(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の顔面被覆用金箔、及び、その使用方法の一実施形態について説明する。
【0020】
本発明の顔面被覆用金箔は、純金と、純銀とからなるものである。以下、顔面被覆用金箔の成分の作用について詳細に説明する。
【0021】
[金の作用]
金の作用(免疫反応作用、金コロイド作用、及び、イオン交換作用、脳活動促進作用)を利用して、アンチエイジング効果や美容効果を発揮させることができる。以下では、金の各作用について詳細に説明する。
【0022】
<免疫反応作用>
金は、酸やアルカリに安定した元素のため、アレルギー反応を引き起こすことはほとんどない。しかし、(1)肌の内部に侵入した金は、肌にとっては自己以外の異物である。そのため、血液中に存在し、且つ、あらゆる病原菌や異物等を捕食してくれる免疫細胞・マイクロファージ(Macrophage)を運ぶために、(2)毛細血管が金の周りに伸びてきて、異物を取り除こうとマイクロファージが戦いを繰り返す。そして、マイクロファージの活動で放出された物質が刺激となって、(3)線維芽細胞が自己増殖され、(4)修復の主な材料であるコラーゲン(Collagen)が生み出される。(5)そして、そのコラーゲンに支えられて毛細血管やリンパ(lymph)が発達し、そこへ流れ込む新鮮な血液が、線維芽細胞に栄養や酸素を供給し、更に、コラーゲンの産出を促進するという自己増殖のサイクルが構成される。
【0023】
<金コロイド作用>
金が体内に侵入するとコロイド状になった純金の作用で、あらゆるウイルス等を捕食してくれる免疫細胞・マイクロファージ等の白血球が活性化される。そのため、(1)金が体内の中に存在する限り、金の作用がマイクロファージを常に活性化させる。(2)その結果、免疫細胞である元気なマイクロファージは体内の不要な物質を絶えず捕食する。(3)これにより、体内の古い物質は排除され、新しい物質に生まれ変わり、細胞の新陳代謝が活性化される。
【0024】
<イオン交換作用>
真皮を構成するコラーゲンやエラスチン(Elastin)は、加齢や紫外線を浴びることによって発生する活性酸素の影響で、次第に酸化が進み、硬く収縮し、弛緩していく。その結果、肌の弾力性は失われ、シワが出来やすくなり、タルミが出て来る。また、人間は酸化することによってエネルギーを作り出すため、酸化を止めることは出来ない。これら老化を予防するには、細胞そのものを作り変えて、常に細胞に栄養を与え、規則正しい新陳代謝を繰り返すことが必要となる。しかし、免疫力や酵素合成が低下すると、せっかく体内に取り込んだ栄養を分解することができなくなる。なぜなら、細胞は最も小さく分解された栄養分しか吸収することができないからである。この点、肌の内部に金を侵入させると、(1)金から発生するイオンによってその周辺の活動電位が高まり、(2)今まで自分の力では分解できなかった物質が酵素合成等を手助けするイオン交換によって分解され、(3)栄養素は細胞内へ吸収され、(4)必要のないものは毛細血管を通って排泄される。
【0025】
<脳活動活性化効果>
金は毒がなく、煎じて汁にして飲むことで精神を落ち着かせ、こころを穏やかにする。筋骨を丈夫にし、五臓六牌の邪気を追い出す。長く服用することで体をきれいにして長寿できる。また金はてんかんの治療。風邪による嘆息・咳・噂血・吐血などの治療に効果がある。寝汗・疲労・喉の乾きなどの治療にも用いる。これらが漢方で説明されている内容である。実際に、その効果について被験者に食させた例で検証している(参照
図7〜
