特許第6010721号(P6010721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6010721
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20161006BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J201/00
【請求項の数】11
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-548757(P2016-548757)
(86)(22)【出願日】2015年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2015073808
【審査請求日】2016年7月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000145079
【氏名又は名称】株式会社寺岡製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106138
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 政幸
(74)【代理人】
【識別番号】100181607
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 史子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 靖史
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 理
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/046526(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/176031(WO,A1)
【文献】 特開平3−41179(JP,A)
【文献】 特開2012−167247(JP,A)
【文献】 特開2010−150498(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/011770(WO,A1)
【文献】 特開昭59−91178(JP,A)
【文献】 特開昭59−41338(JP,A)
【文献】 特開昭59−91179(JP,A)
【文献】 特開2010−260880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
C08J 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の片面又は両面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記基材が発泡倍率1.1〜3.5倍の発泡体であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体を30質量%以上含有し、且つJIS K7161 2014に準じ測定される前記基材の引張弾性率が30N/mm以上であることを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
基材が、エチレン−酢酸ビニル共重合体と他のポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなる請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
基材の幅が0.4〜2.0mmである請求項1記載の粘着テープ。
【請求項4】
基材の厚さが0.05mm〜1.0mmである請求項1記載の粘着テープ。
【請求項5】
基材の密度が300kg/m以上である請求項1記載の粘着テープ。
【請求項6】
JIS P8125に準じ測定される基材のMD方向及びTD方向における曲げモーメント(曲げこわさ)が5gf/cm以上である請求項1記載の粘着テープ。
【請求項7】
耐静電性試験規格であるIEC61000−4−2に準じた測定方法により、静電気放電を粘着テープに与えた場合の耐圧が10kV以上である請求項1記載の粘着テープ。
【請求項8】
粘着テープを120℃で30分加熱したときのJIS Z8741に準じた鏡面光沢度測定で測定される粘着剤層表面の60°鏡面光沢度が10以上である請求項1記載の粘着テープ。
【請求項9】
粘着テープの加熱時せん断変形率が150%以下である請求項1記載の粘着テープ。
【請求項10】
粘着テープの押圧力が100N/cm以上である請求項1記載の粘着テープ。
【請求項11】
電子機器用粘着テープである請求項1記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性、耐静電性、加熱時せん断変形率、押圧力等の諸特性に優れ、例えばスマートフォン、タブレット端末等の電子機器の用途において好適に使用できる粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット端末などのポータブル電子機器は、一般にタッチパネルと液晶モジュールを収容する筐体を組み合わせた構造になっている。そして、例えばタッチパネルと筐体を固定する為に、粘着テープが用いられている。
