特許第6010783号(P6010783)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010783
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】直流給電キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   H02B1/20 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-165614(P2012-165614)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-27767(P2014-27767A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3052197(JP,U)
【文献】 特開2010−288397(JP,A)
【文献】 実開昭61−017782(JP,U)
【文献】 実開平02−129117(JP,U)
【文献】 特開昭55−071106(JP,A)
【文献】 米国特許第07196900(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットの内部に鉛直方向に支柱部材を配置し、この支柱部材に仕切板を取付けてキャビネット開口部近傍の中央空間と側方空間とを区画し、この側方空間内に、鉛直に配置された直流電源バーと、この直流電源バーから負荷に直流給電する接続部材とを設けたことを特徴とする直流給電キャビネット。
【請求項2】
前記支柱部材はキャビネットの縦フレームと機器取付用のマウントレールとから構成され、これらの縦フレームとマウントレールとの間に、前記仕切板を取付けたことを特徴とする請求項1記載の直流給電キャビネット。
【請求項3】
前記直流電源バーは、正極バーと、負極バーとからなり、負極バーは正極バーよりも扉側に配置されていることを特徴とする請求項1記載の直流給電キャビネット。
【請求項4】
前記仕切板に、キャビネットに収納された各機器の直流配電を行なうための接続部材が臨む孔部を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の直流給電キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネット内部の機器に対して直流給電が可能な直流給電キャビネットに関するものである。なお直流給電キャビネットとは直流給電が可能なキャビネットを意味し、従来と同様の交流給電手段を併用したキャビネットをも包含するものである。
【背景技術】
【0002】
キャビネット内部の機器に対して直流給電が可能な直流給電キャビネットとしては、特許文献1に示されるように、樹脂部品により覆われた直流電源バーをキャビネットの内部に配置した構造のものがある。この特許文献1の直流給電キャビネットは、直流電源バーやアダプタ等を完全に樹脂部品で覆い、着脱自在とした構造である。しかしこの直流給電キャビネットは、負荷に電源を供給するための接続部材を接続すると直流電源バーの突出部分が大きくなり、キャビネットの内部スペースの有効利用を図る上での障害となるという問題があった。
【0003】
また特許文献2には、キャビネットのフレームの内部に直流電源バーを配置し、フレームに形成した孔を介して内部機器に電源を供給できるようにしたキャビネットが開示されている。しかしフレームに多数の孔を形成することとなるため、フレームの強度低下を招き易いという問題があるほか、電源バーがフレーム内部に封入されているため、コンデンサやヒューズ等の付属機器を設置しにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−184993号公報
【特許文献2】特開2011−040527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、直流電源バーが機器の収納スペースを圧迫することがなく、またフレームの強度低下を招くことがない直流給電キャビネットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の直流給電キャビネットは、キャビネットの内部に鉛直方向に支柱部材を配置し、この支柱部材に仕切板を取付けてキャビネット開口部近傍の中央空間と側方空間とを区画し、この側方空間内に、鉛直に配置された直流電源バーと、この直流電源バーから負荷に直流給電する接続部材とを設けたことを特徴とするものである。
【0007】
