【実施例】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0022】
[光源ユニットの構成]
図1は、本実施例に係る光源ユニット10の光学系を概略的に示した図である。
図1に示すように、光源ユニット10は、光学系として、レーザ素子LD1、LD2、LD3と、コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13と、分光ミラーMrと、フォトダイオードPDと、を有する。例えば、光源ユニット10は、投影装置(プロジェクタ)や、ヘッドアップディスプレイや、ヘッドマウントディスプレイや、光ピックアップなどに適用される。
【0023】
レーザ素子LD1、LD2、LD3(以下ではこれらを区別しない場合には単に「レーザ素子LD」と表記することがある。)は、それぞれで同じ波長のレーザ光を出射するレーザダイオードである。レーザ素子LD1、LD2、LD3から出射されたレーザ光は、それぞれ、コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13に入射する。なお、
図1では、説明の便宜上、レーザ素子LD1から出射された光を実線で表し、レーザ素子LD2から出射された光を破線で表し、レーザ素子LD3から出射された光を一点鎖線で表している。
【0024】
コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13は、それぞれ、レーザ素子LD1、LD2、LD3から出射されたレーザ光を集光する。
図1に示すように、レーザ素子LD1、LD2、LD3のそれぞれから出射されたレーザ光が光源ユニット10の外部における1つの点P1に集光するように、レーザ素子LD1、LD2、LD3及びコリメータレンズLn11、Ln12、Ln13の位置や傾きなどが設定されている。
【0025】
分光ミラーMrには、コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13を経由したレーザ光が入射される。分光ミラーMrは、所謂ハーフミラーとして機能する。具体的には、分光ミラーMrは、コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13を経由したレーザ光のそれぞれを分割し、一部のレーザ光をそのまま透過させ、残りの一部のレーザ光を反射させる。この場合、分光ミラーMrは、フォトダイオードPDに向けてレーザ光を反射させる。より具体的には、分光ミラーMrは、コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13のそれぞれを経由したレーザ光がフォトダイオードPDに向けて反射されるように、コリメータレンズLn11、Ln12、Ln13のそれぞれを経由したレーザ光が入射する面の傾きが設定されている。
【0026】
フォトダイオードPDには、分光ミラーMrで反射されたレーザ光が入射される。上記したような分光ミラーMrの機能により、フォトダイオードPDに入射されるレーザ光には、レーザ素子LD1、LD2、LD3のそれぞれから出射されたレーザ光が含まれている。フォトダイオードPDは、入射されたレーザ光の光量を検出する。具体的には、フォトダイオードPDは、レーザ光の光量に応じた信号(電流や電圧に相当する)を生成し、後述するコントローラCntに出力する。このようなフォトダイオードPDは、本発明における「光量検出手段」の一例に相当する。なお、「光量検出手段」としてフォトダイオードPDを用いることに限定はされず、これ以外にも種々の素子を用いることができる。
【0027】
図2は、本実施例に係る光源ユニット10の制御系を示すブロック図である。
図2に示すように、光源ユニット10は、レーザ素子LD1、LD2、LD3を制御するための制御系として、上記したフォトダイオードPDの他に、コントローラCntと、レーザドライバDr1、Dr2、Dr3と、サーミスタThrmと、を有する。
【0028】
レーザドライバDr1、Dr2、Dr3(以下ではこれらを区別しない場合には単に「レーザドライバDr」と表記することがある。)は、それぞれ、コントローラCntの制御の元、レーザ素子LD1、LD2、LD3を駆動する。具体的には、レーザドライバDr1、Dr2、Dr3は、それぞれ、コントローラCntによる制御に応じた電流をレーザ素子LD1、LD2、LD3に入力する。
【0029】
サーミスタThrmは、光源ユニット10の内部又は周辺の温度を検出する。サーミスタThrmは、検出した温度に応じた信号をコントローラCntに出力する。なお、サーミスタThrmは、本発明における「温度検出手段」の一例に相当する。
【0030】
