0011】
本発明は、液圧エネルギを電気的または機械的エネルギに、およびその逆に変換するためのリファビッシュされた設備にも関し、この設備は、フランシス型ポンプタービンを含み、このフランシス型ポンプタービンは、軸線を中心にして可動なランナと、2つの隣接するステーベーンのそれぞれの対の間に第1の水通過チャネルを形成したステーベーンを有するプレディストリビュータと、タービンモードで作動するポンプタービンに供給される水の流れの方向でステーベーンの下流に配置されたガイドベーンを有するディストリビュータとを有し、ガイドベーンは、2つの隣接するガイドベーンのそれぞれの対の間に第2の水通過チャネルを形成している。本発明によれば、この設備は、それぞれの第1のチャネルにおいて下側フランジリングおよび/または上側フランジリングに配置された少なくとも1つのデフレクタを有する。
【0012】
発明の有利であるが必須ではない態様によれば、エネルギ変換設備は、あらゆる技術的に許容可能な組合せにおいて、以下の特徴のうちの1つ以上を含んでよい:
−デフレクタは、それぞれが第1のチャネルに配置されかつ取付け部材を介して下側フランジリングおよび/または上側フランジリングに取り付けられた複数のセクタから形成されている。
−デフレクタのセクタはそれぞれ金属プレートを含む。
−デフレクタのセクタはそれぞれ、合成材料、コンクリートまたは金属の塊を含む。
【0013】
添付された図面を参照してなされた、その原理と一貫したエネルギ変換設備をリファビッシュする方法の実施の形態の1つの態様の以下の説明を考慮することにより、発明はさらによく理解され、発明のその他の利点はより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明のリファビッシュする方法の実施の前の、ポンプタービンを有する設備の軸方向断面図である。
【
図3】ディストリビュータが変更された場合における
図1の設備の線III−IIIに沿った部分的な断面図であり、この図では、図面を分かりやすくするため、ポンプタービンランナおよびコンクリートブロックが省略され、渦形室は外面図で示されている。
【
図5】設備のポンプタービンが本発明の方法によってリファビッシュされた後の
図1と同様の断面図である。
【
図7】リファビッシュされたポンプタービンの
図5の線VII−VIIに沿った、
図3と同様の部分的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1および
図2は、リファビッシュの前に液圧エネルギを電気的または機械的エネルギに変換するための設備2を示す。図面を明確にするため、
図2に示された幾つかの要素は
図1には示されていない。逆に、設備2は、機械的または電気的エネルギを液圧エネルギに変換してもよい。設備2はポンプタービン20を有する。タービンモードでは、ポンプタービン20は、駆動軸201を一回転方向に駆動するために液圧エネルギを利用する。この駆動軸201の回転は、別の機械的装置のための入力として、または電気を発生するためにAC発電機を駆動するために利用することができる。
【0016】
ポンプモードでは、ポンプタービン20のランナの回転が、反対回転方向で軸201に加えられる力によって惹起され、これは、タービンモードでは逆の流れ方向での所定量の水の押しのけにつながる。以下の説明では、そうでないことが述べられない限り、ポンプタービン20はポンプモードで作動すると考える。
【0017】
ポンプタービン20は、渦形室200を有し、この渦形室は、図示しない管に接続されておりかつコンクリートブロック22および24によって所定位置に保持されている。この管は、ポンプタービン20に属するランナからの強制された水の流れによって横断される。このランナ202は、渦形室200によって包囲されておりかつブレード208を有し、ブレード208の間に水が循環することができる。ブレード208の後縁は、ポンプタービン20がポンプモードで作動するときには2080によって示されている。水が通過する間、ランナ202は、駆動軸201の回転軸線と一致する軸線Z202を中心として回転する。この水の通過は、
図1に流れEによって表されている。
【0018】
ポンプタービン20がタービンモードで作動する場合、後縁2080は、所属するブレードの前縁を形成する。
【0019】
ディストリビュータ206がランナ202の周囲に配置されている。このディストリビュータ206は、ランナ202の周囲に規則的に分布させられたガイドベーン2060のセットによって形成されている。軸線Z202に沿って測ったディストリビュータ206の高さは、h206によって表されている。走行間隙(running clearance)の近くにおいて、この高さh206は、実際には、その間でガイドベーン2060が回動させられる2つの支持体2063および2065の間で鉛直方向に計った、ガイドベーン2060の高さであり、各ガイドベーンは、軸線Z202に対して平行な軸線Z2060を中心として回転する。ガイドベーン2060に堅く結合された、トラニオンと称される部材2067および2069は、それぞれ支持体2063および2065に取り付けられており、軸線Z2060を中心とするガイドベーン2060の回転を制御するために利用される。
