特許第6010732号(P6010732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010732
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】プレス装置用歯車の調整構造
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/17 20060101AFI20161006BHJP
   F16B 3/00 20060101ALI20161006BHJP
   F16H 57/023 20120101ALI20161006BHJP
   B30B 1/26 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   F16H55/17 A
   F16B3/00 C
   F16B3/00 H
   F16H57/023
   B30B1/26 F
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-231667(P2012-231667)
(22)【出願日】2012年10月19日
(65)【公開番号】特開2014-84892(P2014-84892A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年10月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】392017222
【氏名又は名称】太陽工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119699
【弁理士】
【氏名又は名称】塩澤 克利
(72)【発明者】
【氏名】小林 信彦
(72)【発明者】
【氏名】小平 裕也
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−147404(JP,U)
【文献】 実開昭61−019159(JP,U)
【文献】 特開2007−154930(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/137310(WO,A1)
【文献】 実開昭61−000506(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/26
F16B 3/00
F16H 55/17
F16H 57/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車を回転軸に取付けるときの回転方向における取付位置を微調整可能にしたプレス装置用歯車の調整構造であって、
前記回転軸を遊嵌する軸孔が形成された前記歯車と、
前記回転軸と一体回転可能に固定され、前記歯車の外周径よりも小径に形成されて、前記回転軸からの回転を前記歯車に伝達する固定円板と、
前記固定円板と前記歯車との間で、回転方向における相対的な位置決めを行う少なくとも1本のキーと、
前記歯車の歯元円側における前記歯車の周方向に沿った少なくとも1つの部位に形成され、前記歯車の板厚方向に突出させる前記キーを嵌入する調整嵌入部と、
前記調整嵌入部に対応した前記固定円板の周方向の部位に形成され、前記調整嵌入部から突出した前記キーを嵌入するキー嵌入部と、
前記歯車を前記固定円板に固定するための固定手段と、
を備え、
前記キーの幅方向における少なくとも一方の側面に当接する前記調整嵌入部の回転方向における端面と、前記キーの幅方向における少なくとも他方の側面に当接する前記キー嵌入部の回転方向における端面との間隔を前記キーの幅方向における形状によって調整し、前記固定円板に対する前記歯車の回転方向での位置を微調整することを特徴とするプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項2】
前記歯車の前記固定円板側に面する側面に、前記固定円板の板厚方向における少なくとも一部を収納する凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項3】
前記回転軸の軸方向に沿って突出したフランジ軸部が、前記固定円板に形成され、
前記歯車の軸孔が、前記フランジ軸部に挿嵌されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項4】
前記調整嵌入部が、前記歯車の板厚方向に形成した調整孔であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項5】
前記キー嵌入部が、前記固定円板の外周端面に形成した嵌入凹部又は前記固定円板の外周端面側に形成した嵌入孔であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項6】
前記回転方向における横幅形状として、前記キー嵌入部に対向する前記調整嵌入部の部位における横幅が、前記キーを嵌入させる前記キー嵌入部の横幅よりも幅広に形成され、
前記回転軸の軸線に直交する平面における前記キーの幅方向における形状として、前記調整嵌入部に嵌入する部位と前記キー嵌入部に嵌入する部位との配置形状が、前記回転方向にずれた配置形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項7】
前記回転方向における横幅形状として、前記キー嵌入部に対向する前記調整嵌入部の部位における前記キーを嵌入させる横幅と、前記キーを嵌入させる前記キー嵌入部の横幅と、が異なる横幅に形成され、
前記回転軸の軸線を含む平面における前記キーの縦断面形状が、前記キー嵌入部側又は前記調整嵌入部側に突出した凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【請求項8】
前記回転方向における前記調整嵌入部の横幅及び前記キー嵌入部の横幅が、四角柱形状に形成された前記キーの前記回転方向における横幅よりも広く形成され、
前記キーは、異なる横幅を有する少なくとも二種類のキーの組合せとして構成され、