コントローラCntは、フォトダイオードPD及びサーミスタThrmから入力される信号に基づいて、レーザドライバDr1、Dr2、Dr3を制御する。具体的には、コントローラCntは、フォトダイオードPDが検出したレーザ光の光量、及びサーミスタThrmが検出した光源ユニット10の内部又は周辺の温度に基づいて、レーザドライバDr1、Dr2、Dr3を介して、レーザ素子LD1、LD2、LD3のそれぞれに入力する電流を制御する。基本的には、コントローラCntは、光源ユニット10から出射されるレーザ光の光量(レーザ素子LD1、LD2、LD3のうちで電流が入力されたレーザ素子LDから出射されたレーザ光を合成した光(合成光)の光量であり、以下では「合成光量」と呼ぶ。)が設定されるべき所望の光量となるように、フォトダイオードPDが検出した光量に基づいてレーザ素子LDに対してフィードバック制御を行う。なお、コントローラCntは、本発明における「制御手段」の一例に相当する。
【0031】
[制御方法]
次に、本実施例においてコントローラCntが行う制御について具体的に説明する。
【0032】
本実施例では、コントローラCntは、電流を入力するレーザ素子LDの数(レーザ素子LD1、LD2、LD3のうちでレーザ光を出射させるレーザ素子LDの数であり、以下では「使用LD数」と呼ぶ。)を設定し、設定した使用LD数に応じたレーザ素子LDのそれぞれに対して入力する電流を制御する。この場合、コントローラCntは、レーザ素子LDによる合成光量が所望の光量となるように、フォトダイオードPDが検出したレーザ光の光量、及びサーミスタThrmが検出した光源ユニット10の内部又は周辺の温度に基づいて、このような制御を行う。
【0033】
ここで、上記した「所望の光量」は、光源ユニット10が出射するように設定されるべき合成光量である(以下では、この所望の光量のことを「所望の合成光量」とも呼ぶ。)。1つの例では、光源ユニット10が画像表示装置に適用される場合には、所望の合成光量は、表示すべき画像に応じた光量に相当する。この例では、コントローラCntは、表示すべき画像に関する情報が入力され、その情報に基づいて所望の合成光量を設定する。他の例では、光源ユニット10が光ピックアップに適用される場合には、所望の合成光量は、光ディスクに照射すべき光量に相当する。この例では、コントローラCntは、光ディスクに照射すべき光量の情報が入力され、その情報に基づいて所望の合成光量を設定する。
【0034】
具体的には、本実施例では、コントローラCntは、サーミスタThrmが検出した光源ユニット10の内部又は周辺の温度が高い場合に、当該温度が低い場合に比して、使用LD数を増やす。こうすると、所望の合成光量を満たすために各レーザ素子LDから出射させるべき光量が減るため、各レーザ素子LDに入力される電流が低くなる。その結果、レーザ素子LDの発熱を抑えることができ(つまりレーザ素子LDの発熱を分散させることができ)、レーザ素子LDの劣化を抑制することが可能となる。他方で、光源ユニット10の内部又は周辺の温度が高くなると、レーザ素子LDの発光光量の上限が低下することで所望の合成光量を満たしにくくなるケースが生じ得るが、上記のように使用LD数を増やすと各レーザ素子LDから出射させるべき光量が減るため、そのような発光光量の上限に制限されなくなる。よって、所望の合成光量を適切に満たすことが可能となる。
【0035】
1つの例では、コントローラCntは、光源ユニット10の内部又は周辺の温度が所定温度以上である場合(つまり高温である場合)には、使用LD数を3個に設定し、電流を入力するレーザ素子LD(レーザ素子LD1、LD2、LD3のうちでレーザ光を出射させるレーザ素子LDであり、以下では「使用LD」と呼ぶ。)をレーザ素子LD1、LD2、LD3に決定する。つまり、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3の全てに電流を入力する制御を行う。この場合、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3による合成光量が所望の合成光量となるように、所望の合成光量をレーザ素子LD1、LD2、LD3に対して分配する。具体的には、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3のそれぞれが所望の合成光量の「1/3」の光量を出射するように、レーザ素子LD1、LD2、LD3のそれぞれに入力する電流を制御する。
【0036】
他方で、光源ユニット10の内部又は周辺の温度が所定温度未満である場合(つまり常温である場合)には、コントローラCntは、例えば、使用LD数を2個に設定し、使用LDをレーザ素子LD1、LD2に決定する。つまり、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2のみに電流を入力する制御を行い、レーザ素子LD3には電流を入力しないように制御する。この場合、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2による合成光量が所望の合成光量となるように、所望の合成光量をレーザ素子LD1、LD2に対して分配する。具体的には、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2のそれぞれが所望の合成光量の「1/2」の光量を出射するように、レーザ素子LD1、LD2のそれぞれに入力する電流を制御する。