図9)。被験者は、18-60才代の成人65名(男子42名:最年少22才、最年長61才。平均年齢37.1才、女性23名:最年少18才、最年長57才。平均年齢37.才)であり、全員この種の実敦経験は初めてである。服用した純金は1日0.03gを30日間である。
図7〜
図9における実験は2回に分けて行っており、1回目の実験では金を1カ月食すグループ(G) と、食さないグループ(N)に分けて安静開眼状態で1人ずつ、テーブルに向かって椅子に腰掛け脳波を記録した。第2回目では、さらに金を食し続けるグループ(GG)と、食するのをやめたグループ(GN)、一回目の計測時では食さなかったが、その後食したグループ(NG)、一貫して食さなかったグループ(NN)で1回目と同様の計測を行った。
【0026】
実時間脳波ゆらぎ計測評価装置を用いて、両耳と額,左腕をアルコールで拭き、汚れや油分を除いたあとに、右耳たぶにアース電極、左耳たぶに基準電極を電極を取り付け、前額部分および左腕にバンド式センサーを巻付ける。脳波は左耳たぶを基準電位として前頭部左右2ケ所(前額部分)の脳波をヘッドバンドセンサーで、一方心電図を左腕に巻いたセンサーにより収集し、実時間でアルファ波のゆらぎ特性(傾斜度)を算出、メモリに記録する。解析はこれらの記録された数値に基づいて行った(詳細はここでは割愛する)。その実験結果を下記に示す。
【0027】
図7は金(純金)を食した上記被験者の脳波の平均周波数を示している。
1回目の結果はA、2回目はBと称する。
図7(a)は、1回目(A)と2回目(B)の左前頭部の平均周波数を比較した結果である。A では、統計的には有意ではないが、金を食したグループ(GG、GN)は、食きなかったグループ(NG、NN)より周波数が高い傾向にあった。Bでは、GGとGNの間、GGとNNの間で、有意差が見られ、NGとNNの間でも有意差が見られた。すなわち1回目で金を食さない場合でも、2回目の計測までに金を食した場合は周波数の増加が認められた。一方、
図7(b)は、右前頭部の平均周波数を比較した結果である。Aでは、統計、的には有意ではないが、左前頭部と同様、金を食したグループ(GG、GN)は、食きなかったグループ(NG、NN)より周波数が高い傾向にあった。Bでは、左前頭部と同様、GGとGNの間、GGとNNの間で、有意差が見られたが、NGとNNの間では有意差がなかった。これらのことから、金を食し続けることにより、左前頭部が特に活性化することを示唆している、左半球は理性脳であり、知的な活動に効果が期待できる。このことは、顔面に金箔を被膜した場合やその後、その一部を食した場合にも同様に一定の効果があると推察できる。
【0028】
次に、α波の周波数ゆらぎ係数(スペクトラムの傾斜度)を検証する。
図8は、Aにおいて金を食したグループ(G)と食さないグル(N)の左右前頭部の周波数ゆらぎ係数を示した図である。左右前頭部とも金を食したグループの方がゆらぎ係数が高い。統計検定の結果、左前頭部では有意な差は認められなかったが、右前頭部では有意な差が認められた。左前頭部のゆらぎ係数は気分のよさの程度、右前頭部のゆらぎ係数は覚醒感の程度に呼応して変化することがわかっている。このことから、Aでは、金を食したグループの方が食さないグループよりもリラックスしていることがわかる。このことも顔面に金箔を被膜した場合やその後、その一部を食した場合にも同様に一定の効果があると推察できる。
【0029】
図9は、Bにおける各グループの左右前頭部の周波数ゆらぎ係数を示した図である。左右前頭部とも金を食したグループ(GG)、Aでは食さなかったが、Bでは食しているグループ (NG)では、ゆらぎ係数が大きい。Aで金を食したがBでは食していないグループ(GN)では、ゆらぎ係数が前者よりは若干小さい傾向にある。一方、AでもBでも金を食していないグループ(NN)ではゆらぎ係数は最も小さかった。このことも顔面に金箔を被膜した場合やその後、その一部を食した場合にも同様に一定の効果があると推察できる。
