特許第6010630号(P6010630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010630動物収容装置及びその冷却システムを制御する方法
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  • 特許6010630-動物収容装置及びその冷却システムを制御する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010630
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】動物収容装置及びその冷却システムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/00 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   A01K1/00 E
   A01K1/00 Z
【請求項の数】19
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-550242(P2014-550242)
(86)(22)【出願日】2012年12月21日
(65)【公表番号】特表2015-506172(P2015-506172A)
(43)【公表日】2015年3月2日
(86)【国際出願番号】SE2012051474
(87)【国際公開番号】WO2013100850
(87)【国際公開日】20130704
【審査請求日】2015年12月7日
(31)【優先権主張番号】1151287-8
(32)【優先日】2011年12月29日
(33)【優先権主張国】SE
(31)【優先権主張番号】61/581,125
(32)【優先日】2011年12月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500215931
【氏名又は名称】デラヴァル ホルディング アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ジョフロイ, エマニュエル
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3127423(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0308465(US,A1)
【文献】 特開2009−284768(JP,A)
【文献】 米国特許第04476809(US,A)
【文献】 特開平10−318572(JP,A)
【文献】 特開昭55−009765(JP,A)
【文献】 特開2002−051657(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0170446(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第00753249(EP,A1)
【文献】 特開平06−237662(JP,A)
【文献】 実開昭60−194227(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0065268(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/065447(WO,A1)
【文献】 米国特許第04445460(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜を収容するために配置された包囲領域(1)、及び家畜を冷却するための冷却システム(5)を含む動物収容装置であって、前記冷却システム(5)が、前記動物の冷却に直接的にまたは間接的に貢献する冷却媒体の流れを発生するために設けられた複数の冷却装置(6)、及び前記冷却装置(6)の操作を制御するために配置された制御装置(27)を含み、さらに前記動物収容装置が、前記動物を収容するために配置されかつ一端に入口(3)を備え他端に出口(4)を備えている包囲領域(1)を含み、前記領域内に、入口(3)から出口(4)の方向に動き、それにより動物を包囲領域(1)の内側で前記方向に動かすことを可能にするかまたは強制するように配置されている要素(28)が設けられているものにおいて、前記複数の冷却装置(6)が、冷却装置(6)の少なくとも二つの別個の小群(11−15)に分割され、各小群(11−15)が、前記包囲領域(1)の少なくとも一部分を覆いかつ少なくとも一つの冷却装置(6)を含み、さらに制御装置(27)が、前記要素(28)が前記方向に動くときに前記要素(28)の位置を検出し、かつこの検出された位置に基づいて前記要素(28)の第一側の少なくとも一つの小群(11−15)を活性化モードであるように制御し、同時に前記要素(28)の反対の第二側の少なくとも一つの他の小群(11−15)を不活性化モードであるように制御するために配置されていることを特徴とする動物収容装置。
【請求項2】
