特許第6010845号(P6010845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6010845フライス加工用刃先交換式切削インサート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010845
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】フライス加工用刃先交換式切削インサート
(51)【国際特許分類】
   B23C 5/20 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B23C5/20
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-527387(P2013-527387)
(86)(22)【出願日】2012年11月26日
(86)【国際出願番号】JP2012080447
(87)【国際公開番号】WO2013077443
(87)【国際公開日】20130530
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-257581(P2011-257581)
(32)【優先日】2011年11月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503212652
【氏名又は名称】住友電工ハードメタル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(72)【発明者】
【氏名】前田 敦彦
(72)【発明者】
【氏名】松田 直樹
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−347826(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099495(WO,A1)
【文献】 特開2009−274207(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/092883(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/029072(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/20
B23C 5/06
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
すくい面と逃げ面との交差稜で形成される主切れ刃(5)と、その主切れ刃(5)に対して所定の角度をもって連なる仕上げ加工用の副切れ刃(6)を有し、前記副切れ刃(6)が逃げ面と直交する方向から見た状態で凸形に彎曲している多角形を基本形としたフライス加工用の刃先交換式切削インサートであって、
前記副切れ刃(6)の両側に、副切れ刃(6)につながる側が副切れ刃と同じ方向に彎曲したコーナ切れ刃(7,8)を備え、そのコーナ切れ刃を介して前記副切れ刃(6)前記主切れ刃(5)に連なり、
さらに、前記副切れ刃(6)半径Rの円弧の稜線で形成され、前記コーナ切れ刃(7,8)は、前記副切れ刃(6)につながる側がR≦R1の条件を満たす半径R1の円弧の稜線で、前記主切れ刃(5)につながる側は直線又は半径R1の稜線よりも曲率の小さな曲線の稜線で各々形成されたフライス加工用刃先交換式切削インサート。
【請求項2】
前記すくい面が上面(2)と下面(3)に設けられ、前記上面(2)と下面(3)の中央部にそれぞれカッタボディ側の支持座(22)で支える平坦な着座面(11)が設置され、その着座面(11)が前記主、副の各切れ刃(5,6)よりも低い位置にあり、なおかつ、その着座面(11)のインサートコーナ間中央部に、着座面(11)を横断する凹部(13)が設けられた請求項に記載のフライス加工用刃先交換式切削インサート。
【請求項3】
前記上下面(2,3)に切れ刃に沿ってブレーカ溝(14)が形成され、そのブレーカ溝(14)が前記凹部(13)の一部を構成している請求項に記載のフライス加工用刃先交換式切削インサート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フライス加工用の刃先交換式切削インサート(以下では単に切削インサートと言う)、詳しくは、サラエ刃として使用する副切れ刃を有し、その副切れ刃による加工面の仕上げ面粗さを向上させる工夫を施した切削インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
首記の副切れ刃を備えたフライス加工用切削インサートとして、例えば、下記特許文献1,2に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1に記載された切削インサート(切削チップ)は、主切れ刃とこれに移行区分を介して連なる副切れ刃を有し、副切れ刃が逃げ面と直交する方向から見た側面視において凸状に彎曲した刃として構成されている。
【0004】
