(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施形態に係るエンコーダは、回転型(ロータリタイプ)や直線型(リニアタイプ)など様々なタイプのエンコーダに適用可能である。以下では、エンコーダの理解が容易になるように、回転型のエンコーダを例に挙げて説明する。他のタイプのエンコーダに適用する場合には、被測定対象を回転型のディスクから直線型のリニアスケールに変更するなど適切な変更を加えることにより可能であるので、詳しい説明は省略する。
【0013】
<1.サーボシステム>
まず、
図1を参照しつつ、本実施形態に係るエンコーダを備えたサーボシステムの構成について説明する。
図1に示すように、サーボシステムSは、サーボモータSMと、制御装置CTとを有する。サーボモータSMは、エンコーダ100と、モータMとを有する。
【0014】
モータMは、エンコーダ100を含まない動力発生源の一例である。モータMは、回転子(図示省略)が固定子(図示省略)に対して回転する回転型モータであり、回転子に固定されたシャフトSHを軸心AX周りに回転させることにより、回転力を出力する。
【0015】
なお、モータM単体をサーボモータという場合もあるが、本実施形態では、エンコーダ100を含む構成をサーボモータSMという。つまり、サーボモータSMはエンコーダ付きモータの一例に相当する。以下では、説明の便宜上、エンコーダ付きモータが、位置や速度等の目標値に追従するように制御されるサーボモータである場合について説明するが、必ずしもサーボモータに限定されるものではない。エンコーダ付きモータは、例えばエンコーダの出力を表示のみに用いる場合等、エンコーダが付設さえされていれば、サーボシステム以外に用いられるモータをも含むものである。
【0016】
また、モータMは、例えば位置データ等をエンコーダ100が検出可能なモータであれば、特に限定されるものではない。また、モータMは、動力源として電気を使用する電動式モータである場合に限定されるものではなく、例えば、油圧式モータ、エア式モータ、蒸気式モータ等の他の動力源を使用したモータであってもよい。但し、説明の便宜上、以下ではモータMが電動式モータである場合について説明する。
【0017】
エンコーダ100は、モータMのシャフトSHの回転力出力側とは反対側に連結される。但し、必ずしも反対側に限定されるものではなく、エンコーダ100はシャフトSHの回転力出力側に連結されてもよい。エンコーダ100は、シャフトSH(回転子)の位置を検出することにより、モータMの位置(回転角度ともいう。)を検出し、その位置を表す位置データを出力する。なお、エンコーダ100は、モータMに直接連結される場合に限定されるものではなく、例えばブレーキ装置や減速機、回転方向変換機等の他の機構を介して連結されてもよい。
【0018】
エンコーダ100は、モータMの位置に加えて又は代えて、モータMの速度(回転速度、角速度等ともいう。)及びモータMの加速度(回転加速度、角加速度等ともいう。)の少なくとも一方を検出してもよい。この場合、モータMの速度及び加速度は、例えば、位置を時間で1又は2階微分したり検出信号(例えば後述するインクリメンタル信号)を所定の時間カウントするなどの処理により検出することが可能である。説明の便宜上、以下ではエンコーダ100が検出する物理量は位置であるとして説明する。
【0019】
制御装置CTは、エンコーダ100から出力される位置データを取得して、当該位置データに基づいて、モータMの回転を制御する。従って、モータMとして電動式モータが使用される本実施形態では、制御装置CTは、位置データに基づいてモータMに印加する電流又は電圧等を制御することにより、モータMの回転を制御する。更に、制御装置CTは、上位制御装置(図示せず)から上位制御信号を取得して、当該上位制御信号に表された位置等を実現可能な回転力がモータMのシャフトSHから出力されるように、モータMを制御することも可能である。なお、モータMが、油圧式、エア式、蒸気式などの他の動力源を使用する場合には、制御装置CTは、それらの動力源の供給を制御することにより、モータMの回転を制御することが可能である。
【0020】
<2.エンコーダ>
次に、本実施形態に係るエンコーダ100について説明する。
図2に示すように、エンコーダ100は、ディスク110と、光学モジュール130と、位置データ生成部140とを有する。エンコーダ100は、光学モジュール130に備えられた光源131と受光アレイPA1,PA2等がディスク110のパターンSA1,SA2等に対し同じ側に配置された、いわゆる反射型のエンコーダである。但し、エンコーダ100は、反射型エンコーダに限定されるものではなく、光源131と受光アレイPA1,PA2等がディスク110を挟んで反対側に配置された、いわゆる透過型のエンコーダであってもよい。但し、説明の便宜上、以下ではエンコーダ100が反射型エンコーダである場合について説明する。
【0021】
ここで、エンコーダ100の構造の説明の便宜上、上下等の方向を以下のように定め、適宜使用する。
図2において、ディスク110が光学モジュール130と面する方向、つまりZ軸正の方向を「上」とし、Z軸負の方向を「下」とする。但し、該方向はエンコーダ100等の設置態様によって変動するものであり、エンコーダ100の各構成の位置関係を限定するものではない。
【0022】
(2−1.ディスク)
ディスク110は、