前記制御装置(27)が、予め決められた順序に従って前記第一側及び第二側のうちの少なくとも一つの側の冷却装置(6)の異なる小群(11−15)を順次不活性化するように配置されており、一方同時に同じ側の少なくとも一つの他の小群(11−15)を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御することを特徴とする請求項1に記載の動物収容装置。
【請求項3】
前記第一側に複数の小群(11−15)があること、及び制御装置(27)が、前記第一側の冷却装置(6)の小群(11−15)を順次不活性化するように配置されていることを特徴とする請求項2に記載された動物収容装置。
【請求項4】
制御装置(27)が、前記要素(28)の前記第二側の全ての小群(11−15)を不活性化モードであるように制御し、同時に前記第一側の少なくとも一つの小群(11−15)を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御するために配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項5】
前記要素(28)が包囲領域(1)内の動物を前記入口(3)から前記出口(4)の方に動かすように押しかつそれにより強制するために配置された要素であり、その前記第二側が、前記要素(28)と前記入口(3)の間の側であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項6】
冷却システム(5)が、前記包囲領域(1)の異なる部分内の動物の存在または不存在を検出するために配置された動物存在検出器(30)を含み、制御装置(27)が、動物の不存在が検出された領域を覆う小群(11−15)を不活性化モードであるように制御し、同時に動物の存在が検出されている領域を覆う小群(11−15)を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御するために配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項7】
前記冷却装置(6)のそれぞれが、冷却液体を噴出するために配置された液体噴霧装置(7)を含み、冷却システム(5)がパイプシステム(16)を含み、それを通して液体が前記冷却装置(6)に導かれ、制御装置(27)が前記噴霧装置(7)を不活性化または活性化するために配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項8】
各小群(11−15)が弁(22−26)を与えられ、それによってその小群(11−15)の冷却装置(単数または複数)(6)への液体の流れが制御され、制御装置(27)が前記弁(22−26)の操作を制御することによって冷却装置(6)を不活性化または活性化するために配置されていることを特徴とする請求項7に記載の動物収容装置。
【請求項9】
小群(11−15)の前記不活性化が、その噴霧装置(7)の不活性化を含み、小群(11−15)が活性化モードであるような前記制御が、その噴霧装置(7)が活性化モードであるような制御を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の動物収容装置。
【請求項10】
各冷却装置(6)が、空気の流れを発生するために配置された電気的に駆動されるファン(8)を含むこと、及び制御装置(27)が、前記ファン(8)の操作を制御するために配置されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項11】
小群(11−15)の前記不活性化がそのファン(単数または複数)(8)の不活性化を含み、小群(11−15)が活性化モードであるような前記制御が、そのファン(単数または複数)(8)が活性化モードであるような制御を含むことを特徴とする請求項10に記載の動物収容装置。
【請求項12】
各冷却装置が、冷却液体を噴出するために配置された液体噴霧装置(7)、及び空気の流れを発生するために配置された電気的に駆動されるファン(8)を含み、前記不活性化モードが、噴霧装置(7)とファン(8)のうちの少なくとも一つの不活性化と関連されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項13】
前記包囲領域(1)が、待機領域、搾乳領域、給餌領域、または休止領域のいずれかであることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の動物収容装置。
【請求項14】
動物収容装置内の家畜の冷却のための冷却システム(5)を制御する方法であって、
− 前記冷却システム(5)が、前記動物の冷却に直接的にまたは間接的に貢献する冷却媒体の流れを発生するために設けられた複数の冷却装置(6)を含み、
− 前記動物収容装置が、前記動物を収容するために配置されかつ一端に入口(3)を備え他端に出口(4)を備えている包囲領域(1)を含み、さらに、前記領域内に、入口(3)から出口(4)の方向に動き、それにより動物を包囲領域(1)の内側で前記方向に動かすことを可能にするかまたは強制するように配置された要素(28)が設けられている方法において、
