特許第6010696号(P6010696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010696能動的キャリアホッピングを有する波長分割多重化光通信システムを提供する方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010696
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】能動的キャリアホッピングを有する波長分割多重化光通信システムを提供する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/50 20130101AFI20161006BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20161006BHJP
   H04B 10/07 20130101ALI20161006BHJP
   H01S 5/40 20060101ALI20161006BHJP
   G02F 1/015 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   H04B9/00 500
   H04B9/00 600
   H04B9/00 170
   H01S5/40
   G02F1/015 502
【請求項の数】31
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-521640(P2015-521640)
(86)(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公表番号】特表2015-534291(P2015-534291A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013047875
(87)【国際公開番号】WO2014011396
(87)【国際公開日】20140116
【審査請求日】2015年2月13日
(31)【優先権主張番号】13/547,139
(32)【優先日】2012年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100106851
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 泰久
(72)【発明者】
【氏名】ミード,ロイ イー.
(72)【発明者】
【氏名】サンデュ,ガーテ エス.
【審査官】 前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/080157(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0280579(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0220228(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/50
G02F 1/015
H01S 5/40
H04B 10/07
H04B 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光通信チャネルを形成する複数の離間されたキャリア波長を提供する少なくとも1つの光信号源であって、当該複数の光通信チャネルのうちの少なくとも第1の光通信チャネルが、前記複数の離間されたキャリア波長のうちの少なくとも第1キャリア波長及び第2キャリア波長を有するように前記複数の離間されたキャリア波長を提供する、光信号源と、
前記第1の光通信チャネルに対する第1の光変調器であって、当該第1の光変調器は、少なくとも第1共振変調器回路および第2共振変調器回路を含み、前記第1共振変調器回路は、第1の共振周波数を有し、前記第2共振変調器回路は、前記第1の共振周波数と異なる第2の共振周波数を有し、当該第1の光変調器は、当該第1共振変調器回路が前記第1キャリア波長と実質的に共振し、かつ、当該第2共振変調器回路が前記第2キャリア波長と共振を実質的に喪失しているときに、当該第1及び第2共振変調器回路のうちの当該第1共振変調器回路を択一的に選択して、前記第1キャリア波長を変調し、当該第1共振変調器回路が前記第1キャリア波長と共振を実質的に喪失し、かつ、当該第2共振変調器回路が前記第2キャリア波長と実質的に共振しているときに、当該第1及び第2共振変調器回路のうちの当該第2共振変調器回路を択一的に選択して、前記第2キャリア波長を変調する、第1の光変調器と、
を含む光通信システム。
【請求項2】
前記第1共振変調器回路の前記第1の共振周波数は温度上昇とともに、前記第1キャリア波長との共振を喪失することに向かうように移動し、前記第2共振変調器回路の前記第2の共振周波数は温度上昇とともに、前記第2キャリア波長との共振を獲得することに向かうように移動る、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
切り替えコマンドに応答して、前記第1共振変調器回路から前記第2共振変調器回路に切り替えるための第1切り替え回路をさらに含む、請求項1又は2に記載の光通信システム。
【請求項4】
