(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010629
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】電気精錬システムのための連続回収システム
(51)【国際特許分類】
C25C 7/06 20060101AFI20161006BHJP
C25C 7/00 20060101ALI20161006BHJP
G21C 19/44 20060101ALI20161006BHJP
B65G 19/04 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
C25C7/06 301A
C25C7/00 302Z
G21C19/44 L
B65G19/04
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-549039(P2014-549039)
(86)(22)【出願日】2012年10月4日
(65)【公表番号】特表2015-504975(P2015-504975A)
(43)【公表日】2015年2月16日
(86)【国際出願番号】US2012058664
(87)【国際公開番号】WO2013103407
(87)【国際公開日】20130711
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】13/335,140
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン,マーク・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリット,ジェームズ・エル
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ローレル・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ウィードメイヤー,スタンリー・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ブラスコヴィッツ,ロバート・ジェイ
【審査官】
大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭53−125907(JP,A)
【文献】
特開平06−280080(JP,A)
【文献】
特開昭50−039604(JP,A)
【文献】
特開2008−297627(JP,A)
【文献】
特開平06−072520(JP,A)
【文献】
特開平07−285047(JP,A)
【文献】
実開平01−156112(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25C 7/00 − 7/06
B65G 19/00 − 19/30
G21C 19/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッジ部(117)および溝部(119)を含むトラフ(116)であり、前記溝部(119)は、第1のセクション(119a)および第2のセクション(119b)を含むトラフ(116)と、
前記トラフ(116)に接続され、前記トラフ(116)の前記溝部(119)の前記第1のセクション(119a)に開放される出口開口部を含む入口パイプ(113)と、
前記トラフ(116)に接続され、前記トラフ(116)の前記溝部(119)の前記第2のセクション(119b)に開放される入口開口部を含む出口パイプ(114)と、
前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)を通り、前記トラフ(116)の前記溝部(119)に沿って延びる、連続ループ形式のチェーンと、
前記チェーンに固定された複数の羽根(126)と、
を備え、
前記溝部(119)は、前記第1のセクション(119a)と前記第2のセクション(119b)との間に曲線セクションを含み、
前記トラフ(116)は、第1の端部および対向する第2の端部を含み、前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)は、前記トラフ(116)の前記第1の端部に配置され、前記溝部(119)の前記曲線セクションは、前記トラフ(116)の前記第2の端部に配置される、
連続回収システム(112)。
【請求項2】
前記リッジ部(117)は、第1の傾斜面(117a)および対向する第2の傾斜面(117b)を含み、前記溝部(119)は、前記第1の傾斜面(117a)から前記第2の傾斜面(117b)まで前記リッジ部(117)の周囲を包む、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項3】
前記トラフ(116)の前記リッジ部(117)は、前記溝部(119)の前記第1のセクション(119a)と前記溝部(119)の前記第2のセクション(119b)との間にある、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項4】