前記複数の冷却装置(6)が、冷却装置(6)の少なくとも二つの別個の小群(11−15)に分割され、各小群(11−15)が少なくとも一つの冷却装置(6)を含み、冷却システム(5)の操作時に、前記要素(28)の位置が、前記要素(28)が前記方向に動くときに検出され、この検出された位置に基づいて前記要素(28)の第一側の少なくとも一つの小群(11−15)が少なくとも周期的に活性化モードであるように制御され、同時に前記要素(28)の反対の第二側の少なくとも一つの他の小群(11−15)が不活性化モードであるように制御されることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記第一側及び第二側のうちの少なくとも一つに、複数の小群(11−15)が設けられ、さらに前記小群(11−15)が、予め決められた順序に従って順次不活性化され、一方同時に同じ側の少なくとも一つの他の小群(11−15)が少なくとも周期的に活性化モードであるように制御されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記要素(28)の前記第二側の全ての小群(11−15)が、不活性化モードであるように制御され、同時に前記第一側の少なくとも一つの小群(11−15)が、少なくとも周期的に活性化モードであるように制御されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記包囲領域(1)内に存在する動物が前記要素(28)によって前記入口(3)から前記出口(4)の方へ動くように押されかつそれにより強制され、その第二側が前記要素(28)と前記入口(3)の間の側であることを特徴とする請求項14〜16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
冷却システム(5)が、前記領域の異なる部分内の動物の存在または不存在を検出するために配置された動物存在検出器(29)を含み、動物の不存在が検出された領域を覆う小群(11−15)が不活性化モードであるように制御され、同時に動物の存在が検出された領域を覆う小群(11−15)が少なくとも周期的に活性化モードであるように制御されることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一つに記載の方法。
【請求項19】
各冷却装置(6)が液体噴霧装置(7)を含み、冷却システム(5)がパイプシステムを含み、それによって液体が前記液体噴霧装置(7)に導かれ、冷却装置(6)の不活性化が前記液体噴霧装置(7)の不活性化を含み、冷却装置(6)が活性化モードであるような制御が、前記液体噴霧装置(7)が活性化モードであるような制御を含むことを特徴とする請求項14〜18のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜を収容するために配置された包囲領域、及び家畜を冷却するための冷却システムを含む動物収容装置であって、前記冷却システムが、前記動物の冷却に直接的にまたは間接的に貢献する冷却媒体の流れを発生するために設けられた複数の冷却装置、及び前記冷却装置の操作を制御するために配置された制御装置を含み、さらに前記動物収容装置が、前記動物を収容するために配置されかつ一端に入口を備え他端に出口を備えている包囲領域を含み、前記領域内に、入口から出口の方向に動き、それにより動物を包囲領域の内側で前記方向に動かすことを可能にするかまたは強制するために配置されている要素が設けられているものに関する。
【0002】
本発明はまた、動物収容装置内の家畜の冷却のための冷却システムを制御する方法であって、前記冷却システムが、前記動物の冷却に直接的にまたは間接的に貢献する冷却媒体の流れを発生するために設けられた複数の冷却装置を含み、前記動物収容装置が、前記動物を収容するために配置されかつ一端に入口を備え他端に出口を備えている包囲領域を含み、さらに、前記領域内に、入口から出口の方向に動き、それにより動物を包囲領域の内側で前記方向に動かすことを可能にするかまたは強制するように配置されている要素が設けられている、方法に関する。
【0003】
好ましくは、家畜は、ミルク生産のような産業目的のための包囲領域内に収容されている、畜牛、好ましくは雌牛、羊、ヤギ、または水牛に関連する。
【背景技術】
【0004】
高熱状態の期間中、畜牛は、落ち着かなくなりかつ熱ストレスを受け、従って飼料消費を著しく減らすことが注目されており、それは、畜牛に対して重量増加の速度を減らし、乳牛に対してミルク生産を減らす可能性がある。熱ストレスの影響はまた、増大した呼吸速度、増大した水摂取、増大した発汗、飼料通過の遅い速度、及び内部器官への減少した血流を示し、それは、動物の一般的な状態、及びそれらの生殖能力に悪影響を持ち、それにより乳製品生産者に経済的損失を与える。
【0005】
その結果として、畜牛への熱の悪影響を抑制する目的のために、かかる畜牛が収容されている包囲領域内に冷却システムが設けられた。乳牛の場合、冷却システムを備えることができる典型的な包囲領域は、待機領域、搾乳領域、給餌領域、または休止領域である。