所定の温度が検出されたときに前記切り替えコマンドを発行するための検出器回路をさらに含む、請求項3に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記第1キャリア波長に対する前記第1の共振周波数における所定の量の移動が検出されたときに前記切り替えコマンドを発行するための検出器回路をさらに含む、請求項3に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記検出器回路は前記第1共振変調器回路の変調度における低下を検出する、請求項5に記載の光通信システム。
【請求項7】
前記検出器回路は、前記第1の光変調器が配置されたダイの温度を検出する、請求項4に記載の光通信システム。
【請求項8】
前記検出器回路はヒステリシス回路を含む、請求項4乃至7のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項9】
前記ヒステリシス回路はシュミットトリガを含む、請求項8に記載の光通信システム。
【請求項10】
前記複数の光通信チャネルを導波路に多重化するための光マルチプレクサをさらに含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項11】
前記導波路から前記光通信チャネルを受け取り、前記光通信チャネルをそれぞれの受け取られた光通信チャネルへと多重分離するための、光デマルチプレクサをさらに含む、請求項10に記載の光通信システム。
【請求項12】
前記第1の光通信チャネルに対する第1の光復調器をさらに含み、当該第1の光復調器は少なくとも第1光復調器回路及び第2光復調器回路を含み、当該第1光復調器回路は前記第1共振変調器回路で変調された光信号を復調するためのものであり、当該第2光復調器回路は前記第2共振変調器回路で変調された光信号を復調するためのものである、請求項11に記載の光通信システム。
【請求項13】
前記第1光復調器回路および前記第2光復調器回路のうちの1つを選択するために第2切り替え回路をさらに含む、請求項12に記載の光通信システム。
【請求項14】
前記第2切り替え回路は受け取られた切り替えコマンドに応答する、請求項13に記載の光通信システム。
【請求項15】
前記受け取られた切り替えコマンドは前記多重分離された光通信チャネルのうちの1つの上で受け取られる、請求項14に記載の光通信システム。
【請求項16】
前記切り替えコマンドは電気通信チャネル上で受け取られる、請求項14に記載の光通信システム。
【請求項17】
前記第1光復調器回路および前記第2光復調器回路のそれぞれは、光出力信号を光検出器に提供するための光タップを有する、請求項12乃至16のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項18】
前記第1光復調器回路および前記第2光復調器回路のそれぞれは、互いに対して移動された光共振周波数を有する1対の光復調器回路を含む、請求項12に記載の光通信システム。
【請求項19】
前記第1の共振周波数が前記第1キャリア波長から離れるように移動するにつれて、前記第2の共振周波数は、前記第2キャリア波長に向かって移動する、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項20】
少なくとも1つの光通信チャネルに対して複数のキャリア波長を確立することと、
第1共振変調器回路を使用して、前記少なくとも1つの光通信チャネルの前記複数のキャリア波長のうちの第1キャリア波長上のデータを変調することと、
第2共振変調器回路を使用して、前記少なくとも1つの光通信チャネルの前記複数のキャリア波長のうちの第2キャリア波長上のデータを変調することと、
前記第1共振変調器回路が前記第1キャリア波長との共振を喪失しつつあるかどうかを判定し、喪失していないことが判定された場合、前記第1共振変調器回路に電源供給し続けると共に、前記第2共振変調器回路が前記第2キャリア波長と共振しているか否かに係わらず、前記第2共振変調器回路を電源遮断し、喪失しつつあることが判定された場合、前記第1共振変調器回路を電源遮断し、前記第2キャリア波長と共振を獲得しつつある前記第2共振変調器回路を電源投入することと、
を含む光通信方法。
【請求項21】
それぞれが、前記第1共振変調器回路および前記第2共振変調器回路とを有する、複数の光通信チャネルが提供され、当該複数の光通信チャネルの前記第1共振変調器回路を電源遮断することと、前記第2共振変調器回路を電源投入することと、を実質的に同時に実行することをさらに含む、請求項20に記載の光通信方法。
【請求項22】
前記第1共振変調器回路の共振周波数が前記第1キャリア波長との共振から逸脱するにつれて前記第2共振変調器回路の共振周波数が前記第2キャリア波長との共振へと移動する、請求項20又は21に記載の光通信方法。
【請求項23】
前記判定は前記第1共振変調器回路および前記第2共振変調器回路に影響を及ぼす温度を検出することに基づいてなされる、請求項20乃至22のいずれか一項に記載の光通信方法。
【請求項24】
前記判定は前記第1共振変調器回路により実行される前記変調の品質を検出することに基づいてなされる、請求項20乃至22のいずれか一項に記載の光通信方法。
【請求項25】
前記複数の光通信チャネルをシステムの多重化サイド上における多重化された通信チャネルに波長分割多重化することをさらに含む、請求項21乃至24のいずれか一項に記載の光通信方法。
【請求項26】