前記溝部(119)の前記第1のセクション(119a)は、前記溝部(119)の前記第2のセクション(119b)に対して平行である、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項5】
前記溝部(119)は、前記入口パイプ(113)の前記出口開口部から前記出口パイプ(114)の前記入口開口部まで延びるU字形線路の形状である、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項6】
前記溝部(119)の前記第1のセクション(119a)および前記溝部(119)の前記第2のセクション(119b)の少なくとも一方は、V字形断面を有する、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項7】
前記入口パイプ(113)は、前記トラフ(116)の前記溝部(119)の前記第1のセクション(119a)に対して、位置合わせされて垂直に配置され、前記出口パイプ(114)は、前記トラフ(116)の前記溝部(119)の前記第2のセクション(119b)に対して、位置合わせされて垂直に配置される、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項8】
前記入口パイプ(113)は、前記出口パイプ(114)に対して平行である、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項9】
前記チェーンおよび前記複数の羽根(126)は、前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)を通過し、前記トラフ(116)の前記溝部(119)に沿って移動する無限の運動をするように構成される、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項10】
前記複数の羽根(126)は、前記チェーンの全体の長さにわたって、規則的な間隔で互いに間隔を置かれる、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項11】
前記複数の羽根(126)は、同じ方向に向けられる、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項12】
前記複数の羽根(126)は、前記チェーンに対して垂直に向けられる、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項13】
前記複数の羽根(126)は、前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)の内径に対応するサイズおよび形状を有する、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項14】
前記複数の羽根(126)は、円形形状を有する、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項15】
前記出口パイプ(114)に接続される排出シュート(128)をさらに備える、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項16】
前記排出シュート(128)は、前記トラフ(116)にオーバーラップしないように、前記出口パイプ(114)から離れて延びるように配置される、請求項15に記載の連続回収システム(112)。
【請求項17】
前記複数の羽根(126)は、前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)の少なくとも一方の内部に付着する材料を除去するか、またはこすり取るように構成される、請求項1に記載の連続回収システム(112)。
【請求項18】
リッジ部(117)および溝部(119)を含むトラフ(116)であり、前記溝部(119)は、第1のセクション(119a)および第2のセクション(119b)を含むトラフ(116)と、
前記トラフ(116)に接続され、前記トラフ(116)の前記溝部(119)の前記第1のセクション(119a)に開放される出口開口部を含む入口パイプ(113)と、 前記トラフ(116)に接続され、前記トラフ(116)の前記溝部(119)の前記第2のセクション(119b)に開放される入口開口部を含む出口パイプ(114)と、 前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)を通り、前記トラフ(116)の前記溝部(119)に沿って延びる、連続ループ形式のチェーンと、
前記チェーンに固定された複数の羽根(126)と、
を備え、
前記入口パイプ(113)および前記出口パイプ(114)は、前記トラフ(116)から垂直に延びる、