【0030】
[銀の作用]
銀の作用(殺菌作用、及び、帯電防止作用)を利用して、安全性の向上効果や本発明の顔面被覆用金箔の取扱いを容易にする効果を発揮させることができる。以下では、銀の各作用について詳細に説明する。
【0031】
<殺菌作用>
銀は極微粒子になることによって触媒作用を起こす。その触媒作用により銀粒子表面で生成される原子状酸素(Atomic Oxygen)が銀表面から離脱して、細菌及びウィルス等に対して殺菌作用を現わすようになる。換言すれば、(1)空気中の酸素が銀粒子に吸い付くようになり、(2)銀との相互作用によって陰電荷を帯びた酸素原子に変化し、(3)この陰電荷を帯びる酸素原子が銀粒子から離れ、(4)細菌及びウイルス等に対する殺菌機能を発揮するようになる。
【0032】
したがって、本発明の顔面被覆用金箔によれば、使用するまで金箔を清潔に保管することができ、安全性の向上が可能となる。
【0033】
<帯電防止作用>
銀は高い導電性を有する(電気抵抗が小さい)。上記顔面被覆用金箔を取り扱う際に、金箔が静電気を帯電していると、保管時に金箔を挟んでいるシート、例えば和紙から金箔を剥がす際に金箔と、和紙とが静電気により吸着し、フェイスパック用金箔の使用の妨げとなる。銀は高い導電性を有するため、静電気の滞留を防止する作用により、フェイスパック用金箔への静電気の帯電を防止することができる。上記により、フェイスパック用金箔の使用時に、金箔に皺等を生じさせることなく和紙から顔面へ移送することが可能となる。
【0034】
上述したように、純金と、純銀との合金からなる上記顔面被覆用金箔は安全性が高く、また、純銀の混合比率を高めるほど、純金の混合比率が低下する。それ故、低廉かつ安全性の高い顔面被覆用金箔を提供し得る。
【0035】
尚、本願発明者は、アンチエイジング用品としてのフェイスパック用金箔では、純金が94%〜96%、純銀が残り6%〜4%、の範囲内にあることが好ましい、という知見を得た。
【0036】
また、上記顔面被覆用金箔においては、厚さ寸法が、1/10000[mm]〜2/10000[mm]の範囲内にある。上記の寸法とすることにより、後述する本発明の顔面被覆用金箔の使用方法において、フェイスパックに使用した後の上記顔面被覆用金箔をナノ単位若しくはオングストローム単位まで超微粒子化し、その金粒子をコラックス状のクリームの中に分散させることができる。
【0037】
上記により、金粒子を皮膚の奥深くまで簡単に浸透させることができる。それ故、上述した金のメカニズム(免疫反応作用、金コロイド作用、イオン交換作用)を十分に得ることが可能となる。また、金粒子を含有した上記コラックス状のクリームを、別途に金箔を使用することなく得ることができ、経済的観点からもユーザにとって有益である。
【0038】
[本実施形態に係る顔面被覆用金箔の使用方法について]
本実施形態に係る顔面被覆用金箔の使用方法の一例について、上記顔面被覆用金箔の準備の工程を説明するための上面視略図、及び、側面視略図である
図1(a)、及び、シート、一例として和紙の間に介在して準備される顔面被覆用金箔を示す上面視略図である
図1(b)を用いて説明する。ここでは、本実施形態に係る金箔を使用したフェイスパックについて説明する。
【0039】
尚、本願発明者は、上記顔面被覆用金箔は、1辺の長さ寸法が概ね10.9[cm]の略正方形であることが好ましく、詳しくは後述するが、本発明の顔面被覆用金箔の使用方法において、上記寸法の顔面被覆用金箔を3枚使用することにより、人間の顔面全体を被覆することが可能である、という知見を得た。
【0040】