【0006】
従来技術の冷却システムは、一般的に乱気流を雌牛の上に向けるための空気分配導管、及び噴霧を作るノズルで終わる別個の水ラインからなる。水を節約するために、ホースから直接排出するのとは対照的に、ノズルが一般に使用される。酪農場の給餌領域内に配置されているスプリンクラーは、一般的に補足冷却を提供し、必要なファン動力を減らし、かつ限界近くに熱い雌牛をずっと快適にする。雌牛は人間の10分の1程度しか汗をかかないので、噴霧ファン冷却システムは、表面熱を遠くに導き、雌牛の皮膚からの湿分の蒸発を高める。この身体冷却効果は、快適さを高めかつミルク生産を増やす。
【0007】
ノズルにより噴出された水は、動物と接触する液滴をより大きなものにすることができ、それにより動物の直接冷却に貢献することができ、または動物の直接冷却よりむしろ動物の周りの空気の冷却に貢献する、ミストのようなより小さい液滴のものにすることができる。周囲空気の冷却による動物のかかる冷却は、動物の間接冷却と見なすことができる。
【0008】
EP1480725は、雌牛の冷却のための冷却システムを開示し、それは、雌牛の冷却のために水ラインとノズルを使用する冷却システム内の水の過剰消費の問題に取り組む。EP1480725は、動物を冷却する目的のために水のより効率的な使用を提供する最適化されたファンと噴霧装置の設計を提案する。
【0009】
WO99/25179は、気候に対して安定な制御システムを開示し、そこでは、例えばCOセンサーにより測定されるように、各領域内に存在する動物の数に依存して互いに独立して制御されることができる領域が作られるように供給される空気の量及びその温度が各ファンに対して個々に制御されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、家畜の冷却のための冷却システムを提供することであり、それは、前記動物を冷却する目的のための、特に前記領域の入口から出口の方向に動く要素が、動物を前記方向に動くことを可能にするかまたは強制する包囲領域を通して動く動物を冷却する目的のための、エネルギーの効率的な使用を可能にする。動物が包囲領域を通して必ずしも連続的に動かないが、休止、別の領域中へ入るための待機、または搾乳される等をしながら、かなりの時間の間、そこにとどまることができることは理解されるべきである。しかし、経時的に見ると、それらは包囲領域を通して動くだろう。冷却システムが冷却手段として水を使用する場合、本発明の目的は、必要な水供給ライン圧が所定の数の冷却装置に対して低下されるか、もしくは低レベルに保持されることができるか、または予め決められた供給ライン圧が増加数の冷却装置のために十分である解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、前記複数の冷却装置が、冷却装置の少なくとも二つの別個の小群に分割され、各小群が、前記包囲領域の少なくとも一部分を覆いかつ少なくとも一つの冷却装置を含み、さらに制御装置が、前記要素が前記方向に動くときに前記要素の位置を検出し、この検出された位置に基づいて前記要素の第一の側の少なくとも一つの小群を活性化モードであるように制御し、同時に前記要素の反対の第二側の少なくとも一つの他の小群を不活性化モードであるように制御するために配置されていることを特徴とする冒頭に規定された動物収容装置によって達成される。
【0012】
動物は、前記要素が包囲領域を通してその入口からその出口まで動くときに前記要素の一方の側に優勢に位置されることが仮定されている。本発明は、前記要素の一方の側の冷却装置の少なくとも一つの小群の不活性化を与え、それにより前記要素の位置によって間接的に規定される動物の仮定された位置に対して少ないエネルギーまたは冷却媒体の使用も与える。
【0013】
制御装置は、冷却システムの冷却装置の提案される制御を可能にするように設けられたコンピュータハードウエア及びソフトウエアを含むことができる。包囲領域を通して動く前記要素の位置を検出するセンサーまたは電気回路は、そのとき冷却システムの一部であることが好ましく、かつ前記領域に渡って分配されかつその少なくとも一部を覆う冷却装置の小群に対して前記要素の位置に関する情報を制御装置に提供する。かかる情報に基づいて、制御装置は、冷却装置のそれぞれの小群の操作を制御する。ハードウエア/ソフトウエアソリューションに対する代替として、制御装置は、冷却装置の小群に対する前記要素の位置を検出することができる電気回路を含むことができ、かつ本発明の教示に従った冷却装置の操作を前記要素の検出された位置に基づいて制御するために設計される。
【0014】