また、特許文献2に記載された切削インサートは、上面と平行な基準平面に対して傾いた凸形状の副刃(副切れ刃)を具備している。その副刃の両側にはコーナ遷移部分(いわゆるノーズR部)が存在する。片方のコーナ遷移部分(これをイ部とする)は、副刃と高さの最も高い非切粉除去用刃とをつなぎ、他方のコーナ遷移部分(これをロ部とする)は、副刃と高さの低い主刃とをつないでいる。
【0005】
その構造上、他方のコーナ遷移部分(ロ部)は、側面視形状が凸になる刃にして副刃と主刃との間を滑らかにつなぐことができているが、片方のコーナ遷移部分(イ部)は、非切粉除去用刃との高低差を吸収する必要上凸形状を維持できず、非切粉除去用刃と副刃との間に段差が生じたものになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3970929号公報
【特許文献2】特開2009−274207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の切削インサートは、副切れ刃のみが側面視で凸状に彎曲し、その副切れ刃の両端が両側の移行区分に対して角度をもって連なっている。そのために、副切れ刃と主切れ刃をつなぐ移行区分が大きいときには特に、副切れ刃によって仕上げ加工された加工面のつなぎ目(いわゆる送りマーク)が大きくなって良好な面粗さが得られない。
【0008】
図13(a)に、特許文献1の切削インサートの副切れ刃によって加工される面を誇張して示す。凸円弧の副切れ刃で仕上げ加工される面は、切れ刃の軌跡が頂点の尖った規則的な波を描くのが理想とされるが、特許文献1の切削インサートを使用すると、図に示すように、副切れ刃の両端の移行区分の刃の軌跡が加工面のつなぎ目となるため、尖りのない波の頂点ができて加工面のつなぎ目が大きくなってしまう。
【0009】
また、刃先交換式のフライスカッタの場合、カッタボディに切削インサートを取付けるときに取付け誤差が生じることがある。その取付け誤差が生じた状態で加工される面を図13(b)に誇張して示す。これは、フェース角F.Aが誤差ゼロの正常取付け位置から−側(図15の時計回り方向)に狂った状態で加工された面である。このように、特許文献1の切削インサートは、フェース角F.Aが+側(図15の反時計回り方向)、−側のどちらに振れても、送りマークがいびつな形状になって加工面の面粗さがさらに悪化する。
【0010】
図14(a)、(b)に、特許文献2の切削インサートの副刃によって加工される面の性状を誇張して示す。この特許文献2の切削インサートは、カッタボディに対する取付けが正常であれば、図14(a)に示すように、加工面のつなぎ目が小さく抑えられるが、カッタボディや切削インサートの加工誤差によって特許文献1のインサートの副切れ刃と移行区分がつながった部分と同様の状況になっているイ部が副刃の突端に近づく方向(フェース角F.Aが−となる側)に切削インサートが傾いて装着されたときには、図14(b)に示すように、加工面のつなぎ目が大きくなって面粗さが悪化する。
【0011】
なお、特許文献1,2の切削インサートは、加工時の送りを小さくすれば移行区分(遷移部分)の形状の影響をなくすことができるが、この方法は加工能率を低下させるため好ましくない。
【0012】
この発明は、仕上げ加工用の副切れ刃を有するフライス加工用の切削インサートを、カッタボディに対して正常に取付けられているときは勿論、取付け誤差が生じたときにも送りを小さくすることなく、良好な面粗さが得られるものにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明においては、すくい面と逃げ面との交差稜で形成される主切れ刃と、その主切れ刃に対して所定の角度をもって連なる仕上げ加工用の副切れ刃を有し、前記副切れ刃が逃げ面と直交する方向から見た状態で凸形に彎曲している多角形を基本形としたフライス加工用の刃先交換式切削インサートの副切れ刃の両側に、副切れ刃につながる側が副切れ刃と同じ方向に彎曲したコーナ切れ刃を設け、そのコーナ切れ刃を介して前記副切れ刃を前記主切れ刃に連ならせた。
【0014】
かかる切削インサートは、コーナ切れ刃の副切れ刃につながる側を、副切れ刃と同一曲率で副切れ刃の延長上にある刃となしたものも考えられるが、当該部は、逃げ面が2つ以上の面で構成される刃にするのがよい。
【0015】
好ましい形態の具体例として、前記副切れ刃が半径Rの円弧の稜線で形成され、前記コーナ切れ刃は、前記副切れ刃につながる側がR≦R1の条件を満たす半径R1の円弧の稜線で、前記主切れ刃につながる側は直線又は半径R1の稜線よりも曲率の小さな曲線(円弧である必要はない)の稜線で各々形成されたものが考えられる。
【0016】
また、すくい面が上面と下面に設けられる切削インサートについては、上面と下面の中央部にそれぞれカッタボディ側の支持座で支える平坦な着座面が設置され、その着座面が前記主、副の各切れ刃よりも低い位置にあり、なおかつ、その着座面のインサートコーナ間中央部に、着座面を横断する凹部がさらに設けられた構造にするのも好ましい。
【0017】
ここで言うインサートコーナは、基本形のインサートのコーナを指す。また、この発明で言う着座面は、切れ刃よりも低い位置に形成された平面が支持座に接触する領域を指す。前記平面が支持座よりも広い場合には、前記凹部を支持座に接触する領域のみを横断するように設けることがあり、このときには、支持座と接触する領域よりも外側にある平面が凹部の両側の着座面に連なった状態で残される。
