(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010622
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】マスタ装置とスレーブ装置の無線データ通信
(51)【国際特許分類】
H04W 84/20 20090101AFI20161006BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20161006BHJP
H04W 52/02 20090101ALI20161006BHJP
【FI】
H04W84/20
H04W84/10 110
H04W52/02
【請求項の数】20
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-530304(P2014-530304)
(86)(22)【出願日】2012年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-527376(P2014-527376A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】GB2012052122
(87)【国際公開番号】WO2013038146
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2015年8月21日
(31)【優先権主張番号】1115791.4
(32)【優先日】2011年9月13日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】513183153
【氏名又は名称】ノルディック セミコンダクタ アーエスアー
【氏名又は名称原語表記】Nordic Semiconductor ASA
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(72)【発明者】
【氏名】エンゲリエン‐ロペス、ダヴィッド アレクサンドル
【審査官】
深津 始
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0169201(US,A1)
【文献】
特開2009−153070(JP,A)
【文献】
特表2012−533958(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 −H04W 99/00
H04B 7/24 −H04B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタ装置とスレーブ装置の間の無線通信の方法であって、
前記マスタ装置が継続的に前記スレーブ装置に要求メッセージを送信するステップと、
前記スレーブ装置が前記要求メッセージのいくつかにだけ応答して応答メッセージを送信するステップと、を含み、
ここで、前記スレーブ装置が、要求メッセージに応答して応答メッセージを送信するのは、
a)それが最後の応答メッセージを送信してから所定期間が経過した場合、または
b)前記要求メッセージにデータが含まれる場合である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定期間は、返信されない要求メッセージの全体数である
ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスタ装置から受信したコマンドに応えて前記所定期間を設定するステップを含む
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記マスタ装置は、複数のスレーブ装置と対になっている
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記スレーブ装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に従って動作することができることを前記マスタ装置に広告する
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記スレーブ装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に従って動作することができることを、前記スレーブ装置によって行われる送信に、接続を形成することができる可用性を広告する情報を含めることによって、前記マスタ装置に広告する
ことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に送信するデータがある場合に、応答メッセージを送信する
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
マスタ装置とスレーブ装置を備える無線通信用のシステムであって、
前記マスタ装置は、前記スレーブ装置に継続的に要求メッセージを送信するように配置され、
前記スレーブ装置は、前記要求メッセージのいくつかにだけ応答して応答メッセージを送信するように配置され、
ここで、前記スレーブ装置が、要求メッセージに応答して応答メッセージを送信するのは、
a)それが最後の応答メッセージを送信してから所定期間が経過した場合、または