なお請求項2のように、前記支柱部材はキャビネットの縦フレームと機器取付用のマウントレールとから構成され、これらの縦フレームとマウントレールとの間に、前記仕切板を取付けた構造とすることができる。また請求項3のように、前記直流電源バーは、正極バーと、負極バーとからなり、負極バーは正極バーよりも扉側に配置されている構造とすることができる。また請求項4のように、前記仕切板に、キャビネットに収納された各機器の直流配電を行なうための接続部材が臨む孔部を形成した構造とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の直流給電キャビネットは、支柱部材に仕切板を取付けてキャビネット開口部近傍の中央空間と側方空間とを区画し、この側方空間に直流電源バーを鉛直に配置したものであるから、直流電源バーが機器の収納スペースを圧迫することがない。またフレームとしては従来通りのものを使用することができるので、フレームの強度低下を招くこともない。
【0009】
請求項2の直流給電キャビネットは、縦フレームとマウントレールとの間のデッドスペースに直流電源バーを配置したものであるから、キャビネットの大型化を回避することができるとともに、仕切板によって充電部へのアクセスを制限することができる。
【0010】
請求項3の直流給電キャビネットは、フレームに負極バーを固定することができ、構造の簡素化を図ることができる。
【0011】
請求項4の直流給電キャビネットは、機器取付部の外側に接続部材を配置し、仕切板の孔部を介して直流電源バーからの給電が可能であるため、機器の設置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の直流給電キャビネットの構造を説明する斜視図である。
図2】要部の水平断面図である。
図3】仕切板の変形例を示す水平断面図である。
図4】接続部材の斜視図である。
図5】接続部材を直流電源バーに取付けた状態を示す斜視図である。
図6図5の拡大図である。
図7】接続部材を直流電源バーに取付けた状態を示す背面斜視図である。
図8】ヒューズユニットの斜視図である。
図9】仕切板の孔部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態を説明する。本実施形態のキャビネットはサーバ等の機器を収納するためのものである。
図1は本発明の直流給電キャビネットの構造を説明する斜視図であり、1は縦フレーム、2は横フレーム、3は奥行フレームである。これらの12本のフレームによりキャビネットの骨格構造を形成している。また4は各縦フレーム1の内側近傍に平行配置されたマウントレールであり、多数の機器取付孔4aを備えて様々な高さにサーバ等の機器を取り付けることができるようになっている。これらの縦フレーム1とマウントレール4とによって、キャビネットの内部の鉛直方向の支柱部材が構成されている。マウントレール4は計4本であるが、通常は前側の左右2本で機器を支持し、大型機器の場合には4本で支持するものである。
【0014】
図2に示すように、この支柱部材に仕切板5を取付けて、キャビネット開口部近傍の中央空間6と側方空間7とを区画している。本実施形態では仕切板5は略L字状に屈曲された平板であり、複数の取付金具によってマウントレール4と縦フレーム1との間に取付けられている。なお、仕切板5はマウントレール4の機器取付孔4aよりも外側に取付け、機器取付けの障害にならないようにしておく。
【0015】
サーバ等の機器に直流電源を供給するために、キャビネットの背面側に直流電源バーが鉛直に配置されている。直流電源バーは正極バー8と負極バー9とからなるもので、仕切板5により区画された上記側方空間7内に鉛直に配置されている。キャビネットの背面側部分に直流電源バーを配置したのは、サーバ等の背面に接続されている電源プラグに直流電源を供給し易いためである。本発明では仕切板5によって区画された側方空間7に直流電源バーを配置したため、機器の収納スペースを圧迫することがない。また仕切板5によって充電部へのアクセスを制限することができる。
【0016】
なお、図3に示すように縦フレーム1が大型でありマウントレール4との配置のずれが少ない場合には、仕切板5は屈曲されない平板であってもよい。図2図3において、10はキャビネットの側板を示し、11は背面扉を示す。
【0017】
図2に示されるように、縦フレーム1の内側には負極バー9が支持部材12によって鉛直に支持されている。また負極バー9と平行に、クリートと呼ばれる絶縁部材を介して正極バー8が所定の間隔で積層状に支持されている。これらの負極バー9と正極バー8とによって構成される直流電源バーの下端部は、図1に示される直流電源ユニット13に接続されている。直流電源バーの積層方向は、キャビネットの奥行方向とすることが好ましく、図2のように負極バーは正極バーよりも扉側に配置されている。負極バー9はキャビネットのフレームと同電位であるため縦フレーム1に支持部材12で固定することが可能であり、絶縁部材等で支持する必要がない。
