特許第6010624号(P6010624)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010624
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】パワースプリット式伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/00 20060101AFI20161006BHJP
   F16H 37/06 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   F16H61/00
   F16H37/06 B
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-533781(P2014-533781)
(86)(22)【出願日】2012年9月14日
(65)【公表番号】特表2014-528558(P2014-528558A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012003859
(87)【国際公開番号】WO2013050103
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年6月26日
(31)【優先権主張番号】102011115002.5
(32)【優先日】2011年10月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197434
【氏名又は名称】リープヘル−コンポーネンツ ビーベラッハ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー ヴィクトル
(72)【発明者】
【氏名】クリスト クレメンス
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−336983(JP,A)
【文献】 特表2011−505530(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/027983(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/00−61/12
61/16−61/24
61/66−61/70
63/40−63/50
F16H 39/00−47/12
F16H 37/06
B60K 6/365
B60K 6/445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの駆動軸(3)および少なくとも一つの出力軸(4)を有するパワースプリット式伝達装置において、
それらの間に、遊星歯車配置(7)によって少なくとも部分的に互いに連結している機械式第1の分岐(5)および油圧または電気的第2の分岐(6)が設けられるパワースプリット式伝達装置であって、
前記遊星歯車配置(7)は複数の連結要素(8、9、10、11)を備え、
そして前記第2の分岐(6)は、油圧または電気的に互いに連結できる少なくとも3つの回転エネルギー変換器(12、13、14)を備え、
そこにおいて、
前記駆動軸(3)は、前記回転エネルギー変換器のうちの第1のエネルギー変換器(12)および前記遊星歯車配置(7)の前記複数の連結要素のうちの第1の連結要素(8)に連結することができ、
前記出力軸(4)は、前記遊星歯車配置(7)の前記複数の連結要素のうちの第2の連結要素(9)に連結することができ、
前記回転エネルギー変換器のうちの第2のエネルギー変換器(13)は、前記遊星歯車配置(7)の前記複数の連結要素のうちの第3の連結要素(10)に連結することができ、
そして前記回転エネルギー変換器のうちの第3のエネルギー変換器(14)は、前記遊星歯車配置(7)の前記複数の連結要素のうちの第4の連結要素(11)、または、前記出力軸(4)に連結できるパワースプリット式伝達装置。
【請求項2】
前記遊星歯車配置(7)が少なくとも4つの連結要素(8、9、10、11)を有し、
そして前記第2のエネルギー変換器(13)が前記遊星歯車配置(7)の前記第3の連結要素(10)に連結することができ、
そして前記第3のエネルギー変換器(14)が前記遊星歯車配置(7)の前記第4の連結要素(11)に連結できる請求項1に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項3】
前記3つのエネルギー変換器のうちの少なくとも一つ、特に前記第3のエネルギー変換器(14)が、制動装置(K1)が前記遊星歯車配置(7)の連結要素を制動するかまたは保持するために連結要素に連結できる請求項1〜2のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項4】
前記エネルギー変換器の動作状態および/または伝達シフト状態を制御するために制御装置(15)が設けられ、
前記制御装置(15)は、
(i)モーター動作において、そして所望の出力速度および/または所望の出力トルクに応じて、少なくとも一つのそれぞれの他のエネルギー変換器(12、13、14)が油圧/電気発生器として動作することができ、
そして/または、
(ii)惰走モードにおいて、そして前記所望の出力速度および/または前記所望の出力トルクに応じて、少なくとも一つのそれぞれの他のエネルギー変換器(12、13、14)がモーターとして作動できるように構成される請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項5】
前記制御装置(15)は、
モーター動作において、前記第1のエネルギー変換器(12)ならびに前記第2および第3のエネルギー変換器(13、14)のうちの少なくとも一つが、前記所望の出力速度に応じて油圧/電気発生器として交替に動作できるように構成される請求項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項6】
前記制御装置(15)は、
モーター動作において、常に前記第2および第3のエネルギー変換器(13、14)のうちの多くても一つが油圧/電気発生器として動作するように構成される請求項4又は5のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項7】
前記第1の分岐(5)が、少なくとも一つのクラッチ(Kr、Kv)によって前記駆動軸(3)から切り離されることができ、
そして前記出力軸(4)が、第1の移動レンジで前記第2の分岐(6)によってだけ駆動されることができて、
モーター動作における挙げられた第1の移動レンジで、前記第1のエネルギー変換器(12)が油圧/電気発生器として動作することが可能であり、
そして前記第2および第3のエネルギー変換器(13、14)のうちの少なくとも一つがモーターとして動作することが可能である請求項1〜6のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項8】
記第1のエネルギー変換器(12)のモーターとしての動作で、前記第2のエネルギー変換器(13)が油圧/電気発生器として動作し、
そして、前記第1のエネルギー変換器(12)の油圧/電気発生器としての動作で、前記第2のエネルギー変換器(13)はモーターとして動作するように、
前記第1のエネルギー変換器(12)および前記第2のエネルギー変換器(13)は、前記出力軸(4)が前記第1の分岐(5)および前記第2の分岐(6)の両方により駆動される第2の移動レンジでモーターおよび油圧/電気発生器の両方として制御装置(15)によって各々選択的に動作できる請求項1〜7のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項9】
前記制御装置(15)は、
