(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
本発明者は、先に、たとえばラジエーター(冷暖放射パネル)表面に塗布された遠赤外線放射物質と、壁材および/または天井材に含まれる遠赤外線放射物質との間の共鳴を利用して、遠赤外線を直接に人体に作用させて体感温度をコントロールし得る放射冷暖房装置を提案し(たとえば特許文献1)、実用化するに至っている。
【0003】
このような放射冷暖房装置においては、冷却及び/又は加熱面は、フィンを有するラジエーターで構成されており、冷房運転時にラジエーター表面に空気中の水分が結露して生成した水滴を屋外に排出するために、ラジエーター下方の水滴受部に排水口が設けられている。
【0004】
また、遠赤外線放射物質を用いない、従来型の一般的な放射冷暖房装置においても、冷房運転時にラジエーター表面に結露して生成した水滴は排水口から屋外に排出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、放射冷暖房装置において、冷房運転時に冷暖放射パネル表面に空気中の水分が結露して生成した水滴を、浄化・再利用することを目的とし、本発明に到達したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の問題を解決するために、以下の発明を提供するものである。
(1)
冷却および/または加熱面は冷暖放射パネルで構成されており、
冷房運転時に冷暖放射パネル表面に空気中の水分が結露して生成した水滴を排出するために、冷暖放射パネル下方の水滴受部の排水口を設けており、かつ、排水口から排出された結露水を貯蔵して再利用するための貯蔵タンクを備えてなり、供給された結露水が貯蔵タンク内で遠赤外線放射物質と接触するように、および/または貯蔵タンク外で遠赤外線放射物質と接触した後に貯蔵タンク内に循環するように、構成されてな
る放射冷暖房装置において、
貯蔵タンクに供給された結露水を貯蔵タンク外で遠赤外線放射物質と接触した後に貯蔵タンク内に循環するように、貯蔵タンク外に遠赤外線放射物質を含むタンクまたは流路を設け
て、放射冷暖房装置における結露水を浄化、再利用することを特徴とする結露水の浄化、再利用方法。
(2)貯蔵タンクの内側面が遠赤外線放射物質を含む上記(1)に記載の
結露水の浄化、再利用方法。
(3)貯蔵タンクの底部に遠赤外線放射物質が備えられている上記(1)または(2)に記載の
結露水の浄化、再利用方法。
(4)放射冷暖房装置が、遠赤外線を放射・吸収し遠赤外線の放射率が0.6以上である遠赤外線放射物質を含む材料で構成された室内面構成部材を有し、
冷暖放射パネル表面が、前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質を含む材料で構成されてなり、
冷暖放射パネル表面が冷却されると、その表面の前記遠赤外線放射物質が前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を吸収し、および/または、
冷暖放射パネル表面が加熱されると、その加熱面の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が吸収するように構成されてなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の
結露水の浄化、再利用方法。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の放射冷暖房装置を用いて浄化された結露水を、飲料水、家庭用水または園芸用水として利用することを特徴とする
