【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によると、この目的は特に請求項1に記載のデバイスを用いて達成される。
【0017】
従って本発明によるデバイスは、従来技術のふいごを、鳥の鳴き声を模倣するホイッスルに空気を注入できるピストンに置き換える。
【0018】
ピストンの使用は特に、鳥の鳴き声を妨害する雑音が生成されないことを意味する。更に、ピストン−シリンダ組立体の占有空間は、ふいごより小さい。従ってこのピストンデバイスは、腕時計ケースに一体化できる。
【0019】
本発明の文脈において、「ホイッスル(whistle)」は、少なくとも1つの空気流入口と、空気流入口に空気を注入した際に少なくとも1つの音声を生成できる少なくとも1つの空気流出口とを有する、いずれの要素であるものと理解されたい。
【0020】
「ピストン(piston)」は、ある容積の空気を圧縮するためにシリンダ内で運動する円筒形部品を意味するものと理解されたい。
【0021】
本発明のある態様によると、本デバイスは、シリンダとホイッスルとの間に、圧縮空気の貯蔵器を備えることができる。ピストンの操作により、圧縮空気貯蔵器内の空気圧を上昇させることができる。
【0022】
本発明によるデバイスは、シリンダへの圧縮空気の逆流を阻止するために、貯蔵器の上流かつシリンダの下流に少なくとも1つの第1の一方向弁を備える。
【0023】
本発明のある態様によると、シリンダの下流の上記第1の一方向弁は、開口と、弁の両側間の圧力差に応じて動作するよう構成された膜とを備え、この膜は、シリンダ内の圧力が圧縮空気貯蔵器内の圧力より高い場合には弁の開口から離れるように動作して、シリンダから圧縮空気貯蔵器へと空気を通過させることができ、シリンダ内の圧力が圧縮空気貯蔵器内の圧力より低い場合には弁の開口に対して押圧され、これによって弁の開口が閉鎖される。
【0024】
ピストンはシリンダ内で運動できる。シリンダ本体に空気が流入できるようにするために、第2の一方向弁をシリンダの上流に設ける。
【0025】
本発明のある態様によると、シリンダの上流の上記第2の一方向弁は、圧力の作用によって動作するよう構成された膜を備え、この膜は、シリンダ内の圧力がシリンダの外側の圧力より高い場合には、開口に対して押圧されてシリンダを閉鎖し、シリンダ内の圧力がシリンダの外側の圧力より低い場合には、第2の弁の開口から離れるように動作して、シリンダに空気が流入できるようにする。
【0026】
このように、貯蔵器に空気を注入するためのデバイスは、ピストンポンプによって形成される。
【0027】
本発明のある態様によると、本デバイスは、ピストンの運動方向に関わらず貯蔵器に空気を送り込むことができる二段作用ピストンポンプを備える。この場合シリンダは、ピストンの両側におけるシリンダの空間それぞれへの空気の流入を制御するために、シリンダの上流の2つの第2の弁に結合できる。また、このシリンダは、ピストンの両側におけるシリンダの空間それぞれから貯蔵器への圧縮空気の流出を制御するために、シリンダの下流の2つの第1の弁に結合できる。
【0028】
このように、4つの弁を使用することによって、ピストンの両方向の運動においてシリンダから圧縮空気貯蔵器へと空気を注入できる。ピストンが第1の方向に運動する場合、ピストンの一方の側の第1の空間内の圧力は外圧より低くなるまで低下し、これによってシリンダの上流の第2の弁が開いて、シリンダの前記第1の空間に空気が流入できるようになる。この第1の空間内の圧力は圧縮空気貯蔵器の圧力より低いため、第1の空間と貯蔵器との間の第1の下流弁は閉鎖状態である。同時に、ピストンの他方の側のシリンダの第2の空間は縮小して、この第2の空間内の圧力が圧縮空気貯蔵器の圧力より高くなり、これによってピストンの下流に配置された第1の弁が開き、圧縮空気貯蔵器に空気を注入できるようになる。この第2の空間内の圧力が外圧より高いため、第2の空間の上流の第2の弁は閉鎖状態となり、空気が第2の空間から外へと流出する。ピストンを他の一方の方向に作動させると、圧力差は逆転し、開いていた2つの弁が閉じ、閉じていた2つの弁が開いて、第2の空間が外気で満たされ、第1の空間から貯蔵器に圧縮空気が送り込まれる。従って、このデバイスは、ピストンの両方向の運動において、圧縮空気貯蔵器に空気を注入できる。
