(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記副水流導入手段は、前記吐出流路の中心軸に対して前記加速流路の中心軸を前記第2水溜部側にずらして配置することで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
前記副水流導入手段は、前記加速流路の前記第1水溜部側の内壁面を延長した第1仮想延長面と、前記受入口における前記吐出流路の前記第1水溜部側の内壁面との距離が第1長さとなり、且つ前記第1仮想延長面を前記第2水溜部側に配置することで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
前記副水流導入手段は、前記加速流路の前記第2水溜部側の内壁面を延長した第2仮想延長面と、前記受入口における前記吐出流路の前記第2水溜部側の内壁面との距離が前記第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ前記第2仮想延長面を前記第2水溜部側に配置することで構成されていることを特徴とする請求項3に記載の吐水装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献2の技術思想は、洗浄水中への空気の混入量を変化させることで吐水に流速変動を与えるものである。しかしながら、本発明者らによる検討によって、上記特許文献2の技術思想では、吐水に大きな流速変動を与えることが困難であることが判明した。上記特許文献2の段落0047では、洗浄水に効率的に空気を混入させるため、細かい気泡を洗浄水に供給することが望ましいものと記載されている。しかしながら、このように細かい気泡を洗浄水に混入させ、更にその混入量を変化させたとしても、吐水に大きな流速変動を付与することは難しいことを本発明者らは見出した。このように吐水の流速変動が小さいと、比較的速度の速い吐水部分が比較的速度の遅い吐水部分に追いつくまでの時間が長く必要となり、対象となる人体に着水するまでに水塊が充分に成長しない場合がある。
【0009】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、大型のポンプを用いることなく、吐水に充分大きな流速変動を与えることができ、吐水から着水までの距離が短い場合であっても充分に大きな水塊を形成することが可能な吐水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明に係る吐水装置は、人体に向けて水を吐出する吐水装置であって、給水路と、加速流路と、吐出流路と、水溜室と、を備える。給水路は、水を供給する流路である。加速流路は、給水路から供給された水を下流側に向けて加速させる加速部と、この加速部で加速された水を加速噴流として更に下流側に向けて噴射する噴射口と、が設けられた流路である。吐出流路は、噴射口から噴射された加速噴流の一部を直接受け入れる受入口と、受入口が受け入れた加速噴流を吐出流として人体に向けて吐出する吐出口と、が設けられ、噴射口の下流側に配置された流路である。水溜室は、噴射口から吐出流路に至る加速噴流が通過する経路である通水経路部と、通水経路部の一側に隣接すると共に溜水を形成する第1水溜部と、通水経路部を挟んで前記第1水溜部とは反対側である通水経路部の他側に隣接すると共に溜水を形成する第2水溜部と、が互いに繋がった一つの空間として構成され、噴射口と吐出流路との間に配置された室である。更に、本発明に係る吐水装置には、第1水溜部で少なくとも一つの大気泡を生成するとともに、この生成した大気泡を通水経路部に間欠的に供給する気泡供給手段が設けられている。
【0011】
気泡供給手段は、空気導入口と、副水流導入手段と、を有する。空気導入口は、第1水溜部において通水経路部とは離間した位置に設けられ、第1水溜部に空気を導入する開口である。副水流導入手段は、空気導入口から導入した空気を第1水溜部で大気泡として成長させるために、噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流を副水流として第1水溜部に導入するものである。
【0012】
副水流導入手段によって第1水溜部に導入された副水流は、空気導入口から第1水溜部に導入された空気を、空気導入口と連通した状態を維持しながら時間経過とともに通水経路部に向けて大きく成長させて少なくとも一つの大気泡を生成する。その生成された大気泡は、加速噴流に所定距離まで近づいた時点で加速噴流の吸引作用によって空気導入口から切り離され、間欠的に通水経路部に供給される。この大気泡の間欠供給によって、大気泡の中を加速噴流が貫通する第一通水状態と、溜水の中を加速噴流が通過する第二通水状態とが交互に繰り返し発生するものである。
【0013】
副水流導入手段は、噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流を、第2水溜部に導入した後に第1水溜部に導入する第1流量が、第2水溜部を経由させずに第1水溜部に導入する第2流量よりも多くなるように、副水流として導入する。
【0014】
上述した本発明によれば、細かい気泡を洗浄水に混入するのではなく、加速噴流に大気泡を間欠的に供給することで、大気泡が供給されその大気泡の中を加速噴流が貫通する第一通水状態と、大気泡が供給されず溜水の中を加速噴流が通過する第二通水状態とを交互に繰り返す状態を作り出すことができる。大気泡の中を加速噴流が貫通する場合は、加速噴流が通過するのは空気内であるため通水抵抗が低く、加速噴流の減速量を小さくできる。一方、溜水の中を加速噴流が通過する場合は、加速噴流が通過するのは水中であるため通水抵抗が高く、加速噴流の減速量を大きくできる。このような大気泡の生成及び大気泡の間欠的な供給という全く新しい手法によって、加速噴流に対する通水抵抗に変動を与え、吐水に大きな流速変動を与えることに成功した。
【0015】
本発明では、大気泡を通水経路部に供給するために、空気導入口及び副水流導入手段を有する気泡供給手段を設けている。空気導入口から第1水溜部に導入された空気は、空気導入口と連通した状態を維持しながら時間経過とともに通水経路部に向けて大きく成長され少なくとも一つの大気泡となる。このような大気泡の成長のためには、第1水溜部に導入された副水流が、流速が低く且つ乱れが少ないものである必要がある。流速が高いか若しくは乱れがある水流であると、第1水溜部に導入された空気が大気泡に成長する前に引きちぎられてしまうためである。
【0016】
そこで本発明における副水流導入手段は、噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流を、第2水溜部に導入した後に第1水溜部に導入する第1流量が、第2水溜部は経由させずに第1水溜部に導入する第2流量よりも多くなるように、副水流として導入する。噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流の一部を第2水溜部に導入した後に第1水溜部に導入すれば、その加速噴流の一部の流速は低くなる。更に、第2水溜部を経由してから第1水溜部に導入されるので、水流の乱れも減衰される。本発明ではこのような加速噴流の一部の水量を、直接第1水溜部に流れ込む残部の水量よりも多くすることで、上述したような流速低減効果と乱流低減効果とを両立させている。
【0017】
より具体的には、第2水溜部に導入された水流は、第2水溜部内を進行し且つ内壁に衝突するといった動きをすることで、減速される。このような減速作用は、水流に乱れを生じさせるものではあるが、本発明では、第1水溜部と第2水溜部とを通水経路部を挟んで配置することで、このような乱流発生の問題を解決している。上述したように通水経路部には加速噴流が流れるものであるから、加速され高い運動エネルギーを持った加速噴流が障壁となって、第2水溜部で乱れた水流がそのまま第1水溜部に向かうことなく、ある程度乱れが減衰されてから第1水溜部に副水流を供給することができる。