連続回収システム(112)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦によって援助された研究または開発
本発明は、米国エネルギー省によって与えられた契約番号DE−AC02−06CH11357に基づく政府援助によって成された。
【0002】
本発明は、電解システムから金属を回収するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
不純な供給材料から金属を回収するために、および/または金属酸化物から金属を抽出するために、電気化学的プロセスを用いることができる。従来のプロセス(可溶性金属酸化物のための)は、金属酸化物をその対応する金属に還元するために、電解液に金属酸化物を溶解し、その後の電気分解または(不溶性金属酸化物のための)選択的なエレクトロトランスポートを典型的に含む。金属酸化物をそれらの対応する金属状態に還元するための従来の電気化学的プロセスは、単一工程または複数工程のアプローチを用いることができる。
【0004】
複数工程アプローチは、2つの分離した容器を利用する2工程プロセスとすることができる。例えば、使用済み核燃料の酸化ウランからのウランの抽出は、第1の容器に金属ウランおよびLi
2Oを生成するために、融解LiCl電解液に溶解されたリチウムを用いて酸化ウランを還元する初期工程を含む。ここで、Li
2Oは融解LiCl電解液に溶けたままである。それから、そのプロセスは第2の容器における電解採取の次の工程を含む。そこでは、融解LiClに溶解されたLi
2Oが電気分解されて酸素ガスを発生し、リチウムを再生する。したがって、結果として生じる金属ウランは、次の電気精錬プロセスで抽出することができる。一方、再生されたリチウムを含む融解LiClは、別のバッチの還元工程用に再利用することができる。
【0005】
しかしながら、複数工程アプローチは、いくつかの工学的な複雑さ、例えば溶融塩および還元体を高温で1つの容器から別の容器へ移送することに関する問題などを含んでいる。さらにまた、溶融塩中の酸化物の還元は、電解液−還元体システムによって熱力学的に制約されるおそれがある。特に、この熱力学的制約は、所与のバッチで還元することができる酸化物の量を制限する。その結果、要求される生産量を満たすためには、融解電解液および還元体のより頻繁な移送が必要である。
【0006】
他方で、単一工程アプローチは、陰極および陽極と共に金属酸化物を互換性のある融解電解液に浸漬することを一般的に含む。陽極および陰極を充電することによって、金属酸化物(陰極と電気的に接触する)は、融解電解液による電解変換およびイオン交換によってその対応する金属に還元することができる。しかし、従来の単一工程アプローチは複数工程アプローチより複雑でなくてもよいにもかかわらず、金属生成物の収量は比較的低い。さらに、金属生成物は望ましくない不純物を依然として含んでいる。さらにまた、金属生成物を収集することは比較的困難である。なぜなら、金属生成物にアクセスすることを可能にするために、電解プロセスは典型的に中断され、陽極および陰極は取り外されるからである。また、この非効率性によって、時間の遅れが生じ、熱応力が構造部材にもたらされ、グローブボックス環境に望ましくない熱が加えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0276259号明細書
【発明の概要】
【0008】
連続回収システムは、リッジ部および溝部を有するトラフを含むことができる。溝部は、第1のセクションおよび第2のセクションを含むことができる。入口パイプおよび出口パイプは、トラフに接続することができる。入口パイプは、トラフの溝部の第1のセクションに開口する出口開口部を含むことができる。出口パイプは、トラフの溝部の第2のセクションに開口する入口開口部を含むことができる。チェーンは、入口パイプおよび出口パイプを通り、トラフの溝部に沿って延びることができる。チェーンは、連続ループ形式であってもよい。複数の羽根は、チェーンに固定することができる。
【0009】
本明細書における非限定的な実施形態の様々な特徴および利点は、添付の図面と共に「発明を実施するための形態」を精査することによって、より明確になり得る。添付の図面は、単に例示するためのものであって、特許請求の範囲を限定するために解釈されるべきではない。明示的に言及されない限り、添付の図面は一定の比率で描画されているとみなすべきではない。明確にするために、図面の様々な寸法を誇張した場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの斜視図である。
【
図2】本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの断面の斜視図である。
【
図3】本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの断面側面図である。
【
図4】本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの断面端面図である。
