(54)【発明の名称】3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル(2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化合物が、3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩である、請求項4に記載の医薬組成物。
薬学的有効量の、CFTRモジュレーター、抗炎症剤、抗コリン作用剤、β−アゴニスト、P2Y2受容体アゴニスト、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アゴニスト、キナーゼ阻害剤、抗感染剤および抗ヒスタミン剤から選択される治療活性剤をさらに含む、請求項4から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
それを必要とするヒトにおいて、ドライマウス(口内乾燥)、乾皮症、腟乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、または鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することによって生じる鼻腔乾燥を含む)、ドライアイ、シェーグレン病、中耳炎、原発性線毛ジスキネジア、遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎を処置するためか、または眼もしくは角膜の水和を促進するための組成物であって、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含み、前記化合物の有効量が前記ヒトに投与されることを特徴とする、組成物。
可逆性もしくは不可逆性気道閉塞に伴う疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後の咳、嚢胞性線維症、肺気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎、もしくは人工呼吸器関連気管支炎を処置するためか、または人工呼吸器関連肺炎を予防するための医薬の製造のための請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
ドライマウス(口内乾燥)、乾皮症、膣乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することによって生じる鼻腔乾燥を含む)、ドライアイ、シェーグレン病、中耳炎、原発性線毛ジスキネジア、遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎を処置するためか、または眼もしくは角膜の水和を促進するための医薬の製造のための、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩の使用。
可逆性もしくは不可逆性気道閉塞に伴う疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後の咳、嚢胞性線維症、肺気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎、もしくは人工呼吸器関連気管支炎を処置するためか、または人工呼吸器関連肺炎を予防するための医薬の調製における使用のための、請求項4から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
ドライマウス(口内乾燥)、乾皮症、膣乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することによって生じる鼻腔乾燥を含む)、ドライアイ、シェーグレン病、中耳炎、原発性線毛ジスキネジア、遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎を処置するためか、または眼もしくは角膜の水和を促進するための医薬の調製において使用するための、請求項4から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
それを必要とするヒトにおいて、放射性核種を含有する呼吸可能エアゾールにより引き起こされる、気道および/または他の体内器官に対する決定的な健康への影響を予防、緩和、および/または処置するための組成物であって、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含み、前記化合物の有効量が前記ヒトに投与されることを特徴とする、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用する場合、以下の用語は、示されている通り定義される。
【0018】
「本発明の化合物」は、式Iの化合物または塩、特に薬学的に許容されるその塩を意味する。
【0019】
「式Iの化合物」は、本明細書で式Iとして指定された構造式を有する化合物を意味する。式Iの化合物は、溶媒和物および水和物(すなわち、式Iの化合物と溶媒との付加物)を含む。式Iの化合物が1つまたは複数のキラル中心を含む実施形態では、この句は、光学異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)および幾何異性体(cis−/trans−異性)を含めたそれぞれ個々の立体異性体、ならびに立体異性体の混合物を包含することを意図する。さらに、式Iの化合物はまた、描写されている式(複数可)の互変異性体も含む。
【0020】
明細書および実施例全体を通して、化合物は、可能であれば、CambridgeSoft Corp./PerkinElmerから販売されている、化合物命名のためのソフトウエアプログラム、ChemDraw Ultra 11.0の使用を含めた、標準的IUPAC命名原理を使用して指名される。
【0021】
炭素原子が、4の原子価を生成するのに十分な数の変数が結合していないように描写されている一部の化学構造の表現では、4の原子価を生成するのに必要とされる残りの炭素置換基は、水素であると想定されるべきである。同様に、末端基を特定せずに結合が描かれている一部の化学構造では、このような結合は、当技術分野における慣用の通り、メチル(Me、−CH
3)基を示す。
【0022】
好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、式:
【0023】
【化2】
を有する3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩である。
【0024】
式Iの化合物は、遊離塩基または塩、特に薬学的に許容される塩の形態であってよい。薬学的に許容される塩の概説については、Bergeら、J. Pharma Sci.(1977年)66巻:1〜19頁を参照されたい。
【0025】
無機酸または有機酸から形成される薬学的に許容される塩として、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、スルファミン酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、タンニン酸塩、アスコルビン酸塩、パルミチン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、フタル酸塩、アルギン酸塩、ポリグルタミン酸塩、シュウ酸塩、オキサロ酢酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホン酸塩またはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩またはナフタレンスルホン酸塩)およびイソチオン酸塩;アミノ酸、例えば、リシン、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トレオニン、アラニン、イソロイシン、ロイシンと共に形成される錯体などが挙げられる。本発明の化合物はまた、元素のアニオン、例えば、塩素、臭素またはヨウ素などから形成される塩の形態であってよい。
【0026】
治療的使用に関して、式Iの化合物の活性成分の塩は、薬学的に許容される、すなわちこれらは、薬学的に許容される酸由来の塩である。しかし、薬学的に許容されない酸の塩は、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製において有用である。例えば、トリフルオロ酢酸塩は、そのように有用である。薬学的に許容される酸由来であるかないかに関わらず、すべての塩が本発明の範囲内である。
【0027】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーを重ね合せることができないという特性を有する分子を指し、その一方で「アキラル」という用語は、これらの鏡像パートナー上に重ね合せることができる分子を指す。
【0028】
「立体異性体」という用語は、化学的な構成は等しいが、空間内の原子または基の配置に関しては異なる化合物を指す。「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル中心を有し、それらの分子が互いに鏡像ではない立体異性体を指す。ジアステレオマーは、異なる物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、高分解能分析手順、例えば電気泳動法およびクロマトグラフィーなどで分離することができる。「エナンチオマー」は、互いに重ね合せることができない鏡像の化合物の2つの立体異性体を指す。
【0029】
本明細書で使用されている立体化学の定義および慣例は、S. P. Parker編、McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984年)McGraw−Hill Book Company、New York;およびEliel, E.およびWilen, S.、Stereochemistry of Organic Compounds(1994年)John Wiley & Sons, Inc.、New Yorkに一般的に従う。
【0030】
多くの有機化合物は、光学活性形態で存在する、すなわち、これらは、平面偏光の平面を回転させる能力を有する。光学活性化合物について記載する場合、接頭辞DおよびL、またはRおよびSを使用して、そのキラル中心(複数可)の周囲の分子の絶対配置を表示する。特定の立体異性体はまたエナンチオマーと呼んでもよく、このような異性体の混合物は、多くの場合エナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と呼ばれ、これらは、化学反応またはプロセスにおいて立体選択性または立体特異性がなかった場合に生じ得る。「ラセミ混合物」および「ラセミ体」という用語は、2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0031】
「互変異性体」という用語は、水素原子の移動が2つ以上の構造をもたらすような種類の立体異性体を指す。式Iの化合物は、異なる互変異性体形態で存在し得る。当業者であれば、アミジン、アミド、グアニジン、ウレア、チオウレア、ヘテロ環などは、互変異性体形態で存在することができることを理解されよう。例証として、限定することなく、式Iの化合物は、以下に示されている通り様々な互変異性体形態で存在することができる。
【0032】
【化3】
式Iの実施形態のすべてのアミジン、アミド、グアニジン、ウレア、チオウレア、およびヘテロ環などのすべての可能な互変異性体形態が本発明の範囲内である。互変異性体は、均衡状態で存在し、したがって提供された式における単一の互変異性体の描写は、すべての可能な互変異性体を同様に指すと当業者であれば理解されよう。
【0033】
式Iの範囲内の化合物のすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびラセミ混合物、互変異性体、多形、擬似多形、ならびに薬学的に許容されるその塩は本発明に包含されることに注意されたい。このようなエナンチオマーおよびジアステレオマーのすべての混合物は、エナンチオマー富化した混合物およびジアステレオマー富化した混合物を含めて、本発明の範囲内にある。エナンチオマー富化した混合物は、特定されたエナンチオマーと代替エナンチオマーとの比が50:50より大きいエナンチオマーの混合物である。より具体的には、エナンチオマー富化した混合物は、少なくとも約75%の特定されたエナンチオマー、好ましくは少なくとも約85%の特定されたエナンチオマーを含む。一実施形態では、エナンチオマー富化した混合物は、他のエナンチオマーを実質的に含まない。同様に、ジアステレオマー富化した混合物は、特定されたジアステレオマーの量が、各代替ジアステレオマーの量より大きいジアステレオマーの混合物である。より具体的には、ジアステレオマー富化した混合物は、少なくとも約75%の特定されたジアステレオマー、好ましくは少なくとも約85%の特定されたジアステレオマーを含む。一実施形態では、ジアステレオマー富化した混合物は、他のすべてのジアステレオマーを実質的に含まない。「実質的に含まない」という用語は、当業者であれば、5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.1%未満の他のジアステレオマーの存在を示すと理解されよう。他の実施形態では、他のジアステレオマーは存在しないか、または存在する他の任意のジアステレオマーの量は、検出レベル未満となる。立体異性体は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)およびキラル塩の結晶化を含めた、当技術分野で公知の技術により、分離させることができる。
【0034】
単一の立体異性体、例えば、その立体異性体を実質的に含まないエナンチオマーは、光学活性分割剤を使用したジアステレオマーの形成などの方法を使用してラセミ混合物の分解により得ることができる(「Stereochemistry of Carbon Compounds」、(1962年)、E. L. Eliel著、McGraw Hill;Lochmuller, C. H.、(1975年)J. Chromatogr.、113巻:(3号)283〜302頁)。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、以下を含めた任意の適切な方法で分離および単離することができる:(1)キラル化合物を用いたイオン、ジアステレオマー塩の形成および分別結晶化または他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬を用いたジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離、および純粋な立体異性体への変換、ならびに(3)実質的に純粋なまたは富化した立体異性体のキラル条件下での直接的な分離。
【0035】
例示目的で、本発明の範囲内の式(I)の化合物のエナンチオマーの具体例として、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0036】
【化4】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2R,3S,4S,5S)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0037】
【化5】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0038】
【化6】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2R,3S,4S,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0039】
【化7】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5S)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0040】
【化8】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2R,3S,4R,5S)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0041】
【化9】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4S,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0042】
【化10】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2R,3R,4S,5S)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0043】
【化11】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3S,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0044】
【化12】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2R,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0045】
【化13】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3S,4S,5S)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0046】
【化14】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2R,3S,4S,5S)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0047】
【化15】
および
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0048】
【化16】
一実施形態では、本発明は、主な異性体として、5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩を含む、エナンチオマー富化した混合物または組成物を提供する。
【0049】
他の実施形態は、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を、これらそれぞれの混合物のそれぞれの中に主な異性体としてそれぞれ含む、エナンチオマー富化した混合物または組成物を含む。
【0050】
別の実施形態では、本発明は、他の異性体を実質的に含まない、5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド、または薬学的に許容されるその塩を含む、エナンチオマー富化した混合物または組成物を提供する。
【0051】
他の4つの実施形態は、エナンチオマー富化した混合物または組成物を含み、これらの混合物または組成物は、これらのそれぞれの混合物のそれぞれの中に他の異性体を実質的に含まない、式(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物または薬学的に許容されるその塩をそれぞれ含む。
【0052】
式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩は、異なる多形または擬似多形として存在し得る。本明細書で使用する場合、結晶多形性とは、結晶性化合物が異なる結晶構造で存在する能力を意味する。結晶多形は、結晶充填の違い(充填多形)または同じ分子の異なる配座異性体間の充填の違い(立体配座多形)に起因し得る。本明細書で使用する場合、結晶性擬似多形は、異なる結晶構造として存在する化合物の水和物または溶媒和物の能力も含む。本発明の擬似多形は、結晶充填の違い(充填擬似多形)により、または同じ分子の異なる配座異性体間の充填の違い(立体配座擬似多形)により存在し得る。本発明は、式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩のすべての多形および擬似多形を含む。
【0053】
式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩は、非晶質固体としても存在し得る。本明細書で使用する場合、非晶質固体とは、固体中で原子の位置の長距離秩序が存在しない固体である。この定義は、結晶サイズが2ナノメートル以下である場合も適用される。溶媒を含めた添加物を使用することによって、本発明の非晶質形態を作り出すことができる。本明細書中に記載されているすべての医薬組成物、処置方法、組合せ製品、およびその使用を含めた本発明は、式Iの化合物および薬学的に許容されるその塩のすべての非晶質形態を含む。
【0054】
使用
本発明の化合物は、ナトリウムチャネル遮断剤としての活性を示す。任意の特定の理論に制約されることなく、本発明の化合物は、粘膜面に存在する上皮ナトリウムチャネルを遮断することによってインビボで機能することができ、これによって粘膜面による水の吸収を低減すると考えられている。この効果は、粘膜面上の保護的液体の体積を増加させ、系を再均衡化する。
【0055】
その結果、本発明の化合物は、特にナトリウムチャネル遮断剤が指示され得る病態の処置のための医薬として有用である。このような状態として、それを必要とするヒトにおける肺の状態、例えば、可逆性もしくは不可逆性気道閉塞に伴う疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(COPDの急性増悪を含む)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後の咳、嚢胞性線維症、肺気腫、肺炎、汎細気管支炎、および移植関連細気管支炎(肺移植および骨髄移植関連細気管支炎を含む)などが挙げられる。本発明の化合物はまた、人工呼吸器をつけている患者において、人工呼吸器関連気管支炎を処置し、そして/または人工呼吸器関連肺炎を予防するのに有用であり得る。本発明は、それを必要とする哺乳動物、好ましくはそれを必要とするヒトにおいて、これら状態のそれぞれを処置するための方法を含み、各方法は、前記哺乳動物に、薬学的有効量の本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。以下もまた提供される:(a)それを必要とする哺乳動物においてCOPDの増悪を低減するための方法、(b)それを必要とする哺乳動物においてCFの増悪を低減するための方法、(c)それを必要とする哺乳動物において肺機能(FEV1)を改善する方法、(d)COPDを経験している哺乳動物において、肺機能(FEV1)を改善する方法、(e)CFを経験している哺乳動物において肺機能(FEV1)を改善する方法、(f)それを必要とする哺乳動物において、気道感染症を低減する方法。
【0056】
また、哺乳動物において粘膜毛様体クリアランスを刺激、強化または改善する方法であって、それを必要とする哺乳動物に薬学的有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む方法も提供される。粘膜毛様体クリアランスは、気管支の自己クリーニング機序を含む、気道における粘液の移動またはクリアランスに関わる自然の粘膜繊毛作用を含むと理解されたい。したがって、それを必要とする哺乳動物の気道内の粘液クリアランスを改善する方法も提供される。
【0057】
さらに、ナトリウムチャネル遮断剤は、肺の粘膜面以外の粘膜面における粘膜の水和の増加により回復する状態の処置のために指示されてもよい。このような状態の例として、ドライマウス(口内乾燥)、乾皮症、膣乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、鼻腔乾燥(例えば乾燥酸素を投与することで生じる鼻腔乾燥を含む)、ドライアイ、シェーグレン病、中耳炎、原発性線毛ジスキネジア、遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、および慢性憩室炎が挙げられる。本発明の化合物を使用して、眼または角膜の水和を促進することもできる。
【0058】
本発明の化合物はまた、ヒトから痰試料を得るための方法においても有用であり得る。本方法は、患者の少なくとも1つの肺に本発明の化合物を投与し、次いでそのヒトから痰試料を誘発および収集することによって行うことができる。
【0059】
したがって、一態様では、本発明は、ナトリウムチャネル遮断剤が指示される、哺乳動物、例えばヒトなどの状態の処置のための方法を提供する。
【0060】
他の実施形態において、本発明は、本方法のレシピエントにおいて高カリウム血症を最小限に抑えるまたは取り除くという追加の利点を有する、本明細書中に記載されている方法のそれぞれを提供する。また、改善された治療指数を達成する、本明細書中に記載されている方法のそれぞれを含む実施形態も提供される。
【0061】
「処置する」、「処置している」および「処置」という用語は、本明細書で使用する場合、障害または状態あるいはこのような障害または状態の1つもしくは複数の症状を逆転するか、軽減するか、その進行を阻害するか、または予防することを指す。
【0062】
本明細書中に記載されているすべての治療方法は、処置が必要である被験体(通常哺乳動物、好ましくはヒト)に、有効量の本発明の化合物、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、投与することによって行われる。
【0063】