【0018】
従って、副水流導入手段によって、副水流を第1水溜部に供給するように構成し、噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流を、第2水溜部に導入した後に第1水溜部に導入する第1水量が、第2水溜部は経由させずに第1水溜部に導入する第2流量よりも多くなるように、副水流として導入することで、第1水溜部に確実に流速が低く乱れも少ない副水流を供給することができる。
【0019】
また本発明に係る吐水装置では、副水流導入手段は、吐出流路の中心軸に対して加速流路の中心軸を第2水溜部側にずらして配置することで構成されることも好ましい。
【0020】
この好ましい態様では、吐出流路の中心軸に対して加速流路の中心軸を第2水溜部側にずらして配置することで、噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流の一部を第2水溜部に導入した後に第1水溜部に導入する一方で、残部を第2水溜部は経由させずに第1水溜部に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流を導入することができる。従って、吐出流路の中心軸に対して加速流路の中心軸を第2水溜部側にずらして配置することで、第1水溜部に確実に流速が低く乱れも少ない副水流を供給することができる。
【0021】
また本発明に係る吐水装置では、副水流導入手段は、加速流路の第1水溜部側の内壁面を延長した第1仮想延長面と、受入口における吐出流路の第1水溜部側の内壁面との距離が第1長さとなり、且つ第1仮想延長面を第2水溜部側に配置することで構成されることも好ましい。
【0022】
この好ましい態様では、第1仮想延長面と、受入口における吐出流路の第1水溜部側の内壁面との距離が第1長さとなり、且つ第1仮想延長面を第2水溜部側に配置することで、第1水溜部に直接向かう加速噴流の残部の水量をより少なくすることができ、第1水溜部における副水流の乱れをより確実に低減することができる。
【0023】
また本発明に係る吐水装置では、副水流導入手段は、加速流路の第2水溜部側の内壁面を延長した第2仮想延長面と、受入口における吐出流路の第2水溜部側の内壁面との距離が第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ第2仮想延長面を第
2水溜部側に配置することで構成されることも好ましい。
【0024】
この好ましい態様では、第2仮想延長面と、受入口における吐出流路の第2水溜部側の内壁面との距離が第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ第2仮想延長面を第
2水溜部側に配置することで、噴射口から噴射された加速噴流が水の中を通過することで拡散した部分を第2水溜部に向かわせることができる。結果として、第2水溜部に向かう加速噴流の流速をより小さくすることができるので、第
2水溜部における副水流の乱れをより確実に低減することができる。
【0025】
また本発明に係る吐水装置では、水溜室は、複数の成形部材を組み合わせて構成されるものであって、噴射口及び受入口は、複数の成形部材のうち、同一の成形部材に設けられていることも好ましい。
【0026】
本発明では、副水流導入手段は、噴射口から吐出流路に直接受け入れられない加速噴流の一部を第2水溜部に導入した後に第1水溜部に導入する一方で、残部を第2水溜部は経由させずに第1水溜部に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流を導入するものである。従って、副水流導入手段を、加速流路と吐出流路との配置を工夫することで実現しようとすれば、加速流路側の噴射口と吐出流路側の受入口との位置関係を精度良く配置することが必要になる。そこでこの好ましい態様では、噴射口と受入口とを同一の成形部材に設けることで、噴射口と受入口とをそれぞれ別部材に形成してから組み上げるよりも互いを精度良く所望の位置に配置することができる。
【0027】
また本発明に係る吐水装置では、空気導入口は、受入口よりも噴射口側に設けられていることも好ましい。
【0028】
本発明では、副水流を受入口側で第1水溜部に導入することになるので、受入口側の第1水溜部では副水流の流速が比較的速く且つ乱れが大きいものとなる。そこでこの好ましい態様では、空気導入口を受入口よりも噴射口側に配置することで大気泡を成長させる領域までの流れる距離を確保し、受入口側で第1水溜部に導入された副水流の流速を低減させ且つその乱れを低減させてから大気泡の生成に寄与させることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、大型のポンプを用いることなく、吐水に充分大きな流速変動を与えることができ、吐水から着水までの距離が短い場合であっても充分に大きな水塊を形成することが可能な吐水装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0032】
本発明の実施形態である吐水装置について説明する。本発明に係る吐水装置は、人体に向けて水を吐出するものであって、大型のポンプを用いることなく、吐水に充分大きな流速変動を与えることができ、吐水から着水までの距離が短い場合であっても充分に大きな水塊を形成することが可能なものである。従って、本発明に係る吐水装置の応用範囲は多岐に渡るものであって、水塊となった吐水を人体に着水することが可能であって、節水効果と洗浄感向上とを両立できるあらゆるものに応用可能なものである。本実施形態の説明では、人体の局部洗浄を行う装置として本発明の吐水装置を応用した一例を説明する。本発明の趣旨に鑑みれば、本発明に係る吐水装置としてはこれに限られるものではない。
【0033】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る吐水装置としての局部洗浄装置WAは、大便器CBに載せて使用されるものである。局部洗浄装置WAは、本体部WAaと、便座WAbと、便蓋WAcと、リモコンWAdとを備えている。本体部WAaは、ノズルNZを有しており、ノズルNZを進退自在に保持している。本体部WAaは、便座WAb及び便蓋WAcを回動自在に保持している。
【0034】
使用者は使用時に、便蓋WAcを
図1に示すように便蓋WAcを上方に回動させ、便座WAbを露出させる。使用者は便座WAbに着座して用便をした後、リモコンWAdを操作してノズルNZに形成された吐出口NZaから吐水させ、自身の局部を洗浄する。使用者は局部洗浄後、リモコンWAdを操作して吐出口NZaからの吐水を停止する。その後使用者は、リモコンWAdを操作して大便器CBに洗浄水を流す。
【0035】
本実施形態では、
図1に示すように、吐水JWの進行方向に沿ったJ軸と、鉛直方向に沿ったV軸とを設定し、このJ軸及びV軸を用いながら局部洗浄装置WAの吐水態様について説明する。
【0036】
本実施形態における吐水初速の変動態様の一例を
図2に示す。
図2に示すように、吐水初速を周期的に変動させることで、吐水初速が低い状態(
図2のFW)から高い状態(
図2のAW)に至るまでは、後続の吐水を先行する吐水に追い付かせる追い付き期間を形成している。周期的に発生する追い付き期間の間は、水塊の形成に寄与せず吐水する期間なので、本実施形態では便宜的に無駄水期間と呼称する。
【0037】
図3に、
図1に示す局部洗浄装置WAの吐水状態を模式的に示す。本実施形態では、大型のポンプを使用することなく、吐水される水の流速を周期的に変動させて、大きな水塊を吐水対象部位に衝突させるように構成されている。
【0038】
このように吐水される水の流速の変動が起こると、
図3の(A)に示すように、吐水JWは、部位Wp1,部位Wp2,部位Wp3,部位Wp4,部位Wp5を含むものとなる。この各部位のそれぞれの流速を、V1,V2,V3,V4,V5とすると、V1(≒V5)<V2(≒V4)<V3となる。
