特許第6010738号(P6010738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010738
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】流量調整弁
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/086 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   E03C1/086
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-216224(P2012-216224)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-55493(P2014-55493A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-180119(P2012-180119)
(32)【優先日】2012年8月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515270448
【氏名又は名称】有限会社モルジャパン
(72)【発明者】
【氏名】国友 国昭
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−033133(JP,A)
【文献】 特開2006−077404(JP,A)
【文献】 特開2004−176524(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3159456(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00−1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓金具先端と水を吐出する吐出金具との間にパッキンを介して接合され水密性を確保して取付けられる流量調整弁であり、前記流量調整弁は、内部底面の中心を基準に同一円周上に大きさの違う通水孔が複数形成され、かつ当該中心を基準に対称の位置に同じ大きさの通水孔が形成され、同じ大きさの通水孔の一方の円周外部に上向きに位置決め凹部が形成されている流量調整弁本体と、前記内部底面の上面に重ね合わせる調整板から成り、 前記調整板は、当該通水孔が位置する円周と同一の円周上に中心を基準に対称に調整孔が形成され、当該調整孔の一方の円周外部に当該通水孔の位置決め凹部に嵌合する下向きの位置決め凸部が形成されており、前記調整板の回動操作により調整孔と整合する通水孔のみ通水され、他の通水孔は調整板により止水されて流量調整されると同時に位置決めが可能となる構造を有することを特徴とする流量調整弁。
【請求項2】
調整板の調整孔上面に水栓金具からの水が調整孔へ流入し易いように回動操作時の持ち手を兼用した突起が形成され、調整孔より小径の通水孔の上面に、調整孔と同径の大径を上に錐部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓金具先端と水を吐出する吐出金具との間に取付け、流量を調整して節水を可能にする流量調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給水路の継ぎ目に挟み付け保持されて給水路を前後に仕切る板部材と、この板部材の一面側に相対回転できるように螺子で止められて給水路中に位置する本体ブロックとを備え、これら板部材と本体ブロックとは枢支部を中心とした相対回動によって互いの通じ合う穴数が変化するように円周方向に配した複数の節水穴を有する節水具が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、水栓の口端に接合される接合金具と水を吐出する吐出金具との間に形成される通水室に、制水駒を内在させて流量を調節し、前記通水室の下端に網状の流速緩和体を設けて成る流量制御弁において、前記制水駒は、その中心を通る直径上に対称に蝶羽根を設けて成る制水盤と、該制水盤に重畳されて前記蝶羽根間に露出される盤面内でその中心に点対称状に所要形状で所要数の通水孔を開口して成る通水盤とから成り、該制水駒が前記接合金具に内嵌するブッシュを介して前記通水室に内設されて成る流量制御弁が知られている(特許文献2)。
【0004】
さらに、1又は複数の通水孔を設けた水流調整部と、円筒部に対して相対的に変位可能な流量調整部とを具備し、流量調整部の相対的変位に伴う該流量調整部と水流調整部の通水孔との相対的位置関係の変化に基づいて、流量調整部と水流調整部の通水孔との間に形成される流路の大きさが変化する、1つの節水具で複数の吐水流量に対応し、かつ誰でもが簡単に吐水流量の調整を行うことのできる節水具及び節水装置が知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3673563号公報
【特許文献2】特許第4100693号公報
【特許文献3】特許第4237025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水栓金具の先端に取付けて流量調整できる節水金具は種々知られており、多種多様な形で使われているが、構造が複雑であり、製造コストが高額になる。節水金具として、節水機能が優れており、製造コストの安いものが求められている。
本発明の目的は、製造コストが安く、流量調整に優れる流量調整弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水栓金具先端と水を吐出する吐出金具との間にパッキンを介して接合され水密性を確保して取付けられる流量調整弁であり、前記流量調整弁は、内部底面の中心を基準に同一円周上に大きさの違う通水孔が複数形成され、かつ当該中心を基準に対称の位置に同じ大きさの通水孔が形成され、同じ大きさの通水孔の一方の円周外部に上向きに位置決め凹部が形成されている流量調整弁本体と、前記内部底面の上面に重ね合わせる調整板から成り、前記調整板は、当該通水孔が位置する円周と同一の円周上に中心を基準に対称に調整孔が形成され、当該調整孔の一方の円周外部に当該通水孔の位置決め凹部に嵌合する下向きの位置決め凸部が形成されており、前記調整板の回動操作により調整孔と整合する通水孔のみ通水され、他の通水孔は調整板により止水されて流量調整されると同時に位置決めが可能となる構造を有することを特徴とする流量調整弁に関する。