図3に示すように円板状に形成され、ディスク中心Oが軸心AXとほぼ一致するように配置される。ディスク110は、モータMのシャフトSHに連結され、シャフトSHの回転により回転する。なお、本実施形態では、モータMの回転を測定する被測定対象の例として、円板状のディスク110を例に挙げて説明するが、例えば、シャフトSHの端面などの他の部材を被測定対象として使用することも可能である。また、
図2に示す例では、ディスク110がシャフトSHに直接連結されているが、ハブ等の連結部材を介して連結されてもよい。
【0023】
図3に示すように、ディスク110は、複数のパターンSA1,SA2,SIを有する。ディスク110はモータMの駆動と共に回転するが、光学モジュール130は、ディスク110の一部に対向しつつ固定して配置される。従って、パターンSA1,SA2,SIと、光学モジュール130とは、モータMの駆動に伴い、互いに測定方向(
図3に示す矢印Cの方向。以下適宜「測定方向C」と記載する。)に相対移動する。
【0024】
ここで、「測定方向」とは、光学モジュール130でディスク110に形成された各パターンを光学的に測定する際の測定方向である。本実施形態のように被測定対象がディスク110である回転型のエンコーダにおいては、測定方向はディスク110の円周方向に一致するが、例えば被測定対象がリニアスケールであり、可動子が固定子に対して移動する直線型のエンコーダにおいては、測定方向はリニアスケールに沿った方向となる。
【0025】
(2−2.光学検出機構)
光学検出機構は、パターンSA1,SA2,SIと光学モジュール130等とにより構成される。
【0026】
(2−2−1.パターン)
各パターンは、ディスク110の上面にディスク中心Oを中心としたリング状に配置されたトラックとして形成される。各パターンは、トラックの全周にわたって、測定方向Cに沿って並べられた複数の反射スリット(
図4における斜線ハッチング部分)を有する。1つ1つの反射スリットは、光源131から照射された光を反射する。
【0027】
ディスク110は、例えば金属等の光を反射する材質により形成される。そして、ディスク110の表面における光を反射させない部分に反射率の低い材質(例えば酸化クロム等)を塗布等により配置することで、配置されない部分に反射スリットが形成される。なお、光を反射させない部分をスパッタリング等により粗面として反射率を低下させることで、反射スリットが形成されてもよい。
【0028】
なお、ディスク110の材質や製造方法等については特に限定されるものではない。例えば、ディスク110をガラスや透明樹脂等の光を透過する材質で形成することも可能である。この場合、ディスク110の表面に光を反射する材質(例えばアルミニウム等)を蒸着等によって配置することにより、反射スリットが形成可能である。
【0029】
なお、エンコーダ100を上述の透過型エンコーダとして構成する場合には、ディスク110に形成される各パターンは、トラックの全周にわたって、測定方向Cに沿って並べられた複数の透過スリットを有する。1つ1つの透過スリットは、光源121から照射された光を透過する。
【0030】
パターンは、ディスク110の上面において幅方向(
図3に示す矢印Rの方向。以下適宜「幅方向R」と記載する。)に3本併設される。なお、「幅方向」とは、ディスク110の半径方向、すなわち測定方向Cと略垂直な方向であり、この幅方向Rに沿った各パターンの長さが各パターンの幅に相当する。3本のパターンは、幅方向Rの内側から外側に向けて、SA1,SI,SA2の順に同心円状に配置される。各パターンについてより詳細に説明するために、ディスク110の光学モジュール130と対向する領域近傍の部分拡大図を
図4に示す。
【0031】
(2−2−1−1.アブソリュートパターン)
図4に示すように、パターンSA1,SA2が有する複数の反射スリットは、測定方向Cに沿ってアブソリュートパターンを有するように、ディスク110の全周に配置される。これらパターンSA1,SA2がアブソリュートパターンの一例に相当する。
【0032】
なお、「アブソリュートパターン」とは、後述する光学モジュール130が有する受光アレイが対向する角度内における反射スリットの位置や割合等が、ディスク110の1回転内で一義に定まるようなパターンである。つまり、例えば、
図4に示すアブソリュートパターンの例の場合、モータMがある角度位置となっている場合に、対向した受光アレイの複数の受光素子それぞれの検出又は未検出によるビットパターンの組み合わせが、その角度位置の絶対位置を一義に表すことになる。なお、「絶対位置」とは、ディスク110の1回転内での原点に対する角度位置をいう。原点は、ディスク110の1回転内での適宜の角度位置に設定され、この原点を基準としてアブソリュートパターンが形成される。
【0033】
なお、このパターンの一例によれば、モータMの絶対位置を、受光アレイの受光素子数のビットにより、一次元的に表すようなパターンを生成できる。しかし、アブソリュートパターンは、この例に限定されるものではない。例えば、受光素子数のビットにより多次元的に表すパターンであってもよい。また、所定のビットパターン以外にも、受光素子で受光する光量や位相などの物理量が絶対位置を一義的に表すように変化するパターンや、アブソリュートパターンの符号系列が変調を施されたパターン等であってもよく、その他、様々なパターンであってもよい。
【0034】
