【実施例】
【0018】
(実施例1)
リベット及びリベット接続構造にかかる実施例について、
図1〜
図6を参照して説明する。
図6に示すごとく、リベット1は、第1部材2と、第1部材2とは異種金属からなる第2部材3とを連結するために用いられる。
【0019】
図1及び
図5に示すごとく、リベット1は、第1部材2と溶接可能で、かつ第2部材3よりも硬度が大きい材料からなる。また、リベット1は、第2部材3に貫通形成された下穴31に挿通配置され、第1部材2と溶接される軸部12と、軸部12の一端に配され、第1部材2(
図6)との間に第2部材3を挟み込む頭部11とを有している。
軸部12は、下穴31の内径よりも小さい先端部13と、下穴31の内径よりも大きい基端部15と、基端部15と先端部13との間に先端部13よりも縮径して形成された縮径部14とを有している。
【0020】
以下、さらに詳細に説明する。
図6に示すごとく、本例は、スポット溶接を行うことで、リベット1を第1部材2に接合し、鉄鋼材料からなる第1部材2と、軽合金材料からなる第2部材3とを、連結するリベット接合構造100に関するものである。
第1部材2は、鉄系材料であるSS材からなり、平板状をなしている。
【0021】
図4及び
図5に示すごとく、第2部材3は、アルミニウム合金の平板からなり、貫通形成された下穴31を有している。下穴31は、円形状をなしており、その内径は、軸部12における先端部13の外径よりも若干大きく、基端部15の最大外径よりも小さく設定してある。
【0022】
図1及び
図4に示すごとく、第2部材3の下穴31にかしめ固定されるリベット1は、鉄系材料であるSS材からなり、下穴31に挿通配置される軸部12と、軸部12の一端に配された頭部11とを備えている。
【0023】
図1及び
図2に示すごとく、頭部11は、略円板状をなしており、その上面における外周縁全周には面取りが施されている。本例において、頭部11における厚さt(軸方向寸法)は、0.4mmとした。尚、頭部11の厚さtは、t≦0.5mmの関係を有していることが好ましい。この場合には、頭部11の強度を確保しながら、頭部11の突出量を小さくすることができる。また、第1部材2と第2部材3との間、または、リベット1と第2部材との間へ水分等が流入することを防止するために、シール材を塗布する場合がある。このとき、頭部11の突出量が小さいとシール材が頭部11を覆うように配されるため、確実にシールすることができる。
厚さtが上記の範囲外にあった場合にも、上述の効果は得られるが、上記範囲内とすることがより効果的である。
【0024】
図1及び
図2に示すごとく軸部12は、略円筒状をなしており、下穴31の内径よりも小さい先端部13と、下穴31の内径よりも大きい基端部15と、基端部15と先端部13との間に先端部13よりも縮径して形成された縮径部14とを有している。軸部12は、先端部13から縮径部14を経由して基端部15までの外径が、滑らかな曲面状に形成されている。尚、軸部12における、先端部13の端部と基端部15の端部との間の軸方向長さLは、第2部材3の板厚t2と略同一としてある。
【0025】
図1及び
図2に示すごとく、先端部13における端面には、軸方向において先端側に突出した略円錐状の突起部16が形成されている。これにより、スポット溶接の電流を、突起部16に集中させることができ、リベット1と第1部材2とを容易かつ確実に接合することができる。
【0026】
図3に示すごとく、軸部12は、先端部13と同じ外径で垂直に形成される仮想軸部120に対して、仮想軸部120よりも縮径した部分の体積V1と、仮想軸部120よりも拡径した部分の体積V2とが略同一になるよう形成されている。
【0027】
上記のように形成されたリベット1は、
図4及び
図5に示すごとく、第2部材3にかしめ固定される。
まず、リベット1の軸部12を下穴31に挿通配置する。このとき、下穴31の縁部にリベット1の基端部15が当接する。
図5に示すごとく、さらに、加圧しながらリベット1を軸方向の先端側に移動させることで、基端部15に対向する材料部分P1が基端部15によって潰される。これと共に、第2部材3において、材料部分P1を潰されて生じた余肉は、縮径部14に対向する部分へと移動し、下穴31の内周面の材料部分P2を軸部12側に膨らませる。これにより、下穴31の内周が軸部12に密着し、リベット1と第2部材3とをかしめ固定することができる。
【0028】
図6に示すごとく、リベット1がかしめ固定された第2部材3に対して、リベット1の先端側に第1部材2を配する。この状態でリベット1の頭部11と、リベット1の先端部13と対向する第1部材2の裏面側とにそれぞれ図示しない電極を配する。そして、各電極を加圧しながら通電させることで、リベット1と第1部材2との当接部位を溶融凝固させたナゲット121が形成され、リベット1と第1部材2とがスポット溶接される。これにより、リベット1の頭部11と第1部材2との間に第2部材3が挟持され、第1部材2と第2部材3とが接合される。
【0029】
このように、リベット1の加圧方向と第2部材3における余肉の流動方向とを同一方向とすることにより、余肉の流動性を向上させることができる。それゆえ、第2部材3にリベット1を容易にかしめ固定できる。
【0030】
また、リベット1の硬度は、第2部材3の硬度よりも大きく設定してある。そのため、リベット1の変形を防止し、第2部材3を容易かつ確実に変形させることができる。
【0031】
また、リベット1をパンチとして用いず、第2部材3に予め形成された下穴31にリベット1の軸部12をかしめ固定する。また、リベット1における頭部11の裏面に凹溝部を形成する必要がない。したがって、リベット1における頭部11の強度を確保するために、その突出量を大きくする必要がなく、頭部11の突出量を低減することができる。
【0032】
また、軸部12は、先端部13から縮径部14を経由して基端部15までの外径が、曲面状に変化して形成されている。そのため、第2部材3における余肉の流動をスムースに行うことができる。また、基端部15によって押圧された第2部材3の材料部分P1と、縮径部14に対向して膨らむ材料部分P2とを軸部12の外周面に容易に密着させることができる。それゆえ、第2部材3に対して、リベット1を、より強固にかしめ固定することができる。
【0033】
また、軸部12は、先端部13と同じ外径で垂直に形成される仮想軸部120に対して、仮想軸部120よりも縮径した部分の体積V1と、仮想軸部120よりも拡径した部分の体積V2とが略同一になるよう形成されている。そのため、基端部15に対向する材料部分P1における変形量と、縮径部14と対向する材料部分P2における変形量とを略同一とすることができる。これにより、第2部材3における余肉の移動をスムースに行うと共に、縮径部14と対向する材料部分P2を軸部12の外周面に確実に密着させることができる。それゆえ、リベット1と第2部材3とを、より強固にかしめ固定することができる。
【0034】
以上のごとく、本例のリベット1及びリベット接合構造100によれば、頭部11の突出量を低減すると共に、容易にかしめ固定をすることができる。
【0035】
尚、本例においては、リベット1と第1部材2とを同一の材料としたが、これに限るものではなく、互いに溶接可能な材料であればリベット1と第1部材2とが異種材料であってもよい。