前記キーの組合せのうちで一つの同じ横幅を有するキーは、前記歯車の正回転方向における前記調整嵌入部の後方側の端面と前記固定円板の正回転方向における前記キー嵌入部の先方側の端面との間に挟持されて、前記固定円板に対する前記歯車の正回転方向における位置規制を行うキーとして用いられ、前記キーの組合せのうちで他の同じ横幅を有するキーは、前記歯車の正回転方向における前記調整嵌入部の先方側の端面と前記固定円板の正回転方向における前記キー嵌入部の後方側の端面との間に挟持されて、前記固定円板に対する前記歯車の逆回転方向における位置規制を行うキーとして用いられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプレス装置用歯車の調整構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、回転軸に対してプレス装置用歯車を取付ける際に、回転方向におけるプレス装置用歯車の取付位置を微調整可能にする調整構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプレス装置では、往復直線運動を行うスライダに対して大きな駆動力を与えておくことが必要であり、スライダを駆動させるのに一つの駆動力だけで行う構成の代わりに、複数の駆動力をスライダに与えて、スライダを駆動する構成が多用されている。
【0003】
一つの駆動力だけでスライダを駆動させる構成だと、スライダの中央において往復運動を与える構成になるため、水平状態を保ったままスライダに往復直線運動を行わせることが難しくなる。これに対して、複数の駆動力をスライダに与える構成だと、スライダに水平状態を保たせることが容易になり、水平状態を保ったままスライダに往復直線運動を行わせることができる。
【0004】
複数の駆動力をスライダに与える構成としては、駆動モータからの回転駆動力が、歯車機構を介して、例えば、同期回転する二つの歯車に伝達される構成になっている。そして、この二つの歯車に伝達された回転は、それぞれ変換手段を介して直線運動に変換されて、スライダに対して往復直線運動を行わせる駆動力になっている。
【0005】
このとき、二つの歯車による回転が同期した状態で回転されずに、それぞれの変換手段を介した往復直線運動がアンバランスな状態でスライダに伝達されると、スライダは水平状態を保った状態のままでの往復直線運動を行わずに、スライダはピッチング運動を行いながら往復直線運動を行うことになる。
【0006】
スライダにピッチング運動を発生させずに、水平状態での往復直線運動を行わせるためには、二つの歯車に対する回転方向の位置決めを正確に行って、二つの歯車による回転を同期させ、各変換手段を介した直線運動が、同期してバランスを保持した状態で行われることが必要になる。
【0007】
従来においては、図16に示すように、歯車50の軸孔51の内周面にキー溝52を形成し、図示せぬ回転軸の外周面に形成したキー溝との間にキー53を嵌入させることでキー結合部を構成し、歯車50を図示せぬ回転軸に固定している。そして、歯車50の回転方向における取付位置を調整するためには、歯車50を図示せぬ回転軸に固定しているキー結合部を調整することで行っている。
【0008】
この調整方法では、キー結合部が回転軸側に形成されているため、キー結合部において微小な調整を行ったとしても、歯車の歯先側では、歯車の軸部側からの距離があるのでキー結合部で行った微小な調整量が拡大されてしまうことになる。そのため、歯車に対する回転方向での位置調整をキー結合部において行うことは、相当に難しい調整作業になっている。
【0009】
例えば、特許文献1に記載された回転体相互の固着装置は、歯車の回転方向における位置調整を行うことを目的とした発明ではないが、キー結合部において歯車の回転方向における位置調整を説明する参考図として使用することにする。参考図として示した図17には、第1の回転体56と第2の回転体57とを回転方向において固定する構成が、正面図として示されている。
【0010】
第2の回転体57は、第1の回転体56の外周に配された構成になっており、第1の回転体56の外周面及び第2の回転体57の内周面には、それぞれキー溝が形成されている。このキー溝に、固定テーパキー58とガイドキー兼用固定テーパキー60とを嵌入させるとともに、固定テーパキー58とガイドキー兼用固定テーパキー60の両側にそれぞれ打込みテーパキー59、61を打ち込むことで、第1の回転体56と第2の回転体57とを固定する構成になっている。
【0011】
特許文献1には明記も示唆もされていないが、ガイドキー兼用固定テーパキー60を第2の回転体57の内周面に形成したキー溝に嵌入しない高さ寸法を有した構成にするとともに、固定テーパキー58の両側におけるそれぞれの打込みテーパキー59の打ち込み量を調整し、しかも、ガイドキー兼用固定テーパキー60の両側におけるそれぞれの打込みテーパキー61の打ち込み量を調整することにより、第1の回転体56と第2の回転体57との回転方向における相対的な位置を調整することができる構成にすることができる。
【0012】
ところで、図17では、第1の回転体56の外周径が大きな外周径を有する構成になっており、第1の回転体56の外周側にはキー溝が形成されており、第2の回転体57の内周側には、第1の回転体56のキー溝に対向するキー溝が配されている。しかし、特許文献1において、第2の回転体57が、歯車であるとは開示も示唆もされておらず、第1の回転体56が歯車と一体回転する回転軸であるとは、開示も示唆もされていない。
あくまで、図17は、キー結合部において歯車の回転方向における位置調整を説明する参考図として使用したものである。
【0013】
しかも、仮に、第1の回転体56を、歯車とした第2の回転体57と一体回転する回転軸として構成した場合には、回転軸の軸径が大きくなってしまい、回転軸の重量が増大するとともに、回転軸を軸支する軸受けの構成及び軸受けを支持する構成が大型化することになる。更に、回転軸の回転方向における慣性力は、大きな慣性力になってしまう。このような理由から、第2の回転体57に対して外周径が大きな第1の回転体56を、プレス装置用の歯車の回転軸として使用すると、現実的には様々な問題を生じてしまうことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実願昭60−183233号(実開昭62−89508号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述したように、二つの歯車に対する回転方向の位置調整を行うのに、従来から行われている調整方法のように、回転軸と歯車とのキー結合部において調整を行う作業では、回転方向での変位量が歯面では大きくなってしまう問題があり、回転方向での取付位置を微調整することは、相当に難しい調整作業になっている。
