【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記比較的硬質の基材の表面に、表皮および発泡層からなる表皮材を積層してなる一般的な内装品にあっては、構成部品の数が多く、構造が複雑であるとともに、製造するのに手間がかかるなどの問題があった。
【0010】
また、上記特許文献1に記載された発明にあっては、突起高さH=6μm〜32μmで、突起相互の間隔P=30μm〜64μmであることから、人が触れる部位の表面にしっとりとした触感を持たせることができたとしても、硬質の材質で人が表面を撫でたときに柔らかさを感じることはなかった。なお、特許文献1において、人の指先や手の平など肌で触れたときに、よりやわらかく感じる傾向にあると記載されているのは、内装品の表面が、平面や凹曲面に比較して、凸曲面の場合であり、微細な突起を複数均一に設けることによるものではない。
【0011】
そして、特許文献1において、内装品を成形する際に使用する型の製造工程では、パウダスラッシュ成形を適用して内装品となる表皮を製造するために作成する型として、ニッケル電鋳転写して電鋳型を製作していた。そのため、この製造工程では、基本型を電鋳層に浸漬してニッケルを析出させるのに時間がかかることから、たとえば鋳造や鋼材を切削加工することなどにより型を製作する場合と比較して、型製作にコストがかかるという問題があった。さらに、特許文献1にあっては、パウダスラッシュ成形を適用するために、設備が大掛かりとなり、工程が煩雑で手間もかかり、コストがかかるなどの問題もあった。
【0012】
本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な構成で、比較的硬質の材質であっても、人が表面を撫でたときに柔らかさを感じることができる自動車の内装品を提供することを目的とする。
また、本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な構成で、上記自動車の内装品を容易に且つ確実に製造することができる成形型を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な工程で、上記自動車の内装品を容易に且つ確実に製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の自動車の内装品に係る発明は、上記目的を達成するため、単一層からなり、表面に複数の凹凸が形成されており、前記凹凸の表面には、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部が複数形成されており、少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmの凹凸模様が形成されていることを特徴とする。
また、請求項2の自動車の内装品の成形型に係る発明は、上記目的を達成するため、成形材料をキャビティ内に射出充填することにより単一層からなる自動車の内装品を成形する成形型であって、複数の凹凸を内装品の表面に形成し得るキャビティ表面を有
しており、前記キャビティ表面は、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されていることを特徴とする。
請求項
3の自動車の内装品の成形型に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項
2に記載の発明において、前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記突部が、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形されていることを特徴とする。
さらにまた、請求項
4の自動車の内装品の製造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、人が接触する自動車の内装品を製造する方法であって
、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されたキャビティ表面を有する成形型を用意し、該成形型のキャビティ内に成形材料を射出充填することにより、単一層からなる内装品を成形することを特徴とする。
請求項
5の自動車の内装品の製造方法に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項
4に記載の発明において、前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記突部を、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形しておくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、従来の技術のような発泡層を有することなく、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、内装品の表面に複数の凹凸が形成されており、内装品の表面に形成される凹凸のうちの凹部を直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状とし、さらに、少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmの凹凸模様が形成されていることにより、人が表面を撫でたときに圧迫感と解放感を繰り返し感じさせて、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚させることができ、しかも、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚させることを阻害することなく、梨地のシボなど、任意の意匠を構成することができる。
また、請求項2の発明によれば、成形材料をキャビティ内に射出充填して単一層からなる自動車の内装品を成形するときに、
直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されたキャビティ表面により、複数の凹凸が内装品の表面に形成される。複数の凹凸は、人が表面を撫でたときに圧迫感と解放感を繰り返し感じさせる。そのため、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚し、したがって、柔らかさを感じることができる自動車の内装品を容易に成形することが可能な成形型を提供することができる。
請求項
3の発明によれば、請求項
2に記載の発明において、前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記突部が、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形されていることにより、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚させることを阻害することなく、梨地のシボなど、任意の意匠を構成することができる。
さらにまた、請求項
4の発明によれば、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されたキャビティ表面を有する成形型を用意し、該成形型のキャビティ内に成形材料を射出充填して、単一層からなる内装品を成形するという簡単な工程により、複数の凹凸を内装品の表面に容易に形成して、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、人が表面を撫でたときに圧迫感と解放感を繰り返し感じて、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚し、したがって、柔らかさを感じることができる自動車の内装品を容易に成形することが可能な自動車の内装品を容易に且つ確実に製造することが可能な方法を提供することができる。
請求項
5の発明によれば、請求項
4記載の発明において、前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記凸部を、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形しておくことにより、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚させることを阻害することなく、梨地のシボなど、任意の意匠を構成することができる。
【0015】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(6)項が請求項2に相当し、(7)項が請求項3に相当し、(8)項が請求項4に相当し、
(10)項が請求項5に相当する。
【0016】
(1) 単一層からなり
、表面に複数の凹凸が形成されて
おり、