【
図5】本発明の非限定的な実施形態による電気精錬システムの連続回収システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ある構成要素もしくは層が、別の構成要素もしくは層の「上にある」、それらに「接続される」、それらに「結合される」、またはそれらを「覆う」と呼ばれる場合には、それが直接的に他の構成要素もしくは層の上にあるか、それらに接続されるか、それらに結合されるか、またはそれらを覆ってもよいし、あるいは介在する構成要素もしくは層が存在してもよいということを理解すべきである。対照的に、ある構成要素が、別の構成要素もしくは層の「直接上にある」、それらに「直接接続される」、それらに「直接結合される」、またはそれらを「直接覆う」と呼ばれる場合には、介在する構成要素もしくは層が存在しない。本明細書の全体にわたって、類似の符号は類似の構成要素を指す。本明細書で用いられるように、「および/または」という用語は、関係する列挙された要素の1つまたは複数のあらゆる組合せを含む。
【0012】
様々な構成要素、構成部品、領域、層および/またはセクションを記載するために、第1、第2、第3などの用語を本明細書で用いることができるが、これらの構成要素、構成部品、領域、層および/またはセクションはこれらの用語によって限定されないことを理解するべきである。これらの用語は、1つの構成要素、構成部品、領域、層またはセクションを別の領域、層またはセクションから区別するために用いるに過ぎない。したがって、後述する第1の構成要素、構成部品、領域、層またはセクションは、例示的実施形態の教示を逸脱せずに第2の構成要素、構成部品、領域、層またはセクションと呼ぶことができる。
【0013】
図面に示す1つの構成要素または特徴と別の構成要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために、空間的に相対的な用語(例えば、「の下に」、「下部の」、「の上に」、「上部の」など)を、本明細書で用いることができる。空間的に相対的な用語は、図面に示す方向に加えて、使用されるまたは動作するデバイスの異なる方向を含むことを意図していることを理解すべきである。例えば、図面のデバイスが反転した場合には、他の構成要素または特徴「の下に」と記述される構成要素は、他の構成要素または特徴「の上に」位置するであろう。したがって、「の下に」という用語は、上方および下方の両方の方向を含むことができる。さもなければ、デバイスは方向付けすることができ(90度回転され、または他の方向に)、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述語はそれに応じて解釈することができる。
【0014】
本明細書で用いられる用語は、様々な実施形態だけを記述する目的であって、例示的実施形態を限定することを意図しない。本明細書で用いられるように、単数形は、文脈が明白に示さない限り、複数形も含むことを意図している。「含む」および/または「備える」という用語は、本明細書で用いられる場合には、記述された特徴、整数、工程、動作、構成要素、および/または構成部品の存在を明示するものであって、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、動作、構成要素、および/または構成部品の存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0015】
例示的実施形態は、例示的実施形態の理想的な実施形態(および中間的な構造)の概略図である断面図を参照して、本明細書に記載される。このように、例えば製造技術および/または許容誤差の、結果的に生じる図示した形状からの変化は、予想されるべきである。したがって、例示的実施形態は、本明細書に示す領域の形状に限定されると解釈するべきではなく、例えば、製造から結果的に生じる形状の偏差を含むべきである。例えば、長方形で図示された注入領域は、典型的には、丸いまたはカーブした特徴を有し、および/または、注入領域から非注入領域へ2値的に変化するのではなくその端部で注入濃度の勾配を有するであろう。同様に、注入によって形成される埋込み領域は、結果として、埋込み領域と注入が起こる表面との間の領域のいくつかの注入になり得る。したがって、図面に示される領域は事実上模式的なものであって、それらの形状はデバイスの領域の実際の形状を示すことを意図するものではなく、また例示的実施形態の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0016】
定義されない限り、本明細書で用いられる全ての用語(技術的および科学的用語を含む)は、例示的実施形態が属する分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。さらに理解されるように、用語は、通常用いられる辞書で定義される用語を含むが、関連する技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味をもつと解釈されるべきであって、本明細書で明白に定義されない限り、理想化された、またはあまりに形式的な意味に解釈されない。