一実施形態では本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける粘膜の水和の増加により回復する状態の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける可逆性または不可逆性気道閉塞に伴う疾患の処置のための方法を提供する。一つの特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置のための方法を提供する。一つの特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、COPDの急性増悪の頻度、重症度もしくは期間を低減するための方法、またはCOPDの急性増悪の1つもしくは複数の症状の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける喘息の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける急性および慢性気管支炎を含めた気管支炎の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるウイルス感染後の咳の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける嚢胞性線維症の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける肺気腫の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける肺炎の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける汎細気管支炎の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける肺移植および骨髄移植関連細気管支炎を含めた、移植関連細気管支炎の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする、人工呼吸器をつけているヒトにおける人工呼吸器関連気管支炎を処置し、そして/または人工呼吸器関連肺炎を予防するための方法を提供する。
【0064】
本発明は、それを必要とするヒトにおける可逆性もしくは不可逆性気道閉塞、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後の咳、嚢胞性線維症、肺気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎、および人工呼吸器関連気管支炎の群から選択される疾患を処置するため、または人工呼吸器関連肺炎を予防するための特定の方法を提供し、各方法は、前記ヒトに、有効量の式1(a)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。処置の各方法に対するさらなる実施形態では、薬学的に許容される塩の形態は、式(1a)の化合物の塩酸塩またはヒドロキシナフトエ酸塩である。各処置方法の範囲内の別の実施形態では、式(1a)の化合物の遊離塩基が使用される。
【0065】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるドライマウス(口内乾燥)の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける乾皮症の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける膣乾燥の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、または鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することで生じる鼻腔乾燥を含む)の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるドライアイ、もしくはシェーグレン病の処置、または眼もしくは角膜の水和を促進するための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける中耳炎の処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける原発性線毛ジスキネジアの処置のための方法を提供する。一実施形態では、本発明は、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎の処置のための方法を提供する。
【0066】
医学的治療における使用のための、特にナトリウムチャネル遮断剤が指示される、哺乳動物、例えばヒトなどにおける状態の処置における使用のための本発明の化合物も提供される。本明細書中に記載されている治療的使用はすべて、有効量の本発明の化合物を、処置が必要である被験体に投与することによって行われる。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける肺の状態、例えば可逆性または不可逆性気道閉塞に伴う疾患などの処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一つの特定の実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける慢性閉塞性肺疾患(COPD)の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるCOPDの急性増悪の頻度、重症度もしくは期間の低減における使用、またはCOPDの急性増悪の1つもしくは複数の症状の処置のための使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける喘息の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける、嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含めた気管支拡張症、または急性気管支炎および慢性気管支炎を含めた気管支炎の処置における使用のための化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるウイルス感染後の咳の処置における使用のための化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける嚢胞性線維症の処置における使用のための化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける肺気腫の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける肺炎の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける汎細気管支炎、または肺移植および骨髄移植関連細気管支炎を含めた移植関連細気管支炎の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする人工呼吸器をつけているヒトにおける人工呼吸器関連気管支炎の処置、または人工呼吸器関連肺炎を予防することにおける使用のための本発明の化合物が提供される。
【0067】
一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトの粘膜面における粘膜の水和の増加により回復する状態の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるドライマウス(口内乾燥)の処置における使用のための化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける乾皮症の処置における使用のための化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける膣乾燥の処置における使用のための化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、または鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することで生じる鼻腔乾燥を含む)の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおけるドライアイ、もしくはシェーグレン病の処置、または眼もしくは角膜の水和の促進における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける中耳炎の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける原発性線毛ジスキネジアの処置における使用のための本発明の化合物が提供される。一実施形態では、それを必要とする哺乳動物、特にヒトにおける遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎の処置における使用のための本発明の化合物が提供される。
【0068】
本発明はまた、ナトリウムチャネル遮断剤が指示される哺乳動物、例えばヒトなどにおける状態の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用も提供する。一実施形態では、可逆性もしくは不可逆性気道閉塞に伴う疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、COPDの急性増悪、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)、気管支炎(急性気管支炎および慢性気管支炎を含む)、ウイルス感染後の咳、嚢胞性線維症、肺気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎、(肺移植および骨髄移植関連細気管支炎を含む)、人工呼吸器関連気管支炎を処置するため、または人工呼吸器関連肺炎を予防するための医薬の製造における本発明の化合物の使用が提供される。
【0069】
一つの特定の実施形態では、粘膜面の粘膜の水和の増加により回復する状態の処置、ドライマウス(口内乾燥)、乾皮症、膣乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することによって生じる鼻腔乾燥を含む)の処置、ドライアイ、シェーグレン病の処置、眼のまたは角膜の水和の促進、中耳炎、原発性線毛ジスキネジア、遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎の処置のための医薬の製造における本発明の化合物の使用が提供される。
【0070】
「有効量」、「薬学的有効量」、「有効用量」、および「薬学的有効用量」という用語は、本明細書で使用する場合、例えば、研究者または臨床医により追求されている、細胞培養、組織、系、または哺乳動物(ヒトを含む)の生物学的または医学的応答を引き出すのに、化合物が投与される被験体において十分である本発明の化合物の量を指す。この用語はまた、その範囲内において、正常な生理機能を増強するのに効果的な量を含む。一実施形態では、有効量とは、気道および肺の分泌物および組織中において所望のレベルの薬物を提供するために必要とされる量、または代わりに、このような組成物が吸入で投与された場合、処置を受けた被験体の血流中において、予測される生理学的応答または所望の生物学的効果が得られる量である。例えば、ナトリウムチャネル遮断剤が指示される状態の処置のための本発明の化合物の有効量は、化合物が投与される被験体において特定の状態が処置されるのに十分な量である。一実施形態では、有効量は、ヒトにおけるCOPDまたは嚢胞性線維症の処置に十分である本発明の化合物の量である。
【0071】
本発明の化合物の正確な有効量は、これらに限定されないが、処置を受ける被験体の種属、年齢および体重、処置を必要とする正確な状態およびその重症度、投与される特定の化合物のバイオアベイラビリティー、作用強度、および他の特性、製剤の性質、投与経路、ならびにデリバリーデバイスを含めたいくつかの要素に依存することになり、最終的には担当の医師または獣医の裁量による。適当な用量に関するさらなるガイダンスは、他のナトリウムチャネル遮断剤、例えばアミロライドなどの慣用的な投薬を考慮に入れて見出すことができ、アミロライドと本発明の化合物との間の作用強度の何らかの違いも当然考慮に入れることになる。
【0072】
70kgのヒトの処置のために、被験体の気道表面に局所的に(例えば、吸入により)投与される本発明の化合物の薬学的有効用量は、約10ng〜約10mgの範囲であってよい。別の実施形態では、薬学的有効用量は、約0.1〜約1000μgであってよい。通常、気道表面に局所的に投与される一日量は、気道表面上に約10
−9、10
−8、または10
−7〜約10
−4、10
−3、10
−2、または10
−1モル/リットル、より好ましくは約10
−9〜約10
−4モル/リットルの活性剤の溶存濃度を達成するのに十分な量となる。患者に対する特定の用量の選択は、上で指摘したものを含めたいくつかの要素に基づき、当業者である担当の医師、臨床医または獣医により決定されることになる。一つの特定の実施形態では、70kgのヒトの処置のための本発明の化合物の用量は、約10ナノグラム(ng)〜約10mgの範囲である。別の実施形態では、有効用量は、約0.1μg〜約1,000μgである。一実施形態では、70kgのヒトの処置のための本発明の化合物の用量は、約0.5μg〜約0.5mgの範囲である。さらなる実施形態では、用量は約0.5μg〜約60μgである。別の実施形態では、薬学的有効用量は約1〜約10μgである。別の実施形態では、薬学的有効用量は約5μg〜約50μgである。別の実施形態は、約10μg〜約40μgの有効用量を有する。2つのさらなる実施形態では、薬学的有効用量は、それぞれ約15μg〜約50μg、約15μg〜約30μgである。これらの用量範囲のそれぞれにおいて、範囲内のすべての付加的用量が含まれることを理解されたい。例えば、0.5〜50μgの範囲は、以下の個々の用量を含む:0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg、1.1μg、1.2μg、1.3μg、1.4μg、1.5μg、1.6μg、1.7μg、1.8μg、1.9μg、2.0μg、2.1μg、2.2μg、2.3μg、2.4μg、2.5μg、2.6μg、2.7μg、2.8μg、2.9μg、3.0μg、3.1μg、3.2μg、3.3μg、3.4μg、3.5μg、3.6μg、3.7μg、3.8μg、3.9μg、4.0μg、4.1μg、4.2μg、4.3μg、4.4μg、4.5μg、4.6μg、4.7μg、4.8μg、4.9μg、5.0μg、5.1μg、5.2μg、5.3μg、5.4μg、5.5μg、5.6μg、5.7μg、5.8μg、5.9μg、6.0μg、6.1μg、6.2μg、6.3μg、6.4μg、6.5μg、6.6μg、6.7μg、6.8μg、6.9μg、7.0μg、7.1μg、7.2μg、7.3μg、7.4μg、7.5μg、7.6μg、7.7μg、7.8μg、7.9μg、8.0μg、8.1μg、8.2μg、8.3μg、8.4μg、8.5μg、8.6μg、8.7μg、8.8μg、8.9μg、9.0μg、9.1μg、9.2μg、9.3μg、9.4μg、9.5μg、9.6μg、9.7μg、9.8μg、9.9μg、10.0μg、10.1μg、10.2μg、10.3μg、10.4μg、10.5μg、10.6μg、10.7μg、10.8μg、10.9μg、11.0μg、11.1μg、11.2μg、11.3μg、11.4μg、11.5μg、11.6μg、11.7μg、11.8μg、11.9μg、12.0μg、12.1μg、12.2μg、12.3μg、12.4μg、12.5μg、12.6μg、12.7μg、12.8μg、12.9μg、13.0μg、13.1μg、13.2μg、13.3μg、13.4μg、13.5μg、13.6μg、13.7μg、13.8μg、13.9μg、14.0μg、14.1μg、14.2μg、14.3μg、14.4μg、14.5μg、14.6μg、14.7μg、14.8μg、14.9μg、15.0μg、15.1μg、15.2μg、15.3μg、15.4μg、15.5μg、15.6μg、15.7μg、15.8μg、15.9μg、16.0μg、16.1μg、16.2μg、16.3μg、16.4μg、16.5μg、16.6μg、16.7μg、16.8μg、16.9μg、17.0μg、17.1μg、17.2μg、17.3μg、17.4μg、17.5μg、17.6μg、17.7μg、17.8μg、17.9μg、18.0μg、18.1μg、18.2μg、18.3μg、18.4μg、18.5μg、18.6μg、18.7μg、18.8μg、18.9μg、19.0μg、19.1μg、19.2μg、19.3μg、19.4μg、19.5μg、19.6μg、19.7μg、19.8μg、19.9μg、20.0μg、20.1μg、20.2μg、20.3μg、20.4μg、20.5μg、20.6μg、20.7μg、20.8μg、20.9μg、21.0μg、21.1μg、21.2μg、21.3μg、21.4μg、21.5μg、21.6μg、21.7μg、21.8μg、21.9μg、22.0μg、22.1μg、22.2μg、22.3μg、22.4μg、22.5μg、22.6μg、22.7μg、22.8μg、22.9μg、23.0μg、23.1μg、23.2μg、23.3μg、23.4μg、23.5μg、23.6μg、23.7μg、23.8μg、23.9μg、24.0μg、24.1μg、24.2μg、24.3μg、24.4μg、24.5μg、24.6μg、24.7μg、24.8μg、24.9μg、25.0μg、25.1μg、25.2μg、25.3μg、25.4μg、25.5μg、25.6μg、25.7μg、25.8μg、25.9μg、26.0μg、26.1μg、26.2μg、26.3μg、26.4μg、26.5μg、26.6μg、26.7μg、26.8μg、26.9μg、27.0μg、27.1μg、27.2μg、27.3μg、27.4μg、27.5μg、27.6μg、27.7μg、27.8μg、27.9μg、28.0μg、28.1μg、28.2μg、28.3μg、28.4μg、28.5μg、28.6μg、28.7μg、28.8μg、28.9μg、29.0μg、29.1μg、29.2μg、29.3μg、29.4μg、29.5μg、29.6μg、29.7μg、29.8μg、29.9μg、30.0μg、30.1μg、30.2μg、30.3μg、30.4μg、30.5μg、30.6μg、30.7μg、30.8μg、30.9μg、31.0μg、31.1μg、31.2μg、31.3μg、31.4μg、31.5μg、31.6μg、31.7μg、31.8μg、31.9μg、32.0μg、32.1μg、32.2μg、32.3μg、32.4μg、32.5μg、32.6μg、32.7μg、32.8μg、32.9μg、33.0μg、33.1μg、33.2μg、33.3μg、33.4μg、33.5μg、33.6μg、33.7μg、33.8μg、33.9μg、34.0μg、34.1μg、34.2μg、34.3μg、34.4μg、34.5μg、34.6μg、34.7μg、34.8μg、34.9μg、35.0μg、35.1μg、35.2μg、35.3μg、35.4μg、35.5μg、35.6μg、35.7μg、35.8μg、35.9μg、36.0μg、36.1μg、36.2μg、36.3μg、36.4μg、36.5μg、36.6μg、36.7μg、36.8μg、36.9μg、37.0μg、37.1μg、37.2μg、37.3μg、37.4μg、37.5μg、37.6μg、37.7μg、37.8μg、37.9μg、38.0μg、38.1μg、38.2μg、38.3μg、38.4μg、38.5μg、38.6μg、38.7μg、38.8μg、38.9μg、39.0μg、39.1μg、39.2μg、39.3μg、39.4μg、39.5μg、39.6μg、39.7μg、39.8μg、39.9μg、40.0μg、40.1μg、40.2μg、40.3μg、40.4μg、40.5μg、40.6μg、40.7μg、40.8μg、40.9μg、41.0μg、41.1μg、41.2μg、41.3μg、41.4μg、41.5μg、41.6μg、41.7μg、41.8μg、41.9μg、42.0μg、42.1μg、42.2μg、42.3μg、42.4μg、42.5μg、42.6μg、42.7μg、42.8μg、42.9μg、43.0μg、43.1μg、43.2μg、43.3μg、43.4μg、43.5μg、43.6μg、43.7μg、43.8μg、43.9μg、44.0μg、44.1μg、44.2μg、44.3μg、44.4μg、44.5μg、44.6μg、44.7μg、44.8μg、44.9μg、45.0μg、45.1μg、45.2μg、45.3μg、45.4μg、45.5μg、45.6μg、45.7μg、45.8μg、45.9μg、46.0μg、46.1μg、46.2μg、46.3μg、46.4μg、46.5μg、46.6μg、46.7μg、46.8μg、46.9μg、47.0μg、47.1μg、47.2μg、47.3μg、47.4μg、47.5μg、47.6μg、47.7μg、47.8μg、47.9μg、48.0μg、48.1μg、48.2μg、48.3μg、48.4μg、48.5μg、48.6μg、48.7μg、48.8μg、38.9μg、49.0μg、49.1μg、49.2μg、49.3μg、49.4μg、49.5μg、49.6μg、49.7μg、49.8μg、39.9μg、および50μg。
【0073】
前述の示唆した用量は、化合物が異なる経路を介して投与される場合、慣用的な用量計算を使用して調整することができる。他の経路による投与に対する適当な用量の決定は、前述の記載および当技術分野の一般的な知識を考慮して当業者のスキルの範囲内である。
【0074】
本発明の化合物の有効量の送達は、単一剤形の送達、または指定された期間、例えば24時間などの期間にわたり、同時期にもしくは別々の時間に送達し得る、複数単位用量の送達を伴ってもよい。本発明の化合物の用量(単独で、またはこれを含む組成物の形態で)は、1日当たり1から10回まで投与することができる。通常、本発明の化合物(単独でまたはこれを含む組成物の形態で)は、1日当たり(24時間)、4、3、2、または1回投与される。
【0075】
本発明の式(I)の化合物はまた、空気感染症を処置するのに有用でもある。空気感染症の例として、例えば、RSVが挙げられる。本発明の式(I)の化合物はまた、炭疽菌感染症を処置するのに有用でもある。本発明は、病原体により引き起こされる疾患または状態に対する予防的、曝露後の予防的、防止的または治療的処置のための本発明の式(I)の化合物の使用に関する。好ましい実施形態では、本発明は、生物兵器テロに使用することができる病原体により引き起こされる疾患または状態に対する予防的、曝露後の予防的、防止的または治療的処置のための式(I)の化合物の使用に関する。
【0076】
近年では、テロリズム行為における生物剤の使用についての懸念に取り組むために、様々な研究プログラムおよび生物兵器防衛対策が導入されている。これらの対策は、生物兵器テロ、または人々を死滅させ、恐怖を蔓延させ、社会を破壊するための微生物または生物学的毒素の使用に関する懸念に取り組むことを意図する。例えば、National Institute of Allergy and Infectious Diseases(国立アレルギー感染症研究所(NIAID))は、広範な領域の生物兵器テロならびに新興感染症および再興感染症の研究の必要性を呼びかけるためのプランの概要を示す、Strategic Plan for Biodefense Research(生物兵器防衛研究のための戦略プラン)を展開した。このプランによると、米国一般市民のBacillus anthracis胞子への意図的な曝露により、生物兵器テロに対する国家全体の心構えにおいてギャップがあることが明らかになった。さらにレポートは、これらの攻撃により、生物兵器テロの剤により引き起こされる疾患を早急に診断するためのテスト、予防するためのワクチンおよび免疫治療、ならびに治すための薬物および生物製剤に対する必要性が満たされていないことが露呈したと詳述している。
【0077】
様々な研究努力の焦点の大半が、生物兵器テロ剤として潜在的に危険であると特定された病原体の生物学を研究すること、このような剤に対する宿主応答を研究すること、感染症に対するワクチンを開発すること、このような剤に対して現在入手可能および調査中の治療剤を評価すること、ならびに脅威となる剤の徴候と症状を特定するための診断法を開発することを対象としてきた。このような努力は称賛に値するが、生物兵器テロに潜在的に利用可能と特定された多数の病原体を考えると、これらの努力は、可能性のあるすべての生物兵器テロの脅威に対して満足な応答を提供することが未だできていない。さらに、生物兵器テロ剤として潜在的に危険であると特定された病原体の多くは、業界による治療的または予防的対策の開発に対して十分な経済的報奨を提供しない。さらに、たとえ予防的対策、例えば、ワクチンなどが、生物兵器テロに使用することができる各病原体に対して利用可能であったとしても、このようなワクチンすべてを一般住民に投与する費用は、極めて高額である。
【0078】
すべての生物兵器テロ脅威に対して好都合で効果的な処置が利用可能となるまで、病原体作用物質から感染するリスクを予防または低減させることができる、防止的、予防的または治療的処置に対する強い必要性が存在する。
【0079】
本発明は、このような予防的処置方法を提供する。一態様では、1種または複数種の空気浮遊病原体からの感染に対する予防的処置を必要とする個体に、予防的有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、予防的処置方法が提供される。空気浮遊病原体のある特定の例は炭疽菌である。
【0080】
別の態様では、ヒトにおいて疾患を引き起こす可能性のある空気浮遊病原体からの感染リスクを低減するための予防的処置方法が提供され、前記方法は、空気浮遊病原体から感染しているリスクの可能性があるが、疾患に対して無症候性であるヒトの肺に、有効量の式(I)の化合物を投与することを含み、この場合有効量のナトリウムチャネル遮断剤およびオスモライトは、ヒトにおける感染リスクを低減させるのに十分である。空気浮遊病原体のある特定の例は炭疽菌である。
【0081】