【0039】
よって、吐水直後から
図3の(A)〜(C)へと移行するにつれて、部位Wp3は部位Wp2より速度が大きいから、部位Wp3は部位Wp2と合体し、さらに部位Wp1と合体して大きな水塊となる。
【0040】
このように最大流速の部位Wp3がその前の部位Wp2,部位Wp1と順次合体することにより、大きな塊となって、人体局部に着水することになる。この洗浄水は、人体局部に当たるときには、衝突エネルギ(洗浄強度)が大きい水塊状態となっている。この部位Wp3の流速V3は、最大流速であることから、脈動流で吐水された洗浄水は、合体した水塊の状態が脈動周期ごとに現れるような吐水形態で、吐出口NZaから吐水されていることになる。しかも、脈動周期でこのような現象が起きることから、上記のように最大流速の部位Wp3の合体を経た水塊は繰り返し現れ、ある吐水タイミングでの水塊とその次の吐水タイミングでの部位Wp3の合体を経た水塊とはほぼ同じ速度で吐水されることになる。しかも、このそれぞれの水塊は、最大流速での部位Wp3に遅れて吐水された部位Wp4、部位Wp5で繋がれたような状態となる。
【0041】
本実施形態に係る局部洗浄装置WAは、大型のポンプを用いずに吐水の流速変化をつけ、上述したような繰り返し周期的に現れる水塊による吐水を行うものである。局部洗浄装置WAは、
図1に示したノズルNZの吐出口NZaの上流側に、水溜室10を有している。本実施形態に係る局部洗浄装置WAは、水溜室10によって大気泡を供給することで吐水の流速変化をつけている。この水溜室10の構成について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、水溜室10の概略構成を模式的に示す図である。
【0042】
図4に示すように水溜室10には、空気流路101と、加速流路102と、吐出流路103とが繋がれている。空気流路101、加速流路102、及び吐出流路103は、水溜室10の内部に連通するように設けられた流路である。
【0043】
水溜室10は、全体としては略直方体状の箱形状を成している。水溜室10は、第1壁面108aと、第2壁面108bと、第3壁面108cと、第4壁面108dと、第5壁面108eと、第6壁面108fとによって画定される。
図4には、第1壁面108a,第2壁面108b,第3壁面108c,第4壁面108dのみが矩形を成すように描かれている。
【0044】
第1壁面108aと第2壁面108bとは互いに対向し、且つ互いに略平行に配置されている。第3壁面108cと第4壁面108dとは互いに対向し、且つ第3壁面108cが第4壁面10dに対して傾斜するように配置されている。
【0045】
第5壁面108eと第6壁面108fとは互いに対向する位置に配置される壁面であって、第1壁面108aと、第2壁面108bと、第3壁面108cと、第4壁面108dと、を繋ぐように配置される壁面である。
【0046】
空気流路101は、水溜室10に形成された空気導入口10aを介して、水溜室10内部と連通している。空気導入口10aは、第1壁面108aと第4壁面108dとが突き合わされる角部近傍であって、第4壁面108dの上流側端に形成されている。
【0047】
加速流路102は、噴射口10bを介して、水溜室10内部と連通している。噴射口10bは、第1壁面108aと第3壁面108cとが突き合わされる角部近傍であって、第1壁面108aに形成されている。
【0048】
吐出流路103は、受入口10cを介して、水溜室10内部と連通している。受入口10cは、第2壁面108bと第3壁面108cとが突き合わされる角部近傍であって、第2壁面108bに形成されている。
【0049】
第3壁面108cは、噴射口10bの外縁近傍において第1壁面108aと繋がれている。第3壁面108cは一方で、受入口10cの外縁からはやや離隔して第2壁面108bと繋がれている。
【0050】
本実施形態では、水溜室10内には、通水経路部105と、第1水溜部106と、第2水溜部107とが形成されている。第1水溜部106と第2水溜部107とは、通水経路部105を挟んで反対側に位置するように設けられている。第1水溜部106は、第1壁面108aと第2壁面108bと第4壁面108dとで囲まれる領域に形成されている。第2水溜部107は、第1壁面108aと第2壁面108bと第3壁面108cとで囲まれる領域に形成されている。従って、第1水溜部106は通水経路部105からみて第4壁面108d側に、第2水溜部107は通水経路部105からみて第3壁面108c側に、それぞれ設けられている。
【0051】
空気流路101は、空気導入口10aと大気開放された開口とを繋ぐ流路である。空気流路101から導入される空気は、空気導入口10aから水溜室10の内部に引き込まれる。水溜室10の内部に引きこまれた空気は、気泡BA(詳細については、
図5以降を参照しながら後述する)を形成している。この気泡BAを大気泡に成長させることが、本実施形態の吐水装置である局部洗浄装置WAの機能である。
【0052】
加速流路102は、噴射口10bと給水源に繋がれた給水路104とを繋ぐ流路である。加速流路102は、加速部102aを有している。加速部102aは、給水路104に対して縮径されている部分である。従って、加速流路102から供給される水は、その速度が高められ加速噴流WSm(詳細については、
図5以降を参照しながら後述する)として水溜室10内に噴射される。
【0053】
通水経路部105は、噴射口10bから噴射される加速噴流が通過する領域であって、加速流路102の第1水溜部106側の内壁を延長した第1仮想延長面102Saと、加速流路102の第2水溜部107側の内壁を延長した第2仮想延長面102Sbとで囲まれる領域を含むものである。換言すれば、通水経路部105は、噴射口10bと受入口10cとを繋ぐ領域である。
【0054】
吐出流路103は、受入口10cとノズルNZ(
図1参照)に形成された吐出口NZaとを繋ぐ流路である。本実施形態の場合、噴射口10bと受入口10cとは、ずれた位置に対向配置されている。換言すると、加速流路102の中心軸Ax1と、吐出流路103の中心軸Ax2とをずらして配置している。より具体的には、加速流路102の中心軸Ax1を、吐出流路103の中心軸Ax2よりも第2水溜部107側にずらして配置している。
【0055】
このように、噴射口10bと受入口10cとをずらして配置しているので、第1仮想延長面102Saと受入口10cにおける吐出流路103との最短距離である第1長さと、第2仮想延長面102Sbと受入口10cにおける吐出流路103との最短距離である第2長さとを比較すると、第2長さが第1長さよりも短くなっている。
【0056】
従って、噴射口10bから水溜室10内に噴射される加速噴流WSmは、水溜室10内をJ軸に沿って進行し、受入口10cから吐出流路103に入る。吐出流路103に入った水は、J軸に沿って吐出流路103内を進行し、吐出口NZaから外部へと吐出される。
【0057】
水溜室10内の通水経路部105を除いた残余の領域は、第1水溜部106及び第2水溜部107となっている。第1水溜部106は、通水経路部105に隣接させて溜水PWを形成するための部分である。第1水溜部106には、後述する旋回流である副水流WSs(詳細については、
図5以降を参照しながら後述する)が形成される。
【0058】
本実施形態の場合、噴射口10b及び受入口10cは、矩形となっている水溜室10の一辺側に近接させて配置されている。一方、空気導入口10aは、矩形となっている水溜室10の他辺側に近接配置されている。従って、噴射口10b及び受入口10cと、空気導入口10aとは、離隔配置されている。
【0059】
本実施形態において、第3壁面108cは、噴射口10bを起点として第2仮想延長面102Sbから離れるように設けられている。そして、第3壁面108cと第2壁面108bとが繋がれている部分と、受入口10cとの間には水流の方向に影響を与えられる程度の間隔があけられており、土手部108baが形成されている。