なお、本実施形態では、同様のアブソリュートパターンが、測定方向Cで例えば1ビットの1/2の長さだけオフセットされて、2本のパターンSA1,SA2として形成される。このオフセット量は、例えばパターンSIの反射スリットのピッチPの半分に相当する。仮に、このようにパターンSA1,SA2をオフセットさせた構成としない場合、次のような可能性がある。つまり、本実施形態のような一次元的なアブソリュートパターンにより絶対位置を表す場合、受光アレイPA1,PA2の各受光素子が反射スリットの端部近傍に対向して位置することによるビットパターンの変わり目の領域において、絶対位置の検出精度が低下する可能性がある。本実施形態では、パターンSA1,SA2をオフセットさせるので、例えば、パターンSA1による絶対位置がビットパターンの変わり目に相当する場合には、パターンSA2からの検出信号を使用して絶対位置を算出したり、その逆を行うことにより、絶対位置の検出精度を向上できる。なお、このような構成とする場合、2つの受光アレイPA1,PA2における受光量を均一にする必要があるが、本実施形態では2つの受光アレイPA1,PA2を光源131からほぼ等しい距離に配置するので、上記構成を実現できる。
【0035】
なお、パターンSA1,SA2の各アブソリュートパターン同士をオフセットさせる代わりに、例えば、アブソリュートパターン同士はオフセットさせずに、パターンSA1,SA2それぞれに対応した受光アレイPA1,PA2同士をオフセットさせてもよい。
【0036】
また、アブソリュートパターンは必ずしも2本形成される必要はなく、1本のみとしてもよい。但し、以下では、説明の便宜上、2本のパターンSA1,SA2が形成された場合について説明する。
【0037】
(2−2−1−2.インクリメンタルパターン)
一方、パターンSIが有する複数の反射スリットは、測定方向Cに沿ってインクリメンタルパターンを有するように、ディスク110の全周に配置される。
【0038】
「インクリメンタルパターン」とは、
図4に示すように、所定のピッチで規則的に繰り返されるパターンである。ここで、「ピッチ」とはインクリメンタルパターンを有するパターンSIにおける各反射スリットの配置間隔をいう。
図4に示すように、パターンSIのピッチはPである。インクリメンタルパターンは、複数の受光素子による検出の有無それぞれをビットとして絶対位置を表すアブソリュートパターンと異なり、少なくとも1以上の受光素子による検出信号の和により、1ピッチ毎又は1ピッチ内のモータMの位置を表す。従って、インクリメンタルパターンは、モータMの絶対位置を表すものではないが、アブソリュートパターンに比べると非常に高精度に位置を表すことが可能である。
【0039】
なお、本実施形態では、パターンSA1,SA2の反射スリットの測定方向Cにおける最小長さは、パターンSIの反射スリットのピッチPと一致する。その結果、パターンSA1,SA2に基づくアブソリュート信号の分解能は、パターンSIの反射スリットの数と一致する。しかしながら、最小長さは、この例に限定されるものではなく、パターンSIの反射スリットの数はアブソリュート信号の分解能と同じかそれよりも多く設定されることが望ましい。
【0040】
(2−2−2.光学モジュール)
光学モジュール130は、
図2及び
図5に示すように、ディスク110と平行な一枚の基板BAとして形成される。これにより、エンコーダ100を薄型化したり、光学モジュール130の製造を容易にすることが可能である。従って、ディスク110の回転に伴い、光学モジュール130は、パターンSA1,SA2,SIに対して測定方向Cで相対移動する。なお、光学モジュール130は必ずしも一枚の基板BAとして構成される必要はなく、各構成が複数の基板として構成されてもよい。この場合、それらの基板が集約して配置されていればよい。また、光学モジュール130は基板状でなくともよい。
【0041】
光学モジュール130は、
図2及び
図5に示すように、基板BAのディスク110と対向する面上に、光源131と、複数の受光アレイPA1,PA2,PI1,PI2とを有する。
【0042】
(2−2−2−1.光源)
図3に示すように、光源131は、パターンSIと対向する位置に配置される。そして、光源131は、光学モジュール130の対向する位置を通過する3つのパターンSA1,SA2,SIの対向した部分に光を出射する。
【0043】
光源131としては、照射領域に光を照射可能な光源であれば特に限定されるものではないが、例えば、LED(Light Emitting Diode)が使用可能である。
図6に示すように、光源131は、特に光学レンズ等が配置されない点光源として構成され、発光部から拡散光を出射する。なお、「点光源」という場合、厳密な点である必要はなく、設計上や動作原理上、略点状の位置から拡散光が発せられるものとみなせる光源であれば、有限な出射面から光が発せられてもよい。また、「拡散光」は、点光源から全方位に向かって放たれる光に限定されず、有限の一定の方位に向かって拡散しつつ出射される光を含む。すなわち、ここでいう拡散光には、平行光よりも拡散性を有する光であれば含まれる。このように点光源を使用することにより、光源131は、対向した位置を通過する3つのパターンSA1,SA2,SIにほぼ均等に光を照射することが可能である。また、光学素子による集光・拡散を行わないので、光学素子による誤差等が生じにくく、パターンへの光の直進性を高める事が可能である。
【0044】
(2−2−2−2.投影像の拡大率)
複数の受光アレイは、光源131の周囲に配置され、対応付けられたパターンの反射スリットで反射された光を各々受光する複数の受光素子(
図5のドットハッチング部分)を有する。複数の受光素子は、
図5に示すように、測定方向Cに沿って並べられる。
【0045】
図6に示すように、光源131から出射される光は拡散光である。従って、光学モジュール130上に投影されるパターンの像は、光路長に応じた所定の拡大率εだけ拡大されたものとなる。つまり、
図4〜