別の態様では、曝露後の予防的処置または治療的処置の方法が、空気浮遊病原体からの感染を処置するために提供され、この方法は、空気浮遊病原体からの感染に対するこのような処置を必要とする個体の肺に、有効量の式(I)の化合物を投与することを含む。本発明の曝露後の予防的処置、救済処置および治療的処置の方法により保護することができる病原体には、口腔、鼻または鼻腔の気道を介して体内に入り、したがって肺まで進入することができるいずれの病原体も含まれる。通常、病原体は、自然発生またはエアゾール化のいずれかによる空気浮遊病原体である。病原体は、自然発生であるか、または病原体を環境に導入するエアゾール化、もしくは他の方法を行った後で環境に意図的に導入されることもある。空気中で自然に伝染しない多くの病原体は、生物兵器テロでの使用のためにエアゾール化されているか、またはエアゾール化することができる。本発明の処置が有用であり得る病原体として、これらに限定されないが、NIAIDにより記載されているような、カテゴリーA、BおよびCの重点病原体が挙げられる。これらのカテゴリーは一般的に、Centers for Disease Control and Prevention(疾病管理予防センター(CDC))により蓄積されたリストに対応している。CDCにより設定されているとおり、カテゴリーAの剤は、ヒトからヒトへ容易に広まりうるか、または伝染しうるもので、高い死亡率を引き起こし、公衆衛生に重大な影響を及ぼす可能性がある。カテゴリーBの剤は、次の重点順位であり、広まるのが中等度に容易であり、中等度の罹患率および低い死亡率を引き起こすようなものが含まれる。カテゴリーCは、これらが入手可能であり、容易に製造および散布され、高い罹患率および死亡率を生じる可能性があることから、将来的には大量散布用に操作される可能性のある、新興病原体からなる。これらの病原体の特定の例は、炭疽菌およびペスト菌である。それに対する保護が得られるか、またはそれからの感染リスクを低減し得る追加の病原体として、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、アデノウイルスおよび呼吸器合胞体ウイルスなどが挙げられる。それに対する保護が得られるさらなる病原体は、重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすと考えられているコロナウイルスである。
【0082】
本発明はまた、核攻撃、例えば放射性物質散布装置(RDD)の爆轟など、または事故、例えば原子力発電所の災害などによる、放射性物質、特に放射性核種を含有する呼吸可能エアゾールへの曝露により引き起こされる、気道に対する決定的な健康への影響を予防、緩和および/または処置するための式Iのナトリウムチャネル遮断剤、または薬学的に許容されるその塩の使用に関する。よって、本明細書中に提供されるのは、それを必要とするヒトを含めた、それを必要とするレシピエントにおいて、放射性核種を含有する呼吸可能エアゾールにより引き起こされる、気道および/または他の体内器官に対する決定的な健康への影響を予防、緩和、および/または処置するための方法であって、前記方法は、前記ヒトに、有効量の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。
【0083】
核攻撃、例えば放射性物質散布装置(RDD)の爆轟など、または事故、例えば原子力発電所の災害などによる、放射性核種を含有する呼吸可能エアゾールへの一般市民メンバーの曝露に対して、事後管理計画に伴う重大な懸念は、気道、主に肺への潜在的かつ決定的な健康への影響をどのように予防、緩和または処置するかにある。このように内部が高度に汚染された個体を管理および処置するために、薬物、技術および手順、ならびに熟練した人員を準備しておくことが必要である。
【0084】
内部に堆積した放射性核種により引き起こされる体内の気道および様々な器官への潜在的な損傷を予防、緩和または処置するための方式を決定するために研究が行われてきた。今日までに、研究の注目のほとんどは、これらの排出または除去を促進することによって、内部に堆積した放射性核種からの健康への影響を緩和することを目的とする戦略に集中している。これらの戦略は、血流に到達することが可能であり、所与の放射性元素に特異的な、遠くの全身性部位に堆積される、溶解性化学物質形態に集中している。このような手法は、堆積した放射性核種が比較的不溶性の形態である場合、機能しない。RDDから分散した、ほとんどまではいかないが、多くの物理化学的形態の放射性核種が比較的に不溶性の形態であることが研究により示されてきた。
【0085】
吸入された不溶性の放射性エアゾール剤から肺への放射線量を効果的に低減させるとして公知の唯一の方法は、気管支肺胞洗浄液またはBALである。この技術は、肺胞性タンパク症を有する患者の処置のためにすでに使用されているものから適応させたものであるが、長期間にわたり実施された場合でも、安全で、反復可能な手順であることが示されている。手順にはバリエーションもあるが、BALに対する基本的方法は、被験体に麻酔をかけ、続いて機能残余能力に到達するまで等張生理食塩水を単一の肺葉にゆっくりと導入することである。次いで追加の量を添加し、重力で流す。
【0086】
動物にBALを使用した研究結果は、深肺の含有量の約40%をBALの妥当な順序により除去することができることを示している。一部の研究では、回収された放射性核種の量において、動物間でかなりのばらつきがあった。このばらつきの理由は現在分かっていない。
【0087】
さらに、動物研究に基づき、BAL治療による有意な線量の低減は、不溶性放射性核種の吸入による健康への影響の緩和をもたらすと考えられる。研究では、成犬のイヌに不溶性
144Ce−FAP粒子を吸入させた。2つのイヌのグループに、放射線肺臓炎および肺線維症(約2MBq/kg体重)を引き起こすことが公知の肺含有量の
144Ceを与え、一方のグループは曝露後2〜56日の間に、10回の片側のみの洗浄で処置し、他方は未処置とした。第3のグループは、処置後、BAL処置したグループにおいて見られるレベル(約1MBq/kg)と同等の
144Ceレベルで曝露したが、これらの動物は未処置にした。すべての動物は、これらの寿命まで生かしておいたが、寿命は16年まで延びた。各グループのイヌの間で
144Ceの初期肺含有量にばらつきがあることから、各グループに対する線量率と累積線量は重複する。それにもかかわらず、肺臓炎/線維症リスクを低減させるBALの効果は、生存曲線から明らかとなった。肺含有量が1.5〜2.5MBq/kgの未処置のイヌにおいて、平均生存時間は370±65日であった。処置したイヌについては、平均生存時間は1270±240日であり、これは統計学的に有意に異なっていた。肺含有量として0.6〜1.4MBqの
144Ceが与えられた第3のグループの平均生存時間は1800±230であり、これは処置したグループと統計的に異なるものではなかった。生存時間の増加に対して同等に重要なのは、高線量の未処置のグループのイヌは、肺(肺臓炎/線維症)に対する決定的な影響から死亡したが、処置したイヌはそうではなかった。代わりに、処置したイヌは、低線量の未処置のグループのイヌのように、主に肺腫瘍があった(血管肉腫または癌)。したがって、BAL処置から生じた線量の低減は、肺が受けた放射線量に基づいて予想可能な、肺における生物学的な影響を生成したようにみえる。
【0088】
これらの結果に基づき、残留する放射性物質の線量を、肺からの粒子のクリアランスを強化するための任意の方法または方法の組合せによりさらに減少させることが、肺に対する健康への影響の可能性をさらに減少させるであろうと考えられている。しかし、BALは多くの弱点がある手順である。BALは、熟練した呼吸器科医により、専門の医療センターにおいて実施しなければならない高度に侵襲的な手順である。よって、BAL手順は高価である。BALの弱点を考えると、BALは、例えば、核攻撃の事象において、放射性粒子の急速な除去を必要とする人間に、容易におよび即時に利用可能であるような処置の選択肢ではない。核攻撃または核事故の事象において、曝露されたまたは曝露されるリスクがあるヒトに対して即時および比較的容易に施行される処置が必要となる。吸入エアゾール剤として投与されたナトリウムチャネル遮断剤は、気道表面の水和を修復することが示されている。このような気道表面の水和は、蓄積した粘液分泌物および関連する微粒子物質を肺から排出するのを補助する。よって、任意の特定の理論に制約されることなく、ナトリウムチャネル遮断剤は、気道通路からの放射性粒子の除去を促進するために使用することができると考えられている。
【0089】
上で論じたように、放射性物質の攻撃、例えばダーティーボムなどの攻撃後の肺への最も大きなリスクは、不溶性の放射性粒子の吸入および保持から生じる。放射性粒子を保持した結果、肺への累積的な曝露が有意に増加し、最終的には、肺線維症/肺臓炎および潜在的死亡に至る。不溶性粒子は、これらの粒子は溶液中にないので、キレート剤で全身的に排除できない。今日までに、BALを介した微粒子物質の物理的な除去は、放射線誘発性肺疾患を緩和するのに効果的であると示されている唯一の治療的レジメンである。上で論じたように、BALは、体内に吸入された放射性粒子の影響を低減するための現実的な処置解決策ではない。よって、放射性粒子を気道通路から排出するのを効果的に補助し、BALとは異なり、大規模な放射線曝露の筋書きにおいて比較的に簡単に施され、拡大縮小が可能である治療レジメンを提供することが望ましい。さらに、比較的短い期間に何人かの人々が容易に利用可能な治療的レジメンもまた望ましい。
【0090】
本発明のある態様では、放射性核種を含有する呼吸可能エアゾールにより引き起こされる、気道および/または他の体内器官に対する決定的な健康への影響を予防、緩和、および/または処置するための方法は、必要としている個体に、有効量の式Iのナトリウムチャネル遮断剤または薬学的に許容されるその塩を投与することを含む。この態様の特徴において、ナトリウムチャネル遮断剤は、オスモライト(osmolyte)と併せて投与する。この特徴にさらに関して、オスモライトは高
張食塩水(HS)である。さらなる特徴では、ナトリウムチャネル遮断剤およびオスモライトは、イオン輸送モジュレーターと併せて投与する。この特徴にさらに関して、イオン輸送モジュレーターは、β−アゴニスト、CFTR増強剤、プリン受容体アゴニスト、ルビプロストン、およびプロテアーゼ阻害剤からなる群から選択することができる。この態様の別の特徴では、放射性核種は、コバルト(Colbalt)−60、セシウム−137、イリジウム−192、ラジウム−226、リン(Phospohrus)−32、ストロンチウム−89および90、ヨウ素−125、タリウム−201、鉛−210、トリウム−234、ウラン−238、プルトニウム、コバルト−58、クロム−51、アメリシウム、およびキュリウムからなる群から選択される。さらなる特徴において、放射性核種は、放射性廃棄処分デバイスからのものである。さらに別の特徴では、ナトリウムチャネル遮断剤または薬学的に許容されるその塩は、個体が吸入する呼吸に適した粒子のエアゾール懸濁剤で投与する。追加の特徴では、ナトリウムチャネル遮断剤または薬学的に許容されるその塩は、放射性核種への曝露後に投与する。
【0091】
組成物
本発明の化合物は、単独で投与することが可能である一方で、一部の実施形態では、これを組成物、特に医薬組成物(製剤)の形態で与えることが好ましい。したがって、別の態様では、本発明は、組成物、特に、活性成分として薬学的有効量の本発明の化合物と、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体とを含む医薬組成物(例えば吸入可能医薬組成物など)を提供する。「活性成分」という用語は、本明細書中で利用する場合、本発明のいずれの化合物または医薬組成物中の2つ以上の本発明の化合物の組合せを指す。医薬組成物が、薬学的有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤または担体とを、独立してまたは組み合わせて含む、特定の実施形態もまた提供される。
【0092】
一部の実施形態では、医薬組成物は、薬学的有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物または薬学的に許容されるその塩を、独立してまたは組み合わせて、希釈剤中に含む。別の実施形態では、医薬組成物は、薬学的有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を、高
張食塩水、滅菌水、および高
張食塩水中にそれぞれ含み、この生理食塩水の濃度は、本明細書中に記載されている通りであってよい。一実施形態では、生理食塩水の濃度は、0.17%w/vであり、別の実施形態では、2.8%w/vである。
【0093】
i)薬学的有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ii)1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤と、iii)グループi)の化合物およびグループii)の賦形剤、担体、または希釈剤を、それを必要とする被験体に投与するための指示書と、iv)容器とを含むキットもまた提供される。それを必要とする被験体は、特にそれを必要とするヒト被験体を含めた、本明細書中に記載されている処置の方法を必要とする任意の被験体を含む。さらなる実施形態は、振動メッシュネブライザーおよびジェットネブライザーを含めたネブライザー、能動型および受動型ドライパウダー吸入器を含めたドライパウダー吸入器、ならびに加圧式、ドライパウダー、およびソフトミスト定量吸入器を含めた定量吸入器の群から選択されるエアゾール化デバイスもまた含む。
【0094】
一実施形態では、キットは、i)1用量当たり約10ng〜約10mgの式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ii)1用量当たり約1〜約5mLの希釈剤と、iii)グループi)の化合物およびグループii)の希釈剤を、それを必要とする被験体に投与するための指示書と、iv)容器とを含む。さらなる実施形態では、希釈剤は、1用量当たり、約1〜約5mLの、本明細書中に記載されているような生理食塩水である。さらなる実施形態では、希釈剤は、1用量当たり、約1〜約5mLの低張生理食塩水である。別の実施形態では、希釈剤は、1用量当たり約1〜約5mLの高
張食塩水である。またさらなる実施形態では、希釈剤は、1用量当たり約1〜約5mLの滅菌水である。
【0095】
i)薬学的に許容される希釈剤中に溶解した、薬学的有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含む溶液と、iii)グループi)の溶液を、それを必要とする被験体に投与するための指示書と、iii)容器とを含むキットもまた提供される。
【0096】
i)薬学的に許容される希釈剤中に溶解した、約10ng〜約10mgの式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含む溶液と、iii)グループi)の溶液を、それを必要とする被験体に投与するための指示書と、iii)容器とを含むキットもまた提供される。さらなる実施形態では、希釈剤は、1用量当たり、約1〜約5mLの、本明細書中に記載されているような生理食塩水溶液である。
【0097】
別の実施形態は、i)吸入に対して適切なドライパウダー製剤中の、薬学的有効量の式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩と、ii)場合によって、吸入に対して適切な、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤または担体と、iii)グループi)の化合物およびグループii)の賦形剤または担体を、それを必要とする被験体に投与するための指示書と、iv)容器とを含むキットを含む。さらなる実施形態では、キットは、ドライパウダー製剤をレシピエントに送達するのに適切なドライパウダー吸入器も含む。ドライパウダー吸入器は、追加的実施形態では、単回用量吸入器であっても複数回用量吸入器であってもよい。
【0098】
本明細書中に記載されているキットのそれぞれのさらなる実施形態は、1用量当たりの式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、および(Il)の化合物、または薬学的に許容されるその塩の濃度が、本明細書中に記載されている有効用量範囲の1つであるものを含み、この有効用量範囲は、a)約0.1μg〜約1,000μg、b)約0.5μg〜約0.5mg、およびc)約0.5μg〜約50μgを含む。
【0099】
上記キットのそれぞれについて、希釈剤が本明細書中に記載されている濃度の高
張食塩水である追加の実施形態が存在する。各キットについての別の実施形態では、希釈剤は、本明細書中に記載されている濃度の低張生理食塩水である。さらなる実施形態では、各キットについて、希釈剤は、吸入に対して適切な滅菌水である。
【0100】
薬学的に許容される賦形剤(複数可)、希釈剤(複数可)または担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに有害ではないという意味で許容可能でなければならない。一般的に、医薬製剤に採用される薬学的に許容される賦形剤(複数可)、希釈剤(複数可)または担体(複数可)は、これ/これらが、製剤で送達される量を消費することに対して安全であるとみなされることを意味する「無毒性」であり、これ/これらが、活性成分(複数可)の治療的活性に対して、感知できるほどに反応しないか、または所望しない影響をもたらさないことを意味する「不活性」である。薬学的に許容される賦形剤、希釈剤および担体は、当技術分野で慣用的であり、所望の投与経路に基づき、慣用的技術を使用して選択することができる。Remington’s、Pharmaceutical Sciences、Lippincott Williams & Wilkins;第21版、(2005年5月1日)を参照されたい。好ましくは、薬学的に許容される賦形剤(複数可)、希釈剤(複数可)または担体(複数可)は、FDAにより一般的に安全とみなされている(Generally Regarded As Safe(GRAS))。
【0101】
本発明による医薬組成物は、経口投与;皮下、皮内、筋肉内、静脈内および関節内を含めた非経口投与;皮膚、眼、耳などへの局所的投与を含めた局所的投与;経膣または直腸投与;ならびに鼻腔の空洞および鼻洞、経口および胸腔外気道、および肺を含めた気道への投与(様々な種類のドライパウダー吸入器、加圧定量吸入器、ソフトミスト吸入器、ネブライザー、またはインサフレーターを用いて送達することができるエアゾール剤の使用による投与を含む)に対して適切なものを含む。最も適切な投与経路は、処置を受ける患者および状態または障害を含めたいくつかの要素に依存し得る。
【0102】
製剤は、単位剤形、または例えば吸入器で計量される製剤の場合には塊状形態で与えられてもよく、薬学の分野で周知の方法のいずれかにより調製されてもよい。一般的に、この方法は、活性成分を担体、希釈剤または賦形剤、場合によって1種または複数種の副成分と会合させるステップを含む。一般的に、製剤は、活性成分を、1種もしくは複数種の液体の担体、希釈剤もしくは賦形剤、または微細に分割された固体の担体、希釈剤もしくは賦形剤、または両方と、均一および密に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の製剤へと成形することにより調製される。
【0103】
好ましい一実施形態では、組成物は、気管支内空間への吸入および送達に対して適切な吸入可能な医薬組成物である。通常、このような組成物は、ネブライザー、加圧定量吸入器(MDI)、ソフトミスト吸入器、またはドライパウダー吸入器(DPI)を使用した送達用粒子を含むエアゾールの形態である。本発明の方法に使用されるエアゾール製剤は、ネブライザー、ソフトミスト吸入器、またはMDIによる投与に対して適切な液体(例えば、溶液)、またはMDIもしくはDPIによる投与に対して適切なドライパウダーであってよい。
【0104】
医薬を気道に投与するために使用されるエアゾール剤は通常多分散系である。すなわち、これらは、多くの異なるサイズの粒子から構成される。粒径分布は通常、空気動力学的中央粒子径(MMAD)および幾何学的標準偏差(GSD)により記載される。気管支内空間への最適のドラッグデリバリーのため、MMADは、約1〜約10μm、好ましくは約1〜約5μmの範囲であり、GSDは3未満、好ましくは約2未満である。10μmを超えるMMADを有するエアゾール剤は、吸入されて肺に到達する場合一般的に大き過ぎる。約3より大きなGSDを有するエアゾール剤は、これらは高いパーセンテージの医薬を口腔に送達するので、肺送達に対して好ましくない。粉末製剤においてこれらの粒径を達成するためには、活性成分の粒子は、例えば微粒子化またはスプレードライなどの慣用的な技術を使用してサイズを低減してもよい。呼吸用粒子を生成するために使用することができる他のプロセスまたは技術の非限定的例として、スプレードライ、沈殿、超臨界流体、およびフリーズドライが挙げられる。所望の画分を空気分級または篩分けで分離してもよい。一実施形態では、粒子は結晶性である。液体製剤に対して、粒径は、ある特定のモデルのネブライザー、ソフトミスト吸入器、またはMDIを選択することで決定される。
【0105】
エアゾール粒子の粒径分布は、当技術分野で周知のデバイスを使用して決定される。例えば、多段階Andersonカスケードインパクターまたは他の適切な方法、例えば、US Pharmacopoeia第601章の中で、定量吸入器およびドライパウダー吸入器から放出されるエアゾール剤に対する特徴付けデバイスとして具体的に引用されたものなどがある。
【0106】
吸入による肺への局所的送達のためのドライパウダー組成物は、賦形剤も担体も含まず、代わりに吸入に対して適切な粒径を有するドライパウダー形態の活性成分のみを含んで製剤化することができる。ドライパウダー組成物はまた、活性成分と適切な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)、例えば単糖、二糖または多糖(例えば、ラクトースまたはデンプン)などとのミックスを含有することもできる。ラクトースは通常、ドライパウダー製剤に対して好ましい賦形剤である。固体賦形剤、例えばラクトースなどが採用される場合、一般的に賦形剤の粒径は、吸入器内での製剤の分散を助けるために活性成分よりもずっと大きい。
【0107】
ドライパウダー吸入器の非限定的例として、複数回用量貯蔵式吸入器、予備計量された複数回用量吸入器、カプセル剤ベースの吸入器および単回用量使い捨て吸入器が挙げられる。貯蔵式吸入器は、多数の用量(例えば60)を1つの容器内に含有する。吸入前に患者は、吸入器を作動させることによって、吸入器に、貯蔵所から1回分の用量の医薬を計量させ、吸入用に準備する。貯蔵式DPIの例として、これらに限定されないが、AstraZeneca製のTurbohaler(登録商標)およびVectura製のClickHaler(登録商標)が挙げられる。
【0108】
予備計量した複数回用量吸入器では、各個々の用量は別々の容器内で製造され、吸入前の吸入器の作動により、新規用量の薬物がその容器から放出され、吸入用に準備される。複数回用量のDPI吸入器の例として、これらに限定されないが、GSK製のDiskus(登録商標)、Vectura製のGyrohaler(登録商標)、およびValois製のProhaler(登録商標)が挙げられる。吸入中は、患者の吸気流が、粉末のデバイスからの放出、口腔への導入を促進する。カプセル剤吸入器に対して、製剤はカプセル剤中であり、吸入器の外側に貯蔵される。患者は、吸入器内にカプセル剤を入れ、吸入器を作動させ(カプセル剤に穴を開ける)、次いで吸入する。例として、Rotohaler(商標)(GlaxoSmithKline)、Spinhaler(商標)(Novartis)、HandiHaler(商標)(IB)、TurboSpin(商標)(PH&T)が挙げられる。単回用量の使い捨て吸入器では、患者は、吸入器を作動させて吸入用に準備し、吸入し、次いで吸入器および包装を破棄する。例として、Twincer(商標)(U Groningen)、OneDose(商標)(GFE)、およびManta Inhaler(商標)(Manta Devices)が挙げられる。
【0109】
一般的に、ドライパウダー吸入器は、粉末の経路の乱流特性を利用して、賦形剤と薬物の凝集体の分散を引き起こし、活性成分の粒子が肺の中に堆積する。しかし、特定のドライパウダー吸入器は、サイクロン分散チャンバーを利用して、所望の呼吸可能なサイズの粒子を生成する。サイクロン分散チャンバー内で薬物は、空気経路および薬物が外側の円形の壁に沿って移動するように、コイン状の分散チャンバーに接線方向で入る。薬物製剤は、この円形の壁に沿って移動するにつれて跳ね返り、凝集物は、衝撃力でバラバラに分解される。空気経路は、チャンバーの中心に向かってらせん形になり、垂直に抜け出る。十分に小さな空気力学的サイズを有する粒子は、空気経路に従い、チャンバーから抜け出ることができる。実際には、分散チャンバーは、小さなジェットミルのように機能する。製剤の特異性に応じて、大きなラクトース粒子を製剤に添加して、API粒子との衝突によって分散を補助してもよい。
【0110】
Twincer(商標)、単回用量使い捨て吸入器は、「空気分級機」と呼ばれるコイン状のサイクロン分散チャンバーを使用して作動しているようにみえる。Rijksuniversiteit Groningenへの米国公開特許出願第2006/0237010号を参照されたい。University of Groningenにより発表された論文は、この技術を利用して、60mgの用量の純粋な微粉化したコリスチンスルホメタン酸塩を吸入可能ドライパウダーとして効果的に送達させることができたと述べている。
【0111】
好ましい実施形態では、エアゾール製剤は、ドライパウダー吸入器を使用してドライパウダーとして送達され、この場合吸入器から放出される粒子は、約1μm〜約5μmの範囲のMMADおよび約2未満のGSDを有する。
【0112】
本発明による化合物および組成物の送達における使用に対して適切なドライパウダー吸入器およびドライパウダー分散デバイスの例として、これらに限定されないが、US7520278;US7322354;US7246617;US7231920;US7219665;US7207330;US6880555;US5,522,385;US6845772;US6637431;US6329034;US5,458,135;US4,805,811;および米国特許出願公開第2006/0237010号において開示されているものが挙げられる。
