特許第6010855号(P6010855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010855
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】アシスタントグリップの取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/02 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B60N3/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-145152(P2012-145152)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-8817(P2014-8817A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097386
【弁理士】
【氏名又は名称】室之園 和人
(72)【発明者】
【氏名】一色 泰範
【審査官】 永安 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−095226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフパネルの側部に接合されるルーフサイドレールインナパネルにアシスタントグリップが支持ブラケットを介して取り付けられているアシスタントグリップの取り付け構造であって、
前記支持ブラケットは、前記アシスタントグリップが取り付けられる取り付け面部と、
前記ルーフサイドレールインナパネルに取り付けられる脚部とを備え、
前記脚部は、前記取り付け面部の車両前方側の端部に連設された前側脚部と、
前記取り付け面部の車両後方側の端部に連設された後側脚部と、
前記取り付け面部の下端部に連設された下側脚部とから成り、
前記下側脚部の先端部から長手方向中間部にわたって下方に膨出する膨出部が前記下側脚部に形成され、
前記前側脚部と後側脚部と下側脚部に、衝撃荷重の入力により容易に変形する易変形部が設けられていて、
前記支持ブラケットの下方には車両前後方向に沿ってエアバッグが配置されているアシスタントグリップの取り付け構造。
【請求項2】
前記前側脚部と前記取り付け面部を接続する接続部を前記前側脚部と取り付け面部に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記前側脚部の易変形部が構成され、
前記後側脚部と前記取り付け面部を接続する接続部を前記後側脚部と取り付け面部に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記後側脚部の易変形部が構成されている請求項1記載のアシスタントグリップの取り付け構造。
【請求項3】
前記下側脚部の基端部を非膨出部に形成して前記下側脚部の易変形部が構成されている請求項1又は2記載のアシスタントグリップの取り付け構造。
【請求項4】
前記取り付け面部の車両前方側の端部と車両後方側の端部と下端部に、前記ルーフサイドレールインナパネル側に張り出す前側フランジと後側フランジと下側フランジとが連続して設けられ、
前記前側フランジと後側フランジと下側フランジに囲まれる前記取り付け面部の裏側空間は上方に開放している請求項1〜3のいずれか一つに記載のアシスタントグリップの取り付け構造。
【請求項5】
前記取り付け面部に、前記ルーフサイドレールインナパネル側に凹む凹部が設けられている請求項4記載のアシスタントグリップの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
ルーフパネルの側部に接合されるルーフサイドレールインナパネルにアシスタントグリップが支持ブラケットを介して取り付けられているアシスタントグリップの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のアシスタントグリップの取り付け構造において、前記支持ブラケットを例えば断面ハット形状に形成した場合、使用中のアシスタントグリップに加わる荷重に対して強度上不利になる等の問題があることから、従来、特許文献1の技術が開発されていた。
この特許文献1の技術では、前記支持ブラケットを、アシスタントグリップが取り付けられる取り付け面部と、ルーフサイドレールインナパネルに取り付けられる脚部とで構成し、前記脚部を、前側脚部と後側脚部と上側脚部とで構成してあった。
特許文献1の図3に記載されているように、前記前側脚部は取り付け面部の車両前方側の端部に連設され、後側脚部は取り付け面部の車両後方側の端部に連設され、上側脚部は取り付け面部の上端部に連設されている。