図6に示すように、パターンSA1,SA2,SIそれぞれの幅方向Rの長さをWSA1,WSA2,WSIとし、それらの反射光が光学モジュール130に投影された形状の幅方向Rの長さをWPA1,WPA2,WPIとすると、WPA1,WPA2,WPIは、WSA1,WSA2,WSIのε倍の長さとなる。なお、本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、各受光アレイの受光素子の幅方向Rの長さは、各スリットが光学モジュール130に投影された形状とほぼ等しく設定されている例を示している。しかし、受光素子の幅方向Rの長さは、必ずしもこの例に限定されるものではない。
【0046】
同様に、光学モジュール130における測定方向Cも、ディスク110における測定方向Cが光学モジュール130に投影された形状、つまり拡大率εの影響を受けた形状となる。理解が容易になるように、
図2に示すように光源131の位置における測定方向Cを例に挙げて、具体的に説明する。ディスク110における測定方向Cは、軸心AXを中心とした円状になる。これに対して、光学モジュール130に投影された測定方向Cの中心は、光源131が配置されたディスク110の面内位置である光学中心Opから距離εLだけ離隔した位置となる。距離εLは、軸心AXと光学中心Opとの間の距離Lが拡大率εで拡大された距離である。この位置を
図2では、概念的に測定中心Osとして示している。従って、光学モジュール130における測定方向Cは、光学中心Opから当該光学中心Opと軸心AXとが乗るライン上を軸心AX方向に距離εL離れた測定中心Osを中心とし、距離εLを半径とするライン上となる。
【0047】
図4〜
図6では、ディスク110及び光学モジュール130の各々における測定方向Cの対応関係を、円弧状のラインLcd,Lcpで表す。
図4等に示すラインLcdは、ディスク110上の測定方向Cに沿った線を表す一方、
図5等に示すラインLcpは、基板BA上の測定方向Cに沿った線(ラインLcdが光学モジュール130上に投影された線)を表す。
【0048】
図6に示すように、光学モジュール130とディスク110との間のギャップ長をGとし、光源131の基板BAからの突出量をΔdとした場合、拡大率εは、下記(式1)で示される。
ε=(2G−Δd)/(G−Δd) …(式1)
【0049】
(2−2−2−3.アブソリュート用、インクリメンタル用の受光アレイ)
1つ1つの受光素子としては、例えばフォトダイオードを使用することができる。各受光素子は、それぞれ所定の受光面積を有する形状に形成されており、その受光面積全体で受光した総光量(以下、「受光光量」という)に応じた大きさのアナログ検出信号を出力する。但し、受光素子としては、フォトダイオードに限られるものではなく、光源131から出射された光を受光して電気信号に変換可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0050】
本実施形態における受光アレイは、3本のパターンSA1,SA2,SIに対応して配置される。受光アレイPA1は、パターンSA1で反射した光を受光するように構成され、受光アレイPA2は、パターンSA2で反射した光を受光するように構成される。また、受光アレイPI1,PI2は、パターンSIで反射した光を受光するように構成される。受光アレイPI1と受光アレイPI2とは途中で分割されているが、同一トラックに対応する。このように、1つのパターンに対応した受光アレイは1つに限らず、複数であってもよい。
【0051】
光源131と、受光アレイPA1,PA2とは、
図5に示す位置関係に配置される。すなわち、アブソリュートパターンに対応する受光アレイPA1,PA2は、光源131を間に挟んで幅方向Rに互いにオフセットした位置に2セット並列に配置される。この例では、受光アレイPA1は内周側、受光アレイPA2は外周側に配置され、受光アレイPA1,PA2と光源131との距離は略等しくなっている。受光アレイPA1,PA2の各々は、光源131(光学中心Op)を通りY軸に平行なラインLoを中心に線対称な形状となっている。そして、受光アレイPA1,PA2が有する複数(本実施形態では例えば9)の受光素子は、それぞれ測定方向C(ラインLcp)に沿って一定のピッチで並べられる。なお、これらの複数の受光素子の形状については後述する。
【0052】
本実施形態では、アブソリュートパターンとして一次元的なパターンを例示している。このため、該パターンに対応した受光アレイPA1,PA2は、対応付けられたパターンSA1,SA2の反射スリットで反射された光を各々受光するように測定方向C(ラインLcp)に沿って並べられた複数(本実施形態では例えば9)の受光素子を有する。この複数の受光素子では、上述のとおり、1つ1つの受光又は非受光がビットとして扱われ、9ビットの絶対位置を表す。複数の受光素子それぞれが受光する受光信号は、位置データ生成部140(
図2参照)において相互に独立して取り扱われて、シリアルなビットパターンに暗号化(コード化)されていた絶対位置が、これらの受光信号の組み合わせから復号される。この受光アレイPA1,PA2の受光信号を、「アブソリュート信号」という。なお、本実施形態とは異なるアブソリュートパターンが使用される場合には、受光アレイPA1,PA2は、そのパターンに対応した構成となる。なお、受光アレイPA1,PA2が有する受光素子の数は9以外でもよく、アブソリュート信号のビット数も9に限定されるものではない。
【0053】
光源131と、受光アレイPI1,PI2とは、