【0113】
一実施形態では、本発明による医薬製剤は、Diskus(登録商標)型デバイスによる送達のために製剤化された吸入用ドライパウダーである。Diskus(登録商標)デバイスは、その長さに沿って距離を空けて配置された複数の凹部を有する基材シートから形成された細長い細片と、それを気密的にではあるが剥離可能に密封して複数の容器を画定する蓋シートとを含み、各容器は、その中に既定量の活性成分を、単独あるいは1種もしくは複数種の担体または賦形剤(例えば、ラクトース)および/または他の治療活性剤と混合して含有する吸入可能製剤を有する。好ましくは、この細片は、ロールに巻かれるほど十分に柔軟性がある。蓋シートおよび基材シートは、好ましくは、互いに密封されていない先端部分を有し、先端部分の少なくとも1つは、捲回手段に付着するよう構築されることになる。また、好ましくは、基材シートと蓋シートとの間の気密的密封部は、これらの幅全体にわたり伸びている。吸入用の用量を調製するために、好ましくは、蓋シートを基材シートから、基材シートの第1末端から縦方向に剥離することができる。
【0114】
一実施形態では、本発明による医薬製剤は、単回用量使い捨て吸入器、特にTwincer(商標)吸入器を使用して送達するために製剤化された吸入用ドライパウダーである。Twincer(商標)吸入器は、1つまたは複数の凹部と、それを気密的にではあるが剥離可能に密封して複数の容器を画定する蓋シートとを有するホイル積層体ブリスターを含む。各容器は、その中に既定量の活性成分(複数可)を、単独あるいは1種もしくは複数種の担体または賦形剤(例えば、ラクトース)と混合して含有する吸入可能製剤を有する。蓋シートは、好ましくは、吸入器本体から突出するように構築された先端部分を有することになる。患者がデバイスを作動することによって、1)外側のパッケージ上包を除去し、2)ホイルタブを引いて、ブリスター内の薬物を露出させ、3)ブリスターから薬物を吸入することによって、エアゾール製剤が投与される。
【0115】
別の実施形態では、本発明による医薬製剤は、両方ともNexBioの、国際公開第WO2009/015286号または第WO2007/114881号に記載されているように、ドライパウダーが微小粒子へと製剤化される、吸入用ドライパウダーである。このような微小粒子は、一般的に、溶媒中に本発明の化合物を含有する溶液に対イオンを添加し、この溶液へ抗溶媒(antisolvent)を添加し、この溶液を約25℃未満の温度にゆっくりと冷却することによって形成され、化合物を含む微小粒子を含有する組成物を形成する。次いで、化合物を含む微小粒子は、任意の適切な手段、例えば、沈降、濾過または凍結乾燥などにより溶液から分離することができる。本発明の化合物の微小粒子を調製するのに適切な対イオン、溶媒および抗溶媒は、WO2009/015286に記載されている。
【0116】
別の実施形態では、本発明による医薬組成物は、定量吸入器を使用してドライパウダーとして送達される。定量吸入器およびデバイスの非限定的例として、US5,261,538;US5,544,647;US5,622,163;US4,955,371;US3,565,070;US3,361306およびUS6,116,234およびUS7,108,159に開示されているものが挙げられる。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、その放出される粒子が、約1μm〜約5μmの範囲であるMMADおよび約2未満であるGSDを有する定量吸入器を使用してドライパウダーとして送達される。
【0117】
吸入による気管支内空間または肺への送達のための液体エアゾール製剤は、例えば、加圧式パック、例えば定量吸入器(適切な液化性噴霧剤の使用を伴う)、ソフトミスト吸入器、またはネブライザーから送達される水溶液もしくは懸濁液またはエアゾール剤として製剤化することができる。吸入に対して適切なこのようなエアゾール組成物は、懸濁液または溶液のいずれかとすることができ、一般的に、活性成分(複数可)を、薬学的に許容される担体または希釈剤(例えば、水(蒸留または滅菌)、生理食塩水、高
張食塩水、またはエタノール)および場合によって1種または複数種の他の治療活性剤と一緒に含有する。
【0118】
加圧定量吸入器による送達用のエアゾール組成物は通常、薬学的に許容される噴霧剤をさらに含む。このような噴霧剤の例として、フルオロカーボンまたは水素含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、特にヒドロフルオロアルカン、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロ−n−プロパンまたはその混合物が挙げられる。エアゾール組成物は、賦形剤を含まなくてもよく、または当技術分野で周知の追加的製剤の賦形剤、例えば界面活性剤など、例えば、オレイン酸またはレシチン、および共溶媒、例えば、エタノールなどを場合によって含有してもよい。加圧製剤は、一般的に、弁(例えば、計量弁)で閉じられており、マウスピースを備えたアクチュエータにはめ込まれるキャニスター(例えば、アルミニウムキャニスター)に保持されることになる。
【0119】
別の実施形態では、本発明による医薬組成物は、定量吸入器を使用して液体として送達される。定量吸入器およびデバイスの非限定的例として、米国特許第6,253,762号、同第6,413,497号、同第7,601,336号、同第7,481,995号、同第6,743,413号、および同第7,105,152号に開示されているものが挙げられる。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、放出された粒子が約1μm〜約5μmの範囲のMMADおよび約2未満のGSDを有する定量吸入器を使用して、ドライパウダーとして送達される。
【0120】
一実施形態では、エアゾール製剤は、ジェット式ネブライザー、または超音波ネブライザー(スタティック式および振動式多孔板ネブライザーを含む)によるエアゾール化に対して適切である。噴霧のための液体エアゾール製剤は、固形粒子製剤を可溶化または再構成させることにより生成してもよいし、または水性ビヒクルを用いて、酸もしくはアルカリ、緩衝塩、および等張性調節剤などの剤の添加により製剤化してもよい。これらの製剤は、濾過などのインプロセス技術、またはオートクレーブ内での加熱もしくはガンマ線照射などのターミナルプロセスにより無菌化してもよい。これらの製剤はまた、非滅菌形態で与えられてもよい。
【0121】
患者は、噴霧溶液のpH、重量オスモル濃度、およびイオン含有量に敏感な可能性がある。したがってこれらのパラメータを、活性成分と適合し、患者が許容できるように調整すべきである。活性成分の最も好ましい溶液または懸濁液は、pH4.5〜7.4、好ましくは5.0〜5.5で、塩化物濃度は>30mMで、重量オスモル濃度は約800〜1600mOsm/kgで含有することになる。溶液のpHは、一般的な酸(例えば塩酸または硫酸)もしくは塩基(例えば水酸化ナトリウム)での滴定または緩衝剤の使用のいずれかを介して制御することができる。一般的に使用される緩衝剤として、クエン酸塩緩衝剤、例えばクエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤など、酢酸塩緩衝剤、例えば酢酸/酢酸ナトリウム緩衝剤など、およびリン酸塩緩衝剤が挙げられる。緩衝剤の強度は、2mM〜50mMの範囲であり得る。
【0122】
有用な酢酸塩、リン酸塩、およびクエン酸塩緩衝剤として、酢酸ナトリウム、酢酸ナトリウム三水和物、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、およびクエン酸カリウムが挙げられる。利用し得る他の緩衝剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、クエン酸、酢酸、ヒドロキシトリカルボン酸またはその塩、例えば、そのクエン酸塩またはクエン酸ナトリウム塩、乳酸、および乳酸の塩、例えば乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸リチウム、乳酸カルシウム、乳酸マグネシウム、乳酸バリウム、乳酸アルミニウム、乳酸亜鉛、乳酸銀、乳酸銅、乳酸鉄、乳酸マンガン、乳酸アンモニウムなど、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ならびにこれらの組合せなどが挙げられる。
【0123】
このような製剤は、製剤を分解して、気道内への堆積に対して適切な粒子または液体粒子にすることができる市販のネブライザーまたは他のアトマイザーを使用して投与することができる。本発明の組成物のエアゾール剤の送達に採用することができるネブライザーの非限定的例として、圧縮空気ジェット式ネブライザー、換気型もしくは呼吸促進型ジェット式ネブライザー、または超音波ネブライザー(スタティック式または振動式多孔板ネブライザーを含む)が挙げられる。市販のネブライザーとして、Aeroneb(登録商標)Goネブライザー(Aerogen)およびeFlowネブライザー(Pari Pharma)が挙げられる。
【0124】
ジェット式ネブライザーは、水の柱を介して噴出させる高速流の空気を利用して、液体粒子を生成する。吸入に不適切な粒子は、壁面または空気力学的バッフルに衝突する。換気型または呼吸促進型ネブライザーは、患者が吸入中にネブライザーの排出速度を増加させるために、吸入した空気を第一次液体粒子生成エリアに通すこと以外は、ジェット式ネブライザーと本質的に同じ方式で機能する。
【0125】
超音波ネブライザーでは、圧電性結晶の振動が、薬物貯蔵所内で表面不安定性を作り出し、これによって液体粒子の形成を引き起こす。多孔板ネブライザーでは、音波エネルギーによって生成される圧力場が、液体を押してメッシュ孔に通し、ここで、レイリー分解により液体粒子へと分解する。音波エネルギーは、圧電性結晶により駆動する振動式ホーンもしくはプレートにより、またはメッシュそれ自体が振動することによって供給され得る。アトマイザーの非限定的例として、任意のシングル型もしくはツイン型流体アトマイザーまたは適当なサイズの液体粒子を生成するノズルが挙げられる。シングル型流体アトマイザーは、液体を押して1つまたは複数の穴に通し、ここで液体の噴流が液体粒子へと分解されることにより機能する。ツイン型流体アトマイザーは、気体と液体の両方を押して1つもしくは複数の穴に通すことによって、または液体の噴流を、液体もしくは気体の別の噴流と衝突させることによって機能する。
【0126】
エアゾール製剤をエアゾール化するネブライザーの選択は、活性成分(複数可)の投与において重要である。異なるネブライザーは、これらの設計および操作原理に基づき異なる効率を有し、製剤の物理的および化学的特性に影響されやすい。例えば、異なる表面張力を有する2つの製剤は、異なる粒径分布を有し得る。さらに、pH、重量オスモル濃度、および浸透イオン量などの製剤特性は、薬物適用の耐性に影響を及ぼす可能性があるので、好ましい実施形態は、これらの特性の特定の範囲に準ずる。
【0127】
好ましい実施形態では、噴霧用製剤は、約1μm〜約5μmの間のMMADおよび2未満のGSDを有するエアゾール剤として、適当なネブライザーを使用して、気管支内腔に送達される。最適に効果的にするために、ならびに上気道および全身性副作用を回避するために、エアゾール剤は、約5μmより大きいMMADを有するべきでなく、約2より大きいGSDを有するべきではない。エアゾール剤が約5μmより大きいMMADまたは約2より大きいGSDを有する場合、高いパーセンテージの用量が上気道に堆積し、下気道の所望の部位に送達される薬物の量が減少する可能性がある。エアゾール剤のMMADが約1μmより小さい場合、高いパーセンテージの粒子は吸入空気中に懸濁されたままとなり、呼息中に呼出される可能性がある。
【0128】
本発明の化合物はまた、経気管支鏡洗浄により投与することもできる。
【0129】
経口投与に対して適切な製剤は、それぞれが既定量の活性成分を含有する、カプセル剤、カシェ剤または錠剤など別個の単位として;粉末または粒剤として;水性の液体または非水性の液体での液剤または懸濁剤として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして与えられてもよい。活性成分はまた、サシェ剤、ボーラス、舐剤またはペースト剤として与えられてもよい。
【0130】
錠剤は、場合によって1種または複数種の副成分と共に、圧縮または成形により作製することができる。圧縮錠は、適切な機器内で、散剤または粒剤などの自由に流動する形態の活性成分を、場合によって結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、表面活性剤または分散剤と混合して、圧縮することによって調製することができる。成型した錠剤は、適切な機器内で、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を成型することによって作製することができる。錠剤は、場合によってコーティングされても、割線を入れられてもよいし、その中の活性成分の徐放性放出または制御放出が提供されるように、錠剤を製剤化してもよい。
【0131】
口内、例えば口腔または舌下への局所的投与用製剤として、香味づけた基剤、例えばスクロースおよびアカシアまたはトラガカントなどの中に活性成分を含むロゼンジ剤、および基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの中に活性成分を含むトローチ剤が挙げられる。
【0132】
非経口投与用製剤として、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および溶質(製剤を、意図するレシピエントの血液と等張にする)を含有し得る水性および非水性の滅菌注射液ならびに懸濁化剤および粘稠化剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁剤が挙げられる。製剤は、単回用量または複数回用量容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル内に入れて与えられてもよいし、使用の直前に無菌液体担体、例えば生理食塩水または注射用水などを添加することだけを必要とする、フリーズドライの(凍結乾燥された)状態で貯蔵されていてもよい。即時調合注射液および懸濁剤は、すでに記述された種類の滅菌した散剤、粒剤および錠剤から調製してもよい。
【0133】
口腔液、例えば液剤、シロップ剤およびエリキシル剤などは、所与の量が既定量の活性成分を含有するように、投薬単位形態で調製することができる。シロップ剤は、適切に香味づけた水溶液中に活性成分を溶解させることによって調製することができ、一方、エリキシル剤は、薬学的に許容されるアルコール性ビヒクルの使用を介して調製する。懸濁剤は、薬学的に許容されるビヒクル中に活性成分を分散させることで製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤、例えばエトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど、保存剤、香味添加物、例えばハッカ油など、または天然甘味剤もしくはサッカリンまたは他の人工甘味剤なども経口用液体組成物に組み込むことができる。
【0134】
リポソームデリバリーシステム、例えば小さな単層ベシクル、大きな単層ベシクルおよび多層ベシクルなどもまた、本発明の化合物のための送達手段として採用することができる。リポソームは、様々なリン脂質、例えばコレステロール、ステアリルアミンおよびホスファチジルコリンなどから形成することができる。
【0135】
局所的投与用医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤または油として製剤化することができる。眼または他の外部組織、例えば口および皮膚などの処置を目的とする組成物は、局所用軟膏剤またはクリーム剤として適用することができる。軟膏剤として製剤化される場合、活性成分は、パラフィン系または水混和性軟膏基剤のいずれかと共に採用することができる。代わりに、活性成分を水中油型クリーム剤基剤または油中水型基剤を有するクリーム剤に製剤化してもよい。
【0136】
眼または耳への局所的投与を目的とする他の組成物として、点眼剤および点耳剤が挙げられ、この場合活性成分は、適切な担体、例えば水性溶媒(生理食塩水を含む)の中に溶解または懸濁させる。
【0137】
経鼻腔投与を目的とする組成物として、エアゾール剤、液剤、懸濁剤、スプレー剤、ミストおよびドロップ剤が挙げられる。経鼻腔投与用のエアゾール化可能な製剤は、呼吸可能でないサイズの粒子が経鼻腔投与用製剤において好ましいという条件付きで、吸入用のエアゾール化可能な製剤と大体同じ方式で製剤化することができる。通常、約5ミクロンサイズの粒子、最大で目に見える液体粒子のサイズまで採用することができる。したがって、経鼻腔投与に対して、10〜500μmの範囲の粒径を使用することによって、鼻腔内で確実に保持をすることができる。
【0138】
経皮的パッチもまた採用することができ、これは、長期間の間患者の表皮と接触させたままにしておくこと、およびそこを通しての活性成分の吸収を促進させることを目的とする。
【0139】
経膣または直腸投与用組成物として、軟膏剤、クリーム剤、坐剤および浣腸剤が挙げられるが、これらはすべて慣用的な技術を使用して製剤化することができる。
【0140】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおいて、粘膜面の水和を促進するか、または粘膜の防御を修復する方法であって、ヒトに、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することを含み、前記化合物が有効量で投与される方法を提供する。好ましい一実施形態では、本方法は、気道表面上に、約10
−9、10
−8、または10
−7〜約10
−4、10
−3、10
−2、または10
−1モル/リットル、より好ましくは約10
−9〜約10
−4モル/リットルの化合物の溶存濃度を達成するのに十分な本発明の化合物の量を含む医薬組成物を、吸入可能組成物として投与することを含む。
【0141】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおける可逆性もしくは不可逆性気道閉塞に伴う疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症(嚢胞性線維症以外の状態が原因の気管支拡張症を含む)、急性気管支炎、慢性気管支炎、ウイルス感染後の咳、嚢胞性線維症、肺気腫、肺炎、汎細気管支炎、移植関連細気管支炎、および人工呼吸器関連気管支炎のうちのいずれか1つを処置するか、または人工呼吸器関連肺炎を予防する方法であって、ヒトに、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することを含み、前記化合物が有効量で投与される方法を提供する。好ましい一実施形態では、本方法は、吸入可能組成物として、気道表面上に、約10
−9、10
−8、または10
−7〜約10
−4、10
−3、10
−2、または10
−1モル/リットル、より好ましくは約10
−9〜約10
−4モル/リットルの化合物の溶存濃度を達成するのに十分な量の本発明の化合物を含む医薬可能組成物を投与することを含む。
【0142】
別の態様では、本発明は、それを必要とするヒトにおいて、ドライマウス(口内乾燥)、乾皮症、膣乾燥、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、または鼻腔乾燥(乾燥酸素を投与することによって生じる鼻腔乾燥を含む)、ドライアイまたはシェーグレン病のいずれか1つを処置する、眼または角膜の水和を促進する、遠位腸閉塞症候群を処置する、中耳炎、原発性線毛ジスキネジア、遠位腸閉塞症候群、食道炎、便秘、または慢性憩室炎を処置する方法であって、ヒトに、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することを含み、前記化合物が有効量で投与される方法を提供する。
【0143】
本発明の化合物に対して好ましい単位用量製剤は、有効量の活性成分またはその適当な画分を含有するものである。
【0144】
特に上述されている成分に加えて、本発明の製剤は、対象の製剤のタイプを考慮して当技術分野で慣用的な他の剤を含んでもよく、例えば経口投与に対して適切な製剤は、着香料を含んでもよいことを理解すべきである。
【0145】
本発明の組成物は、処置される特定の状態および所望の投与経路に対して所望されるような、即時放出、制御放出または持続性放出用に製剤化することができる。例えば、経口投与のための制御放出製剤は、活性剤の結腸への送達を最大にする目的で、便秘の処置のために所望されることもある。このような製剤およびそれに対して適切な賦形剤は、薬学の技術分野では周知である。化合物の遊離塩基は一般的に水溶液中で塩よりも溶解性が低いので、式Iの化合物の遊離塩基を含む組成物を採用することによって、吸入により肺へ送達される活性剤のより持続性のある放出を提供することができる。溶解して溶液となってはいない微粒子形態で、肺の中で存在する活性剤は、生理学的な応答を誘発するために利用可能でないが、徐々に溶解して溶液となるバイオアベイラブルな薬物のデポーとして作用する。別の例として、製剤は、本発明の化合物の遊離塩基および塩形態の両方を利用することによって、粘液分泌物(例えば、鼻の粘液分泌物)への溶解目的で、活性成分の即時放出と持続性放出の両方を提供することができる。
【0146】
組合せ
本発明の化合物は、他の治療活性剤と組み合わせて製剤化そして/または使用することができる。本発明の化合物と組み合わせて製剤化または使用することができる他の治療活性剤の例として、これらに限定されないが、オスモライト、抗炎症剤、抗コリン作用剤、β−アゴニスト(選択的β
2−アゴニストを含む)、P2Y2受容体アゴニスト、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)デルタアゴニスト、他の上皮ナトリウムチャネル遮断剤(ENaC受容体遮断剤)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)モジュレーター、キナーゼ阻害剤、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、非抗生物質抗炎症性マクロライド、エラスターゼおよびプロテアーゼ阻害剤、ならびに粘液またはムチン変性剤、例えば界面活性剤などが挙げられる。さらに、心血管適応症に対して、本発明の化合物を、ベータ遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤および他の心血管作用剤と組み合わせて使用することができる。
【0147】
したがって、本発明は、別の態様として、有効量の本発明の化合物と、オスモライト、抗炎症剤、抗コリン作用剤、β−アゴニスト(選択的β
2−アゴニストを含む)、P2Y2受容体アゴニスト、PPARデルタアゴニスト、ENaC受容体遮断剤、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)モジュレーター、キナーゼ阻害剤、抗感染剤、抗ヒスタミン剤、非抗生物質抗炎症性マクロライド、エラスターゼおよびプロテアーゼ阻害剤、および粘液またはムチン変性剤、例えば界面活性剤などから選択される1種または複数種の他の治療活性剤とを含む組成物を提供する。本発明は、したがって、別の態様として、有効量の本発明の化合物と、ベータ遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoAレダクターゼ阻害剤、およびカルシウムチャネル遮断剤から選択される1種または複数種の他の治療活性剤とを含む組成物を提供する。本発明の化合物を、1種または複数種の他の治療活性剤(特にオスモライト)と組み合わせて使用することによって、粘膜面を十分に水和させるのに必要な本発明の化合物の用量を低下させ、これによって、例えば腎臓などにおける、ナトリウムチャネルの全身性遮断に起因する所望しない副作用に対する可能性を低減することができる。
【0148】
本発明による「オスモライト」は、浸透活性のある分子または化合物である。「浸透活性のある」分子および化合物は、気道または肺上皮表面上で膜不浸透性(すなわち、本質的に非吸収性)である。「気道表面」および「肺表面」という用語は、本明細書で使用する場合、肺の気道表面、例えば気管支および細気管支、肺胞の表面、ならびに鼻腔および鼻洞表面などを含む。適切なオスモライトとして、イオン性オスモライト(すなわち、塩)、および非イオン性オスモライト(すなわち、糖、糖アルコール、および有機オスモライト)が挙げられる。一般的に、本発明の化合物と組み合わせて使用されるオスモライト(イオンおよび非イオン性の両方)は、細菌の増殖を促進しないオスモライト、または実際には細菌の増殖を阻止するかもしくは遅らせるオスモライトが好ましい。本発明での使用に適したオスモライトは、ラセミ体、または、エナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、多形もしくは擬似多形の形態であり得る。
【0149】
本発明において有用なイオン性オスモライトの例として、薬学的に許容されるアニオンおよび薬学的に許容されるカチオンの任意の塩が挙げられる。アニオンおよびカチオンのいずれか(または両方)は浸透活性があり、これらが投与される気道表面に関して迅速な能動輸送に供されないことが好ましい。このような化合物として、これらに限定されないが、FDA認可された、商業的に市販されている塩に含有されているアニオンおよびカチオンが挙げられ(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第II巻、1457頁(第19版、1995年)を参照されたい)、当技術分野で公知のような任意の組合せで使用することができる。
【0150】