【0003】
近年、これら電子機器の薄型化、小型化が進んでいる。これに伴い、例えばFPC(Flexible Printed Circuits)は機器内部でより鋭角に折り曲げられ、常時強い反発力がかかる内部構造になっている。また、液晶ディスプレイ(LCD)の表示領域をより大きくする為に液晶パネルを囲む枠(額縁)の幅を狭くする、いわゆる狭額縁化が進んでいる。したがって、筐体とトップパネルを固定する粘着テープも細幅化する必要がある。ただし内部からのFPC等の反発力や外部からの衝撃に耐える為には、粘着剤層の接着強度だけでなく、基材の強さも必要である。
【0004】
細幅の粘着テープの基材の強さが不十分であると、粘着テープが厚さ方向に大きく変形し、内部応力や外部応力により層間で破壊が起き、機器が破損することがある。さらに、筐体に貼る際に寸法安定性に劣り、撚れが発生する原因となる。
【0005】
ところで、この種の粘着テープの基材には、ポリエチレンを主成分としたポリオレフィン系発泡体を使用するのが一般的である。例えば、特許文献1には、発泡体基材の両面にアクリル系粘着剤層が設けられた両面粘着テープが記載されている。そして、この発泡体基材の具体例として、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体等のポリオレフィン系樹脂発泡体が記載されている。この発泡体基材の厚さは50〜150μm、30%圧縮荷重は5〜200kPaである。
【0006】
特許文献2には、携帯電子機器の部品固定を目的とする、ポリオレフィン系発泡体基材と粘着剤層とからなる防水用両面粘着テープが記載されている。そして、このポリオレフィン系発泡体基材の厚さは70〜300μm、25%圧縮強度は40〜160kPa、引張強度は300〜1500N/cm、厚さ方向の平均気泡径は1〜100μm、流れ方向及び幅方向の平均気泡径は1.2〜700μmである。
【0007】
特許文献3には、発泡体基材の少なくとも一面に粘着剤層を有する粘着テープが記載されている。そして、発泡体基材の具体例として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系発泡体基材が記載されている。この発泡体基材の厚さは300μm以下、層間強度は6〜50N/cm、25%圧縮強度は30kPa以上、引張強さは300N/cm以上、厚さ方向の平均気泡径は10〜100μm、流れ方向及び幅方向の平均気泡径は10〜700μmである。
【0008】
特許文献4には、高い衝撃吸収性と静電気耐性を有する架橋ポリオレフィン系樹脂発泡シートが記載されている。この発泡シートの発泡倍率は1.1〜2.8cm3/g、気泡のMDの平均気泡径は150〜250μm、CDの平均気泡径は120〜300μm、厚みは0.02〜1.9mm、25%圧縮強度は250〜1500kPaである。
【0009】
しかし特許文献1〜4では、粘着テープを電子機器に使用した場合に特に重要となる耐静電性に関しては十分検討されていない。さらに本発明者らの知見によれば、特許文献1〜4に記載の従来の物性評価方法では、その基材が細幅粘着テープに適するか否かを十分に評価できない。例えば、特許文献1〜4に記載の「圧縮強度」又は「圧縮荷重」は単に厚さ方向の硬さの指標に過ぎない。特許文献2及び3に記載の「引張強度」、「引張強さ」又は「層間強度」は、単に基材が破壊するときの強度である。特許文献3及び4に記載の「平均気泡径」又は「発泡倍率」は、発泡の程度を表す指標に過ぎない。すなわち、特許文献1〜4に記載の従来の物性評価方法は、特に極細幅の粘着テープに対してそのまま適用することは必ずしも適当ではなく、極細幅の粘着テープにおいて特に重要となる狭額縁低温耐衝撃性、狭額縁耐湿熱荷重性、さらには耐静電性、加熱時せん断変形率、押圧力、加工性等の諸特性を評価することはできないのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2015−63703号公報
【特許文献2】特開2009−108314号公報
【特許文献3】国際公開第2013/176031号
【特許文献4】国際公開第2015/046526号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決する為されたものである。すなわち、本発明の目的は、耐衝撃性、耐静電性、加熱時せん断変形率、押圧力等の諸特性に優れた粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の組成からなり且つ特定の物性を示す基材を用いることが非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、基材の片面又は両面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記基材が発泡倍率1.1〜3.5倍の発泡体であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体を30質量%以上含有し、且つJIS K7161 2014に準じ測定される前記基材の引張弾性率が30N/mm以上であることを特徴とする粘着テープである。