好ましくは、冷却システムの冷却装置は、包囲領域の主要部を、最も好ましくは全領域を覆う。好ましくは、包囲領域を通して動き、それにより前記領域内で動物をその入口からその出口の方向に動かすことを可能にするかまたは強制するように配置されている要素は、包囲領域の幅に渡って延びるゲートを含み、好ましくはモーターにより駆動される。制御装置は、ソフトウエアを与えられるか、または前記要素を駆動するモーターの制御を与える電気回路を含むことができる。包囲領域内の動物の位置を検出するための検出器が与えられることができ、前記要素の動きの制御は、そのときかかる検出器からの入力に基づいて実施されることが好ましい。これに代えて、前記要素の操作は、前記領域内の動物の存在の視覚上の監視に基づいて手動で制御されるか、または前記要素の動きが制御されることに基づくタイマーが与えられるか、または搾乳装置等に連結されたセンサーのような他のセンサーが与えられ、そのデータ出力は、前記要素の動きを制御するための入力として使用される。前記方向の前記要素の動きは、必ずしも連続的でないが、途中で中間停止を含むことができることが理解されるべきである。好ましくは、前記要素は、前記領域の入口に隣接した出発位置から前記領域の出口に隣接した終了位置まで動かされ、次いで前記出発位置に戻されるように配置される。出発位置または終了位置のいずれかで、前記要素は、動物の通過を可能にするように配置される。例えば、動物が要素の下を通過することができるように、前記要素の上昇を可能にするための手段が与えられることができる。
【0015】
一実施態様によれば、前記制御装置は、予め決められた順序に従って前記第一側及び第二側の少なくとも一つの上で冷却装置の異なる小群を順次不活性化するように配置され、一方同時に同じ側の少なくとも一つの他の小群を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御する。それにより、ある小群は活性化モードであり、一方ある小群は不活性化モードであり、活性化モード及び不活性化モードでそれぞれある小群の連続的なシフトがあるだろう。全ての小群は、同時に活性化モードであることは決してないだろう。それにより、エネルギーの使用または冷却媒体消費のピークは、低いレベルに抑制されることができる。もし例えば冷却水のための供給ラインの圧力が低いなら、予め決められた小群の提案された順次不活性化は、活性化されているそれらの小群への十分な圧力の供給を可能にするだろう。
【0016】
好適な実施態様によれば、前記第一側上に複数の小群があり、制御装置は、前記第一側上の冷却装置の小群を順次不活性化するように配置される。順次不活性化は、特定の順序として言及される。言い換えれば、一つ以上の小群が不活性化モードであるように不活性化されている間、前記要素の前記側の少なくとも一つの他の小群は活性化モードである。それにより、全ての小群が前記第一側で同時に活性化モードであることが避けられる。動物の連続冷却は、通常必要でなくまたは好ましくないので、小群の周期的な活性化が好ましい。しかし、小群の同時不活性化に続く全ての小群の同時活性化の代わりに、本発明は、順次不活性化を提案する。それにより、エネルギーの使用または冷却媒体消費のピークがより低いレベルに抑制されることができる。
【0017】
好適な実施態様によれば、制御装置は、前記要素の前記第二側の全ての小群を不活性化モードであるように制御するためにかつ同時に前記第一側の少なくとも一つの小群を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御するために配置される。前述したように、前記要素が包囲領域を通して動くときに前記要素の一方側にのみ一群の動物が集められることが想定されることができる。もし第一側が動物が集められる側であるとすれば、エネルギー消費または冷却システムの水供給の必要を減らすために第二側の冷却装置のいずれの活性化も避けられることが好ましい。
【0018】
さらに別の実施態様によれば、前記要素は、包囲領域内の動物を前記入口から前記出口の方に押しかつそれにより強制するために配置された要素であり、その第二側は、前記要素と前記入口の間の側である。それにより、前記要素の包囲領域の入口から出口の方への移動時に前記要素の前記第二側に動物が全くいないことが想定されることができる。好ましくは、制御装置は、エネルギーの過剰使用及び/または冷却媒体消費を避けるために第二側の全ての冷却装置を不活性化モードであるように制御するために配置される。
【0019】
一実施態様によれば、冷却システムは、前記領域の異なる部分内の動物の存在または不存在を検出するために配置された動物存在検出器を含み、制御装置は、動物の不存在が検出された領域を覆う小群を不活性化モードであるように制御するために、かつ同時に動物の存在が検出された領域を覆う小群を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御するために配置される。好ましくは、動物の存在がそのある小領域に対して検出された側に、前記小領域を覆う小群のみが制御装置によって活性化モードであるように制御される。好ましくは、エネルギー消費ピーク、おそらく冷却媒体供給ライン圧を最小にするために、制御装置は、前記小群を順次不活性化及び活性化するために配置される。それにより、前記小領域の一つを覆う各小群は、周期的に活性化モードであるだろうし、常に不活性化モードである前記小群が少なくとも一つあるだろう。
【0020】