前記複数の光通信チャネルを前記システムの多重分離サイド上における前記多重化された通信チャネルから多重分離することと、データで変調された各光通信チャネルの前記第1キャリア波長および前記第2キャリア波長のうちの1つからデータを復調することとをさらに含む、請求項25に記載の光通信方法。
【請求項27】
前記第1共振変調器回路が電源遮断されるとき、および前記第2共振変調器回路が電源投入されるとき、を示す信号を前記多重化サイドから前記多重分離サイドに送ることをさらに含む、請求項26に記載の光通信方法。
【請求項28】
データの前記復調は、少なくとも、前記複数の光通信チャネルの各々の前記第1キャリア波長に関連付けられた第1復調器回路および前記複数の光通信チャネルの各々の前記第2キャリア波長に関連付けられた第2復調器回路のうちの選択された復調器回路により実行され、前記選択は前記多重化サイドからの前記信号に基づく、請求項27に記載の光通信方法。
【請求項29】
前記複数の光通信チャネルのうちの1つの上で前記信号を送ることをさらに含む、請求項27に記載の光通信方法。
【請求項30】
電気通信チャネル上で前記信号を送ることをさらに含む、請求項27に記載の光通信方法。
【請求項31】
第1の温度において、前記第1共振変調器回路が前記第1キャリア波長と実質的に共振し、前記第1の温度において、前記第2共振変調器回路が前記第2キャリア波長と共振を実質的に喪失しており、第2の温度において、前記第1共振変調器回路が前記第1キャリア波長と共振を実質的に喪失しており、前記第2の温度において、前記第2共振変調器回路が前記第2キャリア波長と実質的に共振しており、前記第1の光変調器は、前記第1及び第2の温度の間の第3の温度に応じて、前記第1共振変調器回路と前記第2共振変調器回路とを切り替える、請求項1に記載の光通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、温度変化に起因するフォトニックデバイスにおける動作上の変化を補償する波長分割多重化光通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンベースの集積回路はマイクロエレクトロニクス用途に対するプラットフォームとして長期にわたり使用されてきている。近年では、速度、帯域幅、および信号処理要件の増大化にともない、光学システムもシリコンベースの集積回路上に集積されつつある。
【0003】
電気の流れを支援するためにシリコンを使用することに代わって、または係るシリコンの使用に加えて、シリコンは、光の流れを誘導するために使用される。電気の速度と光の速度とが同一である一方で、光は、所与の電気的経路上で電気が搬送することができるよりも、所与の光学的経路上でより多くのデータを搬送することができる。したがって光をデータキャリアとして使用することは顕著な利点を有する。さらに、光媒体としてシリコンを使用することはシリコン集積回路技術の応用および係る技術との緊密な統合化を可能にする。シリコンは約1.1マイクロメートルを越える波長を有する赤外線光に対して透過性を有する。遠距離通信波長に関して、二酸化シリコンは約1.44の屈折率を有するのに対してシリコンは約3.45の屈折率を有する。この高い屈折率差によりもたらされる緊密な光学的閉じ込めにより、微小な光導波路(わずか数百ナノメートルの断面積を有し得る)が可能となり、それにより現在の半導体技術との統合化が支援される。加えて、シリコンフォトニックデバイスはCMOS回路に対して使用される既存の半導体製作技法を使用して作られ得る。シリコンは、大多数の集積回路のための基板としてすでに使用されているため、光学構成要素および電子構成要素が単一のマイクロチップ上に集積されたハイブリッド型デバイスを作ることが可能である。
【0004】
特に、シリコンフォトニクスはシリコンオンインシュレータ(SOI)技術またはバルクシリコン技術を使用して実現され得る。いずれの場合でも、当該コンポーネントがその上に製作された下方に存在するウェーハのシリコンに対して、シリコンフォトニックコンポーネント(例えば導波路)が光学的に独立性を有するためには、介在する誘電物質が必要である。これは通常、例えばシリカ(二酸化シリコン)などの誘電体である。係る誘電体は、対象となる波長領域におけるシリコンよりもはるかに低い屈折率(約1.44)を有する。シリカはシリコン導波路コアの頂部および側部上でも使用され、かくして導波路コア全体を包囲するクラッドが構成される。それによりシリコンコア・シリカクラッド境界面において光の全反射が生じ、したがって伝送される光がシリコン導波路コア内に保持されることとなる。
【0005】
導波管光リンク上での大量データの通信が可能である1つの通信技法は、波長分割多重通信(WDM:wave division multiplexing)として知られている。WDMシステムにおけるデータ伝搬の典型的な例が図1に示される。図示のように、光伝送システム100は、例えば、複数のシリコン導波路110a……110n(全体的に導波路110と示される)を含み、それぞれの搬送路110は光通信チャネルのデータを搬送する。システム100は複数のテータ入力チャネル120a……120n(120と総称される)を含み、データ入力チャネル120a……120nのそれぞれは、光パルスまたは電気信号の形のデータを伝送する。複数のデータ入力チャネル120a……120n上で搬送されるデータを同時伝送するために、それぞれのデータ入力チャネル120a……120n内のデータは、それぞれの共振光変調器130a……130nにより、波長λ……λを有するそれぞれの光キャリア上に変調される。