【発明の効果】
【0014】
通常、ポリエチレンのガラス転移温度(Tg)は約−125℃程度である。一方、エチレン−酢酸ビニル共重合体のTgはそれよりもかなり高い(例えば−42℃)。そして、本発明の粘着テープの基材はエチレン−酢酸ビニル共重合体を多く含むので、通常のポリエチレン系基材よりも硬い基材である。しかし、本発明の粘着テープは、硬い基材を使用しているにもかかわらず、耐衝撃性に優れており、さらに耐静電性、加熱時せん断変形率、押圧力等の諸特性にも優れ、特に細幅粘着テープに適している。したがって、そのような特性が必要な分野において、様々な用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施例の曲げモーメントの測定方法を説明する為の模式図である。
図2】実施例の狭額縁耐湿熱荷重性の評価方法を説明する為の模式図である。
図3】実施例の耐静電性試験の評価方法を説明する為の模式図である。
図4】実施例の加熱時せん断変形率の評価方法を説明する為の模式図である。
図5】実施例の狭額縁低温耐衝撃性の評価方法を説明する為の模式図である。
図6】実施例の押圧力試験の評価方法を説明する為の模式図である。
図7】実施例のデュポン耐衝撃試験の評価方法を説明する為の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<基材>
本発明に用いる基材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体を30質量%以上含有し、且つ前記基材の引張弾性率が30N/mm以上である基材である。
【0017】
基材は、エチレン−酢酸ビニル共重合体と他のポリオレフィン系樹脂を含むポリオレフィン系樹脂組成物からなることが好ましい。他のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。特に、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)や、エチレンプロピレンゴム(EPDM)がより好ましい。
【0018】
基材中のエチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量は30質量%以上であり、好ましくは30〜70質量%、より好ましくは40〜70質量%、特に好ましくは50〜70質量%である。これら範囲の下限は、耐静電性、加熱時せん断変形率、狭額縁耐湿熱荷重性、加工性等の特性の点で意義がある。また、上限は耐衝撃性、防水性等の特性の点で意義がある。エチレン−酢酸ビニル共重合体は、直鎖低密度ポリエチレンと比較して高いゴム弾性を示す。したがって、基材に上記範囲の含有量のエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いれば、例えば基材が発泡体である場合、気泡径を小さくしても粘着テープの基材の用途に適したゴム弾性を維持することが可能である。その結果、気泡径の小径化が可能となり、基材の引張弾性率や曲げモーメント(曲げこわさ)が比較的高くなり、さらに耐静電性も向上させる作用も奏すると考えられる。
【0019】
基材を構成する樹脂組成物は公知の方法により製造できる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体30質量%以上と他の任意のポリオレフィン系樹脂を含有する樹脂組成物に電子線を照射して架橋させることにより得られる。この架橋と同時又は異時に発泡させても良い。
【0020】
基材を構成する樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において他の添加剤を含んでも良い。その具体例としては、増量剤、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、カップリング剤が挙げられる。更に、遮光性フィラー、顔料を含んでいても良い。遮光性フィラーの具体例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、黒色無機フィラーが挙げられる。顔料の具体例としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックが挙げられる。
【0021】
基材の幅は、好ましくは0.4〜2.0mm、より好ましくは0.45〜1.5mm、特に好ましくは0.6〜1.2mmである。基材の厚さは、好ましくは0.05mm〜1.0mm、より好ましくは0.05〜0.4mmである。
【0022】
基材は発泡体であることが好ましく、その発泡倍率は、好ましくは1.1〜3.5倍、より好ましくは1.5〜3.0倍である。発泡体の気泡形状は球状であることが好ましく、これは、加熱時せん断変形率、狭額縁耐湿熱荷重性、耐衝撃性等の特性の点で意義がある。さらに発泡体の気泡は独立発泡であることが好ましく、これは防水性、耐オレイン酸性等の特性の点で意義がある。
【0023】
