(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及びグアニジン類、スルフェンアミド類及びチアゾール類から選択される少なくとも一種の加硫促進剤(D)、並びに有機酸化合物(E)を含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、該加硫促進剤(D)、及び該有機酸化合物(E)の一部または添加せず混練し、且つ該第一段階におけるゴム組成物中の該有機酸化合物(E)の分子数Xが該加硫促進剤(D)の分子数Yに対して以下の式[1]の関係にあり、該第一段階におけるゴム組成物中の有機酸化合物(E)に含まれるステアリン酸が、ゴム成分(A)100質量部に対して1.5質量部以下であることを特徴とするゴム組成物の製造方法。
0≦X≦1.5×Y、かつ、Y≠0 ・・・[1]
前記ゴム成分(A)が、天然ゴム及び乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体から選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分であり、且つ該第一段階におけるゴム組成物中の該有機酸化合物(E)の分子数Xが該加硫促進剤(D)の分子数Yに対して以下の式[1]の関係にある、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
0<X≦1.5×Y ・・・[1]
前記ゴム成分(A)が、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴムのみからなり、且つ該第一段階におけるゴム組成物中の該有機酸化合物(E)の分子数Xが該加硫促進剤(D)の分子数Yに対して以下の式[2]の関係にある、請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
0≦4.7X≦3.5Y、かつ、Y≠0 ・・・[2]
前記混練の第一段階におけるゴム組成物中の前記加硫促進剤(D)の分子数がシランカップリング剤(C)の分子数の0.1〜1.0倍である請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記グアニジン類が、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記スルフェンアミド類が、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及びN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記チアゾール類が、2−メルカプトベンゾチアゾール及びジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドから選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記混練の第一段階におけるゴム組成物に含まれる前記有機酸化合物中の50モル%以上がステアリン酸である請求項1〜12のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記混練の第一段階におけるゴム組成物に含まれる前記有機酸化合物中の50モル%以上が、ロジン酸及び脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜12のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記第一段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(B)の全部又は一部及び前記シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練した後に前記加硫促進剤(D)を加えて、さらに混練する請求項1〜14のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
前記混練の第一段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(B)の全部又は一部、及び前記シランカップリング剤(C)の全部又は一部を加えた後、前記第一段階の途中で該加硫促進剤(D)を加えるまでの時間が、10〜180秒である、請求項1〜15のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の低減が求められている。従来、タイヤの転がり抵抗を減少する手法として、タイヤ構造を最適化する手法も検討されてきたが、タイヤに適用するゴム組成物としてより発熱性の低いゴム組成物を用いることが、現在、最も一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得る方法として、充填材としてシリカ等の無機充填材を使用する方法が知られている。
しかし、無機充填材配合ゴム組成物において、シリカ等の無機充填材を配合する際には、無機充填材、特にシリカはゴム組成物中で凝集してしまうため(シリカ表面の水酸基が原因で凝集してしまうため)、凝集を防止するためにシランカップリング剤が用いられる。
従って、シランカップリング剤を配合して上記問題を好適に解決するために、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を高める目的で種々の試みがなされている。
【0003】
例えば、特許文献1では、基本成分として、少なくとも(i)1種のジエンエラストマー、(ii)補強性充填剤として白色充填剤、(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシランを、(iv)エナミン及び(v)グアニジン誘導体と一緒に含むゴム組成物が提案されている。
また、特許文献2では、基本成分として、少なくとも(i)1種のジエンエラストマー、(ii)補強性充填剤として白色充填剤、(iii)カップリング剤(白色充填剤/ジエンエラストマー)としてポリ硫化アルコキシシランを、(iv)ジチオリン酸亜鉛及び(v)グアニジン誘導体と一緒に含むゴム組成物が開示されている。
特許文献3では、少なくとも、(i) ジエンエラストマー、(ii) 強化充填剤としての無機充填剤、(iii)(無機充填剤/ジエンエラストマー)カップリング剤としての多硫化アルコキシシラン(PSAS)をベースとし、(iv) アルジミン(R−CH=N−R)及び(v) グアニジン誘導体とが併用されているゴム組成物が記載されている。
さらに、特許文献4では、少なくとも:(i)ジエンエラストマー、(ii)補強フィラーとしての無機フィラー、(iii)カップリング剤としての多硫化アルコキシシランに基づき、(iv)1,2-ジヒドロピリジン及び(v)グアニジン誘導体を伴うゴム組成物が提案されている。
しかしながら、これらの発明は、混練条件についての考慮がなされていなかった。
また、混練条件を考慮して、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を高める例としては、特許文献5が挙げられるが、シランカップリング剤のカップリング機能の活性を高める効果が他の配合剤により低減することを抑制する考慮がなされていなかった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物の製造方法は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及びグアニジン類、スルフェンアミド類及びチアゾール類から選択される少なくとも一種の加硫促進剤(D)、並びに有機酸化合物(E)を含むゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、該加硫促進剤(D)、及び該有機酸化合物(E)を混練し、且つ該第一段階におけるゴム組成物中の該有機酸化合物(E)の分子数Xが該加硫促進剤(D)の分子数Yに対して以下の式[1]の関係にあることを特徴とする。
0≦X≦1.5×Y ・・・[1]