変調器130a……130nの出力は、それぞれの光通信チャネルを形成する。共振光変調器130a……130nは全体的に130と示される。λ……λの波長を有する光キャリアは、高精度温度制御レーザ光源136により、それぞれの共振光変調器130a……130nに供給され得る。それぞれの共振光変調器130a……130nから出力された変調光はそれぞれの導波路110a……110nに提供され、次に導波路110からの出力は光マルチプレクサ140により単一の光伝送チャネル導波路150へと多重化される。次に多重化光は光導波路150に沿ってエンドポイント(図示せず)へと伝送され、係るエンドポイントにおいてデータ変調光は多重分離および復調された後、エンドポイントデバイスにより使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リング変調器であり得る共振光変調器130a……130nはそれぞれのキャリア波長λ……λで共振するよう設計される。共振光変調器130a……130nは共振キャビティを有し、屈折率を有する物質で構築されるが、これらの両者は温度変化により影響される。共振光変調器130a……130nに温度変化が生じると、それぞれの共振周波数が変化し、それぞれの共振周波数はキャリア波長λ……λから逸脱することとなる。結果的に、変調器130a……130nの変調度が低下し、それにより信号対雑音比が低下し、データ伝送エラーの可能性が生じることとなる。したがって、共振光変調器による光通信チャネルへのデータ信号の変調に悪影響を及ぼし得る温度変化または他の変化に対応し得るWDM光通信システムが必要とされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来の波長分割多重通信伝送システムの一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態例に係る波長分割多重・多重分離システムを示す図である。
図3A】従来のWDM光通信システムチャネル構造の一例を示す図である。
図3B図2の実施形態とともに使用され得るWDM光通信システムチャネル構造の一例を示す図である。
図4図2の実施形態の変調器が温度変化により影響される様子の一例を示す図である。
図5】共振周波数における変化を検出し図2の実施形態とともに使用され得る温度検出器の一例を示す図である。
図6A】変調器の共振周波数における変化を検出し図2の実施形態とともに使用され得る他の検出器の一例を示す図である。
図6B図6Aの検出器の動作を示すアイダイアグラムである。
図7A図2の実施形態において使用され得る代替的な検出器の実施形態例を示す図である。
図7B図2の実施形態において使用され得る代替的な検出器の実施形態例を示す図である。
図7C図2の実施形態において使用され得る代替的な検出器の実施形態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で説明する実施形態例は多重化および多重分離され得る複数の光通信チャネルを有する波長分割多重(WDM)光通信システムを提供する。WDM光通信システムは部分的または全体的にダイ上に集積され得る。各光通信チャネルは、少なくとも2つの離間されたキャリアと、それぞれがそれぞれのキャリアに関連付けられた、第1共振光変調器回路および第2共振光変調器回路を有するデータ変調器と、を有する。第1共振光変調器回路は、そのキャリア波長における共振周波数を有し、第2共振変調器回路は、そのキャリア波長から逸脱した共振周波数を有する。温度またはその他の変化により、第1共振変調器回路の共振が、関連付けられたキャリア波長との共振から逸脱する方向に移動すると、同一の温度またはその他の変化により、第2変調器回路の共振周波数も、その関連付けられたキャリア波長との共振に向かって移動するであろう。第1変調器回路がそのキャリア波長との共振から十分に逸脱したとき、および第2変調器回路がそのキャリア波長と十分に共振するときを検出する検出器が、第1変調器回路から第2変調器回路へのデータ変調の切り替えを制御するために使用される。結果として、所与の光通信チャネルに対するデータは、当該データが第2変調器回路により高い信頼性をもって変調され得る異なるチャネルキャリア波長に切り替えられる。
【0009】
本明細書で説明および図示される実施形態では、2つの変調器回路と、光通信チャネル毎に関連付けられたキャリア波長と、が用いられるが、これは例示にすぎない。なぜなら、それぞれがそれぞれのキャリア波長を有する3つ以上の共振変調器回路が、各光通信チャネルに対して使用され得るためである。また、温度変化により変調器回路の共振周波数における変化が生じることに関する実施形態が説明されているが、実施形態は必ずしも温度変化のみに応答することに限定されるわけではない。これらの実施形態は、変調器回路の共振周波数において変化が誘発される任意の環境でも使用され得る。
【0010】
多重化サイド上の光通信チャネル上でデータを伝送するために、第1共振光変調器回路およびそのキャリア波長から第2共振光変調器回路およびそのキャリア波長へと切り替えることは、既存の光通信チャネルまたは別個の電気通信チャネルを通して、システムの多重分離サイドに通信され得る。システムの多重分離サイドでは、各光通信チャネルに対して適切なデータ変調を実行するために、新しい変調キャリア波長に、および関連付けられた復調器に、切り替えるために切り替え情報が使用される。切り替え情報は、復調器が変調器回路の切り替えに同期して切り替え可能となるよう、多重化サイド上で第1共振光変調器回路から第2共振光変調器回路に切り替える前に、多重分離サイドに伝送される。