金箔には10.9[cm]角、12.7[cm]角、15.8[cm]角、21.2[cm]角の4種類がある。このため、上記した10.9[cm]の略正方形の金箔を切断するための、箔の切断器である「枠」を特別に準備する必要がない。上記は、低廉な顔面被覆用金箔を提供するために有利である。
【0041】
《本実施形態に係る顔面被覆用金箔の使用前の準備について》
まず、
図1(a)に示すように、金箔10を3枚(1セット)準備する。ここでの金箔は、本発明の顔面被覆用金箔を用いることが好ましい(工程1)。また、金箔10は、
図1(b)に示すようにシート、一例として和紙15の間に介在して準備される。
【0042】
次に、3枚準備したうちの1枚の金箔10aを、和紙15とともに略2/3と、略1/3とにカットする(工程2)。その後、5〜10セット分の金箔のうち、少なくとも略1/3にカットされた金箔11は5〜10枚を重ねて準備される(工程3)ことが好ましい。これは、詳しくは後述するが、カットされた金箔を和紙15から人間の顔面に移送する際の作業性を向上するためである。略2/3にカットされた金箔12も、同様に5〜10枚を重ねて準備されても良い。
【0043】
上記工程1〜3により、
図1(a)に示すように、金箔10の3枚(1セット)から、カットしない2枚の金箔10と、略1/3にカットされた1枚の金箔16と、略2/3にカットされた1枚の金箔17とが準備される。また、少なくとも略1/3にカットされたと1枚の金箔16は、5〜10枚を重ねて準備される。
図1(a)は、金箔16、及び、金箔17が各々5枚重ねられた状態を示す。
【0044】
尚、上記では顔面被覆用金箔10を3枚1セットとして準備することとしたが、この方法に限定されるものではない。一例として、和紙15と金箔10とが交互に積層された金箔10の1単位、例えば100枚を準備し、予め5〜10枚を上述したようにカットしておき、カットしない2枚の金箔10は、上記の和紙15と交互に積層された1単位の金箔の残りから用いること等としても良い。
【0045】
換言すれば、3枚を1セットで使用する金箔10のうち、カットして使用する金箔1枚(10a)は和紙等のシートとともに略2/3と、略1/3とにカットされ、少なくとも略1/3にカットされた金箔11は、後の工程の作業性向上のため5〜10枚が和紙15の間に介在して重ねて準備される。また、カットせず使用する金箔2枚(10)は、和紙15の間に介在してそれぞれ金箔10の、少なくとも上面に和紙15等のシートが配置された状態で準備される。
【0046】
上記では金箔10aと、和紙15とを1組ずつカットし、その後、略1/3にカットされた金箔11、及び、略2/3にカットされた金箔12を5〜10枚を、金箔10とともに略1/3にカットされた和紙16、及び、略2/3にカットされた和紙17を介在させて重ねて準備することとしたが、この方法に限定されるものではなく、例えば複数の金箔10aと、和紙15とを重ねて同時にカットする等しても良い。
【0047】
また、金箔10と和紙15等のシートをカットする手段は、手でも良いし、はさみ等の道具(図示せず)を用いても良い。
【0048】
《本実施形態に係る顔面被覆用金箔のモデルの顔面へのパックについて》
本実施形態に係る顔面被覆用金箔10を用いたフェイスパックについて説明する。このフェイスパックは、技術者がマスクを着用した状態で行われることが好ましい。これにより、フェイスパックの実施中に、技術者の呼吸等により金箔10が乱れることを防止できる。
【0049】
まず、エッセンス(図示せず。植物から抽出した精油等)をモデル(図示せず)の顔全面へ塗り広げる。このエッセンスは、予め化粧水や保湿クリームで与えられたモデルの皮膚の潤いを持続させるとともに、モデルの顔面と、金箔10、11、12との密着を補助する役目を兼ねる。