(i)モーター動作において挙げられた第2の移動レンジの第1の下位レンジにおいて、前記第2のエネルギー変換器(13)が油圧/電気発生器として動作し、前記第3のエネルギー変換器(14)がモーターとして動作し、そして前記第1のエネルギー変換器(12)がモーターとして動作し、そして/またはトルクなしで切り換えられ、
そして/または、
(ii)モーター動作において挙げられた第2の移動レンジの第2の下位レンジにおいて、前記第2のエネルギー変換器(13)は油圧/電気発生器として動作し、前記第3のエネルギー変換器(14)はモーターとして動作し、そして前記第1のエネルギー変換器(12)はトルクなしで切り換えられ、
そして/または、
(iii)モーター動作において挙げられた第2の移動レンジの第3の下位レンジにおいて、前記第1のエネルギー変換器(12)は油圧/電気発生器として動作し、前記第2のエネルギー変換器(13)はモーターとして動作し、そして前記第3のエネルギー変換器(14)はトルクなしで切り換えられるように構成される請求項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項10】
前記駆動軸(3)に対して前記遊星歯車配置(7)の前記第1の連結要素(8)の回転方向を逆転させるための逆転シフト・グループ(16)が、前記駆動軸(3)と前記遊星歯車配置(7)の間に設けられて、
前記逆転シフト・グループ(16)が、前記機械式第1の分岐(5)を前記駆動軸(3)から切り離すために、前記少なくとも一つのクラッチ(Kr、Kr)を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項11】
前記エネルギー変換器(12)が、前記逆転シフト・グループ(16)の位置にかかわりなく、定まった回転方向に前記駆動軸(3)により駆動されることができるように、前記第1のエネルギー変換器(12)は前記駆動軸(3)に連結できる請求項10に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項12】
前記遊星歯車配置(7)が、多段遊星歯車として構成されて、少なくとも一つの多段遊星(20)を有するウェブ(19)を有し、そして前記少なくとも一つの多段遊星(20)の前記第1段(20a)と連動する第1の太陽(18)を有し、そして前記少なくとも一つの多段遊星(20)の前記第2段(20b)と連動する第2の太陽(22)を有し、そして前記少なくとも一つの多段遊星(20)の少なくとも一つの段と連動する内歯歯車(24)を有する請求項1〜11のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項13】
前記遊星歯車配置(7)が多段式として構成されて
1の太陽(18)、少なくとも一つの第1の遊星(37)を有する第1のウェブ(19)から成り、
そして第1の内歯歯車(28)から成る第1の遊星段(17)と、第2の太陽(22)、少なくとも一つの第2の遊星(23)を有する第2のウェブ(29)から成り、
そして第2の内歯歯車(24)から成る第2の遊星段(21)とを備え、
前記第1の遊星段(17)の連結が、前記第2の遊星段(21)の連結に結合し、そして前記遊星歯車配置が4つの連結を有するように、遊星歯車要素が固定される請求項1〜11のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項14】
前記駆動軸(3)が、前記遊星歯車配置(7)の前記第1の太陽(18)に連結できる請求項12〜13のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項15】
前記第2のエネルギー変換器(13)が前記第2の太陽(22)に連結することができ、
そして/または前記第3のエネルギー変換器(14)が、前記遊星歯車配置(7)の前記第2の内歯歯車(24)に連結できる請求項12〜14のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項16】
前記出力軸(4)が、前記遊星歯車配置(7)の前記ウェブ(19)あるいは前記第1または第2のウェブ(19、29)に連結できる請求項12〜15のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項17】
前記3つのエネルギー変換器(12、13、14)のうちの少なくとも2つが、油圧または電気的に、互いに並列に連結されているかまたは連結可能である請求項1〜16のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項18】
前記3つのエネルギー変換器(12、13、14)のうちの少なくとも2つが、調節可能な静油圧式装置として構成される請求項1〜17のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項19】
前記3つのエネルギー変換器(12、13、14)のうちの少なくとも2つが三相機械として設計されて、フィードバック可能なインバータ(25、26、27)を介して共通の直流電圧中間回路に連結できる請求項1〜17のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【請求項20】
記少なくとも一つの駆動軸(3)に連結できる第4のエネルギー変換器(35)が設けられる請求項1〜19のいずれか一項に記載のパワースプリット式伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの駆動軸および少なくとも一つの出力軸を有する、特に牽引駆動のためのパワースプリット式伝達装置に関するものであり、駆動軸と出力軸の間に、機械式第1の分岐および油圧または電気的第2の分岐が設けられ、それらは遊星歯車配置によって、少なくとも部分的に互いに連結することができて、そこにおいて、第2の分岐は複数のエネルギー変換器を備える。
【背景技術】
【0002】
始動時に大きい牽引力を必要とし、移動方向を頻繁に逆転させる移動作業機械において、特に車輪型ローダーおよびクローラー装着ローダー、なおまた掘削機または類似の荷役運搬車両の場合のように、純粋油圧牽引駆動装置は、変換器を備えた機械的に駆動されるユニットに特有である欠点、例えば、特に、荷重下での始動時における高消費欠点および牽引力中断が全くないことはないシフト段変化を回避するために頻繁に使われる。油圧駆動装置は、例えば、車輪型ローダーおよびクローラー装着ローダーまたは掘削機のような限られた移動速度を有する車両の完全な速度範囲にわたって可能である連続的な速度変化を可能にする。しかしながら、ユニットが高速で大きな損失を生じるので、この種の純粋油圧駆動装置は、より高い移動速度を有する機械式駆動装置と比較するとかなり大きな消費量を有する。
【0003】
いわば、伝達装置システムおよび駆動システムの両方の利点を組み合わせるために、機械式第1の分岐および油圧応用第2の分岐によって選択的に入力側の駆動軸から出力側の出力軸への動力伝達を提供する、いわゆるパワースプリット式伝達装置はすでに提案されており、そこにおいて、伝達装置構成に応じて、純粋機械式から純粋油圧式へ要素を切り換えることによって、またはその逆によって、動力伝達を変更するか、あるいは油圧式動力伝達の部分および機械式動力伝達の部分を変更することが可能である。遊星歯車は、機械式分岐が遊星歯車によって導かれて、油圧応用分岐の少なくとも一つの静油圧式装置が遊星歯車に連結することで、2つの動力分岐が互いにより合計されるという、この点において、今までに用いられた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102008001613(A1)号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008040449号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2280192(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、駆動モーター(それはしばしばディーゼルエンジンである)の回転方向は、この種のパワースプリット式伝達装置に関する問題を生じる。ポンプだけが純粋油圧駆動装置で0度位置を通って回転して、これによって体積流量が同じ入力回転方向によって逆転する一方、機械式分岐の駆動モーターの速度が、少なくとも牽引力の中断なしではなく、または牽引力の調和的ゼロ通過によって単に容易に可逆的でないので、これは機械式分岐の複雑な作業になる。
