【実施例1】
【0031】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明のコネクタの基板固定構造を示す斜視図である。また、
図2は
図1の要部断面図、
図3はソルダーペグの斜視図、
図4は他の例となるソルダーペグの斜視図、
図5〜
図7はソルダーペグの組み付けに係る説明図である。
【0032】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。また、自動車に搭載される電気接続箱を例に挙げて説明するが、自動車の電気接続箱以外にも例えば多種多様な電気機器等に本発明を採用することができるものとする。
【0033】
図1において、図示しないワイヤハーネスとの接続部分として電気接続箱にはコネクタ1(コネクタブロック)が一又は複数箇所設けられる。このコネクタ1は、回路基板2に機械的に組み付け固定され、且つ電気的に接続される。コネクタ1は、絶縁性のコネクタハウジング3と、導電性の複数のL字状端子4と、本発明に係るソルダーペグ5とを含んで構成される。回路基板2には、所望の経路の回路パターン(図示省略)が形成される。また、回路基板2には、スルーホール6も複数貫通形成される。
【0034】
コネクタハウジング3は、上記ワイヤハーネスに設けられる図示しない相手コネクタとの嵌合部分であるハウジング本体7と、回路基板2に対する固定部分であるハウジング固定部8とを有する。ハウジング本体7には、複数のL字状端子4が組み付け固定される底壁部と、この底壁部の外縁に設けられる側壁と、上記相手コネクタに対する嵌合空間と、隔壁と、ロック部等とが形成される。ハウジング本体7は、公知の構造であって、矩形箱状に形成される。
【0035】
ハウジング固定部8は、ハウジング本体7に対し一体に形成される。また、ハウジング固定部8は、ハウジング本体7の両サイドに配置される。具体的には、ハウジング本体7の両サイドに位置する側壁、且つ回路基板2に対し載せられるような位置に配置される。このようなハウジング固定部8には、ソルダーペグ5が組み付け固定される。コネクタ1は、ソルダーペグ5を介して回路基板2に固定される。ソルダーペグ5による固定は、L字状端子4と同じ半田付けが採用される。
【0036】
図1及び
図2において、ハウジング固定部8は、矩形の略ブロック形状に形成される。ハウジング固定部8は、ハウジング本体7に対し十分小さな部分に形成される。このようなハウジング固定部8には、回路基板2に対する載置面9と、ソルダーペグ5に対するソルダーペグ圧入穴10と、肉盗み部11とが形成される。
【0037】
載置面9は、回路基板2の表面に合わせて平坦な面に形成される。尚、ここで
図2の矢印を上下、前後とすると、載置面9はハウジング固定部8の下面として形成される。引用符号12は上面、引用符号13は前面、引用符号14は後面である。
【0038】
ソルダーペグ圧入穴10は、上面12側に配置形成される。また、ソルダーペグ圧入穴10は、前面13から後面14にかけて真っ直ぐに貫通する断面矩形で穴形状の部分に形成される。ソルダーペグ圧入穴10は、ソルダーペグ5を圧入により固定することができるように形成される。
【0039】
肉盗み部11は、載置面9とソルダーペグ圧入穴10との間に配置形成される。肉盗み部11は、後面14に向けて前面13を凹ませる有底の穴形状部分に形成される。肉盗み部11は、ハウジング固定部8における肉厚を均一にする部分として形成される。
【0040】
ソルダーペグ5について説明をする前に、
図1を参照しながらL字状端子4について説明をする。
【0041】
L字状端子4は、上記相手コネクタとの電気的接続部分及びハウジング本体7の上記底壁部に対し圧入により組み付け固定される部分を有する端子一端部15と、L字状端子4の中間に位置する端子折り曲げ部16と、回路基板2の所定のスルーホール6に挿通されて半田付けされる端子他端部17とを有する。端子一端部15は、上記相手コネクタに対する嵌合空間に突出するように配置形成される。尚、L字状端子4は、端子一端部15が組み付け固定されるまでは真っ直ぐな状態である。端子一端部15には、圧入構造部(図示省略。本実施例では、ソルダーペグ5の後述する圧入構造部21と同じであるものとする)が形成される。