【0037】
また、本実施例では、コントローラCntは、レーザ素子LDにおいてキンクの影響が生じるような場合には、使用LD数を減らす。ここで、「キンク」とは、レーザ素子LDに入力される電流が所定値(以下では「キンク閾値」と呼ぶ。)未満になることでレーザ素子LDの出力が不安定になるような現象である。本実施例では、コントローラCntは、上記したように温度に基づいて決定された使用LD数ではレーザ素子LDに入力される電流がキンク閾値未満となるような場合に(例えば光源ユニット10の内部又は周辺の温度が高温であるために使用LD数を増やしたことでレーザ素子LDに入力される電流が低くなることにより生じ得る)、当該使用LD数を減らす。このように使用LD数を減らすと、所望の合成光量を満たすために各レーザ素子LDから出射させるべき光量が増えるため、各レーザ素子LDに入力される電流が高くなる。その結果、レーザ素子LDに入力される電流をキンク閾値以上に適切に保持することができ、キンクの影響を抑制することが可能となる。
【0038】
更に、本実施例では、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3において故障しているレーザ素子LD(以下では「故障LD」と呼ぶ。)がある場合には、故障LDを駆動対象から外す。つまり、コントローラCntは、上記したような使用LDを決定するに当たって故障LDを除外する。これにより、故障LDによる種々の影響を適切に抑制することが可能となる。なお、コントローラCntは、例えば光源ユニット10の起動時などにおいてレーザ素子LDの故障判定を行う。
【0039】
[制御フロー]
次に、
図3を参照して、本実施例においてコントローラCntが行う制御の流れを説明する。
図3は、本実施例に係る制御フローを示している。なお、
図3に示すフローは、所定の周期で繰り返し実行される。
【0040】
まず、ステップS11では、コントローラCntは、光源ユニット10の起動時であるか否かを判定する。光源ユニット10の起動時である場合(ステップS11:Yes)、コントローラCntは、レーザ素子LDの故障判定を行う(ステップS12)。これに対して、光源ユニット10の起動時でない場合(ステップS11:No)、故障判定を行わずにステップS13に進む。
【0041】
ステップS12では、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3において故障しているレーザ素子LD(故障LD)があるか否かを判定する。1つの例では、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3を個別に発光させ、その際にフォトダイオードPDから入力された信号に基づいて、レーザ素子LDの故障判定を行う。この例では、コントローラCntは、フォトダイオードPDから入力された信号に対応する光量が所定の光量以下である場合に、その信号が得られたレーザ素子LDが故障していると判定する。他の例では、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3のそれぞれに所定電圧を印可し、その際に所定範囲内の電流が流れたか否かに応じて、レーザ素子LDの故障判定を行う。この例では、コントローラCntは、所定範囲内の電流が流れなかったレーザ素子LDが故障していると判定する。以上の故障判定の後、処理はステップS13に進む。
【0042】
ステップS13では、コントローラCntは、光源ユニット10が出射すべき所望の合成光量を設定する。1つの例では、コントローラCntは、表示すべき画像に応じた光量を、所望の合成光量として設定する。この例では、コントローラCntは、表示すべき画像に対応する信号が入力され、その信号に基づいて所望の合成光量を設定する。そして、処理はステップS14に進む。
【0043】
ステップS14では、コントローラCntは、サーミスタThrmが検出した光源ユニット10の内部又は周辺の温度に基づいて、使用LD数を決定する。基本的には、コントローラCntは、光源ユニット10の内部又は周辺の温度が高い場合には、当該温度が低い場合よりも、使用LD数を増やす。1つの例では、コントローラCntは、光源ユニット10の内部又は周辺の温度に応じて設定すべき使用LD数が予め定められたテーブルなどを参照して、使用LD数を決定する。このテーブルでは、レーザ素子LDの発熱による劣化を抑制する観点や、高温によるレーザ素子LDの発光光量の上限の低下などを考慮して、使用LD数が定められている。以上のステップS14の後、処理はステップS15に進む。
【0044】