【0060】
続いて、
図5,
図6,
図7,
図8,
図9,
図10を参照しながら、水溜室10における気泡BAの成長・供給について説明する。
図5は、
図4に示す水溜室10において、大気泡BAが成長する初期状態を模式的に示す図である。
図6は、
図5のA―A断面を示す図である。
図7は、
図4に示す水溜室10において、大気泡BAが成長する終期状態を模式的に示す図である。
図8は、
図4に示す水溜室10において、大気泡BAを供給する初期状態を模式的に示す図である。
図9は、
図4に示す水溜室10において、大気泡BAを供給する中期状態を模式的に示す図である。
図10は、
図4に示す水溜室10において、大気泡BAを供給する終期状態を模式的に示す図である。
【0061】
図5に示すように、大気泡BAが成長する初期状態においては、噴射口10bから加速噴流WSmが噴射され、通水経路部105を通過し、受入口10cに向かう。加速噴流WSmは、噴射口10bから噴射されると広がりながら受入口10cに向かうので、その全てが受入口10cから吐出流路103に入るのではなく、第1水溜室106や第2水溜室107に供給される水流が存在し、それが副水流WSsを形成する。
【0062】
本実施形態では、吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部が、分流WSmaとして案内壁である第3壁面108cに沿って流れることにより、第2水溜部107に導入された後に第1水溜部106に導入される。一方で、吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの残部は、第2水溜部107は経由させずに第1水溜部106に導入される。本実施形態では、第2水溜部107を経由して第1水溜部106に向かう水(吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部)の流量が、直接第1水溜部106に向かう水(吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの残部)の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入する。
【0063】
第3壁面108cに沿って流れる分流WSmaは、土手部108baにぶつかり減速される。分流WSmaの減速原因は土手部108baにぶつかるのみではなく、例えば土手部108ba近傍の渦流にぶつかって減速される場合もある。このように減速された分流WSmaは減速分流WSmbとなり、通水経路部105の近傍を第2副水流WSsaとして通過し、第1水溜部106に向かう。
【0064】
図6に示すように、第2副水流WSsaは、第5壁面108eと加速噴流WSmとの間や、第6壁面108fと加速噴流WSmとの間を通って、第2水溜部107から第1水溜部106に向かい、副水流WSsを形成する。
【0065】
このように副水流WSsが、適度に減速され且つ乱れがない状態で形成されると、気泡BAは成長し、
図7に示すような大気泡となる。このように気泡BAが大気泡に成長すると、
図8に示すように、加速噴流WSmの吸引作用によって、通水経路部105に引き込まれる。通水経路部105に引き込まれた大気泡である気泡BAは、
図9に示すように、通水経路部105の略全長に渡って、加速噴流WSmの周囲に存在することになる。従って、加速噴流WSmは、周囲の水の抵抗を受けなくなり、その速度は大気泡BAが存在しない場合に比較して高くなる。このように加速噴流WSmの速度上昇に寄与した大気泡BAは、やがて
図10に示すように、吐出流路103から排出される。
【0066】
上述したように本実施形態に係る吐水装置(局部洗浄装置WA)は、人体に向けて水を吐出する吐水装置であって、給水路104と、加速流路102と、吐出流路103と、水溜室10と、を備える。給水路104は、水を供給する流路である。加速流路102は、給水路104から供給された水を下流側に向けて加速させる加速部102aと、この加速部102aで加速された水を加速噴流WSmとして更に下流側に向けて噴射する噴射口10bと、が設けられた流路である。吐出流路103は、噴射口10bから噴射された加速噴流WSmの一部を直接受け入れる受入口10cと、受入口10cが受け入れた加速噴流WSmを吐出流として人体に向けて吐出する吐出口NZaと、が設けられ、噴射口10bの下流側に配置された流路である。水溜室10は、噴射口10bから吐出流路103に至る加速噴流WSmが通過する経路である通水経路部105と、通水経路部105の一側に隣接すると共に溜水PWを形成する第1水溜部106と、通水経路部105を挟んで第1水溜部106とは反対側である通水経路部105の他側に隣接すると共に溜水PWを形成する第2水溜部107と、が互いに繋がった一つの空間として構成され、噴射口10bと吐出流路103との間に配置された室である。更に、本実施形態に係る吐水装置には、第1水溜部106で少なくとも一つの大気泡BAを生成するとともに、この生成した大気泡BAを通水経路部105に間欠的に供給する気泡供給手段が設けられている。
【0067】
気泡供給手段は、空気導入口10aと、副水流導入手段と、を有する。空気導入口10aは、第1水溜部106において通水経路部105とは離間した位置に設けられ、第1水溜部106に空気を導入する開口である。副水流導入手段は、空気導入口10aから導入した空気を第1水溜部106で大気泡BAとして成長させるために、噴射口10bから吐出流路103に直接受け入れられない加速噴流WSmを副水流WSsとして第1水溜部106に導入するものである。
【0068】
副水流導入手段によって第1水溜部106に導入された副水流WSsは、空気導入口10cから第1水溜部106に導入された空気を、空気導入口10aと連通した状態を維持しながら時間経過とともに通水経路部105に向けて大きく成長させて少なくとも一つの大気泡BAを生成する。その生成された大気泡BAは、加速噴流WSmに所定距離まで近づいた時点で加速噴流WSmの吸引作用によって空気導入口10aから切り離され、間欠的に通水経路部105に供給される。この大気泡BAの間欠供給によって、大気泡BAの中を加速噴流WSmが貫通する第一通水状態と、溜水PWの中を加速噴流WSmが通過する第二通水状態とが交互に繰り返し発生するものである。
【0069】
副水流導入手段は、加速流路102側から吐出流路103側において第1水溜部106から離れる方向に伸びる案内壁である第3壁面108cを、少なくとも噴射口10bの近傍に位置するように有し、噴射口10bから吐出流路103に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部が、分流WSmaとして案内壁である第3壁面108cに沿って流れることにより、第2水溜部107に導入された後に第1水溜部106に導入される一方で、残部を第2水溜部107は経由させずに第1水溜部106に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入する。
【0070】
上述した本実施形態によれば、細かい気泡を洗浄水に混入するのではなく、加速噴流WSmに大気泡BAを間欠的に供給することで、大気泡BAが供給されその大気泡BAの中を加速噴流が貫通する第一通水状態と、大気泡BAが供給されず溜水PWの中を加速噴流WSmが通過する第二通水状態とを交互に繰り返す状態を作り出すことができる。大気泡BAの中を加速噴流WSmが貫通する場合は、加速噴流WSmが通過するのは空気内であるため通水抵抗が低く、加速噴流WSmの減速量を小さくできる。一方、溜水PWの中を加速噴流WSmが通過する場合は、加速噴流WSmが通過するのは水中であるため通水抵抗が高く、加速噴流WSmの減速量を大きくできる。このような大気泡BAの生成及び大気泡BAの間欠的な供給という全く新しい手法によって、加速噴流WSmに対する通水抵抗に変動を与え、吐水に大きな流速変動を与えることに成功した。