【0020】
ディストリビュータ206の周囲、すなわちタービンモードにおいてはディストリビュータ206の上流、ポンプモードにおいてはディストリビュータの下流に、プレディストリビュータ204が配置されている。プレディストリビュータ204は、ステーベーン2040のセットによって形成されており、これらのステーベーン2040は、ランナ202の回転軸線Z202を中心として規則的に分布させられておりかつ下側フランジリング210と上側フランジリング212との間に取り付けられている。下側フランジリング210と上側フランジリング212との間の、軸線Z202に対して平行に測った、プレディストリビュータ204の高さ、すなわち最小高さは、h204によって表されている。高さh204は、ディストリビュータ206に向けられた各ステーベーンの縁部2046の近くで測定される。ポンプモードでは、水は、ランナ202のブレード208の間、次いで2つの隣接するガイドベーン2060の各対の間、最後に2つの隣接するステーベーン2040の各対の間を通過する。タービンモードでは、水は、ステーベーン2040の間、ガイドベーン2060の間、次いでブレード208の間を通過する。特にタービンモードでこの作動を考える場合、第1の水通過チャネルC1は、2つの隣接するステーベーン2040の間に形成され、第2の水通過チャネルC2は、2つの隣接するガイドベーン2060の間に形成され、さらに、第3の水通過チャネルC3は、ランナ202の2つの隣接するブレード208の間に形成されている。
【0021】
図示した例では、したがって、第1のチャネルC1の数は、ステーベーン2040の数と等しい。第2のチャネルC2の数はガイドベーン2060の数と等しく、第3のチャネルC3の数はブレード208の数と等しい。設備2が16枚のステーベーン2040と16枚のガイドベーン2060とを有する図示の例では、16のチャネルC1と16のチャネルC2が提供されている。
【0022】
変化態様として、ステーベーン2040の数は、ガイドベーン2060の数と異なっていてもよい。
【0023】
高さh204はチャネルC1の高さであるのに対し、高さh206はチャネルC2の高さである。
【0024】
図1および
図5に示された吸出し管26は、ランナ202の下方に配置されている。吸出し管26は、タービンモードにおいては下流の水を排出するために、ポンプモードにおいては貯水槽からランナ202へ水を吸引するために用いられる。
【0025】
ディストリビュータ206のガイドベーン2060はそれぞれ、ランナ202の回転軸線Z202に対して平行な鉛直の軸線Z2060を中心として回転方向に調節可能であるので、ディストリビュータ206のガイドベーン2060の向きを、タービンモードにおいてランナ202に進入する流れを調節し、ひいては、ポンプタービン20の複数の作動点を得るために、利用することができる。
【0026】
図2および
図4は、ガイドベーン202をそれぞれそれらの鉛直の軸線Z2060を中心に回転させることによってガイドベーン2060のチャネルC2が流れに対して開放している場合における、
図1から
図4までに示した設備の拡大図を示している。
【0027】
ガイドベーンを変化させる場合、これは主にガイドベーンの反りを変化させることであるが、この変化のみが行われる場合、このアプローチは、ディストリビュータ出口における流れの方向と、ガイドベーン側におけるステーベーンの方向との間に入射の欠如(lack of incidence)を生ぜしめる。
【0028】
この入射の欠如は、
図3および
図4を参照にして以下で詳しく説明される。
【0029】
以下で言及される全ての角度は、軸線Z202に対する整放線方向Uoに関するものである。
【0030】
鉛直の軸線Z2060を中心とするガイドベーン2060の回転は、ランナから外方への流れEに関して規定される。ガイドベーン2060、ディストリビュータ206のチャネルC2の出口、およびプレディストリビュータ204のチャネルC1の入口における水の流れの絶対速度ベクトルは、
によって表されている。
図4に見られるように、ベクトル
は、方位角成分
、すなわち軸線Z202に対して整放線方向成分と、流出成分
、すなわち軸線Z202に関して半径方向かつ遠心方向の成分と、を有する。
【0031】
各ガイドベーン2060は、ポンプタービン20の作動中に濡らされる、内面2068Aおよび外面2068Bを有する。各ガイドベーン2060のたえに、2つの面2068Aおよび2068Bから等距離の弦2062と、ポンプ方向での流れEの後縁2064とが規定されている。後縁2064のレベルにおいて、弦2062は、軸線Y2064に沿って延びており、この軸線Y2064は、ガイドベーン2060の出口軸線として説明されてもよい。軸線Y2064は、整放線方向Uoに対して角度A1を形成している。ベクトル
