特許第6010819号(P6010819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010819
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】コネクタの基板固定構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/55 20110101AFI20161006BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   H01R12/55
   B60R16/02 621C
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-252939(P2012-252939)
(22)【出願日】2012年11月19日
(65)【公開番号】特開2014-102924(P2014-102924A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】木下 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】鶴 正秀
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−001875(JP,U)
【文献】 特開2008−293796(JP,A)
【文献】 特開2005−243511(JP,A)
【文献】 特許第4873747(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/55
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のコネクタハウジングと、導電性のL字状端子とを含み、
前記コネクタハウジングは、相手コネクタが嵌合するハウジング本体と、回路基板に固定される部分として用いられるハウジング固定部とを有し、
前記L字状端子は、前記相手コネクタとの電気的接続部分及び前記ハウジング本体に組み付け固定される部分を有する端子一端部と、中間に位置する端子折り曲げ部と、前記回路基板の所定のスルーホールに挿通されて半田付けされる端子他端部とを有する、
コネクタの基板固定構造において、
前記コネクタは、半田付け部材としてのソルダーペグを前記ハウジング固定部に組み付けるとともに、前記ソルダーペグを介して前記回路基板に固定されるものとし、
前記ハウジング固定部は、矩形のブロック形状を有し前記ハウジング本体と一体に形成され且つ前記ハウジング本体の両側部のそれぞれの略中間部であって前記回路基板に載置可能な位置に設けられ、さらに、前記ハウジング固定部は、肉盗み部と、前記ハウジング固定部を前記回路基板に載置するために前記ハウジング固定部の下面に形成される載置面と、を備え、該載置面の全面を前記回路基板の表面に合わせて平坦な面になるように形成してなり、
前記ソルダーペグは、前記端子一端部と同方向に前記ハウジング固定部に組み付け固定されるソルダーペグ固定部と、該ソルダーペグ固定部の第一端部に連続し前記端子折り曲げ部と同方向に折り曲げられるソルダーペグ折り曲げ部と、該ソルダーペグ折り曲げ部に連続し前記端子他端部と同様に前記スルーホールに挿通されて半田付けされるソルダーペグ半田付け部と、を有する所定形状に形成される
ことを特徴とするコネクタの基板固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタの基板固定構造において、
前記ソルダーペグは、前記ソルダーペグ固定部の第二端部側にも前記ソルダーペグ折り曲げ部及び前記ソルダーペグ半田付け部と同様の部分を有する
ことを特徴とするコネクタの基板固定構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタの基板固定構造において、
前記ソルダーペグ折り曲げ部は、前記ソルダーペグ半田付け部よりも幅広の部分に形成される
ことを特徴とするコネクタの基板固定構造。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載のコネクタの基板固定構造において、
前記端子一端部及び前記ソルダーペグ固定部は、圧入により組み付け固定される圧入構造部をそれぞれ有する
ことを特徴とするコネクタの基板固定構造。
【請求項5】
請求項1、2、3又は4に記載のコネクタの基板固定構造において、
前記ソルダーペグ固定部及び前記ソルダーペグ半田付け部は、前記端子一端部の前記ハウジング本体に組み付け固定される部分及び前記端子他端部と同じ形状に形成される