基材の密度は好ましくは300kg/m以上、より好ましくは300〜700kg/mである。これら範囲の下限は、加熱時せん断変形率、狭額縁耐湿熱荷重、加工性等の特性の点で意義がある。また上限は防水性、耐衝撃性等の特性の点で意義がある。
【0024】
JIS K7161 2014に準じ測定される基材の引張弾性率は30N/mm以上であり、好ましくは32N/mm以上である。引張弾性率の具体的な測定方法は、実施例の欄に記載する。本発明者らの知見によれば基材の引張弾性率による特定は、従来の一般的な評価方法とは異なり、極細幅の粘着テープに関する指標として非常に適している。なぜならば、極細幅の粘着テープの外力や加熱による変形の問題は、通常の粘着テープとは全く異なる問題だからである。例えば、通常の幅では何の問題も無い粘着テープであっても、極細幅にした加工した場合は、狭額縁加工性や、更には狭額縁耐湿熱荷重性、狭額縁低温耐衝撃性、加熱時せん断変形率等の諸特性の何れかが不十分となる場合がある。一方、本発明の特定の引張弾性率を有する基材を用いればその何れも特性も十分な粘着テープが得られることを、本発明者らが初めて見出したのである。例えば、粘着テープを長手方向に引張った場合のテープの厚さ方向の変形は、通常の幅の粘着テープではあまり問題にならないが、極細幅の粘着テープの厚さ方向の変形は諸特性に悪影響を与える場合が多い。すなわち、本発明の特定範囲の引張弾性率を有する基材が諸特性において良好な結果を示すのは、例えば、基材の引張弾性率と厚さ方向等における変形量との相関関係に起因するものと推察される。
【0025】
JIS P8125に準じ測定される基材のMD方向及びTD方向における曲げモーメント(曲げこわさ)は、好ましくは5gf/cm以上、より好ましくは7gf/cm以上である。曲げモーメントの具体的な測定方法は、実施例の欄に記載する。この曲げモーメントもまた、先に説明した引張弾性率の場合と同様に、極細幅の粘着テープの外力や加熱による変形の問題を避ける為の指標となるものであり、本発明者らの知見によるものである。すなわち、特定の曲げモーメントを有する基材を用いればより十分な諸特性を有する粘着テープが得られることを、本発明者らが初めて見出したのである。すなわち、本発明の特定範囲の曲げモーメントを有する基材が諸特性において良好な結果を示すのは、引張弾性率の場合と同様に、例えば、基材の曲げモーメントと厚さ方向等における変形量との相関関係に起因するものと推察される。
【0026】
なお、このような高い引張弾性率及び高い曲げモーメントの基材は、公知の方法により製造でき、また市販品により入手できる場合もある。特に、エチレン−酢酸ビニル共重合体を多く含有すると、これら特性を満たす基材が得られ易い。ただし、これら特性は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量だけで決まる訳ではない。基材の厚さ、幅、架橋度、発泡倍率、密度、引張強さ、伸びなど様々な要因が引張弾性率及び曲げモーメントに影響する。したがって、様々な要因を総合的に考慮して製品設計することにより、これら特性を満たす特定の基材が得られるのである。
【0027】
<粘着剤層>
本発明に用いる粘着剤層は特に制限されない。粘着剤層を構成する粘着剤組成物としては、例えばアクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系など公知の様々な粘着剤組成物を使用できる。中でも、耐熱性、耐衝撃性、接着力、防水性の観点からアクリル系粘着剤組成物が好ましい。
【0028】
アクリル系粘着剤組成物の構成成分は、特に限定されるものではないが、炭素原子数が1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A1)10〜20質量%、炭素原子数が4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A2)50〜80質量%、カルボキシル基含有モノマー(A3)10〜15質量%、水酸基含有モノマー(A4)0.01〜0.5質量%、及び、酢酸ビニル(A5)1〜5質量%をポリマー鎖の構成成分として含むアクリル系共重合体(A)を樹脂成分とするものが好ましい。この場合、アクリル系共重合体(A)のカルボキシル基及び/又は水酸基と反応し得る架橋剤を配合し、アクリル系共重合体(A)と架橋構造を形成させても良い。また、対反発性を向上させる為に、シランカップリング剤や酸化防止剤を配合してもよい。
【0029】
粘着剤層の厚さは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μmである。
【0030】
粘着剤層は、例えば、粘着剤組成物を架橋反応させることにより形成できる。粘着剤組成物を基材上に塗布し、加熱により架橋反応させて基材上に粘着剤層を形成出来る。また、粘着剤組成物を離型紙又はその他のフィルム上に塗布し、加熱により架橋反応させて粘着剤層を形成し、この粘着剤層を基材の片面又は両面に貼り合せることも出来る。粘着剤組成物の塗布には、例えば、ロールコーター、ダイコーター、リップコーター等の塗布装置を使用できる。塗布後に加熱する場合は、加熱による架橋反応と共に粘着剤組成物中の溶剤も除去できる。
【0031】
<粘着テープ>