また、特許文献1の図5に記載されているように、前側脚部と後側脚部と上側脚部の強度を向上させる手段として、各脚部の両側部に、脚部の外側に張り出すフランジ(図5における符号M)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−137012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術によれば、アシスタントグリップを使用する際の荷重を3点支持構造により充分に支持することができて、使用中のアシスタントグリップに加わる荷重に対する支持強度を向上させることができる。
しかしながら、アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合、衝撃荷重によるエネルギを充分に吸収することができなかった。
【0005】
本発明の目的は、使用時におけるアシスタントグリップの支持強度を充分に確保することができながら、アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合、この衝撃荷重によるエネルギを効果的に吸収することができるアシスタントグリップの取付構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、
ルーフパネルの側部に接合されるルーフサイドレールインナパネルにアシスタントグリップが支持ブラケットを介して取り付けられているアシスタントグリップの取り付け構造であって、
前記支持ブラケットは、前記アシスタントグリップが取り付けられる取り付け面部と、
前記ルーフサイドレールインナパネルに取り付けられる脚部とを備え、
前記脚部は、前記取り付け面部の車両前方側の端部に連設された前側脚部と、
前記取り付け面部の車両後方側の端部に連設された後側脚部と、
前記取り付け面部の下端部に連設された下側脚部とから成り、
前記下側脚部の先端部から長手方向中間部にわたって下方に膨出する膨出部が前記下側脚部に形成され、
前記前側脚部と後側脚部と下側脚部に、衝撃荷重の入力により容易に変形する易変形部が設けられていて、
前記支持ブラケットの下方には車両前後方向に沿ってエアバッグが配置されている点にある。(請求項1)
【0007】
この構成によれば、使用中のアシスタントグリップに加わる荷重を、前側脚部と後側脚部と下側脚部により3点支持することができる。また、前記下側脚部の先端部から長手方向中間部にわたって下方に膨出する膨出部が下側脚部に形成されているから、下側脚部の強度を向上させることができる。これにより、使用中のアシスタントグリップに加わる荷重を充分に支持することができて、使用中のアシスタントグリップの支持強度を向上させることができる。
そして、アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合、衝撃荷重の入力により前記前側脚部と後側脚部と下側脚部の易変形部が容易に変形し、衝撃荷重によるエネルギを効果的に吸収することができる。
このように、使用中のアシスタントグリップの支持強度の向上と、衝撃荷重によるエネルギの吸収性能の向上とを両立させることができる。
また、下側脚部の強度を向上させる手段として、前記下側脚部の先端部から長手方向中間部にわたって下方に膨出する膨出部を前記下側脚部に形成してあるから、次の効果を得ることができる。
すなわち、通常、支持ブラケットの下方には、折り畳み状態のエアバッグが車両前後方向に沿って配置される。本発明の上記構成によれば、下側脚部に前記膨出部が形成されている。従って、下側脚部の側縁がエアバッグ側(下方)を向かなくなり、例えば、脚部の側部に、脚部の外側に張り出すフランジを形成して脚部の強度を向上させる従来の技術に比べると、エアバッグが膨張展開した時に下側脚部の側縁にエアバッグが引っ掛かりにくくなる。(請求項1)
【0008】
本発明において、
前記前側脚部と前記取り付け面部を接続する接続部を前記前側脚部と取り付け面部に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記前側脚部の易変形部が構成され、
前記後側脚部と前記取り付け面部を接続する接続部を前記後側脚部と取り付け面部に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記後側脚部の易変形部が構成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項2)
【0009】
アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合に前記前側脚部の易変形部と後側脚部の易変形部を容易に変形させることができる。また、前記前側脚部の易変形部と後側脚部の易変形部を容易に製作することができる。(請求項2)