結露水の浄化、再利用方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷房運転時に冷暖放射パネル表面に空気中の水分が結露して生成した水滴を、浄化・再利用し得る放射冷暖房装置を提供し得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の放射冷暖房装置においては、冷却および/または加熱面は冷暖放射パネルで構成されており、冷房運転時に冷暖放射パネル表面に空気中の水分が結露して生成した水滴を排出するために、冷暖放射パネル下方の水滴受部に排水口が設けられる。さらに、排水口から排出された結露水を貯蔵して再利用するための貯蔵タンクが備えられ、その貯蔵タンクは、供給された結露水が貯蔵タンク内で遠赤外線放射物質と接触するように、および/または貯蔵タンク外で遠赤外線放射物質と接触した後に貯蔵タンク内に循環するように、構成されてなる。
【0011】
放射冷暖房装置は、冷水または温水を冷暖放射パネル内に通す形式のものであれば特に制限されないが、本発明においては、好適には、放射冷暖房装置が、遠赤外線を放射・吸収し遠赤外線の放射率が0.6以上である遠赤外線放射物質を含む材料で構成された室内面構成部材を有し、冷暖放射パネル表面が、前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質と同一の遠赤外線放射物質を含む材料で構成されてなり、冷暖放射パネル表面が冷却されると、その表面の前記遠赤外線放射物質が前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を吸収し、および/または、冷暖放射パネル表面が加熱されると、その加熱面の前記遠赤外線放射物質が放射する遠赤外線を前記室内面構成部材の前記遠赤外線放射物質が吸収するように構成されてなる放射冷暖房装置が採用され得る。以下、この例を1態様として説明する。
【0012】
室内面構成部材は、遠赤外線放射物質で構成されるか、遠赤外線放射物質を混入した材料で構成されるか、または遠赤外線放射物質からなる皮膜を有する。前記冷却および/または加熱源の前記冷却および/または加熱面は、遠赤外線放射物質で構成されるか、遠赤外線放射物質を混入した材料で構成されるか、または遠赤外線放射物質からなる皮膜で構成される。
【0013】
本発明において、室内面構成部材とは、環境調整の対象となる密閉空間に露出した面を構成している部材を指す。密閉空間は、その内部と外部との連絡を可能にするドアや窓などのような開閉手段を備えることができる。密閉空間は、特に制限されないが、通常は人間が生活・活動する建物の部屋や廊下などである。室内面構成部材の少なくとも一部は、本発明における室内環境の調整に必要な遠赤外線を放射・吸収する遠赤外線放射物質で構成されるか、遠赤外線放射物質を混入した材料で構成されるか、又は遠赤外線放射物質からなる皮膜を有する。遠赤外線の放射および吸収を効率よく行うため、室内面構成部材に混入される遠赤外線放射物質は、室内空間に露出していることが好ましい。とは言え、室内面構成部材中の遠赤外線放射物質は、室内空間に直接露出されずに、遠赤外線放射物質の遠赤外線の放射・吸収を有意に妨げない程度の保護層(例えば、1mm程度以下の厚さの塗装膜、ニス層、壁紙等)などで覆われていてもよい。
【0014】
遠赤外線放射物質は遠赤外線を放射・吸収する物質をいうが、本発明で用いる遠赤外線放射物質は、遠赤外線の放射率が0.6以上、好ましくは0.8以上の遠赤外線放射物質である。
【0015】
このような遠赤外線放射物質は、通常、いわゆる無機材料であり、天然及び人工の鉱物、金属及び半金属の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、水酸化物等、炭酸塩などの塩やそれらの複合物(複塩)、炭などのほか、貝殻などの天然素材なども含まれる。また、本発明の遠赤外線放射物質の殆どは広義のセラミックス材料(金属以外の無機材料をいう。)であるが、有機物や有機物由来の物質であっても上記放射率の条件を満たすならば用いることができる。
【0016】
本発明において、遠赤外線放射物質を含む部材中における遠赤外線放射物質の形態は、遠赤外線放射物質を含む部材が遠赤外線を放射・吸収できれば格別に制約はなく、代表的には、遠赤外線放射物質からなる一体物(石材)、遠赤外線放射物質の粒子、粉末、骨材等(これらを粒子ともいう。)を含む部材、遠赤外線放射物質の皮膜を有する部材などの形態であることができる。本発明において、「遠赤外線放射物質からなる石材」とは、天然又は人工の無機材料からなる固体一体物のことであって、通常はパネルまたはタイル状の建材等として用いられる。天然の石材の例としては、花崗岩、玄武岩、などを挙げることができる。人工的に製造した石材でもよいことはいうまでもない。人造パネル等の建材やその他の一体物部材は、石材と考えることができる。