一実施態様によれば、前記冷却装置のそれぞれは、冷却液体を噴出するために配置された液体噴霧装置を含み、冷却システムはパイプシステムを含み、それを通して液体が前記冷却装置に導かれ、制御装置は、前記噴霧装置を不活性化または活性化するために配置されている。好ましくは、冷却液体は水である。かかるシステムでは、本発明の原理は、冷却液体供給ライン圧の必要を低下するために貢献するだろう。なぜなら制御装置は、冷却システムの冷却装置の全てが同時に活性化モードであることを防ぐために配置されるからである。
【0021】
好ましくは、各小群は弁を備えており、弁によってその小群の冷却装置(単数または複数)への液体の流れが制御され、制御装置は、前記弁の操作を制御することによって冷却装置を不活性化または活性化するように配置されている。小群の前記不活性化はその噴霧装置の不活性化を含み、小群が活性化モードであるような前記制御は、その噴霧装置が活性化モードであるような制御を含む。
【0022】
一実施態様によれば、各冷却装置は、空気の流れを発生するために配置された電気的に駆動されるファンを含み、制御装置は、前記ファンの操作を制御するために配置されている。小群の前記不活性化は、そのファン(単数または複数)の不活性化を含み、小群が活性化モードであるような前記制御は、そのファン(単数または複数)が活性化モードであるような制御を含む。好ましくは、冷却装置は、ファンと噴霧装置を含む。それらの好適な設計は、従来技術で与えられるものであることができる。例えば、噴霧装置がファンの前方に配置されたノズルを含むことが考えられることができ、それにより噴霧装置は、冷却液体、好ましくは水を、動物が存在することができる専用の領域に向けて放射するために配置され、ファンは、前記領域に向けて空気の流れを発生することによって噴霧装置を補うだろう。冷却液体は、前記領域内に位置した動物と直接接触させられ、それにより動物を直接冷却することができるか、または動物の周囲空気に冷却効果のみを持つことができ、それにより前記周囲空気の冷却を通して動物を間接的に冷却することができるかのいずれかであることができる。冷却装置または少なくとも一つのかかる冷却装置を含む小群の不活性化モードは、冷却装置がファンと噴霧装置を含む場合、噴霧装置とファンの少なくとも一つの不活性化として言及される。
【0023】
好適な実施態様によれば、前記包囲領域は、待機領域、搾乳領域、給餌領域、または休止領域のいずれかである。好ましくは、包囲領域は特に雌牛の収容のために採用される。
【0024】
本発明の目的はまた、前記複数の冷却装置(6)が冷却装置(6)の少なくとも二つの別個の小群(11−15)に分割され、各小群(11−15)が少なくとも一つの冷却装置(6)を含み、冷却システムの操作時に、前記要素の位置が、前記要素が前記方向に動くときに検出され、この検出された位置に基づいて前記要素の第一側の少なくとも一つの小群が少なくとも周期的に活性化モードであるように制御され、かつ同時に前記要素の反対の第二側の少なくとも一つの他の小群が不活性化モードであるように制御されることを特徴とする冒頭に規定された方法によって達成される。
【0025】
一実施態様によれば、前記第一及び第二側の少なくとも一つに、複数の小群が設けられ、さらに前記小群は、予め決められた順序に従って連続的に不活性化され、一方同時に同じ側の少なくとも一つの他の小群は、少なくとも周期的に活性化モードであるように制御される。好ましくは、前記要素の前記第二側の全ての小群は、不活性化モードであるように制御され、同時に、前記第一側の少なくとも一つの小群は、少なくとも周期的に活性化モードであるように制御される。
【0026】
さらに別の実施態様によれば、前記包囲領域内に存在する動物は、前記要素によって前記入口から前記出口の方へ動くように押されかつそれにより強制され、その第二側は前記要素と前記入口の間の側である。
【0027】
冷却システムが、前記領域の異なる部分内の動物の存在または不存在を検出するために配置された動物存在検出器を含み、動物の不存在が検出された領域を覆う小群が不活性化モードであるように制御され、同時に、動物の存在が検出された領域を覆う小群が少なくとも周期的に活性化モードであるように制御されることが好ましい。
【0028】
好ましくは、各冷却装置は、液体噴霧装置を含み、冷却システムはパイプシステムを含み、それによって液体が前記液体噴霧装置に導かれ、冷却装置の不活性化は前記液体噴霧装置の不活性化を含み、冷却装置が活性化モードであるような制御は、前記液体噴霧装置が活性化モードであるような制御を含む。
【0029】
本発明による方法は、この記載より前の部分に与えられた実施態様のいずれか一つにより規定された動物収容装置でまたはそれにより実施されることができることは理解されるべきである。本発明の方法の利点はまた、この記載より前の部分に与えられた動物収容装置によって得られた利点に相当する。
【0030】
本発明のさらなる特徴及び利点は、本発明の実施態様の以下の詳細な記載中に与えられるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、添付図面に関して以下に詳細に説明されるだろう。
