(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010586
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】異物吸込み防止型吸気装置及び異物吸込み防止式吸気方法
(51)【国際特許分類】
B01D 46/10 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
B01D46/10 D
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-133517(P2014-133517)
(22)【出願日】2014年6月30日
(65)【公開番号】特開2016-10766(P2016-10766A)
(43)【公開日】2016年1月21日
【審査請求日】2015年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】511269129
【氏名又は名称】リサイクル ファクトリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082234
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】本村 孝幸
【審査官】
関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−092597(JP,A)
【文献】
特開2000−213784(JP,A)
【文献】
特開2004−195631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/10−16
F24F 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向一側開口を吸気口とし、軸方向他側に排気穴を有する筒体からなり、相手方部材に取着する吸気筒と、回転軸に軸支されて該吸気筒内に配設され、駆動モーターにより駆動される吸気ファンと、多数の吸気孔を形成した多孔板からなり、前記吸気口の前方を覆うように前記回転軸の先端側に設けた回転フィルターとから構成してなり、該回転フィルターは表面に異物払い羽根を突設してあることを特徴とする異物吸込み防止型吸気装置。
【請求項2】
前記回転フィルターは、前方に突出する略円錐形に形成してあることを特徴とする請求項1記載の異物吸込み防止型吸気装置。
【請求項3】
軸方向一側開口を吸気口とし、軸方向他側に排気穴を形成して相手方部材に取着する吸気筒内で、駆動モーターにより吸気ファンを回転駆動する吸気方法において、多数の吸気孔を形成し、表面に異物払い羽根を突設した回転フィルターを、前記吸気ファンを軸支する回転軸の先端側に前記吸気口の前方を覆うように設け、該回転フィルターを回転させることにより吸引する空気中の異物を除去するようにした異物吸込み防止式吸気方法。
【請求項4】
前記回転フィルターは、前方に突出する略円錐形に形成してあることを特徴とする請求項3記載の異物吸込み防止式吸気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば洗浄脱水した被乾燥物を風流乾燥する乾燥ドラム内の加湿空気を外部に吸引排出し、或いは粉塵が飛散する作業現場での作業機のエンジンのラジエターや気化器が粉塵を吸引して目詰まりし、放熱或いは吸気が出来なくなるのを防止するのに用いて好適な異物吸込み防止型吸気装置及び異物吸込み防止式吸気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リサイクル工場で木製品等の廃棄物を破砕処理する場合に大量の粉塵が発生するが、作業機のエンジンのラジエターがこの粉塵を吸い込むと目詰まりしてオーバーヒートする問題や、気化器のフィルターに粉塵が詰まると吸気量が低下してエンジンが停止するという問題がある。このため、ラジエターや気化器のフィルターは洗浄を頻繁行わなければならず、作業効率が妨げられる要因になっている。
【0003】
また、洗浄脱水したビニル片を乾燥ドラム内で風流乾燥する場合、乾燥ドラム内の湿度が上昇しないように排気装置を乾燥ドラムに設置するが、排気装置の吸気口にビニル片が吸着されて閉塞すると排気効率が低下することから、ビニル片が吸気口に吸着するのを防止できる排気装置が望まれる。
【0004】
しかし、従来の吸気装置や排気装置に用いるエアフィルターの多くは紙、繊維からなる濾材に粉塵を付着させて除去する方式であり、粉塵の付着量が増加すると除去効率が低下することから、新規の濾材に交換するコストと交換作業費が嵩むという問題がある。特に、粉塵の発生が甚だしい作業現場では頻繁に濾材を交換しなければならないことから、コスト低減の対応が強く望まれている。しかし、低コストで粉塵を除去し或いは被乾燥物による目詰まりを確実に防止できる異物吸込み防止型吸気装置及び吸気方法は提案されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】見出せず。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は従来技術の未解決の問題に鑑みなされたもので、粉塵、粉粒体等の異物を払い飛ばして異物の吸込みを防止することで機器等の円滑な稼働を維持し、また濾材の費用が掛からないので稼働コストを大幅に節減することができる異物吸込み防止型吸気装置及び異物吸込み防止式吸気方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決する請求項1に係る本発明を構成する手段は、軸方向一側開口を吸気口とし、軸方向他側に排気穴を有する筒体からなり、相手方部材に取着する吸気筒と、回転軸に軸支されて該吸気筒内に配設され、駆動モーターにより駆動される吸気ファンと、多数の吸気孔を形成した多孔板からなり、前記吸気口の前方を覆うように前記回転軸の先端側に設けた回転フィルターとから
構成してなり、該回転フィルターは表面に異物払い羽根を突設してある。
【0008】