【0017】
本発明の非限定的な実施形態による電気精錬システムは、比較的不純な核供給材料(例えば、不純なウラン供給材料)から精製された金属(例えば、ウラン)を回収するために用いることができる。不純な核供給材料は、電解酸化物還元システムの金属生成物であってもよい。電解酸化物還元システムは、金属の次の回収を可能にするために、酸化物をその金属形式に還元することを容易にするように構成することができる。電解酸化物還元システムは、2010年12月23日に出願された米国特許出願第12/978,027号、HDP参照番号8564−000228/US、GE参照番号24AR246140の「ELECTROLYTIC OXIDE REDUCTION SYSTEM(電解酸化物還元システム)」に記載されたものであり得る。上記の全内容は参照によって本明細書に組込まれる。
【0018】
一般に、電気精錬システムは、容器、複数の陰極アセンブリ、複数の陽極アセンブリ、電力システム、スクレーパ、および/または連続回収システムを含むことができる。電気精錬システムは、本願と同日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号、HDP参照番号8564−000252/US、GE参照番号24NS250931の「ELECTROREFINER SYSTEM FOR RECOVERING PURIFIED METAL FROM IMPURE NUCLEAR FEED MATERIAL(不純な核供給材料から精製された金属を回収するための電気精錬システム)」に記載されたものであり得る。上記の全内容は参照によって本明細書に組込まれる。電力システムは、本願と同日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号、HDP参照番号8564−000254/US、GE参照番号24AR252783の「CATHODE POWER DISTRIBUTION SYSTEM AND METHOD OF USING THE SAME FOR POWER DISTRIBUTION(陰極電力分配システムおよび電力分配のために同システムを用いる方法」に記載されたものであり得る。上記の全内容は参照によって本明細書に組込まれる。スクレーパは、本願と同日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号、HDP参照番号8564−000255/US、GE参照番号24AR252787の「CATHODE SCRAPER SYSTEM AND METHOD OF USING THE SAME FOR REMOVING URANIUM(陰極スクレーパシステムおよびウラン除去のために同システムを用いる方法)」に記載されたものであり得る。上記の全内容は参照によって本明細書に組込まれる。しかし、電気精錬システムはそれに限定されず、本明細書において特に識別されなかった他の構成要素を含んでもよいことを理解すべきである。さらにまた、電気精錬システムおよび/または電解酸化物還元システムは、炉心溶融物および使用済み核燃料の安定化処理のための方法を実行するために用いることができる。この方法は、YYYY年MM月DD日に出願された米国特許出願第XX/XXX,XXX号、HDP参照番号8564−000262/US、GE参照番号24AR253193の「METHOD FOR CORIUM AND USED NUCLEAR FUEL STABILIZATION PROCESSING(炉心溶融物および使用済み核燃料の安定化処理のための方法)」に記載されたものであり得る。上記の全内容は参照によって本明細書に組込まれる。本願と同日に出願され組込まれた特許出願の表を以下に提示する。
【0019】
【表1】
上述したように、電気精錬システムのための不純な核供給材料は、電解酸化物還元システムの金属生成物であってもよい。電解酸化物還元システムの動作の間、複数の陽極および陰極アセンブリは、溶融塩電解液に浸漬される。電解酸化物還元システムの非限定的な実施形態では、溶融塩電解液は塩化リチウム(LiCl)であってもよい。溶融塩電解液は、約650℃の温度に維持することができる(+50℃、−30℃)。電気化学的プロセスは、還元ポテンシャルが陰極アセンブリで発生するように実行され、陰極アセンブリは酸化物供給材料(例えば、金属酸化物)を収容する。還元ポテンシャルの影響を受けて、金属酸化物の金属イオンは還元され、金属酸化物(MO)供給材料からの酸素(O)は酸化物イオンとして溶融塩電解液に溶解し、それによって、陰極アセンブリに金属(M)が残る。陰極反応は、以下の通りであり得る。
【0020】
MO+2e
-→M+O
2-
陽極アセンブリでは、酸化物イオンが酸素ガスに変換される。プロセス中に酸素ガスを希釈し、冷却し、電解酸化物還元システムから取り除くために、陽極アセンブリの各々の陽極シュラウドを用いることができる。陽極反応は、以下の通りであり得る。