【0032】
図1図1は、本発明の一実施態様による動物収容装置を上から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、本発明の一実施態様による動物収容装置を示す。この装置は、包囲領域1を含み、それは、フェンス2等により取り囲まれ、それにより包囲されている。この特別な実施態様では、包囲領域は雌牛のための待機領域であるが、それは少なくとも一時的に雌牛のような動物の群れを収容する目的のために配置される任意の種類の領域であることができることは理解されるべきである。領域1の第一端に入口3があり、それを通して動物が領域1に入ることが想定される。入口3は、その開閉のためのいずれかの種類のゲート装置を含むことができるが、永久的に開放している種類のもの、すなわちフェンス2内に永久的に開いた開口を持つものであることができる。領域1の第二端に出口4が設けられ、それはその開放及び閉鎖のためのゲート装置を含むことが好ましい。暑い天候状態時に前記領域に影及び低下した温度を与えるために包囲領域1の上に屋根が設けられることができる。
【0034】
動物収容装置はさらに冷却システム5を含み、それは複数の冷却装置6を含む。各冷却装置6は噴霧装置7及びファン8を含む。好ましくは、噴霧装置7は、冷却液体供給パイプシステム9と連結して設けられたノズルによって形成される。ファン8は電気モーター(図示せず)によって駆動される。各冷却装置6は、予め決められた冷却領域を機能的に覆い、すなわち前記冷却領域内に存在する動物を冷却することができる。冷却装置6は、一緒に、包囲領域1の主要部を、好ましくはその80%より多く、より好ましくはその90%より多くを機能的に覆う。冷却液体供給パイプシステム9はポンプ10を含み、それは、予め決められた圧力を発生するための局所的に設置されたポンプ、または一般的な公共配水網の圧力発生手段のいずれかであることができる。
【0035】
冷却装置6は小群11−15に分割される。図1に与えられた実施態様では、各小群11−15は、前記入口3と前記出口4の間の直線に対して略垂直な方向に延びる列内に配置された予め決められた数の冷却装置6によって形成される。従って、小群11−15は、包囲領域1の入口3と出口4の間に配置された複数の列を形成する。パイプシステム9は、共通の供給パイプ16を含み、それから冷却装置の各それぞれの小群11−15への別個の分枝17−21がある。各分枝17−21は、弁22−26、好ましくはソレノイド弁を備えており、それによって冷却液体のそれぞれの小群11−15への流れが制御される。弁22−26の操作を制御し、それによりそれぞれの小群11−15のそれぞれの冷却装置6の噴霧装置7の不活性化及び活性化をそれぞれ制御する目的のために、冷却システム9はまた、制御装置27を含む。制御装置27は、弁22−26に作動可能に連結され、かつ要求された構成に依存して有線または無線のいずれかによって制御信号を弁22−26に送るために配置される。制御装置27は、弁22−26を制御するために適合されたコンピュータハードウエア及びソフトウエアを含む。各それぞれの小群11−15のそれぞれのファンの操作の制御のために、制御装置27は、ファン8を駆動する電気モーターに制御信号を送るために配置されている。従って、各冷却装置6の操作は、制御装置27によって制御される。
【0036】
動物収容装置はさらに、入口3から出口4の方に動き、それにより動物を包囲領域1の内側で前記方向に動かすことを可能にするかまたは強制するために配置されている要素28を含む。可動要素28は、包囲領域1の全幅に渡って延びるゲートを含む。図示されていない案内部材が設けられており、その上に可動要素28が吊り下げられ、それによってそれが前記方向に動くときに案内される。かかる案内部材は、包囲領域1を囲むフェンス2の一部を形成することができる。好ましくは、図示されていないモーター等が設けられており、それによって可動要素28が包囲領域1の入口3と出口4の間で動かされる。かかるモーターの操作は、制御装置6によって制御されることができる。しかし、かかるモーターの手動制御も考えられる。
【0037】
小群11−15の位置に対する可動要素28の位置を検出または感知するために配置されている検出器29も設けられている。検出器29によって集められた位置データは、制御装置27に送られ、それは、それぞれの小群11−15の操作を制御するためにその入力を利用するように配置されている。言い換えれば、制御装置27は、前記検出器29によって前記可動要素28の位置を検出し、それに基づいて小群11−15の操作を制御するために配置されている。検出器29は、光学的なもののようないかなる好適な種類のものであることもできる。
【0038】