【0071】
本実施形態では、大気泡BAを通水経路部105に供給するために、空気導入口10a及び副水流導入手段を有する気泡供給手段を設けている。空気導入口10aから第1水溜部106に導入された空気は、空気導入口10aと連通した状態を維持しながら時間経過とともに通水経路部105に向けて大きく成長され少なくとも一つの大気泡BAとなる。このような大気泡の成長のためには、第1水溜部106に導入された副水流WSsが、流速が低く且つ乱れが少ないものである必要がある。流速が高いか若しくは乱れがある水流であると、第1水溜部106に導入された空気が大気泡BAに成長する前に引きちぎられてしまうためである。
【0072】
そこで本実施形態における副水流導入手段は、加速流路102側から吐出流路103側において第1水溜部106から離れる方向に伸びる案内壁である第3壁面108cを、少なくとも噴射口10bの近傍に位置するように有し、噴射口10bから吐出流路103に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を、案内壁である第3壁面108cに沿って流すことで第2水溜部107に導入した後に第1水溜部106に導入する第1水量を、第2水溜部107は経由させずに第1水溜部106に導入しする第2水量よりも多くなるように、副水流WSsとして導入する。噴射口10bから吐出流路103に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を第2水溜部107に導入した後に第1水溜部106に導入すれば、その加速噴流WSmの一部の流速は低くなる。更に、第2水溜部107を経由してから第1水溜部106に導入されるので、水流の乱れも減衰される。本実施形態ではこのような加速噴流WSmの一部の水量を、直接第1水溜部106に流れ込む残部の水量よりも多くすることで、上述したような流速低減効果と乱流低減効果とを両立させている。
【0073】
より具体的には、第2水溜部107に導入された水流である分流WSmaは、第2水溜部107内を進行し且つ内壁に衝突するといった動きをすることで、減速される。このような減速作用は、水流に乱れを生じさせるものではあるが、本実施形態では、第1水溜部106と第2水溜部107とを通水経路部105を挟んで配置することで、このような乱流発生の問題を解決している。上述したように通水経路部105には加速噴流WSmが流れるものであるから、加速され高い運動エネルギーを持った加速噴流WSmが障壁となって、第2水溜部107で乱れた水流がそのまま第1水溜部106に向かうことなく、ある程度乱れが減衰されてから第1水溜部106に副水流WSsを供給することができる。
【0074】
従って、副水流導入手段によって、副水流WSsを第1水溜部106に供給するように構成し、噴射口10bから吐出流路103に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を案内壁である第3壁面108cに沿わせて第2水溜部107に導入した後に第1水溜部106に導入する一方で、残部を第2水溜部107は経由させずに第1水溜部106に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入することで、第1水溜部106に確実に流速が低く乱れも少ない副水流WSsを供給することができる。
【0075】
また本実施形態では、水溜室10は、噴射口10bが設けられる第1壁面108aと、受入口10cが設けられ第1壁面108aと対向するように配置される第2壁面108bと、第1壁面108aの一端側と第2壁面108bの一端側とを連結し第2水溜部107の一側を画定する第3壁面108cと、を有する。この場合、副水流導入手段は、噴射口10bを、第3壁面108cの近傍に設け、第3壁面108cを、第1壁面108a側から第2壁面108b側にかけて第1水溜部106から離れる方向に伸びるように配置することで構成される。
【0076】
このように、噴射口10bが第3壁面108cの近傍に設けられているので、噴射口10bから噴射された加速噴流WSmの一部は第3壁面108cに沿って流れる。第3壁面108cは、第1壁面108a側から第2壁面108b側にかけて第1水溜部106から離れる方向に伸びるように配置されているので、噴射口10bから噴射された加速噴流WSmの一部は、第3壁面108cに沿って流れることによる第3壁面108cとの間の摩擦抵抗により減速させられ、第2水溜部107に引き込まれる。第2水溜部107に導入された水流である分流WSmaは第2水溜部107を画定する第3壁面108c以外の壁面に衝突することで更に減速されて減速分流WSmbとなるが、第3壁面108cとの間の摩擦抵抗によって既にある程度減速された状態で衝突減速されるため、乱れの状態を低減することができる。従って、第1水溜部107に供給する副水流WSsの乱れをより低減し、大気泡BAの安定した生成供給に寄与させることができる。
【0077】
また本実施形態では、副水流導入手段は、第2壁面108bの一端側と第3壁面108cの一端側とが所定の角度を成すように繋がれるとともに、受入口10cを第3壁面108cから離隔した位置に設けることで、第2壁面108bの一端側と受入口10cとの間に形成される土手部108baを有する。
【0078】
このように、第2壁面108bの一端側と第3壁面108cの一端側とが所定の角度を成すように繋ぐことで、その両壁面の繋ぎ部分である角部において壁面は滑らかに繋がらない状態となる。この滑らかに繋がらない部分を水流の減速機構である土手部108baとして活用するため、本実施形態では、受入口10cを第3壁面108cから離隔した位置に設けている。そのため、第3壁面108cに沿って流れる分流WSmaは土手部108baに当たって更に減速されるか、土手部108ba周辺に形成される渦流に当たって更に減速され、減速分流WSmbとなる。従って、第1水溜部106に供給する副水流WSsの乱れをより低減し、大気泡BAの安定した生成供給に寄与させることができる。
【0079】
また本実施形態では、副水流導入手段は、加速流路102の第1水溜部106側の内壁面を延長した第1仮想延長面102Saと、受入口10cにおける吐出流路103の第1水溜部106側の内壁面との距離が第1長さとなり、且つ第1仮想延長面102Saを第2水溜部107側に配置する構成を有する。
【0080】
このように配置することで、第1水溜部106に直接向かう加速噴流WSmの残部の水量をより少なくすることができ、第3壁面108cによって減速されていない水流の多くの部分を吐出流路103へと供給することができるので、第1水溜部106における副水流WSsの乱れをより確実に低減することができる。
【0081】
また本実施形態では、副水流導入手段は、加速流路102の第2水溜部107側の内壁面を延長した第2仮想延長面102Sbと、受入口10cにおける吐出流路103の第2水溜部107側の内壁面との距離が第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ第2仮想延長面102Sbを第
2水溜部107側に配置する構成を有する。
【0082】
このように構成することで、第2仮想延長面102Sbと、受入口10cにおける吐出流路103の第2水溜部107側の内壁面との距離が第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ第2仮想延長面を第
2水溜部
107側に配置することで、噴射口10bから噴射された加速噴流WSmが水の中を通過することで拡散した部分を第2水溜部107に向かわせることができる。結果として、加速噴流WSmの流速をより小さくすることができるので、第1水溜部106における副水流WSsの乱れをより確実に低減することができる。
【0083】
また本実施形態では、空気導入口10aは、受入口10cよりも噴射口10b側に設けられている。
【0084】