【0021】
O
2-→1/2O
2+2e
-
金属酸化物は二酸化ウラン(UO
2)であってもよいし、還元生成物は金属ウランであってもよい。しかし、電解酸化物還元システムを用いて、他のタイプの酸化物をそれらの対応する金属に還元することもできることを理解すべきである。同様に、電解酸化物還元システムで使用する溶融塩電解液は、特にそれに限定されるわけではなく、還元される酸化物供給材料応じて異なってもよい。
【0022】
電解酸化物還元の後、電解酸化物還元システムの金属生成物を収容するバスケットは、金属生成物から精製された金属を得るためのさらなる処理のために、本発明による電気精錬システムへ移送される。より明確に述べると、電解酸化物還元システムからの金属生成物は、本発明による電気精錬システムのための不純な核供給材料として役立つ。特に、電解酸化物還元システムでは、金属生成物を収容するバスケットは陰極アセンブリであるが、電気精錬システムでは、金属生成物を収容するバスケットは陽極アセンブリである。先行技術による装置と比較して、本発明による電気精錬システムは、精製された金属の著しくより大きな収量を可能にする。
【0023】
図1は、本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの斜視図である。
図2は、本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの断面の透視図である。
図3は、本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの断面側面図である。
図4は、本発明の非限定的な実施形態による連続回収システムを含む電気精錬システムの断面端面図である。
【0024】
図1〜
図4を参照すると、電気精錬システム100は、容器102、複数の陰極アセンブリ104、複数の陽極アセンブリ108、電力システム、スクレーパ110および/または連続回収システム112を含む。複数の陰極アセンブリ104の各々は、複数の陰極ロッド106を含むことができる。電力システムは、フロア構造134を通って延びる電気フィードスルー132を含むことができる。フロア構造134は、グローブボックスのグローブボックスフロアであってもよい。あるいは、フロア構造134は、ホットセル設備の支持プレートであってもよい。連続回収システム112は、入口パイプ113、トラフ116、ターンアイドラー124、チェーン、複数の羽根126、出口パイプ114、および/または排出シュート128を含むことができる。連続回収システム112は、
図5に関連してより詳細に記載される。
【0025】
容器102は、溶融塩電解液を保持するように構成される。非限定的な実施形態では、溶融塩電解液は、LiCl、LiCl−KCl共晶、または別の好適な媒体とすることができる。容器102は、容器102の大部分がフロア構造134の下になるように位置することができる。例えば、容器102の上部は、フロア構造134の開口部を通ってフロア構造134の上に延びることができる。フロア構造134の開口部は、容器102の寸法に対応することができる。容器102は、複数の陰極アセンブリ104および複数の陽極アセンブリ108を受け取るように構成される。
【0026】
複数の陰極アセンブリ104は、容器102内に延長し、溶融塩電解液に少なくとも部分的に浸漬するように構成される。例えば、複数の陰極アセンブリ104の長さの大部分が容器102の溶融塩電解液に浸漬するように、複数の陰極アセンブリ104および/または容器102の寸法を調整することができる。各陰極アセンブリ104は、同じ方向を向き、同じ平面内にあるように配置される複数の陰極ロッド106を含むことができる。
【0027】
複数の陽極アセンブリ108は、各陽極アセンブリ108の側面に2つの陰極アセンブリ104が並ぶように、複数の陰極アセンブリ104と共に配列することができる。複数の陰極アセンブリ104および陽極アセンブリ108は、平行に配列することができる。各陽極アセンブリ108は、容器102によって保持される溶融塩電解液に不純なウラン供給材料を保持し浸漬するように構成することができる。複数の陽極アセンブリ108の長さの大部分が容器102の溶融塩電解液に浸漬するように、複数の陽極アセンブリ108および/または容器102の寸法を調整することができる。
図1〜
図4では、電気精錬システム100が11個の陰極アセンブリ104および10個の陽極アセンブリ108を有するように示しているが、本明細書の例示的実施形態はそれに限定されないことを理解すべきである。
【0028】
電気精錬システム100では、電力システムは、複数の陰極アセンブリ104および陽極アセンブリ108に接続される。電気精錬システム100の動作中に、ウランイオンを形成するために、複数の陽極アセンブリ108において不純なウラン供給材料を酸化させるのに十分な電圧を供給するように、電力システムは構成され、ウランイオンは溶融塩電解液中を移動し、精製されたウランとして複数の陰極アセンブリ104の複数の陰極ロッド106に堆積する。