【0006】
この種のパワースプリット式伝達装置で方向逆転を達成するために、そしていわゆる機械的ラインの牽引力の中断の挙げられた問題を回避するために、油圧回路の「正しい」回転方向のより大きな速度を機械式分岐の「誤った」回転方向に重畳することは、すでに提案された。しかしながら、無効動力は伝達装置において、これにより伝達されて、それは消費量を増加させて、より大きな油圧ユニットを必要にする。トラクタの場合は、例えば、この方法は非常にうまく用いられて、それは、しかしながら、トラクタが前進方向に主に作動するという状態に主に起因し、そして、この点で、後退を有する移動サイクル部分(そこにおいて、指定された回転方向は補償されなければならず、そして無効動力が発生する)は比較的小さい。大きな後退部分または前進と後退の間の多少バランスのよい比率を有する車輪型ローダーまたはクローラー装着ローダーのような移動作業機械の場合は、挙げられた無効動力が後退が起こる非常に多くの移動サイクル部分にわたってここで発生するので、この種の伝達システムのバランスは非常に悪い。
【0007】
代わりに、パワースプリット式伝達装置の機械式分岐への導入のための駆動モーターの予め固定的に規定された回転方向を逆転させることが可能であるために、駆動モーターまたは駆動軸とパワースプリット式伝達装置の遊星歯車の間に逆転装置を設けることが、したがってすでに提案された。機械式分岐の上流に連結される逆転装置を有するこの種のパワースプリット式伝達装置は、例えば、特許文献1および特許文献2により示される。この点で、油圧応用分岐の静油圧式装置は、遊星歯車と、またはそれの下流に配置される手動式伝達装置と関連付けられて、機械力によって油圧動力を合計することが可能である。特に、車輪型ローダーのような大きな後退部分を有する移動作業機械の使用において、これらのすでに周知の解決策の欠点は、しかしながら、システムによってポンプ速度がゼロの方へ進む速度でその最大値に達して、これは逆転シフト・グループによる逆転でその回転方向で同様に変化し、それによって、ポンプの速度の変化は、総計で最大速度の2倍とほぼ一致することである。逆転プロセスが、例えば、それ自体は0.何秒か必要とされる速度で起こる場合、ポンプの境界線上の高い加速はそれによって発生して、早い磨耗または完全な故障さえ発生するように、ポンプはこれによってその荷重制限まで、またはそれを越えて荷重を掛けられる。他方では、これが考慮されて、逆転プロセスがよりゆっくり実行される場合、特に、ドライバーが、以前油圧作動された機械からの停止におけるいかなる休止もなしにゼロの速度で連続的に逆転する習慣を有する場合、ドライバーは、ゼロの速度で感知される「待機期間」によってこの種の遅い逆転を欠点として認める。
【0008】
この逆転の問題を軽減するために、挙げられた理由でパワースプリットを提供することが可能であるにもかかわらず、特許文献3はパワースプリット式伝達装置を提案し、そこでは、油圧ポンプは、逆転シフト段の上流で駆動軸または駆動モーターに連結されて、油圧応用分岐のポンプが同じ方向に常に回転するように、このようにして回転方向の逆転によって損なわれず、そして油圧モーターだけが遊星歯車に連結する。この点で、低速の移動レンジの機械式分岐を切り離すことによって、ここでは通常の逆転が、ゼロを通るポンプの対応する枢動によって、穏やかに、それでも急速に実現されることができるように、動力は単に油圧だけで伝達されることができる。しかしながら、油圧モーターから出力への動力伝達のために遊星歯車と並列に配置されるさらに必要な平歯車チェーンおよびスプリット式伝動第2駆動位置の調整は、この点で不利である。第2の駆動位置の十分に大きい速度範囲をカバーするために、対応するクラッチを有する複数のシフト段が出力側に設けられて、遊星歯車はクラッチを係合することによって、いろいろな速度比をセットすることが可能である。動作がパワースプリットにより行われる場合、個々の移動レンジ段の歯車伝達比の微細な変化だけは、油圧ユニットを調整することにより達成される。伝達装置はこれによって比較的複雑且つ高価になり、そしてクラッチおよびシフトが設けられることによって、保守が大変で、摩耗しやすい。加えて、パワースプリット式伝達装置の効率を損なうアイドリング損失は、必要なクラッチのために生じる。さらにまた、牽引力伝達装置の減退または少なくとも遅延は、純粋油圧動作からパワースプリット動作への切り換え時に生じる。純粋油圧移動レンジの終わりに、純粋油圧最大可能出力速度を実現するために、ポンプは通常最大旋回角度であり、そしてモーターは最小であるか少なくとも減少した旋回角度である。この点で、油圧モーターは、トルク伝達なしに比較的高い速度で無駄に必然的にも動く遊星歯車の内歯歯車に連結している。パワースプリット移動レンジの開始時に、ゼロから始まって増大している油圧応用分岐の速度が、ディーゼルエンジンによって、あらかじめ定義される機械式分岐の一定速度部分に内歯歯車を介して加えられるという点で、速度は増大する。このために、内歯歯車ひいては油圧モーターは、切り換えの直後にゼロの速度または少なくとも低速度を有しなければならず、ポンプが小さい旋回角度またはゼロ旋回角度であり、そしてモーターがこの時点で大きいまたは最大の旋回角度であるという点で、それは実現される。これには、ポンプが後方に旋回しなければならず、そしてモーターがシフトプロセスの間に非常に短い時間に外向きに旋回しなければならないという結果がある。動力伝達装置の上に挙げられた減退の状態はこの時に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基本的な目的は、従来技術の欠点を回避する最初に挙げられた種類の改良されたパワースプリット式伝達装置を提供して、更に進歩した方法でそれを開発することである。特に、速い、連続する磨耗の少ない可逆性は、伝達の効率を損なうことなしに、そして歯車伝達比の調整範囲を制限することなしに、簡単な伝達装置設計により達成されなければならない。加えて、例えば、静油圧式装置の旋回角度がスイッチの間に調整される必要がないように、中断がない牽引力伝達は、いろいろな移動レンジの間のスイッチングでも達成されなければならない。
【0010】
この目的は、請求項1に記載のパワースプリット式伝達装置によって、本発明に従って達成される。本発明の好ましい実施形態は従属クレームの主題である。
【0011】