本実施形態では、副水流WSsを受入口10c側で第1水溜部106に導入することになるので、受入口10c側の第1水溜部106では副水流WSsの流速が比較的速く且つ乱れが大きいものとなる。そこで、空気導入口10aを受入口10cよりも噴射口10b側に配置することで大気泡BAを成長させる領域までの流れる距離を確保し、受入口10c側で第1水溜部106に導入された副水流WSsの流速を低減させ且つその乱れを低減させてから大気泡BAの生成に寄与させることができる。
【0085】
また本実施形態では、水溜室10は、複数の成形部材を組み合わせて構成されるものであって、噴射口10b及び受入口10cは、複数の成形部材のうち、同一の成形部材に設けられていることも好ましい。この好ましい一例を、
図11に示す。
図11は、
図4に示す水溜室10を構成する部材を分離して示す概略斜視図である。
【0086】
図11に示すように、水溜室10は、その一部が成形部材P1に凹部として形成され、この凹部を板状の成形部材P2で覆うことで閉じられて形成される。噴射口10b及び加速流路102は成形部材P1に形成され、受入口10c及び吐出流路103も成形部材P1に形成される。空気導入口10aを含む空気流路101は、成形部材P1側の凹部101aと成形部材P2の突起P2bに形成される凹部101bとが合わさることで形成される。第3壁面108cは、成形部材P2の突起P2aに形成されている。
【0087】
本実施形態では、副水流導入手段は、噴射口10bから吐出流路103に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を第2水溜部107に導入した後に第1水溜部106に導入する一方で、残部を第2水溜部107は経由させずに第1水溜部106に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入するものである。従って、副水流導入手段を、加速流路102と吐出流路103との配置を工夫することで実現しようとすれば、加速流路102側の噴射口10bと吐出流路103側の受入口10cとの位置関係を精度良く配置することが必要になる。そこで、噴射口10bと受入口10cとを一体的に形成され水溜室10を構成する部材P1に設けることで、噴射口10bと受入口10cとをそれぞれ別部材に形成してから組み上げるよりも互いを精度良く所望の位置に配置することができる。
【0088】
上述したように本実施形態では、案内壁を第3壁面108cの傾斜によって実現したけれども、案内壁の形成態様はこれに限られるものではない。その一例としての第1変形例を
図12に示す。
図12は、第1変形例としての吐水装置が有する水溜室10Aの概略構成を模式的に示す図である。
【0089】
水溜室10Aでは、第3壁面108cAを、第4壁面108dと平行して対向するように配置している。案内壁としては、加速流路102の水溜室10側の端部を傾斜させた傾斜面102bAを設けている。このように傾斜面102bAを、第3壁面108cA側に設けても、加速噴流WSmの一部を第2水溜部107側に引き寄せて、分流WSmaを形成することができる。
【0090】
加速噴流WSmの一部の進行方向を変えて分流WSmaを形成する観点からは、案内壁を設ける以外にも、
図20に示すような第2変形例が考えられる。
図20は、第2変形例としての吐水装置が有する水溜室30の概略構成を模式的に示す図である。
【0091】
図20に示すように水溜室30には、空気流路301と、加速流路302と、吐出流路303とが繋がれている。空気流路301、加速流路302、及び吐出流路303は、水溜室30の内部に連通するように設けられた流路である。
【0092】
水溜室30は、全体としては略直方体状の箱形状を成している。水溜室30は、第1壁面308aと、第2壁面308bと、第3壁面308cと、第4壁面308dと、第5壁面(第5壁面108eに相当する。図に明示しない)と、第6壁面(第6壁面108fに相当する。図に明示しない)と、によって画定される。
【0093】
第1壁面308aと第2壁面308bとは互いに対向し、且つ互いに略平行に配置されている。第3壁面308cと第4壁面308dとは互いに対向し、且つ互いに略平行に配置されている。
【0094】
空気流路301は、水溜室30に形成された空気導入口30aを介して、水溜室30内部と連通している。空気導入口30aは、第1壁面308aと第4壁面308dとが突き合わされる角部近傍であって、第4壁面308dの上流側端に形成されている。
【0095】
加速流路302は、噴射口30bを介して、水溜室30内部と連通している。噴射口30bは、第1壁面308aと第3壁面308cとが突き合わされる角部近傍であって、第1壁面308aに形成されている。
【0096】
吐出流路303は、受入口30cを介して、水溜室30内部と連通している。受入口30cは、第2壁面308bと第3壁面308cとが突き合わされる角部近傍であって、第2壁面308bに形成されている。
【0097】
水溜室30内には、通水経路部305と、第1水溜部306と、第2水溜部307とが形成されている。第1水溜部306と第2水溜部307とは、通水経路部305を挟んで反対側に位置するように設けられている。第1水溜部306は、第1壁面308aと第2壁面308bと第4壁面308dとで囲まれる領域に形成されている。第2水溜部307は、第1壁面308aと第2壁面308bと第3壁面308cとで囲まれる領域に形成されている。従って、第1水溜部306は通水経路部305からみて第4壁面308d側に、第2水溜部307は通水経路部305からみて第3壁面308c側に、それぞれ設けられている。
【0098】
水溜室30では、第3壁面308cを、第4壁面308dと平行して対向するように配置している。案内壁と同様の機能を有するように、加速流路302の水溜室30側の端部から水溜室30内にかけて、吸引凹部308caを設けている。吸引凹部308caは、加速噴流WSm側から後退するように設けられた凹部である。従って、吸引凹部308ca内に渦流が発生するように構成され、この渦流の発生により吸引負圧が発生する。この吸引負圧の効果により、加速噴流WSmの一部が第3壁面308c側に引かれ、分流WSmaとして第2水溜部307に向かう。このように吸引凹部308caを、第3壁面308c側に設けても、加速噴流WSmの一部を第2水溜部307側に引き寄せて、分流WSmaを形成することができる。
【0099】
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、副水流導入手段を、吐出流路の中心軸に対して加速流路の中心軸を第2水溜部側にずらして配置することで構成するものである。尚、第2実施形態に係る吐水装置は、全体構成としては第1実施形態の吐水装置と同様であり、水溜室の構造が異なるものであるので、水溜室の構造について説明する。
図13に、本発明の第2実施形態に係る吐水装置が有する水溜室20の概略構成を模式的に示す。
【0100】
図13に示すように水溜室20には、空気流路201と、加速流路202と、吐出流路203とが繋がれている。空気流路201、加速流路202、及び吐出流路203は、水溜室20の内部に連通するように設けられた流路である。
【0101】
水溜室20は、全体としては略直方体状の箱形状を成している。水溜室20は、第1壁面208aと、第2壁面208bと、第3壁面208cと、第4壁面208dと、第5壁面208eと、第6壁面208fとによって画定される。
図13には、第1壁面208a,第2壁面208b,第3壁面208c,第4壁面208dのみが矩形を成すように描かれている。
【0102】
第1壁面208aと第2壁面208bとは互いに対向し、且つ互いに略平行に配置されている。第3壁面208cと第4壁面208dとは互いに対向し、且つ互いに略平行に配置されている。
【0103】
第5壁面208eと第6壁面208fとは互いに対向する位置に配置される壁面であって、第1壁面208aと、第2壁面208bと、第3壁面208cと、第4壁面208dと、を繋ぐように配置される壁面である。