【0010】
本発明において、
前記下側脚部の基端部を非膨出部に形成して前記下側脚部の易変形部が構成されていると、次の作用を奏することができる。(請求項3)
【0011】
アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合に前記前側脚部の易変形部と後側脚部の易変形部を容易に変形させることができる。(請求項3)
【0012】
本発明において、
前記取り付け面部の車両前方側の端部と車両後方側の端部と下端部に、前記ルーフサイドレールインナパネル側に張り出す前側フランジと後側フランジと下側フランジとが連続して設けられ、
前記前側フランジと後側フランジと下側フランジに囲まれる前記取り付け面部の裏側空間は上方に開放していると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
【0013】
前記取り付け面部の車両前方側の端部と車両後方側の端部と下端部に、前記ルーフサイドレールインナパネル側に張り出す前側フランジと後側フランジと下側フランジとが連続して設けられているから、前記取り付け面部の剛性を向上させることができる。
また、前記取り付け面部の上端部にはフランジが設けられることなく、前記前側フランジと後側フランジと下側フランジに囲まれる前記取り付け面部の裏側空間は上方に開放しているから、取り付け面部の剛性が向上しすぎることを防止することができる。その結果、アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合に前記取り付け面部を変形させやすくすることができる。また、前記取り付け面部の上端部にフランジが設けられていないことで、取り付け面部を容易に成形することができて、成形性を向上させることができる。(請求項4)
【0014】
本発明において、
前記取り付け面部に、前記ルーフサイドレールインナパネル側に凹む凹部が設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項5)
【0015】
前記取り付け面部の上端部にフランジが設けられていないことに起因して、取り付け面部の剛性が弱くなり過ぎることを回避することができる。つまり、前記取り付け面部の剛性を向上させて、アシスタントグリップの取り付け面部への取り付け強度を向上させることができる。(請求項5)
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、
使用時におけるアシスタントグリップの支持強度を充分に確保することができながら、アシスタントグリップに衝撃荷重が加わった場合、この衝撃荷重によるエネルギを効果的に吸収することができるアシスタントグリップの取付構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】支持ブラケットの斜視図
図2】支持ブラケットを取り付け面部の上方から見た図
図3】支持ブラケットを下側脚部の外方側から見た図
図4】支持ブラケットとルーフサイドレールインナパネルとの分解斜視図
図5】別実施形態の支持ブラケットとルーフサイドレールインナパネルと格納状態のアシスタントグリップとを示す斜視図
図6】別実施形態の支持ブラケットとルーフサイドレールインナパネルと使用状態のアシスタントグリップとを示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図4に示すように、ルーフパネルの側部に接合されるルーフサイドレールインナパネル1の取り付け部2に金属製の前後一対の支持ブラケット10が取り付けられる。そして、、前記前後一対の支持ブラケット10を介してルーフサイドレールインナパネル1にアシスタントグリップ50(図5参照)が取り付けられている。
【0019】
アシスタントグリップ50は乗員が乗降動作を行なう際又は走行時の揺れから体を安定させる際に把持する合成樹脂製の部品である。乗員がアシスタントグリップ50を把持した状態で乗降動作を行うことで、乗降動作を容易に行なうことができる。
【0020】
[アシスタントグリップ50の構造]
前記アシスタントグリップ50はほぼコの字状に形成され、アシスタントグリップ50の両端部50Aが左右一対の支持ブラケット10に取り付けられている。アシスタントグリップ50の不使用時には、アシスタントグリップ50はルーフライナーに形成された格納凹部に格納される(図5参照)。
【0021】
図示はしないが、アシスタントグリップ50とルーフサイドレールインナパネル1の間に、アシスタントグリップ50を格納凹部側に付勢する付勢手段が設けられている。アシスタントグリップ50の使用時には、アシスタントグリップ50は、乗員により基端部側の車両前後方向に沿う軸芯周りに揺動回転させられて使用位置に引き出される(図6参照)。
【0022】