【0050】
次に、
図1(a)に示すカットしない2枚の顔面被覆用金箔10と和紙15のうち1枚を、以下の手順によりモデルの顔の左目の下から、顔の左半分に移送する。以下に、その方法を
図2〜
図3を参照しつつ詳細に説明する。
【0051】
まず、
図2(a)に示すように、積層された和紙15と、その下金箔10との四つ角のうち一つの角を自分へと向けて置く。次に、和紙15と、その下の金箔10の端を親指と、人差し指とで山折にしてつまむ。
【0052】
次に、同じ手の中指と、薬指とで和紙15と、金箔10とを略鉛直下方へ押さえ、端をつまんだまま、手首を掌が鉛直上方を向く方向に回転させ(
図2(b)参照)、技術者の元へ引き寄せ、金箔10を和紙15ですくうようにして持ち上げる。
【0053】
次いで、反対側の端を別の手で軽く持ち、
図2(c)に示すように、両手の指の背を合わせるように和紙15と、その下の金箔10とを折り畳む。上記が基本姿勢となる。
【0054】
次に、技術者の両手首を、掌が鉛直上方へ向く方向へ回転させ、和紙15の上に金箔10がある状態で、和紙15と、金箔10とをモデルの顔まで移動する。
【0055】
一般に、金箔の取扱いには静電気を帯び難い竹製の「竹箸」や、箔打紙(和紙)で作られ、人差し指に挿して用いる「天狗爪」等、特別な道具が必要となる。しかしながら、上述した方法によれば、「竹箸」や「天狗爪」等の特別な道具を用意することなく、金箔を乱れさせずに和紙と一体に容易に扱うことが可能となる。
【0056】
次に、モデルの視線を上(眉毛の方向)へ誘導し、技術者は上述した基本姿勢から、金箔10の一辺をモデルの目の下に合わせ、顔の左半分から金箔10を貼っていく。折り畳まれた金箔10の中心がモデルの黒目の下に位置するように貼る。
図3(a)に示すように、技術者は、モデルの鼻の付け根を左手の中指で押さえ、鼻の側面に指を添える。金箔15を上記鼻の側面に指で固定した状態で、金箔10の四つ角をモデルの顔に貼る。
【0057】
上記の状態で、上記技術者は、金箔10を軽く押さえ、モデルの鼻にのせた金箔10は鼻の形に合わせて切除し、ゆっくりと手を話す。次に、和紙15を軽く略半分に折り曲げ、モデルの呼吸により浮いた鼻の穴に位置する金箔10を、押さえるように除去する。
【0058】
次に、技術者は和紙15を広げて親指で挟むように持ち、モデルの顔の凹凸に応じて金箔10を軽く押さえていく。このとき、和紙15から技術者の手指が露出していると、金箔10が技術者の手指に付着してしまう。したがって、技術者は手指の露出を減らすようにする。
【0059】
上記で、モデルの顔の左半分の目から下への金箔10の貼り付けが完了する。次に、同様な手順を繰り返し、モデルの顔の右半分の目から下へ、金箔10を貼り付ける。
【0060】
尚、上記では最初にモデルの顔の左半分の目から下へ金箔10を貼り付け、次にモデルの顔の右半分の目から下へ金箔10を貼り付けることとしたが、この方法に限定されるものではなく、例えば順序は逆でも良いし、複数の技術者により、金箔10を左右同時に貼り付けても良い。
【0061】
次に、モデルに目を閉じてもらい、技術者は、予め略2/3にカットされた和紙17と、その下金箔14とを、上記で
図2を用いて説明したのと同じ要領で手に取り、モデルの顔を略鉛直上方から覗き込むように確認しながら、モデルの目の上から額にかけて貼っていく。このとき、金箔17の長辺の一方が、モデルのまつげに重なるように貼り付ける。
【0062】
次に、技術者は、上記でモデルの目から下へ金箔10を貼り付けたときと同じ要領で、和紙17を親指で挟むように持ち、モデルの顔の凹凸に応じて金箔14を軽く押さえていく。