【0016】
本願発明は、従来から行われている回転方向での微調整において生じていた問題を解決し、回転軸に対する歯車の回転方向での取付位置の微調整を、確実にしかも容易に行うことができ、取付位置の微調整を行ったときには、歯車の歯先側においても精度の高い微調整が行われ、しかも、歯車の回転精度を高めることができるとともに、歯車の軽量化を図ることができるプレス装置用歯車の調整構造の提供を課題にしている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明の課題は、請求項1〜 8に記載したプレス装置用歯車の調整構造において達成することができる。
即ち、本願発明は、歯車を回転軸に取付けるときの回転方向における取付位置を微調整可能にしたプレス装置用歯車の調整構造であって、前記回転軸を遊嵌する軸孔が形成された前記歯車と、前記回転軸と一体回転可能に固定され、前記歯車の外周径よりも小径に形成されて、前記回転軸からの回転を前記歯車に伝達する固定円板と、
前記固定円板と前記歯車との間で、回転方向における相対的な位置決めを行う少なくとも1本のキーと、前記歯車の歯元円側における前記歯車の周方向に沿った少なくとも1つの部位に形成され、前記歯車の板厚方向に突出させる前記キーを嵌入する調整嵌入部と、
前記調整嵌入部に対応した前記固定円板の周方向の部位に形成され、前記調整嵌入部から突出した前記キーを嵌入するキー嵌入部と、
前記歯車を前記固定円板に固定するための固定手段と、を備え、
前記キーの幅方向における少なくとも一方の側面に当接する前記調整嵌入部の回転方向における端面と、前記キーの幅方向における少なくとも他方の側面に当接する前記キー嵌入部の回転方向における端面との間隔を前記キーの幅方向における形状によって調整し、前記固定円板に対する前記歯車の回転方向での位置を微調整することを最も主要な特徴としている。
【0018】
また、本願発明では、前記歯車の前記固定円板側に面する側面に、前記固定円板の板厚方向における少なくとも一部を収納する凹部が形成されていることを主要な特徴としている。
更に、本願発明では、前記回転軸の軸方向に沿って突出したフランジ軸部が、前記固定円板に形成され、前記歯車の軸孔が、前記フランジ軸部に挿嵌されていることを主要な特徴としている。
【0019】
更にまた、本願発明では、前記調整嵌入部が、前記歯車の板厚方向に形成した調整孔であることを主要な特徴としている。
また、本願発明では、前記キー嵌入部が、前記固定円板の外周端面に形成した嵌入凹部又は前記固定円板の外周端面側に形成した嵌入孔であることを主要な特徴としている。
【0020】
更に、本願発明では、前記回転方向における横幅形状として、前記キー嵌入部に対向する前記調整嵌入部の部位における横幅が、前記キーを嵌入させる前記キー嵌入部の横幅よりも幅広に形成され、
前記回転軸の軸線に直交する平面における前記キーの幅方向における形状として、前記調整嵌入部に嵌入する部位と前記キー嵌入部に嵌入する部位との配置形状が、前記回転方向にずれた配置形状に形成されていることを主要な特徴としている。
【0021】
更にまた、本願発明では、前記回転方向における横幅形状として、前記キー嵌入部に対向する前記調整嵌入部の部位における前記キーを嵌入させる横幅と、前記キーを嵌入させる前記キー嵌入部の横幅と、が異なる横幅に形成され、
前記回転軸の軸線を含む平面における前記キーの縦断面形状が、前記キー嵌入部側又は前記調整嵌入部側に突出した凸形状に形成されていることを主要な特徴としている。
【0022】
また、本願発明では、前記回転方向における前記調整嵌入部の横幅及び前記キー嵌入部の横幅が、四角柱形状に形成された前記キーの前記回転方向における横幅よりも広く形成され、
前記キーは、異なる横幅を有する少なくとも二種類のキーの組合せとして構成され、前記キーの組合せのうちで一つの同じ横幅を有するキーは、前記歯車の正回転方向における前記調整嵌入部の後方側の端面と前記固定円板の正回転方向における前記キー嵌入部の先方側の端面との間に挟持されて、前記固定円板に対する前記歯車の正回転方向における位置規制を行うキーとして用いられ、前記キーの組合せのうちで他の同じ横幅を有するキーは、前記歯車の正回転方向における前記調整嵌入部の先方側の端面と前記固定円板の正回
転方向における前記キー嵌入部の後方側の端面との間に挟持されて、前記固定円板に対する前記歯車の逆回転方向における位置規制を行うキーとして用いられていることを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本願発明では、回転軸に直接歯車を固定する構成の代わりに、回転軸には固定円板を固定し、回転軸に固定した固定円板に対して歯車の回転方向での取付位置を微調整可能に構成している。そして、歯車の軸孔を、回転軸を遊嵌する形状に形成し、固定円板を、歯車の外周径よりも小径に形成するとともに、回転軸からの回転を固定円板を介して歯車に伝達する構成になっている。
【0024】
そして、歯車に形成した調整嵌入部と固定円板に形成したキー嵌入部とにキーを嵌入させることで、固定円板に対する歯車の回転方向における取付位置を規制している。しかも、キーの幅方向における少なくとも一方の側面に当接する調整嵌入部の回転方向における端面と、キーの幅方向における少なくとも他方の側面に当接するキー嵌入部の回転方向における端面との間隔を調整することで、固定円板に対する歯車の回転方向での位置を微調整することができる。
【0025】
そして、キーの幅方向における形状を代えることで、簡単にキーの少なくとも一方の側面に当接する調整嵌入部の端面と、キーの少なくとも他方の側面に当接するキー嵌入部の端面との間隔を調整することができ、固定円板に対する歯車の回転方向での位置を微調整することができる。
【0026】
しかも、調整嵌入部及びキー嵌入部の形成部位は、歯車の歯元円側の部位に形成している。この構成によって、回転軸の回転中心から歯先までの距離が長い大型の歯車に対して本願発明の調整構造に基づいた微調整を行うことによって、微調整を行ったことによる影響は、歯車の歯面において殆ど影響を及ぼさない状態にすることができる。そして、回転方向に対する細かな微調整を行うことができる。
【0027】
固定円板に対する歯車の回転方向での取付位置を微調整した後は、固定手段を用いて歯車と固定円板とを強固に固定することができる。そして、回転軸に対する歯車の回転方向での取付位置を微調整した状態の下で、歯車を回転駆動させることができる。本願発明による調整構造を用いることによって、複数の歯車の同期回転を容易に達成させることできる。