は、全体的に軸線Y2064と同一直線状にある。
【0032】
同様に、ステーベーン204も、ポンプ方向で規定された前縁2046と、内面2048Aおよび外面2048Bとを有する。設備2の作動中、面2048Aおよび2048Bは濡らされる。ステーベーン2040も、面2048Aおよび2048Bから等距離の弦2042を有する。前縁2046のレベルにおいて、弦2042は軸線Y2046に沿って延びており、この軸線Y2046は、ステーベーン2040における入口軸線として説明されてもよく、対応するガイドベーン2060の軸線Y2064に対してゼロでない角度A2を、また整放線方向Uoに対して角度A3を規定している。
【0033】
図3および
図4に見られるように、第1の発電ポンプタービンはステーベーン2040を有し、ガイドベーン2060に向けられたこれらのステーベーン2040の表面2048Aは、実質的に半径方向に向けられており、顕著な幾何学的角度A3につながる。実際、添付の図面を参照すると、角度A3は45°のオーダであり、これにより、ガイドベーン2060に向けられた、すなわち前縁2046を規定するステーガイド2040の部分が回転軸線Z202に対して実質的に半径方向に向けられる。
【0034】
ガイドベーンを変化させる場合、これは、軸線Z202に対して整放線方向の方位角成分
のノルムが増大されるのに対して、軸線Z202に対して半径方向および遠心方向の流出成分
のノルムは保たれる。
【0035】
したがって、水流れ方向の角度A1、すなわち軸線Y2064と方向Uoとの間の角度は減じられる。すなわち、水流れ角度A1と、ステーベーン2040の幾何学的角度A3との間の対応の欠如は存在する。これは、ステーベーンの入口軸線Y2046と、対面するガイドベーン2060の出口軸線2064との間のゼロでない角度A2によって、
図3および
図4に示されている入射の欠如を生じる。
【0036】
本発明は、この入射の欠如を修正するためのフランシス型ポンプタービンをリファビッシュする方法を提供する。
図5から
図8までは、リファビッシュされた設備2を示している。リファビッシュすることに関連する要素は、元の参照符号にプライム(’)を付したもので表されているのに対し、リファビッシュすることに関連しない要素は、同じ参照符号で表されている。図面を明確にするため、
図6に示された幾つかの要素は
図5には示されていない。
【0037】
リファビッシュする方法は、下側フランジリング210にデフレクタ214を付加するステップを含む。より正確に云えば、デフレクタ214は、軸線Z202を中心とする環状である。デフレクタ214は、複数のセクタ2140から成り、そのうちの1つのセクタが
図6に断面図で見られ、第1の水通過チャネルC1に配置されている。
図7では、デフレクタ214は、影付きの領域によって示されている。
【0038】
デフレクタ214の各セクタ2140は、高密度ポリエチレンから形成された塊2142と、ステンレス鋼から形成された部分2144と、やはりステンレス鋼から形成されたプレート2146とから形成されている。部分2144は、ポンプ方向で塊2142の下流に配置されており、塊2142に堅く結合されている。部分2144は、ねじ216によって下側フランジリング210に取り付けられており、ねじのうちの1つのみが
図6に示されている。部分2144はプレート2146によって覆われており、このプレート2146は、ポンプ方向で下流へ接線方向に延びており、下側フランジリング210に溶接されている。
【0039】
塊2142は、ポンプ方向で上流から下流へ減少する厚さを有している。このことの利点は、タービン方向では、デフレクタが、チャネルC1における水の通過に対するいかなる顕著な抵抗にも反対せず、ポンプ方向では、デフレクタ214によって不安定な流れ分離を防止するということである。
【0040】
変化態様として、塊2142の材料は、高密度ポリエチレン以外の合成材料であってもよく、ねじ以外の取付け手段が用いられてもよい。
【0041】
このデフレクタ214の付加は、ステーベーン204の内部の流れの通過のための第1のチャネルC1の高さを減じるために使用される。実際、
図6に見られるように、水は、もはや上側フランジリング212と下側フランジリング210との間を流れるのではなく、上側フランジリング212とデフレクタ214との間を流れる。したがって、デフレクタ214と上側フランジリング212との間の、軸線Z202に対して平行に測った、各第1の水通過チャネルC1の、h204’によって表された、リファビッシュ後の高さは、高さh204よりも減じられている。その結果、ディストリビュータ206’における流速の流出成分が増大する。方位角成分はこの変化によって実質的に影響されない。なぜならば、方位角成分は基本的に、ガイドベーンに与えられた反りに依存するからである。
【0042】
したがって、流れは、リファビッシュ前の設備2のものよりも、より半径方向に向けられる。