図5に示す位置関係に配置される。すなわち、インクリメンタルパターンに対応する受光アレイPI1,PI2は、測定方向Cにおいて光源131を間に挟んで配置される。具体的には、受光アレイPI1,PI2は、上記ラインLoを対称軸として線対称となるように配置される。光源131は、測定方向Cに1トラックとして配置された受光アレイPI1,PI2の間に配置される。
【0054】
受光アレイPI1,PI2は、対応付けられたパターンSIの反射スリットで反射された光を各々受光するように測定方向C(ラインLcp)に沿って並べられた複数の受光素子を有する。これらの受光素子は、各々が同一の形状(この例では略長方形)を有する。
【0055】
本実施形態では、パターンSIのインクリメンタルパターンの1ピッチ(投影された像における1ピッチ。すなわちε×P。)中に、合計4個の受光素子のセット(
図5に「SET」で示す)が並べられ、かつ、4個の受光素子のセットが測定方向Cに沿って更に複数並べられる。そして、インクリメンタルパターンは、1ピッチ毎に反射スリットが繰り返し形成されるので、各受光素子は、ディスク110が回転する場合、1ピッチで1周期(電気角で360°という。)の周期信号を生成する。そして、1ピッチに相当する1セット中に4つの受光素子が配置されるので、1セット内の相隣接する受光素子同士は、相互に90°の位相差を有する周期信号であるインクリメンタル相信号を出力することになる。各インクリメンタル相信号をA+相信号、B+相信号(A+相信号に対する位相差が90°)、A−相信号(A+相信号に対する位相差が180°)、B−相信号(B+相信号に対する位相差が180°)と呼ぶ。
【0056】
インクリメンタルパターンは1ピッチ中の位置を表すので、1セット中の各位相の信号と、それと対応した他のセット中の各位相の信号とは、同様に変化する値となる。従って、同一位相の信号は、複数のセットにわたって加算される。従って、
図5に示す受光アレイPIの多数の受光素子からは、位相が90°ずつずれる4つの信号が検出されることとなる。従って、受光アレイPI1,PI2から位相が90°ずつずれる4つの信号がそれぞれ生成される。この4つの信号を、「インクリメンタル信号」という。
【0057】
なお、本実施形態では、インクリメンタルパターンの1ピッチに相当する1セットには受光素子が4つ含まれ、受光アレイPI1及び受光アレイPI2のそれぞれが同様の構成のセットを有する場合を一例として説明するが、例えば1セットに2つの受光素子が含まれる等、1セット中の受光素子数は特に限定されるものではない。また、受光アレイPIL,PIRの全体の受光素子数も、
図5等に示す例に限定されるものではない。また、受光アレイPI1,PI2が各々異なる位相の受光信号を取得するように構成されてもよい。
【0058】
また、インクリメンタルパターンに対応する受光アレイは、受光アレイPI1,PI2のように光源131を間に挟んで2つ配置される態様に限定されるものではない。例えば、光源131の外周側又は内周側において測定方向Cに沿った1つの受光アレイとして配置されてもよい。また、分解能が異なるインクリメンタルパターンをディスク110の複数のトラックに形成し、各トラックに対応した複数の受光アレイを設けてもよい。
【0059】
以上、ここでは、受光アレイの概要について説明した。次に、受光アレイPA1,PA2が有する各受光素子の形状等について説明する前に、残りの構成である位置データ生成部140について説明する。
【0060】
(2−3.位置データ生成部)
位置データ生成部140は、モータMの絶対位置を測定するタイミングにおいて、光学モジュール130から、第1絶対位置を表すビットパターンをそれぞれ備えた2つのアブソリュート信号と、位相が90°ずつずれる4つの信号を含むインクリメンタル信号とを取得する。そして、位置データ生成部140は、取得した信号に基づいて、これらの信号が表すモータMの第2絶対位置を算出し、算出した第2絶対位置を表す位置データを制御装置CTに出力する。
【0061】
なお、位置データ生成部140による位置データの生成方法は、様々な方法が使用可能であり、特に限定されるものではない。ここでは、インクリメンタル信号とアブソリュート信号とから絶対位置を算出し位置データを生成する場合を例にとって説明する。
【0062】
位置データ生成部140は、受光アレイPA1,PA2からのアブソリュート信号のそれぞれを2値化し、絶対位置を表すビットデータに変換する。そして、予め定められたビットデータと絶対位置との対応関係に基づいて、第1絶対位置を特定する。つまり、ここでいう「第1絶対位置」とは、インクリメンタル信号を重畳する前の低分解能である絶対位置である。一方、受光アレイPI1,PI2からの4つの位相それぞれのインクリメンタル信号のうち、180°位相差のインクリメンタル信号同士を相互に減算する。このように180°位相差のある信号を減算することで、1ピッチ内の反射スリットの製造誤差や測定誤差などを相殺可能である。上述のように減算された結果の信号を、ここでは「第1インクリメンタル信号」及び「第2インクリメンタル信号」という。この第1インクリメンタル信号及び第2インクリメンタル信号は相互に電気角で90°の位相差を有する(単に「A相信号」、「B相信号」などという。)。そこで、この2つの信号から、位置データ生成部140は、1ピッチ内の位置を特定する。この1ピッチ内の位置の特定方法は、特に限定されない。例えば、周期信号であるインクリメンタル信号が正弦波信号である場合には、上記特定方法の例として、A相及びB相の2つの正弦波信号の除算結果をarctan演算することにより電気角φを算出する方法がある。あるいは、トラッキング回路を用いて2つの正弦波信号を電気角φに変換する方法もある。あるいは、予め作成されたテーブルにおいてA相及びB相の信号の値に対応付けられた電気角φを特定する方法もある。なおこの際、位置データ生成部140は、好ましくは、A相及びB相の2つの正弦波信号を各検出信号毎にアナログ−デジタル変換する。