【0028】
このように、この複数の歯車によってそれぞれの変換手段を同期させて駆動させることを、簡単にしかも確実に行うことができるので、プレス装置におけるスライダを水平状態に維持した状態のままで往復直線運動を確実に行える。
【0029】
本願発明では、歯車の固定円板側に面する側面に、固定円板を収納する凹部を形成しておくことができる。そして、固定円板を収納する凹部には、固定円板の板厚方向における一部部位を収納させておくことも、固定円板の板厚を全て収納させておくこともできる。このように構成することによって、歯車の一部を固定円板に置き換えた構成にすることができるので、歯車の構成として強度を必要とする歯部と、強度をそれ程必要としない固定円板を収納した部位と、に分けて構成することができる。しかも、固定円板を歯車に比べて軽量な材料で構成することにより、歯車として必要な強度を保ちながら、固定円板を収納した歯車の重量を軽減することができる。
【0030】
本願発明では、歯車の軸孔を挿嵌するフランジ軸部を固定面板に形成しておくことができる。フランジ軸部に歯車の軸孔を挿嵌することで、歯車を偏心回転させることなく回転
軸と同芯状に配することができ、回転軸を中心とした回転を歯車に与えることができる。
【0031】
本願発明では、歯車に形成した調整嵌入部として、歯車の板厚方向に形成した調整孔として形成しておくができる。調整孔としては、歯車の板厚方向に貫通した貫通孔形状に形成しておくことも、固定円板側に開口を有して奥側を行き止まり形状にした袋穴の形状に形成しておくこともできる。
調整孔を袋穴の形状に形成したときには、キーを固定円板側から調整孔内に嵌入させて、固定円板側にキーの一部が突出した状態にすることができる。
【0032】
本願発明では、キー嵌入部を固定円板の外周端面に固定円板の板厚方向に沿った嵌入凹部として形成しておくことも、固定円板の外周端面側に固定円板の板厚方向に形成した嵌入孔として形成しておくこともできる。嵌入凹部として固定円板に嵌入孔を形成したときには、嵌入孔としては、固定円板の板厚方向に貫通した貫通孔形状に形成しておくことも、歯車側に開口を有して奥側を行き止まり形状にした袋穴の形状に形成しておくこともできる。
【0033】
このように構成することにより、調整嵌入部及びキー嵌入部を歯車の歯元円の近くに形成しておくことができる。そして、回転方向での微調整をキーの嵌入によって行っても、キー嵌入部が歯車の歯元円側に形成されているので、微調整を行ったことによる影響は、歯車の歯面において殆ど影響を及ぼさない状態にしておくことができる。
【0034】
本願発明では、請求項6〜8に記載した構成のように、キーの形状と調整嵌入部及びキー嵌入部の形成位置との組合せを変更した構成にすることによって、キーの少なくとも一方の側面に当接する調整嵌入部の端面と、キーの少なくとも他方の側面に当接するキー嵌入部の端面との間隔を調整することができる。そして、固定円板に対する歯車の回転方向での取付位置に対する微調整を容易に、しかも確実に行うことができる。
【0035】
また、請求項1〜請求項7に記載した構成では、1本のキーを用いてプレス装置用歯車の調整構造を構成することも、複数本のキーを用いてプレス装置用歯車の調整構造を構成することもできる。そして、複数本のキーを用いたときには、各キーをそれぞれ嵌入させる調整嵌入部及びキー嵌入部は、歯車を回転させたときに、歯車の回転にムラを生じさせずに回転バランスを保った配置関係となる部位に形成しておくことが必要になる。
【0036】
請求項8に記載した構成では、異なる横幅を有する少なくとも二種類のキーを用いることになる。そして、二種類のキーをそれぞれ嵌入させる調整嵌入部及びキー嵌入部は、歯車を回転させたときに、歯車の回転にムラを生じさせずに回転バランスを保った配置関係となる部位に形成しておくことが必要になる。
【0037】
尚、異なる横幅を有する少なくとも二種類のキーと記載したが、二種類のキーのうち横幅が狭めに形成されていた一方のキーの横幅を広めに形成していき、広めに形成されていた他方のキーの横幅を狭めに形成していくことによって、二種類のキーを同じ横幅を有するキーに形成した場合であっても、固定円板に対する歯車の回転方向での取付位置に対する微調整を行うことができるようになる。そのため、本願発明では、異なる横幅を有する少なくとも二種類のキーの意味としては、同じ横幅を有するキーを用いる場合も包含している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】プレス装置の概略構成図である。(実施例)
図2】主歯車同士の噛合状態を示す平面図である。(実施例)
図3】歯車と固定円板とキーとの組立て前の状態を示す斜視図である。(実施例1)
図4】歯車と固定円板とキーとの組立て状態を示す斜視図である。(実施例1)
図5】固定円板側から見た背面図である。(実施例1)
図6】キーの正面図である。(実施例1)
図7】歯車と固定円板とキーとの組立て前の状態を示す斜視図である。(実施例2)
図8】歯車と固定円板とキーとの組立て状態を示す斜視図である。(実施例2)
図9】固定円板側から見た背面図である。(実施例2)
図10】キーの正面図である。(実施例2)
図11】歯車と固定円板とキーとの組立て前の状態を示す斜視図である。(実施例3)
図12】キーの平面図である。(実施例3)
図13】歯車と固定円板とキーとの組立て前の状態を示す斜視図である。(実施例4)
図14】歯車と固定円板とキーとの組立て状態を示す斜視図である。(実施例4)
図15】固定円板側から見た背面図である。(実施例4)
図16】従来の歯車とキーとを示す斜視図である。(従来例)
図17】固着装置の正面図である。(参考図)
【発明を実施するための形態】
【0039】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わるプレス装置用歯車の調整構造としては、本願発明の課題を解決することができる形状、構成であれば、添付図面で示す実施例の構成に限定されず、それらの形状、構成を採用することができるものである。そのため、本願発明は、以下に説明する実施例の構成に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【実施例】
【0040】