本発明の粘着テープは、基材の片面又は両面に粘着剤層を有する。粘着剤層は基材の片面だけに形成しても良いが、両面に形成して両面粘着テープとすることが好ましい。
【0032】
耐静電性試験規格であるIEC61000−4−2に準じた測定方法により、静電気放電(ESD)を粘着テープに与えた場合の耐圧は、好ましくは10kV以上、より好ましくは13kV以上である。このような優れた耐静電性は、特に基材が比較的多量のエチレン−酢酸ビニル共重合体を含むことにより発現するものと考えられる。
【0033】
粘着テープを120℃で30分加熱したときのJIS Z8741に準じた鏡面光沢度測定で測定される粘着剤層表面の60°鏡面光沢度は、好ましくは10以上である。鏡面光沢度は、表面粗さを評価する指標である。加熱後の粘着剤層表面の60°鏡面光沢度が高ければ、すなわち表面が平滑であれば十分な接着面を確保でき、優れた接着性が発現することになる。このような加熱後の60°鏡面光沢度は粘着剤層の特性だけでなく、基材の種類や特性にも影響を受ける。特に粘着剤層が薄い場合は、基材の影響も比較的大きいと考えられる。したがって、本発明に用いる特定の基材は、加熱後の粘着テープ表面の60°鏡面光沢度を低下させないという効果も奏すると推察される。
【0034】
粘着テープの加熱時せん断変形率は、好ましくは150%以下、より好ましくは130%以下である。粘着テープがこのような加熱時せん断変形率を有することにより、熱変形し難くなり、優れた耐衝撃性、耐荷重性及び狭額縁耐湿熱荷重性が発現する。加熱時せん断変形率の具体的な測定方法は実施例の欄に記載する。
【0035】
粘着テープの押圧力は、好ましくは100N/cm以上、より好ましくは150N/cm以上である。粘着テープがこのような押圧力を有することにより、優れた耐衝撃性、耐荷重性及び狭額縁耐湿熱荷重性が発現する。押圧力の具体的な測定方法は実施例の欄に記載する。
【実施例】
【0036】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。以下の記載において「部」は質量部、「%」は質量%を意味する。
【0037】
<粘着剤層の製造例1〜3>
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、表1に示す量(%)の成分(A1)〜(A5)と、酢酸エチル、連鎖移動剤としてn−ドデカンチオール及び過酸化物系ラジカル重合開始剤としてラウリルパーオキサイド0.1部を仕込んだ。反応装置内に窒素ガスを封入し、攪拌しながら窒素ガス気流下で68℃、3時間、その後78℃、3時間で重合反応させた。次いで、室温まで冷却し、酢酸エチルを添加した。これにより、固形分濃度30%のアクリル系共重合体(A)を得た。
【0038】
各アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)及び理論Tgを表1に示す。この重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、アクリル系共重合体の標準ポリスチレン換算の分子量を以下の測定装置及び条件にて測定した値である。
・装置:LC−2000シリーズ(日本分光株式会社製)
・カラム:Shodex KF−806M×2本、Shodex KF−802×1本
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/分
・カラム温度:40℃
・注入量:100μL
・検出器:屈折率計(RI)
・測定サンプル:アクリル系ポリマーをTHFに溶解させ、アクリル系ポリマーの濃度が0.5質量%の溶液を作製し、フィルターによるろ過でゴミを除去したもの。
理論Tgは、FOXの式により算出した値である。
【0039】
【表1】
【0040】
表1中の略号は、以下の通りである。
「MA」:メチルアクリレート
「2−EHA」:2−エチルヘキシルアクリレート
「BA」:n−ブチルアクリレート
「AA」:アクリル酸
「4−HBA」:4−ヒドロキシブチルアクリレート
「Vac」:酢酸ビニル
【0041】
そして、各アクリル系共重合体(A)の固形分100部に対し、架橋剤(B)として日本ポリウレタン工業社製のイソシアネート系架橋剤(コロネート(登録商標)L−45E、45%溶液)0.04部並びに三菱瓦斯化学社製エポキシ系架橋剤(TEDRAD(登録商標)−C)0.001部、シランカップリング剤(C)として信越化学工業社製のシランカップリング剤(商品名KBM−403)0.1部、酸化防止剤(D)としてBASF社製の酸化防止剤(イルガノックス(登録商標)1010)0.2部を加えて混合し、粘着剤組成物を調製した。さらに、この粘着剤組成物をシリコーン処理された離型紙上に乾燥後の厚みが0.05mmになるように塗布した。次いで、110℃で溶媒を除去・乾燥すると共に架橋反応させて、粘着剤層1〜3を形成した。
【0042】
<実施例1>
まず、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を60%含むポリエチレン(PE)系発泡体からなる基材(厚さ=0.15mm、引張弾性率=46.1N/mm、曲げモーメント=15gf/cm、発泡倍率=1.9、密度=544kg/m)を用意した。そして、この基材の両面をコロナ放電処理し、基材の両面に製造例1で得た離型紙上の粘着剤層を貼り合せ、40℃で3日間養生して、両面粘着テープを得た。