【0017】
本発明において、遠赤外線放射物質を混入した材料とは、構成成分の一部として遠赤外線放射物質を含む材料をいう。この場合の遠赤外線放射物質は、典型的には天然又は人工の無機材料の粒子として、室内面構成部材の製造材料や製造材料中に混入される。
【0018】
本発明において、遠赤外線放射物質からなる皮膜とは、室内面構成部材や冷却及び/又は加熱源の表面に形成した遠赤外線放射物質の皮膜をいう。この皮膜は、適当な皮膜形成技術、例えば熔射、蒸着などのPVD(物理蒸着)技術、あるいはCVD(化学蒸着)技術により、遠赤外線放射物質を対象表面にコーティングして形成することができる。
【0019】
本発明においては、室内面構成部材の遠赤外線放射物質と、冷暖放射パネル表面の遠赤外線放射物質とは、同一である。本発明における放射冷暖房装置は、同一分子種間における熱放射を介した熱移動が、同一分子種間でない場合に比較して高い効率で行われる現象を利用して、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面との間で熱放射を介し熱移動を高い効率で行わせることにより、室内環境の調整を実現するものである。よって、本発明の放射冷暖房装置が所期の機能を発揮するためには、それらの間で熱放射を介した熱移動が行われる室内面構成部材と冷暖放射パネル表面とに、同一分子種の物質が存在する必要がある。本発明では、同一分子種で構成されている、室内面構成部材の遠赤外線放射物質と冷却及び/又は加熱源の遠赤外線放射物質のことを、同一物質であると称する。ここで「同一分子種」とは、遠赤外線を放射・吸収する性質を示し、遠赤外線の放射率が0.6以上、好ましくは0.8以上である一方の物質(例えば、室内面構成部材において使用する遠赤外線放射物質)と、遠赤外線を放射・吸収する性質を示し、遠赤外線の放射率が0.6以上、好ましくは0.8以上であるもう一方の物質(冷暖放射パネル表面で使用する遠赤外線放射物質)とが、分子レベルで同一であることをいう。ここでの分子とは、化学結合により結合された原子の集団を意味する。したがって、ここでいう分子には、例えば天然石材を構成する鉱物の結晶なども含まれる。類似元素が置換あるいは固溶した同一鉱物は同一分子種の物質とみなされている。天然の鉱物の場合、複数の化合物で構成されるのが普通であり、しかも巨視的レベルでは鉱物中の部位によりそれらの化合物の結晶構造に違いが見られることもある。とはいえ、この場合は、同じ原産地から切り出した鉱物は、実質的に同じ分子種の物質の実質的に同じ組成の集合体であり、全体として同一分子種の物質と同様に考えてよい。
【0020】
室内面構成部材、あるいは冷暖放射パネル表面において、上述の遠赤外線放射物質として無機材料粒子を使用する場合、そこには、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子以外の物質が共存するのが普通である。例えば、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子を含む漆喰により室内面構成部材を形成した場合や、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子を含む塗料を冷暖放射パネル表面に塗布した場合、上述の遠赤外線放射物質としての無機材料粒子は、漆喰中の骨材あるいは塗料中のバインダー成分などと共存する。このような場合、上述の遠赤外線放射物質としての無機材料粒子以外の物質も、遠赤外線を多かれ少なかれ放射・吸収する性質を持つ。しかし、本発明では、同一分子種間における熱放射を介した熱移動が同一分子種間でない場合に比較して顕著に高い効率で行われる現象を利用しているので、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の両者に共通に存在しない物質が本発明において果たす役割は、きわめて少ないか、または無視できる程度である。したがって、以下における本発明の説明において「遠赤外線放射物質」に言及する場合、それは室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の両者に共通に存在する、遠赤外線放射率0.6以上、好ましくは0.8以上の同一の物質(電磁波を介した同一分子間における分子振動の共鳴現象を引き起こす物質)を指す。