【0008】
また、本発明は、調整板の調整孔上面に水栓金具からの水が調整孔へ流入し易いように回動操作時の持ち手を兼用した突起が形成され、調整孔より小径の通水孔の上面に、調整孔と同径の大径を上に錐部が形成されている上記の流量調整弁に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造コストが安く、しかも流量が効果的に調整できる流量調整弁が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る流量調整弁の構成部品の分解図とA−A断面図
図2】調整板の平面図
図3】流量調整弁本体の平面図
図4】本発明に係る流量調整弁の使用状態を示すアッセンブリ断面図と流水経路図
図5】接続金具の構成部品の分解図と断面図
図6】接続金具と本発明に係る流量調整弁のアッセンブリ断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図1〜4によって説明する。
図1に示すように、本発明に係る流量調整弁6は、流量調整弁本体3の内部底面の上面(通水孔上面3b)に調整板2が重ね合わさった構造を有しており、それが一体となって水栓金具1の先端1aと水を吐出する吐出金具4の間にパッキン5及び5aを介して接合されて水密性を確保して取付けられている。水栓金具1の先端1aには雄螺子が外設されており、流量調整弁本体3は上端内側に雌螺子3aが内設され、両者が螺合されるようになっている。流量調整弁本体3の内部底面の中心を基準に同一円周上に大きさの違う通水孔3c、3d、3e、3fが複数形成され、かつ当該中心を基準に対称の位置に同じ大きさの通水孔3c、3d、3e、3fが複数形成されており、同じ大きさの通水孔の一方の円周外部に上向きに位置決め凹部3hが形成されている。通水孔上面3bには通水孔と整合する調整孔2aを形成した回動可能な調整板2が図4に示すように重ね合わされ、例えば、図2に示すように一対の調整孔2aは、通水孔が位置する円周と同一の円周上に中心を基準に対称に形成されている。流量調整弁本体3の下端には雄螺子3gが外設され、吐出金具4の上端内側に雌螺子4aが内設され、両者が螺合されるようになっている。
【0012】
図1及び図4に示すように、流量調整弁本体3を水栓金具先端1aに螺合することにより、調整板2はパッキン5を介して水栓金具先端1aと流量調整弁本体3の通水孔上面3bとの間で圧着されて水密性を確保できる。
【0013】
流量調整弁6に内在する調整板2は、図2に示すとおり、通水孔と整合するように当該通水孔が位置する円周と同一の円周上に中心を基準に対称の位置に、通水孔の最も大きい径と同径の調整孔2aが一対形成されている。その調整孔2aの一方は、図1に示すとおり、下向きで円筒状の突起部2bの中心にあり、流量調整弁本体の通水孔と整合している。その調整孔2aの上面には水栓金具からの水が流入し易いように、図1及び図2に示すとおり、大径を上に錘部2cが形成されているのが好ましい。調整板2の回動操作により調整孔と整合する通水孔のみ通水され、それ以外の複数ある通水孔は調整板2によって止水されて流量調整されると同時に位置決めが可能となる。また調整板上面には調整孔2aへのスムースな通水を得るためと回動操作時の持ち手を兼用した円錘形の突起2dが形成されているのが好ましい。
【0014】
流量調整弁本体3の内部底面に形成される大きさの違う通水孔は、内部底面の中心を基準に対称の円周上に、例えば3c、3d、3e、3fと位置している。その対称にある通水孔の一方に調整板2の突起2bを受ける位置決め凹部3hがあり、その凹部3hの中心に大きさの違う通水孔が例えば3c、3d、3e、3fと形成されている。通水孔上面には、調整孔より小径の通水孔と整合されたときにできる異径段差による通水衝撃をなくすために、調整孔と同径の大径を上にした錘部3iが形成されているのが好ましい。
【0015】
図4は、使用状態を示すアッセンブリ断面図と流水経路図であり、流量調整弁6を水栓金具1の先端と吐出金具4との間に接合し、入水1bから吐出水4bまでの流水経路を表している。水栓金具1の先端から入水し、調整板2の円錐形突起で調整孔へ誘導され、流量調整された通水孔を通過し、吐出金具4の中心部へと流れ、吐出金具から吐出水4bが吐出される。
【0016】
図1及び図4は、本発明に係る流量調整弁6と先端に雄螺子が外設された水栓金具1との接合状態を示しているが、一般的に多く使用されている水栓金具には先端に雄螺子が外設されていない。図5及び図6は、本発明に係る流量調整弁6と先端に雄螺子が外設されていない先丸水栓金具7とを接続金具11を介して接合させた状態を示している。
【0017】
図5は、接続金具11の構成部品の分解図と断面図である。図6に示すように、接続金具11をパッキン8を介して先丸水栓金具7の先端に挿入し、複数の止螺子10で締め付けることにより、先丸水栓金具7と接続金具11の接合は水密性が確保される。接続金具11の下端には雄螺子11aが外設されており、流量調整弁本体3の上端内側には雌螺子3aが内設されているので、両者が螺合されることにより、接続金具11と流量調整弁6とが水密性が確保された状態で接合される。なお、先丸水栓金具7と接続金具11が接合した際に、接続金具11の先端内側部分において先丸水栓金具7との隙間が生じるので、例えば、当該隙間にスペーサーゴム9を詰めるようにするのが好ましい。
【符号の説明】
【0018】
1 水栓金具
1a 水栓金具の先端
1b 入水
2 調整板
2a 調整孔
2b 突起部(位置決め)
2c 錘部
2d 突起
3 流量調整弁本体
3a 雌螺子
3b 通水孔上面
3c 通水孔(最小径)
3d 通水孔
3e 通水孔
3f 通水孔(最大径)
3g 雄螺子
3h 凹部(位置決め)
3i 錘部
4 吐出金具
4a 雌螺子
4b 吐出水
5 パッキン
5a パッキン
6 流量調整弁
7 先丸水栓金具〈螺子なし〉
8 パッキン
9 スペーサーゴム
10 止螺子
11 接続金具
11a 雄螺子
図1
図2
図3
図4
図5
図6