【0029】
本デバイスは、ホイッスル内の空間を変化させることで、圧縮空気貯蔵器から(又は第1のピストンから直接)ホイッスルに空気が注入された場合にホイッスルが生成する音声の高さを変化させるための、第2のピストンを備えることができる。
【0030】
鳥の鳴き声を模倣して変調された鳴き声を生成するように第2のピストンの位置を制御するために、カムを設けることができる。第2のピストンは、レバーを用いて前記カムに接続できる。
【0031】
カムが駆動するレバーの運動は第2のピストンに伝達され、これによって第2のピストンはホイッスル内で摺動して、ホイッスル内の空気の容積を変化させる。このようにしてホイッスルは様々な音声を発することができる。
【0032】
「カム(cam)」は、回転運動を並進運動に変換できる機械的接続要素であると理解されたい。カムは、ロッド又はフィンガが静置された、回転するよう設定された非円形部品によって形成できる。
【0033】
本発明のある態様によると、本デバイスは、圧縮空気貯蔵器とホイッスルとの間に位置決めされた弁を備える。
【0034】
本発明によるデバイスでは、上記ホイッスルに注入される空気の量を調節することによって、ホイッスルが生成する音声のリズム及び/又は長さ及び/又は音量を変化させるために、前記弁をカムによって制御できる。この弁は、あるカムに、又は第2のピストンと同一のカムに、レバーを用いて接続できる。
【0035】
この弁の開放又は閉鎖により、ホイッスルに流入する空気の圧力を制御できる。弁が開くと、貯蔵器の圧縮空気がホイッスルに注入される。ホイッスルに流入する空気流は、弁の動作によって調節される。弁の開閉頻度は、ホイッスルが生成する音声のリズムを決定する。ホイッスルが発する音符のリズムは、弁の操作のリズムと同一である。弁を迅速に操作すると、音符は迅速に発せられる。弁の開放期間は、ホイッスルが発する音符の長さを決定する。弁が長時間開放されると、空気流が長時間に亘ってホイッスルに流入し、長い音声を生成する。弁の動作の振幅は、ホイッスルに流入する空気の量を決定する。即ち弁をより広く開放すると、ホイッスルに入る空気圧がより大きくなり、より大きな音声がホイッスルによって発せられる。
【0036】
圧縮空気貯蔵器内の圧力は、貯蔵器と外部との圧力差が閾値を超えた場合に空気を外に逃すことができる過圧弁を用いて制限できる。
【0037】
本発明によるデバイスは、カムを駆動するモータ要素を備えることができる。
【0038】
本発明によるデバイスでは、モータは香箱を備えることができる。香箱は、フレーム内に位置決めされたゼンマイを備えている。主ゼンマイが解けることにより、香箱の回転が引き起こされる。ホイッスルの空気流入弁の開閉と、ホイッスル内の空気の容積を変化させる第2のピストンの運動とを制御するこのカムは、香箱によって回転駆動させられる。カムの形状により、弁及び第2のピストンを操作するレバーの動作を制御できる。従って、香箱が回転する際に、カムもまた回転し、レバーによって、ホイッスルの空気流入弁の開閉と、ホイッスル内の空気の容積を変化させる第2のピストンの運動とを制御する。
【0039】
香箱は外側歯部を有する。香箱の外側歯部は、空気をより迅速に送り込むために圧縮空気貯蔵器に対する供給を行う第1のピストンに香箱を接続する運動学的機構の少なくとも1つの歯車と噛合する。
【0040】
ホイッスルの空気流入弁の動作と、ホイッスル内の空気の容積を変化させる第2のピストンの運動とを制御するカムは、同一のモータ要素又は別個のモータ要素によって駆動できる。
【0041】
ある変形例では、単一のカムを使用できる。この場合、同一のカムが、ホイッスルの空気流入弁の開閉と、ホイッスル内の空気の容積を変化させる第2のピストンの運動とを制御できる。
【0042】
本発明によるデバイスでは、1つ又は複数のカムの回転速度は、2〜20秒に1回転である。1つ又は複数のカムの回転速度は、好ましくは5〜10秒に1回転である。