薬学的に許容される浸透活性のあるアニオンの具体例として、これらに限定されないが、酢酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、安息香酸アニオン、炭酸水素アニオン、酒石酸水素アニオン、臭化物アニオン、エデト酸カルシウムアニオン、カンシル酸アニオン(カンファースルホン酸アニオン)、炭酸アニオン、塩化物アニオン、クエン酸アニオン、ジヒドロクロライドアニオン、エデト酸アニオン、エジシル酸アニオン(1,2−エタンジスルホン酸アニオン)、エストル酸アニオン(ラウリル硫酸アニオン)、エシル酸アニオン(1,2−エタンジスルホン酸アニオン)、フマル酸アニオン、グルセプト酸アニオン、グルコン酸アニオン、グルタミン酸アニオン、グリコリルアルサニル酸アニオン(p−グリコールアミドフェニルアルソン酸アニオン)、ヘキシルレゾルシン酸アニオン、ヒドラバミンアニオン(N,N’−ジ(デヒドロアビエチル)エチレンジアミンアニオン)、臭化水素酸アニオン、塩酸アニオン、ヒドロキシナフトエ酸アニオン、ヨウ化物アニオン、イセチオン酸アニオン、乳酸アニオン、ラクトビオン酸アニオン、リンゴ酸アニオン、マレイン酸アニオン、マンデル酸アニオン、メシル酸アニオン、メチル臭化物アニオン、メチル硝酸アニオン、メチル硫酸アニオン、ムコ酸アニオン、ナプシル酸アニオン、硝酸アニオン、亜硝酸アニオン、パモ酸アニオン(エンボン酸アニオン)、パントテン酸アニオン、リン酸アニオンまたは二リン酸アニオン、ポリガラクツロ酸アニオン、サリチル酸アニオン、ステアリン酸アニオン、塩基性酢酸アニオン、コハク酸アニオン、硫酸アニオン、タンニン酸アニオン、酒石酸アニオン、テオクル酸アニオン(8−クロロテオフィリネートアニオン)、トリエチオジドアニオン、炭酸水素アニオンなどが挙げられる。好ましいアニオンとして、塩化物アニオン、硫酸アニオン、硝酸アニオン、グルコン酸アニオン、ヨウ化物アニオン、炭酸水素アニオン、臭化物アニオン、およびリン酸アニオンが挙げられる。
【0151】
薬学的に許容される浸透活性のあるカチオンの具体例として、これらに限定されないが、有機カチオン、例えばベンザチンカチオン(N,N’−ジベンジルエチレンジアミンカチオン)、クロロプロカインカチオン、コリンカチオン、ジエタノールアミンカチオン、エチレンジアミンカチオン、メグルミンカチオン(N−メチルD−グルカミンカチオン)、プロカインカチオン、D−リシンカチオン、L−リシンカチオン、D−アルギニンカチオン、L−アルギニンカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、およびN−メチルD−グリセロールカチオンなど;および金属カチオン、例えばアルミニウムカチオン、カルシウムカチオン、リチウムカチオン、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン、ナトリウムカチオン、亜鉛カチオン、鉄カチオン、およびアンモニウムカチオンなどが挙げられる。好ましい有機カチオンとして、3炭素、4炭素、5炭素および6炭素の有機カチオンが挙げられる。好ましいカチオンとして、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、コリンカチオン、リチウムカチオン、メグルミンカチオン、D−リシンカチオン、アンモニウムカチオン、マグネシウムカチオン、およびカルシウムカチオンが挙げられる。
【0152】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができるイオン性オスモライトの具体例として、これらに限定されないが、塩化ナトリウム(特に高
張食塩水)、塩化カリウム、塩化コリン、ヨウ化コリン、塩化リチウム、塩化メグルミン、塩化L−リシン、塩化D−リシン、塩化アンモニウム、硫酸カリウム、硝酸カリウム、グルコン酸カリウム、ヨウ化カリウム、塩化第二鉄、塩化第一鉄、臭化カリウム、および前述のものいずれか2つ以上のものの組合せが挙げられる。一実施形態では、本発明は、本発明の化合物および2つの異なる浸透活性のある塩の組合せを提供する。異なる塩が使用される場合、アニオンまたはカチオンのうちの1つは、異なる塩の間で同じであってもよい。高
張食塩水は、本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好ましいイオン性オスモライトである。
【0153】
非イオン性オスモライトとして、糖、糖アルコール、および有機オスモライトが挙げられる。本発明のオスモライトとして有用な糖および糖アルコールとして、これらに限定されないが、三炭糖(例えば、グリセロール、ジヒドロキシアセトン);四炭糖(例えば、エリトロース、トレオース、およびエリトルロースのD型およびL型の両方);五炭糖(例えば、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、プシコース、フルクトース、ソルボース、およびタガトースのD型およびL型の両方);および六炭糖(例えば、アルトース、アロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、およびタロースのD型およびL型の両方、ならびにアロ−ヘプツロース、アロ−ヘプロース、グルコ−ヘプツロース、マンノ−ヘプツロース、グロ−ヘプツロース、イド−ヘプツロース、ガラクト−ヘプツロース、タロ−ヘプツロースのD型およびL型)が挙げられる。本発明の実施に有用な追加的糖として、ラフィノース、ラフィノース系オリゴ糖、およびスタキオースが挙げられる。還元型形態の各糖/糖アルコールのD型およびL型の両方もまた本発明に対して適切である。例えば、グルコースは、還元型の場合、本発明の範囲内のオスモライトであるソルビトールになる。したがって、ソルビトールおよび他の還元型形態の糖/糖アルコール(例えば、マンニトール、ズルシトール、アラビトール)は、本発明の使用に対して適切なオスモライトである。マンニトールは、本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好ましい非イオン性オスモライトである。
【0154】
「有機オスモライト」は、腎臓の細胞内重量オスモル濃度を制御する分子を指すために一般的に使用される。例えば、J. S. Handlerら、Comp. Biochem. Physiol、117巻、301〜306頁(1997年);M. Burg、Am. J. Physiol.268巻、F983〜F996頁(1995年)を参照されたい。有機オスモライトとして、これらに限定されないが、3つの主なクラスの化合物:ポリオール(多価アルコール)、メチルアミン、およびアミノ酸が挙げられる。適切なポリオール有機オスモライトとして、これらに限定されないが、イノシトール、ミオ−イノシトール、およびソルビトールが挙げられる。適切なメチルアミン有機オスモライトとして、これらに限定されないが、コリン、ベタイン、カルニチン(L型、D型およびDL型)、ホスホリルコリン、リゾ−ホスホリルコリン、グリセロホスホリルコリン、クレアチン、およびクレアチンリン酸が挙げられる。適切なアミノ酸有機オスモライトとして、これらに限定されないが、D型およびL型のグリシン、アラニン、グルタミン、グルタメート、アスパルテート、プロリンおよびタウリンが挙げられる。本発明での使用に対して適切な追加的有機オスモライトとして、チフロースおよびサルコシンが挙げられる。哺乳動物の有機オスモライトが好ましく、ヒト有機オスモライトが最も好ましい。しかし、特定の有機オスモライトは、細菌、イースト菌、および海洋動物起源であり、これらの化合物もまた本発明に採用することができる。
【0155】
オスモライト前駆体を、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。「オスモライト前駆体」は、本明細書で使用する場合、異化または同化作用のいずれかの代謝ステップによってオスモライトに変換される化合物を指す。オスモライト前駆体の例として、これらに限定されないが、グルコース、グルコースポリマー、グリセロール、コリン、ホスファチジルコリン、リゾ−ホスファチジルコリンおよび無機リン酸が挙げられ、これらは、ポリオールおよびメチルアミンの前駆体である。アミノ酸オスモライトの前駆体として、タンパク質、ペプチド、およびポリアミノ酸(これらは加水分解されて、オスモライトアミノ酸を生成する)、および代謝性前駆体(アミノ基転移などの代謝性ステップによってオスモライトアミノ酸へと変換され得る)が挙げられる。例えば、アミノ酸グルタミンの前駆体はポリ−L−グルタミンであり、グルタメートの前駆体はポリ−L−グルタミン酸である。
【0156】
化学的に修飾されたオスモライトまたはオスモライト前駆体もまた採用することができる。このような化学的修飾は、オスモライト(または前駆体)を、オスモライトまたはオスモライト前駆体の効果を変化または増強させる(例えば、オスモライト分子の分解を阻害する)追加的化学基に連結することを含む。このような化学的修飾は、薬物またはプロドラッグと共に利用され、当技術分野で公知である。(例えば、米国特許第4,479,932号および同第4,540,564号;Shek, E.ら、J. Med. Chem.19巻:113〜117頁(1976年);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci.67巻:1045〜1050頁(1978年);Bodor, N.ら、J. Med. Chem.26巻:313〜318頁(1983年);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci.75巻:29〜35頁(1986年)を参照されたい)。
【0157】
本発明の化合物と組み合わせて使用するのに好ましいオスモライトとして、塩化ナトリウム、特定の高
張食塩水、およびマンニトールが挙げられる。
【0158】
7%および>7%の高
張食塩水の製剤に対して、炭酸水素アニオンを含有する製剤は特に嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)機能不全、例えばCFまたはCOPDなどを有する呼吸障害に対して特に有用であり得る。最近の知見は、HCO
3−コンダクタンス/Cl
−コンダクタンスの相対比が、cAMPおよびATPで活性化されたシングル型CFTRチャネルに対して0.1〜0.2の間であるにもかかわらず、汗管における比は、刺激の条件に応じて、実質的に0〜ほぼ1.0の範囲であり得ることを示している。つまり、cAMP+cGMP+α−ケトグルタレートを組み合わせることによって、Cl
−コンダクタンスのものとほとんど等しいCFTR HCO
3−コンダクタンスを生成することができる(Quitonら、Physiology、22巻、3号、212〜225頁、2007年6月)。さらに、炭酸水素アニオンを含有する7%および>7%の高
張食塩水の製剤は、気道表面液体中のpHのより良好な制御に起因して、特に有用であり得る。まず第1に、気道酸性化がCF中で生じ(Tateら、2002年)、CFTR依存性ビカーボネート分泌物の不在は、気道表面の液体層の酸性化に伴う気道状態への反応能力の低下をもたらすことができることが示されている(Coakleyら、2003年)。第2に、ビカーボネートを含まないHS液剤の肺表面への添加は、ビカーボネート濃度をさらに希釈し、pH、または気道表面液体層内の気道酸性化に反応する能力を潜在的に低減させる可能性がある。したがって、HSへのビカーボネートの添加は、CF患者における気道表面液体層のpHの維持または改善の助けとなり得る。
【0159】
この証拠により、本発明の方法で投与される7%または>7%の高
張食塩水の製剤中での炭酸水素アニオンの包含は、特に有用である。30〜200mMまでの濃度の炭酸水素アニオンを含有する製剤は、7%または>7%のHS液剤に対して特に興味深い。
【0160】
高
張食塩水は、生理食塩水(NS(normal saline))の塩濃度より高い、すなわち9g/Lまたは0.9%w/vより高い塩濃度を有し、低張生理食塩水は、生理食塩水の塩濃度より低い、例えば、約1gまたはL/0.1%w/v〜約8g/Lまたは0.8%w/vなどの塩濃度を有すると理解されている。本明細書中の製剤および処置方法において有用な高
張食塩水は、約1%〜約23.4%(w/v)の塩濃度を有することができる。一実施形態では、高
張食塩水は、約60g/L(6%w/v)〜約100g/L(10%w/v)の塩濃度を有する。別の実施形態では、生理食塩水は、約70g/L(7%w/v)〜約100g/L(10%w/v)の塩濃度を有する。さらなる実施形態において、生理食塩水は、a)約0.5g/L(0.05%w/v)〜約70g/L(7%w/v);b)約1g/L(0.1%w/v)〜約60g/L(6%w/v);c)約1g/L(0.1%w/v)〜約50g/L(5%w/v);d)約1g/L(0.1%w/v)〜約40g/L(4%w/v);e)約1g/L(0.1%w/v)〜約30g/L(3%w/v);およびf)約1g/L(0.1%w/v)〜約20g/L(2%w/v)の塩濃度を有する。
【0161】
本明細書中の製剤および処置方法において有用な生理食塩水の具体的濃度として、独立して、1g/L(0.1%w/v)、2g/L(0.2%w/v)、3g/L(0.3%w/v)、4g/L(0.4%w/v)、5g/L(0.5%w/v)、6g/L(0.6%w/v)、7g/L(0.7%w/v)、8g/L(0.8%w/v)、9g/L(0.9%w/v)、10g/L(1%w/v)、20g/L(2%w/v)、30g/L(3%w/v)、40g/L(4%w/v)、50g/L(5%w/v)、60g/L(6%w/v)、70g/L(7%w/v)、80g/L(8%w/v)、90g/L(9%w/v)、100g/L(10%w/v)、110g/L(11%w/v)、120g/L(12%w/v)、130g/L(13%w/v)、140g/L(14%w/v)、150g/L(15%w/v)、160g/L(16%w/v)、170g/L(17%w/v)、180g/L(18%w/v)、190g/L(19%w/v)、200g/L(20%w/v)、210g/L(21%w/v)、220g/L(22%w/v)、および230g/L(23%w/v)の塩濃度を有するものが挙げられる。これらの列挙した濃度/パーセンテージのそれぞれの間の生理食塩水濃度、例えば、1.7g/L(0.17%w/v)、1.25g/L(1.25%w/v)、1.5g/L(1.5%w/v)、25g/L(2.5%w/v)、28g/L(2.8%w/v)、35g/L(3.5%w/v)、45g/L(4.5%w/v)、および75g/L(7.5%w/v)の生理食塩水もまた使用することができる。
【0162】
低張生理食塩水の具体的な有用な濃度として、約0.12g/L(0.012%w/v)〜約8.5g/L(0.85%w/v)のものが挙げられる。この範囲内の任意の濃度、例えばw/vベースで、0.05%、0.1%、0.15%、0.2%、0.225%(1/4NS)、0.25%、0.3%(1/3NS)、0.35%、0.4%、0.45%(1/2NS)、0.5%、0.55%、0.6%(2/3NS)、0.65%、0.675%(3/4NS)、0.7%、0.75%、および0.8%を使用することができる。
【0163】
本明細書中に記載されている生理食塩水の範囲および具体的な濃度のそれぞれを、本明細書中に記載されている製剤、処置方法、レジメン、およびキットと共に使用することができる。
【0164】
同様に本発明の範囲内であることが意図されるのは、化学的に修飾したオスモライトまたはオスモライト前駆体である。このような化学的修飾は、オスモライト(または前駆体)に、オスモライトまたはオスモライト前駆体の効果を変化または増強させる(例えば、オスモライト分子の分解を阻害する)追加的化学基を連結することを含む。このような化学的修飾は、薬物またはプロドラッグと共に利用されてきており、当技術分野で公知である。(例えば、それぞれ本明細書に参考として援用されている、米国特許第4,479,932号および同第4,540,564号;Shek, E.ら、J. Med. Chem.19巻:113〜117頁(1976年);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci.67巻:1045〜1050頁(1978年);Bodor, N.ら、J. Med. Chem.26巻:313〜318頁(1983年);Bodor, N.ら、J. Pharm. Sci.75巻:29〜35頁(1986年)を参照されたい。)
本発明の化合物と組み合わせて使用するための適切な抗炎症剤として、コルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)、特にホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤が挙げられる。本発明において使用するためのコルチコステロイドの例として、経口もしくは吸入コルチコステロイドまたはそのプロドラッグが挙げられる。具体例としてこれらに限定されないがシクレソニド、デスイソブチリル−シクレソニド、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンおよびそのエステル(例えば、モメタゾンフロエート)、プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、6α,9α−ジフルオロ−17α−[(2−フラニルカルボニル)オキシ]−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−フルオロメチルエステル、6α,9α−ジフルオロ−11β−ヒドロキシ−16α−メチル−3−オキソ−17α−プロピオニルオキシ−アンドロスタ−1,4−ジエン−17β−カルボチオ酸S−(2−オキソ−テトラヒドロ−フラン−3S−イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17−プロピオン酸エステルまたは17,21−ジプロピオン酸エステル、フルオロメチルエステル、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、またはこれらの任意の組合せ、もしくはサブセットが挙げられる。本発明の化合物と組み合わせた製剤または使用に好ましいコルチコステロイドは、シクレソニド、デスイソブチリル−シクレソニド、ブデソニド、モメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、およびフロ酸フルチカゾン、またはこれらの任意の組合せもしくはサブセットから選択される。
【0165】
本発明において使用するためのNSAIDとして、これらに限定されないが、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、アミノフィリン、PDE4阻害剤、混合型PDE3/PDE4阻害剤または混合型PDE4/PDE7阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害剤(例えば、5LOおよびFLAP阻害剤)、一酸化窒素シンターゼ(iNOS)阻害剤、プロテアーゼ阻害剤(例えば、トリプターゼ阻害剤、好中球エラスターゼ阻害剤、およびメタロプロテアーゼ阻害剤)β2−インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト)またはサイトカイン合成阻害剤(例えば、プロスタグランジンD2(CRTh2)受容体アンタゴニスト)が挙げられる。本発明の方法による投与に対して適切なロイコトリエン変性剤の例として、モンテルカスト、ジレウトンおよびザフィルルカストが挙げられる。
【0166】
PDE4阻害剤、混合型PDE3/PDE4阻害剤または混合型PDE4/PDE7阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが公知である任意の化合物、またはPDE4阻害剤として作用することが発見されている任意の化合物であり得、そして、これらは選択的PDE4阻害剤である(すなわち、PDEファミリーの他のメンバーをあまり阻害しない化合物)であってよい。本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用のための具体的なPDE4阻害剤の例として、これらに限定されないがロフルミラスト、プマフェントリン、アロフィリン、シロミラスト、トフィミラスト、オグレミラスト、トラフェントリン、ピクラミラスト、イブジラスト、アプレミラスト、2−[4−[6,7−ジエトキシ−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ナフタレニル]−2−ピリジニル]−4−(3−ピリジニル)−1(2H)−フタラジノン(T2585)、N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジニル)−1−[(4−フルオロフェニル)メチル]−5−ヒドロキシ−α−オキソ−1H−インドール−3−アセトアミド(AWD−12−281、4−[(2R)−2−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−2−フェニルエチル]−ピリジン(CDP−840)、2−[4−[[[[2−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イルオキシ)−3−ピリジニル]カルボニル]アミノ]メチル]−3−フルオロフェノキシ]−(2R)−プロパン酸(CP−671305)、N−(4,6−ジメチル−2−ピリミジニル)−4−[4,5,6,7−テトラヒドロ−2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)−5−(4−メチル−1−ピペラジニル)−1H−インドール−1−イル]−ベンゼンスルホンアミド、(2E)−2−ブテンジオエート(YM−393059)、9−[(2−フルオロフェニル)メチル]−N−メチル−2−(トリフルオロメチル)−9H−プリン−6−アミン(NCS−613)、N−(2,5−ジクロロ−3−ピリジニル)−8−メトキシ−5−キノリンカルボキサミド(D−4418)、N−[(3R)−9−アミノ−3,4,6,7−テトラヒドロ−4−オキソ−1−フェニルピロロ[3,2,1−][1,4]ベンゾジアゼピン−3−イル]−3H−プリン−6−アミン(PD−168787)、3−[[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]メチル]−N−エチル−8−(1−メチルエチル)−3H−プリン−6−アミン塩酸塩(V−11294A)、N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−4−ピリジニル)−8−メトキシ−2−(トリフルオロメチル)−5−キノリンカルボキサミド(Sch351591)、5−[3−(シクロペンチルオキシ)−4−メトキシフェニル]−3−[(3−メチルフェニル)メチル]−(3S,5S)−2−ピペリジノン(HT−0712)、5−(2−((1R,4R)−4−アミノ−1−(3−(シクロペンチルオキシ)−4−メチオキシフェニル)シクロヘキシル)エチニル)−ピリミジン−2−アミン、cis−[4−シアノ−4−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン−1−オール]、および4−[6,7−ジエトキシ−2,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ナフタレニル]−1−(2−メトキシエチル)−2(1H)−ピリジノン(T−440)、およびこれらの任意の組合せまたはサブセットが挙げられる。
【0167】
ロイコトリエンアンタゴニストおよびロイコトリエン合成阻害剤として、ザフィルルカスト、モンテルカストナトリウム、ジレウトン、およびプランルカストが挙げられる。
【0168】
本発明の化合物と組み合わせた製剤または使用のための抗コリン作用剤として、これらに限定されないが、特にパンアンタゴニストおよびM
3受容体アンタゴニストを含む、ムスカリン受容体アンタゴニストが挙げられる。例示的化合物として、ベラドンナ植物のアルカロイド、例えばアトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンなど、およびその塩を含む様々な形態(例えば、無水アトロピン、硫酸アトロピン、アトロピン酸化物またはアトロピンHCl、硝酸メチルアトロピン、臭化水素酸ホマトロピン、メチル臭酸ホマトロピン、臭化水素酸ヒヨスチアミン、硫酸ヒヨスチアミン、臭化水素酸スコポラミン、スコポラミンメチルブロミド)、またはこれらの任意の組合せもしくはサブセットが挙げられる。
【0169】
本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用のための追加的抗コリン作用薬は、メタンテリン、臭化プロパンテリン、臭化メチルアニソトロピンもしくはValpin50、臭化アクリジニウム、グリコピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド、臭化メペンゾレート、塩化トリジヘキセチル、メチル硫酸ヘキソシクリウム、シクロペントレートHCl、トロピカミド、トリヘキシフェニジルCCl、ピレンゼピン、テレンゼピン、およびメトクトラミン、またはこれらの任意の組合せもしくはサブセットが挙げられる。
【0170】
本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用に好ましい抗コリン作用薬として、イプラトロピウム(臭化物)、オキシトロピウム(臭化物)およびチオトロピウム(臭化物)、またはこれらの任意の組合せもしくはサブセットが挙げられる。
【0171】
本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用のためのβ−アゴニストの例として、これらに限定されないが、サルメテロール、R−サルメテロール、およびこれらのキシナホ酸塩、アルブテロールまたはR−アルブテロール(遊離塩基または硫酸塩)、レバルブテロール、サルブタモール、ホルモテロール(フマル酸塩)、フェノテロール、プロカテロール、ピルブテロール、メタプロテレノール(metaprterenol)、テルブタリンおよびこれらの塩、ならびにこれらの任意の組合せまたはサブセットが挙げられる。