本発明において、混練の第一段階で加硫促進剤(D)を加えて混練するのは、シランカップリング剤(C)のカップリング機能の活性を高めるためであり、混練の第一段階におけるゴム組成物中の有機酸化合物(E)の分子数(モル数)Xを加硫促進剤(D)の分子数(モル数)Yの1.5倍以下とするのは、加硫促進剤(D)配合によるカップリング機能の活性向上効果が低減するのを好適に抑制するためである。
なお、上記式[1]において、X=0は有機化合物(E)を配合しないことを意味する。即ち、本発明に係る混練の第一段階において有機酸化合物(E)を加えなくてもよい。
【0010】
上記のシランカップリング剤(C)のカップリング機能の活性をより好適に高めるためには、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度が、120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。
本発明に係る混練の第一段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(B)の全部又は一部及び前記シランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練した後に前記加硫促進剤(D)を加えて、さらに混練する場合では、混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、及び該シランカップリング剤(C)の全部又は一部を加えた後、該第一段階の途中で該加硫促進剤(D)を加えるまでの時間を10〜180秒とすることが好ましい。この時間は10〜150秒がより好ましく、30〜150秒が更に好ましく、30〜120秒が特に好ましい。
この時間が10秒以上であれば(B)と(C)の反応を十分に進行させることができる。この時間が180秒を超えても(B)と(C)の反応は既に十分に進行しているので、更なる効果は享受しにくく、上限値を180秒とすることが好ましい。
【0011】
本発明におけるゴム組成物の混練工程は、加硫促進剤(D)を除くその他の加硫系薬品を含まない混練の第一段階と、加硫系薬品を含む混練の最終段階の少なくとも2つの段階を含むものであり、必要に応じ、加硫促進剤(D)を除くその他の加硫系薬品を含まない混練の中間段階を含んでもよい。ここで、加硫系薬品とは、加硫に関わる薬品を示し、具体的には加硫剤及び加硫促進剤を示す。
なお、本発明における混練の第一段階とは、ゴム成分(A)と無機充填材(B)とシランカップリング剤(C)とを混練する最初の段階をいい、最初の段階でゴム成分(A)と無機充填材(B)以外の充填材とを混練する場合やゴム成分(A)のみを予備練りする場合の段階は含まれない。
本発明において、第一段階、中間段階などの最終段階より前の混練段階とは、ゴム成分、無機充填剤、カップリング剤などの、加硫系薬品(加硫剤や加硫促進剤)以外の原材料を配合し、混練する工程であり、無機充填剤のゴム組成物への分散を行い、ゴム成分を補強する為の工程である。本発明では第一段階にて加硫促進剤(D)を配合することにより無機充填剤のゴム組成物への分散をより良好にすることを特徴としたものである。なお、中間段階でゴム成分や充填剤等を配合し、混練してもよい。
混練の第一段階より後、かつ最終段階より前の中間段階を含む場合には、中間混練段階におけるゴム組成物の最高温度は120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、30秒から5分であることがさらに好ましい。なお、中間段階を含む際には、第一段階の混練段階後、ゴム組成物の温度を第一段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
また、混練の最終段階とは、加硫系薬品(加硫剤、加硫促進剤)を配合し、混練する工程をいう。この最終段階におけるゴム組成物の最高温度は60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、100〜120℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、20秒から5分であることがさらに好ましい。
混練の第一段階、中間段階から最終段階に進む際には、ゴム組成物の温度を中間段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
【0012】
[シランカップリング剤(C)]
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられるシランカップリング剤(C)は、下記一般式(I)及び(II)で表わされる化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
本発明方法に係るゴム組成物は、このようなシランカップリング剤(C)を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好な空気入りタイヤを与えることができる。
以下、下記一般式(I)及び(II)を順に説明する。
【0013】
【化1】
式中、R
1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基又は水素原子であり、R
2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R
3は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。
【0014】
上記一般式(I)で表わされるシランカップリング剤(C)の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0015】
【化2】
式中、R
4は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖もしくは分枝のアルコキシアルキル基又は水素原子であり、R
5は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基であり、R
6は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖もしくは分枝のアルキレン基である。R
7は一般式
(−S−R
8−S−)、(−R
9−S
m1−R
10−)及び(−R
11−S
m2−R
12−S
m3−R
13−)のいずれかの二価の基(R
8〜R
13は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、又は硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基であり、m1、m2及びm3は同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。
【0016】
上記一般式(II)で表わされるシランカップリング剤(C)の具体例として、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S
2−(CH
2)
6−S
2−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S
2−(CH
2)
10−S
2−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S
3−(CH
2)
6−S
3−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S
4−(CH
2)
6−S
4−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
6−S
2−(CH
2)
6−S−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
6−S
2.5−(CH
2)
6−S−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
6−S
3−(CH
2)
6−S−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
6−S
4−(CH
2)
6−S−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
10−S
2−(CH
2)