b)前記要求メッセージにデータが含まれる場合である
ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
前記所定期間は、返信されない要求メッセージの全体数である
ことを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置から受信したコマンドに応えて前記所定期間を設定するように配置される
ことを特徴とする、請求項8または請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記マスタ装置は、複数のスレーブ装置と対になっている
ことを特徴とする、請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記スレーブ装置は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に従って動作することができることを前記マスタ装置に広告するように配置される
ことを特徴とする、請求項8乃至請求項11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記スレーブ装置は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に従って動作することができることを、前記スレーブ装置によって行われる送信に、接続を形成することができる可用性を広告する情報を含めることによって、前記マスタ装置に広告するように配置される
ことを特徴とする、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記スレーブ装置は、前記マスタ装置に送信するデータがある場合に、応答メッセージを送信するように配置される
ことを特徴とする、請求項8乃至請求項13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
継続的に要求メッセージを送信するマスタ装置と無線通信するためのスレーブ装置であって、前記スレーブ装置は、前記要求メッセージのいくつかにだけ応答して応答メッセージを送信するように配置され、
ここで、前記スレーブ装置が、要求メッセージに応答して応答メッセージを送信するのは、
a)それが最後の応答メッセージを送信してから所定期間が経過した場合、または
b)前記要求メッセージにはデータが含まれる場合である
ことを特徴とする装置。
【請求項16】
前記所定期間は、返信されない要求メッセージの全体数である
ことを特徴とする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記マスタ装置から受信したコマンドに応えて前記所定期間を設定するように配置される
ことを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に従って動作することができることを前記マスタ装置に広告するように配置される
ことを特徴とする、請求項15乃至請求項17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に従って動作することができることを、自身が行なう送信に、接続を形成することができる可用性を広告する情報を含めることによって、前記マスタ装置に広告するように配置される
ことを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記マスタ装置に送信するデータがある場合に、応答メッセージを送信するように配置される
ことを特徴とする、請求項15乃至請求項19のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線データ通信、特に、限定はしないが、短距離無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
マスタ装置が周辺装置またはスレーブ装置と通信して、例えば、周辺装置を制御したり、および/またはその装置にデータを送信したりその装置からデータを受信したりする、多くの近距離無線通信プロトコルが知られている。そのようなプロトコルの例として、ブルートゥース、ANT、Zigbee(登録商標)などがあげられる。
【0003】
このようなシステムの設計者が直面する問題の一つは、周辺装置の応答性とその消費電力ひいてはバッテリ寿命との間にはトレードオフが存在することである。したがって、使用者の観点からは周辺装置がマスタによって送信されるコマンドまたはデータに迅速に応答することが望ましいが、典型的には、マスタから受信するすべての信号に応答することが求められるので、マスタからの信号を頻繁に送信することになり、周辺装置において高い電力消費を生じさせる。消費電力は、通信間隔を長くすることによって減少させることができるが、こうすると、周辺装置がマスタの通信メッセージに応答するのにかかる平均時間が長くなるという代償をもたらし、これは「アプリケーション遅延」として知られ、状況によっては望ましくないことがある。
【0004】
このトレードオフは、イベントのあるときだけデータが送信されるので、周辺装置は、時間の大半を、何もデータのないマスタからのメッセージに応答するために電力を使用している、いわゆる「ゼロデータ」のリンクで特に深刻である。