【0172】
本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用のためのP2Y2受容体アゴニストは、気道表面、特に鼻腔の気道表面による塩化物および水の分泌を刺激するのに有効な量で採用することができる。適切なP2Y2受容体アゴニストは、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6,264,975号の9〜10欄、ならびに米国特許第5,656,256号および同第5,292,498号にも記載されている。
【0173】
本発明の方法により投与することができるP2Y
2アゴニストとして、P2Y
2受容体アゴニスト、例えば、ATP、UTP、UTP−ガンマ−SおよびジヌクレオチドP2Y
2受容体アゴニスト(例えばデヌホソールまたはジクアホソル)または薬学的に許容されるその塩が挙げられる。P2Y
2受容体アゴニストは、気道表面、特に鼻腔の気道表面による塩化物および水の分泌を刺激するのに有効な量で通常含まれる。適切なP2Y
2受容体アゴニストは、これらに限定されないが、これらのそれぞれが本明細書に参考として援用されている、米国特許第6,264,975号、米国特許第5,656,256号、米国特許第5,292,498号、米国特許第6,348,589号、米国特許第6,818,629号、米国特許第6,977,246号、米国特許第7,223,744号、米国特許第7,531,525号および米国特許出願公開第2009/0306009号に記載されている。
【0174】
本明細書中の組合せ治療および製剤として、BAY60−6583、NECA(N−エチルカルボキサミドアデノシン)、(S)−PHPNECA、LUF−5835およびLUF−5845も含めたアデノシン2b(A2b)アゴニストを挙げることができる。使用することができるA2bアゴニストは、Volpiniら、Journal of Medicinal Chemistry、45巻(15号):3271〜9頁(2002年);Volpiniら、Current Pharmaceutical Design、8巻(26号):2285〜98頁(2002年);Baraldiら、Journal of Medicinal Chemistry、47巻(6号):Cacciariら、1434〜47頁(2004年);Mini Reviews in Medicinal Chemistry、5巻(12号):1053〜60頁(2005年12月);Baraldiら、Current Medicinal Chemistry、13巻(28号):3467〜82頁(2006年);Beukersら、Medicinal Research Reviews、26巻(5号):667〜98頁(2006年9月);Elzeinら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 16巻(2号):302〜6頁(2006年1月);Carottiら、Journal of Medicinal Chemistry、49巻(1号):282〜99頁(2006年1月);Tabriziら、Bioorganic & Medicinal Chemistry 16巻(5号):2419〜30頁(2008年3月);およびStefanachiら、Bioorganic & Medicinal Chemistry、16巻(6号):2852〜69頁(2008年3月)に記載されている。
【0175】
本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用のための他のENaC受容体遮断剤の例として、これらに限定されないがアミロライドおよびその誘導体、例えば、すべてParion Sciences,Inc.の米国特許第6858615号、ならびに国際公開第WO2003/070182号、第WO2004/073629号、第WO2005/018644号、第WO2006/022935号、第WO2007/018640号、および第WO2007/146869号に記載されているような化合物などが挙げられる。
【0176】
小分子ENaC遮断剤は、ENaCチャネル孔を通るナトリウム輸送を直接妨げることが可能である。本明細書中の組合せにおいて投与することができるENaC遮断剤として、これらに限定されないが、米国特許第6,858,614号、米国特許第6,858,615号、米国特許第6,903,105号、米国特許第6,995,160号、米国特許第7,026,325号、米国特許第7,030,117号、米国特許第7,064,129号、米国特許第7,186,833号、米国特許第7,189,719号、米国特許第7,192,958号、米国特許第7,192,959号、米国特許第7,241,766号、米国特許第7,247,636号、米国特許第7,247,637号、米国特許第7,317,013号、米国特許第7,332,496号、米国特許第7,345,044号、米国特許第7,368,447号、米国特許第7,368,450号、米国特許第7,368,451号、米国特許第7,375,107号、米国特許第7,399,766号、米国特許第7,410,968号、米国特許第7,820,678号、米国特許第7,842,697号、米国特許第7,868,010号、米国特許第7,875,619号により例示されているような、アミロライド、ベンザミル、フェナミル、およびアミロライド類似体が挙げられる。
【0177】
ENaCタンパク質分解は、ENaCを通してナトリウム輸送を増加させることが、十分に記載されている。プロテアーゼ阻害剤は、内因性気道プロテアーゼの活性を遮断し、これによってENaC切断および活性化を妨げる。ENaCを切断するタンパク質分解酵素として、フーリン、メプリン、マトリプターゼ、トリプシン、チャネル関連タンパク質分解酵素(CAP)、および好中球エラスターゼが挙げられる。本明細書中の組合せで投与することができる、これらのタンパク質分解酵素のタンパク質分解活性を阻害することができるプロテアーゼ阻害剤として、これらに限定されないが、カモスタット、プロスタシン、フーリン、アプロチニン、ロイペプチン、およびトリプシン阻害剤が挙げられる。
【0178】
本明細書中の組合せとして、1種または複数種の適切な核酸(またはポリ核酸)が挙げることができ、これらの核酸として、これらに限定されないが、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、miRNA、miRNA模倣体、アンタゴミール、リボザイム、アプタマー、およびデコイオリゴヌクレオチド核酸が挙げられる。例えば、米国特許出願公開第20100316628号を参照されたい。一般的に、このような核酸は、17または19個のヌクレオチドの長さから、23、25、または27個のヌクレオチドの長さまで、またはそれより多いヌクレオチドの長さまでであってよい。例として、これらに限定されないが、米国特許第7,517,865号および米国特許出願公開第20100215588号;同第20100316628号;同第20110008366号;および同第20110104255号に記載されているものが挙げられる。一般的に、siRNAは、17または19個のヌクレオチドの長さから、23、25、または27個のヌクレオチドの長さまで、またはそれより多いヌクレオチドの長さまでである。
【0179】
本発明の組合せで投与することができるCFTR活性をモジュレートする化合物として、これらに限定されないが、US2009/0246137A1、US2009/0253736A1、US2010/0227888A1、特許第7,645,789号、US2009/0246820A1、US2009/0221597A1、US2010/0184739A1、US2010/0130547A1、US2010/0168094A1および交付済み特許:第7,553,855号;US7,772,259B2、US7,405,233B2、US2009/0203752、US7,499,570に記載されている化合物が挙げられる。
【0180】
本明細書中の組合せおよび方法において有用な粘液またはムチン変性剤として、還元剤、界面活性剤および洗浄剤、去痰剤、およびデオキシリボヌクレアーゼ剤が挙げられる。
【0181】
ムチンタンパク質は、共有結合(ジスルフィド)および非共有結合の形成を介して高分子量ポリマーへと組織化する。還元剤による共有結合の破壊は、インビトロで粘液の粘弾性特性を低減させる十分に確立された方法であり、インビボで粘液接着性を最小限に抑え、クリアランスを改善することが予測される。還元剤は、インビトロで粘液粘度を減少させることが周知であり、一般的に痰試料の処理の補助として使用される
8。還元剤の例として、タンパク質ジスルフィド結合を還元することが可能な硫化物含有分子またはホスフィンが挙げられ、これらの分子またはホスフィンとして、これらに限定されないが、N−アセチルシステイン、N−アシステリン(N−acystelyn)、カルボシステイン、グルタチオン、ジチオトレイトール、チオレドキシン含有タンパク質、およびトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンが挙げられる。
【0182】
N−アセチルシステイン(NAC)は、粘着性のまたは増粘した気道粘液を緩めるために、胸部理学療法と併せて使用することが認可されている
{12}。CFおよびCOPDにおける経口のまたは吸入されたNACの効果を評価する臨床研究では、粘液のレオロジー特性の改善および肺機能を改善させる傾向、ならびに肺の増悪の減少が報告されている
9。しかし、圧倒的多数の臨床データが、NACは、経口的または吸入により投与された場合、気道粘液閉塞の処置に対して、最善の場合でも効果がわずかである治療剤であることを示唆している。NACの使用についての既存の臨床文献に関する最近のCochraneの総説は、CFに対するNACの効力を支持する証拠を何も見出さなかった
10。NACのわずかな臨床利点を反映している。
【0183】
NACは、気道表面上で部分的にしか活性でない、比較的非効率的な還元剤である。インビトロで、主なゲル形成気道ムチンであるMuc5Bを完全に低減させるには、極めて高濃度のNAC(200mMまたは3.26%)が必要である。さらに、気道表面のpH環境において(CFおよびCOPDの気道においてpH6.0〜7.2の範囲と測定)
11、NACは、ほんの部分的にだけ、負に帯電したチオレートとしてその反応性状態で存在する。したがって、臨床では、NACは極めて高濃度で投与される。しかし、現行のエアゾール剤デバイスでは、通常使用されている比較的に短時間なドメイン(7.5〜15分間)内で、末梢気道表面上の治療的濃度である20%のMucomyst溶液さえも達成することができないことが予測される。
【0184】
非臨床研究において、吸入で投与した
14C標識したNACは、6〜36分間の範囲の半減期で、肺からの急速な排出を示す
12。
【0185】
NACは、高度に濃縮した、高浸透圧の吸入溶液(20%または1.22モル)として投与され、気管支収縮および咳を引き起こすことが報告されている。多くの場合、NACは、この剤の耐性を改善するために気管支拡張剤と共に投与されることが推奨されている。
【0186】
したがって、NACなどの還元剤は、ボーラスエアゾール剤投与に十分に適してはいない。しかし、肺のエアゾール剤注入による還元剤の送達は、吸入溶液中の還元剤の濃度の減少を可能にしながら(耐性の増加が予測される)、有効性を増加させることが予想される。
【0187】
界面活性剤および洗浄剤は、粘液粘弾性を減少させ、粘液排除能力を改善することが示されている展着剤である。界面活性剤の例として、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、PF、パルミチン酸、パルミトイル−オレオイルホスファチジルグリセロール、界面活性剤関連タンパク質(例えばSP−A、B、またはC)が挙げられるか、または動物由来(例えばウシもしくは子牛の肺洗浄物からのもの、または細かく切ったブタの肺から抽出したもの)もしくはこれらの組合せであってよい。例えば、米国特許第7,897,577号;同第5,876,970号;同第5,614,216号;同第5,100,806号;および同第4,312,860号を参照されたい。界面活性剤製品の例として、Exosurf(登録商標)Neonatal(パルミチン酸コルホスセリル)、Pumactant(登録商標)(DPPCおよびタマゴホスファチジルグリセロール)、KL−4界面活性剤、Venticute(登録商標)(lusulptide、rSP−C界面活性剤)、Alveofact(登録商標)(ボバクタント)、Curosurf(登録商標)(ポラクタントアルファ)、Infasurf(登録商標)(カルファクタント)、Newfacten(登録商標)(修飾したウシ界面活性剤)、Surface(登録商標)、Natsurf(商標)(非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤)およびSurvanta(登録商標)(ベラクタント)が挙げられる。洗浄剤の例として、これらに限定されないが、Tween−80およびtriton−X100が挙げられる。
【0188】
これに限定されないが、グアイフェネシンを含めた任意の適切な去痰剤を使用することができる(例えば、米国特許第7,345,051号を参照されたい)。これに限定されないがDornase Alphaを含めた任意の適切なデオキシリボヌクレアーゼを使用することができる。(例えば、米国特許第7,482,024号を参照されたい)。
【0189】
キナーゼ阻害剤の例として、NFkB、PI3K(ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ)、p38−MAPキナーゼおよびRhoキナーゼの阻害剤が挙げられる。
【0190】
本発明の化合物と組み合わせた製剤および使用のための抗感染剤として、抗ウイルス剤および抗生物質が挙げられる。適切な抗ウイルス剤としてTamiflu(登録商標)(オセルタミビル)およびRelenza(登録商標)(ザナミビル)が挙げられる。適切な抗生物質の例として、これらに限定されないがアズトレオナム(アルギニンまたはリシン)、ホスホマイシン、およびアミノグリコシド、例えばトブラマイシンなど、または任意のその組合せもしくはサブセットが挙げられる。本明細書中で使用することができる追加的抗感染剤として、アミノグリコシド、ダプトマイシン、フルオロキノロン、ケトライド、カルバペネム、セファロスポリン、エリスロマイシン、リネゾリド、ペニシリン、アジスロマイシン、クリンダマイシン、オキサゾリジノン、テトラサイクリン、およびバンコマイシンが挙げられる。
【0191】
有用なカルバペネム(carbapenam)抗生物質の例は、イミペネム(impenam)、パニペネム(panipenam)、メロペネム(meropenam)、ビアペネム(biapenam)、MK−826(L−749,345)、DA−1131、ER−35786、レナペネム(lenapenam)、S−4661、CS−834(R−95867のプロドラッグ)、KR−21056(KR−21012のプロドラッグ)、L−084(LJC11036のプロドラッグ)およびセフトラザン(CXA−101)である。
【0192】
本明細書中の化合物と組み合わせた製剤および使用のための抗ヒスタミン剤(すなわち、H1−受容体アンタゴニスト)として、これらに限定されないが:エタノールアミン、例えばジフェンヒドラミンHCl、マレイン酸カルビノキサミン、ドキシラミン、フマル酸クレマスチン、ジフェニルヒドラミンHClおよびジメンヒドリネートなど;エチレンジアミン、例えばマレイン酸ピリラミン(メピラミン(metpyramine))、トリペレナミンHCl、クエン酸トリペレナミン、およびアンタゾリンなど;アルキルアミン、例えばフェニラミン、クロルフェニラミン(chloropheniramine)、ブロモフェニラミン、デキスクロルフェニラミン、トリプロリジンおよびアクリバスチンなど;ピリジン、例えばメタピリレンなど、ピペラジン、例えばヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHClおよびセチリジンHClなど;ピペリジン、例えば、アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジン、デスカルボエトキシロラタジン、テルフェナジン、およびフェキソフェナジンHClなど;三環系および四環系物質、例えばプロメタジン、クロルプロメタジン、トリメプラジンおよびアザタジンなど;ならびにアゼラスチンHCl、またはこれらの任意の組合せもしくはサブセットが挙げられる。
【0193】
本明細書中の組合せおよび方法における使用に対して適切な他のクラスの治療剤の例として、抗ウイルス剤、例えばリバビリンなど、抗真菌剤、例えばアムホテリシン、イントラコナゾールおよびボリコナゾールなど、抗拒絶薬、例えばシクロスポリン、タクロリムスおよびシロリムスなど、気管支拡張剤(これらに限定されないが、抗コリン作用剤、例えばアトロベント、siRNA、遺伝子治療ベクター、アプタマー、エンドセリン受容体アンタゴニスト、アルファ−1−アンチトリプシンおよびプロスタサイクリンを含む)が挙げられる。
【0194】
上に記載された処置方法および使用において、本発明の化合物は、単独で、または1種もしくは複数種の他の治療活性剤と組み合わせて採用してもよい。通常、本発明の化合物で処置される疾患または状態において治療的効果を有する任意の治療活性剤を、本発明の化合物と組み合わせて利用することができるが、ただし、特定の治療活性剤は、本発明の化合物を利用する治療と適合性があるものとする。本発明の化合物と組み合わせて使用するのに適切な典型的な治療活性剤として、上に記載されている剤が挙げられる。
【0195】
好ましい一実施形態では、本発明の化合物は、1種もしくは複数種のオスモライト、特に高
張食塩水またはマンニトールと組み合わせて使用される。
【0196】
別の態様では、本発明は、上に記載のような処置のための方法および使用を提供し、この方法および使用は、有効量の本発明の化合物および少なくとも1種の他の治療活性剤を投与することを含む。本発明の化合物および少なくとも1種の追加的治療活性剤を、任意の治療的に適当な組合せで、同時にまたは逐次的に組み合わせて用いてもよい。本発明の化合物を、1種または複数種の他の治療活性剤と共に投与することは、1)例えば上記の組成物などの単一の医薬組成物で、または2)別々の医薬組成物のそれぞれが構成要素である活性成分の1種もしくは複数種を含む、別々の医薬組成物で、同時に投与することによって行うことができる。組合せの構成要素は、本発明の化合物を1番目に投与し、他の治療活性剤を2番目に投与するか、またはこの逆である、逐次的な方式により別々に投与することができる。
【0197】
本発明の化合物が1種または複数種のオスモライトと組み合わせて投与される実施形態では、各構成要素の投与は好ましくは同時であり、単一組成物または別々の組成物で投与されてもよい。一実施形態では、本発明の化合物および1種または複数種のオスモライトは、経気管支鏡洗浄法により同時に投与される。別の実施形態では、本発明の化合物および1種または複数種のオスモライトは、吸入により同時に投与される。
【0198】
本発明の化合物が別の治療活性剤と組み合わせて使用される場合、各化合物の用量は、本発明の化合物が単独で使用される場合と異なり得る。適当な用量は、当業者により容易に決定されることになる。本発明の化合物、他の治療活性剤(複数可)の適当な用量および投与の相対的タイミングは、所望の組み合わせられた治療的効果を達成するように選択され、担当の医師、臨床医または獣医の専門的知識および裁量の範囲内である。
【0199】
実験の手順
本発明はまた、以下に詳細に記載されるような、本発明の化合物を調製するためのプロセスおよびこのようなプロセスに有用な合成中間体を提供する。
【0200】
特定の略語および頭字語が、合成プロセスおよび実験の詳細を記載するのに使用される。これらの大部分が当業者には理解されているが、以下の表は、これら略語および頭字語の多くのリストを含有する。
【表A】
【0201】
式Iの化合物を、当技術分野で公知の技術を使用して合成することができる。代表的な合成手順を、以下のスキーム1に図示する。
【0203】
【化17】
これらの手順は、例えば、E. J. Cragoe、「Amiloride and Its Analogs」の「The Synthesis of Amiloride and Its Analogs」(第3章)、25〜36頁に記載されている。アミロライド類似体を調製するための他のプロセスは、例えば、Cragoeへの米国特許第3,318,813号、特に同第‘813号特許の方法A、B、C、およびDにおいて記載されている。本発明の化合物の調製に対して適応させることができるさらなる他のプロセスが、すべてParion Sciences,Inc.に譲渡された、国際公開第WO2003/07182号、第WO2005/108644号、第WO2005/022935号、US7,064,129、US6,858,615、US6,903,105、第WO2004/073629号、第WO2007/146869号、および第WO2007/018640号に記載されている。
【0204】
メチルN’−3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニルカルバミミドチオエート(2)の調製は、WO2009/074575において見ることができる。
【0205】
一般的に、本発明の化合物は、式2の化合物を式3のアミンで処理することによって都合よく調製することができる。より具体的には、式2の化合物を、適切な溶媒(例えば、メタノール、エタノール、またはテトラヒドロフランなど)および塩基(例えば、トリエチルアミン(TEA)、またはジイソプロピルエチルアミン(di−isoproylethylamine)(DIPEA))の中で、高温、例えば、70℃に加熱しながら、式3のアミンで処理する。さらなる精製、立体異性体の分割、結晶化および/または塩形態の調製を、慣用的な技術を使用して行ってもよい。
【0206】
当業者には明らかなように、ある特定の場合には、合成における開始化合物または中間体化合物は、代替反応部位を提供する他の官能基を保有し得る。このような官能基での妨害は、適当な保護基、例えばアミンまたはアルコール保護基などの利用、および適用できる場合には、合成ステップに適当に優先順位をつけることによって回避することができる。適切な保護基は当業者には明らかである。このような保護基を組み込み、除去するための方法は、当技術分野で周知であり、このような慣用的な技術は、本発明のプロセスにおいても採用することができる。
【0207】
以下の具体例は、例示のみの目的で本明細書中に提供され、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲により定義される。
【0208】
物質および方法。すべての試薬および溶媒は、Aldrich Chemical Corp.Chem−Impex International Inc.およびTCI Chemical Industry Co.Ltdから購入した。NMRスペクトルは、Bruker AC 400(400MHzでの
1H NMRおよび100MHzでの
13C NMR)またはBruker AC 300(300MHzでの
1H NMRおよび75MHzでの
13C NMR)のいずれかで得た。プロトンスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを基準とし、炭素スペクトルは、CDCl
3、CD
3OD、またはDMSO−d
6を基準とした(特に明記しない限り、AldrichまたはCambridge Isotope Laboratoriesから購入)。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲルカラム(Redi Sep.Rf、Teledyne Isco)または逆相カラム(高性能C18 Goldカラム)を含むコンビフラッシュシステム(コンビフラッシュRf、Teledyne Isco)上で実施した。ESI質量スペクトルをShimadzu LCMS−2010 EV質量分析器上で得た。Shimadzu Prominence HPLCシステム上の(特に明記しない限り)220nmで検出されるWaters XTerra MS C18 5μm 4.6×150mm Analytical Columnを使用して、HPLC分析結果を得た。毎分1.0mLの流速で以下の時間プログラムを使用した。
【0209】
【化18】
Shimadzu Prominence UFLCシステム上の(特に明記しない限り)220nmで検出されるWaters ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm 2.1×100mm Analytical Columnを使用してUPLC分析結果を得た。毎分0.3mLの流速で、以下の時間プログラムを使用した。
【0210】
【化19】
本明細書中で以前に定義されたような、化合物(Ia)である3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0211】
【化20】
を調製するための方法であって、
(i)式14の化合物を、
【0212】
【化21】
式15の保護された糖である(4aR,6S,7R,8R,8aS)−2−フェニルヘキサヒドロピラノ[3,2−d][1,3]ジオキシン−6,7,8−トリオールで、
【0213】
【化22】
還元剤の存在下で処理し、その後、ヘキサナールの処理により化合物16であるベンジル4−(4−(2−(((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−フェニル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピル)(ヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチルカルバメート
【0214】
【化23】
を形成するステップと、