油圧または電気的に互いに連結できる3つ以上の回転エネルギー変換器を提供し、そして、この点で、少なくとも一つの駆動軸と連結可能な少なくとも一つのエネルギー変換器を配置し、そして遊星歯車配置および/または出力軸と連結可能な少なくとも二つのエネルギー変換器を配置し、そして、この点で、モーターとして、あるいは圧力発生器または電流発生器としてそれぞれ固定した方法ですべてのエネルギー変換器を提供することはなくて、むしろ移動レンジに応じてモーターまたはポンプ/発生器として選択的にエネルギー変換器のうちの少なくとも一つを使用することが提案される。本発明に従って、少なくとも一つの駆動軸は、第1のエネルギー変換器に、そして遊星歯車配置の第1の連結要素に連結できる。その一方で、少なくとも一つの出力軸は遊星歯車配置の第2の連結要素に連結することができて、第2および第3のエネルギー変換器は、遊星歯車配置および/または少なくとも一つの出力軸の少なくとも一つ以上の更なる連結要素に連結できる。動作は、少なくとも三つのエネルギー変換器、および駆動軸に対する、一方では、それに連結する遊星歯車配置に対するそれらのいろいろな結合の使用によって、必要に応じて、パワースプリットで、あるいはまた単に油圧/電気的分岐を介して、または機械式分岐を介して起こることができて、他方では、エネルギー変換器は互いとのいろいろな組み合わせで動作することが可能であり、それによって駆動位置の高い可変性が生じる。大きなスプレッドは、遊星歯車配置および/または出力軸に直接または間接的に結合するか、あるいは、例えば、クラッチアセンブリまたはシフティングアセンブリを介して結合されることができる少なくとも2つのエネルギー変換器によって、歯車伝達比の同時に連続する調整力を有する上流または下流のシフト段伝達グループなしでも特にパワースプリット移動で達成されることもできる。他方では、純粋油圧または電気的移動位置(それは、特に、短い、連続であるが、それでいて穏やかなゼロ通過を有する移動駆動装置の単純な逆転を達成できる)は、少なくとも一つの駆動軸または上流の駆動モーターに直接または間接的に連結するかまたは連結できる少なくとも一つのエネルギー変換器によって実現することもできる。同時に、駆動軸に連結される挙げられた第1のエネルギー変換器は、モーターとして、そしてポンプ/発生器としても可変実施可能性によって移動位置の可変性を有利に向上させることができる。
【0012】
本発明の更なる開発において、それぞれの異なるエネルギー変換器が、所望の出力速度および/または所望の出力トルクに応じて圧力発生器または電流発生器として動作できるように、エネルギー変換器を制御するための制御装置は、この点で有利に設けられて、構成される。提供は、第1のエネルギー変換器および2つの他のエネルギー変換器のうちの少なくとも一つが、所望の出力速度に応じてモーターとして、あるいは圧力発生器または電流発生器として交替に動作できるというこの点において、特になされることができる。駆動位置の可変性は、発生器動作とモーター動作の間のエネルギー変換器の制御可能な切り換え機能によってすぐに更に向上できる。静油圧式装置の場合、挙げられた制御装置は旋回角度を調整できる。電気機械の場合、周波数は、例えば、交流機械の場合に周波数インバータにより調整されることができるか、または電圧は、直流機械の場合に電圧調整器により調整されることができる。
【0013】
挙げられた第2および第3のエネルギー変換器の連結は、通常、出力軸までの、それに連結されるアセンブリまでの遊星歯車配置のいろいろな位置で行われることができる。しかしながら、有利なことに、第2および第3のエネルギー変換器の両方は、遊星歯車配置に連結されて、パワースプリット動作の機械式分岐に関して速度変化のためにエネルギー変換器の各々を利用することが可能である。出力軸に直接連結しているエネルギー変換器は、トルクを変化させるためにだけ用いることができるが、他方では、遊星歯車に連結している残りのエネルギー変換器だけが速度変化のために用いることができる。したがって、遊星歯車配置は、有利に少なくとも4つのコネクタまたは連結要素を備え、駆動軸および出力軸は、挙げられた第1および第2の連結要素に連結しているその一方で、第2のエネルギー変換器または第3のエネルギー変換器は、第3および第4の連結要素にそれぞれ連結している。
【0014】
例えば、それぞれの要素が、例えば軸を介して対応する連結要素に直接且つ一体に連結されるように、挙げられた連結要素へのそれぞれの構成要素の連結は、この点で通常直接施されることができる。あるいは、しかしながら、対応する構成要素がそれぞれの連結要素から切り離されたり、それに連結できるように、挙げられた伝達要素、すなわち、駆動軸、出力軸、およびエネルギー変換器のうちの少なくとも一つまたは全ては、例えば、更なる伝達要素または伝達段階の介在によって、例えば、平歯車対の形で、そして/またはクラッチの介在によって、それぞれの連結要素に間接的に連結されることもできる。エネルギー変換器の各々は、したがって、それぞれの伝達要素または連結要素に直接または間接的に連結されるかまたは連結可能でありえる。これはまた、少なくとも一つのそれぞれの更なる伝達要素に直接または間接的に連結されるかまたは連結可能でありえる他の伝達要素にもあてはまる。
【0015】
本発明の有利な更なる開発において、エネルギー変換器が常にまた駆動軸で、または対応する惑星歯車要素で回転するか、あるいはそれらの停止で同様に静止するように、エネルギー変換器は、クラッチの介在なしに駆動軸または遊星歯車配置に連結できる。この種のクラッチの領域の動力の損失は、エネルギー変換器のこの種のクラッチフリーの連結によって回避できる。伝達装置は、速度変化のための手動式伝達装置なしで有利に構成されることもできる。本発明の更なる開発において、パワースプリット式伝達装置は、単にエネルギー変換器を調整することによって、そして任意に機械式分岐のオンとオフを切り換えることによって、そして任意に遊星歯車配置の個々の要素のブロッキングによって変速を達成できる。
【0016】
本発明の更なる開発において、第2および/または第3のエネルギー変換器が直接または間接的に連結されるかまたは連結可能である連結要素のうちの少なくとも一つは、制動装置により係止されることができて、制動装置は、連結要素と、またはそれに回転可能に固定して連結される要素と直接関連付けられることが可能である。この種の制動装置によって、遊星歯車配置を介した動力伝達は、エネルギー変換器がスイッチを切られるかまたはゼロに設定される効率的な方法で行われることもできる。しかしながら、例えば、エネルギー変換器が、連結要素に作用する力またはトルクに対抗する停止の充分なトルクを発生するという点で対応する移動レンジをセットするために、対応する連結要素およびそれに接続可能なエネルギー変換器によって、それに連結される遊星歯車配置の伝達要素を止めることも代わりに可能である。これは関連するエネルギー変換器の対応する制御装置により達成することができる。あるいは、または加えて、それぞれの要素の一方向だけの移動を可能にするが、反対方向のそれをブロックするオーバーランニングクラッチを設けることができる。しかしながら、第2の分岐の動力損失が減少して、更により小さいエネルギー変換器を用いることができるので、制動装置の使用は好ましい。
【0017】
制動装置は、特に、上述した第3のエネルギー変換器が直接または間接的に連結されるかまたは連結可能である上述した第4の連結要素と関連付けられることが可能である。あるいは、または加えて、制動装置はまた、第2のエネルギー変換器に直接または間接的に連結されるかまたは連結可能である遊星歯車配置の第3の連結要素と関連付けられることもできる。
【0018】
本発明の更なる開発において、第4のエネルギー変換器、任意に第5のエネルギー変換器も、そして更なるエネルギー変換器さえも設けられることが可能である。この種の第4のエネルギー変換器は、例えば、始動補助として、または動力ピークの発生時に有利であるブースト機能という意味において、付加的な動力印加を提供することが可能であるために、少なくとも一つの駆動軸に有利に連結できる。この種の第4のエネルギー変換器は、利用できるエネルギー源の構成に応じて他のエネルギー変換器と違って構成されることもできる。例えば、複合型駆動装置が設けられる場合、他のエネルギー変換器が静油圧式装置であっても、前記第4のエネルギー変換器は電気モーター/発生器として構成されることができる。この点で、挙げられた第4のエネルギー変換器が連結されることができる電気/油圧エネルギー貯蔵部位が設けられることもできる。
【0019】