【0011】
図2は実施形態例におけるWDMシステムの多重化サイド10および多重分離サイド12を図示する。多重化サイド10は、少なくとも2つのキャリア波長を各共振光変調器170a……170nに提供するレーザ光源101を含む。共振光変調器170a……170nのそれぞれは、少なくとも2つの別個の第1光変調器回路および第2光変調器回路を含む。共振光変調器170aに対しては、これらは光変調器回路104および104aであり、光変調器回路170bに対しては、これらは光変調器回路108および108aであり、共振光変調器170nに対しては、これらは光変調器回路113および113aである。各共振光変調器170a……170nの出力はそれぞれの光通信チャネルであり、それぞれの光通信チャネルがそれぞれの導波路110a……110nに供給される。各光変調器170a……170nはDATA1、DATA2……DATANとして入力されたそれぞれのデータを受け取り、これらが所与の変調器170a……170n内の第1光変調器回路および第2光変調器回路のそれぞれに供給される。共振光変調器170a……170nの出力はそれぞれの導波路110a……110nを介して光マルチプレクサ140に供給され、光マルチプレクサ140は、導波路110上の光通信チャネルを導波路142へと多重化する。導波路142は多重化された光通信チャネルをシステムの多重分離サイド12に送る。
【0012】
多重分離サイド12は、導波路142上の信号を多重分離するための光デマルチプレクサ147と、多重分離された光通信チャネルのうちのそれぞれの1つのための複数の導波路172a……172nと、導波路172a……172n上の受け取られたキャリアをそれぞれ復調し、復調されたデータをDATA1(OUT)……DATAN(OUT)として供給するための複数の復調回路109a……109nと、を含む。
【0013】
図2のシステムの動作について説明する前に、より詳細に図3Aおよび図3Bを参照する。図3Aは従来のWDMシステムにおいて離間する光通信チャネルキャリアの一例を示す。光通信チャネルのそれぞれは、変調され得るλ、λ、……λのそれぞれの離間された波長115を有するものとして図示される。図2に示す実施形態では、少なくとも1つの追加的なキャリア117が各光通信チャネルに対して追加される。追加的キャリアはそれぞれの図3Aのキャリア波長から偏位し、図3Bでは波長λ’、λ’……λ’として示される。したがって少なくとも2つのキャリア115および117が用いられ、図2のシステムの多重化サイド上の各光通信チャネルに対してデータ変調されることとなる。
【0014】
図2に戻って参照すると、レーザ光源101は、安定したキャリア波長を提供するために温度制御され、1つまたは複数の温度制御されたレーザで形成され得る。レーザ光源101は図3Bに示す少なくとも2つのキャリア波長を各光通信チャネルに対して提供する。例えば、変調器170aに関連付けられた光通信チャネルは、変調器170aに提供されたそれぞれの波長λおよびλ’における2つのキャリアを有する。このことは、変調器170b……170nに関連付けられた他の光通信チャネルのそれぞれに対しても同じく成立する。レーザ光源101が変調器170a……170nのそれぞれに対するそれぞれの導波路接続を有するものとして図示されるが、実際には、全部のキャリア波長におけるレーザ光源101からの単一の出力が存在し得、係る単一の出力が変調器170a……170nに供給され得ることを理解されたい。変調器170a……170nは、その関連付けられた光通信チャネルの少なくとも2つのキャリア波長のうちのただ1つのキャリア波長に共振し、当該キャリア波長にのみデータを変調するであろう。
【0015】
上述のように、各変調器170a……170nは少なくとも第1リング共振器光変調回路および第2リング共振器光変調回路を含み、第1リング共振器光変調回路および第2リング共振器光変調回路は、その関連付けられた光通信チャネルに対して供給された2つのキャリアのうちのただ1つのキャリアに共振するよう設計される。したがって変調器170aは、それぞれが2つの供給されたキャリア−例えばλ(104に対して)およびλ’(104aに対して)−のうちの1つに共振するよう設計された光変調回路104および104aを含む。同様に変調器170bは、キャリアλに関連付けられた共振回路108およびλ’に関連付けられた共振回路108aを含み、変調器170nは、キャリアλに関連付けられた共振回路113およびλ’に関連付けられた共振回路113aを含む。変調器170a……170nのそれぞれにおける2つの共振回路の共振周波数は、2つの共振回路のうちの第1(例えば104)が所与の温度におけるそのキャリア(例えばλ)に共振する場合には、他方の共振回路104aは、第2変調器回路104aの共振周波数がその関連付けられたキャリアλ’から逸脱する方向に移動させられているため、そのキャリアλ’に共振しないような、共振周波数となっている。
【0016】
