(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010830
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】積み降ろし自在コンテナ
(51)【国際特許分類】
B60P 1/64 20060101AFI20161006BHJP
B65D 90/14 20060101ALI20161006BHJP
B65D 90/18 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
B60P1/64 A
B65D90/14
B65D90/18
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-200181(P2012-200181)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-54893(P2014-54893A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】512237224
【氏名又は名称】中村プレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】中村 知呂
【審査官】
森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−198381(JP,A)
【文献】
実開昭55−129848(JP,U)
【文献】
特開平09−165116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/64
B65D 90/14
B65D 90/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ本体と、当該コンテナ本体の前部と後部とに、それぞれ正面視で門構え形状の支持具を備え、
前記前後の支持具がコンテナ本体に着脱自在に取り付け可能であり、
前記支持具は、コンテナ本体に対して直立状態に固定する手段と、斜めに傾斜支持する手段を有し、
前記傾斜支持する手段は、コンテナ本体に固定連結したリング状の連結具と、支持具側に固定連結した、内側にのみ開くストッパーを有するフック部材とからなり、支持具の直立状態と傾斜状態とを許容するものであり、
前記支持具が直立状態ではコンテナ本体の底部と車両の荷台との間に所定の隙間が形成されるものであることを特徴とする積み降ろし自在コンテナ。
【請求項2】
前記支持具の下端部はキャスターを有することを特徴とする請求項1に記載の積み降ろし自在コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷物を収納したコンテナを、フォークリフトを用いなくても車両等に積み降ろしできる当該コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナを車両の荷台に積み降ろしするのに一般的にフォークリフトが使用されている。
しかし、一般家庭等ではフォークリフトを備えていない場合も多く、例えば軽四輪トラック等の荷台にコンテナを積み降ろしすることはできなかった。
特許文献1には、ダンプ装置を有する着脱自在なダンプ荷台の支脚構造を開示し、特許文献2には運搬車の荷台支承装置を開示するが、いずれも構造が複雑であり、一般家庭,個人商店,中小企業等にて使用できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−87138号公報
【特許文献2】実公昭60−33067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は簡単な構造でありながら、車両の荷台にフォークリフトを用いなくても積み降ろしできるコンテナの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る積み降ろし自在コンテナは、コンテナ本体と、当該コンテナ本体の前部と後部とに、それぞれ正面視で門構え形状の支持具を備え、前記前後の支持具がコンテナ本体に着脱自在に取り付け可能であ
り、前記支持具は、コンテナ本体に対して直立状態に固定する手段と、斜めに傾斜支持する手段を有し、前記傾斜支持する手段は、コンテナ本体に固定連結したリング状の連結具と、支持具側に固定連結した、内側にのみ開くストッパーを有するフック部材とからなり、支持具の直立状態と傾斜状態とを許容するものであり、前記支持具が直立状態ではコンテナ本体の底部と車両の荷台との間に所定の隙間が形成されるものであることを特徴とする。
【0006】
本発明においてコンテナとは、商品,荷物等を収納し、運搬するためのボックス状のものをいう。
また、正面視で門構え形状の支持具とは、車両にコンテナを積み降ろしする際にコンテナを移動させる方向に向かって見た状態をいう。
コンテナをトラック等の荷台に積み降ろしする際にコンテナをそのまま水平方向に移動できるように支持具の下端部にキャスターを設けるのが好ましい。
また、支持具を折り畳み式又は組み立て式にすると持ち運びが容易である。
本発明に係るコンテナは従来のようにフォークリフトを用いて車両の荷台に積み降ろしできるものであってもよいが、フォークリフトを用いなくても積み降ろしできるものをいう。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るコンテナは、支持具をコンテナに対して直立状態に固定した状態では、コンテナの底部の高さが車両の荷台の上面の高さよりも高く、このコンテナを支持具に支持させた状態で荷台に沿って相対的に水平移動させることができる。