上述した制御装置は、通常、異なって構成されることができるか、または異なる方法で伝達装置を制御できる。一方では、エネルギー変換器のうちの少なくとも一つ、好ましくは少なくとも二つ、および特にエネルギー変換器の全ては、調節可能な様に構成されることができて、制御装置は、個々の調節可能なエネルギー変換器またはさらに他の調節可能なエネルギー変換器の全てによって、それぞれのエネルギー変換器を個々に、またはグループ的に調整することが可能である。第2の分岐が油圧応用機械として構成される場合、そして、したがって静油圧式装置がエネルギー変換器として設けられる場合、少なくとも一つの静油圧式装置または対応する静油圧式装置は、排水容積において調節可能であり、そしてその排水容積が、ゼロと最大排水容積の間で、または最大ネガティブ排水容積と最大ポジティブ排水容積の間で連続的に有利に調整されることができる調整ユニットでありえる。それぞれの静油圧式装置の旋回角度は、制御装置によって特に調整されることができる。少なくとも2つ、または特に3つ全ての静油圧式装置が並列に油圧で連結されるかまたは連結可能であるときに、上記の機能は簡単な方法で特に実現できる。対照的に、第2の分岐が電気的に構成される場合、そして、それに応じて電気機械がエネルギー変換器として設けられる場合、少なくとも一つの電気機械、好ましくは少なくとも二つ、および特に電気機械の各々は三相機械として設計されることができて、例えば、それぞれの電気機械の速度が、モーター動作において、好ましくはゼロと最大ポジティブまたは最大ネガティブ速度の間で挙げられたインバータを介して調整されることができるように、フィードバック可能なインバータを介して共通の直流電圧中間回路に接続されることができるか、または対応するスイッチ素子によってそれに接続されることができる。
【0020】
本発明の更なる開発において、伝達装置は、伝達装置のシフト状態を変えるために制御装置によってシフトされることができる少なくとも一つのシフト要素を備えることもできる。この種のシフト要素は、特にクラッチおよび/または制動装置でありえるが、原則として、他のシフト要素、例えば、シフト状況が挙げられた制御装置により変更されることができる連結可能な歯車伝達ステージでもありえる。
【0021】
本発明の更なる開発において、第1の移動レンジにおいて、出力軸が油圧または電気的な第2の分岐により駆動されることができるだけであるように、伝達装置の機械式第1の分岐は、少なくとも一つのクラッチによって駆動軸から特に切り離すことができる。挙げられたクラッチは、それぞれの駆動位置を調節可能なエネルギー変換器の制御と協同して設定することが可能であるように、制御装置によって有利に制御されることができる。挙げられた方法で、機械式第1の分岐が駆動軸から切り離される場合、挙げられた第1の移動レンジで、モーター動作において駆動軸に結合する第1のエネルギー変換器がポンプまたは発生器として動作して、第2および第3のエネルギー変換器のうちの少なくとも一つがモーターとして動作する制御装置が特に設けられることが可能である。
【0022】
機械式第1の分岐においてスイッチを切るかまたは切り換えるための挙げられたクラッチは、遊星歯車配置の第1の連結要素の回転方向が駆動軸に対して逆転可能である逆転シフト・グループによって、本発明の有利な更なる開発において形成されることができる。挙げられた逆転シフト・グループは、この点で駆動軸と遊星歯車配置の間に有利に設けられる。第1の分岐の切り離しは、しかしながら、挙げられた逆転シフト・グループによって必ずしも実行される必要があるわけではない。クラッチは、むしろ、逆転シフト・グループが、逆転シフト・グループの動作と独立して第1の分岐のスイッチのオフまたはインを実行することが可能であるように構成される方法に応じて、挙げられた逆転シフト・グループから別に、またはそれに加えて設けることもできる。有利なことに、また一方、第1の分岐を切り換えるためのクラッチは、挙げられた逆転シフト・グループに組み込まれて、それは、前方の段または後方の段に切り換わることが選択的に可能であるために、2つのクラッチ・ユニットまたは1つのダブルクラッチ・ユニットから有利に成ることができる。
【0023】
伝達装置がパワースプリットであり、すなわち、第1の分岐を切り換えることによって動作する場合、モーター動作において駆動軸に連結している第1のエネルギー変換器および遊星歯車配置に連結している第2のエネルギー変換器が、モーターとして、そして圧力発生器として両方、または電流発生器として選択的に各々動作できるように、特に、モーターとしての第1のエネルギー変換器の動作において、第2のエネルギー変換器がポンプまたは発生器として動作し、そして、逆にいえば、ポンプまたは発生器としての第1のエネルギー変換器の動作において、第2のエネルギー変換器がモーターとして動作するように、制御装置は、出力軸が第1の分岐および第2の分岐の両方により駆動されるこの種の第2の移動レンジでエネルギー変換器を有利に調整することができる。達成可能な速度変換は、第1および第2のエネルギー変換器のこの種の動作反転によってかなり向上することができる。
【0024】
異なる下位レンジは詳細にセットされることができて、動力が巧みなスイッチングによって、またはエネルギー変換器の調整によって、両方の分岐を使用してパワースプリットで伝達される挙げられた第2の移動レンジで互いに結合して移動することができる。必要なトルクまたは必要な速度に応じて、いずれの非常に大きなトルクも同時に小さい速度で出力されることができるか、または非常に小さいトルクが高速で出力されることができるように、部分はパワースプリットにより調整されることができる。車輪型ローダーまたはクローラー装着ローダーは、それにより非常に低い移動速度から非常に高い移動速度まで連続的に移動することができる。
【0025】
本発明の有利な更なる開発において、第2のエネルギー変換器は、モーター動作において挙げられた第2の移動レンジの第1の下位レンジでこの点でポンプ/発生器として動作することができる。その一方で、第3のエネルギー変換器はモーターとして動作して、第1のエネルギー変換器は同様にモーターとして動作する。あるいは、または追加して、挙げられた第2の移動レンジの第2の下位レンジで、第2のエネルギー変換器はポンプ/発生器としてモーター動作において動作することができて、第3のエネルギー変換器はモーターとして動作できる。その一方で、第1のエネルギー変換器はトルクを伝達せずに無駄に回転する。あるいは、または加えて、挙げられた第2の移動レンジの第3の下位レンジで、第1のエネルギー変換器はポンプとしてモーター動作において動作することができて、第2のエネルギー変換器はモーターとして動作できる。その一方で、第3のエネルギー変換器はトルクを伝達せずに無駄に回転する。いろいろな速度範囲および/またはトルク範囲は、挙げられた下位レンジおよびエネルギー変換器の対応する設定を使用して、パワースプリットの第2の移動レンジで実現されることができて、挙げられた第1の下位レンジより高い速度は挙げられた第2の下位レンジで達成されることが特に可能であり、そして挙げられた第2の下位レンジより高い速度は挙げられた第3の下位レンジで達成されることが同様に可能である。この点で、速度は、好ましくは第1の移動レンジに途切れなく隣接する挙げられた第1の下位レンジによって、または、伝達装置が単に油圧または電気的に、すなわち第2の分岐を介して動作するという点で重なり合う方法で特に達成することができる。非常に広い速度変換範囲は、全体的にこれにより達成することができる。
【0026】
少なくとも一つのエネルギー変換器、有利なことに、複数のエネルギー変換器も、達成されるトルクおよび/または達成される速度の連続的な変化を達成するために、挙げられた移動レンジまたは下位レンジの各々において有利に同時に調整されることができる。本発明の更なる開発において、例えば、第2の移動レンジの挙げられた第1の下位レンジの第1の静油圧式装置は、最大旋回角度とゼロ位置の間で調整されることができる。あるいは、または加えて、第2の静油圧式装置および/または第3の静油圧式装置は、最大旋回角度と減少した旋回角度またはゼロ位置の間でパワースプリット移動レンジの第2の下位レンジで連続的にまたは同時に調整されることができる。あるいは、または加えて、パワースプリット移動の挙げられた第3の下位レンジで、第1の静油圧式装置および/または第2の静油圧式装置の旋回角度の調整を実行することができる。