【0063】
位置データ生成部140は、アブソリュート信号に基づいて特定された第1絶対位置に、インクリメンタル信号に基づいて特定された1ピッチ内の位置を重畳する。これにより、アブソリュート信号に基づく第1絶対位置よりも高分解能な第2絶対位置を算出することができる。位置データ生成部140は、このようにして算出した第2絶対位置を逓倍処理して分解能をさらに向上させた後、高精度な絶対位置を表す位置データとして制御装置CTに出力する。
【0064】
(2−4.アブソリュート用受光アレイの各受光素子の形状)
次に、受光アレイPA1,PA2が有する各受光素子の形状について説明する。
【0065】
仮に、光源131から照射された拡散光が全てディスク110上で反射されて光学モジュール130の基板BAに照射された場合、
図7に示すように反射光の強度分布は光学中心Opから離間するほど減衰する同心円状の分布となる。なお、
図7中における点線円が反射光の等強度線を表しており、内周側ほど光強度が高く、外周側ほど光強度が低い。このように反射光の光強度の分布が同心円状となるのは、光が光路長に応じて減衰する性質を有する一方、光源131からの拡散光の照射空間中(反射空間中)で光軸に対し垂直な平面状の基板BAで受光する構造をとっているからである。なお、実際には基板BA上におけるディスク110の各パターンSA1,SA2,SIに対応した領域に反射光が照射される。
【0066】
そして、上述したように、アブソリュート用の各受光アレイPA1,PA2においては、測定中心Osを曲率中心とした円弧状のラインLcpに沿って複数の受光素子が配置される一方、光学中心Opは測定中心Osから大きく離間した位置に配置される。このため、受光アレイPA1,PA2の各受光素子における光強度は、測定方向Cにおいて光源131からの距離に応じて変化する。受光アレイPA2について具体的に説明すると、前述のように受光アレイPA2はラインLoを中心に線対称な形状であることから、各受光素子における光強度は、ラインLo上の受光素子P5が最も高く、ラインLoに近い順、つまり受光素子P4,P6、受光素子P3,P7、受光素子P2,P8、受光素子P1,P9の順に、線対称的に低くなる。受光アレイPA1も同様である。また、受光アレイPA1と受光アレイPA2が光源131を間に挟んで並設されていることから、受光アレイPA1,PA2の各受光素子における光強度は、いずれも光源側の端部Eoで最も高く、光源131と反対側の端部Enで最も低くなる。
【0067】
ここで、本実施形態において例えばフォトダイオードで構成される各受光素子は、上述したように、その受光面積全体での受光光量に応じてアナログ値の検出信号を出力する。そして、受光光量とは、受光面積中における各受光点での光強度を積算したものである。このため、受光素子間で上記光強度の分布が相違している場合には、例えそれぞれの受光面積が同じであっても受光光量が相違してしまい、受光素子間でアナログ検出信号の変化特性が相違してしまう。この場合、それら受光素子同士の間で2値化信号の変化タイミングがずれてしまうので、絶対位置の誤検出を招く可能性がある。また、受光素子間で2値化信号の変化タイミングがずれないように、2値化信号に変換するための閾値をそれぞれの受光素子の変化特性に対応して調整することも考えられるが、回路構成や信号処理が複雑化し、コストアップ等の要因となりうる。
【0068】
これに対し、受光素子間で各々の測定方向C又は幅方向Rにおける外形寸法を調整して受光面積を変化させ、受光光量を均一化させる手法を取ることも考えられる。しかし、各受光素子の測定方向Cにおける外形寸法を変化させた場合には、隣り合う受光素子間における間隔が不均一となるので、それら受光素子同士の間で乱反射などの影響により相互に漏出受光するクロストーク量が不均一となり、結果的に受光光量を不均一化させる可能性がある。また、各受光素子の幅方向Rにおける外形寸法を変化させた場合には、幅方向の長さが短い受光素子ほどディスク110の偏心による反射光の幅方向の位置ずれの影響を受けやすくなり、誤検出が生じる可能性がある。
【0069】
そこで本実施形態では、受光アレイPA1と受光アレイPA2のそれぞれにおいて、各受光素子の測定方向Cの最大外形寸法及び幅方向Rの最大外形寸法が互いに等しく設定されるとともに、各々の受光光量が互いに等しくなるように光源131からの距離が異なる受光素子同士が異なる形状に形成される。なお、ここでいう外径寸法や受光光量が「等しい」という記載は、厳密な意味ではなく、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、実質的に等しいという意味である。また、ここでいう「受光光量」は、各受光素子がそれぞれの受光面積全体で反射光を受光した場合の最大受光光量である。
【0070】
本実施形態では、このような条件を実現する形状の一例として、受光アレイPA1,PA2において、複数の受光素子のうちの一部又は全部がそれぞれ先細り形状の尖端部を備える形状に形成される。尖端部の位置は特に限定されるものではないが、本実施形態では、受光素子が尖端部を幅方向Rの端部に備える場合について説明する。ここでは、受光アレイPA1,PA2のうち受光アレイPA2を例に挙げて、より具体的に説明する。なお、受光アレイPA1については、受光アレイPA2と幅方向Rにおいて対称な形状となること以外は同様の形状であるので、説明を省略する。