【0005】
マスタからのメッセージの一定割合を無視するように構成することで、周辺装置の消費電力を低減することが知られている。これは「スレーブ遅延」として知られている。例えば、スレーブ遅延が三のとき、スレーブまたは周辺装置は、マスタからの三番目ごとのメッセージのみ待って応答し、合間に発生する二つのメッセージは無視する。こうすると、スレーブ装置は送信する頻度が減り、合間に発生する送信中はその受信機が電源を切っても大丈夫なので、平均消費電力が低減される。しかし、スレーブ遅延を増やすとそれに応じてマスタのアプリケーション遅延も増やすため、上記で述べた問題を支援することにはならない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、この問題に対処することを目的とし、第一の態様から見たときには、マスタ装置とスレーブ装置の間の無線通信方法を提供するものであって、
前記マスタ装置が継続的に前記スレーブ装置に要求メッセージを送信するステップと、
前記スレーブ装置が前記要求メッセージのいくつかにだけ応答して応答メッセージを送信するステップと、を含み、
ここで、前記スレーブ装置が、要求メッセージに応答して応答メッセージを送信するのは、
a)それが最後の応答メッセージを送信してから所定期間が経過した、または
b)前記要求メッセージにはデータが含まれる
場合である。
【0007】
本発明は、マスタ装置とスレーブ装置を備える無線通信用のシステムにまで及び、
前記マスタ装置は、前記スレーブ装置に継続的に要求メッセージを送信するように構成され、
前記スレーブ装置は、前記要求メッセージのいくつかにだけ応答して応答メッセージを送信するように構成され、
ここで、前記スレーブ装置が、要求メッセージに応答して応答メッセージを送信するのは、
a)それが最後の応答メッセージを送信してから所定期間が経過した、または
b)前記要求メッセージにはデータが含まれる
場合である。
【0008】
本発明はまた、継続的に要求メッセージを送信するマスタ装置と無線通信するためのスレーブ装置にまで及び、前記スレーブ装置は、前記要求メッセージのいくつかにだけ応答して応答メッセージを送信するように構成され、ここで、前記スレーブ装置が、要求メッセージに応答して応答メッセージを送信するのは、
a)それが最後の応答メッセージを送信してから所定期間が経過した、または
b)前記要求メッセージにはデータが含まれる
場合である。
【0009】
したがって、本発明によれば、スレーブ装置または周辺装置は、受信はするかもしれないが、マスタからの要求メッセージにはいちいち応答せず、むしろ、マスタ装置が送信すべきデータを有し、要求メッセージがそのようなデータを含んでいない限り、返信する前に一定時間待機することが当業者に理解されるであろう。このことは、スレーブ装置の送信機は起動される頻度が少ないので、消費電力の節約を意味する。しかしながら、コマンドコードのようなデータをスレーブに送信し、必要であれば、迅速に対応させるマスタ装置の能力を損なうものではない。このことによって、事実上、スレーブ遅延が増し、スレーブ電力消費が減少する点で付随する利点をもたらすが、それに呼応してマスタ側でアプリケーション遅延が増えることはない。
【0010】
スレーブ装置が応答を送信するのを控える所定期間は、時間、または返信されない要求メッセージの全体数として定義される。いくつかの実施形態では、例えば、要求メッセージ間の送信間隔の変化に、より容易に適応できるので、後者が好まれる。
【0011】
スレーブ装置が応答しない所定期間は、単純に製造時に固定してもよいし、または可変であってもよい。一組の実施形態において、所定期間は、マスタ装置から受信したコマンドに応えて設定される。こうすると、マスタ装置がスレーブの遅延期間を設定することができるプロトコルが成立する。スレーブは、これを受け入れることを余儀なくされてもよいし、遅延期間を受け入れるか、マスタ装置からの最初の接続要求を拒否するかどうかを決定するためのアルゴリズムを適用するように構成されてもよい。このような機能は、スレーブ装置が、要求する更新レートが高すぎて(所定期間をあまりにも短く設定することによって)スレーブ装置のバッテリ寿命が許容できないほど短いマスタ装置とは対にならないことを保証する上で有益である。もちろん、実際の消費電力は、マスタが非ゼロデータメッセージを送信する頻度にある程度依存するが、典型的なゼロデータリンクに対しては、スレーブ遅延(スレーブが送信する必要のある最低限の規則性)が、はるかに大きな効果がある。
【0012】
いくつかの実施形態では、マスタ装置は、一台のスレーブとだけ対になり、他の実施形態では、複数のスレーブ装置と対になっている。
【0013】
一組の好ましい実施形態においては、スレーブ装置は、本発明に従って動作することができることをマスタ装置に広告するように構成されている。これは、例えば、スレーブ装置によって行われる送信に含めて、接続を形成することができる可用性を広告してもよい。マスタ装置がスレーブ遅延を設定するが、スレーブが本発明に従って動作することができることを検出した場合、マスタ装置は、より高いスレーブ遅延であろうと、従来技術のスレーブ装置に比べ、アプリケーション遅延に対してそれほど悪影響を及ぼさないことを知っているので、そのような選択をしてもよい。