変調器170a……170nのそれぞれにおける変調回路に提供されるキャリアと、係る変調回路における温度変化の効果と、の関係について、ここで一例として変調器170aの変調器回路104および104aを使用して図4を参照して説明する。図4は、T=Toとして示された周囲温度において存在する構成を図示する。この場合、リング変調器回路104は共振周波数λ1aを有し、この共振周波数λ1aはチャネルキャリア波長λに良好に整列する。したがってリング変調器回路104はDATA1として示されるデータをキャリア波長λに信頼性をもって伝送し得る。しかしリング変調器104aの共振周波数λ2aはその関連付けられたキャリアλ’の波長に整列せず、したがってデータDATA1をキャリアλ’に信頼性をもって変調し得ない。さらにリング変調器104および104aのそれぞれは、それぞれドライバ回路106および106a(図2)を有し、それぞれのドライバ回路106および106aは、リング変調器104および104aのうちの1つのみが同時にアクティブ化されるよう、制御ライン111上の切り替えコマンドにより選択的に起動される。周囲温度T=Toでは、リング変調器回路104のみがアクティブ化される一方で、変調器104aは非アクティブ化される。
【0017】
リング変調器回路104および104aの温度がT=To+ΔTに増加すると、リング変調器104の共振周波数は波長λ1bにおける共振周波数に移動する。この共振周波数では、変調器104は依然としてそのキャリアλに共振するが、キャリアλに共振する能力を喪失し始める。しかしこの同一の温度変化により、リング変調器104aの共振周波数λ2aも、そのキャリアとλ’で整列しキャリアλ’に共振し得る周波数まで移動される。したがってT=To+ΔTの温度では、変調器104および104aの両方が、それぞれのキャリアλおよびλ’をデータで変調し得る。
【0018】
変調器回路104および104aの温度がさらにT=To+2ΔTまで増加した場合、第1リング変調器回路104がデータをそのキャリアλ上で信頼性をもって変調する能力を喪失する一方で、第2リング変調器104aは、依然としてそのキャリアλ’に共振し、データを係るキャリアλ’上に信頼性をもって変調する能力を有する。
【0019】
図4の下方の図面では、リング変調器104および104aの動作状況が、様々な温度条件下でそれぞれのキャリアλおよびλ’に共振し、データをそれぞれのキャリアλおよびλ’上に変調する能力に関して、まとめられている。T=ToとT=To+2ΔTとの間の所定の温度では、リング変調器104は電源切断され、リング変調器104aは電源投入され、それによりこの状況では、リング変調器104aのみが、入力されるデータ(DATA1)をそのキャリアλ’に変調する。
【0020】
切り替えポイントは所定の温度である。なお当該温度において、2つの変調器回路104および104aのうちの第1変調器回路104がそのキャリアλをデータで変調することを停止するよう命令され、第2変調器回路104aがそのキャリアλ’をデータで変調することを開始するよう命令される。この所定の温度切り替えポイントは、切り替えポイント温度が検出されたとき、全リング変調器170a……170nのそれぞれが第1変調器回路から第2変調器回路へと同時に移動するよう、グローバルに適用される。変調器170a……170nは、共通の集積回路ダイ上に提供されるため、ダイ温度検出器は、全変調器170a……170nに対する切り替えポイントを決定するために共通に使用され得る。切り替えコマンドは制御ライン111により前記変調器170a……170nに共通に供給される。
【0021】
図5は、切り替えポイントが到達されたときを判定することと、制御ライン111(図2)上における対応する切り替えコマンドを変調器170a……170nに発行することと、を実行するために使用され得る温度検出器回路を図示する。温度検出器回路はサーミスタなどの温度センサ133を含み、温度センサ133は比較器134の1つの入力に接続された出力を有する。比較器134に対する他の入力は、比較器134が出力信号の値を切り替えるためには超過されなければならない閾基準値を提供する。この基準値は、切り替えコマンドが発行されるためには到達されなければならない所定の温度に対応するよう、選択され得る。図5は、全変調器170a……170nに対して第1リング変調器回路から第2リング変調器回路への移動を制御するための切り替えコマンド信号を制御ライン111上に提供するシュミットトリガの形態にあるヒステリシス回路127も図示する。
【0022】
再び図2を参照すると、変調器170a……170n内のリング変調器回路のそれぞれは、例えばそれぞれのDATA1、DATA1……DATANなどの入力データを用いて各変調器170a……170nの第1変調器回路および第2変調器回路を駆動するための関連付けられたドライバ回路106および106aと、107および107aと、115および115aと、を含む。ドライバ回路は、制御ライン111上の図5の回路からの切り替えコマンド信号に応答し、変調器170a……170nに対して第1変調器回路から第2変調器回路への切り替えを制御する。例えばドライバ回路106および106aは、変調器170aに対して、第1変調器回路104から第2変調器回路104aへの切り替えを制御する。ドライバ回路106および106aは、切り替えコマンドを制御ライン111から受け取る入力ラインを有効化/無効化する。ドライバ回路(例えば106および106a)は、電気的データ入力を受け取る電気回路、または光データ入力を受け取る光回路であり得る。変調器170a……170nのそれぞれに対して2つの内部変調回路を使用するシステムに対して、「1」または「0」の論理値がシュミットトリガ127により制御ライン111上に切り替えコマンドとして供給され得る。