【0071】
(2−4−1.尖端部を有する受光素子の形状の詳細)
図8に、受光アレイPA2が有する9つの受光素子のうちの一つである受光素子P6の形状を例に挙げて拡大して示す。この
図8を参照しつつ、尖端部を有する受光素子の各部の形状及び寸法設定について詳細に説明する。
【0072】
この受光素子P6の形状は、概略的には、基本となる四角形状の角部がトリミングされた形状である。この基本となる四角形状は、測定方向Cの長さをTPA2(この例ではパターンSA2の反射スリットの測定方向Cにおける最小長さP(基本ビット長)のε倍の長さ)とし、幅方向Rの長さをWPA2とした矩形形状である。受光アレイPA2が有するいずれの受光素子P1〜P9においても、この基本となる矩形形状、つまり測定方向Cの最大外形寸法TPA2及び幅方向Rの最大外形寸法WPA2は、共通して等しく設定されている。なお、上記の基本となる四角形状は、対向する2辺どうしが厳密に平行である必要はなく、また各角部が厳密に直角である必要もなく、実質的に四角形状であればよい。
【0073】
また、ここで「トリミング」とは、上記四角形状の一つの角部に対し所定の傾斜角で面取りすることをいう。そして、受光素子P6の幅方向Rの両端部En,Eoの少なくとも一方において、当該端部En,Eo上にそれぞれ位置する2つの角部に対し同じ傾斜角のトリミングがなされることで、当該端部En,Eo上に頂点が位置する略二等辺三角形状の尖端部Psが形成される。
図8に示す受光素子P6の場合は、幅方向Rの両端部En,Eoのそれぞれにおいて尖端部Psが形成されているが、この場合でも幅方向Rの最大外形寸法(つまり両端の各尖端部Psの頂点間距離)は長さWPA2に維持される。これにより受光素子P6は、測定中心Osと各尖端部Psの頂点とを通るラインLocを対称軸として測定方向Cに対し対称な六角形状に形成されている。なお、両端部En,Eoのうち一方のみに尖端部が形成される受光素子(受光素子P2,P3,P5,P7,P8)は、ラインLocを対称軸として測定方向Cに対し対称な五角形状に形成される。
【0074】
なお、尖端部Psの形状は先細り形状であればよく、上記三角形状以外にも、例えば台形状や、丸みを帯びた円弧状としてもよい。また、尖端部Psは基本となる四角形状の角部のトリミング以外の手法で形成されてもよい。
【0075】
また、光源側の端部Eoに形成された尖端部Psの幅方向寸法をWoとし、光源131と反対側の端部Enに形成された尖端部Psの幅方向寸法をWnとした場合、受光素子間で両方の尖端部Psの幅方向寸法の合計Wo+Wnが等しいと、受光面積も等しいと言える。換言すれば、受光素子の幅方向Rの最大外形寸法WPA2に対してWo+Wnが占める割合が等しいと、受光素子全体の受光面積も等しいと言える。
【0076】
なお、以下においては、光源側の端部Eoと反対側の端部Enの少なくとも一方に尖端部Psを有する受光素子、換言するとWo+Wnが0よりも大きい値である受光素子(この例では受光素子P2〜P8)を、「第1受光素子」ともいう。また、両端部Eo,Enのいずれにも尖端部Psを有しない四角形状の受光素子、換言するとWo+Wnが実質的に0(Wo=Wn=0)である受光素子(この例では受光素子P1,P9)を、「第2受光素子」ともいう。
【0077】
そして、上記
図7で説明したように、各受光素子における光強度は光源側の端部Eoで最も高く、光源131と反対側の端部Enで最も低くなる。このため、受光素子間でWo+Wnが同じ、つまり受光面積が同じであっても、光源131に近い端部Eo側の尖端部Psの幅方向寸法Woの割合を大きくした方が、受光光量を相対的に小さくできる。逆に、光源131から遠い端部En側の尖端部Psの幅方向寸法Wnの割合を大きくした方が、受光光量を相対的に大きくできる。
【0078】
また、同じ
図7で説明したように、受光アレイPA2の複数の受光素子P1〜P9における光強度は、ラインLoに近いほど、つまり基板BA上で光源131に近い受光素子ほど高く、ラインLoから遠いほど、つまり基板BA上で光源131から遠い受光素子ほど低くなる。このため、本実施形態では、光源131から最も遠い位置にある2つの受光素子P1,P9が受光面積が最大となる上記第2受光素子とされ、他の受光素子P2〜P8については上記第1受光素子とされ、受光素子P1,P9での受光光量を基準として同じ受光光量となるよう形状が調整されている。
【0079】
以上から、受光アレイPA2の複数の受光素子P1〜P9の形状は、例えば
図5、
図7に示す態様とすることができる。すなわち、最も両端に位置する2つの受光素子P1,P9は、全くトリミングしない四角形状の第2受光素子である。また、それらの内側直近に位置する2つの受光素子P2,P8は、端部En側に比較的低い幅方向寸法Wnの尖端部Psを有する略同一形状の第1受光素子である。また、それらの内側直近に位置する2つの受光素子P3,P7は、端部En側に比較的高い幅方向寸法Wnの尖端部Psを有する略同一形状の第1受光素子である。また、それらの内側直近に位置する2つの受光素子P4,P6は、端部Eoと端部Enの両側にそれぞれ尖端部Psを有する略同一形状の第1受光素子である。また、それらの内側で最も光源131に近い受光素子P5は、端部Eo側に比較的高い幅方向寸法Woの尖端部Psを有する第1受光素子である。
【0080】