【0043】
以下の説明では、リファビッシュ後の、すなわち
図5から
図8までの構成におけるポンプタービン20の作動点は、
図1における、リファビッシュされていないポンプタービンのために使用される作動点と同じであり、かつ
図3および
図4に示したように、修正された反りを備えるガイドベーン2060’を備えたリファビッシュされていないポンプタービンのガイドベーンを変化させた後に使用される作動点とも同じである。
【0044】
図8を参照すると、リファビッシュ後の、ガイドベーン2060’、ディストリビュータ206のチャネルC2の出口、およびプレディストリビュータ204のチャネルC1の入口における水の流れの絶対速度ベクトルは、
によって表されている。この速度ベクトル
は、リファビッシュ前に得られた速度
の成分
と同じと考えられる方位角成分
を有する。なぜならば、方位角成分は、プレディストリビュータ204の高さの変化によって全体的に影響されないからである。他方で、速度
は、速度
の成分
よりも大きな流出成分
を有する。
図8において、速度
は、リファビッシュの前後における水の流れ角度を比較するためだけに点線によって示されている。後縁2064のレベルにおいて、弦2062は、直線軸線Y2064’に沿って延びており、この軸線Y2064’は、リファビッシュ後のガイドベーン2060’の流体出口軸線として説明されてもよい。軸線Y2046は、角度A3のように、変更されていない。角度A1’が軸線Y2064’と整放線方向Uoとの間に規定されており、角度A1’は、リファビッシュ前に得られる角度A1よりも大きい。リファビッシュの後、軸線Y2064’とY2046とは、それらの間に、リファビッシュの前に得られる角度A2よりも小さな角度A2’を規定する。したがって、ガイドベーン2060’とステーベーン2040との間の入射の欠如は減じられる。
【0045】
さらに、プレディストリビュータ204のチャネルC1の高さの減少は、ディストリビュータの高さh206およびランナ202の高さh202が適応されることを必要とする。つまり、リファビッシュする方法は、特にランナ202’をポンプタービン20に装備することによって、ディストリビュータ206とランナ202とを置き換えるステップをも含み、ランナ202’のチャネルC3は、軸線Z202に対して平行に測った、第1のチャネルC1の高さh204’と同じ、ポンプ方向でのブレード208’の後縁2080’における高さh202’を有する。同様に、リファビッシュすることは、ディストリビュータ206をディストリビュータ206’であって、そのチャネルC2が、軸線Z202に対して平行に測って、第1のチャネルC1の高さh204’と同じ高さh206’を有するディストリビュータ206’と置き換えるステップを含む。この高さh206’は、実際には、その間でガイドベーン2060’が回動させられる2つの支持体2063および2065の間で鉛直方向に計った、ガイドベーン2060’の高さであり、各ガイドベーンは、軸線Z202に対して平行な軸線Z2060を中心として回転する。ガイドベーン2060’に堅く結合された、トラニオンと称される部材2067’および2069’は、それぞれ支持体2063および2065に取り付けられており、軸線Z2060を中心とするガイドベーン2060’の回転を制御するために利用される。
【0046】
プレディストリビュータ204のチャネルC1におけるデフレクタ214の付加は、ステーベーン2040の濡らされる表面2048Aおよび2048Bであって、この表面に沿って水が循環する表面の面積を減じるという利点も有する。したがって、流れは、ステーベーン2040との摩擦によるより少ないヘッドを損失する。加えて、高さが減じられたディストリビュータ206’および高さが減じられたランナ202’を使用することは、ランナ202’およびディストリビュータ206’を通過する流れEも、固体部分との摩擦が減じられることにより、より少ないヘッドを損失することを意味する。実際、濡らされる表面は減じられる。
【0047】
図示されていない変化態様として、デフレクタ214は、一体型であり、それぞれがステーベーン2060を包囲するハウジングを有する。
【0048】
図示されていない変化態様として、デフレクタ214のセクタ2140の塊2142は、コンクリートから形成されているか、または金属プレートから形成されている。
【0049】
図示されていない別の変化態様によれば、デフレクタ214は、下側フランジリング210に取り付けられているのではなく、上側フランジリング212の下方に取り付けられている。
【0050】
図示されていない変化態様によれば、第1のチャネルC1の高さの減少は、下側フランジリング210の上方にデフレクタを、上側フランジリング212の下方に別のデフレクタを取り付けることによって達成される。
【0051】
上記の実施の形態の変化態様および形態は、発明の実施の形態の新たな形態を提供するために、組み合わせることができる。