ステップS15では、コントローラCntは、ステップS12での故障判定結果、及びステップS14で決定された使用LD数に基づいて、レーザ素子LD1、LD2、LD3の中から使用LDを決定する。ステップS12で故障LDがないと判定された場合には、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3の中から使用LD数に応じた使用LDを決定する。他方で、ステップS12で故障LDがあると判定された場合には、コントローラCntは、レーザ素子LD1、LD2、LD3から故障LDを除いたレーザ素子LDの中から使用LD数に応じた使用LDを決定する。以上のステップS15の後、処理はステップS16に進む。
【0045】
ステップS16では、コントローラCntは、ステップS15で決定された使用LDに対して発光量を分配する。具体的には、コントローラCntは、使用LDによる合成光量がステップS13で設定された所望の合成光量となるように、所望の合成光量を使用LDに対して分配する。そして、処理はステップS17に進む。
【0046】
ステップS17では、コントローラCntは、キンクの影響が生じるか否かを判定する。具体的には、コントローラCntは、ステップS16で分配された発光量を実現するためにレーザ素子LDに入力する電流がキンク閾値未満であるか否かに基づいて、キンクの影響が生じるか否かを判定する。
【0047】
レーザ素子LDに入力する電流がキンク閾値未満である場合には、コントローラCntは、キンクの影響が生じると判定し(ステップS17:Yes)、処理はステップS18に進む。ステップS18では、コントローラCntは、ステップS14で決定された使用LD数を減らす。この場合、コントローラCntは、レーザ素子LDに入力する電流がキンク閾値以上となるように、使用LD数を減らす度合いを決める。そして、コントローラCntは、減らした後の使用LD数に応じた使用LDを決定する。具体的には、コントローラCntは、ステップS15で決定された使用LDの中から1以上のレーザ素子LDを外したレーザ素子LDを、新たな使用LDとして決定する。この後、コントローラCntは、決定した使用LDによる合成光量が所望の合成光量となるように、所望の合成光量を当該使用LDに対して再分配し、処理はステップS19に進む。一方で、ステップS16で分配された発光量を実現するためにレーザ素子LDに入力する電流がキンク閾値以上である場合には、コントローラCntは、キンクの影響が生じないと判定し(ステップS17:No)、ステップS18の処理を行わずにステップS19に進む。
【0048】
ステップS19では、コントローラCntは、上記のようにして分配した発光量に基づいて、使用LDを制御する。具体的には、コントローラCntは、分配した発光量に応じた電流が使用LDに入力されるように、レーザドライバDrを制御する。そして、処理は終了する。
【0049】
[本実施例の作用・効果]
以上説明した本実施例によれば、光源ユニット10の内部又は周辺の温度が高い場合に使用LD数を増やすことで、レーザ素子LDの発熱を適切に抑えることができ、レーザ素子LDの劣化を抑制することが可能となる。言い換えると、レーザ素子LDを長寿命化することが可能となる。また、本実施例によれば、キンクの影響が生じるような場合に使用LD数を減らすことで、レーザ素子LDに入力される電流をキンク閾値以上に適切に保持することができ、キンクの影響を抑制することが可能となる。よって、レーザ素子LDから出力される光量を安定させることができ、所望の合成光量を適切に満たすことが可能となる。更に、本実施例によれば、レーザ素子LDが故障している場合に当該レーザ素子LD(故障LD)を駆動対象から除外することで、故障LDによる種々の影響を適切に抑制することができる。例えば、レーザ素子LDが故障により発光光量が低下しても、その故障LD以外のレーザ素子LDの発光光量を上げることで、故障による発光光量の低下分を適切に補うことができる。その結果、長期間に渡り安定した光量を得ることが可能となる。
【0050】
[変形例]
以下では、上記した実施例に好適な変形例について説明する。なお、下記の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用することができる。
【0051】
(変形例1)
上記した実施例では、入力電流の制御方法として、使用LD数に応じて各レーザ素子LDに入力する電流を変更する方法を用いていた。具体的には、当該方法では、使用LD数が増えるのに応じて各レーザ素子LDに入力する電流を減らし、使用LD数が減るのに応じて各レーザ素子LDに入力する電流を増やしていた。変形例1では、このような方法の代わりに、入力電流の制御方法として、各レーザ素子LDに入力する電流は変更せずに(つまりレーザ素子LDに電流を入力する際の電流の大きさ自体は変更せずに)、電流を入力する時間のデューティを変更する方法を用いる。つまり、変形例1では、レーザ素子LDに入力する平均電流を変更する。具体的には、変形例1では、使用LD数が増えるのに応じて電流を入力する時間のデューティを小さくすることで平均電流を減らし、使用LD数が減るのに応じて電流を入力する時間のデューティを大きくすることで平均電流を増やす。
