特許第6010666号(P6010666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010666
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】通信制御方法及び無線基地局
(51)【国際特許分類】
   H04W 68/00 20090101AFI20161006BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20161006BHJP
【FI】
   H04W68/00
   H04W52/02 111
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-144571(P2015-144571)
(22)【出願日】2015年7月22日
(62)【分割の表示】特願2013-508658(P2013-508658)の分割
【原出願日】2011年4月4日
(65)【公開番号】特開2015-181319(P2015-181319A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 智春
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
(72)【発明者】
【氏名】福田 憲由
(72)【発明者】
【氏名】安達 裕之
(72)【発明者】
【氏名】稲越 敦久
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/126409(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0184458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末が下り方向信号を監視すべきオン期間及び前記オン期間以外のオフ期間を有するDRX周期を構成可能な移動通信システムでの無線基地局における通信制御方法であって、
前記無線基地局は、前記無線端末がページング信号を監視するためのタイミングに関する第1のConfigurationを前記無線端末へ送信し、
前記無線基地局は、ロングDRX周期よりも長い周期を構成する拡張DRX周期に関する第2のConfigurationを前記無線端末へ送信し、
前記無線基地局は、前記拡張DRX周期のオフ期間において、前記ページング信号を前記第1のConfigurationに対応した所定のタイミングで前記無線端末に送信する、通信制御方法。
【請求項2】
無線端末が下り方向信号を監視すべきオン期間及び前記オン期間以外のオフ期間を有するDRX周期を構成可能な移動通信システムにおける無線基地局であって、
制御部を備え、前記制御部は、前記無線端末がページング信号を監視するためのタイミングに関する第1のConfigurationと、ロングDRX周期よりも長い周期を構成する拡張DRX周期に関する第2のConfigurationを前記無線端末へ送信するConfiguration送信処理と、
前記Configuration送信処理の後、前記拡張DRX周期のオフ期間において、前記ページング信号を前記第1のConfigurationに対応した所定のタイミングで前記無線端末に送信するページング信号送信処理と、を実行するように構成された無線基地局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間及びオン期間以外のオフ期間を有するDRX周期(間欠受信周期)を構成する移動通信システムにおける通信制御方法及び無線基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
LTE(Long Term Evolution)などの次世代通信システムでは、無線端末の消費電力を低減するために、DRX(Discontinuous Reception)と称される技術が採用されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
DRXでは、DRX周期(DRX Cycle)内において、サービングセルから送信される下り方向信号(例えば、PDCCH:Physical Downlink Control Channel)を監視すべきオン期間(On duration)及びオン期間以外のオフ期間(Opportunity for DRX)が設けられる。無線基地局は、無線端末がオン期間である期間においてのみ、無線端末宛の専用信号を送信する。このように、無線端末は、オン期間においてのみ、無線基地局から送信される下り方向信号を監視すればよいように構成されており、オフ期間において受信機の電源を落としていると考えられる。なお、DRX周期としては、2つの周期(ショートDRX周期及びロングDRX周期)を構成可能である。また、DRXモードは、無線端末と無線基地局との間でRRCコネクションが設定された状態(RRCコネクティッド状態)において構成可能である。すなわち、DRX周期のオフ期間は、RRCアイドル状態とは異なることに留意すべきである。なお、3GPP規格においては、ロングDRX周期がマンダトリーであり、ショートDRX周期がオプショナルである。
【0004】
ところで、近年では、様々なアプリケーションを搭載する無線端末が増加している。アプリケーションは、サーバなどの通信相手に対して、キープアライブメッセージや状態更新メッセージなどの所定メッセージを定期的に送受信するように構成される。このようなケースでは、所定メッセージの送受信の度に、RRC状態の遷移に起因する制御信号の送受信が発生するため、ネットワークリソースの逼迫が生じる。
【0005】