ことを特徴とするコネクタの基板固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを回路基板に固定する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載される電気機器としては、例えば電気接続箱が挙げられる。電気接続箱は、リレーボックスやヒューズボックス、或いはジャンクションブロックや電子制御ユニットボックス等を総称するものとして知られる。
【0003】
下記特許文献1に開示された電気接続箱は、ワイヤハーネスを介して下流側に複数の負荷が接続される。電気接続箱は、複数の負荷に対し電力等を分配する構成及び構造を有する。以下、特許文献1の電気接続箱について説明をする。
【0004】
図11において、引用符号101は電気接続箱を示す。ここではカバー部材を省略した状態で電気接続箱101を示す。電気接続箱101は、回路基板102と、電子部品103と、コネクタ104、105(コネクタブロック)と、ヒューズブロック106と、その他の構成部材とを備えて構成される。
【0005】
回路基板102には、電子部品103が実装される。また、回路基板102には、コネクタ104、105やヒューズブロック106も組み付けられる。電子部品103、コネクタ104、105、及びヒューズブロック106は、回路基板102に形成された回路パターンの所定位置に電気的に接続される。電子部品103は、複数のスイッチングトランジスタ107や、集積回路108であり、それぞれの端子の接続部を介して電気的に接続される。
【0006】
コネクタ104は、コネクタハウジング109と、複数のL字状端子110とを備えて構成される。コネクタハウジング109は、図示しない相手コネクタが嵌合するハウジング本体111と、回路基板102にネジにて固定されるハウジング固定部112とを有する。L字状端子110は、この一端がハウジング本体111に囲まれて図示しない相手側コネクタとの電気的な接続が可能な状態に配置される。また、L字状端子110の他端は、回路基板102のスルーホールに挿通されて所定の回路パターンに対し半田付けされる。
【0007】
コネクタ105は、上記コネクタ104と同様に構成される。すなわち、コネクタハウジング113と、複数のL字状端子114とを備えて構成される。コネクタハウジング113は、図示しない相手コネクタが嵌合するハウジング本体115と、回路基板102にネジにて固定されるハウジング固定部(上記引用符号112と同じ部分)とを有する。L字状端子114は、この一端がハウジング本体115に囲まれて図示しない相手側コネクタとの電気的な接続が可能な状態に配置される。また、L字状端子114の他端は、回路基板102のスルーホールに挿通されて所定の回路パターンに対し半田付けされる。
【0008】
L字状端子114に関しもう少し詳しく説明をすると(上記L字状端子110も同様であるものとする)、L字状端子114は、先ず真っ直ぐな状態でこの一端(端子一端部114a)がハウジング本体115に組み付け固定される。一端は、上記相手側コネクタとの電気的な接続部分に連続する箇所が固定される。この後、中間の所定位置で90度に折り曲げられ端子折り曲げ部114bが形成される。中間が90度に折り曲げられると、L字状端子114の他端(端子他端部114c)は回路基板102の方を向く。以上のような加工は自動機により行われる。L字状端子114の他端(端子他端部114c)は、回路基板102のスルーホールに挿通される。
【0009】
ヒューズブロック106は、ヒューズキャビティ116と、コネクタハウジング117と、ハウジング118と、端子ホルダー119と、複数の端子120とを備えて構成される。ヒューズキャビティ116、コネクタハウジング117、及びハウジング118は、一体に成型され、これらと端子ホルダー119との間に複数の端子120が組み付けられる。
【0010】
端子120は、先端が音叉状となる形状部分を複数有する。この形状部分は、ヒューズキャビティ116に対応する部分に配置形成される。また、端子120は、コネクタハウジング117及びハウジング118に対応する部分も有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−333583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記従来技術のコネクタ104、105にあっては、回路基板102への固定がそれぞれネジ止めであることから、面倒であり作業工数が掛かってしまうという問題点を有する。