【0104】
空気流路201は、水溜室20に形成された空気導入口20aを介して、水溜室20内部と連通している。空気導入口20aは、第1壁面208aと第4壁面208dとが突き合わされる角部近傍であって、第4壁面208dの上流側端に形成されている。
【0105】
加速流路202は、噴射口20bを介して、水溜室20内部と連通している。噴射口20bは、第1壁面208aと第3壁面208cとが突き合わされる角部近傍であって、第1壁面208aに形成されている。
【0106】
吐出流路203は、受入口20cを介して、水溜室20内部と連通している。受入口20cは、第2壁面208bと第3壁面208cとが突き合わされる角部近傍であって、第2壁面208bに形成されている。
【0107】
第3壁面208cは、噴射口20bの外縁からは、やや離隔して第1壁面208aと繋がれている。第3壁面208cは一方で、受入口20cの外縁からも、やや離隔して第2壁面208bと繋がれている。
【0108】
水溜室20内には、通水経路部205と、第1水溜部206と、第2水溜部207とが形成されている。第1水溜部206と第2水溜部207とは、通水経路部205を挟んで反対側に位置するように設けられている。第1水溜部206は、第1壁面208aと第2壁面208bと第4壁面208dとで囲まれる領域に形成されている。第2水溜部207は、第1壁面208aと第2壁面208bと第3壁面208cとで囲まれる領域に形成されている。従って、第1水溜部206は通水経路部205からみて第4壁面208d側に、第2水溜部207は通水経路部205からみて第3壁面208c側に、それぞれ設けられている。
【0109】
空気流路201は、空気導入口20aと大気開放された開口とを繋ぐ流路である。空気流路201から導入される空気は、空気導入口20aから水溜室20の内部に引き込まれる。水溜室20の内部に引きこまれた空気は、気泡BA(詳細については、
図14以降を参照しながら後述する)を形成している。この気泡BAを大気泡に成長させることが、本実施形態の吐水装置である局部洗浄装置WAの機能である。
【0110】
加速流路202は、噴射口20bと給水源に繋がれた給水路204とを繋ぐ流路である。加速流路202は、加速部202aを有している。加速部202aは、給水路204に対して縮径されている部分である。従って、加速流路202から供給される水は、その速度が高められ加速噴流WSm(詳細については、
図14以降を参照しながら後述する)として水溜室20内に噴射される。
【0111】
通水経路部205は、噴射口20bから噴射される加速噴流が通過する領域であって、加速流路202の第1水溜部206側の内壁を延長した第1仮想延長面202Saと、加速流路202の第2水溜部207側の内壁を延長した第2仮想延長面202Sbとで囲まれる領域を含むものである。換言すれば、通水経路部205は、噴射口20bと受入口20cとを繋ぐ領域である。
【0112】
吐出流路203は、受入口20cとノズルNZ(
図1参照)に形成された吐出口NZaとを繋ぐ流路である。本実施形態の場合、噴射口20bと受入口20cとは、ずれた位置に対向配置されている。換言すると、加速流路202の中心軸Ax3と、吐出流路203の中心軸Ax4とをずらして配置している。より具体的には、加速流路202の中心軸Ax3を、吐出流路203の中心軸Ax4よりも第2水溜部207側にずらして配置している。
【0113】
このように、噴射口20bと受入口20cとをずらして配置しているので、第1仮想延長面202Saと受入口20cにおける吐出流路203との最短距離である第1長さと、第2仮想延長面202Sbと受入口20cにおける吐出流路203との最短距離である第2長さとを比較すると、第2長さが第1長さよりも短くなっている。更に、第2日総延長面202Sbは、受入口20cにおける吐出流路203の内壁面よりも、第3壁面208c側に配置されている。
【0114】
従って、噴射口20bから水溜室20内に噴射される加速噴流WSmは、水溜室20内をJ軸に沿って進行し、その一部が受入口20cから吐出流路203に入る。吐出流路203に入った水は、J軸に沿って吐出流路203内を進行し、吐出口NZaから外部へと吐出される。
【0115】
水溜室20内の通水経路部205を除いた残余の領域は、第1水溜部206及び第2水溜部207となっている。第1水溜部206は、通水経路部205に隣接させて溜水PWを形成するための部分である。第1水溜部206には、後述する旋回流である副水流WSs(詳細については、
図14以降を参照しながら後述する)が形成される。
【0116】
噴射口20b及び受入口20cは、矩形となっている水溜室20の一辺側に近接させて配置されている。一方、空気導入口20aは、矩形となっている水溜室20の他辺側に近接配置されている。従って、噴射口20b及び受入口20cと、空気導入口20aとは、離隔配置されている。
【0117】
本実施形態において、第3壁面208cと第2壁面208bとが繋がれている部分と、受入口20cとの間には水流の方向に影響を与えられる程度の間隔があけられており、土手部208baが形成されている。
【0118】
続いて、
図14,
図15,
図16,
図17,
図18,
図19を参照しながら、水溜室20における気泡BAの成長・供給について説明する。
図14は、
図13に示す水溜室20において、大気泡BAが成長する初期状態を模式的に示す図である。
図15は、
図14のB―B断面を示す図である。
図16は、
図13に示す水溜室20において、大気泡BAが成長する終期状態を模式的に示す図である。
図17は、
図13に示す水溜室20において、大気泡BAを供給する初期状態を模式的に示す図である。
図18は、
図13に示す水溜室20において、大気泡BAを供給する中期状態を模式的に示す図である。
図19は、
図13に示す水溜室20において、大気泡BAを供給する終期状態を模式的に示す図である。
【0119】
図14に示すように、大気泡BAが成長する初期状態においては、噴射口20bから加速噴流WSmが噴射され、通水経路部205を通過し、受入口20cに向かう。加速噴流WSmは、噴射口20bから噴射されると広がりながら受入口20cに向かうので、その全てが受入口20cから吐出流路203に入るのではなく、第1水溜室206や第2水溜室207に供給される水流が存在し、それが副水流WSsを形成する。
【0120】
本実施形態では、吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部が、土手部208baに当たることで方向が変えられ、第2水溜部207に導入された後に第1水溜部206に導入される。一方で、吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの残部は、第2水溜部207は経由させずに第1水溜部206に導入される。本実施形態では、第2水溜部207を経由して第1水溜部206に向かう水(吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部)の第1流量が、直接第1水溜部206に向かう水(吐出流路に直接受け入れられない加速噴流WSmの残部)の第2流量よりも多くなるように副水流WSsを導入する。
【0121】
加速噴流WSmの一部は、土手部208baにぶつかり減速される。このように減速された加速噴流WSmの一部は減速分流WSmbとなり、通水経路部205の近傍を第2副水流WSsaとして通過し、第1水溜部206に向かう。
【0122】
図15に示すように、第2副水流WSsaは、第5壁面208eと加速噴流WSmとの間や、第6壁面208fと加速噴流WSmとの間を通って、第2水溜部207から第1水溜部206に向かい、副水流WSsを形成する。
【0123】
このように副水流WSsが、適度に減速され且つ乱れがない状態で形成されると、気泡BAは成長し、
図16に示すような大気泡となる。このように気泡BAが大気泡に成長すると、