【0018】
前記凹部の深さは0.2mm〜1.5mm程度がよい。また、その凹部の切れ刃に沿う方向の幅は、基本形のインサートの辺の長さの1/3〜1/5程度が適当である。
【0019】
この発明の切削インサートには、切屑を処理するブレーカ溝を切れ刃に沿って上下面に備えさせることができる。そのブレーカ溝と前記凹部を併用するものは、ブレーカ溝を前記凹部の一部として利用することができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の切削インサートは、副切れ刃につながる側が副切れ刃と同じ方向に彎曲したコーナ切れ刃を副切れ刃の両側に設け、そのコーナ切れ刃を介して副切れ刃を主切れ刃につながらせたので、副切れ刃と主切れ刃との間に目立った段差ができない。そのために、カッタボディに対する取付けが正常に行なわれているときは勿論、取付け誤差が生じたときにも、加工面のつなぎ目が大きくならない。
【0021】
カッタボディに正常に取付けられているときには、理想に近い加工面が得られる。また、フェース角が+側、或いは、−側に多少振れて取付けられたときにも、加工面のつなぎ目はさほど大きくならない。送りマークの断面形状が極端にいびつになることもなく、良好な面粗さが維持される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の切削インサートの第1形態を示す斜視図
図2図1の切削インサートの平面図
図3図1の切削インサートの側面図
図4図1の切削インサートの断面図
図5図2の丸枠部の拡大平面図
図6】副切れ刃とコーナ切れ刃を図5の矢印方向に見た図
図7】この発明の切削インサートの第2形態を示す斜視図
図8図7の切削インサートの平面図
図9図7の切削インサートの側面図
図10】この発明の切削インサートを使用したフライスカッタの一例を示す斜視図
図11図10のフライスカッタの切削インサート装着部を回転方向前方から見た図
図12】(a):この発明の切削インサートが正常に取付けられたときの加工面の状態を誇張して示す断面図、(b):この発明の切削インサートが、フェース角が−側に振れて取付けられたときの加工面の状態を誇張して示す断面図
図13】(a):特許文献1の切削インサートが正常に取付けられたときの加工面の状態を誇張して示す断面図、(b):特許文献1の切削インサートが、フェース角が−側に振れて取付けられたときの加工面の状態を誇張して示す断面図
図14】(a):特許文献2の切削インサートが正常に取付けられたときの加工面の状態を誇張して示す断面図、(b):特許文献2の切削インサートが、フェース角が−側に振れて取付けられたときの加工面の状態を誇張して示す断面図
図15】フェース角の振れの方向の説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面の図1図9に基づいて、この発明の切削インサートの実施の形態を説明する。図1図6は、この発明の切削インサートの第1形態(ブレーカ溝無し)を、図7図9は、第2形態(ブレーカ溝付き)を各々示している。
【0024】
両形態とも、四角形を基本形とし、その基本形の4つのコーナを除去して最終的に平面視で八角形をなす形状にしたものを例示したが、この発明は、三角形、五角形、六角形といった図とは角数の異なる切削インサートにも適用できる。
【0025】
第1形態、第2形態は、いずれも、上面2と下面3の外周の4辺のエッジ(側面4と交差した位置の稜線)を主切れ刃5、隣り合う主切れ刃間のコーナのエッジを副切れ刃(サラエ刃)6として使用するものになっている。
【0026】
なお、下面3側は上面2側と同一構成であるので、ここでの説明は上面側の構成のみについて行う。
【0027】
図1図6に示した第1形態の切削インサート1は、副切れ刃6の位置を最も高くし、主切れ刃5を副切れ刃6から遠く離れるに従って位置が下がる方向に傾斜させている。また、副切れ刃6の両側に、コーナ切れ刃7,8を設けている。
【0028】
副切れ刃6は、逃げ面(図のそれは基本形状のインサートのコーナ部の側面4)と直交する方向(図5の矢印方向)から見た状態で凸形に彎曲した刃にしてある(図6参照)。この副切れ刃6は、曲率の一定した円弧刃を示したが、両端に向って曲率が次第に小さくなる曲線の刃も考えられる。
【0029】
コーナ切れ刃7,8は、副切れ刃6につながる側を副切れ刃6と同じ方向に彎曲した刃にし、主切れ刃5につながる側は、直線又は直線に近い形状の刃にしている。
【0030】
例示の切削インサート1は、図6に示すように、副切れ刃6を半径Rの円弧の稜線で、コーナ切れ刃7,8の副切れ刃6につながる側を半径R1(これはRよりも大きくしているがRと等しくてもよい)の円弧の稜線で各々形成している。コーナ切れ刃7,8の主切れ刃5につながる側は傾斜した直線の稜線で形成したが、この部分は、直線に近似した半径R1の稜線よりも曲率の小さい曲線を用いてもよい。
【0031】
なお、副切れ刃6の一端側はコーナ切れ刃7を介して主切れ刃5に直接つながっている。また、副切れ刃6の他端側は、コーナ切れ刃8と、主切れ刃5の終端との間に残された着座面と平行な稜線9とを介して隣接した位置の主切れ刃5につながっている。稜線9は、必須ではなく、その稜線9のないものは、副切れ刃6がコーナ切れ刃8を介して隣接した位置の主切れ刃5に直接つながる。