【0043】
<実施例2及び3>
粘着剤層として、製造例2及び3で得た粘着剤層を使用したこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0044】
<実施例4>
基材として、EVAを70%含むPE系発泡体からなる基材(厚さ=0.15mm、引張弾性率=46.2N/mm、曲げモーメント=18gf/cm、発泡倍率=1.7、密度=590kg/m)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0045】
<実施例5>
基材として、EVAを70%含むPE系発泡体からなる基材(厚さ=0.2mm、引張弾性率=36.6N/mm、曲げモーメント=18gf/cm、発泡倍率=2.9、密度=356kg/m)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0046】
<比較例1>
基材として、PE系発泡体(積水化学工業社製、商品名ボラーラXL−HT♯030012、厚さ=0.2mm、引張弾性率=21.0N/mm、曲げモーメント=3gf/cm、発泡倍率=3、密度=330kg/m)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0047】
<比較例2>
基材として、PE系発泡体(積水化学工業社製、商品名ボラーラXL−H♯0180015、厚さ=0.15mm、引張弾性率=23.7N/mm、曲げモーメント=7gf/cm、発泡倍率=1.8、密度=560kg/m)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして両面粘着テープを得た。
【0048】
実施例及び比較例の基材の引張弾性率、並びに基材及び粘着テープの曲げモーメントは、以下の方法により測定した値である。各測定値を表2に示す。
【0049】
(引張弾性率)
基材を幅(W)10mm、長さ70mmの短冊状(長辺がMD方向)に裁断し、これを試験片とした。そして、厚さを1/100ダイヤルゲージ(N=5)で測定し、5点の平均値を厚さ(t)とし、以下の式から試験片の断面積(S)を求めた。
断面積S(mm)=t×W
t:厚さ(mm)
W:幅(mm)
【0050】
JIS K7161 2014に基づき、市販の引張試験装置(東洋精機製作所社製、装置名ストログラフV−10C、フルスケール50N)のチャック間隔(L)を20mmに設定し、試験片の上端及び下端をチャックした。その後、引張速度10mm/分で引張り、引張荷重―変位曲線を得た。得られた引張荷重―変位曲線の変位が0.05mm及び0.25mmの引張荷重から直線式を求めた。得られた直線式から引張荷重F=10Nの時の変位x(mm)を求め、下記の式より基材の腰の指標となる引張弾性率を求めた。
引張弾性率(N/mm)=(F/S)/(x/L)
F:引張荷重=10(N)
S:断面積(mm
x:引張荷重=10Nの時の変位(mm)
L:チャック間隔=20(mm)
【0051】
なお、各直線式及び引張弾性率は以下の通りである。
実施例1、2及び3:直線式 y=3.6667x+0.0767、引張弾性率 46.1N/mm
実施例4:直線式 y=3.619x+0.0590、引張弾性率 46.2N/mm
実施例5:直線式 y=3.639x+0.0689、引張弾性率 36.6N/mm
比較例1:直線式 y=1.2632x-0.0432、引張弾性率 21.0N/mm
比較例2:直線式 y=2.1026x+0.1349、引張弾性率 23.7N/mm
【0052】
(曲げモーメント)
基材(又は両面粘着テープ1)を幅38mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、これを試験片とした。得られた試験片を図1に示すような4本の端子30に挟み込んだ。そして、JIS P8125に基づき、市販のテーバー剛性度試験機(東洋精機製作所社製)の試験時に稼働する部分に設置し、上下10gの重りを振り子へ取り付け、曲げ速度3°/sec、曲げ角度15°の時の目盛を読み、これを測定値とした。そして、この測定値を以下の計算式に代入し、MD方向及びTD方向の曲げモーメント(M)を算出した。
曲げモーメント(gf/cm)=38.0nk/w
n:目盛の読み(10gの重りの時は1)
k:一目盛当りのモーメント(gf/cm)
w:試験片の幅
【0053】
【表2】
【0054】
<評価試験>
実施例及び比較例で得た両面粘着テープを、以下の方法で評価した。結果を表3〜6に示す。
【0055】
(狭額縁耐湿熱荷重性)
両面粘着テープ1を幅0.5mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmで63mm×118mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離した。そして図2に示すように、1.5mm厚のポリカーボネート製フック2に両面粘着テープ1を貼り合せ、次いでもう一方の離型紙を剥離し、2.0mm厚のガラス板3に貼り合せ、23℃、50%RHの雰囲気下で60分間養生した。そしてフック2に200gfの錘4をかけ、40℃、90%RHの雰囲気下で24時間保持し、以下の基準で耐荷重性を評価した。