これに対して、このようなネットワークリソースの逼迫を防ぐために、既存のDRX周期(例えば、ショートDRX周期及びロングDRX周期)よりも長い周期(例えば、拡張DRX周期)のDRX周期を設けることが検討されている(例えば、非特許文献2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】TS36.321 V10.0.0
【非特許文献1】RP−110454
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、拡張DRX周期としては数秒間以上の周期が想定されており、拡張DRX周期は、ショートDRX周期及びロングDRX周期などと比べて非常に長い。従って、拡張DRX周期のオフ期間も非常に長いことが想定される。
【0008】
従って、拡張DRX周期が構成される場合において、様々な対策が必要であると考えられる。例えば、オフ期間において着信処理ができないため、着信処理の遅延が大きくなる。
【0009】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、拡張DRX周期などのDRX周期が構成される場合において、オフ期間の長期化に伴う問題を抑制することを可能とする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の特徴に係る移動通信方法は、無線端末と無線基地局との間でRRCコネクションが設定されたRRCコネクティッド状態において、サービング基地局から送信される下り方向信号を監視すべきオン期間及び前記オン期間以外のオフ期間を有するDRX周期を構成する。移動通信方法は、前記無線基地局が、前記無線端末に対して前記DRX周期が構成されている場合に、前記オフ期間であっても、前記無線端末の着信を通知するページング信号を所定タイミングで前記無線端末に送信する工程Aと、前記無線端末が、前記DRX周期が構成されている場合に、前記オフ期間において、前記所定タイミングで前記ページング信号を監視する工程Bとを含む。
【0011】
第1の特徴において、移動通信方法は、前記無線端末が、前記ページング信号の受信に応じて、前記DRX周期を解除する工程Cを含む。
【0012】
第1の特徴において、前記工程Cは、前記無線端末が、前記DRX周期を解除して、前記下り方向信号を連続的に監視する工程を含む。
【0013】
第1の特徴において、前記工程Cは、前記無線端末が、前記DRX周期を解除して、前記DRX周期よりも短いDRX周期を構成する工程を含む。
【0014】
第1の特徴において、前記工程Cは、前記無線端末が、前記ページング信号の受信に応じて、前記無線基地局に対する再接続手順を開始する工程を含む。
【0015】
第2の特徴に係る無線端末は、移動通信システムにおいて、下り方向信号を受信する。移動通信システムは、無線端末と無線基地局との間でRRCコネクションが設定されたRRCコネクティッド状態において、サービング基地局から送信される下り方向信号を監視すべきオン期間及び前記オン期間以外のオフ期間を有するDRX周期を構成する。無線端末は、前記DRX周期が構成されている場合に、前記オフ期間において、所定タイミングでページング信号を監視する制御部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1実施形態に係る移動通信システム100を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る無線フレームを示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る無線リソースを示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係るショートDRX周期を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係るロングDRX周期を示す図である。
図6図6は、第1実施形態に係る拡張DRX周期を示す図である。
図7図7は、第1実施形態に係るUE10を示すブロック図である。
図8図8は、第1実施形態に係る移動通信方法を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る移動通信システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
実施形態に係る移動通信方法は、無線端末と無線基地局との間でRRCコネクションが設定されたRRCコネクティッド状態において、サービング基地局から送信される下り方向信号を監視すべきオン期間及び前記オン期間以外のオフ期間を有するDRX周期を構成する。移動通信方法は、前記無線基地局が、前記無線端末に対して前記DRX周期が構成されている場合に、前記オフ期間であっても、前記無線端末の着信を通知するページング信号を所定タイミングで前記無線端末に送信する工程Aと、前記無線端末が、前記DRX周期が構成されている場合に、前記オフ期間において、前記所定タイミングで前記ページング信号を監視する工程Bとを含む。
【0020】
実施形態では、無線基地局は、RRCコネクティッド状態でDRX周期が構成されている場合において、前記オフ期間であっても、ページング信号を所定のタイミングで送信し、無線端末は、RRCコネクティッド状態で構成されたDRX周期のオフ期間において、ページング信号を所定のタイミングで監視する。
【0021】
これによって、非常に長いDRX周期が構成されたとしても、オフ期間においてページング信号を受信することによって、着信処理を行うことができる。
【0022】
[第1実施形態]
(移動通信システム)
以下において、第1実施形態に係る移動通信システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る移動通信システム100を示す図である。