(ii)化合物16を触媒水素化に供することによって、化合物17である(1R,2S)−3−((2−(4−(4−アミノブチル)フェノキシ)エチル)(ヘキシル)アミノ)−1−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−フェニル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロパン−1,2−ジオール
【0215】
【化24】
を形成するステップと、
(iii)化合物17を、化合物2であるメチル3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニルカルバミミドチオエートと、塩基の存在下で縮合させることによって、19である3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−フェニル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピル)(ヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド
【0216】
【化25】
を形成するステップと、
(iv)化合物19を酸の存在下で加水分解することによって、(Ia)を形成するステップと
を含む方法もまた本明細書中で提供される(スキーム2)。
【0217】
代替のプロセスは、上記式16の化合物を、化合物27で置き換え、続いて、直前に記載の水素化、縮合、および加水分解のステップを経て化合物(Ia)を形成するステップを含む。
【0218】
同様に本明細書中(スキーム3)に提供されているのは、本明細書中で以前に定義されたような、化合物(Ia)である3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドを調製するための代替法である。
【0219】
スキーム2. 3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの調製
【0220】
【化26】
スキーム3. 3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの代替の調製
【実施例】
【0222】
本発明はまた、本明細書中の方法により調製した化合物、またはこの化合物の薬学的に許容される塩を含む。
【0223】
Iaである3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの合成
ステップ1
ベンジル4−(4−(3−(tert−ブチルオキシカルボニルアミノ)プロポキシ)フェニル)ブチルカルバメート(化合物13)の調製:ベンジル4−(4−ヒドロキシフェニル)ブチルカルバメート(11、60.0g、300mmol)の乾燥THF(600mL)溶液に、N−Bocエタノールアミン(12、38.7g、300mmol)、Ph
3P(62.9g、300mmol)およびDIAD(48.6g、300mmol)を0℃で添加し、次いで反応混合物を室温に温め、終夜撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによって(シリカゲル、15:85EA/ヘキサン)、黄色の固体として、所望の化合物13を生成した(50.0g、57%):
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ 7.35 (m, 5H), 7.10 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.10 (s, J = 4.0 Hz, 2H), 4.0 (m, 2H), 3.5 (q, 2H), 3.2 (q, 2H), 2.55 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 1.60 (m, 2H), 1.55 (m, 2H), 1.45 (s, 9H)。
【0224】
ステップ2
ベンジル4−(4−(2−アミノエトキシ)フェニル)ブチルカルバメート塩酸塩(14)の調製:化合物13(50.0g、112mmol)をジオキサン中4NのHCl(250mL)に室温で溶解させ、溶液を1時間撹拌した。濃縮後、残渣をMTBE(500mL)中に懸濁させ、0.5時間撹拌した。固体を濾過して除去することによって、白色の固体として塩酸塩14を生成する(40.0g、83%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.33 (m, 5H), 7.10 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.88 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 5.05 (s, 2H), 4.18 (t, 2H), 3.39 (m, 2H), 3.14 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.56 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 1.57 (m, 4H)。
【0225】
ステップ3
ベンジル4−(4−(2−(((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−フェニル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピル)(ヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチルカルバメート(16)の調製:MeOH(150mL)およびAcOH(18.8g、314.8mmol)中の塩酸塩14(13.5g、39.35mmol)およびトリオール15(10.5g、39.35mmol)の溶液を室温で2時間撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(6.1g、98.37mmol)を添加し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。追加的トリオール15(5.2g、19.67mmol)を添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。出発物質14が完全に消費された後、ヘキサナール(5.9g、59.03mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を飽和Na
2CO
3(5.0mL)で洗浄し、MeOHと共に共沸させ、カラムクロマトグラフィーで精製することによって(シリカゲル、10:1CH
2Cl
2/MeOH)、オフホワイト色の固体として、化合物16を生成した(12.2g、2ステップで46%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.45−7.44 (m, 3H), 7.31−7.29 (m, 9H), 7.05 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.79 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.50 (s, 1H), 5.05 (s, 2H), 4.25−4.18 (m, 2H), 4.03−3.87 (m, 6H), 3.78−3.55 (m, 3H), 3.13−2.96 (m, 6H), 2.85−2.69 (m, 3H), 2.53 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 1.58−1.48 (m, 6H), 1.23 (br s, 6H), 0.86 (t, J = 6.1 Hz, 3H)。
【0226】
ステップ4
(1R,2S)−3−((2−(4−(4−アミノブチル)フェノキシ)エチル)(ヘキシル)アミノ)−1−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−フェニル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロパン−1,2−ジオール酢酸塩(17)の調製:
EtOH/AcOH(5:1、120mL)中のカルバメート16(12.2g、17.99mmol)および10%Pd/C(3.66g)の懸濁液を、終夜室温で水素化条件(1atm)に供した。反応混合物を、セライトで濾過し、EtOHで洗浄した。濾液を真空で濃縮することによって、無色の油状物として酢酸塩17を生成した(9.40g、96%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.48−7.44 (m, 2H), 7.32−7.30 (m, 3H), 7.11 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 5.51 (s, 1H), 4.26−4.10 (m, 3H), 3.95−3.91 (m, 2H), 3.78 (dd, J = 1.8, 9.3 Hz, 1H), 3.60 (t, J = 10.4, 1H), 3.23−3.03 (m, 2H), 2.96−2.87 (m, 3H), 2.61−2.59 (m, 2H), 1.67−1.57 (m, 6H), 1.31−1.25 (br s, 6H), 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 3H)。
【0227】
ステップ5
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−フェニル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピル)(ヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド(19)の調製
酢酸塩7(9.40g、17.27mmol)およびメチル3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニルカルバミミドチオエートヨウ化水素酸塩(18、7.20g、27.64mmol)のEtOH(75mL)溶液に、DIPEA(17.8g、138.16mmol)を室温で添加した。封管内で、反応混合物を、70℃で2時間加熱し、次いで室温に冷却し、真空で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによって(シリカゲル、9:1CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2CHCl
3/MeOH/NH
4OH)、黄色の固体としてカルボキサミド19を生成した(9.20g、70%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.46−7.43 (m, 2H), 7.30−7.28(m, 3H), 7.07 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.79 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 5.48 (s, 1H), 4.22 (dd, J = 3.9, 7.8 Hz, 1H), 4.06−3.88 (m, 5H), 3.75 (dd, J= 1.5, 6.9 Hz, 1H), 3.57 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 3.25 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.93−2.83 (m, 3H), 2.68−2.56 (m, 5H), 1.70−1.64 (m, 4H), 1.44−1.43 (m, 2H), 1.22 (m, 6H), 0.85 (t, J = 8.1 Hz, 3H)。
【0228】
ステップ6
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩(Ia)の調製:カルボキサミド19(9.20g、12.16mmol)のEtOH(30mL)溶液に、4Nの水性HCl(95mL)を室温で添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、残渣を逆相カラムクロマトグラフィーで精製し、凍結乾燥することによって、黄色の吸湿性固体として塩酸塩Iaを生成した(6.60g、81%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.17 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.94 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.36 (br s, 2 H), 4.21−4.19 (m, 1H), 3.84−3.61 (m, 7H), 3.46−3.30 (m, 5H), 2.64 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.80−1.69 (m, 6H), 1.36 (br s, 6H), 0.91 (t, J = 6.6 Hz, 3H);ESI−MS m/z 669[C
30H
49ClN
8O
7+H]
+;分析値(C
30H
49ClN
8O
7・2HCl・H
2O).計算値:C 47.40、H 7.03、N 14.74;測定値:C 47.11、H 7.06、N 14.54。
【0229】
Iである3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの代替の合成
ステップ1
ベンジル4−(4−(3−((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−メチル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピルアミノ)プロポキシ)フェニル)ブチルカルバメート(26)の調製:
塩酸塩14(155mg、0.41mmol)およびトリオール15(84mg、0.41mmol)のMeOH(5.0mL)溶液を、室温で0.5時間撹拌し、次いでAcOH(0.036mL、0.6mmol)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(43mg、0.6mmol)を添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を飽和Na
2CO
3(5.0mL)で洗浄し、MeOHと共に共沸させ、カラムクロマトグラフィーで精製することによって(シリカゲル、10:1CH
2Cl
2/MeOH、10:1:0.1CHCl
3/MeOH/NH
4OH)、白色の粘着性固体としてカルバメート26を生成した(163mg、75%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.34−7.30 (m, 5H), 7.08−7.05 (m, 2H), 6.85−6.82 (m, 2H), 5.06 (s, 2H), 4.70−4.67 (m, 1H), 4.08−3.96 (m, 4H), 3.82−3.76 (m, 2H), 3.49−3.46 (m, 1H), 3.14−3.10 (m, 2H), 3.01−2.79 (m, 4H), 2.65−2.45 (m, 2H), 2.05−2.01 (m, 2H), 1.59−1.49 (m, 4H), 1.27 (d, J = 4.8 Hz, 3H)。
【0230】
ステップ2
ベンジル4−(4−(2−(((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−メチル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピル)(ヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチルカルバメート(27)の調製:カルバメート26(1.02g、1.90mmol)、ヘキサナール(380mg、3.80mmol)、AcOH(0.33mL、5.70mmol)およびシアノ水素化ホウ素ナトリウム(410mg、5.70mmol)のMeOH(30mL)溶液を、室温で16時間撹拌した。溶媒を真空で除去した。残渣を飽和Na
2CO
3(30mL)で洗浄し、MeOHと共に共沸させ、カラムクロマトグラフィーで精製することによって(シリカゲル、10:1CH
2Cl
2/MeOH)、白色の粘着性固体としてカルバメート27を生成した(990mg、84%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.35−7.31 (m, 5H), 7.06 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.81 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.08 (s, 2H), 4.80 (br s, 1H), 4.69−4.66 (m, 1H), 4.12 (dd, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 4.05−3.98 (m, 3H), 3.84−3.76 (m, 2H), 3.54−3.48 (m, 1H), 3.38 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 3.20−2.96 (m, 4H), 2.83 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 2.73−2.64 (m, 2H), 2.56 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.63−1.50 (m, 6H), 1.32 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 1.27−1.24 (m, 6H), 0.87 (d, J = 6.6 Hz, 3H)。
【0231】
ステップ3
(1R,2S)−3−((2−(4−(4−アミノブチル)フェノキシ)エチル)(ヘキシル)アミノ)−1−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−メチル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロパン−1,2−ジオール酢酸塩(28)の調製:MeOH/AcOH(5:1、60mL)中のカルバメート27(890mg、1.44mmol)および10%Pd/C(400mg)の懸濁液を、室温で6時間、水素化条件(1atm)に供した。反応混合物を、セライトで濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を真空で濃縮し、エーテルから粉砕することによって、白色の粘着性固体として酢酸塩28を生成した(782mg、90%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.09 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 4.69−4.67 (m, 1H), 4.00−3.85 (m, 1H), 3.84−3.76 (m, 2H), 3.53−3.51 (m, 1H), 3.38 (t, J = 10.5 Hz, 1H), 2.98−2.59 (m, 10H), 1.96 (s, 13H), 1.67−1.47 (m, 6H), 1.40−1.27 (m, 6H), 1.26 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 0.88 (d, J = 6.3 Hz, 3H)。
【0232】
ステップ4
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(((2S,3R)−2,3−ジヒドロキシ−3−((4R,5R)−5−ヒドロキシ−2−メチル−1,3−ジオキサン−4−イル)プロピル)(ヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド(20)の調製:
酢酸塩28(189mg、0.313mmol)およびメチル3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニルカルバミミドチオエートヨウ化水素酸塩(18、192mg、0.502mmol)のEtOH(8mL)溶液に、室温でDIPEA(0.42mL、2.50mmol)を添加した。封管内で、反応混合物を70℃で2時間加熱し、次いで室温に冷却し、真空で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することによって(シリカゲル、9:1CH
2Cl
2/MeOH、80:18:2CHCl
3/MeOH/NH
4OH)、黄色の固体として、カルボキサミド20を生成した(142mg、65%):
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 7.10 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.84 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.66 (q, J = 5.1 Hz, 1H), 4.06−4.01 (m, 3H), 3.94−3.89 (m, 1H), 3.82−3.74 (m, 2H), 3.49 (dd, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 2.96−2.78 (m, 3H), 2.67−2.61 (m, 5H), 1.68−1.67 (m, 4H), 1.50−1.48 (m, 2H), 1.29 (br s, 6H), 1.25 (d, J = 5.1 Hz, 3H), 0.87 (t, J = 6.9 Hz, 3H)。
【0233】
ステップ5
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩(Ia)の調製
カルボキサミド20(400mg、0.57mmol)のEtOH(5mL)溶液に、4Nの水性HCl(15mL)を室温で添加し、反応混合物を55℃で24時間加熱した。濃縮した後、残渣を4Nの水性HCl(15mL)中に溶解させ、65℃で16時間加熱した。反応混合物を濃縮し、EtOH/Et
2Oから粉砕し、分取TLCで再精製し、凍結乾燥することによって、黄色の吸湿性固体として、塩酸塩(Ia)を生成した(354mg、83%):
1H NMR (300 MHz, D
2O) δ 7.18 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.30 (br s, 2 H), 4.19−4.16 (m, 1H), 3.76−3.55 (m, 7H), 3.39−3.24 (m, 6H), 3.57 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 1.65−1.64 (m, 6H), 1.30−1.19 (m, 6H), 0.78−0.75 (m, 3H);ESI−MS m/z 669[C
30H
49ClN
8O
7+H]
+。
【0234】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド(1aの遊離塩基)の調製
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩(12.51g)を、150mLのH
2O中に溶解させ、NaOH(0.1M水性、435mL)で処理し、撹拌することによって、粘着性沈殿物を得た。液体(pH約11)を、デカントして濾過漏斗を通した(大部分の物質がフラスコ側面に接着した)。残渣をH
2O(2×300mL)で処理し、撹拌し、同様のやり方でデカント/濾過した。残りの残渣をCH
3CN/H
2O/MeOH中に懸濁させ、濃縮することによって、黄色−琥珀色の固体、9.55gを得た。ESI−MS m/z 669[C
30H
49ClN
8O
7+H]
+、224nmでの純度89%、272nmでの純度90%、304nmでの純度82%、MSトレースで63%。この粗生成物をイソプロパノール(100〜150mL)と共に70℃で15分間加熱し、次いで温かいまま濾過した。固体をイソプロパノールでもう2回同様に処理し、毎回30分間加熱し、混合物を冷却させ(2時間〜O/N)、濾過した。生成した固体を乾燥させることによって、7.365gの黄色−琥珀色の非晶質固体を得た。m.p.:133.1〜135.6℃(遊離塩基として、11.0mmolが生成)。
1H NMR (400 MHz, dmso) δ 9.31 − 7.34 (m, 4H), 7.10 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.83 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.61 (br. s, 3H), 4.76 − 4.09 (m, 5H), 3.98 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.71 − 3.62 (m, 2H), 3.59 (dd, J = 10.8, 3.4 Hz, 1H), 3.54 − 3.46 (m, 1H), 3.43 (dd, J = 7.9, 1.3 Hz, 1H), 3.38 (dd, J = 10.8, 5.9 Hz, 1H), 3.15 (br. s, 2H), 2.92 − 2.76 (m, 2H), 2.66 (dd, J = 13.1, 5.2 Hz, 1H), 2.58 − 2.51 (m, 4H), 2.46 (dd, J = 13.1, 6.5 Hz, 1H), 1.66 − 1.45 (m, 4H), 1.45 − 1.31 (m, 2H), 1.31 − 1.09 (m, 6H), 0.90 − 0.76 (m, 3H).