【0013】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ネジ止めをなくすことが可能なコネクタの基板固定構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明は、絶縁性のコネクタハウジングと、導電性のL字状端子とを含み、前記コネクタハウジングは、相手コネクタが嵌合するハウジング本体と、回路基板に固定される部分として用いられるハウジング固定部とを有し、前記L字状端子は、前記相手コネクタとの電気的接続部分及び前記ハウジング本体に組み付け固定される部分を有する端子一端部と、中間に位置する端子折り曲げ部と、前記回路基板の所定のスルーホールに挿通されて半田付けされる端子他端部とを有する、コネクタの基板固定構造において、前記コネクタは、半田付け部材としてのソルダーペグを前記ハウジング固定部に組み付けるとともに、前記ソルダーペグを介して前記回路基板に固定されるものとし、前記ハウジング固定部は、矩形のブロック形状を有し前記ハウジング本体と一体に形成され且つ前記ハウジング本体の両側部のそれぞれの略中間部であって前記回路基板に載置可能な位置に設けられ、さらに、前記ハウジング固定部は、肉盗み部と、前記ハウジング固定部を前記回路基板に載置するために前記ハウジング固定部の下面に形成される載置面と、を備え、該載置面の全面を前記回路基板の表面に合わせて平坦な面になるように形成してなり、前記ソルダーペグは、前記端子一端部と同方向に前記ハウジング固定部に組み付け固定されるソルダーペグ固定部と、該ソルダーペグ固定部の第一端部に連続し前記端子折り曲げ部と同方向に折り曲げられるソルダーペグ折り曲げ部と、該ソルダーペグ折り曲げ部に連続し前記端子他端部と同様に前記スルーホールに挿通されて半田付けされるソルダーペグ半田付け部と、を有する所定形状に形成されることを特徴とする。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、L字状端子と同様に組み付けられ、また同様に加工され、さらには同様に半田付けされるソルダーペグにて、コネクタは回路基板に固定される。
【0016】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のコネクタの基板固定構造において、前記ソルダーペグは、前記ソルダーペグ固定部の第二端部側にも前記ソルダーペグ折り曲げ部及び前記ソルダーペグ半田付け部と同様の部分を有することを特徴とする。
【0017】
このような特徴を有する本発明によれば、ソルダーペグは回路基板に対し二箇所半田付けされる。半田付けの箇所が増えることにより、コネクタはより一層強固に固定される。
【0018】
請求項3に記載の本発明は、請求項1又は2に記載のコネクタの基板固定構造において、前記ソルダーペグ折り曲げ部は、前記ソルダーペグ半田付け部よりも幅広の部分に形成されることを特徴とする。
【0019】
このような特徴を有する本発明によれば、ソルダーペグは幅広の部分にて剛性が確保される。剛性が確保されることにより、相手コネクタから受ける力や、例えば衝撃等の外力に対して強くなる。
【0020】
請求項4に記載の本発明は、請求項1、2又は3に記載のコネクタの基板固定構造において、前記端子一端部及び前記ソルダーペグ固定部は、圧入により組み付け固定される圧入構造部をそれぞれ有することを特徴とする。
【0021】
このような特徴を有する本発明によれば、端子一端部及びソルダーペグ固定部は、ハウジング本体及びハウジング固定部に対し圧入により組み付け固定される。自動機による組み付けが可能になる。
【0022】
請求項5に記載の本発明は、請求項1、2、3又は4に記載のコネクタの基板固定構造において、前記ソルダーペグ固定部及び前記ソルダーペグ半田付け部は、前記端子一端部の前記ハウジング本体に組み付け固定される部分及び前記端子他端部と同じ形状に形成されることを特徴とする。
【0023】
このような特徴を有する本発明によれば、ソルダーペグの形状設計を容易にすることが可能になる。尚、本発明はソルダーペグを専用部品として新設することを妨げるものでないものとする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載された本発明によれば、ソルダーペグ固定部とソルダーペグ折り曲げ部とソルダーペグ半田付け部とを有する所定形状のソルダーペグを用いることから、従来のようなネジ止めをすることなくコネクタを回路基板に固定することができるという効果を奏する。これにより、面倒な作業をなくすことができるとともに、作業工数を減らすことができるという効果を奏する。
【0025】
請求項2に記載された本発明によれば、請求項1の効果に加え次のような効果も奏する。すなわち、ソルダーペグにおける半田付けの箇所を増やすことから、コネクタをより一層強固に固定することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項3に記載された本発明によれば、請求項1又は2の効果に加え次のような効果も奏する。すなわち、ソルダーペグの剛性を高めることから、コネクタをより一層強固に固定することができるという効果や、外力等に対し強い状態にコネクタを固定することができるという効果を奏する。
【0027】