【0042】
端子折り曲げ部16は、コネクタ1を回路基板2に電気的に接続するため、90度に折り曲げられて形成される。端子折り曲げ部16が90度に折り曲げられると、端子他端部17は回路基板2の方を向く。尚、L字状端子4の組み付け固定や折り曲げ等は、自動機により行われる。
【0043】
図3において(必要に応じて
図1及び
図2も参照するものとする)、ソルダーペグ5は、上記の如く回路基板2への固定部材として用いられる。ソルダーペグ5は、回路基板2に対し半田付けにより固定される部材であり、半田付け部材と呼ぶこともできる。ソルダーペグ5は、半田との相性がよい金属材料からなる。尚、表面にメッキを施して半田との相性を高めてもよいものとする。
【0044】
ソルダーペグ5は、真っ直ぐな略棒状の部材に形成された後にL字状となる所定形状に加工される。ソルダーペグ5は、L字状の所定形状において、ソルダーペグ固定部18と、ソルダーペグ折り曲げ部19と、ソルダーペグ半田付け部20とを有する。
【0045】
ソルダーペグ固定部18は、ソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定される部分として形成される。このようなソルダーペグ固定部18の側部には、圧入構造部21が一体に形成される。ソルダーペグ固定部18は、圧入構造部21を有することから、ソルダーペグ圧入穴10に対し圧入されて固定される。
【0046】
ソルダーペグ折り曲げ部19は、ソルダーペグ固定部18の第一端部22に連成される。ソルダーペグ折り曲げ部19は、90度に折り曲げられて形成される。
【0047】
ソルダーペグ折り曲げ部19は、ソルダーペグ半田付け部20よりも幅広に形成される。ソルダーペグ折り曲げ部19は、十分な剛性を有する。このようなソルダーペグ折り曲げ部19には、ソルダーペグ半田付け部20が連成される。
【0048】
尚、ソルダーペグ5の代替品として
図4に示す端子加工部品23を採用してもよいものとする。端子加工部品23は、真っ直ぐな状態のL字状端子4を所定長さに切断し(図中ハッチング部分が切断により除去される)、これを折り曲げ加工することにより形成される。端子加工部品23はコスト低減に有効である。
【0049】
ソルダーペグ5は、
図5及び
図6に示す如く、ハウジング固定部8のソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定される。ソルダーペグ5は、L字状端子4(
図1参照)と同方向(矢印P参照)に組み付けられる。ソルダーペグ5は、L字状端子4と同様に自動機による組み付けが可能である。
【0050】
ソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定されたソルダーペグ5は、
図7に示す如く90度に折り曲げられてソルダーペグ折り曲げ部19が形成される(矢印Q参照)。ソルダーペグ折り曲げ部19が形成されると、ソルダーペグ半田付け部20は回路基板2(
図2参照)の方を向く。ソルダーペグ折り曲げ部19は、L字状端子4(
図1参照)と同様に自動機により折り曲げられて形成される。また、ソルダーペグ半田付け部20への半田付けは、L字状端子4(
図1参照)と同様に行われる。
【0051】
コネクタ1を回路基板2に対し垂直に降ろすと(
図1参照)、回路基板2のスルーホール6にL字状端子4及びソルダーペグ5がそれぞれ挿通される。この後、回路基板2の裏面側で半田付けを行うと、コネクタ1の電気的な接続、及び機械的な組み付け固定が同じ工程内で完了する。
【0052】
以上、
図1ないし
図7を参照しながら説明してきたように、コネクタ1を回路基板2に固定するにあたり、ソルダーペグ固定部18とソルダーペグ折り曲げ部19とソルダーペグ半田付け部20とを有する所定形状のソルダーペグ5を用いることから、従来のようなネジ止めをすることなくコネクタ1を回路基板2に固定することができる。これにより、面倒な作業をなくすことができるとともに、作業工数を減らすことができる。