【0023】
図1に示すように、移動通信システム100は、携帯端末10(以下、UE10)と、コアネットワーク50とを含む。また、移動通信システム100は、第1通信システムと第2通信システムとを含む。
【0024】
第1通信システムは、例えば、LTE(Long Term Evolution)に対応する通信システムである。第1通信システムは、例えば、無線基地局110(以下、eNB110)と、MME120とを有する。なお、第1通信システムでは、第1RAT(EUTRAN;Evolved Universal Terrestrial Access Network)が用いられる。
【0025】
第2通信システムは、例えば、WCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)に対応する通信システムである。第2通信システムは、無線基地局210と、RNC220と、SGSN230とを有する。なお、第2通信システムでは、第2RAT(UTRAN;Universal Terrestrial AccessNetwork)が用いられる。
【0026】
UE10は、第1通信システム及び第2通信システムと通信を行うように構成された装置(User Equipment)である。例えば、UE10は、eNB110と無線通信を行う機能を有するとともに、無線基地局210と無線通信を行う機能を有する。
【0027】
eNB110は、セル111を有しており、セル111に存在するUE10と無線通信を行う装置(evolved NodeB)である。
【0028】
MME120は、eNB110と無線接続を設定しているUE10の移動性を管理する装置(Mobility Management Entity)である。MME120は、コアネットワーク50に設けられる。
【0029】
無線基地局210は、セル211を有しており、セル211に存在するUE10と無線通信を行う装置(NodeB)である。
【0030】
RNC220は、無線基地局210に接続されており、セル211に存在するUE10と無線接続(RRC Connection)を設定する装置(Radio Network Controller)である。
【0031】
SGSN230は、パケット交換ドメインにおいてパケット交換を行う装置(Serving GPRS Support Node)である。SGSN230は、コアネットワーク50に設けられる。図1では省略しているが、回線交換ドメインにおいて回線交換を行う装置(MSC;Mobile Switching Center)がコアネットワーク50に設けられていてもよい。
【0032】
なお、以下においては、第1通信システムについて主として説明する。但し、以下の記載が第2通信システムに適用されてもよい。また、セルは、UE10と無線通信を行う機能として理解すべきである。但し、セルは、セルと通信可能な範囲を示すサービスエリアと考えてもよい。
【0033】
ここで、第1通信システムでは、下り方向の多重方式として、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式が用いられており、上り方向の多重方式として、SC−FDMA(Single−Carrier Frequency Division Multiple Access)方式が用いられる。
【0034】
また、第1通信システムでは、上り方向のチャネルとして、上り方向制御チャネル(PUCCH;Physical Uplink Control Channel)及び上り方向共有チャネル(PUSCH;Physical Uplink Shared Channel)などが存在する。また、下り方向のチャネルとして、下り方向制御チャネル(PDCCH;Physical Downlink Control Channel)及び下り方向共有チャネル(PDSCH;Physical Downlink Shared Channel)などが存在する。
【0035】
上り方向制御チャネルは、制御信号を搬送するチャネルである。制御信号は、例えば、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、RI(Rank Indicator)、SR(Scheduling Request)、ACK/NACKなどである。
【0036】
CQIは、下り方向の伝送に使用すべき推奨変調方式と符号化速度を通知する信号である。PMIは、下り方向の伝送の為に使用することが望ましいプリコーダマトリックスを示す信号である。RIは、下り方向の伝送に使用すべきレイヤ数(ストリーム数)を示す信号である。SRは、上り方向無線リソース(後述するリソースブロック)の割当てを要求する信号である。ACK/NACKは、下り方向のチャネル(例えば、PDSCH)を介して送信される信号を受信できたか否かを示す信号である。
【0037】
上り方向共有チャネルは、制御信号(上述した制御信号を含む)又は/及びデータ信号を搬送するチャネルである。例えば、上り方向無線リソースは、データ信号にのみ割当てられてもよく、データ信号及び制御信号が多重されるように割当てられてもよい。
【0038】
下り方向制御チャネルは、制御信号を搬送するチャネルである。制御信号は、例えば、Uplink SI(Scheduling Information)、Downlink SI(Scheduling Information)、TPCビットである。
【0039】
Uplink SIは、上り方向無線リソースの割当てを示す信号である。Downlink SIは、下り方向無線リソースの割当てを示す信号である。TPCビットは、上り方向のチャネルを介して送信される信号の電力の増減を指示する信号である。
【0040】