10−S−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S
4−(CH
2)
6−S
4−(CH
2)
6−S
4−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S
2−(CH
2)
6−S
2−(CH
2)
6−S
2−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3、
平均組成式(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
6−S
2−(CH
2)
6−S
2−(CH
2)
6−S−(CH
2)
3−Si(OCH
2CH
3)
3等で表される化合物が好適に挙げられる
【0017】
本発明に係るシランカップリング剤(C)は、上記一般式(I)及び(II)で表わされる化合物の内、上記一般式(I)で表わされる化合物が特に好ましい。加硫促進剤(D)はゴム成分(A)と反応するポリスルフィド結合部位の活性化を起こし易いからである。
本発明においては、シランカップリング剤(C)は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物のシランカップリング剤(C)の配合量は、質量比{シランカップリング剤(C)/無機充填材(B)}が(1/100)〜(20/100)であることが好ましい。(1/100)以上であれば、ゴム組成物の低発熱性向上の効果をより好適に発揮することとなり、(20/100)以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上するからである。更には質量比(3/100)〜(20/100)であることがより好ましく、質量比(4/100)〜(10/100)であることが特に好ましい。
【0018】
[加硫促進剤(D)]
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられる加硫促進剤(D)として、グアニジン類、スルフェンアミド類及びチアゾール類が挙げられる。
グアニジン類としては、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩、1,3−ジ−o−クメニルグアニジン、1,3−ジ−o−ビフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−クメニル−2−プロピオニルグアニジン等が挙げられ、1,3−ジフェニルグアニジン、1,3−ジ−o−トリルグアニジン及び1−o−トリルビグアニドは反応性が高いので好ましく、1,3−ジフェニルグアニジンは反応性がより高いので特に好ましい。
スルフェンアミド類としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−メチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−プロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−オクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−2−エチルヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−ステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジメチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジエチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジプロピル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジペンチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジオクチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジ−2−エチルヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−デシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジドデシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジステアリル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド等が挙げられる。これらの内、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド及びN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドは、反応性が高いので好ましい。
チアゾール類としては2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、2−メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2−(N,N−ジエチルチオカルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール、4−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−(4−メチル−2−ベンゾチアゾリル)ジスルフィド、5−クロロ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾールナトリウム、2−メルカプト−6−ニトロベンゾチアゾール、2−メルカプト-ナフト[1,2−d]チアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、6−アミノ−2−メルカプトベンゾチアゾール等が挙げられる。これらの内、2−メルカプトベンゾチアゾール及びジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドは、反応性が高く好ましい。
【0019】
本発明に係る混練の第一段階において、加硫促進剤(D)の分子数(モル数)がシランカップリング剤(C)の分子数(モル数)の0.1〜1.0倍であることが好ましい。0.1倍以上であればシランカップリング剤(C)の活性化が十分に起こり、1.0倍以下であれば加硫速度に大きな影響は与えないからである。更に好ましくは、該加硫促進剤(D)の分子数(モル数)はシランカップリング剤(C)の分子数(モル数)の0.3〜1.0倍であり、特に好ましくは、0.4〜1.0倍である。
【0020】
さらに、前記第一段階における加硫促進剤(D)の投入方法として、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部又は一部及びシランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練した後に加硫促進剤(D)を加えて、さらに混練することが好ましい。この投入方法により、シランカップリング剤(C)とシリカとの反応が十分に進行した後に、シランカップリング剤(C)とゴム成分(A)との反応を進行させることができるからである。
なお、加硫促進剤(D)は、硫黄加硫の促進剤としても用いられるので、混練の最終段階においても所望により適量を配合してもよい。混練の最終段階で加硫促進剤を配合する際には、本発明に係る加硫促進剤(D)に限定されず、公知の加硫促進剤を配合することもできる。
【0021】
[有機酸化合物(E)]
本発明における有機酸化合物(E)としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ネルボン酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸並びにロジン酸や変性ロジン酸等の樹脂酸などの有機酸、前記飽和脂肪酸及び前記不飽和脂肪酸並びに樹脂酸のエステルなどが挙げられる。
本発明においては、加硫促進助剤としての機能を十分に発揮する必要があることから、混練の第一段階におけるゴム組成物に含まれる有機酸化合物(E)中の50モル%以上がステアリン酸であることが好ましい。