【0032】
図中10は、厚み方向に貫通させて中心に設けた取り付け孔、11は、主切れ刃5よりも低い位置に設けた平面の着座面、12は主、副の各切れ刃と着座面11との間に設けた斜面のすくい面である。
【0033】
上面2の中央部には、凹部13をさらに設けている。その凹部13は、着座面11のインサートコーナ間中央部(基本形のインサートのコーナ間の中央部)に着座面11を横断する状態にして設けている。
【0034】
その凹部13の設置によって、着座面11が4つに分断され、インサートコーナ間中央部の着座面がなくなっている。粉末冶金法で製造される切削インサート、中でも、各部の厚みが均一でない切削インサートは、原料粉末のプレス成形時に各部の成形圧に差が生じやすい上に成形後に行う焼結での収縮も各部においてばらつき易いことから、基本形のインサートのコーナ間中央付近において着座面が上に膨らむように変形する傾向がある。
【0035】
その膨らみができると着座面の平坦度が悪化し、支持座との接触が不安定になってカッタボディに対する切削インサート1の取付け位置、取付け姿勢に狂い(誤差)が生じる。このことも加工面の面粗さを低下させる要因となるが、凹部13を設けることでその不具合も解消される。従って、凹部13を併設した例示の切削インサートによれば、加工面の面粗さがより一層改善される。
【0036】
凹部13の深さdは、0.2mm〜1.5mm程度が好ましい。その深さdが0.2mm未満では、深さが不足して着座面のインサートコーナ間中央部の盛り上がりの抑制が不十分になることが懸念される。また、その深さdが1.5mmを超えても着座安定性の更なる向上は望めず、切削インサート全体の強度を低下させるだけである。
【0037】
凹部13の主切れ刃5に沿う方向の幅Wは、基本形のインサートの辺の長さの1/3〜1/5の範囲が適当であった。
【0038】
図7図9に示した第2形態の切削インサート1も、基本構成は第1形態と同じである。この第2形態は、主切れ刃5に沿って上面2にブレーカ溝14を設けており、この部分が第1形態と異なる。
【0039】
ブレーカ溝14は、主切れ刃5側のすくい面12と凹部13との間に設けており、このブレーカ溝14が凹部13の一部として兼用されている。
【0040】
図7図8の15は、切削に関与する切れ刃の位置を確認する識別マークである。この識別マーク15があると、切れ刃のローテーション(使用済みの刃と未使用刃の入れ替え)を正確に行えるが、識別マーク15は好ましい要素に過ぎない。
【0041】
なお、第1形態の切削インサート1は、着座面11を構成する平面が支持座22の輪郭よりも外側まで広がっているが、支持座22と接触する領域よりも外側にある平面は着座面とは考えない。
【0042】
このように構成した第1形態の切削インサートは、副切れ刃と同じ方向に彎曲したコーナ切れ刃7,8を副切れ刃6の両側に設けたので、副切れ刃6と主切れ刃5との間に目立った段差ができない。そのために、加工面のつなぎ目が大きくならず、良好な面粗さが得られる。
【0043】
カッタボディに対する取付けが正常に行なわれているときには、図12(a)に示すように、波の高さhが低くてなおかつ波の頂点が尖った理想的な送りマークができて加工面が良好な面粗さを持つものに仕上げられる。
【0044】
また、図12(b)に示すように、フェース角F.Aが−側(或いは+側)に振れて取付けられたときにも、加工面のつなぎ目はさほど大きくならず、送りマークの断面形状も大して崩れていない良好な仕上げ面が得られる。
【0045】
凹部13を設置したことによって、カッタボディの支持座に対する着座安定性も高まっており、それにより取付け精度の誤差が小さくなるため加工面の更なる粗さ改善も期待できる。
【0046】
例示の切削インサートを使用したフライスカッタの一例を図10図11に示す。図示のフライスカッタ20は、カッタボディ21の外周に座溝23と切屑ポケット24を、回転方向に所定の間隔をあけて複数設けている。
【0047】
そして、各座溝23に切削インサート(図のそれは第2形態)1を挿入し、その切削インサート1を取付けねじ25で支持座22上に固定している。
【0048】
支持座22は、カッタボディ21にシム板26(図10参照)を装着し、そのシム板26に形成しているが、カッタボディ21に直接加工されていても構わない。
【0049】
なお、既知のフライス加工用切削インサートの中に、縦型インサートと称されるものがある。この発明は、側面をすくい面、側面と上面(又は下面)の交差稜を主切れ刃、隣り合う側面間に形成される稜線を副切れ刃として使用するその縦型インサートにも適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 切削インサート
2 上面
3 下面
4 側面
5 主切れ刃
6 副切れ刃
7,8 コーナ切れ刃
9 切削に関与しない稜線
10 取付け孔
11 着座面
12 すくい面
13 凹部
14 ブレーカ溝
15 識別マーク
20 フライスカッタ
21 カッタボディ
22 支持座
23 座溝
24 切屑ポケット
25 取付けねじ
26 シム板
h 波の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15