【0063】
次に、モデルの顔のまだ金箔の貼られていない、細かい部分等に金箔を貼る。
【0064】
まず、技術者は、予め略1/3にカットされた和紙16と、金箔11とが5〜10枚、重ねて準備されたものを、略長方形の和紙16と、金箔11との長辺を片手の掌にのせ、親指と、その他の指とで挟むように保持する。一番上の和紙16の短辺をめくり、1枚の金箔11を使用する分だけ短辺側から露出させる。
【0065】
次に、露出させた金箔11をモデルの右目の横部分に貼り、軽く押さえる。金箔11は引張ると切断できるので、上記で金箔11を右目の横部分に貼り、軽く押さえた状態で技術者は手を顔の外側へ移動させ、金箔11をカットする。
【0066】
上記で使用した金箔11の反対側の短辺を、上記と同じ要領でモデルの左目の横に貼っていく。
【0067】
上記と同じ要領で、残りの金箔11を用いて、鼻筋のつなぎ目や顎先等の細かい部分に金箔を貼っていく。以上により、モデルの顔全面を、3枚の金箔10によりパックする工程が完了する。
【0068】
尚、上記では予め略1/3にカットされた金箔11により、最初に右目の横、次に左目の横、最後にその他の箇所をパックして顔全体をパックすることしたが、順番は上記に限定されない。また、3枚の金箔10を用いても隙間が生じた場合は、金箔10〜11を貼り足してモデルの顔全体をパックしても良い。
【0069】
次に、上記で貼った金箔をモデルの顔に密着させるため、技術者はモデルの目元を手で覆い、化粧水を30〜40[cm]離した位置から徐々にモデルの顔に近づけながら顔全体に噴霧する。その後、フェイスライン(顔の輪郭)から額へ向かって顔の肌全体を手で包み込み、化粧水と、金箔とをモデルの肌に密着させる。
【0070】
上記の状態で15〜20[分]を目安に、モデルを静置する。次に、モデルの顔に貼り着られた金箔を剥がす工程に移る。以下、その工程について
図4(a)(b)、
図5(a)を用いて詳述する。まず、技術者は、金箔が貼り付けられたモデルの目が閉じられていることを確認したうえで、貼り付けた金箔全体に水泡が乗る程度の化粧水を噴霧する。このとき、金箔が濡れていることを視認または軽く触れる程度で確認することが求められる。
【0071】
次に、オングストロームクリーム(オング株式会社製)を左手の平に取って右手親指で軽く練り、入念に両手へ馴染ませる。鼻根部から鼻尖部の方向に向かってモデルの顔に貼り付けられた金箔を順次剥がしていく(符号20参照)。なお、オングストロームクリームは一般的な化粧用に用いられる扁平板状のヘラを使用して、左手の平に取ることが推奨される。
【0072】
次いで、鼻右側面に施術者の親指をあて、その状態で右下瞼に沿って右目尻まで親指をスライドさせることによって金箔を剥がしていく(符号22参照)。このとき、親指の根元まで充分なオングストロームクリームが馴染んでいることを確認しなければならない。また、親指は顔に対して所定以上の傾斜角を保持しながらヘラの様にして動かす必要がある。とりわけ、指の先端だけを下瞼にあてて動かすことが望ましい。
【0073】
また、右頬に貼り付けられた金箔についても上記と同じ要領で、鼻右側面から右方向に親指を動かして金箔を剥がしていく(符号24参照)。この工程を下方に反復して右頬全体の金箔を剥がしていくこととなる(左頬の金箔の剥がし方とは異なる)。
【0074】
次に、鼻左側面に親指を移動させ、上述してきた要領で左下瞼に沿って左目尻まで金箔を剥がす。ここで、左頬全体の金箔の剥がし方はこれまで親指を横移動させてきた工程とは異なる工程が付与されることに留意する。具体的には、親指を左目の下瞼から顎方向(下方向)にシェービンを行う要領で親指先端をスライドさせ、左頬全体の金箔を剥がす。この工程を縦方向に反復して左頬全体の金箔を剥がしていくこととなる(符号26参照)。