【0023】
切り替えコマンドは、光通信チャネルに対して特定のキャリア(例えばλおよびλ’)を復調する復調器がいずれのチャネルキャリアを復調すべきかを認識できるよう、図2のシステムの多重分離サイド12上の復調回路に通信される必要がある。切り替えコマンドは、多重化サイド10上の特定の光データチャネル上で多重分離サイド12に送信され得る。任意の光データチャネルが使用され得るが、例えば図2の実施形態では、波長切り替えコマンドが入力DATANの一部であり得るため、変調器170nがこの目的のために使用されていることが示される。代替的に、別個の電気的チャネルが切り替えコマンドを多重化サイド10から多重分離サイド12に伝送するために使用され得る。切り替えコマンドは、変調器が、切り替えるときを認識し、変調器170a……170nと同期して切り替えることが可能となるよう、第1変調器回路から第2変調器回路への実際の切り替えが多重化サイド10で行われる前に送られる。
【0024】
図6Aおよび図6Bは、切り替えコマンド信号を制御ライン111上に提供するための他の構成を図示する。図6Aは、それぞれの変調器回路104および104aと、関連付けられたドライバ回路106および106aと、を有する代替的な変調器170a’を図示する。それぞれの変調器回路104および104aにより出力された光を表す変調光のわずかな部分を受け取るための光タップ124および124aが、それぞれの変調器回路104および104aの出力に関連付けられて提供され得る。光タップ124および124aはそれぞれの光検出器125および125aに接続する。光検出器125および125aの出力はそれぞれの比較器126および126aに供給される。なお比較器126および126aは光検出器125および125aにより供給される特定レベルの信号パワーを表す信号閾値を有する。変調器回路104に対して検出されたパワーが比較器126により設定された閾値を下回るとき、これは、キャリアλとの共振回路104の共振が喪失されたことを示す。図6Bは変調回路の変調度を表すアイダイアグラムを示す。共振回路104が、その関連付けられたキャリアλに完全に共振する場合、パワー値129により表される変調度は明らかに高い値となる。しかし共振回路104が、その関連付けられたキャリアλとの共振から逸脱し始めると、キャリア波長λに対する変調器回路104の共振周波数における移動の量に応じて、パワーは低下し、変調度は落ちる。この低下した変調度は、図6Bにおけるパワー値131により表される。比較器125は、低下した変調度(例えば8dBの変調度低下)が達成されたときを判定することと、第1変調回路104から第2変調回路104aへの切り替えが行われるべきであることを示す切り替え信号を提供することと、を実行するために使用され得る。シュミットトリガなどのヒステリシス回路127が切り替え制御信号を提供する。
【0025】
図6Aは別個の検出器も示し、当該検出器は、第2変調器回路104a’がそのキャリアλ’に共振する状態の喪失を検出するために、タップ124aと、光検出器125aと、比較器126aと、シュミットトリガおよびヒステリシス回路127aと、を含む。これは、第2変調器回路104aがそのキャリアλ’を変調する状況から第1変調器回路104がそのキャリアλを変調する状況に戻るべき温度まで変調器170a……170nの温度が低下されたときを判定するために、使用される。図5の温度検出器出力は、検出された温度が比較器134により設定された切り替え閾値を下回ったときに、第2変調器回路104aから第1変調器回路104に戻るよう切り替えるためにも使用され得る。
【0026】
図2に戻って参照すると、光通信チャネルのキャリアはデマルチプレクサ147により多重分離された後、多重分離された光通信チャネルは、それぞれの導波路172a……172n上に提供される。これらの多重分離された光通信チャネルのそれぞれは、多重化サイド10上の変調器170aに関連付けられた光通信チャネルに対して通信チャネルの少なくとも2つのキャリアのうちの1つのキャリア(例えばλまたはλ’)上で変調されたデータを有し得る。それぞれの導波路172a……172n上の各光通信チャネルは関連付けられた復調器109a……109nを有し、復調器109a……109nのそれぞれは少なくとも第1広帯域共振リング復調器回路および第2広帯域共振リング復調器回路を有する。例えば復調器109aは、キャリアλを復調するための第1共振リング復調器回路200と、λ’を復調するための第2共振リング復調器回路200aと、を含む。同様に、復調器109bは復調器回路201および201aを有し、復調器回路109nは復調器回路205および205aを有する。復調器回路200および200aと、201および201aと、205および205aと、は広範囲の温度変化にわたってそれぞれのキャリアに共振し係るキャリアを復調することを行う能力を有する広帯域共振リング復調器回路であり、係る広範囲の温度変化は、普通ならば変調回路(例えば104および104a)に悪影響を及ぼし得るものである。
【0027】