下り方向共有チャネルは、制御信号又は/及びデータ信号を搬送するチャネルである。例えば、下り方向無線リソースは、データ信号にのみ割当てられてもよく、データ信号及び制御信号が多重されるように割当てられてもよい。
【0041】
なお、下り方向共有チャネルを介して送信される制御信号としては、TA(Timing Advance)が挙げられる。TAは、UE10とeNB110との間の送信タイミング補正情報であり、UE10から送信される上り方向信号に基づいてeNB110によって測定される。
【0042】
また、下り方向制御チャネル(PDCCH)下り方向共有チャネル(PDSCH)以外のチャネルを介して送信される制御信号としては、ACK/NACKが挙げられる。ACK/NACKは、上り方向のチャネル(例えば、PUSCH)を介して送信される信号を受信できたか否かを示す信号である。
【0043】
(無線フレーム)
以下において、第1通信システムにおける無線フレームについて説明する。図2は、第1通信システムにおける無線フレームを示す図である。
【0044】
図2に示すように、1つの無線フレームは、10のサブフレームによって構成されており、1つのサブフレームは、2つのスロットによって構成される。1つのスロットの時間長は、0.5msecであり、1つのサブフレームの時間長は、1msecであり、1つの無線フレームの時間長は、10msecである。
【0045】
なお、1つのスロットは、下り方向において、複数のOFDMシンボル(例えば、6つのOFDMシンボル或いは7つのOFDMシンボル)によって構成される。同様に、1つのスロットは、上り方向において、複数のSCFDMAシンボル(例えば、6つのSC−FDMAシンボル或いは7つのSC−FDMAシンボル)によって構成される。
【0046】
(無線リソース)
以下において、第1通信システムにおける無線リソースについて説明する。図3は、第1通信システムにおける無線リソースを示す図である。
【0047】
図3に示すように、無線リソースは、周波数軸及び時間軸によって定義される。周波数は、複数のサブキャリアによって構成されており、所定数のサブキャリア(12のサブキャリア)を纏めてリソースブロック(RB:Resource Block)と称する。時間は、上述したように、OFDMシンボル(又は、SC−FDMAシンボル)、スロット、サブフレーム、無線フレームなどの単位を有する。
【0048】
ここで、無線リソースは、1リソースブロック毎に割当て可能である。また、周波数軸及び時間軸上において、複数のユーザ(例えば、ユーザ#1〜ユーザ#5)に対して分割して無線リソースを割当てることが可能である。
【0049】
また、無線リソースは、eNB110によって割当てられる。eNB110は、CQI、PMI、RIなどに基づいて、各UE10に割当てられる。
【0050】
(間欠受信)
以下において、間欠受信(DRX;Discontinuous Reception)について説明する。図4図6は、間欠受信について説明するための図である。UE10は、消費電力を抑制するために、間欠受信を構成することが可能である。なお、ここでは、UE10とeNB110との間でRRCコネクションが設定された状態(RRCコネクティッド状態)において間欠受信が構成されるケースについて説明する。
【0051】
図4図6に示すように、間欠受信(DRX)では、DRX周期(DRX Cycle)内において、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間(On duration)及びオン期間以外のオフ期間(Opportunity for DRX)が設けられる。eNB110は、UE10がオン期間である期間においてのみ、UE10宛の専用信号を送信する。このように、UE10は、オン期間においてのみ、eNB110から送信される下り方向信号(例えば、PDCCH:Physical Downlink Control Channel)を監視すればよいように構成されており、オフ期間において受信機の電源を落としていると考えられる。
【0052】
なお、DRX周期としては、複数種類の周期を構成することが可能である。ここでは、3つのDRX周期(ショートDRX周期、ロングDRX周期、拡張DRX周期)について説明する。
【0053】
図4に示すように、ショートDRX周期は、短い周期である。ショートDRX周期の長さは、特に限定されるものではないが、数ミリ秒オーダー(例えば、80msec)である。
【0054】
例えば、ショートDRX周期は、eNB110から受信する指示(DRX Command)に応じて構成される。或いは、ショートDRX周期は、下り方向信号(例えば、PDCCH)を最後に受信してから所定期間が経過した場合に構成される。なお、ショートDRX周期はオプションであり、ショートDRX周期が設定されないこともある。
【0055】
図5に示すように、ロングDRX周期は、ショートDRX周期よりも長い周期である。ロングDRX周期の長さは、特に限定されるものではないが、数ミリ秒オーダー(例えば、160msec)である。
【0056】
例えば、ロングDRX周期を構成する際には、eNB110から構成パラメータ(DRX Config.)が通知される。ロングDRX周期は、下り方向信号(例えば、PDCCH)を最後に受信してから所定期間が経過した場合に構成される。或いは、ロングDRX周期は、ショートDRX周期が構成されてから所定期間が経過した場合に構成される。
【0057】
図6に示すように、拡張DRX周期は、ロングDRX周期よりも長い周期である。拡張DRX周期の長さは、特に限定されるものではないが、ショートDRX周期及びロングDRX周期よりも非常に長い周期であり、例えば、数秒オーダーである。例えば、拡張DRX周期は、UE10とeNB110との間でRRCコネクションが設定されていない状態(RRCアイドル状態)において、UE10の着信を通知するページング信号を監視する周期(Paging Channel Monitoring Cycle)と同等である。或いは、拡張DRX周期は、RRCアイドル状態において、UE10の着信を通知するページング信号を監視する周期よりも長い。