13C NMR (101 MHz, dmso) δ 173.27, 160.96, 156.48, 154.68, 151.14, 133.70, 129.05, 119.12, 117.53, 114.14, 72.23, 71.37, 70.60, 70.04, 65.74, 63.34, 57.39, 54.72, 52.86, 40.10, 33.72, 31.15, 28.37, 28.09, 26.38, 26.36, 22.02, 13.84.ESI−MS m/z 669[C
30H
49CIN
8O
7+H]
+。
【0235】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩の調製
32.8mg(0.049mmol)の3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド、メタノール中の1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の0.3M溶液(164μL)(0.049mmolの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、および約0.33mLのメタノールの混合物を85℃に設定したホットプレート上で、すべての固体が溶解するまで温めた。溶液を周辺温度に冷却させた。溶液を冷蔵庫(約5℃)内に置き、終夜静置させておき、この時間の間に結晶化が起きた。液体をデカントし、固体を乾燥空気流の中で乾燥させることによって、29.5mg(62%収率)の3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩を得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO) 8.2 (m, 1H), 7.7 (m, 2H), 7.4 (d, 1H), 7.3 (d, 1H), 7.1 (m, 2H), 6.95 (m, 1H), 6.85 (m, 2H), 4.6 − 4.2 (m, 2H), 4.0 (m, 2H), 3.8 − 3.6 (m, 2H), 3.6−3.2 (m, 6H), 2.9 − 2.5 (m, 6H), 1.6 (m, 4H), 1.4 (m, 2H), 1.2 (m, 6H), 0.83 (m, 3H) ppm。
【0236】
3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩の調製
105.3mg(0.157mmol)の3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド、メタノール中の1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の0.3M溶液(525μL)(0.158mmolの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、および約1mLのメタノールの混合物を、85℃に設定したホットプレート上で、すべての固体が溶解するまで温めた。溶液を周辺温度に冷却させ、冷蔵庫(約5℃)内に置き、約20分後、これが濁り、種ができた。約2時間後、固体が存在した。撹拌棒を混合物に添加し、これを冷蔵庫内で終夜撹拌し、この時間の間に、溶液の粘度がとても高くなった。もう1.5mLのメタノールを添加し、スラリーを冷蔵庫内で終夜撹拌した。混合物を遠心分離し、液体をデカントし、固体を乾燥空気流の中で乾燥させることによって、74mg(55%収率)の3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩を得た。
【0237】
化合物(Ia)である3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドの薬理学
アッセイ1.ナトリウムチャネル遮断活性および可逆性のインビトロ測定
本発明の化合物の作用機序および/または作用強度を評価するために使用した1つのアッセイは、ウッシングチャンバーに固定した気道上皮単分子層を使用して、短絡回路電流(I
SC)下で測定した気道上皮ナトリウム流の内腔薬物阻害の測定を含む。細胞は、切除したばかりのヒト、イヌ、ヒツジまたはげっ歯類の気道から得る。このアッセイは、Hirsh, A.J.、Zhang, J.、Zamurs, A. ら、Pharmacological properties of N−(3,5−diamino−6−chloropyrazine−2−carbonyl)−N’−4−[4−(2,3−dihydroxypropoxy)phenyl]butyl−guanidine methanesulfonate (552−02)、a novel epithelial sodium channel blocker with potential clinical efficacy for CF lung disease. J. Pharmacol. Exp. Ther.2008年;325巻(1号):77〜88頁に詳細に記載されている。
【0238】
ENaCを通る経細胞ナトリウム運動の阻害を、改変したウッシングチャンバーに固定した、極性化した気管支の上皮細胞単分子層を使用して測定した。空気−液体界面を使用して培養したイヌまたはヒト気管支上皮細胞の初代培養細胞を電圧固定条件下でテストした。短絡回路電流(I
SC)を、作用強度を評価するための経上皮ナトリウム輸送の指数として測定した。
【0239】
化合物(Ia)である3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドは、経細胞ナトリウム輸送の強力な阻害剤であり、アミロライドと比べて、イヌ気管支上皮細胞(CBE)では約60倍、そしてヒト気管支上皮細胞(HBE)では約160倍の活性があった(
図1)。
【0240】
CBEでは、化合物(Ia)は、13.2±8.0nMのIC
50を有し、HBEでは、化合物(Ia)は、2.4±1.8nMのIC
50を有した(表1)。
【0241】
【表1】
値は、平均±SD(n)を表す。*は、アミロライドからの有意性(p<0.05)を示す。
【0242】
最大遮断からの短絡回路電流(I
SC)のリカバリーを、薬物のオフ速度の間接的測定として使用した。3回の頂端面洗浄後に決定し、式:リカバリー(I
SC)/前処理(I
SC)×100で計算した、完全遮断後のI
SCのリカバリーパーセントは、CBEではアミロライドよりも可逆性が有意に低く(22分の1)、HBEでは9.5分の1(表2)であり、化合物(Ia)が、ENaCに対してより長く、より耐久性のある遮断をもたらすことを示している。
【0243】
【表2】
値は、平均±SD(n)を表す。*は、アミロライドからの有意性(p<0.05)を示す。
【0244】
アッセイ2.ヒツジにおける粘膜毛様体クリアランス(MCC)の研究
MCCの変化を測定するために最も頻繁に使用されてきた動物モデルはヒツジモデルである。粘膜毛様体クリアランス(MCC)の強化に対する化合物の効果は、本明細書に参考として援用されている、Sabaterら、Journal of Applied Physiology、1999年、2191〜2196頁に記載されているモデルをインビボで使用して測定することができる。
【0245】
これらの研究では、成体のヒツジを拘束し、気管内チューブを鼻腔から挿管した。エアゾール化したテスト製品を10〜15分間にわたりヒツジに投与した。次いで、テスト製品の後、4または8時間の特定された時点で、放射標識された
99mTc−硫黄コロイド(TSC、3.1mg/mL;約20mCiを含有)を投与した。放射標識されたエアゾール剤を、気管内チューブを通して約5分間投与した。次いでヒツジから抜管し、1時間の観察期間の間、5分間ごとに肺の総放射性カウントを測定した。肺からの放射標識クリアランスの速度は、動物におけるMCC速度を代表するものである。このシステムの利点は、これが厳密にヒトの肺環境をシミュレートすることである。このモデルはまた、テスト期間にわたり血漿および尿の試料採取によって、PK/PD情報の同時収集を可能にする。MCC測定中に気道表面上の薬物濃度を測定するためのいくつかの技術も存在する。これらには、呼出された呼吸凝縮物の収集または気管支鏡検査法を介してASLを得るための濾紙式方法が含まれる。
【0246】
上に記載されているヒツジのモデルを使用して、エアゾール送達された化合物(Ia)のMCCについてのインビボでの効果(効力/耐久性)を評価した。4mLの化合物(Ia)、比較例1、比較例4、ビヒクル(滅菌蒸留されたH
2O)、またはHSと組み合わせたテスト剤からなる処置をテストした。HSを化合物(Ia)MCCと組み合わせるかどうか決定するため、化合物(Ia)投与の直後にHSを投与した。テスト溶液を、Raindropネブライザーを使用して、毎分8リットルの流量速度でエアゾール化し、ソレノイド弁および圧縮空気供給源(20psi)からなる線量測定システムに接続した。エアゾール剤投与後、Raindropネブライザーを使用して、ヒツジ肺内に堆積した薬物の用量は、8〜15%の用量であると予想された。Raindropネブライザーを使用して、薬物での処置後4または8時間のいずれかの時点で約3分間にわたり放射標識されたTSCを投与することによって、効力/耐久性を評価した。放射性カウントを、右肺中心領域において、1時間の間、5分間隔で、ガンマカメラで測定した。3つの分析方法を利用した。1)直線回帰を使用して適合させた、最初の30分間にわたるクリアランスの初期速度(勾配)、2)1時間にわたる、時間経過によるクリアランス%に関する曲線下面積、および3)1時間で得た最大クリアランス。
【0247】
16μg/kg、0.16μg/kgおよび0.016μg/kgで化合物(Ia)の効果をテストし、投薬後4時間でのヒツジMCCについて、ビヒクル(4mLの滅菌H
2O)と比較した(
図2)。効果の分析は、表3に示す。テストしたすべての用量において、化合物(Ia)は、ビヒクル対照と比較してMCCを増強した。16μg/kg用量は、最大のMCC効果があるとみなされた。
【0248】
【表3】
データは、平均±SD(n)として報告される。n=2での実験は、統計分析に含まれない。*は、ビヒクルからの有意性(p<0.05)を示す。
†は、0.016μg/kg用量からの有意性(p<0.05)を示す。
【0249】
HSが化合物(Ia)のMCC効果を増加させるかどうか判定するために、0.016μg/kgの化合物(Ia)の直後に、HS(6.25mLの10%HS;10%堆積と仮定して、62.5mgが堆積)を投薬し、組合せ投薬後4時間でMCCを評価した(
図12)。0.16および16μg/kgの化合物(Ia)の単独での投与の両方に見られるように、HSは、化合物(Ia)の0.016μg/kgの用量の効果を最大効果に増加させた(
図2)。したがって、HSが化合物(Ia)の用量(0.016μg/kg)に添加された場合、最大のMCC効果を達成することができ、化合物(Ia)は、HSなしで与えられた場合、最大より低い応答を生じる。
【0250】
【表4】
データは、平均±SD(n)として報告される。n=2での実験は、統計分析に含まれない。
【0251】
化合物(Ia)の耐久性および化合物(Ia)へのHSの添加の効果の両方を評価するため、ビヒクル(H
2O)、HSを7%単独で、0.16、1.6および16μg/kgの化合物(Ia)を単独で、または0.16μg/kg化合物(Ia)および7%HSを組み合わせて(すべての処置に対して合計4mlの量)を用いた投薬後8時間で、MCCを測定した(
図4)。ビヒクルを用いた投薬後、4および8時間でのMCCは同じであり、これは4〜8時間にわたりヒツジのMCCの速度は定常状態であることを示している(
図12および13)。4mLの7%のHSの投与から8時間後、ビヒクルと比較して、MCCにおける変化は何も観察されず、これはHS効果が消失したことを示している。化合物(Ia)のすべて3つの用量のグループ(0.16、1.6、および16μg/kg)において、ビヒクルおよびHSの両方と比較して、用量と関係する形でMCCが増加し、これは、化合物(Ia)が、HS単独よりも長い期間の作用を有することを示している(
図4)。HSおよび化合物(Ia)の組合せ投薬は、化合物(Ia)の0.16μg/kgの投薬の効果を、16μg/kgの投薬に対して観察された効果より上に高め、これはHSを化合物(Ia)に添加した場合、活性が100倍増加することを示している(
図4)。HSによる化合物(Ia)活性の強化は、HSが特有の活性を有していないときには、HSおよび化合物(Ia)の間の相乗効果を明らかに示している。
【0252】
【表5】
データは平均±SD(n)として報告される。n=2での実験は、統計分析に含まれない。
アッセイ3.d.気道表面液体薬物(ASL)クリアランスおよびヒト気道上皮による代謝
頂端面からの化合物(Ia)の消失および気道上皮の代謝をHBEにおいて評価した(表6)。これらの実験において、ENaC遮断剤の25μM溶液の25μLを、空気/液体界面で培養したHBE細胞の頂端面に添加し、頂端および側底コンパートメントにおける薬物濃度を2時間にわたりUPLCで測定した。頂端面(37℃)上での化合物(Ia)の2時間のインキュベーション後、頂端側と側底側のいずれの上にも代謝物は検出されず、化合物(Ia)は側底側で検出不可能であった。
【0253】
【表6】
アッセイ4.e.気道水和およびナトリウムチャネルの遮断(インビトロモデル)
Parion Sciencesは、細胞培養における気道水和を評価するための実験モデルを開発した(Hirsh, A.J.、Sabater, J.R.、Zamurs, A.ら、Evaluation of second generation amiloride analogs as therapy for CF lung disease. J. Pharmacol. Exp. Ther. 2004年;311巻(3号):929〜38頁。Hirsh, A.J.、Zhang, J., Zamurs, A.ら、Pharmacological properties of N−(3,5−diamino−6−chloropyrazine−2−carbonyl)−N’−4−[4−(2,3−dihydroxy propoxy)phenyl]butyl−guanidine methanesulfonate (552−02), a novel epithelial sodium channel blocker with potential clinical efficacy for CF lung disease. J. Pharmacol. Exp. Ther.2008年;325巻(1号):77〜88頁)。
【0254】
初代CBE細胞を、コラーゲンコーティングした、空気−液体界面において維持した多孔性膜上にプレーティングすることによって、時間経過による表面液体量の維持を評価する。実験開始時に、各12mmスナップウェル挿入物を、空気−液体界面培地を含有するプレートから除去し、乾燥ブロットし、秤量し、および50μLのビヒクル(0.1%DMSO)、またはENaC遮断剤(0.1%DMSO中10μM)を頂端面に適用し、質量を記録した。挿入物をトランスウェルプレート(500μL、Krebs Ringer Bicarbonate(KRB)、下部チャンバー内pH7.4)に直ちに戻し、37℃、5%CO
2インキュベーター内に置いた。水損失の際の頂端の炭水化物浸透圧勾配による人工産物を低減させるため、グルコースは頂端の緩衝液中に含めなかった。化合物(1a)をテストし、ビヒクルと比較し、ASLの質量を0〜8時間または24時間連続的にモニターした。表面の液体の質量をμL単位での量に変換した。データは初期の量の%(100%=50μL)として報告する。
【0255】
50μlの量の実験緩衝液をCBE細胞の頂端面に添加した後に保持された緩衝液を測定することによって、ナトリウム輸送阻害の期間を間接的に判定した。8時間後、表面上には12.5±12.1%のビヒクル(緩衝液)しか残存せず、表面液体保持の小さな増加がビヒクル中10μMアミロライドで見られた(8時間後25±19.2%)。比較すると、化合物(Ia)は、88.3±13%の表面液体を8時間にわたり維持しながら、有意に頂端面液体保持を増加させた(
図5)。
【0256】
さらに化合物(Ia)をテストするため、インキュベーション期間を8時間から24時間へ増加した。アミロライドは、8時間後にはほとんど効果がなくなったので、24時間にわたりテストしなかった。24時間後、11%のビヒクル緩衝液だけが残存し、その一方で化合物(Ia)は、24時間にわたり72.3±7.3%の表面液体を維持し、これは、8時間の測定と比較してほんの16%だけの損失であり、化合物(Ia)は、液体保持に耐久性効果を示すことを示唆している(
図6)。
【0257】
比較例
本発明の式(I)の化合物は、公知のナトリウムチャネル遮断剤、例えば以下に記載されている比較例1〜5などと比較して、より強力であり、かつ/または粘膜面、特に気道の表面からあまり早急に吸収されない。したがって、式(I)の化合物は、これらの化合物と比較して、粘膜面上により長い半減期を有する。
【0258】
比較例1〜4は、有用な薬効特性を有するナトリウムチャネル遮断剤として、WO2003/070182(米国特許第6,858,615号;同第7,186,833号;同第7,189,719号;同第7,192,960号;および同第7,332,496号)、WO2005/044180(米国特許出願公開第2005/0080093号および米国特許第7,745,442号)、WO2004/073629(米国特許第6,903,105号;同第6,995,160;同第7,026,325号;同第7,030,117号;同第7,345,044号;同第7,820,678号;および同第7,875,619号)、WO2005/016879(米国特許第7,064,129号;同第7,247,637号;同第7,317,013号;同第7,368,447号;同第7,368,451号;同第7,375,107号;同第7,388,013号;同第7,410,968号;および同第7,868,010号)、もしくはWO2008/031028(米国特許出願公開第2008/0090841号および同第2009/0082287号)において特許請求されているか、記載されているか、またはこれらの開示の範囲内にあり、当該文献中に記載されている方法および当技術分野で公知の他の方法により調製することができる。
【0259】
【化28】
比較例1の化合物は、WO2008/031028のナトリウムチャネル遮断化合物に含まれており、その構造は、14頁に見ることができる。
【0260】
比較例2は3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ジヘキシルアミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドであり、WO2004/073629の一般的な開示の範囲内である。
【0261】
【化29】
比較例3は、3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(((2S,3R,4R,5R)−5−ヒドロキシ−2,3,4,6−テトラメトキシヘキシル)((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドであり、WO2008/031028の一般的な開示の範囲内である。
【0262】
【化30】
比較例4の化合物は、US2005/0080093の15頁で、そしてWO2008/031048の90頁の化合物2として、そしてWO2008/031028の42〜43頁の化合物2として見ることができる。嚢胞性線維症およびC.O.P.Dの処置において有用な活性を有するためには、化合物は、複数の投薬の際に、重大および危険な状態である高カリウム血症を最終的にもたらすことになる血漿カリウムを上げない用量で粘膜毛様体クリアランス(MCC)の強化を引き起こすという特性を有していなければならない。したがって、腎臓により有意に排泄された場合、血漿カリウムを上げることが公知であるこのクラスの化合物においては、このことは回避されなければならない。この可能性を評価するために、MCC活性をインビボで有し、有用な用量において血漿カリウムの上昇を引き起こさないことが有利である。これを評価する1つのモデルが、以下に記載されているヒツジMCCモデルである。以下の表7から分かるように、ヒツジMCCモデルにおける、比較例1に対するED
50(AUC=47%)は約3000μMである。
【0263】
【表7】
表7および
図7から分かるように、3つの異なる測定(勾配、AUCおよび最大クリアランス)を使用した、ヒツジMCCモデルにおける比較例1に対するED
50は、約240nmol/kg(3mM)である。臨床的に活性のある用量であるこの用量において、比較例1は血漿カリウムの上昇を引き起こし、この投薬を繰り返すと、比較例1は高カリウム血症をもたらす(
図8)。したがって、比較例1は、ヒトの使用に対して許容されないが、その一方で化合物(Ia)は、安全かつ効果的なMCCをもたらし、このモデルにおいてリスク比が1000より大きいという利点を有する。
【0264】
分子の潜在的な腎臓への影響を低下させるために、より親油性の化合物を試験した。比較例1の2つの親水基を等しい長さの2つの親油性の鎖で置き換えている比較例2は、インビトロで比較例1よりも規模が強力ではなく(表8)、したがってインビボで持続するMCCを生成するには不適切である比較例2化合物をもたらす。比較例1の酸素のすべてが保持され、ヒドロキシルのメチル基の5つが、ヒドロキシルの5つに加えられた比較例3は、インビトロの活性において同様の減衰を有した。したがって、この構造的骨格から、活性がありかつ腎臓に安全な分子を生成することは可能ではなかったようにみえた。したがって、化合物(Ia)が比較例1と等しいインビトロ活性を保持することが発見されるとは予期していなかった。さらに、より驚くべきであり、予期しなかったことは、化合物(Ia)が、インビボで比較例1より100倍超強力であり、効果的なMCC用量で血漿カリウムの上昇を引き起こさなかったことである。
【0265】
【表8】
広く研究されてきた別の化合物は、比較例4の化合物である(S)−3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2,3−ジアミノ−3−オキソプロポキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミドである。
【0266】
頂端面からの化合物(Ia)の消失および気道上皮代謝を、HBEにおいて、および比較例4と比較して評価した(表9)。これらの実験において、ENaC遮断剤の25μM溶液の25μLを、空気/液体界面で培養したHBE細胞の頂端面に添加し、頂端および側底のコンパートメントにおける薬物濃度を2時間にわたりUPLCで測定した。頂端面(37℃)上で化合物(1a)を2時間のインキュベーション後、頂端側および側底側のいずれの上にも代謝物は検出されず、化合物(1a)は、側底側で検出不可能であった。対照的に、大部分の比較例4は、頂端側から取り除かれ、83%が代謝されて、以下の構造
【0267】
【化31】
の活性の低いカルボン酸である(S)−2−アミノ−3−(4−(4−(3−(3,5−ジアミノ−6−クロロピラジン−2−カルボニル)グアニジノ)ブチル)フェノキシ)プロパン酸となった。
【0268】
【表9】
値は平均±SDを表す。*は比較例4から有意に異なる(p<0.05)ことを示す。
【0269】
化合物(Ia)は、ヒツジMCCにおいて比較例4よりも10,000倍強力であり、血漿Kが上昇しないのに対し、比較例4は、おおよそ3mMのED50の投薬で血漿Kが上昇している(
図9および10)。これもまた、化合物Iaの独自の予期しない作用強度および安全性の利点を実証している。
【0270】
【表10】
化合物(Ia)の増強された腎臓の安全性は、腎臓による薬物のクリアランスの著しい低減により説明することができることがここで示された。腎臓において化合物をナトリウムチャネルから遠ざけることができる場合、高カリウム血症は著しく低減するはずである。ヒツジへの静脈内投与に続いて、43%の比較例1が尿で回収されたのに対して、化合物Iの5%しか尿から回収されなかった。さらにより劇的なのは、エアゾール剤として直接肺に投与した場合の薬物の尿中回収の驚くべき低減である。比較例4がヒツジに吸入エアゾール剤として投与された場合、用量の7%が尿中で回収されているのに対し、エアゾール化した化合物(Ia)は、用量の0.07%しか尿中で回収されない。化合物の尿へのクリアランスの低減(10〜100分の1)は、上に記載された必要用量における有意な低減と合わせて、リスク:利点において、思いがけず100,000〜1,000,000倍もの違いをもたらしている。
【0271】
【表11】
図9は、上記MCCモデルに記載されているような、化合物(Ia)である3,5−ジアミノ−6−クロロ−N−(N−(4−(4−(2−(ヘキシル((2S,3R,4R,5R)−2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル)アミノ)エトキシ)フェニル)ブチル)カルバミミドイル)ピラジン−2−カルボキサミド塩酸塩、および比較例4による、時間経過による粘液クリアランスのパーセンテージをグラフにしたものである。同様のパーセンテージの粘液クリアランスが、化合物(Ia)では、比較例4で見られるものよりも7,000分の1に低下した用量で提供された。化合物(Ia)は、臨床的に関連する用量範囲において最大の影響を提供した。
【0272】
図10は、上記MCC研究において、比較例4を与えたヒツジの血漿中に見られる効果的な用量において、時間の経過による血漿カリウムレベルの有意な増加を図示している。化合物(Ia)を与えたヒツジでテストしたいずれの用量においても、血漿カリウムレベルに対する影響は見られなかった。