【0027】
本発明の更なる開発において、エネルギー変換器のうちの少なくとも二つは、油圧または電気的に並列に連結されることができて、特に、第1のエネルギー変換器に発する体積流量または電流が第2および第3のエネルギー変換器の両方に入る(逆もまた同じ)ように、全3つのエネルギー変換器は本発明の有利な実施形態で互いと並列に連結されて配置されることが可能である。あるいは、または加えて、体積流量または電流の形でエネルギー変換器のうちのいずれか一つにより出力されるエネルギーが、他のエネルギー変換器の各々に伝えられることが可能であるように、エネルギー変換器の並列連結は構成されることもできる。多くのいろいろなスイッチ状態はこれにより達成することができる。油圧体積流量または電流の形で並列に連結したエネルギー変換器に作用するエネルギーの流れは、特に、エネルギー変換器を下へ調整することによって、例えば、ゼロ位置をセットすることによって、より大きくまたはより小さくすることもできて、そこにおいて、いかなる動力の受容および出力も起こらない。移動レンジの微調整、なおかつ大きい調整範囲全体にわたって可変の調整はこれにより達成することができる。
【0028】
遊星歯車配置自体は、通常、いろいろな構成を有することができて、遊星歯車配置は多段として有利に構成される。遊星歯車配置は、少なくとも一つの多段遊星を有するウェブを備える多段遊星歯車として特に構成されることができて、第1の太陽は少なくとも一つの多段遊星の第1段と連動し、第2の太陽は挙げられた少なくとも一つの多段遊星の第2段と連動し、そして内歯歯車は少なくとも一つの多段遊星の少なくとも一つの段と連動する。エネルギー変換器だけでなく駆動軸および出力軸のための4つの連結要素は、これによって簡単な方法で設けられることが可能である。
【0029】
あるいは、または加えて、しかしながら、遊星歯車配置は、2つの従来通りに構成された遊星段を有して設けられることもできて、各々は、太陽、内歯歯車、および少なくとも一つの遊星を有するウェブを有し、各遊星段自体は3つの連結要素を有する。本発明の有利な更なる開発において、第1の遊星段の連結は第2の遊星段の連結に結合することができて、このように結合される遊星段システムが挙げられた伝達要素を連結するための4つの連結要素を有するように、更なる連結を固定することができる。この点で有利な方法で、2つのウェブは互いに結合することができ、そして/または内歯歯車のうちの一つは固定することができる。
【0030】
本発明の有利な実施形態に従って、駆動軸は遊星歯車配置の第1の太陽に直接または間接的に連結されるかまたは連結可能であり、そして出力軸はウェブまたは遊星歯車配置のウェブのうちの1つに直接または間接的に連結されるかまたは連結可能である。第2のエネルギー変換器は第2の太陽に有利に直接または間接的に連結している。その一方で、第3のエネルギー変換器は、本発明の有利な更なる開発において、遊星歯車配置の内歯歯車に、または非固定第2の内歯歯車に直接または間接的に連結されるかまたは連結可能でありえる。
【0031】
本発明は、好ましい実施形態および関連する図面を参照して以下に更に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の有利な実施形態によるパワースプリット式伝達装置の概略図であり、本発明に従って、3つのエネルギー変換器は調節可能な静油圧式装置の形で提供されて、機械式分岐は駆動軸と関連する回転方向に逆転シフト・グループによって逆転することができる。
図2】本発明の有利な実施形態によるパワースプリット式伝達装置の概略図であり、本発明に従って、3つのエネルギー変換器はフィードバック可能なインバータを有する電気機械の形で提供されて、機械式分岐は駆動軸と関連する回転方向に逆転シフト・グループによって逆転することができる。
図3】スイッチを切られた機械式第1の動力分岐を備えた前の図からのパワースプリット式伝達装置の動力伝達装置の概略図である。
図4】スイッチを入れた機械式第1の分岐を備えた前の図からのパワースプリット式伝達装置の動力伝達装置の概略図であり、パワースプリット移動の第1の下位レンジが示されている。
図5】スイッチを入れた機械式第1の分岐を備えた前の図からのパワースプリット式伝達装置の動力伝達装置の概略図であり、パワースプリット移動の第2の下位レンジが示されている。
図6】スイッチを入れた機械式第1の分岐を備えた前の図からのパワースプリット式伝達装置の動力伝達装置の概略図であり、パワースプリット移動の第3の下位レンジが示されている。
図7】代替の実施形態による前の図からのパワースプリット式伝達装置の遊星歯車配置の概略図であり、代替の実施形態に従って、遊星歯車配置はそれ自体は従来の2つの遊星段を備え、そして各々は、太陽、ウェブ、少なくとも一つの遊星、および内歯歯車を有し、2つの遊星段のウェブは結合される。
図8】本発明の更に有利な実施形態によるパワースプリット式伝達装置の概略図であり、本発明に従って、4つのエネルギー変換器は3つの静油圧式装置および1つの電気機械の形で提供されて、機械式分岐は駆動軸と関連する回転方向に逆転シフト・グループによって逆転することができて、第2の駆動モーターおよび第2の出力軸は追加して提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に示すように、パワースプリット式伝達装置1は、例えば、ディーゼルエンジン2の形で駆動モーターにより駆動されることができる入力軸または出力軸3を備えることができて、振動またはねじれダンパーあるいは他の挿入された伝達部材は、駆動モーター2とパワースプリット式伝達装置1の間に設けられることが可能である。
【0034】
機械式第1の分岐5および油圧式第2の分岐6は、パワースプリット式伝達装置1の駆動軸3と出力軸4の間に設けられて、それらの分岐を介して駆動軸3の動力はモーター動作で出力軸4に伝達されることができて、動力成分の機械式分岐および油圧応用分岐への分割は、後述するように、伝達装置の対応する制御装置によって変更することが可能である。
【0035】
機械式第1の分岐5は、回転方向を逆転させるために逆転シフト・グループ16によって駆動軸3に連結している。挙げられた逆転シフト・グループ16が駆動軸3と共に、そしてそれと同じ方向に回転するように、それは前進クラッチKvによって駆動軸3に結合できる前進歯車30を備える。他方では、逆転シフト・グループ16は、駆動軸3またはそれに連結される平歯車と拍車係合する平歯車32に逆転クラッチKrを介して結合することができて、駆動軸3に対して反対の回転方向に回転する逆転歯車31を備える。前進クラッチKvおよび逆転クラッチKrのどちらがそれぞれ係合しているかに応じて、機械式分岐5の入力軸34が前方または後方に回転するように、挙げられた前進および逆転歯車30および31は機械式第1の分岐5の入力歯車33に係合する。入力歯車33が、駆動軸3の同じそれぞれの速度で後方および前方への動作の量だけ同じまたはほとんど同じ速度で回転するように、配置はこの点で構成される。入力歯車33の、したがってこの点で遊星歯車列の入力軸34の速度は、必ずしも駆動軸3の速度と同じである必要があるというわけではないが、挿入された歯車の構成に応じて、それに関してむしろより大きいかまたはより小さいことがありえる。前進クラッチおよび後方クラッチKvおよびKrが係合を解除される場合、機械式第1の分岐5は切り離される。逆転シフト・グループ16は、この点で、機械式第1の分岐5をオフおよびインに切り換えるためのクラッチ装置を同時に形成する。
【0036】
機械式第1の分岐5は、第1の分岐5の挙げられた入力軸34をパワースプリット式伝達装置1の出力軸4に連結する遊星歯車機構7を介して続けられる(図1参照)。
【0037】
図1に示す実施形態では、遊星歯車配置7は、第1段20aが第1の遊星段17の第1の太陽18に作動的に連結している少なくとも一つの多段遊星20があるウェブ19を備える多段遊星歯車列として構成される。その一方で、多段遊星20の第2段20bは、第2の遊星段21の第2の太陽22だけでなく内歯歯車24にも作動的に連結している。