請求項4に記載された本発明によれば、請求項1、2又は3の効果に加え次のような効果も奏する。すなわち、圧入構造部を有することから、L字状端子と同様に組み付け固定し易いソルダーペグを提供することができるという効果を奏する。
【0028】
請求項5に記載された本発明によれば、請求項1、2、3又は4の効果に加え次のような効果も奏する。すなわち、ソルダーペグの形状設計を容易にすることから、コスト低減を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明のコネクタの基板固定構造を示す斜視図である(実施例1)。
図2図1の要部断面図である。
図3】ソルダーペグの斜視図である。
図4】他の例となるソルダーペグの斜視図である。
図5】ソルダーペグの組み付けに係る説明図である。
図6】ソルダーペグの組み付けに係る説明図である。
図7】ソルダーペグの組み付けに係る説明図である。
図8】本発明のコネクタの基板固定構造を示す斜視図である(実施例2)。
図9図8の要部断面図である。
図10】ソルダーペグの斜視図である。
図11】従来例の電気接続箱の構成と基板固定構造とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
コネクタは、ソルダーペグを用いることでネジ止めすることなく回路基板に固定される。ソルダーペグは、ソルダーペグ固定部とソルダーペグ折り曲げ部とソルダーペグ半田付け部とを少なくとも有する所定形状に形成される。
【実施例1】
【0031】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図1は本発明のコネクタの基板固定構造を示す斜視図である。また、図2図1の要部断面図、図3はソルダーペグの斜視図、図4は他の例となるソルダーペグの斜視図、図5図7はソルダーペグの組み付けに係る説明図である。
【0032】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。また、自動車に搭載される電気接続箱を例に挙げて説明するが、自動車の電気接続箱以外にも例えば多種多様な電気機器等に本発明を採用することができるものとする。
【0033】
図1において、図示しないワイヤハーネスとの接続部分として電気接続箱にはコネクタ1(コネクタブロック)が一又は複数箇所設けられる。このコネクタ1は、回路基板2に機械的に組み付け固定され、且つ電気的に接続される。コネクタ1は、絶縁性のコネクタハウジング3と、導電性の複数のL字状端子4と、本発明に係るソルダーペグ5とを含んで構成される。回路基板2には、所望の経路の回路パターン(図示省略)が形成される。また、回路基板2には、スルーホール6も複数貫通形成される。
【0034】
コネクタハウジング3は、上記ワイヤハーネスに設けられる図示しない相手コネクタとの嵌合部分であるハウジング本体7と、回路基板2に対する固定部分であるハウジング固定部8とを有する。ハウジング本体7には、複数のL字状端子4が組み付け固定される底壁部と、この底壁部の外縁に設けられる側壁と、上記相手コネクタに対する嵌合空間と、隔壁と、ロック部等とが形成される。ハウジング本体7は、公知の構造であって、矩形箱状に形成される。
【0035】
ハウジング固定部8は、ハウジング本体7に対し一体に形成される。また、ハウジング固定部8は、ハウジング本体7の両サイドに配置される。具体的には、ハウジング本体7の両サイドに位置する側壁、且つ回路基板2に対し載せられるような位置に配置される。このようなハウジング固定部8には、ソルダーペグ5が組み付け固定される。コネクタ1は、ソルダーペグ5を介して回路基板2に固定される。ソルダーペグ5による固定は、L字状端子4と同じ半田付けが採用される。
【0036】
図1及び図2において、ハウジング固定部8は、矩形の略ブロック形状に形成される。ハウジング固定部8は、ハウジング本体7に対し十分小さな部分に形成される。このようなハウジング固定部8には、回路基板2に対する載置面9と、ソルダーペグ5に対するソルダーペグ圧入穴10と、肉盗み部11とが形成される。
【0037】
載置面9は、回路基板2の表面に合わせて平坦な面に形成される。尚、ここで図2の矢印を上下、前後とすると、載置面9はハウジング固定部8の下面として形成される。引用符号12は上面、引用符号13は前面、引用符号14は後面である。
【0038】
ソルダーペグ圧入穴10は、上面12側に配置形成される。また、ソルダーペグ圧入穴10は、前面13から後面14にかけて真っ直ぐに貫通する断面矩形で穴形状の部分に形成される。ソルダーペグ圧入穴10は、ソルダーペグ5を圧入により固定することができるように形成される。
【0039】
肉盗み部11は、載置面9とソルダーペグ圧入穴10との間に配置形成される。肉盗み部11は、後面14に向けて前面13を凹ませる有底の穴形状部分に形成される。肉盗み部11は、ハウジング固定部8における肉厚を均一にする部分として形成される。