図17に示すように、加速噴流WSmの吸引作用によって、通水経路部205に引き込まれる。通水経路部205に引き込まれた大気泡である気泡BAは、
図18に示すように、通水経路部205の略全長に渡って、加速噴流WSmの周囲に存在することになる。従って、加速噴流WSmは、周囲の水の抵抗を受けなくなり、その速度は大気泡BAが存在しない場合に比較して高くなる。このように加速噴流WSmの速度上昇に寄与した大気泡BAは、やがて
図19に示すように、吐出流路203から排出される。
【0124】
上述したように本実施形態に係る吐水装置(局部洗浄装置WA)は、水溜室20を備える。水溜室20は、副水流導入手段を備え、副水流導入手段は、吐出流路203の中心軸Ax4に対して加速流路202の中心軸Ax3を第2水溜部207側にずらして配置することで構成される。
【0125】
このように、吐出流路203の中心軸Ax4に対して加速流路202の中心軸Ax3を第2水溜部207側にずらして配置することで、噴射口20bから吐出流路203に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を第2水溜部207に導入した後に第1水溜部206に導入する一方で、残部を第2水溜部207は経由させずに第1水溜部206に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入することができる。従って、吐出流路203の中心軸Ax4に対して加速流路202の中心軸Ax3を第2水溜部207側にずらして配置することで、第1水溜部206に確実に流速が低く乱れも少ない副水流WSsを供給することができる。
【0126】
また本実施形態では、副水流導入手段は、加速流路202の第1水溜部206側の内壁面を延長した第1仮想延長面202Saと、受入口20cにおける吐出流路203の第1水溜部側の内壁面との距離が第1長さとなり、且つ第1仮想延長面202Saを第2水溜部207側に配置することで構成される。
【0127】
このように、第1仮想延長面202Saと、受入口20cにおける吐出流路203の第1水溜部206側の内壁面との距離が第1長さとなり、且つ第1仮想延長面202Saを第2水溜部207側に配置することで、第1水溜部206に直接向かう加速噴流WSmの残部の水量をより少なくすることができ、第1水溜部206における副水流WSsの乱れをより確実に低減することができる。
【0128】
また本実施形態では、副水流導入手段は、加速流路202の第2水溜部207側の内壁面を延長した第2仮想延長面202Sbと、受入口20cにおける吐出流路203の第2水溜部207側の内壁面との距離が第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ第2仮想延長面202Sbを第2水溜部207側に配置することで構成される。
【0129】
このように、第2仮想延長面202Sbと、受入口20cにおける吐出流路203の第2水溜部207側の内壁面との距離が第1長さよりも短い第2長さとなり、且つ第2仮想延長面202Sbを第2水溜部207側に配置することで、加速噴流の一部を受入口20c周囲の壁面である土手部208baを利用して第2水溜部207に導入することができる。従って、加速噴流WSmが自然に拡散した部分を含め加速噴流WSmの一部を確実に第2水溜部207に向かわせることができる。結果として、第2水溜部207に向かう水量を増やし、第1水溜部206に向かう水量を減じることができるので、第1水溜部206における副水流WSsの乱れをより確実に低減することができる。
【0130】
また本実施形態においても上述した第1実施形態と同様に、水溜室20を複数の成形部材P1と成形部材P2とを組み合わせて構成し、噴射口20bと受入口20cとを、同一の成形部材である成形部材P1に設けることも好ましい。
【0131】
副水流導入手段は、噴射口20bから吐出流路203に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を第2水溜部207に導入した後に第1水溜部206に導入する一方で、残部を第2水溜部207は経由させずに第1水溜部206に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入するものである。従って、副水流導入手段を、加速流路202と吐出流路203との配置を工夫することで実現しようとすれば、加速流路202側の噴射口20bと吐出流路203側の受入口20cとの位置関係を精度良く配置することが必要になる。そこで、噴射口20bと受入口20cとを、水溜室20の一部を構成する成形部材P1に設けることで、噴射口20bと受入口20cとをそれぞれ別部材に形成してから組み上げるよりも互いを精度良く所望の位置に配置することができる。
【0132】
また本実施形態では、空気導入口20aは、受入口20cよりも噴射口20b側に設けられている。
【0133】
本実施形態では、副水流WSsを受入口20c側で第1水溜部206に導入することになるので、受入口20c側の第1水溜部206では副水流WSsの流速が比較的速く且つ乱れが大きいものとなる。そこで、空気導入口20aを受入口20cよりも噴射口20b側に配置することで大気泡BAを成長させる領域までの流れる距離を確保し、受入口20c側で第1水溜部206に導入された副水流WSsの流速を低減させ且つその乱れを低減させてから大気泡BAの生成に寄与させることができる。
【0134】
上述した第1実施形態及び第2実施形態における副水流導入手段を総括すると、副水流導入手段は、噴射口10b,20bから吐出流路103,203に直接受け入れられない加速噴流WSmを、第2水溜部107,207に導入した後に第1水溜部106,206に導入する第1流量が、第2水溜部107,207を経由させずに第1水溜部106,206に導入する第2流量よりも多くなるように、副水流WSsとして導入するものである。
【0135】
噴射口10b,20bから吐出流路103,203に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を第2水溜部107,207に導入した後に第1水溜部106,206に導入すれば、その加速噴流WSmの一部の流速は低くなる。更に、第2水溜部107,207を経由してから第1水溜部106,206に導入されるので、水流の乱れも減衰される。このような加速噴流WSmの一部の水量を、直接第1水溜部106,206に流れ込む残部の水量よりも多くすることで、上述したような流速低減効果と乱流低減効果とを両立させている。
【0136】
より具体的には、第2水溜部107,207に導入された水流は、第2水溜部107,207内を進行し且つ内壁に衝突するといった動きをすることで、減速される。このような減速作用は、水流に乱れを生じさせるものではあるが、第1水溜部106,206と第2水溜部107,207とを通水経路部105,205を挟んで配置することで、このような乱流発生の問題を解決している。上述したように通水経路部105,205には加速噴流WSmが流れるものであるから、加速され高い運動エネルギーを持った加速噴流WSmが障壁となって、第2水溜部107,207で乱れた水流がそのまま第1水溜部106,206に向かうことなく、ある程度乱れが減衰されてから第1水溜部106,206に副水流WSsを供給することができる。
【0137】
従って、副水流導入手段によって、副水流WSsを第1水溜部106,206に供給するように構成し、噴射口10b,20bから吐出流路103,203に直接受け入れられない加速噴流WSmの一部を第2水溜部107,207に導入した後に第1水溜部106,206に導入する一方で、残部を第2水溜部107,207は経由させずに第1水溜部106,206に導入し、一部の流量が残部の流量よりも多くなるように副水流WSsを導入することで、第1水溜部106,206に確実に流速が低く乱れも少ない副水流WSsを供給することができる。