【0029】
精製されたウランの除去を開始するために、スクレーパ110は、複数の陰極ロッド106の長さ方向に沿って上下に移動し、複数の陰極アセンブリ104の複数の陰極ロッド106に堆積した精製されたウランを除去するように構成される。削り落とした結果、除去された精製されたウランは、溶融塩電解液を通って容器102の底に沈む。
【0030】
連続回収システム112は、それの少なくとも一部が容器102の底に配置されるように構成される。例えば、複数の陰極ロッド106から除去された精製されたウランがトラフ116に蓄積するように、連続回収システム112のトラフ116を容器102の底に配置することができる。連続回収システム112は、容器102から精製されたウランを取り出すために、トラフ116に蓄積された精製されたウランを、出口パイプ114を通して運ぶように構成される。
【0031】
連続回収システム112は、入口パイプ113、トラフ116、ターンアイドラー124、チェーン、複数の羽根126(
図4)、出口パイプ114、および/または排出シュート128を含むことができる。トラフ116は、複数の陰極アセンブリ104および陽極アセンブリ108の下にあるように、容器102に配置される。トラフ116のサイズは、トラフ116が容器102の底面の全部または実質的に全部をカバーするように、調整することができる。
【0032】
トラフ116はV字形断面を有することができる。ただし、例示的実施形態はそれに限定されない。あるいは、トラフ116はU字形断面を有してもよい。非限定的な実施形態では、トラフ116の上部はV字形断面を有してもよく、一方、トラフ116の底部はU字形または半円形の断面を有してもよい。さらに、トラフ116は、容器102の底に沿ってU字形線路を有してもよい。例えば、その線路は、入口パイプ113の出口開口部から直線的に延び、容器102の反対側の端部に対応する部分でカーブし、平面視においてU字形状を有するように、出口パイプ114の入口開口部まで直線的に延びることができる。
【0033】
連続回収システム112は、複数の陽極アセンブリ108によって保持される不純なウラン供給材料の酸化処理の間、複数の陰極アセンブリ104上に精製されたウランが堆積する間、および/またはスクレーパ110によって精製されたウランを取り出す間、連続的または断続的に動作するように構成される。連続回収システム112は、チェーンおよびチェーンに固定された複数の羽根126を含む。チェーンは、容器102の底に沿って、出口パイプ114を通って動くように構成される。チェーンおよび複数の羽根126は、容器102に入り、出て、再び入る無限の運動をするように構成される。例えば、チェーンおよび複数の羽根126は、入口パイプ113を通って容器102に入り、容器102の底でトラフ116によって定義されるU字形線路に沿って進み、出口パイプ114を通って容器102から出ることができ、入口パイプ113を通って容器102に再び入ることができる。
【0034】
チェーンに固定された複数の羽根126は、同じ方向に向けることができる。例えば、複数の羽根126は、チェーンに対して垂直に向けることができる。電気精錬システム100が動作する間、容器102から精製されたウランを取り出すために、複数の羽根126は、スクレーパ110によって除去された精製されたウランを出口パイプ114内に押し入れ、出口パイプ114を通って排出シュート128の方へ押すように構成される。連続回収システム112は、
図5に関連してより詳細に述べる。
【0035】
図5は、本発明の非限定的な実施形態による電気精錬システムの連続回収システムの斜視図である。
図5を参照すると、連続回収システム112は、リッジ部117および溝部119を有するトラフ116を含む。溝部119は、第1のセクション119aおよび第2のセクション119b(
図4)を含むことができる。入口パイプ113は、トラフ116に接続される。入口パイプ113は、トラフ116の溝部119の第1のセクション119aに開口する出口開口部(チェーンが入口パイプ113から出てくる出口)を含む。出口パイプ114は、トラフ116に接続される。出口パイプ114は、トラフ116の溝部119の第2のセクション119bに開口する入口開口部(チェーンが出口パイプ114に入る入口)を含む。チェーンは、入口パイプ113および出口パイプ114を通り、トラフ116の溝部119に沿って延びる。チェーンは、連続ループ形式であってもよい。チェーンの方向は、非限定的な実施形態では、逆転することができる。複数の羽根126(
図4)は、チェーンに固定することができる。
【0036】
リッジ部117は、第1の傾斜面117aおよび対向する第2の傾斜面117bを含むことができる。第1の傾斜面117aおよび第2の傾斜面117bは、交わって頂点を形成するように上方に延びることができ、一方、他の端はトラフ116の底まで下方に延びることができる。溝部119は、第1の傾斜面117aから第2の傾斜面117bまでリッジ部117の周囲を包むことができる。非限定的な実施形態では、溝部119は、第1の傾斜面117aおよび第2の傾斜面117bと直接に隣接してもよい。平面視において、トラフ116のリッジ部117は、溝部119の第1のセクション119aと溝部119の第2のセクション119bとの間にあってもよい。