【0014】
本発明によれば、スレーブ装置は、マスタから非ゼロ・データ要求メッセージを受信した場合に、またはスレーブ遅延の設定によって要求された場合に、応答メッセージを送信する。しかしながら、一組の実施形態において、スレーブ装置は、スレーブ装置がマスタ装置に送信するデータがある場合に、応答メッセージを送信するように、さらに構成されている。こうして、スレーブとマスタの両方が、緊急を要する送信データを時々有することがある実施形態が想定される。もちろん、これは用途に応じて設定可能である。いくつかの用途においては、スレーブ装置は、とにかく応答を送信しているときにのみデータを送信するように構成されてもよい。こうすれば、最大の省電力を維持できる。代わりに、スレーブ装置は、優先順位アルゴリズムに従って、データを直ちに送信するか、または次に送信義務が発生したときに送信するどうかを選択することができてもよい。これによって、必要に応じて迅速にデータを送信する柔軟性および機会が備わっている。
【0015】
上述したように、スレーブ装置は、すべてのメッセージを受信することができるが、これは必須ではない。従って、いくつかの実施形態では、スレーブ装置は、受信すら行なわずに、いくつかの要求メッセージを無視してもよい。これによって、達成できる最小のアプリケーション遅延が決まる。だから、例えば、一部のアプリケーションではアプリケーション遅延として一が要求され、その場合にはすべての要求メッセージが受信され、他のアプリケーションでは、より高いアプリケーション遅延が許容される。例えば、アプリケーション遅延が三であると、スレーブ装置は、三番目の要求メッセージごとに受信する(そして、データが含まれている場合のみ、もしくはスレーブ遅延に達した場合のみ、応答する)ことを意味する。本発明では、スレーブ遅延がアプリケーション遅延よりも高くなってもよいことが理解されるであろう。明らかに、アプリケーション遅延を一よりも大きくすると、潜在的に、受信機がメッセージをいくつか送信中に電源を切ってもよいようにすらなるので、電力を節約するにはさらに有益な効果を持つことになる。
【0016】
通常、マスタ装置は、スレーブ遅延だけでなく、アプリケーション遅延も定義する。
【0017】
本発明は、多くの異なる無線データプロトコル、特にゼロデータリンクを使用するプロトコルに適用することができる。二つの非限定的な例として、ANTプロトコルおよびブルートゥース低エネルギー(登録商標)が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
次に、ほんの一例として、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明することにする。
【
図1】本発明の一実施形態によるリンクの確立を示す概略図である。
【
図2】リンクが確立された後、マスタとスレーブによる信号の送信および受信を示すタイミング図である。
【
図3】それぞれマスタとスレーブによる送信を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、ANTまたはブルートゥース低エネルギー(登録商標)のような無線データ通信プロトコルにおけるマスタ装置とスレーブ装置間のデータリンクの確立を示している。マスタ装置は、典型的には、少なくとも何らかの形態のマイクロコントローラを組み込んで、比較的高機能になっているであろう。例えば、スマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。例えば、バッテリ駆動でもコンセント電源駆動でもよい。スレーブ装置は、典型的には、より低い処理能力を備え、バッテリ駆動であろう。例として、ワイヤレスヘッドセットであってもよい。
【0020】
図の上から下に移動すると、最初のリンク前の段階で、スレーブ装置は、周期的にメッセージ「広告」を送信して、自分の接続可用性を広告し、応答を待つ。この送信は、比較的低い頻度で起こるので(例えば、十秒ごと)、それによって、スレーブの電池を消耗しすぎることはない。マスタは、接続を形成したいとき、広告メッセージのいずれかに「接続要求」メッセージで返信することによって、接続フェーズを開始する。後者には、マスタが行ないたい接続の性質についての情報が含まれている。例えば、接続を特徴付けるポーリングメッセージの間隔を設定するパラメータを含む。また、スレーブが監視するスレーブ遅延を含み、これは、スレーブ装置が、その最後の応答から再び応答する前に待つことができる、マスタ装置からのポーリングメッセージの最大数である。スレーブ装置は、さらに、アプリケーション遅延を含んでもよいが、これは、スレーブ装置が単に無視してもよい、マスタ装置からのポーリングメッセージの最大数である。この順序は、多くの無線通信プロトコルにおいて典型的なものである。例えば、そのプロトコルは、ブルートゥース低エネルギー(登録商標)であってもよい。
【0021】