前記凹凸の表面には、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部が複数形成されており、
少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmの凹凸模様が形成されていることを特徴とする自動車の内装品。
【0017】
(1)項の発明では
、複数の凹凸が形成されて
おり、内装品の表面に形成される凹凸のうちの凹部を直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状とし、さらに、少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmの凹凸模様が形成されており、少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmの凹凸模様が形成されていることにより、従来の技術のような発泡層を有することなく、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、
人が内装品の表面を撫でると、圧迫感と解放感を繰り返し感じ、内装品が柔らかいものであると錯覚する。そのため、柔らかいと感じることができる内装品を、比較的硬質の材料で単一層により容易に構成することができる。
そして、任意の意匠を少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmで梨地のシボなどの任意の意匠となる凹凸模様を形成しても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚するのを阻害されることがない。
【0018】
(2) ロックウエル硬さ(M及びRスケール)が50〜120の材質により構成されていることを特徴とする(1)項に記載の自動車の内装品。
【0019】
(2)項の発明では、(1)項に記載の発明において、内装品のロックウエル硬さ(M及びRスケール)が50〜120の材質により構成されていても、表面に凹凸が形成されていることにより、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚させることができる。
【0024】
(
3) 前記互いに隣接する凹部は、その中心が三角形状となるように千鳥状に配列されていることを特徴とする(
1)または(
2)項のいずれかに記載の自動車の内装品。
【0025】
(
3)項の発明では、(
1)または(
2)項のいずれかに記載の発明において、円錐形状の凹部の中心が三角形状となるように互いに隣接する凹部を千鳥状に配列することにより、
比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、人が内装品の表面を撫でたときに、凹部による解放感と、凹部間の凸部による圧迫感とを繰り返し感じることが具現化される。
【0026】
(
4) 前記互いに隣接する凹部は、その中心が四角形状となるように格子状に配列されていることを特徴とする(
1)または(
2)項のいずれかに記載の自動車の内装品。
【0027】
(
4)項の発明では、(
1)または(
2)項のいずれかに記載の発明において、円錐形状の凹部の中心が四角形状となるように互いに隣接する凹部を格子状に配列することにより、
比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、人が内装品の表面を撫でたときに、凹部による解放感と、凹部間の凸部による圧迫感とを繰り返し感じることが具現化される。
【0028】
(
5) 前記隣接する凹部が互いに接するよう配列されていることを特徴とする(
3)または(
4)項のいずれかに記載の自動車の内装品。
【0029】
(
5)項の発明では、(
3)または(
4)項のいずれかに記載の発明において、千鳥状または格子状に配列された互いに隣接する凹部が接するよう配列されていることにより、
比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、人が内装品の表面を撫でたときに、凹部による解放感と、凹部間の凸部による圧迫感とを繰り返し感じることが具現化される。
【0030】
(
6) 成形材料をキャビティ内に射出充填することにより単一層からなる自動車の内装品を成形する成形型であって、
複数の凹凸を内装品の表面に形成し得るキャビティ表面を有
しており、
前記キャビティ面は、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されていることを特徴とする自動車の内装品の成形型。
【0031】
(
6)項の発明では、複数の凹凸を内装品の表面に形成し得るように、成形型のキャビティ表面
に突部が成形されていることにより、成形型のキャビティに成形材料を射出充填すると、これにより成形された内装品の表面には、複数の凹凸が形成される。
そして、この内装品の表面に形成される複数の凹部は、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状となる。そのため、成形された内装品は、従来の技術のような発泡層を有することなく、比較的硬質の材質で単一層で構成されていても、その表面に形成された複数の凹凸により、人が表面を撫でたときに圧迫感と解放感を繰り返し感じさせ、その結果、その表面を撫でている人に柔らかいと錯覚させることができる内装品を容易に成形することができる。
【0034】
(
7) 前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記突部が、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形されていることを特徴とする(
6)項に記載の自動車の内装品の成形型。
【0035】
(
7)項の発明では、(
6)項に記載の発明において、前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記突部が、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形されていることにより、任意の意匠を成形された内装品の表面の少なくとも前記凹部の表面に深さ3〜20μmで梨地のシボなどの任意の意匠となる凹凸模様を形成しても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚するのを阻害されることがない。
【0036】
(
8) 人が接触する自動車の内装品を製造する方法であって、
直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されたキャビティ表面を有する成形型を用意し、
該成形型のキャビティ内に成形材料を射出充填することにより、単一層からなる内装品を成形することを特徴とする自動車の内装品の製造方法。
【0037】
(
8)項の発明では、直径5〜20mmで、深さが50〜300μmの円錐形状の凹部を内装品の表面に複数形成し得る突部が成形されたキャビティ表面を有する成形型を用意し、該成形型のキャビティ内に成形材料を射出充填して、単一層からなる内装品を成形するという簡単な工程により、従来の技術のような発泡層を有することなく、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、その表面を撫でたときに圧迫感と解放感を繰り返し感じさせて人が柔らかいと錯覚する。そのため、柔らかいと感じることができる内装品を、比較的硬質の材料で単一層により容易に成形することが可能な自動車の内装品を容易に且つ確実に製造することができる。
【0038】
(
1) 内装品のロックウエル硬さが40〜125となるよう成形することを特徴とする(
8)項に記載の自動車の内装品の製造方法。
【0039】
(
9)項の発明では、(
8)項に記載の発明において、内装品のロックウエル硬さが40〜125の材質により構成されていても、表面に凹凸を形成することにより、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚させることが可能な自動車の内装品を容易に且つ確実に製造することができる。
【0042】
(
10) 前記キャビティ表面のうちの少なくとも前記凸部を、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成形しておくことを特徴とする
(8)または(9)項に記載の自動車の内装品の製造方法。
【0043】
(
10)項の発明では、
(8)または(9)項に記載の発明において、キャビティ表面のうちの少なくとも前記突部を、3〜20μmの深さで凹凸模様を形成し得るように成しておくことにより、比較的硬質の単一層からなる内装品であっても、表面を撫でている人が柔らかいと錯覚するのを阻害することなく、梨地のシボなどの任意の意匠を成形することが可能な自動車の内装品を容易に且つ確実に製造することができる。