[支持ブラケット10の構造]
図1図3に示すように、支持ブラケット10は、1枚の金属板から成るブラケット素材をプレス成形して形成されている。この支持ブラケット10は、アシスタントグリップ50が取り付けられる取り付け面部11と、ルーフサイドレールインナパネル1に取り付けられる脚部30とを備えている。取り付け面部11は長方形の平板状に形成され、中央部に長方形のアシスタントグリップ取り付け孔11Hが形成されている。
【0023】
前記脚部30は、取り付け面部11の車両前方側Frの端部に連設された前側脚部12と、取り付け面部11の車両後方側Rrの端部に連設された後側脚部13と、取り付け面部11の下端部に連設された下側脚部14とから成る。下側脚部14の下方には、車両前後方向に沿う折り畳み状態のエアバッグ45(カーテンエアバッグ、図2参照)が配置される。
【0024】
また、前側脚部12と後側脚部13と下側脚部14の先端部に、各脚部12,13,14の外側に延びる取り付けフランジ12F,13F,14Fが形成されている。各取り付けフランジ12F,13F,14Fはルーフサイドレールインナパネル1に溶接接合(スポット溶接である)される。ルーフサイドレールインナパネル1は車両前後方向に長く形成されている。
【0025】
前記下側脚部14の先端部から長手方向中間部にわたって下方(下側脚部14の外側)に膨出する膨出部18が下側脚部14の両側部に形成されている。膨出部18は下側脚部14の基端部側(付け根側)に近づくにつれて徐々に幅狭になっている。そして、前記膨出部18の外側の一側部が下側脚部14の幅方向外側に張り出して、板面(壁面)が下側脚部14の表裏方向を向く張り出し壁19Mが形成されている。さらに、張り出し壁19Mの側部(張り出し方向の先端部)から張り出し壁19Mの裏側(上方)に側壁19Sが延出している。
【0026】
図2に示すように、前記側壁19Sは、張り出し壁19Mの裏面から遠い側ほど前記下側脚部14の幅方向外側に位置するように傾斜している。そして、前記側壁19Sの延出方向の先端部は、車両前後方向から見て、前側脚部12又は後側脚部13の側部と重複している。
【0027】
前記張り出し壁19Mと側壁19Sは、前記エアバッグ45に対して前側脚部12の下側の端縁12E(図2参照)と後側脚部13の下側の端縁13Eとを覆い隠している。そして、エアバッグの膨張展開時に、前側脚部12の下側の端縁12Eと後側脚部13の下側の端縁13Eとにエアバッグ45がぶつかることを張り出し壁19Mと側壁19Sにより防止する。
【0028】
また、前側脚部12と後側脚部13と下側脚部14に、衝撃荷重の入力により容易に変形する易変形部16M,16K,16Sが設けられている。詳述すると、前側脚部12と取り付け面部11を接続する接続部を前側脚部12と取り付け面部11に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記前側脚部12の易変形部16Mが構成されている。また、後側脚部13と取り付け面部11を接続する接続部を後側脚部13と取り付け面部11に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記後側脚部13の易変形部16Kが構成されている。さらに、前記下側脚部14の基端部を非膨出部に形成して前記下側脚部14の易変形部16Sが構成されている。
【0029】
上記の構成により、
使用中のアシスタントグリップ50に加わる荷重を、前側脚部12と後側脚部13と下側脚部14により3点支持することができる。また、前記下側脚部14の先端部から長手方向中間部にわたって下方に膨出する膨出部18が下側脚部14の両側部に形成されているから、下側脚部14の強度を向上させることができる。これにより、使用中のアシスタントグリップ50に加わる荷重を充分に支持することができて、使用中のアシスタントグリップ50の支持強度を向上させることができる。
【0030】
前記膨出部18は前記取り付けフランジ12F,13F,14Fには形成されていない。すなわち、取り付けフランジ12F,13F,14Fに膨出部を形成することなく、下側脚部14の両側部に膨出部18を形成してあるから、スポット溶接の溶接部を取り付けフランジ12F,13F,14Fに確保することができる。
【0031】
アシスタントグリップ50に衝撃荷重が加わった場合、衝撃荷重の入力により前記前側脚部12と後側脚部13と下側脚部14の易変形部16M,16K,16Sが容易に変形する。これにより、衝撃荷重によるエネルギを効果的に吸収することができる。
【0032】
このように、使用中のアシスタントグリップ50の支持強度の向上と、衝撃荷重によるエネルギの吸収性能の向上とを両立させることができる。また、下側脚部14の強度を向上させる手段として、前記下側脚部14の先端部から長手方向中間部にわたって下方に膨出する膨出部18を下側脚部14の両側部に形成してあるから、次の効果を得ることができる。