【0053】
この他、ソルダーペグ折り曲げ部19をソルダーペグ半田付け部20よりも幅広に形成してソルダーペグ5の剛性を高めることから、コネクタ1をより一層強固に固定することができる。また、外力等に対し強い状態にコネクタ1を固定することができる。さらに、ソルダーペグ5は金属材料からなるものであり、且つ回路基板2の上側で露出する部分を有することから、回路基板2上の回路パターンと接続することで、回路基板2に生じる熱に対し放熱部材として機能させることができる。
【実施例2】
【0054】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。
図8は本発明のコネクタの基板固定構造を示す斜視図である。また、
図9は
図8の要部断面図、
図10はソルダーペグの斜視図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図8において、コネクタ1′は、回路基板2に機械的に組み付け固定され、且つ電気的に接続される。実施例2のコネクタ1′は、絶縁性のコネクタハウジング3と、導電性の複数のL字状端子4と、本発明に係るソルダーペグ5′とを含んで構成される。コネクタ1′は、ソルダーペグ5′により、実施例1よりも一層強固に固定される。
【0056】
図8ないし
図10において、ソルダーペグ5′は、真っ直ぐな略棒状の部材に形成された後に門形状(コ字状)となる所定形状に加工される。ソルダーペグ5′は、門形状(コ字状)の所定形状において、ソルダーペグ固定部18と、一対のソルダーペグ折り曲げ部19と、一対のソルダーペグ半田付け部20とを有する。
【0057】
一対のソルダーペグ折り曲げ部19は、ソルダーペグ固定部18の第一端部22及び第二端部24に連成される。一対のソルダーペグ折り曲げ部19は、それぞれ90度に折り曲げられて形成される。このような一対のソルダーペグ折り曲げ部19には、それぞれソルダーペグ半田付け部20が連成される。
【0058】
ソルダーペグ5′は、ハウジング固定部8のソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定される。ソルダーペグ5′は、L字状端子4と同方向に組み付けられる。ソルダーペグ圧入穴10に組み付け固定されたソルダーペグ5′は、それぞれ90度に折り曲げられて一対のソルダーペグ折り曲げ部19が形成される。一対のソルダーペグ折り曲げ部19が形成されると、一対のソルダーペグ半田付け部20は回路基板2の方を向く。
【0059】
コネクタ1′を回路基板2に対し垂直に降ろすと、回路基板2のスルーホール6にL字状端子4及びソルダーペグ5′がそれぞれ挿通される。この後、回路基板2の裏面側で半田付けを行うと、コネクタ1′の電気的な接続、及び機械的な組み付け固定が同じ工程内で完了する。
【0060】
以上、
図8ないし
図10を参照しながら説明してきたように、実施例2も実施例1と同様の効果を奏する。すなわち、従来のようなネジ止めをすることなくコネクタ1′を回路基板2に固定することができる。これにより、面倒な作業をなくすことができるとともに、作業工数を減らすことができる。
【0061】
また、実施例2によれば、ソルダーペグ5′は回路基板2に対し二箇所半田付けされて、実施例1よりも半田付けの箇所が増えることから、コネクタ1′をより一層強固に固定することができる。
【0062】
さらに、実施例2によれば、ソルダーペグ5′は、門形状(コ字状)であり一対のソルダーペグ半田付け部20を介して回路基板2に電気的に接続される部分でもあることから、ソルダーペグ5′自身を導電路とすることで所望の回路を繋ぐジャンパー線として機能させることができる。さらにまた、実施例2によれば、ソルダーペグ5′は金属材料からなるものであり、且つ回路基板2の上側で露出する部分を有することから、回路基板2上の回路パターンと接続することで、回路基板2に生じる熱に対し放熱部材としても機能させることができる。
【0063】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。