以下、図面に基づいて本願発明の好適な実施例を説明する。図1には、本願発明に係るプレス装置の概略構成図を示している。図1に示すように、プレス装置1におけるスライダ8は、ガイド9に案内されて紙面の垂直方向に向かって往復直線運動を行うことができる。そして、スライダ8に対向して配された図示せぬ作業テーブル上に配置されたワークに対してプレス加工を施すことができる。
【0041】
スライダ8には、一対のコンロッド6a,6bが自在継ぎ手7a,7bを介してバランスよく接続されている。一対のコンロッド6a,6b及び自在継ぎ手7a,7bは、クランク軸5a,5bから与えられた回転運動を直線運動に変換する変換手段を構成されている。これによって、二つの変換手段からの駆動力をスライダ8に往復直線運動を与える駆動力として作用させることができる。
【0042】
クランク軸5a,5bには、それぞれ主歯車4a,4bが固定されており、主歯車4aと主歯車4bとは、互いに噛合した配置構成になっている。駆動モータ2からの回転駆動力は、駆動歯車3a〜3cに順次伝達され、駆動歯車3cの回転は、主歯車4aに伝達される構成になっている。また、図において用いた符号10は、それぞれの回転軸を回転自在に支持する軸受けを示している。
【0043】
尚、変換手段として、コンロッド6a,6b及び自在継ぎ手7a,7bによる構成を用いて説明を行っているが、本願発明はこの構成に限定されるものではなく、回転運動を直線運動に変換することのできる変換手段であれば、他の構成の変換手段を用いることができる。
【0044】
また、以下において、変換手段として一対の変換手段を用いた構成を用いて、変換手段、一対の主歯車4a,4bに関する説明を行っていくが、変換手段及び変換手段を駆動する主歯車4a,4bとしては、一対の構成に限定されるものではなく、複数の主歯車を並列に配設
した構成、複数の主歯車を千鳥状に配列して主歯車間で回転が伝達される構成、複数の主歯車をランダムに配列するとともに、主歯車間で回転が伝達される構成にしておくことができる。変換手段を駆動する構成として、クランク軸5a,5bを用いた構成で説明を行うが、クランク軸5a,5bを用いずにカム機構を用いた構成にすることもできる。
【0045】
更に、図1において、駆動モータ2からの回転駆動力を伝達している歯車伝達機構は、説明のための例示であって、他の歯車組合せからなる歯車伝達機構を採用することができる。更にまた、一つの駆動モータ2で一対の主歯車4a,4bを駆動した構成を示しているが、主歯車4a,4bをそれぞれ別の駆動モータで回転駆動させる構成にしておくこともできる。
【0046】
主歯車4a,4bをそれぞれ別の駆動モータで回転駆動させた構成にした場合には、主歯車4a,4b同士を噛合させておかない構成にしておくこともできる。
【0047】
そして、主歯車の配設個数を3個以上とした場合であっても、主歯車を2個とした場合における上述した変形例における構成の考え方を、3個以上で構成した主歯車に対しても好適に適用することができる。
【0048】
図2には、一対の主歯車4a,4bが噛合した状態を平面図として示している。主歯車4a,4bをそれぞれの回転軸に取り付ける構成は、主歯車4a,4bの両者において共通した構成になっているので、図2以下の図面を用いた説明では、一対の主歯車4a,4bを主歯車11として、主歯車11に代表させて説明を行うことにする。
【0049】
図1図2に示すように、一対の主歯車11は互いに噛合した状態になっている。これは、一対の主歯車11同士を連動させて同一の運動を行わせるための構成になっている。一対の主歯車11同士を連動させた構成にするとともに、主歯車11の回転軸(不図示)に対する回転方向の取り付け位置を微調整することにより、コンロッド6a,6bの変換運動を連動させ、しかも同時に同じ動きを奏する運動にすることができる。そして、スライダ8を図1における紙面と平行状態を保ったまま往復直線運動を行わせることができる。
【0050】
仮に、コンロッド6a,6bの変換運動が連動した動きであっても、同じ動きを奏していないと、紙面の下方側におけるスライダ8の端部と、紙面の上方側におけるスライダ8の端部の動きとが、連動した同一の運動としては行われない。その結果、スライダ8の下方側における端部の動きと、上方側における端部の動きとが時間差を持ったピッチング運動を行うことになる。
【0051】
スライダ8にピッチング運動を行わせずに、図1におけるスライダ8が紙面と平行状態を保ったまま往復直線運動を行わせるためには、少なくとも一方の主歯車11に関して、回転軸(不図示)に対する回転方向での取付位置を調整することが必要になる。以下では、本願発明に係わるプレス装置用歯車の調整構造について、実施例1〜実施例4を用いた説明を行う。
尚、本願発明に係わるキーとしては、位置決めピンのように用いられている構成のものも本願発明におけるキーとして包含させている。
【実施例1】
【0052】
本願発明に係わる実施例1の構成について、図3図6を用いて説明を行う。図5に示すように、主歯車11における一方側に側面には、主歯車11の回転中心と同芯状の凹部17が形成されており、凹部17内には図示せぬ回転軸に固定された固定円板20を収納することができる。固定円板20の回転中心には、図示せぬ回転軸を嵌入する軸孔24が形成されており、軸孔24の内周面にはキー溝25が形成されている。キー溝25と図示せぬ回転軸の外周面に
形成したキー溝との間に図示せぬキーを嵌入させることで、固定円板20を図示せぬ回転軸に固定することができる。
【0053】
図1における構成を用いて、固定円板20を固定している回転軸を説明すると、クランク軸5a,5bを回転軸として用いることができる。図3に示すように、主歯車11の歯元円側である回転軸の回転中心から離れた部位には、主歯車11を固定円板20に固定するときの回転方向での位置を微調整するための調整嵌入部12が、周方向に沿って複数形成されている。
【0054】
図3では、調整嵌入部12として主歯車11の板厚方向に貫通した貫通孔形状の調整孔を示しているが、調整孔としては、主歯車11の板厚方向に貫通した貫通孔形状に限定されるものではない。調整孔としては、図示例のように主歯車11の板厚方向に貫通した貫通孔形状に形成しておくことも、固定円板20側に開口を有して、固定円板20側とは反対側の奥側を行き止まり形状にした袋穴の形状に形成しておくこともできる。
【0055】
図3図5で示す図示例では、調整嵌入部12を等間隔に4ヶ所に形成した構成を示しているが、調整嵌入部12の形成個数としては、少なくとも1個以上で形成しておくことができる。調整嵌入部12を複数形成するときには、複数形成する調整嵌入部12の主歯車11における周方向の部位としては、主歯車11を回転させたときに、回転にムラを生じないで、しかも回転バランスを保った配置関係となる部位に形成しておくことができる。