【0038】
遊星歯車配置7には、このように4つの連結ポイントまたは連結がある。第1の連結要素8は第1の太陽18により形成されて、入力軸34、入力歯車33、および逆転シフト段16を介して駆動軸3に連結される。第2の連結要素9は、出力軸4に連結しているウェブ19に設けられている。第3の連結要素10は、第2の太陽22により形成されて、調節可能な静油圧式装置の形で第2のエネルギー変換器13に連結している。第4の連結要素11は、第3のエネルギー変換器14が同様に調節可能な静油圧式装置の形で連結される内歯歯車24により形成されて、制動装置K1(それによって第4の連結要素11ひいては内歯歯車24はブロックされることができる)は、挙げられた第4の連結要素11および/または挙げられた第3のエネルギー変換器14に関連付けられる。
【0039】
図1に示す実施形態の代替として、遊星歯車配置7は、図7に示すように、互いの後に連結される2つの従来通りに構成された遊星段17および21から成ることもできる。第1の遊星歯車段17は、この点で、第1の太陽18、第1のウェブ19(それには少なくとも一つの遊星がある)、更には第1の内歯歯車28から成る。第2の遊星段21は、第2の太陽22、第2のウェブ29(それには少なくとも一つの第2の遊星23がある)、更には第2の内歯歯車24から類似して成る。図7に示すように、第1および第2のウェブ19および29は、互いに連結しているか、または二重ウェブとして設計される。第1段の内歯歯車28は、図7に示すように固定される。
【0040】
図7に示すように、第1の太陽18は、ここでまた駆動軸3の連結のための第1の連結要素8を形成することができる。第2の連結要素9は、相互に連結するウェブ19および29により形成されることができて、出力軸4を連結することができる。図1に従う実施形態と類似の方法で、第2の太陽22は、第2のエネルギー変換器13を連結するための第3の連結要素10を形成する。その一方で、第2の内歯歯車24は、第3のエネルギー変換器14を連結するための第4の連結要素11を形成する。
【0041】
遊星歯車配置7に連結する2つのすでに言及されたエネルギー変換器13および14に加えて、伝達装置の油圧式第2の分岐6は、以下で第1のエネルギー変換器12と呼ばれて、2つの他のエネルギー変換器13および14とは異なり、遊星歯車配置7に連結せずに、むしろ駆動軸3に、そして実際逆転シフト・グループ16の前に、または第1のエネルギー変換器12(それは調節可能な静油圧式装置として同様に構成されることができる)が、挙げられた逆転シフト・グループ16のシフト状態と独立して駆動軸3と共に回転するように連結する更なるエネルギー変換器12を備え、静油圧式装置12が駆動軸3に対して反対方向に回転するように、連結は図1に示した実施形態で内歯歯車32を介して行われる。エネルギー変換器12が、このエネルギー変換器に有利であって、駆動軸3の速度と異なる速度を有することができるように、第1のエネルギー変換器12は、駆動軸3に対して速度が増大するか、または低下することができる。
【0042】
エネルギー変換器12、13および14が、図1に従う実施形態のそれぞれの調節可能な静油圧式装置として構成される一方、第2の分岐6が電気装置として構成されるように、他のエネルギー変換器、特に電気機械は、第2の分岐6のために用いることもできる。図2に示すように、特に、3つの電気エネルギー変換器は、それ自体は対応する方法で遊星歯車配置7または駆動軸3に連結することができて、挙げられたエネルギー変換器12、13、および14は、フィードバック可能なインバータ25、26、および27を介して共通の直流電圧中間回路に接続できる三相機械として構成されることが有利に各々可能である(図2参照)。したがって、電気機械は、挙げられたインバータの調整によってそれらの速度に関して調整されることができて、モーターとして、またはモーター動作の電流発生器として選択的に動作することができる。別の観点から言えば、図2に従う実施形態は、参照がその説明になされるように、図1に従う実施形態に対応する。
【0043】
図に従うパワースプリット式伝達装置1を用いて、そして必要なトルクまたは必要な速度に応じて、非常に大きなトルクが同時に低い速度で出力されることができるか、または非常に小さいトルクが高い速度で出力されることができるように、機械的に伝達される動力および油圧/電気的に伝達される動力の部分は調整されることができて、車輪型ローダーまたはクローラー装着ローダーは、例えば、非常に低い移動速度から非常に高い移動速度まで連続的に動作することが可能である。中断のない牽引力伝達は、異なる移動レンジの間で切り換わることで特に達成されることもできる。効率は、特により高い移動速度で、パワースプリット式伝達装置の特定の構成によって実質的に改善することができる。さらにまた、駆動モーター2の速度は低下することができて、それは更なる燃料節減をもたらす。
【0044】
特に、以下の移動位置は、移動駆動装置のための、例えば、車輪型ローダーまたはクローラー装着ローダーのための油圧異型に関して以下において説明されるパワースプリット式伝達装置1で実現することができる。
【0045】
大きな牽引力は始動時に典型的に必要とされる。図3に示すように、これは、パワースプリット式伝達装置1が第1の移動レンジで純粋に油圧で動作するという点で、この場合に発生できる。このために、伝達装置の機械式第1の分岐5は、逆転シフト・グループ16の両方のクラッチKvおよびKrが開かれるという点で、オフに切り換えられるかまたは切り離される。したがって、図3に示すように、ここで、油圧式第2の分岐6だけは動作し、第1の静油圧式装置12はポンプとして動作して、駆動軸3により駆動される。始動状態において、すなわち停止で、第1の静油圧式装置12は、この点で、制御装置15によって旋回角度0に最初にセットされる。その一方で、第2の静油圧式装置13は、モーターを最大のトルクで始動することが可能であるように最大旋回角度にセットすることができる。制動装置が、示される図に従って実施形態のように設けられる場合、第3の静油圧式装置14と関連する連結要素11は、それによってブロックされることが可能であり、挙げられた制動装置K1は始動状態において閉じられる。すでに最初に説明したように、内歯歯車24の停止は、しかしながら、挙げられた第3の静油圧式装置14により起こることもあり、制動装置K1によるブロッキングは好ましい。パワースプリット式伝達装置が2つだけの静油圧式装置、すなわち、第1の静油圧式装置12および第2の静油圧式装置13で動作するように、第3の静油圧式装置14はこれによってゼロにセットすることができる。
【0046】
始動するために、第1の静油圧式装置12が増加する体積流量を供給するように、この点において、ポンプとして動作する第1の静油圧式装置12はゼロから外へ旋回し、挙げられた第1の静油圧式装置12は、速度を上げるためにその最大旋回角度まで動作することが有利に可能である。体積流量によって発生する高圧pHDは、モーターとして動作する第2の静油圧式装置13に印加されて、前記第2の静油圧式装置は、第1の始動後に、または第1の静油圧式装置12が完全に外へ旋回するときに、その最大外向き旋回位置からはるかに小さい外向き旋回位置に、例えば、その最大旋回角度のほぼ30%まで移動することが可能である。旋回角度のこの調整は、ゼロから離れて増加して、第2の太陽歯車22で速度の増大に対応して生じる第2の静油圧式装置13の速度を生じ、それは、静止した内歯歯車24の場合は、ウェブ19の速度の対応する増大、したがってまた移動速度の増大を生じる。速度差がクラッチKvに存在しないか、または小さい速度差だけが存在するように、機械式第1の分岐5の入力軸34の速度がその場合駆動軸3の速度に適合するように、この移動レンジの端における2つの静油圧式装置12および13の旋回角度は選択される。この移動状態、いわゆる同期点に達するときに、スイッチは純粋油圧移動からパワースプリット移動へなされることができる。