【0052】
図4は、変形例1に係る入力電流の制御方法の具体例を示す図である。
図4(a)及び(b)では、横軸に時間を示しており、縦軸に各レーザ素子LDの電流値を示している。
図4(a)は、レーザ素子LD1、LD2に対して入力する電流を断続的に切り替える例を示している。この例では、電流値I
0の入力のオンとオフとを切り替える制御をレーザ素子LD1、LD2に対して順に行っている。
図4(b)は、レーザ素子LD1、LD2、LD3に対して入力する電流を断続的に切り替える例を示している。この例では、電流値I
0の入力のオンとオフとを切り替える制御をレーザ素子LD1、LD2、LD3に対して順に行っている。
【0053】
以上説明した変形例1によれば、各レーザ素子LDに入力する電流値I
0が一定であるため、上記したキンクの影響を適切に抑制することが可能となる。具体的には、各レーザ素子LDに入力する電流値I
0をキンク閾値以上の値に設定すれば、発光させる瞬間において常にキンク閾値以上の電流を各レーザ素子LDに入力することができるため、キンクの影響を効果的に抑制することが可能となる。
【0054】
(変形例2)
上記した実施例では、レーザ素子LD1、LD2、LD3及びコリメータレンズLn11、Ln12、Ln13の位置や傾きなどを適切なものに設定することで、レーザ素子LD1、LD2、LD3からのレーザ光を合成していた(
図1参照)。変形例2では、光導波路(1つの例では光ファイバー)を用いることで、レーザ素子LD1、LD2、LD3からのレーザ光を合成する。
【0055】
図5は、変形例2に係る光源ユニット10aの光学系を概略的に示した図である。
図5に示すように、変形例2に係る光源ユニット10aは、光学系として、レーザ素子LD1、LD2、LD3と、レンズLn21、Ln22、Ln23と、光合成器Cmbと、レンズLn3と、を有する。
【0056】
レンズLn21、Ln22、Ln23は、それぞれ、レーザ素子LD1、LD2、LD3から出射されたレーザ光を集光する。光合成器Cmbは、レンズLn21、Ln22、Ln23のそれぞれによって集光されたレーザ光が通過する光導波路WG1、WG2、WG3を有する。また、光合成器Cmbは、光導波路WG1、WG2、WG3を通過したレーザ光を合成する光導波路WG4を有する。レンズLn3は、このようにして光合成器Cmbの光導波路WG4によって合成されたレーザ光が入射され、当該レーザ光を光源ユニット10aの外部の点P1に集光する。なお、変形例2に係る光源ユニット10aも、上記した実施例に係る光源ユニット10と同様に、フォトダイオードPDなどの光量検出手段を有するが、説明の便宜上、
図5では図示を省略している。
【0057】
以上説明した変形例2の構成によれば、光導波路を用いることで、より柔軟な光路配置を実現することができると共に、多数のレーザ素子LDを容易に合成することができる。
【0058】
(変形例3)
上記した実施例では、光源ユニット10の内部又は周辺の温度、及びキンクの影響の両方を考慮して、使用LD数を決定していたが、光源ユニット10の内部又は周辺の温度、及びキンクの影響のいずれか一方のみに基づいて、使用LD数を決定しても良い。光源ユニット10の内部又は周辺の温度のみに基づいて使用LD数を決定する場合には、当該温度に応じた使用LD数を決定することとなる。この場合、キンクの影響をある程度抑えられるような使用LD数を予め定めておき、そのような使用LD数を決定すると良い。他方で、キンクの影響のみに基づいて使用LD数を決定する場合には、レーザ素子LDに入力される電流がキンク閾値以上に保持されるような使用LD数を決定することとなる。この場合、光源ユニット10の内部又は周辺の温度が高くなったとしてもレーザ素子LDの発熱をある程度抑えられるような使用LD数を予め定めておき、そのような使用LD数を決定すると良い。
【0059】
(変形例4)
上記した実施例では、レーザ素子LDに入力する電流を制御することでレーザ光の光量を変化させていたが、電流を制御する代わりに、レーザ素子LDに印加する電圧を制御しても良い。これによっても、電流を制御する場合と同様に、レーザ光の光量を適宜変化させることができる。
【0060】
(変形例5)
上記した実施例では、3個のレーザ素子LD(レーザ素子LD1、LD2、LD3)を用いる構成を示したが、本発明は、2個のレーザ素子LDを用いる構成や、4個以上のレーザ素子LDを用いる構成にも適用することができる。4個以上のレーザ素子LDを用いた場合には、光源ユニット10の内部又は周辺の温度がかなり高い場合に効果的に対応することが可能となる。
【0061】
また、赤色レーザ光、緑色レーザ光及び青色レーザ光を用いる表示装置に光源ユニット10を適用する場合には、赤色レーザ光を出射するレーザ素子LD、緑色レーザ光を出射するレーザ素子LD及び青色レーザ光を出射するレーザ素子LDのそれぞれに対して、本発明を適用することができる。