【0056】
主歯車11の正面視において、調整嵌入部12の形状としては、主歯車11の外周側に形成された第1調整嵌入孔12aと回転中心側に形成された第2調整嵌入孔12bとを有する形状に形成されている。そして、主歯車11の回転方向における第1調整嵌入孔12aの横幅は、第2調整嵌入孔12bの横幅よりも狭く形成されており、第1調整嵌入孔12aと第2調整嵌入孔12bとは、主歯車11の径方向において連通した構成になっている。
【0057】
即ち、主歯車11の正面視において、調整嵌入部12は、外周方向に突出した凸形状に形成されており、凸形状の突出部が第1調整嵌入孔12aとして構成され、図示せぬ回転軸側が第2調整嵌入孔12bとして構成されている。
【0058】
主歯車11の回転中心側には、主歯車11の回転中心となる軸孔16が形成されており、軸孔16は、固定円板20の側面から図示せぬ回転軸の軸方向に沿って突出させたフランジ軸部21に嵌入することができる。固定円板20の外周端面には、主歯車11に形成した調整嵌入部12に対応させた部位に嵌入凹部22が形成されている。嵌入凹部22は、後述するキー15の第2調整嵌入孔12bに嵌入させた部位(嵌入凹部用嵌入部15b)を嵌入させることができるキー嵌入部として構成されている。
尚、図示例では、キー嵌入部として嵌入凹部22を形成した構成を示しているが、キー嵌入部としては、孔形状の嵌入孔として固定円板20に形成しておくこともできる。キー嵌入部を孔形状の嵌入孔として形成した場合には、嵌入孔の構成としては、固定円板20の板厚方向に貫通した貫通孔形状に構成しておくことも、奥側が行き止まり形状の袋穴の形状に構成しておくこともできる。そのため、本願発明における嵌入孔の構成としては、貫通孔形状も袋穴の形状も両方包含している。
【0059】
また、主歯車11の軸孔16を固定円板20に形成したフランジ軸部21に嵌入する構成について説明を行うが、フランジ軸部21を設けない構成にしておくこともできる。この場合には、主歯車11の側面に形成した凹部17内に少なくとも固定円板20の一部を収納させておき、凹部17内に収納された固定円板20の外周面で主歯車11を支持するとともに、後述する取付ボルト14を用いて固定円板20と主歯車11との部位を強固に固定することができる。そして、固定円板20と主歯車11とを一体的に回転させることができる。
【0060】
固定円板20には、主歯車11を固定するためのボルト螺合孔23が、所望数、所望の部位に形成されている。また、主歯車11には、主歯車11を固定円板20に固定する取付ボルト14の頭部を遊嵌し、取付ボルト14の軸部を遊嵌するボルト挿入孔13が、ボルト螺合孔23に対応した部位に形成されている。
【0061】
ボルト挿入孔13は、取付ボルト14の頭部の外径寸法よりも大径な座繰り形状に形成されており、取付ボルト14の頭部における下面を当接させる当接部13aと、取付ボルト14の軸部を遊嵌状態で挿入させる挿入孔13bとを有した構成になっている。
【0062】
図4図5に示すように、調整嵌入部12と嵌入凹部22とに嵌入されるキー15は、第1調整嵌入孔12aに嵌入する調整嵌入部用嵌入部15aと嵌入凹部22に嵌入される嵌入凹部用嵌入部15bとを有する構成になっている。回転方向において、嵌入凹部22の位置と第1調整嵌入孔12aの位置との間隔を調整することによって、固定円板20に固定する主歯車11の回転方向の取付位置を微調整することができる。
【0063】
嵌入凹部22の位置と第1調整嵌入孔12aの位置との間隔を調整するため、本願発明ではキー15の回転方向における断面形状として、調整嵌入部用嵌入部15aと嵌入凹部用嵌入部15bとを連結させた構成になっている。そして、調整嵌入部用嵌入部15aの側面と嵌入凹部用嵌入部15bの側面とは、キー15の幅方向である主歯車11の回転方向において、図6(a)、(b)に示すように、ズレ量f1、f2を持たせた形状に形成されている。
【0064】
ズレ量f1、f2は、調整嵌入部用嵌入部15aの幅方向における少なくとも一方の側面に当接する第1調整嵌入孔12aの回転方向における端面と、嵌入凹部用嵌入部15bにおける少なくとも他方の側面に当接する嵌入凹部22の回転方向における端面との間隔を調整するためのものとして構成されている。
【0065】
尚、実施例1では、調整嵌入部用嵌入部15aの幅方向における両側面が第1調整嵌入孔12aの回転方向における端面に当接しており、嵌入凹部用嵌入部15bの幅方向における両側面が嵌入凹部22の回転方向における端面に当接している。
【0066】
複数種類の中から所望の取付位置とすることができるズレ量を備えたキー15を選択して、調整嵌入部12と嵌入凹部22とに嵌入することにより、固定円板20に対する主歯車11の回転方向での取付位置を簡単に、しかも確実に微調整することができる。
【0067】
本願発明では、主歯車11の回転方向における第2調整嵌入孔12bの横幅を、第1調整嵌入孔12aの横幅よりも広く構成されているが、これは最適のズレ量を備えたキー15を選択するうえにおいて、嵌入凹部用嵌入部15bが第2調整嵌入孔12b内において横幅方向に規制を受けずに自由に嵌入できるようにするためである。
図6(a)、(b)に示すように、異なるズレ量f1またはズレ量f2を有する複数種類のキー15を備えておき、複数種類の中から最適のズレ量を備えたキー15を選択することができる。ズレ量としては、f1,f2の二つの構成例を示しているが、これは例示であって、微調整できるズレ量を多数備えた複数種類のキー15を用意しておくことができる。
【0068】
回転方向における調整嵌入部12の端面及び嵌入凹部22の端面は、ともに主歯車11の回転中心から径方向に沿った端面として形成しておくことができる。また、回転方向に沿った調整嵌入部12の面及び嵌入凹部22の面は、ともに主歯車11の回転中心を中心にした同心円弧状の面として形成しておくことができる。
【0069】
また、キー15の幅方向における側面は、回転方向における調整嵌入部12の端面及び嵌入凹部22の端面に密接することができる形状に構成しておくことができ、キー15の高さ方向
における面は、回転方向に沿った調整嵌入部12の面及び嵌入凹部22の面に密接することができる形状に構成しておくことができる。
【0070】