「○」:24時間フック19は落下しなかった。
「×」:60分以内にフック19が落下した。
【0056】
(耐静電性)
両面粘着テープ1を幅0.8mmで80mmの短冊状に裁断し、一方の離型紙を剥離して2.0mm厚×80mm×120mmのアクリル板5に形成されたHV電極6と銅電極7の間(電極間距離1.0mm)に貼り合せ、更にもう一方の離型紙を剥離して2.0mm厚×80mm×80mmのアクリル板5を貼り合せた。このサンプルに対して、オートクレーブを用いて23℃、5秒間の加圧処理(0.5MPa)を行った。そして図3に示すように、IEC61000−4−2(耐静電性規格)に基づき、このサンプルの耐静電性を評価した。具体的には、静電ガンを用いて各電圧にて50回ずつHV電極15に印加し、銅電極7側に電流が導通したときの印加電圧(ESD耐圧)を測定した。なお、このサンプルは絶縁シート8を介してステンレステーブル9上に設置され、銅電極7はステンレステーブル18にアースされている。
【0057】
(60°鏡面光沢度)
JIS Z8741に基づき、両面粘着テープを100mm×100mmに裁断し、離型紙を剥離して、120℃雰囲気下の熱風乾燥機中にクリップでテープの端面を固定し吊るした。30分間放置して取り出し後、ハンディ光沢度計(日本電色工業株式会社製、装置名PG−2M)で粘着剤層の60°鏡面光沢度を測定した。
【0058】
(加熱時せん断変形率)
両面粘着テープ1を25mm×25mmのサイズに裁断し、一方の離型紙を剥離した。そして図4に示すように、厚さ0.5mm、幅30mm、長さ100mmのSUS304BA板10に両面粘着テープ1を貼り合せ、次いでもう一方の離型紙を剥離し、同じサイズのSUS304BA板10に貼り合せ、23℃、50%RHの雰囲気下で60分間養生した。次いで、その下端に1kgfの錘11を吊るし、120℃で30分、135℃で30分加熱し、その変形量をルーペにて目視測定し、加熱時せん断変形率(△Sr)を下記の式にて算出した。
△Sr=(Xi+Xt)/Xi×100
△Sr:加熱時せん断変形率(%)
Xi:仕込みサンプル長(mm)=25(mm)
Xt:サンプル変形量(mm)
【0059】
(狭額縁低温耐衝撃性)
両面粘着テープ1を幅0.6mmで63mm×118mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して、1.5mm厚のポリカーボネート板12に貼り合せ、更にもう一方の離型紙を剥離し、1.9mm厚の強化ガラス板13に貼り合せた。この貼り合せした部材を図5に示すように、重さが160gfになるように2.0mm厚のSUS304板14で調整した後、60分間養生した。このサンプルを−20℃の雰囲気下で、1.5Mの高さからせん断方向にコンクリート上に自由落下させ、以下の基準で耐衝撃性を評価した。
「○」:20回落下後、接着部分の剥がれ及び基材の層間破壊無し。
「×」:20回落下後、接着部分の剥がれ及び基材の層間破壊有り。
【0060】
(押圧力)
両面粘着テープ1を25mm×25mmにサイズに裁断し、一方の離型紙を剥離した。そして図6に示すように、固定用治具15に固定した長さ100mm、幅50mm、2.0mm厚のナイロン樹脂板16に両面粘着テープ1を貼り合せ、次いでもう一方の離型紙を剥離し、もう一つの同サイズのナイロン樹脂板16に貼り合せ、23℃、50%RHの雰囲気下で24時間養生した。そして図6に示すように下方向に50mm/分の速度で押し、貼り合せ部分が切れた時の強度(N/cm)を測定した。
【0061】
(デュポン耐衝撃試験)
両面粘着テープ1を幅1.0mmで45mm×50mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して、1.9mm厚の強化ガラス板17に貼り合せた。次いでもう一方の離型紙を剥離し、中心に20mmφの穴が開いた4.0mm厚のポリカーボネート板18に貼り合せた。この貼り合せた部材をオートクレーブを用いて23℃、5秒間の加圧処理(0.5MPa)を行った。その後、23℃雰囲気下にて24時間養生した後、図7に示すデュポン耐衝撃試験を用いて、固定用治具19に固定されたポリカーボネート板18の穴あき部分に設置したSUS304製クサビ20に対して300gfの錘21を任意の高さで3回落下させ、強化ガラス板17とポリカーボネート板18が剥れた時の高さを測定した。
【0062】
(防水性)
両面粘着テープを幅0.6mmで63mm×118mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板に貼り合せ、更にもう一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板を貼り合せた。このサンプルに対して、オートクレーブを用いて23℃、5秒間の加圧処理(0.5MPa)を行った。そして、このサンプルをJIS IPX7(防水規格)に基づき一時的に水没させて、以下の基準で防水性を評価した。また、上記と同様にサンプルを作製し、JIS IPX8(防水規格)に基づき水深10cmの水中下に沈めて23℃、0.5MPa、1時間の加圧処理をオートクレーブを用いて行い以下の基準で防水性を評価した。