【0075】
上記までの工程を以て、モデルの左右下瞼から頬全体の金箔を剥がし終える。
当該工程までに剥がし取った金箔を、剥ぎ取った手の逆の手の平に集める。次いで、左口角の下から右口角の下に向かって親指をスライドさせて顎全体の金箔を剥がし(符号28参照)、同じ要領で、左の鼻唇溝から右の鼻唇溝に向かって親指をスライドさせ、鼻下の金箔を剥がす(符号30参照)。
【0076】
上記までの工程で取り残したモデルの鼻周辺の金箔を剥がし(符号32参照)、この工程までに剥がし取った金箔を逆の手の平に移す。次に、モデルの額の左上端に親指をあて、額の右上端へ親指を横方向にスライドし、同じ要領で親指のスライド位置を少しずつ下げながら繰り返し、眉までの金箔を全て剥がす(符号34参照)。そして、眉間に親指をあて、上から下へとスライドさせて金箔を剥がす(符号38参照)。
【0077】
次いで、右上瞼を眉方向へ軽く引き上げ、内眼角から外眼角へ向かって親指をスライドさせ、金箔を剥がす(符号40参照)。このとき、瞼の皮膚は非常にデリケートである為、1〜2回の繰り返しで完了しなければならない。上記と同様な手順を繰り返し、モデル左上瞼の金箔を剥がす(符号42参照)。
【0078】
次いで、モデルが閉じていた瞼を開け、視線を上方向へ向ける様に誘導し、左右の下瞼に残っている金箔を取り除く。その後、該工程までに剥がし取った金箔を逆の手の平に移す。
【0079】
次に、モデルの顔の角度を左右に少しずつ変更させ、顔全体を確認しながら取り残した小さな金箔を取り除く。尚、再度、後の工程で金を塗込むため、顔に多少の金箔が残っていてもよい。また、唇の金箔はモデルに食べてもらうため、残しておく。
【0080】
さらに、仕上げのマッサージを行う工程に移る。以下、その工程について
図5(b)、
図6(a)(b)を用いて詳述する。まず、上記までの工程で剥がした金を手の平の窪みに集め、該金の半分程度の量のオングストロームクリームを加える。
【0081】
上記の金とオングストロームクリームとを、両手の平を合わせて包み込み、金が薄膜の形状を失いオングストロームクリームに溶け始めるまで細かく擦り合わせる。このとき、空気もオングストロームクリームに混入されることが望ましいため、該工程は圧をかけてはならない。
【0082】
続いて、徐々に両手の平に圧を加えながら、擦り合わせるストロークを大きくし、完全に金がオングストロームクリームへ溶け込むまで入念に擦り合わせる。
【0083】
上記の工程を経た、金とオングストロームクリームとの混合クリーム(以下、混合クリーム)を手の平に適量取り、残りは手の甲へ移す。手の平の混合クリームに少量のEGFエッセンスに化粧水を混ぜ合わせることで作製した薄め液(以下、薄め液)を6回〜8回プッシュし、軽く馴染ませる。なお、顔へのマッサージは、混合クリームに必ず薄め液を所定以上足して使用しなければならない。
【0084】
上記の工程によって薄めた混合クリームをモデルの顎先から顔全体へ乗せる施術に移行する。このとき、モデルの肌に混合クリームの金を入れ込みながら、モデルの肌から金を剥がす上記工程で取り残した金も回収することとなる。
【0085】
まず、モデルの顎先に右手をあて、モデルの右フェイスラインを引き上げる様に顎先から右耳元までを3回縦方向に撫で(符号46参照)、その後、同様の手順により左手を用いてモデルの左フェイスラインを3回撫でる(符号48参照)。続いて、右手の指先をモデルの鼻下中央と唇の下にあて、指をあてた位置から右の口角方向に3回撫で(符号50参照)、同様の手順により左手の指先を用いてモデルの鼻下中央と唇の下から左の口角を3回撫でる(符号52参照)。