また、ゴム成分(A)が乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体及び天然ゴムから選ばれる少なくとも1種を含む場合は、混練の第一段階におけるゴム組成物に含まれる有機酸化合物(E)中の50モル%以上が、該乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体及び該天然ゴムから選ばれる少なくとも1種に含まれる、ロジン酸及び脂肪酸から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体に含まれるロジン酸(変性ロジン酸も包含される。)及び脂肪酸は、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体を重合するのに必要な乳化剤に由来するものである。また、天然ゴムは、通常、脂肪酸を少量含んでいる。
【0022】
[ゴム成分(A)]
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられるゴム成分(A)の合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン-プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等を用いることができ、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムは、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
【0023】
本発明のゴム組成物の製造方法に用いられる無機充填材(B)は、シリカ及び下記一般式(III)で表される無機化合物を用いることができる。
dM
1・xSiO
y・zH
2O ・・・(III)
ここで、一般式(III)中、M
1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
尚、一般式(III)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
【0024】
本発明においては、上述の無機充填材(B)の内、低転がり性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m
2/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜350m
2/gの範囲にあるシリカがより好ましく、BET比表面積が130m
2/gを超え、350m
2/g以下であるシリカが更に好ましく、BET比表面積が135〜350m
2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =205m
2/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積 =240m
2/g)、デグッサ社製、商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m
2/g)等の市販品を用いることができる。
【0025】
前記一般式(III)で表わされる無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al
2O
3)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al
2O
3・H
2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)
3]、炭酸アルミニウム[Al
2(CO
3)
2]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)
2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO
3)、タルク(3MgO・4SiO
2・H
2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO
2・9H
2O)、チタン白(TiO
2)、チタン黒(TiO
2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)
2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al
2O
3)、クレー(Al
2O
3・2SiO
2)、カオリン(Al
2O
3・2SiO
2・2H
2O)、パイロフィライト(Al
2O
3・4SiO
2・H
2O)、ベントナイト(Al
2O
3・4SiO
2・2H
2O)、ケイ酸アルミニウム(Al
2SiO
5 、Al
4・3SiO
4・5H
2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg
2SiO
4、MgSiO
3等)、ケイ酸カルシウム(Ca
2・SiO
4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al
2O
3・CaO・2SiO
2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO
4)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、酸化ジルコニウム(ZrO
2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)
2・nH
2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO
3)
2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。また、前記一般式(III)中のM
1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
一般式(III)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明における無機充填材(B)は、シリカ単独で使用してもよいし、シリカと一般式(III)で表される無機化合物の1種以上とを併用してもよい。
【0026】
本発明に係るゴム組成物の充填材は、所望により、上述の無機充填材(B)に加えてカーボンブラックを含有してもよい。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を享受できる。このカーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いるのが好ましい。窒素吸着比表面積(N
2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が30〜250m
2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において、カーボンブラックは無機充填材(B)に含まれない。
【0027】
本発明に係るゴム組成物の無機充填材(B)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ウエット性能を確保する観点から好ましく、120質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。更には、30〜100質量部使用することがより好ましい。
また、本発明に係るゴム組成物の充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材(B)が30質量%以上であることがウェット性能と転がり抵抗の両立の観点から好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、無機充填材(B)としてシリカを使用する場合は、前記充填材中、シリカが30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることが更に好ましい。
【0028】