【0033】
すなわち、下側脚部14の側縁がエアバッグ45側(下方)を向かなくなり、例えば、脚部の側部に、脚部の外側に張り出すフランジを形成して脚部の強度を向上させる従来の技術に比べると、エアバッグ45が膨張展開した時に下側脚部14の側縁に前記エアバッグ45が引っ掛かりにくくなる。
【0034】
上記のように、前記前側脚部12と取り付け面部11を接続する接続部を前側脚部12と取り付け面部11に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記前側脚部12の易変形部16Mが構成されている。また、後側脚部13と取り付け面部11を接続する接続部を後側脚部13と取り付け面部11に対して傾斜した傾斜壁状に形成して前記後側脚部13の易変形部16Kが構成されている。さらに、前記下側脚部14の基端部を非膨出部に形成して下側脚部14の易変形部16Sが構成されている。従って、アシスタントグリップ50に衝撃荷重が加わった場合に前側脚部12の易変形部16Mと後側脚部13の易変形部16Kと下側脚部14の易変形部16Sを容易に変形させることができる。
【0035】
[別実施形態]
上記の第1実施形態と異なる構造について説明する。
図5図6に示すように、前記取り付け面部11の車両前方側Frの端部と車両後方側Rrの端部と下端部に、ルーフサイドレールインナパネル1側に張り出す前側フランジ11Mと後側フランジと下側フランジ11Kとが連続して設けられている。
【0036】
前記取り付け面部11の上端部にはフランジは設けられず、前側フランジ11Mと後側フランジと下側フランジ11Kに囲まれる取り付け面部11の裏側空間は上方に開放している。取り付け面部11には前後一対の位置決め孔11Cが形成されている。
【0037】
図5図6における符号20は、前側脚部12、後側脚部13、下側脚部14の各取り付けフランジ12F,13F,14Fとルーフサイドレールインナパネル1との溶接部である。
【0038】
本実施形態では、第1実施形態における張り出し壁19Mは設けられているが、第1実施形態における側壁(第1実施形態では符号19S)は設けられていない。本別実施形態の張り出し壁19Mの先端部は断面L字状に形成されている。
【0039】
そして、前側脚部12の下側の側部と後側脚部13の下側の側部から下方に第2の張り出し壁21が張り出している。第2の張り出し壁21の先端部は断面L字状に形成されている。また、前記取り付け面部11の上側の両コーナー部に、ルーフサイドレールインナパネル1側に凹む凹部15が設けられている。車両前方側Frの凹部15は車両前方側Frと上方に開放し、車両後方側Rrの凹部15は車両後方側Rrと上方に開放している。
【0040】
上記のように、前記取り付け面部11の車両前方側Frの端部と車両後方側Rrの端部と下端部に、ルーフサイドレールインナパネル1側に張り出す前側フランジ11Mと後側フランジ下側フランジ11Kとが連続して設けられているから、前記取り付け面部11の剛性を向上させることができる。
また、前記取り付け面部11の上端部にはフランジが設けられることなく、前記前側フランジ11Mと後側フランジ下側フランジ11Kに囲まれる前記取り付け面部11の裏側空間は上方に開放しているから、取り付け面部11の剛性が向上しすぎることを防止することができる。その結果、アシスタントグリップ50に衝撃荷重が加わった場合に前記取り付け面部11を変形させやすくすることができる。また、前記取り付け面部11の上端部にフランジが設けられていないことで、取り付け面部11を容易に成形することができて、成形性を向上させることができる。
【0041】
そして、取り付け面部11の上側の両コーナー部に、ルーフサイドレールインナパネル1側に凹む凹部15が設けられているから、取り付け面部11の上端部にフランジが設けられていないことに起因して、取り付け面部11の剛性が弱くなり過ぎることを回避することができる。つまり、前記取り付け面部11の剛性を向上させて、アシスタントグリップ50の取り付け面部11への取り付け強度を向上させることができる。
【0042】
前記易変形部16M,16K,16Sは上記の上記の実施形態の構造に限られるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 ルーフサイドレールインナパネル
10 支持ブラケット
11 取り付け面部
11M 前側フランジ
11K 側フランジ
12 前側脚部
13 後側脚部
14 下側脚部
15 凹部
16M 前側脚部の易変形部
16K 後側脚部の易変形部
16S 下側脚部の易変形部
18 膨出部
30 脚部
50 アシスタントグリップ
Fr 車両前方側
Rr 車両後方側
図1
図2
図3
図4
図5
図6