【0021】
室内面構成部材と冷暖放射パネル表面とで遠赤外線放射物質としてともに無機材料粒子を使用する場合には、双方の粒子の粒径や形状は同一でも異なっていてもよい。室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の双方に含まれる無機材料粒子の配合量も、同じである必要はない。また、例えば、室内面構成部材が壁面と天井面を形成していて、遠赤外線放射物質として無機材料粒子を使用する場合、壁面と天井面の遠赤外線放射物質の粒子の粒径や形状は、同一でも異なっていてもよい。この場合、無機材料粒子は、室内面構成部材(たとえば、壁面及び天井面を形成する建材)中に、本発明による同一分子種間での熱放射を介した所期の熱移動を可能にする含有量で配合される。このとき、壁面を形成する建材と天井面を形成する建材とで、無機材料粒子の配合量は同一でも異なっていてもよい。これらは、2以上の壁面のそれぞれにおける遠赤外線放射物質の無機材料粒子についてもいえる。
【0022】
室内面構成部材と冷暖放射パネル表面において、遠赤外線放射物質は複数種を用いてもよい。遠赤外線放射物質が石材の場合は、室内面構成部材あるいは冷暖放射パネル表面のために、2種以上の石材を組み合わせて用いることができる。遠赤外線放射物質が無機材料粒子の場合は、2種以上の無機材料粒子の混合物を用いることができる。どちらの場合も、室内面構成部材における無機材料粒子の組み合わせと冷暖放射パネル表面における無機材料粒子の組み合わせが同じであれば(同じ組み合わせが含まれていれば)、それらは「同一物質」であると見なされる。
【0023】
室内面構成部材と冷暖放射パネル表面に含まれる遠赤外線放射物質としての無機材料粒子は、同一分子種間での熱放射を介した所期の熱移動を可能にする量でそれらに存在する。通常、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面は、異なる業者により、建設現場以外で製作して建設現場に搬入されるか又は建設現場において施工されることが多いと考えられる。従って、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面には、遠赤外線放射物質としての共通の無機材料粒子が、それぞれの製造業者又は施工業者により混入されることが多いと考えられる。このような場合、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子の含有量は、それぞれの業者により室内面構成部材と冷暖放射パネル表面の各製造材料に含められる共通の無機材料粒子の量をいう。室内面構成部材中及び冷暖放射パネル表面形成材料中の無機材料粒子含有量は、本発明による熱放射を介した熱移動を実効あるものにする量として決定することができる。その量は、所期の冷房および/または加熱のために必要とされる熱移動量、熱放射を介した熱移動に利用可能な室内面構成部材と冷却及び/又は加熱面の面積、使用する遠赤外線放射物質の熱放射特性などに依存する。下記で説明する計測実験では、遠赤外線放射物質としての無機材料粒子は、室内面構成部材材料中、あるいは冷暖放射パネル表面を形成している材料中に、1重量%以上存在する場合に有効な効果が認められ、3重量%以上存在する場合により好ましい効果が得られた。一方、遠赤外線放射物質として無機材料粒子を用いる場合、その含有量の上限は、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面を形成する材料中に実際上含ませることができる無機材料粒子の最大量によって決まり、特に制約はない(理論的には、例えば90重量%でもよい)。