本発明のゴム組成物の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合される亜鉛華等の加硫活性剤、老化防止剤等の各種配合剤は、必要に応じ、混練の第一段階又は最終段階、あるいは第一段階と最終段階の中間段階において混練りされる。
本発明の製造方法における混練装置として、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出機等が用いられる。
【実施例】
【0029】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
なお、低発熱性(tanδ指数)を下記の方法により評価した。
【0030】
低発熱性(tanδ指数)
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪み5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1、19、46、54、62又は70のtanδの逆数を100として下記式にて指数表示した。指数値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
低発熱性指数={(比較例1、19、46、54、62又は70の加硫ゴム組成物のtanδ)/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
【0031】
製造例1 平均組成式
(CH
3CH
2O)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S
2.5-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OCH
2CH
3)
3で表されるシランカップリング剤の製造
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下ロートを備えた2リットルのセパラブルフラスコに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン119g(0.5モル)を仕込み、攪拌下、有効成分20質量%のナトリウムエトキシドのエタノール溶液151.2g(0.45モル)を加えた。その後、80℃に昇温し、3時間攪拌を続けた。その後冷却し、滴下ロートに移した。
次いで、上記と同様のセパラブルフラスコに、1,6−ジクロロヘキサンを69.75g(0.45モル)仕込み、80℃に昇温した後、上記の3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとナトリウムエトキシドの反応物をゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃で5時間攪拌を続けた。その後冷却し、得られた溶液中から塩を濾別し、さらにエタノール及び過剰の1,6−ジクロロヘキサンを減圧留去した。得られた溶液を減圧蒸留し、沸点148〜150℃/0.005torr(0.67Pa)の無色透明の液体137.7gを得た。IR分析、
1H−NMR分析及びマススペクトル分析(MS分析)を行った結果、(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3S−(CH
2)
6−Clで表される化合物であった。また、ガスクロマトグラフ分析(GC分析)による純度は97.5%であった。
次いで、上記と同様の0.5リットルのセパラブルフラスコに、エタノール80g、無水硫化ソーダ5.46g(0.07モル)、硫黄3.36g(0.105モル)を仕込み、80℃に昇温した。この溶液を攪拌しながら、上記(CH
3CH
2O)
3Si−(CH
2)
3−S−(CH
2)
6−Clを49.91g(0.14モル)ゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間攪拌を続けた。攪拌終了後、冷却し、生成した塩を濾別した後、溶媒のエタノールを減圧蒸留した。
得られた赤褐色透明の溶液をIR分析、
1H−NMR分析及び超臨界クロマトグラフィー分析を行った結果、平均組成式
(CH
3CH
2O)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S
2.5-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OCH
2CH
3)
3で表される化合物であることを確認した。このもののGPC分析における純度は85.2%であった。
【0032】
実施例1〜22及び比較例1〜15
第1表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、37種類のゴム組成物を調製した。比較例1及び2以外の全てのゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてグアニジン類である1,3−ジフェニルグアニジンを加えて、さらに混練した。得られた37種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第1表に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
[注]
*1: JSR株式会社製、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、商品名「#1500」
*2: 旭化成株式会社製、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、商品名「タフデン2000」
*3: N220(ISAF)、旭カーボン株式会社製、商品名「#80」
*4: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」、 BET比表面積205m
2/g
*5: ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*6: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*7: 1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」
*8: 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック224」
*9: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーDM」
*10: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
【0036】
実施例23及び24及び比較例16〜18
次に、第2表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、5種類のゴム組成物を調製した。実施例23及び24のゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてグアニジン類である1,3−ジフェニルグアニジンを加えて、さらに混練した。得られた5種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第2表に示す。なお、比較のため、実施例1、6及び比較例1を再掲した。
【0037】
【表3】
[注]*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*11: 製造例1で得られた下記平均組成式で表されるシランカップリング剤
(CH
3CH
2O)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S
2.5-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OCH
2CH
3)
3
【0038】
実施例25及び26及び比較例19
第3表に示す配合処方及び混練方法により、バンバリーミキサーで混練して、3種類のゴム組成物を調製した。混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、3種類のゴム組成物を調製した。実施例25及び26のゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてグアニジン類である1,3−ジ−o−トリルグアニジン又は1−o−トリルビグアニドを加えて、さらに混練した。得られた3種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第3表に示す。なお、比較のため、実施例1を再掲した。