【0040】
ソルダーペグ5について説明をする前に、図1を参照しながらL字状端子4について説明をする。
【0041】
L字状端子4は、上記相手コネクタとの電気的接続部分及びハウジング本体7の上記底壁部に対し圧入により組み付け固定される部分を有する端子一端部15と、L字状端子4の中間に位置する端子折り曲げ部16と、回路基板2の所定のスルーホール6に挿通されて半田付けされる端子他端部17とを有する。端子一端部15は、上記相手コネクタに対する嵌合空間に突出するように配置形成される。尚、L字状端子4は、端子一端部15が組み付け固定されるまでは真っ直ぐな状態である。端子一端部15には、圧入構造部(図示省略。本実施例では、ソルダーペグ5の後述する圧入構造部21と同じであるものとする)が形成される。
【0042】
端子折り曲げ部16は、コネクタ1を回路基板2に電気的に接続するため、90度に折り曲げられて形成される。端子折り曲げ部16が90度に折り曲げられると、端子他端部17は回路基板2の方を向く。尚、L字状端子4の組み付け固定や折り曲げ等は、自動機により行われる。
【0043】
図3において(必要に応じて図1及び図2も参照するものとする)、ソルダーペグ5は、上記の如く回路基板2への固定部材として用いられる。ソルダーペグ5は、回路基板2に対し半田付けにより固定される部材であり、半田付け部材と呼ぶこともできる。ソルダーペグ5は、半田との相性がよい金属材料からなる。尚、表面にメッキを施して半田との相性を高めてもよいものとする。
【0044】
ソルダーペグ5は、真っ直ぐな略棒状の部材に形成された後にL字状となる所定形状に加工される。ソルダーペグ5は、L字状の所定形状において、ソルダーペグ固定部18と、ソルダーペグ折り曲げ部19と、ソルダーペグ半田付け部20とを有する。
【0045】
ソルダーペグ固定部18は、ソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定される部分として形成される。このようなソルダーペグ固定部18の側部には、圧入構造部21が一体に形成される。ソルダーペグ固定部18は、圧入構造部21を有することから、ソルダーペグ圧入穴10に対し圧入されて固定される。
【0046】
ソルダーペグ折り曲げ部19は、ソルダーペグ固定部18の第一端部22に連成される。ソルダーペグ折り曲げ部19は、90度に折り曲げられて形成される。
【0047】
ソルダーペグ折り曲げ部19は、ソルダーペグ半田付け部20よりも幅広に形成される。ソルダーペグ折り曲げ部19は、十分な剛性を有する。このようなソルダーペグ折り曲げ部19には、ソルダーペグ半田付け部20が連成される。
【0048】
尚、ソルダーペグ5の代替品として図4に示す端子加工部品23を採用してもよいものとする。端子加工部品23は、真っ直ぐな状態のL字状端子4を所定長さに切断し(図中ハッチング部分が切断により除去される)、これを折り曲げ加工することにより形成される。端子加工部品23はコスト低減に有効である。
【0049】
ソルダーペグ5は、図5及び図6に示す如く、ハウジング固定部8のソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定される。ソルダーペグ5は、L字状端子4(図1参照)と同方向(矢印P参照)に組み付けられる。ソルダーペグ5は、L字状端子4と同様に自動機による組み付けが可能である。
【0050】
ソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定されたソルダーペグ5は、図7に示す如く90度に折り曲げられてソルダーペグ折り曲げ部19が形成される(矢印Q参照)。ソルダーペグ折り曲げ部19が形成されると、ソルダーペグ半田付け部20は回路基板2(図2参照)の方を向く。ソルダーペグ折り曲げ部19は、L字状端子4(図1参照)と同様に自動機により折り曲げられて形成される。また、ソルダーペグ半田付け部20への半田付けは、L字状端子4(図1参照)と同様に行われる。
【0051】
コネクタ1を回路基板2に対し垂直に降ろすと(図1参照)、回路基板2のスルーホール6にL字状端子4及びソルダーペグ5がそれぞれ挿通される。この後、回路基板2の裏面側で半田付けを行うと、コネクタ1の電気的な接続、及び機械的な組み付け固定が同じ工程内で完了する。
【0052】
以上、図1ないし図7を参照しながら説明してきたように、コネクタ1を回路基板2に固定するにあたり、ソルダーペグ固定部18とソルダーペグ折り曲げ部19とソルダーペグ半田付け部20とを有する所定形状のソルダーペグ5を用いることから、従来のようなネジ止めをすることなくコネクタ1を回路基板2に固定することができる。これにより、面倒な作業をなくすことができるとともに、作業工数を減らすことができる。
【0053】