このように構成しておくことにより、嵌入したキー15と調整嵌入部12及び嵌入凹部22との間に隙間を生じさせないですみ、キー15と固定円板20及び主歯車11とを一体化させることができる。
【実施例2】
【0071】
本願発明に係わる実施例2の構成について、図7図10を用いて説明を行う。実施例2における構成では、固定円板20に固定する主歯車11の回転方向の取付位置を微調整するための構成が、実施例1における構成とは異なっているが、他の構成は、実施例1における構成と同様の構成になっている。そのため、実施例1における構成と同様の構成になっている部材は、同一の部材符号を用いることで、その部材の説明を省略する。
【0072】
実施例2では、実施例1の調整嵌入部12の代わりに調整嵌入部30a〜30dが、主歯車11の歯元円側において、主歯車11の周方向に沿って複数形成されている。また、固定円板20には、実施例1の嵌入凹部22と同様の嵌入凹部32a〜32dが形成されている。そして、調整嵌入部30a〜30dの形成位置と、固定円板20における嵌入凹部32a〜32dの形成位置とが、主歯車11を固定円板20に固定したときに、径方向において同芯状の高さ位置となるように形成されている。
【0073】
また、調整嵌入部30a〜30dの幅方向における寸法と嵌入凹部32a〜32dの幅方向における寸法とは、四角柱形状に形成されたキー31、31’の幅方向における寸法よりも幅広に構成されている。そして、調整嵌入部30a、30c及び調整嵌入部30a、30cに対応させた嵌入凹部32a、32cによる組合せと、調整嵌入部30b、30d及び調整嵌入部30b、30dに対応させた嵌入凹部32b、32dによる組合せとから構成されており、調整嵌入部30aと調整嵌入部30cとは、等間隔に配設されている。また、調整嵌入部30bと調整嵌入部30dとは、等間隔に配設されている。
【0074】
図8図9に示すように、調整嵌入部30a及び嵌入凹部32aに嵌入された幅寸法が同じ形状である一つの種類のキー31と、このキー31と同じ種類であって調整嵌入部30c及び嵌入凹部32cに嵌入されたキー31の側面は、図9における時計回り方向において、調整嵌入部30a,30cの時計回り方向の先方側の端面と嵌入凹部32a,32cの後方側の端面とに当接している。
【0075】
また、調整嵌入部30b及び嵌入凹部32bに嵌入され、前記キー31とは異なる幅寸に形成された他の種類のキー31’の側面と、調整嵌入部30d及び嵌入凹部32dに嵌入されたキー31’の側面は、図9における時計回り方向において、調整嵌入部30b,30dの時計回り方向の後方側の端面と嵌入凹部32b,32dの先方側の端面とに当接している。
【0076】
そして、図9において、調整嵌入部30a、30c及び嵌入凹部32a、32cに嵌入したキー31は、固定円板20と主歯車11との間での時計回り方向の回動を規制しており、調整嵌入部30b、30d及び嵌入凹部32b、32dに嵌入したキー31’は、固定円板20と主歯車11との間での反時計回り方向の回動を規制している。
【0077】
このとき、調整嵌入部30aと嵌入凹部32aとに嵌入したキー31と、調整嵌入部30cと嵌入凹部32cとに嵌入したキー31とは、同じ横幅寸法を有する同一種類のキーとして形成されている。また、調整嵌入部30bと嵌入凹部32bとに嵌入したキー31’と、調整嵌入部30dと嵌入凹部32dとに嵌入したキー31’とは、同じ横幅寸法を有する他の種類のキーとして形成されており、キー31の横幅寸法とは異なる横幅寸法に形成されている。
このように、2種類の横幅寸法を有するキー31、31’を用いることにより、固定円板20に固定する主歯車11の回転方向の取付位置を微調整することが、効率的に行える。
【0078】
そして、図10に示すように、横幅寸法d1,d2を異ならせた複数種類のキー31、31’を用意しておき、複数種類の中から所望の横幅寸法を有するキー31、31’を用いることによって、固定円板20に対する主歯車11の回転方向での取付位置を簡単に、しかも確実に微調整することができる。
キー31、31’の横幅として、d1,d2の二つの構成例を示しているが、これは例示であって、微調整できる多数の異なる横幅を備えた複数種類のキー31、31’を用意しておくことができる。
【0079】
尚、図7図9では、四か所に調整嵌入部30a〜30d及び嵌入凹部32a〜32dを形成した構成例を示しているが、調整嵌入部30a〜30d及び嵌入凹部32a〜32dの形成個数としては、4個に限定されるものではなく、適宜の個数で形成することができる。但し、主歯車11の正回転方向及び逆回転方向での位置規制を行うためには、少なくとも二種類のキー31、31’をそれぞれ1本以上用いることが必要である。そして、少なくとも二種類のキー31、31’をそれぞれ嵌入する調整嵌入部及び嵌入凹部を、歯車11の周方向に沿って配設しておくことが必要である。
【0080】
また、同じ種類のキー31又はキー31’を2本以上用いる場合には、同じ種類のキー31又はキー31’をそれぞれ嵌入する調整嵌入部及び嵌入凹部の配置構成としては、歯車11の周方向に沿って等間隔に配設しておくことが必要である。
【0081】
また、回転方向における調整嵌入部30a〜30d の各端面及び嵌入凹部32a〜32d の各端面は、ともに主歯車11の回転中心から径方向に沿った端面として形成しておくことができる。また、回転方向に沿った調整嵌入部30a〜30d の各面及び嵌入凹部32a〜32d の各面は、ともに主歯車11の回転中心を中心にした同心円弧状の面として形成しておくことができる。
【0082】
また、キー31の幅方向における側面は、回転方向における調整嵌入部30a〜30d の一方の端面及び嵌入凹部32a〜32d の他方の端面に密接することができる形状に構成しておくことができ、キー31の高さ方向における面は、回転方向に沿った調整嵌入部30a〜30d の各面及び嵌入凹部32a〜32d の各面に密接することができる形状に構成しておくことができる。
【0083】
調整嵌入部30a〜30d を形成する主歯車11における周方向の部位及び嵌入凹部32a〜32d を形成する固定円板20における周方向の部位としては、主歯車11を回転させたときに、回転にムラを生じさせずに回転バランスを保った配置関係となる部位に形成しておくことができる。
【実施例3】
【0084】