【0039】
【表4】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*12: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDT」
*13: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーBG」
【0040】
実施例27〜47及び比較例20〜32
第4表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、34種類のゴム組成物を調製した。全てのゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてスルフェンアミド類であるN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを加えて、さらに混練した。得られた34種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第4表に示す。なお、比較のため、比較例1及び2を再掲した。
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*14: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ」
【0044】
実施例48〜50
次に、第5表又は第6表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、2種類のゴム組成物を調製した。全てのゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてスルフェンアミド類であるN−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド又はN−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドを加えて、さらに混練した。得られた3種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第5表及び第6表に示す。なお、比較のため、第5表においては、実施例27及び32並びに比較例1及び16〜18を再掲し、第6表においては、実施例27及び比較例19を再掲した。
【0045】
【表7】
[注]
*1〜*10及び*14のいずれも第4表と同じである。
*11: 製造例1で得られた下記平均組成式で表されるシランカップリング剤
(CH
3CH
2O)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S
2.5-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OCH
2CH
3)
3
【0046】
【表8】
[注]
*1〜*10及び*14のいずれも第4表と同じである。
【0047】
実施例51〜71及び比較例33〜45
第7表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、34種類のゴム組成物を調製した。全てのゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてチアゾール類である2−メルカプトベンゾチアゾールを加えて、さらに混練した。得られた34種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第7表に示す。なお、比較のため、比較例1及び2を再掲した。
【0048】
【表9】
【0049】
【表10】
【0050】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*15: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーM」
【0051】
実施例72〜76
次に、第8表及び第9表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、5種類のゴム組成物を調製した。全てのゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてチアゾール類である2−メルカプトベンゾチアゾール又はジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドを加えて、さらに混練した。得られた5種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第8表及び第9表に示す。なお、比較のため、第8表においては、比較例1及び16〜18を再掲した。また、第9表は、2−メルカプトベンゾチアゾールとジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィドとの比較のため、実施例51及び比較例19を再掲した。
【0052】
【表11】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*11: 製造例1で得られた下記平均組成式で表されるシランカップリング剤
(CH
3CH
2O)
3Si-(CH
2)
3-S-(CH
2)
6-S
2.5-(CH
2)
6-S-(CH
2)
3-Si(OCH
2CH
3)
3
【0053】
【表12】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*15: 大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーM」
【0054】
実施例77〜132及び比較例46〜77
第10表〜第13表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、88種類のゴム組成物を調製した。比較例46、47、54、55、70及び71以外の全てのゴム組成物の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部及びシランカップリング剤(C)の全部を混練した後に、加硫促進剤(D)としてグアニジン類である1,3−ジフェニルグアニジンを加えて、さらに混練した。得られた88種類のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第10表〜第13表に示す。
【0055】
【表13】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*16: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールKQ」、 BET比表面積240m
2/g
【0056】
【表14】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*17: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールNS」、 BET比表面積160m
2/g
【0057】
【表15】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*18: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールNA」、 BET比表面積135m
2/g
【0058】
【表16】
[注]
*1〜*10のいずれも第1表と同じである。
*19: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールER」、 BET比表面積95m
2/g
【0059】
第1表〜第13表及び
図1から明らかなように、実施例1〜132のゴム組成物は、比較例1〜77中の対比すべきゴム組成物と比較して、いずれも低発熱性(tanδ指数)が良好であった。