【0024】
本発明では、遠赤外線放射物質の無機材料粒子として、複数種の物質を使用(上述の「分子レベルで同一」である物質を複数種使用)してもよい。この場合には、室内面構成部材と冷暖放射パネル表面とで同じ無機材料粒子の混合物を用いることができる。この場合の室内面構成部材材料と冷暖放射パネル表面を形成している材料における無機材料粒子の含有量は、混合物中の複数種の同じ物質の合計量でもって表される。
【0025】
遠赤外線の放射および吸収を効率よく行うためには、遠赤外線放射物質は極力、環境調整する室内空間に露出していることが好ましい。とは言え、遠赤外線放射物質が室内空間に直接露出していなくても、1mm程度以下の保護層(例えば塗装の層、ニスの層、壁紙等)で覆われているのであれば、大きな問題はない。
【0026】
本発明で使用する遠赤外線放射物質の遠赤外線の放射率は、0.6以上であり、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上である。遠赤外線は、波長が3μm〜1000μmの電磁波のことをいう。材料の放射率は、同一条件における理想的な黒体の遠赤外線の放射エネルギーをW
0とし、当該材料の遠赤外線の放射エネルギーをWとした場合に、W/W
0によって定義される。放射率の値は、本発明のシステムの実際の使用温度に近い室温(例えば25℃)におけるものが好ましく、例えば、人体に対する熱的な作用の大きい10μm付近における値を採用する。
【0027】
本発明の一態様において、冷暖放射パネルのフィンの表面は、遠赤外線放射物質の粉砕物とバインダーとを混合し、それを層状に塗り、乾燥させることでコーティングされている。たとえば、フィンの表面には、遠赤外線の放射率が0.9を超える数値を示す花崗岩を粉砕した粉砕物(以下、石粉という)を混ぜた白い塗料により構成された厚さ約200μmのコーティング層が形成される。コーティング層中の石粉の粒径は、50μm以下である。この石粉のコーティング層における含有率は、塗料の硬化状態(乾燥状態)で20重量%とされている。ここでは、冷却および/または加熱面を有する冷暖放射パネルは、遠赤外線放射物質をコーティングされたフィンを有するラジエーターで構成されており、冷房運転時にラジエーター表面に空気中の水分が結露して生成した水滴を屋外に排出するために、ラジエーター下方の水滴受部の排水口から屋外の排水出口に至る排水系を設けている。
【0028】
ラジエーターは、たとえば表面をコーティング加工したアルミニウム製のフィンを複数備えている。このフィンは、薄手の板状であり、上下に延在している。フィンは、熱伝導の良好な他の金属または合金材料、例えば鉄や銅、それらの合金など、で製作することもできる。このフィンの表面は、遠赤外線放射物質の粉砕物とバインダーとを混合し、それを層状に塗り、乾燥させることでコーティングされている。
【0029】
フィンは、アルミニウム製の支持板と一体形成されている。支持板の裏面側は、冷媒通路に露出している。冷媒通路には、冷媒として冷水が循環する。この冷媒は、冷却源である冷媒冷却装置により冷却される。冷媒冷却装置の冷却機構は、一般的な空調装置や冷蔵庫に利用されているものと同じである。
【0030】
冷却面の下方には、排水口が設けられている。冷媒通路内を冷却水が循環すると、フィンが冷却され、フィンの表面の遠赤外線物質層も冷却され、に含まれた床面、壁面、天井面の室内面構成部材から放射された遠赤外線を吸収して、部屋内の環境の冷却が行われる。また、冷却面の表面に室内空間の空気中に含まれる水分が結露する。この結露した水は、排水口に滴下し、排水口から排水出口へ移動し、室外に排出される。
【0031】
冷却および/または加熱源のために、冷熱放射装置が好適に使用され、冷放射と熱放射を切り換えて行うことができる。冷放射は、冷却されることで、周囲からの熱放射を吸収する作用のことをいい、熱放射は、加熱されることで、周囲に向かって熱放射を行う作用のことをいう。
【0032】