【0058】
例えば、拡張DRX周期を構成する際には、eNB110から構成パラメータ(DRX Config.)が通知される。拡張DRX周期は、UE10からの要求に対するeNB110の許可に応じて構成される。或いは、拡張DRX周期は、下り方向信号(例えば、PDCCH)を最後に受信してから所定期間が経過した場合に構成される。或いは、拡張DRX周期は、ショートDRX周期又はロングDRX周期が構成されてから所定期間が経過した場合に構成される。また、他の例では、UE10が予め静的な構成パラメータを知っており、拡張DRX周期は、UE10からの要求に対するeNB110の許可に応じて構成されてもよい。
【0059】
なお、様々なアプリケーションを搭載するUE10の増加に伴って、所定メッセージの送受信の増加に起因するRRC状態の遷移が増加する。これによって、RACH(Random Access Channel)等の無線リソースの逼迫が予想されるため、UE10の頻繁なRRC状態の遷移を抑制して、ネットワークリソースの逼迫を抑制するために拡張DRX周期が構成される。なお、所定メッセージは、UE10に搭載される様々なアプリケーションが通信相手に送信するメッセージ(キープアライブメッセージや状態更新メッセージ)などである。
【0060】
(無線端末)
以下において、第1実施形態に係る無線端末について説明する。図7は、第1実施形態に係るUE10を示すブロック図である。図7に示すように、UE10は、通信部11と、制御部12とを有する。
【0061】
通信部11は、eNB110(或いは、無線基地局210)から信号を受信する。或いは、通信部11は、eNB110(或いは、無線基地局210)に信号を送信する。なお、通信部11は、例えば、アンテナ(MIMOが用いられる場合には、複数のアンテナ)、復調部、変調部などを有する。
【0062】
制御部12は、UE10を制御する。例えば、制御部12は、間欠受信(DRX)が構成された場合において、通信部11のオン/オフを制御する。すなわち、制御部12は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間において、通信部11をオンにして、eNB110から送信される下り方向信号(例えば、PDCCH)を監視する。制御部12は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外のオフ期間において、通信部11をオフにして、eNB110から送信される下り方向信号(例えば、PDCCH)を監視しない。
【0063】
詳細には、制御部12は、RRCコネクティッド状態でDRX周期が構成された場合に、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、所定タイミングでページング信号を監視する。なお、所定タイミングは、PO(Paging Occasion)と称されることもあり、1以上のサブフレームによって構成される。なお、制御部12は、RRCコネクティッド状態で構成されたDRX周期のオン期間において、PDCCHを監視しているので、ページング信号を受信することが可能であることは勿論である。
【0064】
なお、従来技術では、RRCコネクティッド状態のUE10に対しては、ページング信号が送信されないことに留意すべきである。第1実施形態では、eNB110は、RRCコネクティッド状態で構成されたDRX周期のオフ期間において、ページング信号を所定のタイミングでUE10に送信することに留意すべきである。
【0065】
ここで、制御部12は、拡張DRX周期が構成された場合にのみ、オフ期間において、ページング信号を監視してもよい。すなわち、制御部12は、ショートDRX周期及びロングDRX周期が構成された場合には、オフ期間において、ページング信号を監視しなくてもよい。
【0066】
また、制御部12は、ページング信号の受信に応じてDRX周期を解除する。例えば、制御部12は、DRX周期を解除して、下り方向信号を連続的に監視するモードに移行してもよい。或いは、制御部12は、DRX周期(例えば、拡張DRX周期)を解除して、DRX周期よりも短いDRX周期(例えば、ショートDRX周期及びロングDRX周期)を構成してもよい。或いは、制御部12は、DRX周期を解除して、eNB110に対する再接続手順(Reestablish Procedure)を開始してもよい。
【0067】
(移動通信方法)
以下において、第1実施形態に係る移動通信方法について説明する。図8は、第1実施形態に係る移動通信方法を示すシーケンス図である。
【0068】
図8に示すように、ステップ10において、UE10は、接続要求(RRC Connection Request)をeNB110に送信する。
【0069】
ステップ20において、eNB110は、接続設定(RRC Connection Setup)をUE10に送信する。
【0070】
ステップ30において、UE10は、接続完了(RRC Connection Complete)をeNB110に送信する。
【0071】
ステップ40において、UE10は、DRXを構成する。例えば、UE10は、拡張DRX周期を構成する。
【0072】
ステップ50A〜ステップ50Cにおいて、UE10は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、所定タイミングでページング信号を監視する。
【0073】