可動要素28が包囲領域内の所定場所に既にいる動物の群れをその出口4に向けて押しかつそれを通して押し出す機能を持つとすれば、検出器29からの入力に基づいて、制御装置27は、以下のようにして小群11−15を制御する:検出器から受けた位置データが、可動要素28が入口3から出口4への途中で小群を通過し、その小群によって機能的に覆われた領域が入口3に最も近い可動要素28の側の少なくとも主要部になるようなとき、制御装置27は、小群11−15の弁22−26に閉じる信号を送り、それによりその小群11−15の噴霧装置7を不活性化モードに設定する。制御装置27はまた、前記小群のファン8を駆動するモーター(単数または複数)に停止する信号を送り、それによりファン8を不活性化モードに設定する。それにより、問題の小群は不活性化モードに設定される。可動要素28が入口3から出口への移動でさらなる小群を通過するとき、制御装置27は、それらの小群の各一つにより同じ工程を経るように配置されている。可動要素28が最後に出口の領域に到達し、前記要素と出口4の間の領域に動物がいないとき、全ての小群11−15は、制御装置27によって不活性化モードであるように制御される。
【0039】
出口4に隣接した可動要素の側は第一側と名付けられることができる(それとは対照的に、入口に隣接した側は第二側と名付けられることができる)。制御装置27は、予め決められた順序に従って前記側の少なくとも一方の冷却装置6の異なる小群11−15を順次不活性化するために配置され、一方、同時に同じ側の少なくとも一つの他の小群11−15を少なくとも周期的に活性化モードであるように制御する。同時に活性化モードである小群11−15の数、及び各小群がそれぞれ活性化モード及び不活性化モードである時間は、空気の温度及び湿度のような外部条件に基づいて決定されるべきである。従って、図示されていない温度及び湿度センサーは、冷却システムの一部であり、かつ制御装置27に作動可能に連結されることが好ましく、さらに制御装置27は、かかるセンサーから温度及び湿度情報を入力として受け、冷却装置小群11−15の順次操作の詳細をそれに基づいて決定する。もし、例えば、温度が高いなら、制御装置27は一つの小群のみが一時に活性化モードであることを可能にするように配置されることができる。包囲領域1内に存在する動物の冷却をなお必要とする幾らか低い温度では、前記小群11−15の一つより多くが一時に不活性化モードであることができる。
【0040】
代替例として、可動要素28は包囲領域中に移動する動物の群れの前方にあるように配置されることができることは理解されるべきである。かかる場合には、可動要素の第二側は、制御装置27からの出力に基づいて小群11−15の順次活性化及び不活性化が実施されるものであり、一方、第一側は全ての小群11−15が不活性化モードであるものである。
【0041】
もし可動要素28が動物の二群間の分割体として使用されるなら、動物はそのとき可動要素28の両側に存在し、本発明の教示による小群の順次不活性化がその両側で実施されることが好ましい。
【0042】
制御装置27への上述の入力への補助として、制御装置はまた、包囲領域1の異なる部分内の動物の存在または不存在に関する入力を与えられることができる。その目的のために、図1に提案された冷却システム5は、前記領域1の予め決められた部分内の動物の存在を検出するための光学検出器のような複数の検出器30を含む。好ましくは、各小群11−15に対して少なくとも一つの検出器があり、すなわち一つの検出器は、それぞれの小群によって機能的に覆われている領域内の動物の存在を検出する。動物の不存在が特定の小群11−15の領域内で検出される限り、制御装置27は、問題の小群11−15を不活性化モードであるように制御するために配置される。小群の順次活性化及び不活性化は、そのとき検出器30によって動物の存在が検出された小群によってのみ実施されることが好ましい。かかる検出器30による包囲領域1の完全な包囲は高価でありうるので、前記包囲領域1の限られた部分のみが、小さな部分であっても、前記検出器30により包囲されることで十分でありうる。かかるセンサーによって包囲されていない残りの部分に対しては、それぞれの小群11−15の操作の制御は、天候状態(温度、湿度など)及び可動要素28の位置に関する入力に基づいて、そして、もちろん、各特定の天候状態に対してどれだけ多くの冷却が必要であるかの知識に基づいて、実施されるだけであることが好ましい。
【0043】
包囲領域1が動物(好ましくは雌牛)が次の搾乳領域に入るために待機している待機領域である場合、出口4に最も近い小群(単数または複数)は、動物が搾乳領域に入るときに十分に乾燥しているように十分な頻度及び長さの間、不活性化モードであるべきであることが好ましい。従って、制御装置は、どれくらいの長い時間、他の小群が活性化モードであるように制御されているかにかかわらず、前記群(単数または複数)が予め決められた最大時間より長い間、活性化モードであるように制御するために配置されることができる。
【0044】
前述の記載で提案された実施態様は、例として与えられている。当業者は、本発明の原理をいったん与えられたら過度の負担なしに本発明を実施できることが想定される。従って、本発明の原理を実施するためのハードウエア/ソフトウエア及び電気回路の多数の解決策が当業者によって実現されることは想定されることであり、さらにかかる実施態様は、その記載により支持された本出願の独立請求項に規定された保護範囲内にあるだろう。
図1