このような冷熱放射装置は、室外機である冷温水発生装置に接続されている。冷温水発生装置は、ヒートポンプ機能を備え、冷水または温水を発生する。このヒートポンプ機能は、通常のエアコン等に用いられているものと同じ原理により動作する。なお、冷房効果だけを得るのであれば、冷水の発生機能だけでよい。また、暖房効果だけを得るのであれば、温水の発生機能だけでよい。
【0033】
冷熱放射装置に、冷温水発生装置から冷水が供給されると、フィンが冷やされ、結露による除湿が行われる。また冷却されることで、フィンの表面は、冷放射を行う冷却面として機能する。また、冷熱放射装置に、冷温水発生装置から温水が供給されると、上記フィンが温められ、このフィンの表面が加熱面(熱放射面)として機能する。なお、冷水というのは、冷温水発生装置の冷却機能によって冷却された水のことであり、温水は、冷温水発生装置の加熱機能によって加熱された水のことをいう。上記のように、フィンに結露した水滴は、下方のトレイに滴下させて集められ、排水口から屋外に排水される。
【0034】
本発明の一態様において、フィンの表面には、遠赤外線の放射率が0.9を超える数値を示す花崗岩を粉砕した粉砕物(以下、石粉という)を混ぜた白い塗料により構成された厚さ約200μmのコーティング層が形成される。コーティング層中の石粉の粒径は、50μm以下である。この石粉のコーティング層における含有率は、塗料の硬化状態(乾燥状態)で20重量%とされている。このコーティング層が冷却除湿面および加熱面として機能する。
【0035】
そして、本発明の放射冷暖房装置においては、排水口から排出された結露水を供給するための貯蔵タンクを備えてなる。貯蔵タンクは、通常屋外に設置され、供給された結露水がその中で遠赤外線放射物質と接触するように構成されてなる。この遠赤外線放射物質は、冷暖放射パネル表面に含まれる遠赤外線放射物質と異なっていても同一であってもよい。
【0036】
貯蔵タンク内では、供給された結露水が遠赤外線放射物質と接触するように構成されている。たとえば、貯蔵タンクの内側面が遠赤外線放射物質でコーティングされていてもよく、または貯蔵タンクの底部等に遠赤外線放射物質が備えられていてもよい。貯蔵タンク内に配置される遠赤外線放射物質の形態は、格別に制約はなく、代表的には、遠赤外線放射物質からなる、パネルまたはタイル状等の一体物、遠赤外線放射物質の粒子、粉末、骨材等(これらをもまとめて粒子ともいう。)を含む部材、遠赤外線放射物質の皮膜を有する部材などの形態であることができる。粒子の場合、その直径は通常5〜500μm程度から選ばれる。皮膜は、適当な皮膜形成技術、例えば熔射、蒸着などのPVD技術、あるいはCVD技術により、遠赤外線放射物質を対象表面にコーティングして形成することができる。
【0037】
本発明においては、排水口から排出された結露水を、さらに遠赤外線放射物質と接触させた後に貯水タンクに供給することもできる。すなわち、結露水は遠赤外線放射物質充填層を含む流路を経由して貯水タンクに供給されることになる。
【0038】
さらに、本発明においては、貯蔵タンクに供給された結露水を貯蔵タンク外で遠赤外線放射物質と接触した後に貯蔵タンク内に循環するように、貯蔵タンク外に遠赤外線放射物質を含むタンクまたは流路(好適には遠赤外線放射物質充填層を含む)を設けることもできる。
【0039】
本発明においては、結露水を遠赤外線放射物質と接触させる温度は特に制限されないが、通常5〜25℃である。接触時間も特に制限されず、温度、使用目的により適宜選定され得るが、通常1〜72時間である。このようにして得られる水は、家庭用水、園芸用水として再利用し得る。貯蔵タンクに供給される水は、ラジエーター表面に空気中の水分が結露して生成した結露水であり、さらに上記の浄化処理をされているので、飲料水としても利用可能である。
【0040】
図1は、本発明の放射冷暖房装置の一実施態様を示す概略図である。
図1において、冷暖放射パネル1の表面から落下し、水滴受け部2の排水口3から排出された結露水は、流路4を通って貯蔵タンク5に送られ、その底部に配置された遠赤外線放射物質6および貯蔵タンク5の内側表面にコーティングされた遠赤外線放射物質7と接触し、浄化される。遠赤外線放射物質6の形態は、特に制限されない。浄化された結露水は出口8から適宜排出され、目的に応じて利用される。