【0037】
溝部119の第1のセクション119aは、溝部119の第2のセクション119bに対して平行であってもよい。溝部119は、第1のセクション119aと第2のセクション119bとの間に曲線セクションを含んでもよい。例えば、曲線セクションの一端は第1のセクション119aに接続することができ、曲線セクションの他端は第2のセクション119bに接続することができる。その結果、非限定的な実施形態では、溝部119は、入口パイプ113の出口開口部から出口パイプ114の入口開口部まで延びるU字形線路の形状であってもよい。
【0038】
トラフ116は、第1の端部および対向する第2の端部を含むことができる。入口パイプ113および出口パイプ114は、トラフ116の第1の端部に配置することができ、溝部119の曲線セクションは、トラフ116の第2の端部に配置することができる。溝部119の第1のセクション119aおよび/または溝部119の第2のセクション119bは、V字形断面を有することができる。入口パイプ113および出口パイプ114は、トラフ116から垂直に延びることができる。例えば、入口パイプ113は、トラフ116の溝部119の第1のセクション119aに対して、位置合わせして垂直に配置することができ、出口パイプ114は、トラフ116の溝部119の第2のセクション119bに対して、位置合わせして垂直に配置することができる。入口パイプ113は、出口パイプ114に対して平行であってもよい。
【0039】
チェーンおよび複数の羽根126は、入口パイプ113および出口パイプ114を通過し、トラフ116の溝部119に沿って移動する無限の運動をするように構成することができる。複数の羽根126は、チェーンの全体の長さにわたって、規則的な間隔で互いに間隔を置くことができる。複数の羽根126は、同じ方向に向けることができる。例えば、複数の羽根126は、チェーンに対して垂直に向けることができる。複数の羽根126は、入口パイプ113および出口パイプ114の内径に対応するサイズおよび形状を有してもよい。非限定的な実施形態では、複数の羽根126は、円形形状を有してもよい。また、複数の羽根126のいくつかは、入口パイプ113および/または出口パイプ114に付着し得る精製されたウラン生成物をこすり/除去するように設計することができる。
【0040】
連続回収システム112は、出口パイプ114に接続される排出シュート128をさらに含むことができる。排出シュート128は、トラフ116にオーバーラップしないように、出口パイプ114から離れて延びるように配置することができる。排出シュート128の後、チェーンおよび複数の羽根126は、さらに精製された製品ウランを収集し輸送するために、入口パイプ113を経由して容器102に戻る。さらに、排出シュート128の後、チェーンが容器102に戻る経路を開始する位置に、チェーンテンショナを設けることができる。入口パイプ113および出口パイプ114に対するトラフ116の末端に、ターンアイドラー124を設けることができる。電気モーターは、回路を通るチェーンおよび複数の羽根126を駆動し、チェーンおよび複数の羽根126は前方または後方に動作することができる。プロセスが溶融塩電解液を含むので、電気精錬システム100の構成部品は、溶融塩電解液環境に耐えることができる好適な材料で形成するべきである。
【0041】
本発明の非限定的な実施形態による電気精錬の方法は、上述した電気精錬システムを用いて好適な供給材料を電解によって処理することを含むことができる。その結果、使用済み核燃料を再利用するか、または規格外の金属酸化物(例えば、二酸化ウラン)から金属(例えば、ウラン)を回収するために、本方法を用いることができる。さらにまた、電力を停止する必要なしに、ならびに/または陰極アセンブリおよび陽極アセンブリを取り外す必要なしに、電気精錬システムから所望の生成物(例えば、精製されたウラン)を連続的に収集することができる。
【0042】
いくつかの例示的実施形態が本明細書に開示されているが、他の変形例が可能であり得ることを理解すべきである。このような変形例は、本開示の趣旨および範囲から逸脱するものとみなされるべきではなく、当業者にとって明らかである全てのこのような修正は、以下の請求項の範囲内に含まれることを意図している。
【符号の説明】
【0043】
100 電気精錬システム
102 容器
104 陰極アセンブリ
106 陰極ロッド
108 陽極アセンブリ
110 スクレーパ
112 連続回収システム
113 入口パイプ
114 出口パイプ
116 トラフ
117 リッジ部
117a 第1の傾斜面
117b 第2の傾斜面
119 溝部
119a 第1のセクション
119b 第2のセクション
124 ターンアイドラー
126 羽根
128 排出シュート
132 電気フィードスルー
134 フロア構造