マルチプレクササイド10上で生成された後にデマルチプレクササイド12に送られる切り替えコマンドは、対応する光通信チャネルに対して変調されるキャリア波長に対応していずれの内部復調回路を使用するべきかを、復調器109a……109nに通知する。復調器109a……109n内における第1復調器回路(例えば200)から第2復調器回路(例えば200a)への移動が行われる前に、切り替えコマンドは、受け取られ、当該コマンドを通信する通信チャネルから復調され(例えば復調器109n)、および制御ライン113上で復調器109a……109nの全部に送信され、それにより第1内部復調器回路(例えば200)から第2内部復調器回路(例えば200a)への切り替えが命令される。各復調器回路(例えば200、200a)は、復調されたデータを受け取ることと、受け取った復調データをそれぞれの光検出器(例えば復調器109aに対する123および123aと、復調器109bに対する223および223aと、復調器109nに対する323および323aと)に渡すことと、を行うために、関連付けられた光タップを有する。それぞれの光検出器123、123a、223、223a、323、323aは、各ペアのうちのただ1つの光検出器のみが同時に電源投入されるよう、制御ライン113上で受け取られた切り替えコマンドにより電源投入または電源遮断され得る。
【0028】
変調器170a……170n毎に2つの変調器回路を使用するシステムに対して、切り替えコマンドの1つの論理状態(例えば「1」)は、第1光検出器(例えば123)を電源投入するために使用される一方で、第2光検出器(例えば123a)を電源遮断するために使用され得る。同様に、他方の論理状態(例えば「0」)は第1光検出器123を電源遮断し、第2光検出器123aを電源投入する。復調器109a……109nのそれぞれは、復調器109aに対するデータ出力信号(例えばDATA1(OUT))を提供するために、光検出器(例えば123、123a)の出力を組み合わせる。このようにして、関連付けられたチャネルキャリアλ、λ’を復調する復調器回路(例えば200、200a)のうちの1つが、関連付けられた光通信チャネルに対するデータ出力信号(例えばDATA1(OUT))を提供するために選択される。
【0029】
図7Aは、復調器109a……109nに代わって図2のシステムにおいて使用され得る改変された復調器109’を示す。ここで光検出器135および135aの出力を組み合わせることに代わって、光検出器は別々に保持される。ここで再びライン113上の切り替えコマンドは、光検出器135および135aのうちの一方または他方を、出力のために選択するために使用され得る。
【0030】
図7Bは、復調器109a……109nに代わって図2のシステムにおいて使用され得る他の復調器109”を示す。ここで復調器109”内のそれぞれの復調器回路は、狭帯域リング復調器220および222と、220aおよび222aと、のペアにより形成される。リング復調器の第1ペア(例えば220および222)は、一方の共振周波数が光通信チャネルの第1キャリアの中心に位置し、他方がそれから偏位した状態で、互いからわずかに逸脱した共振周波数を有する。図7Bの構成では、温度変化が、狭帯域リング復調器220の共振を、キャリアλとの共振から逸脱させるにあたり十分ではあるが、しかし当該温度変化が、変調器170a……170nがキャリアλ’に切り替わるには十分でない場合、復調器回路222は第1キャリアλとのより緊密な共振へと移動する。この場合、リング復調器220および222の両方からの出力は光学的に組み合わされ、データ出力信号(例えばDATA1(OUT))を提供する単一の光検出器137に供給される。
【0031】
第2復調回路も復調器109”内に含まれ、第2復調回路は狭帯域リング復調器の第2ペア220aおよび222aにより形成される。これらの狭帯域リング復調器は、リング復調器のうちの1つである220aが、変調器170aと、変調器170aからわずかに偏位した他のリング復調器220bと、に関連付けられた光通信チャネルに対して、通信チャネルの第2キャリア波長(例えばλ’)の中心に位置する共振周波数を有するよう、構成される。したがって光通信チャネルが第2キャリアλ’を使用し、復調回路220aの共振をキャリアλ’から逸脱する方向に移動させる温度変化が存在した場合、復調器回路222aがキャリアλ’との共振へと移動し、リング復調器220aおよび222aの両方の出力が組み合わされ、光検出器137aに送られる。ライン113上で受け取られる切り替えコマンドは、出力データ(例えばDATA1(Out))を提供するために光検出器137および137aの出力のうちの一方を選択するために使用され得る。
【0032】
図7Cは、図2のシステムにおいて使用され得る他の復調器109’’’を示す。復調器109’’’は復調器109”と同様である。しかし、ペアとなるリング復調器220および222と、220aおよび222aの光出力が最初に光学的に組み合わされた後にそれぞれのフォトダイオード137および137aに送られる復調器109”とは異なり、復調器109’’’ではペアとなる狭帯域リング復調器220および222と、220aおよび222aと、から発した光信号はそれぞれの光検出器137および137aに直接的に送られる。
【0033】
様々な実施形態について説明および図示してきたが、係る実施形態は、本発明がいかにして実施され得るかの例にすぎない。したがって本発明は、前述の説明により限定されるものではなく、以下の請求項の範囲によってのみ限定されるものであると解釈されるべきである。
図1
図5
図7A
図7B
図7C
図2
図3A
図3B
図4
図6A
図6B