【0047】
このために、一方では、第3の静油圧式装置14は、制動装置K1の解除の後に、そこで印加されるトルクまたは内歯歯車24を保持することが可能であるために、有利に完全に外向きに旋回する、すなわち最大トルク容量にセットされる。少し前に、または少し後に、または同時に、機械式第1の分岐5は、逆転シフト段16の前進クラッチKvが閉じられることによってインに切り換えられる。第1の太陽18の速度は、このように更なる手順において、駆動軸3の速度に、または、例えばディーゼルエンジン2のそれに正比例する。
【0048】
このパワースプリット第2の移動レンジの第1の下位レンジにおいて、第2の静油圧式装置13はそれから、図4に示されているように、モーター移動動作においてポンプとして動作する。その一方で、反対に、第1の静油圧式装置12はモーターとして動作する(図4参照)。有利なことに、前記第1の静油圧式装置12は、また一方で、本発明の更なる開発における制御装置15によって、その旋回角度が減少し、特にゼロにセットされることができる。油圧体積流量の増加する部分が、ゼロから始まって、その速度を上げて、モーター駆動動作においてモーターとして動作するように、第2の静油圧式装置13によって、ゼロから始まって、供給される油圧体積流量の増加する部分は、これによって第3の静油圧式装置14に到達する。これは、ゼロから離れて増加し、そして第1の太陽18で遊星歯車の機械式分岐5の速度に加えられて、したがってウェブ19の速度の更なる増大を生じ、したがって出力軸4の速度の更なる増大を生じ、したがって移動速度の更なる増大を生じる内歯歯車24の速度を生じる。第1の静油圧式装置12がゼロまで旋回するときに、動作は、当然機械式第1の分岐5に加えて、第2および第3の静油圧式装置13および14で起こるだけである。この点で、パワースプリット第2の移動レンジの第2の小区分は始まる。
【0049】
図5に示すパワースプリット第2の移動レンジのこの第2の小区分において、挙げられた2つの第2および第3の静油圧式装置13および14は、それから、したがって移動速度または伝達トルクを変化させるために、それらの旋回角度に関して調整されることができる。この点で、第2の静油圧式装置13はポンプとして、そして第3の静油圧式装置14はモーター移動動作においてモーターとして動作し続ける。第1の静油圧式装置12は、この移動レンジに引き込まれるだけで、アイドリングする、すなわち、トルクなしで、またはほとんどトルクなしで動作する。なぜならば、それは旋回角度0である。より高い移動速度で移動することが可能であるために、特に第2の静油圧式装置13は、特に最大ストローク排水容積位置まで更に外向きに再び旋回することができる。同時に、またはオフセット・イン・タイム、第3の静油圧式装置14は、特にゼロ位置まで減らされるその排水容積を有することができる。静油圧式装置14の速度はそれによって更に増加して、それは内歯歯車24の更に増加する速度を生じて、したがって移動速度の更なる増大を生じて、同時に第2の太陽22の、したがって第2の静油圧式装置13の減少する速度を生じる。第3の静油圧式装置14のゼロ位置に達したときに、第2の静油圧式装置13の速度はゼロに等しい。この点で、パワースプリット第2の移動レンジの第3の小区分は始まる。
【0050】
ここで移動速度をさらにもっと上げるために、図6に示すように、第1の静油圧式装置12は、ここで、パワースプリット第2の移動レンジの第3の下位レンジにおいてゼロから離れて負の方向に外へ旋回することができる。第2の静油圧式装置13が、ここで、反対方向に回転し始めもして、ポンプ動作からモーター移動動作におけるモーター動作へ戻るように、第1の静油圧式装置12(それはここでモーター移動動作においてポンプとして再び動作する)の油圧体積流量はこれによって逆転する。第2の太陽歯車22の負の駆動速度は、ウェブ19の速度の更なる増大、したがって移動速度の更なる増大を生じる。第3の静油圧式装置14がゼロの旋回角度であるので、それはこの移動レンジに引き込まれるだけで、トルクなしで、または少なくともほとんどトルクなしで動作する。第1の静油圧式装置12がここで移動速度を再び回復するために負の方向の最大まで外向きに旋回する場合、最大移動速度に達するまで、モーター移動動作においてモーターとして動作する第2の静油圧式装置13は再び後方に旋回する。第1および第2の静油圧式装置12および13の調整はそれぞれここで同時に、または時間が重複して行われることもできる。
【0051】
また、パワースプリット式伝達装置1を使用して後方に移動することが可能であるために、ここで、純粋油圧式伝達装置のように、滑らかな、連続するにもかかわらず急速な逆転が可能であるように、始動時にポンプとして動作する第1の静油圧式装置12は、ゼロから連続的に離れる、または負の方向にゼロを通る純粋油圧動作においてそれ自体は公知の方法で最初に調整されることができる。また、後退のための前に説明されたいくつかの移動レンジを有するために、特にまた、パワースプリット移動を使用することが可能であるために、速度差がクラッチKrに存在しないか、またはほんの小さい速度差が存在するように、機械式第1の分岐5の入力軸34の速度が駆動軸3の速度に適合するとすぐに、逆転クラッチKrが閉であるという点で、機械式第1の分岐5の入力軸34は、パワースプリット範囲の後方への移動のための逆転シフト・グループ16によって逆転方向に駆動される。したがって、入力軸34は、駆動軸3の駆動速度に従って明らかに再び回転する。これは、負号を付した量に応じると見ることができる。異なるパワースプリット移動位置は、それから、前述したように類似した方法で生じる。
【0052】
図8に示すように、パワースプリット式伝達装置1は3つ以上のエネルギー変換器を備えることもできる。図8に示す実施形態では、第4のエネルギー変換器35は、この点で駆動軸3に連結することができる。挙げられた第4のエネルギー変換器35は、他のエネルギー変換器12、13、および14の構成と独立して、油圧または電気装置として構成されることができて、例えば三相機械の形の電気機械が図8に描画された実施形態で提供される。
【0053】
動力必要のピークが始動時に発生する場合、付加的なトルクは、ブースト機能という意味において追加の第4のエネルギー変換器35を介して駆動軸3に印加されることができる。この点で、エネルギー変換器35はいろいろな側からエネルギーを供給されることができて、図8に従って電気エネルギー貯蔵部位36が本発明の有利な更なる開発において、設けられて、それから第4のエネルギー変換器35に供給することができる。第4のエネルギー変換器35は、惰走モードで発電機として有利に動作することができて、電流を前記エネルギー貯蔵部位36に供給することができる。第4のエネルギー変換器35が静油圧式装置として構成されるときに、エネルギー貯蔵部位36は蓄圧器でありえる。
【0054】
図8は、パワースプリット式伝達装置1が複数の駆動モーターにより駆動されることができることをさらに示す。前の実施形態からの駆動モーター2に加えて、図8に示すように、平歯車32に接続している第2の駆動モーター2aがこの点において設けられる。前記駆動モーター2aは同様にディーゼルエンジンでありえるが、異なる構成でもありえる。
【0055】
図8は、パワースプリット式伝達装置1が複数の出力軸を備えることもできることを更に示す。少なくとも一つの追加出力歯車4aは、遊星伝達装置のウェブ19で有利に係合することができる。
【0056】
別の観点から言えば、この点で、参照が前の説明に、また図3〜6を参照して動作および動作状態の説明にもなされるように、図8に従う実施形態の構成は、図1に従う実施形態に実質的に対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8