本願発明に係わる実施例3の構成について、図11図12を用いて説明を行う。実施例3における構成では、固定円板20に固定する主歯車11の回転方向の取付位置を微調整するための構成が、実施例1及び実施例2における構成とは異なっているが、他の構成は、実施例1及び実施例2における構成と同様の構成になっている。そのため、実施例1、実施例2における構成と同様の構成になっている部材は、同一の部材符号を用いることで、その部材の説明を省略する。
【0085】
実施例3では、実施例1の調整嵌入部12 の代わりに調整嵌入部35が、主歯車11の歯元円側において、主歯車11の周方向に沿って複数形成されている。調整嵌入部35を主歯車11
における複数の部位に形成する代わりに、1ヶ所だけに形成しておくこともできる。また、固定円板20には、実施例1の嵌入凹部22と同様に嵌入凹部37が形成されている。
【0086】
尚、調整嵌入部35を主歯車11における複数の部位に形成する代わりに、主歯車11における1ヶ所だけに形成しておき、嵌入凹部37を調整嵌入部35に対応した固定面板20の部位に形成してことができる。そして、調整嵌入部35の形成位置と、固定円板20における嵌入凹部37の形成位置とが、固定円板20に主歯車11を固定したときに、径方向において同芯状の高さ位置となるように形成されている。
【0087】
また、調整嵌入部35の幅方向における寸法は、嵌入凹部37の幅方向における寸法よりも幅広に構成されている。そして、調整嵌入部35及び嵌入凹部37に嵌入されるキー36の平面形状としては、幅方向の寸法を広く形成した調整嵌入部35に嵌入する嵌入部36aから嵌入凹部37に嵌入する嵌入部36bが、回転軸方向に突出した凸形状に形成されている。このようにキー36を形成しておくことにより、キー36を主歯車11側から嵌入することができる。
【0088】
尚、キー36の平面形状として、嵌入凹部37に嵌入する嵌入部36bが、回転軸方向に突出した凸形状について説明を行うが、調整嵌入部35の幅方向における寸法を、嵌入凹部37の幅方向における寸法よりも幅狭に構成しておくこともできる。そして、キー36の平面形状としては、調整嵌入部35に嵌入する嵌入部36aが、嵌入凹部37に嵌入する嵌入部36bから回転軸方向に突出した凸形状に形成しておくことができる。
このように形成したときには、キー36は固定円板20側から嵌入することになる。
【0089】
キー36の平面形状としては、図12(a)、(b)に示すように、嵌入凹部37に嵌入する嵌入部36bが調整嵌入部35に嵌入する嵌入部36aに対して、異なるズレ量g1またはズレ量g2を有した複数種類のキー36を複数備えておくことができる。そして、複数種類の中から最適のズレ量を備えたキー36を選択することによって、固定円板20に対する主歯車11の回転方向における取付位置を微調整することができる。
尚、ズレ量としては、g1,g2の二つの構成例を示しているが、これは例示であって、微調整できるズレ量を備えた複数種類のキー36を多数用意しておくことができる。
【0090】
また、回転方向における調整嵌入部35の端面及び嵌入凹部37の端面は、ともに主歯車11の回転中心から径方向に沿った端面として形成しておくことができる。また、回転方向に沿った調整嵌入部35の面及び嵌入凹部37の面は、ともに主歯車11の回転中心を中心にした同心円弧状の面として形成しておくことができる。
【0091】
また、キー36の幅方向における側面は、回転方向における調整嵌入部35の端面及び嵌入凹部37の端面に密接することができる形状に構成しておくことができ、キー36の高さ方向における面は、回転方向に沿った調整嵌入部35の面及び嵌入凹部37の面に密接することができる形状に構成しておくことができる。
【0092】
調整嵌入部35を形成する主歯車11における周方向の部位及び嵌入凹部37を形成する固定円板20における周方向の部位としては、主歯車11を回転させたときに、回転にムラが生じない配置関係となる部位に形成しておくことができる。
【実施例4】
【0093】
本願発明に係わる実施例4の構成について、図13図15を用いて説明を行う。実施例4における構成では、固定円板20の重量を軽減させるため固定円板20の側面に回転面板20の板厚方向に切り抜いた複数の切抜き部41を形成している。複数の切抜き部41は、回転にムラを生じさせずに回転バランスを保った配置関係となる部位に形成されている。
【0094】
他の構成は、実施例1における構成と同様の構成になっている。そのため、実施例1における構成と同様の構成になっている部材は、同一の部材符号を用いることで、その部材の説明を省略する。
【0095】
図13図15に示すように、複数の切抜き部41を大きな形状として形成するため、固定円板20に形成したフランジ軸部40の外周径を大きな径として構成している。主歯車11の軸孔43には、フランジ軸部40を嵌入することができる。そして、フランジ軸部40の外周径を大きな径として構成したことに伴って、ボルト挿入孔13の一部が干渉しないように、フランジ軸部40の外周面に切欠き部42をボルト挿入孔13の形成位置に対応して形成している。
【0096】
このように構成することにより、主歯車11及び回転面板20における重量を軽減することができ、しかも、主歯車11としての強度が必要な部位における剛性を維持しておくことができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本願発明は、プレス装置において回転方向の取付位置を微調整することが必要な歯車に対して好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1・・・プレス装置、4a、4b・・・主歯車、8・・・スライダ、11・・・主歯車、12・・・調整嵌入部、12a・・・第1調整嵌入孔、12b・・・第2調整嵌入孔、15・・・キー、15a・・・調整嵌入部用嵌入部、15b・・・嵌入凹部用嵌入部、20・・・固定円板、21・・・フランジ軸部、22・・・嵌入凹部、30a〜30d・・・調整嵌入部、31、31’・・・キー、32a〜32d・・・嵌入凹部、35・・・調整嵌入部、36・・・キー、36a・・・嵌入部、36b・・・嵌入部、37・・・嵌入凹部、40・・・フランジ軸部、41・・・切抜き部、43・・・軸孔、50・・・歯車、51・・・軸孔、52・・・キー溝、53・・・キー、56・・・第1の回転体、57・・・第2の回転体、58・・・固定テーパキー、60・・・ガイドキー兼用固定テーパキー、d1、d2・・・キー幅、f1、f2・・・ズレ量、g1、g2・・・ズレ量。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17