(図示しない)この処理の変形では、マスタが、スレーブ装置にこれから説明する方法で動作可能であるか否かを問い合わせる追加ステップがあってもよい。例えば、スレーブ装置上のメモリは、フラグを格納するアドレス可能な部分を含んでもよい。これを達成する別の方法としては、プロトコルの一部を形成する一意のユーザ識別子(UUID)コード内の特定ビットを適切な設定にすることを通じてでもよい。これは、例えば広告メッセージの一部として、自動的に検出可能としてもよい。マスタ装置により設定されたリンクパラメータは、スレーブ装置がこの方法で動作可能であるか否かによってある程度決定されてもよい。例えば、これから説明する理由のために、スレーブ装置が本発明に従って動作可能である場合、マスタ装置は、より高いスレーブ遅延を許容する準備ができていると考えられるが、なぜなら、これが、本発明に従って動作していないスレーブ装置と比較して、設定できるアプリケーション遅延に同じ影響を及ぼさないからである。
【0022】
マスタは、リンクを確立するために接続要求メッセージを送信すると、接続要求メッセージで指定された間隔で定期的にポーリングメッセージの送信を開始する。
図3を参照して見られるように、すべての場合というわけではないが、スレーブはその後、「応答」で応答する。
【0023】
図2は、接続されているときのマスタとスレーブの間の典型的な伝送順序をより詳細に示している。マスタは送信ウィンドウ2の間にポーリングメッセージを送信する。これは、ポーリングメッセージがスレーブによって受信されることを可能にするスレーブの受信ウィンドウ4と一致する。マスタ伝送が予想されるとき、短い時間窓の間だけ無線受信機の電源を投入することにより、スレーブ装置は、その消費電力を制限し、電池寿命を延ばすことができる。ポーリングメッセージは、スレーブ宛のデータやコマンドを含んでいても、またはヌルデータを運んで単に接続を維持するだけでもよく、これは採用するプロトコルによっては必要な場合がある。
【0024】
ポーリングメッセージを受信してから短い時間ののちに、スレーブは、次に、ウィンドウ6の間に自分の送信機の電源を投入して応答メッセージを送信する。これもプロトコルの要求に応じて単にヌルメッセージであることもあれば、スレーブがマスタに送信しているデータが含まれることもある。マスタは、受信ウィンドウ8の間にこの応答メッセージを受信する。こうして、このサイクルは一秒の周期で繰り返される。次のマスタ送信ウィンドウおよび受信ウィンドウ2’、8’と対応するスレーブ受信ウィンドウおよび送信ウィンドウ4’、6’は
図2の右側に示されている。
【0025】
マスタ受信ウィンドウ8、8’は、スレーブ送信ウィンドウ6、6’よりも著しく長
くてもよいことが見て取れるであろう。これは、マスタが、同時に複数のスレーブにリンクし、各々が与えられたタイムスロット内に応答できるようにするという事実を反映している。
【0026】
ここで
図3に移ると、マスタからの(例えば、以前のように一秒間隔で)一連のポーリングメッセージ10a〜10hとスレーブから対応する応答メッセージ12a〜12dが模式的に見て取れる。しかしながら、必ずしもすべてのポーリングメッセージ10が応答メッセージ12を受信してはいないことが分かる。このことは、リンクを確立する際に、マスタ装置は、スレーブ遅延を、この例では三に、設定しているという事実を反映している。これは、スレーブが、電力を節約するために、マスタからのポーリングメッセージ10のうち連続する2つまで無視し、三番目にのみ応答することが許されていることを意味する。こうして、ここで見ることができるように、最初のポーリングメッセージ10aは応答12aを促すが、次の二つ10b,10cは無視される。しかし、続くメッセージ10dは,スレーブ遅延の限界に達したので、12bによって応答されている。次に、同じパターンが繰り返されて、二つのポーリングメッセージ10e、10fが無視され、続く10gが12cで応答されている。しかし、それに続くポーリングメッセージ10hは無視されずに、やはり応答メッセージ12dによって応答されている。これは、ポーリングメッセージ10hが、スレーブ用データおよび/またはコマンドを含んでいたためである。後続の応答メッセージ12dは、例えば、データ/コマンドの安全な受領確認としての役割を果たしてもよい。
【0027】
本実施形態では、スレーブ受信機がサイクルごとに電源投入されるので、それによって高いスレーブ遅延を設定する利点がいくらか打ち消されているものの、スレーブ遅延が、実際にはアプリケーション遅延に悪影響を与えることなく、比較的高く設定することができることを意味することが理解されるであろう。上記の例から分かるように、スレーブ遅延は三であるが、スレーブがすべての要求メッセージを受信して非ゼロデータポーリングメッセージ10hにすぐに(標準システム応答時間内に)応答することができるので、アプリケーション遅延を一に設定してもよい、すなわち、より高いスレーブ遅延の結果として遅延が生じることはなかった。それにもかかわらず、送信機は、各サイクルで電源を投入する必要がないので、スレーブ遅延は依然としてスレーブの電池寿命に有益な効果をもたらすことができる。このシステムは、典型的なマスタパケットに何のデータも含まれないゼロデータリンクで有益である。
【0028】
もちろん、ここに示した具体的な詳細は、単なる例示であり、いかなる特定の用途にも適合するように選択することができる。具体的には、一より大きいアプリケーション遅延を(スレーブ遅延の値まで)設定してもよい。