この他、ソルダーペグ折り曲げ部19をソルダーペグ半田付け部20よりも幅広に形成してソルダーペグ5の剛性を高めることから、コネクタ1をより一層強固に固定することができる。また、外力等に対し強い状態にコネクタ1を固定することができる。さらに、ソルダーペグ5は金属材料からなるものであり、且つ回路基板2の上側で露出する部分を有することから、回路基板2上の回路パターンと接続することで、回路基板2に生じる熱に対し放熱部材として機能させることができる。
【実施例2】
【0054】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図8は本発明のコネクタの基板固定構造を示す斜視図である。また、図9図8の要部断面図、図10はソルダーペグの斜視図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図8において、コネクタ1′は、回路基板2に機械的に組み付け固定され、且つ電気的に接続される。実施例2のコネクタ1′は、絶縁性のコネクタハウジング3と、導電性の複数のL字状端子4と、本発明に係るソルダーペグ5′とを含んで構成される。コネクタ1′は、ソルダーペグ5′により、実施例1よりも一層強固に固定される。
【0056】
図8ないし図10において、ソルダーペグ5′は、真っ直ぐな略棒状の部材に形成された後に門形状(コ字状)となる所定形状に加工される。ソルダーペグ5′は、門形状(コ字状)の所定形状において、ソルダーペグ固定部18と、一対のソルダーペグ折り曲げ部19と、一対のソルダーペグ半田付け部20とを有する。
【0057】
一対のソルダーペグ折り曲げ部19は、ソルダーペグ固定部18の第一端部22及び第二端部24に連成される。一対のソルダーペグ折り曲げ部19は、それぞれ90度に折り曲げられて形成される。このような一対のソルダーペグ折り曲げ部19には、それぞれソルダーペグ半田付け部20が連成される。
【0058】
ソルダーペグ5′は、ハウジング固定部8のソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定される。ソルダーペグ5′は、L字状端子4と同方向に組み付けられる。ソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定されたソルダーペグ5′は、それぞれ90度に折り曲げられて一対のソルダーペグ折り曲げ部19が形成される。一対のソルダーペグ折り曲げ部19が形成されると、一対のソルダーペグ半田付け部20は回路基板2の方を向く。
【0059】
コネクタ1′を回路基板2に対し垂直に降ろすと、回路基板2のスルーホール6にL字状端子4及びソルダーペグ5′がそれぞれ挿通される。この後、回路基板2の裏面側で半田付けを行うと、コネクタ1′の電気的な接続、及び機械的な組み付け固定が同じ工程内で完了する。
【0060】
以上、図8ないし図10を参照しながら説明してきたように、実施例2も実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、従来のようなネジ止めをすることなくコネクタ1′を回路基板2に固定することができる。これにより、面倒な作業をなくすことができるとともに、作業工数を減らすことができる。
【0061】
また、実施例2によれば、ソルダーペグ5′は回路基板2に対し二箇所半田付けされて、実施例1よりも半田付けの箇所が増えることから、コネクタ1′をより一層強固に固定することができる。
【0062】
さらに、実施例2によれば、ソルダーペグ5′は、門形状(コ字状)であり一対のソルダーペグ半田付け部20を介して回路基板2に電気的に接続される部分でもあることから、ソルダーペグ5′自身を導電路とすることで所望の回路を繋ぐジャンパー線として機能させることができる。さらにまた、実施例2によれば、ソルダーペグ5′は金属材料からなるものであり、且つ回路基板2の上側で露出する部分を有することから、回路基板2上の回路パターンと接続することで、回路基板2に生じる熱に対し放熱部材としても機能させることができる。
【0063】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
1、1′…コネクタ、 2…回路基板、 3…コネクタハウジング、 4…L字状端子、 5、5′…ソルダーペグ、 6…スルーホール、 7…ハウジング本体、 8…ハウジング固定部、 9…載置面、 10…ソルダーペグ圧入穴、 11…肉盗み部、 12…上面、 13…前面、 14…後面、 15…端子一端部、 16…端子折り曲げ部、 17…端子他端部、 18…ソルダーペグ固定部、 19…ソルダーペグ折り曲げ部、 20…ソルダーペグ半田付け部、 21…圧入構造部、 22…第一端部、 23…端子加工部品、 24…第二端部
図1
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図11