【0086】
次に、モデルの右頬に右手の平をあて、手の平全体を用いてモデルの右頬を持ち上げる様に3回撫でた後(符号54参照)、同様の手順により左手の平を用いてモデルの左頬を3回撫でる(符号56参照)。続いて、モデルの鼻尖部に左右どちらかの手の指をあて、モデルの鼻筋を眉間に向かって縦方向に3回撫でる(符号58参照)。
【0087】
次に、モデルの額に右手の平をあて、手の平全体を用いてモデルの額に混合クリームを馴染ませる様に撫でた後、同様の手順により左手の平を用いてモデルの額を撫でる(符号60参照)。この手順はモデルの額を包み込む様に片手ずつ交互にあて、3回繰り返す。続いて、モデルの両瞼を左右どちらかの手の指先を用いてゆっくり撫でた後、モデルの顔に取り残した細かい金箔を、人差し指を用いて取り除く。
【0088】
上記までの工程によって、モデルの顔に施術する仕上げのマッサージが完了する。上記工程におけるマッサージは、混合クリームを強くすり込まず、優しく滑らせる様に撫でる必要がある。次に、すでに手の甲に移しておいた混合クリームを逆の手の指を用いて手の平へ移動させ、薄め液を6回〜8回プッシュし、軽く馴染ませる。薄めた混合クリームをモデルの首、デコルテ、両耳、両手に乗せる。
【0089】
まず、モデルの顎下に右手をあてて胴の方向に6回撫で下ろし、同様の手順により左手を用いて6回撫で下ろす。続いて、モデルの首に右手の平をあて、手の平全体を用いて円を描きながら6回揉みほぐし、同様の手順により左手の平を用いて6回揉みほぐす(符号66参照)。該工程は左右の手で6回ずつ揉みほぐすことを2回繰り返す。
【0090】
次に、親指の付け根を用い、モデルの鎖骨下から脇にかかる部位を圧迫しながら大きな円を描くように時計回り、半時計回りを交互で3回揉みほぐしながら混合クリームの金をデコルテにすり込んでいく(符号70参照)。続いて、指先を用いてモデルの耳に所在する目のツボ、腰のツボ、肩のツボを中心に約1分間マッサージしながら、モデルの耳全体に混合クリームの金をすり込んでいく。
【0091】
次に、モデルの右隣に移動し、両手の指先でモデルの右手の平に所在する複数のツボをマッサージしながら混合クリームの金をすり込んでいく。このとき、施術後にマッサージの効果を比較してもらうため、モデルの右手のみに施術を行う。また、該工程でモデルの鼻の下、または顎等に金箔が残っていないか目視による確認を並行して行うものとする。
【0092】
次に、指先にEGFエッセンスを1滴とり、指先のみを用いてモデルの目元、頬、鼻筋を中心に顔の中央から外側へ向けて指を動かし、顔全体へ薄く広げていく。なお、EGFエッセンスは浸透し易いため、手の平ではなく必ず指先で施術する必要がある。また、生え際等に金が付着したまま残っていた場合は、タオル等の布を用いて強い摩擦が生じない様に軽く拭き取る。モデルに金箔の取り残しがないことを確認したら、モデルの唇に残っている金箔を食べてもらう様に促す。
【0093】
上記の工程を以て、全ての施術が完了となる。すり込んだ金とEGFエッセンスを充分に肌へ浸透させる為、施術終了後もモデルに5分間以上、肌へ触れない様に伝える。
【0094】
以上、本発明の具体的な実施の形態およびこれに関する技術・施術方法について説明してきた。この説明からも理解されるように本発明は、低廉な金箔を事前の機械加工等が不要に使用しつつ、金を皮膚の奥深くまで浸透させることが可能な、安全性が高く、かつ低コストな顔面被覆用金箔、及び、その使用方法の提供される。
【0095】
なお、上述する実施の形態に示す構成等は、本発明を例示したものであって、本発明の特許請求の範囲および本明細書からその他の改良例や変形例が存在することを当業者は容易に理解できるであろう。