そして、前記回転フィルターは、前方に突出する略円錐形に形成するとよい。
【0009】
また、請求項
3に係る本発明を構成する手段は、軸方向一側開口を吸気口とし、軸方向他側に排気穴を形成して相手方部材に取着する吸気筒内で、駆動モーターにより吸気ファンを回転駆動するようにした吸気方法において、
多数の吸気孔を形成し、表面に異物払い羽根を突設した回転フィルターを、前記吸気ファンを軸支する回転軸の先端側に前記吸気口の前方を覆うように設け、該回転フィルターを回転させることにより吸引する空気中の異物を除去するようにしたことにある。
【0010】
そして、前記回転フィルターは、前方に突出する略円錐形に形成するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上記の如く構成したから、下記の諸効果を奏する。
(1)吸気筒に吸い込む空気は回転フィルターを旋回させて遠心力により異物を飛散させて吸込み、吸気孔に詰まりそうな異物も遠心力で飛ばすようにしたから、吸気筒内には異物の混入しない空気を吸込むことができる。従って、機器のフィルターが目詰まりするのを可及的に防止することができる。
(2)フィルム片状の異物も回転フィルターが回転して飛散させるので、吸気孔がフィルム片で閉塞されて吸気効率が低下する事態は解決できる。
(3)回転フィルターは前方に突出する略円錐形に形成したから、平面形よりも多くの吸気孔を形成できるので広い吸気面積を確保して吸気効率が高い。また、平面形よりも円錐形の方が遠心力を立体的に作用させることができるので異物をより確実に飛散させることができる。
(4)回転する回転フィルターの表面には旋回流の空気層が形成されるので、異物を飛散させるだけでなく、異物には遠心力が働いているから吸気孔にダイレクトに吸引されることが無いので異物の吸込みを一層防止することができる。
(5)回転フィルターの表面に異物払い羽根を突設し、空気中の異物は払い飛ばすようにしたから吸気筒内に異物を吸い込む事態を可及的に防止できる。
(6)回転する異物払い羽根と回転フィルターとの間に異物払い羽根の高さの空間が形成されることで吸気孔までの距離が長くなるから、比重の差によって異物の混入しない空気のみを吸気筒に吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る異物吸込み防止型吸排気装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。図において、1は例えば内燃機関の気化器Cに取付ける異物吸込み防止型吸気装置、2は該異物吸込み防止型吸気装置1(以下、吸気装置1と称する。)を構成する金属製の吸気筒を示す。3は該吸気筒2を構成する筒本体で、該筒本体3は軸方向一端開口が吸気口3Aになり、軸方向他側に略扁平C字状の切り欠きからなる複数の排気穴3Bが周方向に離間して形成してある。
【0014】
4は筒本体3の先端外周に固着した方形の金属板からなる取付フランジで、該取付フランジ4を相手方部材の気化器Cにボルト・ナット5により締着することにより吸気装置1は設置可能になっている。6は筒本体3の他端に固着することにより他側開口を閉塞する支持板で、該支持板6の中心には軸挿通孔6Aが形成してある。
【0015】
7は前記支持板6に設けた軸受8に支持されて吸気筒2内に突出する回転軸で、該回転軸7はカップリング9を介して駆動モーター10の駆動軸10Aと連結してある。なお、駆動モーター10は図示しない支持材によって気化器Cの本体に支持させてある。11は吸気筒2内に位置して回転軸7に軸着した吸気ファンで、該吸気ファン11は4枚の羽根11A、11A、・・で構成してあり、前記駆動モーター10によって毎分1,420回転するようになっている。
【0016】
12は回転軸7の先端側に嵌合し、袋ナット7Aで締着することにより吸気筒2の先端外側に配設した回転フィルターを示す。該回転フィルター12は吸気口3Aを覆った状態で回転することにより、吸気筒2内に異物が吸込まれるのを防止するためのもので、孔径が約8mmの多数の吸気孔12Aを形成した多孔板で略円錐形に形成してあり、外周には鍔12Bが設けてある。13、13、・・は回転フィルター12の表面に略十字状に立設した4枚の異物払い羽根を示し、該各異物払い羽根13は金属製帯状板からなり、回転フィルター12の先端から鍔12Bにかけて固着してある。
【0017】
上述の構成からなる吸気装置1は、例えば採石場、リサイクル処理場のように粉塵が発生する現場の作業車の気化器に設置し、駆動モーター10により吸気ファン11を回転して空気を吸引して気化器Cに供給するが、この際空気中の比較的大きい粉塵は回転フィルター12の回転による遠心力で飛散させることにより吸気筒2内に吸引するのを阻止し、気化器Cが早期に目詰まりする問題を解決することができる。
【0018】
また、回転フィルター12の吸気孔12Aに詰まるような粉粒体も遠心力で飛ばすことにより、吸気孔12Aが目詰まりする事態を止できる。更に、回転フィルター12の表面に立設した複数枚の異物払い羽根13が回転フィルター12と一体に回転すると異物払い羽根13の高さの空間が形成され、吸気孔12Aまでの距離が長くなるから比重の差で異物を吸気孔12Aから吸い込むことなく空気のみを吸気筒2内に吸引することができる。
【0019】
なお、本実施の形態では吸気装置1を気化器Cに設置した例を示したが、本発明の吸気装置は例えば風流乾燥装置の乾燥ドラム内から加湿空気を外部に吸引排出する排気装置としても用いることが出来るものである。
【0020】
また、本実施の形態では、駆動モーター10の駆動軸10Aと回転軸7をカップリング9で連結する構成にしたが、駆動モーターの駆動軸が長い場合は吸気ファン11を直接設ける構成にしてもよい。
【0021】
また、本実施の形態では回転フィルター12に4枚の異物払い羽根13を立設する構成にしたが、枚数に限定はなく3枚でも6枚でもよいものである。
【符号の説明】
【0022】
2 吸気筒
3A 吸気口
3B 排気穴
7 回転軸
10 駆動モーター
11 吸気ファン
12 回転フィルター
12A 吸気孔
13 異物払い羽根