【0043】
カムはホイッスル機構の操作用香箱上に直接設置できる。
【0044】
複数のカムを使用する場合、これらは香箱上に重ねて配置できる。前記運動学的機構の他の歯車上にカムを設置することもできる。
【0045】
本発明によるデバイスは、香箱を第1のピストンに接続する、上記運動学的機構内の偏心器を更に備えることができる。
【0046】
上記偏心器は、圧縮空気貯蔵器に供給を行う第1のピストンを操作するロッドに接続される。
【0047】
偏心器の回転速度は、5〜15回転/秒、好ましくは8〜10回転/秒とする。
【0048】
このような偏心器の回転速度により、ポンプの迅速な動作が可能となり、これにより、空気貯蔵器内の圧力がホイッスルの操作に十分なものとなることが保証される。
【0049】
本発明によるデバイスは、現在時刻を表示するための時計ムーブメントを備えることができる。この時計ムーブメントは、ホイッスルの操作機構とは独立したものであってよく、第2の香箱を備えることができる。
【0050】
ある変形例では、腕時計ムーブメントを駆動するため及び本発明によるホイッスルデバイスを操作するために、同一の香箱を使用できる。
【0051】
本発明によるデバイスは、モータ要素と第1のピストンとの間の運動学的機構を制御するための調節部材を備えることができる。
【0052】
調節部材の使用により、特に香箱の回転を減速させて、第1のピストンの運動及び圧縮空気貯蔵器内への空気の流入を制御できる。本発明の文脈において、この調節部材は、腕時計ムーブメントの調節部材ほど精密である必要はない。これにより主ゼンマイが解けることができ、従って香箱の回転を制動できる。香箱が起動されると、最初に巻かれた主ゼンマイが解ける。主ゼンマイが解ける速さ及び香箱の回転速度は、運動学的機構に沿った損失によって、及び調節部材の存在によって減速される。従って、運動学的機構に接続された第1のピストンの運動もまた、調節部材によって制動される。
【0053】
本発明の枠組みにおいて、調節部材は、慣性ブロックを有する歯車を備えることができる。歯車上に適切に位置決めされた慣性ブロックにより、これら慣性ブロックを支持する歯車及び運動学的機構のその他の歯車の回転運動を制御できる。
【0054】
本発明によるデバイスは、ホイッスルを手動で起動するためにユーザが手動で操作できるアクチュエータを備えることができる。アクチュエータの操作により、ホイッスルを操作するモータ要素を動作状態とする。
【0055】
ある変形例では、ホイッスルの起動は、例えば1時間、30分又は15分でさえある時間が経過した場合に自動的に行う。ホイッスルの起動は、例えば腕時計の機能(例えばアラーム、日付機能等)を用いてプログラムされた様式で行うこともできる。
【0056】
本発明によるデバイスは、運動学的機構の歯車によって操作される関節式の模型を更に備えることができる。用語「模型(figure)」は、ここではヒト及び動物の両方を表す。
【0057】
カム又は別の機械的デバイスは、前記関節式の模型を運動学的機構から操作できるようにすることができる。
【0058】
本発明によるデバイスでは、関節式模型は、例えば鳴鳥である小立像を含む。
【0059】
本発明の文脈において、鳴鳥(songbird)は、1つ又は複数の可動部分を有する機械式の鳥である。鳥の可動部分は、羽、嘴及び/又は尾を含む。鳥の内側において、機械的接続により、これらの様々な部分を同時に又は非同時に動作させることができる。
【0060】
本発明によるデバイスにより、ホイッスルと関節式の模型との同時操作が可能である。
【0061】
関節式の模型のアニメーションは、運動学的機構の歯車によって制御されるため、ホイッスルが再生する音符と調和させることができる。
【0062】
従って、本発明によるデバイスは、腕時計ケースに一体化できるピストンを用いて空気を供給されるホイッスルを用いて鳴らされる鳥の鳴き声を生成するという、従来技術に対する利点を有する。
【0063】
本発明の実施形態の例を、添付の図面によって例示される以下の記載において示す。