コンテナが荷台の上に位置した状態で支持具を斜めにすると、コンテナが荷台の上に載置された状態になり、支持具を取り外すことでコンテナを荷台に積み込む作業が終了する。
コンテナを荷台から降ろす際には、まずコンテナに対して前後方向であって下端が後方側になるように斜め状態に支持具を取り付け、トラックをゆっくりバックさせるとトラックのキャビンの部分でコンテナを押圧し、支持具が直立するようにコンテナが上昇する。
このようにして、支持具が直立するとコンテナが荷台から浮いた状態になり、コンテナを後方に移動するか、あるいはトラックを前進させることでコンテナを荷台から降ろすことができる。
【0008】
本発明では支持具を門構え形状にしたので、従来の支柱をコンテナの側部にそれぞれ取り付けたものよりも強度が高く、取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】コンテナをトラックの荷台に積み込む手順を示す。(a),(b)はコンテナを荷台に移動、(c)は支持具を斜めにした状態を示す。
【
図2】支持具の構造例を示す。(a),(b)は支持具をコンテナから取り外した状態、(c)は支持具を分解した状態を示す。
【
図3】コンテナをトラックの荷台から降ろす手順を示す。
【
図4】コンテナの支持具とトラックに荷台との位置関係を示す。
【
図5】コンテナを支持具で直立支持させた状態を示し、(a)は正面視、(b)は背面視を示す。
【
図6】(a),(b)は傾斜支持部の拡大図を示し、(c)は傾斜支持した状態を示す。
【
図7】(a)はトラックのキャビンにコンテナを連結した状態を示し、(b)はキャスターの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る積み降ろし自在のコンテナ10の構造例を以下図面に基づいて説明する。
本発明は本実施例に限定はされない。
図1,2はコンテナを軽四輪トラックの荷台に積み込み、支持具12,13を取り外す説明図を示し、
図3はコンテナを荷台から降ろす手順を示す。
コンテナ本体11はボックス状になっていて、
図5(b)に示すように扉14とそのロック機構14aが設けられた例になっている。
コンテナ本体11の前後に着脱自在に取り付ける支持具は、前支持具12と後支持具13とが一対になっていて同じ構造である。
図2(b)は前支持具12を示したもので、コ字形状の連結枠12aの両側にバー材からなる支柱部12bをボルト等の連結具12cにて組み立て及び分解可能にした例になっている。
本実施例は支柱部12bの上端と途中の2ヶ所でボルト連結する例になっているが、連結方法はこれに限定されない。
支持具(支柱部)の下端には
図7(b)に示すようにロック機構12gの備えたキャスター12dを取り付けてある。
【0011】
支持具12,13のコンテナ本体11への取り付け構造例を説明する。
図4及び
図6に示すようにコンテナの前部と後部との2ヶ所であって、それぞれ上部にリング状の連結具11aを固定連結し、支持具12,13には内側にのみ開くストッパー12f,13fを有するフック部材12e,13eを固定連結してある。
これにより、
図6(c)に示すように支持具12,13をコンテナ11に対して斜めに傾斜支持した状態に連結することも
図6(a),(b)に示すように直立支持することも許容できる。
コンテナ本体11の上部に設けたリング状の連結具11aより下側にて、このコンテナ本体11と支持具12,13とがボルト等の連結具11bにて相互に締結連結可能になっている。
【0012】
図1(a)に示すように前支持具12及び後支持具13をコンテナ本体11の前後にそれぞれ直立状態で固定してあると、コンテナ本体11は前後の支持具12,13で支持された状態にある。
この状態でキャスター12dのロックを外すと水平方向に移動が可能であり、門構えの支柱部12b,13bの左右の間隔がトラック1の荷台2の幅寸法よりも大きくなっていて、コンテナ本体11を荷台2に沿って移動できる。
また、キャスター12d,13dをロックした状態でトラックをバックさせてもよい。
この状態では
図1(b)に示すように荷台2の上面とコンテナ底部との間に隙間Hだけ浮いた状態になっているが、前後の支持具12,13の下側の連結具11bを緩め、外すと
図1(c)に示すように支持具12,13が斜めになり、コンテナ本体11が荷台2の上に載置された状態になる。
支持具12,13の上部の連結部11aも取り外すと
図2(a)の状態になり、さらに支柱部12bを分解すると
図2(c)のようになり、荷台2やコンテナ本体11の内部に収納できる。
【0013】
荷台2からコンテナを降ろす際には、
図3(a)に示すように支持具12,13の上部のみをコンテナ本体11に取り付ける。
この状態でキャスター12d,13dのロック機構12g,13gをONにする。
図3(a)に示すようにトラック1をバック(B)させると、キャスター12d,13dはロックされているので、支持具12,13は直立方向に起立する。
これにより、
図3(b)に示すようにコンテナ本体11が荷台2から浮き上がり、支持具12,13の下側の連結部11bも締結連絡する。
その後にトラック1を前進させると、
図3(c)に示すようにコンテナを荷台から降ろすことができる。
なお、コンテナをトラック輸送中は、
図7(a)に示すようにキャビンのフレーム1aにチェーン15等を用いてコンテナの保持部11cと繋ぐようにするとよい。
【符号の説明】
【0014】
1 車両
2 荷台
10 積み降ろし自在コンテナ
11 コンテナ本体
12 前支持具
12a 連結枠
12b 支柱部
12c 連結具
12d キャスター
13 後支持具