【0018】
図2に示されるように、負極バー9と正極バー8とは、一方のバーを他方のバーに対してバーの幅方向にずらして配置してある。この実施形態では負極バー9を外側とし、正極バー8を内側としてある。このような配置とすれば、正極バー8とキャビネットの側板10までの絶縁距離を確保することができる。なお負極バー9はマウントレール4に固定することもでき、必ずしも縦フレーム1に支持させなくても差支えない。
【0019】
このように負極バー9を正極バー8に対して幅方向にずらせて外側に配置したので、負極バー9の側方に露出部分が形成される。この露出部分に、以下に説明する接続部材15や接続端子19を固定する接続固定部16等を設け、直流電源バーの集積密度を向上させている。
【0020】
接続部材15はサーバ等の負荷と接続して直流給電を行うためのもので、上下方向に所定のピッチで多数設けられている。図4に示すように、この実施形態の接続部材15は負荷機器から引き出された電源プラグと接続するコネクタ17と、ヒューズユニット18と、接続端子19とを備えており、図5図6に示すように負極バー9ーに固定することによって所定位置に支持されている。図7図5の背面側からの斜視図であり、接続端子19が負極バー9ーに固定された状態を示している。
【0021】
ヒューズユニット18は、図8に示されるように、ユニット本体18aとヒューズ素子18bとからなる。ヒューズ素子18bはユニット本体18aに対して着脱可能であり、交換容易な構造となっている。ユニット本体18aには正極バー8に接続するためのバー接続線20と、端子接続線21が設けられている。このため、正極バー8→バー接続線20→ヒューズユニット18→端子接続線21→コネクタ17→負荷→コネクタ17→接続端子19→負極バー9の電気回路が形成され、負荷が短絡したような場合にはヒューズ素子18bが溶断して他の負荷への影響を遮断することができる。図7にバー接続線20を正極バー8に接続した状態が示されている。
【0022】
図9に示されるように、前記の仕切板5には接続部材15の取付位置に対応させて多数の孔部22が形成されており、コネクタ17とヒューズユニット18との表面がこれらの孔部22からキャビネットの内部に向けて露出している。このため負荷機器から引き出された電源プラグのコネクタ17への接続や、ヒューズ素子18bの交換は仕切板5を取外すことなく容易に行うことができる。しかもこの位置はキャビネットの背面側であるため、前面側から行われるサーバの設置や点検の際に作業員がヒューズユニット18に触るおそれがない。さらに背面側からでもヒューズユニット18は負荷機器への配線に隠され、作業員が触る恐れが低減される。
【0023】
なお、図2図7に示される25はコンデンサである。コンデンサ25はサーバ等の負荷変動により直流電源バーの電圧が一時的に変動し、他の負荷に供給する電圧が変動することを防止するために有効である。なおコンデンサ25はサーバ等の負荷の設置位置に対応して直流電源バーに所定間隔で複数個配置することが好ましく、この実施形態のように接続部材15の接続端子に接続する構成とすれば、負荷の配置に対応させ易い。この実施形態ではコンデンサ25はコネクタ17やヒューズユニット18とは反対側に向けて配置されている。
【0024】
以上に説明したように、本発明の直流給電キャビネットは、仕切板5によって区画された側方空間7内に直流電源バーである正極バー8と負極バー9とを配置したので、直流電源バーが機器の収納スペースを圧迫することがない。また縦フレーム1とマウントレール4とによって、キャビネットの内部の鉛直方向の支柱部材を構成しており、フレームの強度低下を招くこともない。また仕切板5によって充電部へのアクセスを制限することができるなど、多くの利点がある。
【符号の説明】
【0025】
1 縦フレーム
2 横フレーム
3 奥行フレーム
4 マウントレール
4a 機器取付孔
5 仕切板
6 中央空間
7 側方空間
8 正極バー
9 負極バー
10 側板
11 背面扉
12 支持部材
13 直流電源ユニット
15 接続部材
16 接続固定部
17 コネクタ
18 ヒューズユニット
18a ユニット本体
18b ヒューズ素子
19 接続端子
20 バー接続線
21 端子接続線
22 孔部
25 コンデンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9