「○」:枠内に水が浸入しなかった。
「×」:枠内に水が浸入した。
【0063】
(耐オレイン酸性)
両面粘着テープを幅0.6mmで63mm×118mmの枠状に裁断し、一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板に貼り合せ、更にもう一方の離型紙を剥離して2.0mm厚のガラス板を貼り合せた。このサンプルに対して、オートクレーブを用いて23℃、0.5MPa、5秒間の加圧処理を行った。そして、このサンプルをオレイン酸に72時間浸漬した。サンプルを取り出し、85℃、85%RHの雰囲気下で24時間静置し、その後通常の雰囲気下に24時間放置した。そのサンプルを目視観察し、以下の基準で耐オレイン酸性を評価した。
「○」:枠内にオレイン酸が浸入しなかった。
「×」:枠内にオレイン酸が浸入した。
【0064】
(加工性)
両面粘着テープを5mm×125mmのサイズで10本に細断した状態を維持したまま(すなわち細断した各々の粘着テープが細断時の隣接した状態を維持したまま)、65℃、80%RH雰囲気下に1日放置した。その後1本毎に180°方向に離型紙ごと剥離し、隣接した部分との癒着を目視にて確認し、以下の基準で加工性を評価した。
「○」:隣接した部分との癒着が殆ど無く、隣接部分を剥がすことなく剥離できた。
「×」:隣接した部分に著しい癒着があり、隣接部分が同時に剥がれてしまった。
【0065】
(耐荷重性)
両面粘着テープを25mm×25mmのサイズに裁断し、一方の離型紙を剥離した。そして、SUS304製フックに両面粘着テープを貼り合せ、次いでもう一方の離型紙を剥離し、被着体に貼り合せた。この被着体としては、SUS304、ポリカーボネート板、アクリル板、EGI鋼板、ガルバリウム鋼板、ガラス板を用いた。そしてSUS304製フックに700gfの荷重をかけ、85℃で24時間保持し、以下の基準で耐荷重性を評価した。
「○」:24時間フックは落下しなかった。
「×」:60分以内にフックが落下した。
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】
<評価>
表3〜6の評価結果から明らかなように、実施例1〜5の粘着テープは全ての特性が優れていた。
【0071】
比較例1では、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含まない或いは少量しか含まず、引張弾性率や曲げモーメントが低い市販のポリオレフィン系発泡体基材を使用した。この比較例1の粘着テープは、狭額縁低温耐衝撃性、耐静電性、加熱時せん断変形率、狭額縁耐湿熱荷重性、押圧力、デュポン耐衝撃性に劣っていた。
【0072】
比較例2では、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含まない或いは少量しか含まず、引張弾性率が低い市販のポリオレフィン系発泡体基材を使用した。この比較例2の粘着テープは、極細幅の場合の狭額縁低温耐衝撃性、耐静電性、押圧力、デュポン耐衝撃性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の粘着テープは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を多く含む、硬い基材を使用しているにもかかわらず、耐衝撃性に優れており、さらに加熱時せん断変形率、狭額縁耐湿熱荷重性、耐静電性、加工性、防水性、耐オレイン酸性等の諸特性も優れている。したがって、そのような特性が必要な分野において、様々な用途に利用可能である。特にスマートフォン、タブレット端末等の電子機器の用途において好適に使用できる。具体的には、筐体とトップパネルとの固定や車載用LCDと筐体の固定等に使用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 両面粘着テープ
2 1.5mm厚のポリカーボネート製フック
3 2.0mm厚のガラス板
4 200gfの錘
5 アクリル板
6 HV電極
7 銅電極
8 絶縁シート
9 ステンレステーブル
10 0.5mm厚のSUS304BA板
11 1kgfの錘
12 1.5mm厚のポリカーボネート板
13 1.9mm厚の強化ガラス板
14 2.0mm厚のSUS304板
15 固定用治具
16 2.0mm厚のナイロン樹脂板
17 1.9mm厚の強化ガラス板
18 4.0mm厚のポリカーボネート板
19 固定用治具
20 SUS304製クサビ
21 300gfの錘
30 端子
【要約】
基材の片面又は両面に粘着剤層を有する粘着テープであって、前記基材がエチレン−酢酸ビニル共重合体を30質量%以上含有し、且つJIS K7161 2014に準じ測定される前記基材の引張弾性率が30N/mm以上であることを特徴とする、耐衝撃性、耐静電性、加熱時せん断変形率、押圧力等の諸特性に優れた粘着テープが開示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7