ステップ60において、UE10は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間において、下り方向信号(例えば、PDCCH)を監視する。
【0074】
ステップ70において、eNB110は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、所定タイミングでページング信号を送信する。
【0075】
ステップ80において、UE10は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間において、所定タイミングでページング信号を監視する。また、UE10は、ページング信号を受信する。
【0076】
ステップ90において、UE10は、ページング信号の受信に応じてDRX周期を解除する。例えば、UE10は、DRX周期を解除して、下り方向信号を連続的に監視するモードに移行してもよい。或いは、UE10は、DRX周期(例えば、拡張DRX周期)を解除して、DRX周期よりも短いDRX周期(例えば、ショートDRX周期、ロングDRX周期及び連続受信)を構成してもよい。或いは、UE10は、DRX周期を解除して、eNB110に対する再接続手順(Reestablish Procedure)を開始してもよい。
【0077】
(作用及び効果)
実施形態では、eNB110は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、ページング信号を所定のタイミングで送信し、UE10は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、ページング信号を所定のタイミングで監視する。
【0078】
これによって、非常に長いDRX周期が構成されたとしても、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)においてページング信号を受信することによって、着信処理を行うことができる。
【0079】
特に、非常に長いDRX周期を有する拡張DRX周期が構成された場合に、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、ページング信号を所定のタイミングで監視することが効果的である。
【0080】
上述したように、拡張DRX周期は、所定メッセージの送受信の頻度がRRCアイドル状態においてページング信号を監視する周期(Paging Channel Monitoring Cycle)よりも長い場合に、UE10の頻繁なRRC状態の遷移を抑制して、ネットワークリソースの逼迫を抑制するために構成される。
【0081】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0082】
例えば、拡張DRX周期は、所定メッセージの送受信の頻度がRRCアイドル状態においてページング信号を監視する周期(Paging Channel Monitoring Cycle)よりも長い場合に、UE10の消費電力を削減するために構成される。或いは、拡張DRX周期は、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間で必要な消費電力がページング信号の監視に必要な消費電力よりも大きい場合に、UE10の消費電力を削減するために構成される。
【0083】
実施形態では特に触れていないが、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)において、ページング信号を監視するために必要な構成(Configureation)は、eNB110からUE10に対して、DRX周期が構成される前に送信される。ページング信号を監視するために必要な構成は、例えば、ページング信号を監視する処理を開始する条件、サービングセルから送信される下り方向信号を監視すべきオン期間以外の期間(すなわち、オフ期間)におけるページング信号の監視周期などである。ページング信号を監視するために必要な構成は、例えば、RRCシグナリングでUE10に通知されてもよく、報知チャネルでUE10に通知されてもよい。報知チャネルは、eNB110から報知されるチャネルであり、MIB(Master Information Block)やSIB(System Information Block)を搬送する。
【0084】
一例としては、DRX周期(特に、拡張DRX周期)が構成される場合において、UE10からeNB110に対して、DRX周期の設定要求が送信されて、eNB110からUE10に対して、DRX周期の設定許可が送信されるケースが考えられる。このようなケースにおいて、ページング信号を監視するために必要な構成は、eNB110からUE10に送信される設定許可に含まれると考えられる。
【0085】
実施形態では特にふれていないが、拡張DRX周期は、ページング信号を監視する周期(Paging Channel Monitoring Cycle)を含んでいる場合に、ページング信号を監視するタイミングがオン期間と重複する場合に、PDCCHを監視して、ページング信号を監視するタイミングがオフ期間と重複する場合に、ページング信号のみを監視してもよい。
【0086】
なお、ページング信号を受信するためには、専用のPDCCHを受信する必要があるが、実施形態では、このような専用のPDCCHの受信については省略されている。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明によれば、拡張DRX周期などのDRX周期が構成される場合において、オフ期間の長期化に伴う問題を抑制することを可能とする移動通信方法及び無線端末を提供することができる。
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