また、この例では、受光アレイPA2における9つの受光素子P1〜P9のうち、光源131に近い5つの受光素子P3〜P7についてはWo+Wnが等しくなっており、すなわち受光面積が等しくなっている。これら受光素子P3〜P7を構成する受光素子P3〜P5及び受光素子P5〜P7は、光源131からの距離が異なると共に互いに面積が等しい複数の受光素子の一例に相当する。そして、これら面積が等しい受光素子P3〜P7の間では、Wo+Wnに対する光源131側の端部Eoに形成された尖端部Psの幅方向寸法Woの割合(以下適宜「Wo割合」という。)が、測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きくなるように設定されている。具体的には、受光素子P5の上記Wo割合(この例では100%)は受光素子P4,P6の上記Wo割合よりも大きく、受光素子P4,P6の上記Wo割合は受光素子P3,P7の上記Wo割合(この例では0%)よりも大きい。
【0081】
さらに、この例では、受光素子P1〜P9のうち、互いに面積が異なる第1受光素子、すなわち受光素子P2,P3と、受光素子P7,P8については、Wo+Wnが測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きくなっている。具体的には、受光素子P3のWo+Wnは受光素子P2のWo+Wnよりも大きく、同様に受光素子P7のWo+Wnは受光素子P8のWo+Wnよりも大きい。なお、受光素子P2,P3及び受光素子P7,P8は、光源からの距離が異なると共に互いに面積が異なる複数の第1受光素子の一例に相当する。
【0082】
なお、受光アレイPA2の複数の受光素子P1〜P9の形状の態様は、上記に限定されるものではない。例えば、受光アレイPA2の両端の受光素子P1,P9についても尖端部Psを備えた第1受光素子としてもよい。また、受光素子P1〜P9中の互いに面積が等しい受光素子の数は上記5以外としてもよいし、全ての受光素子の面積を相互に異なるようにしてもよい。また、互いに面積が等しい第1受光素子における上記Wo割合の関係や、互いに面積が異なる第1受光素子における上記Wo+Wnの関係も、上記以外の態様としてもよい。但し、本実施形態では、説明の便宜上、上述の形状である場合について説明する。
【0083】
以上により、受光アレイPA1と受光アレイPA2のそれぞれについて、各受光素子の測定方向Cの最大外形寸法及び幅方向Rの最大外形寸法を互いに等しくしつつ、各々の受光光量を互いに等しくすることができる。なお、以上説明した受光アレイPA1,PA2の各受光素子の形状が、各受光素子の受光光量を互いに等しくする手段の一例に相当する。
【0084】
なお、第1受光素子が上記尖端部Psを有することにより、その検出信号を2値化信号に変換する際にも有利な効果が得られる。以下、その効果について詳細に説明する。
【0085】
(2−4−2.2値化信号変換時における尖端部の効果)
まず比較例として、尖端部Psを有していない矩形形状の受光素子PD’の場合のアナログ検出信号の変化特性について、
図9を参照しつつ説明する。この
図9において、矩形形状の受光素子PD’に対し、パターンSA1,SA2が有する反射スリットからの反射光の照射面Rsが、時間の経過とともに測定方向Cに沿って位置X1〜X11の順に進行する。なお、照射面Rsは幅方向Rで受光素子PD’より大きく、測定方向Cで受光素子PD’と同じ大きさの矩形形状とする。またここでは、照射面Rs中における光強度の分布は均一であるとする。これら位置X1〜X11にそれぞれ対応して、受光素子PD’における受光光量は太線VXに示すような変化特性で経時変化する。
【0086】
この場合、照射面Rsが受光素子PD’と重複し始める位置X2のタイミングから、照射面Rsが受光素子PD’と完全に重複する位置X6のタイミングまでは、受光光量が一次関数的に単調増加する。また、受光光量が最大となるこの位置X6のタイミングから、照射面Rsと受光素子PD’との重複が無くなる位置X10のタイミングまでは、受光光量が一次関数的に単調減少する。
【0087】
これに対し、尖端部Psを有する受光素子PDの場合のアナログ検出信号の変化特性を
図10に示す。なお、この
図10においては、理解を容易とするために、受光素子PDが尖端部Psだけで形成される場合を図示している。また上述と同様に、照射面Rsは幅方向Rで受光素子PDより大きく、測定方向Cで受光素子PDと同じ大きさの矩形形状であり、照射面Rs中における光強度の分布は均一であるとする。この
図10において、受光素子PDに対して照射面Rsが時間の経過とともに位置Y1〜Y11の順に進行した場合、各位置Y1〜Y11に対応して、受光素子PDにおける受光光量は太線VYに示すような変化特性で経時変化する。
【0088】
この場合、照射面Rsが受光素子PDと重複し始める位置Y2のタイミングから、照射面Rsが受光素子PDと完全に重複する位置Y6のタイミングまでは、受光光量が二次関数的(三次関数以上の多次関数的でもよい)に増加する。この間には、照射面Rsが受光素子PDの半分と重複する位置Y4のタイミングが変曲点となり、この時点で受光光量の時間変化率(曲線の傾斜)が最も大きくなる。また、受光光量が最大となる位置Y6のタイミングから、照射面Rsと受光素子PDとの重複が無くなる位置Y10のタイミングまでは、受光光量が二次関数的に減少する。この間には、照射面Rsが受光素子PDの半分と重複する位置Y8のタイミングが変曲点となり、この時点で受光光量の時間変化率(曲線の傾斜)が最も大きくなる。
【0089】
ここで、
図11に示すように、受光素子PD’である場合と受光素子PDである場合のそれぞれの受光光量の変化特性を比較する。なおこの
図11では、比較が容易となるよう、それぞれの受光面積が等しく、同じ光強度の照射光が均一な分布で照射されており、それぞれの変化特性における最大受光光量が等しくなっているものとする。
【0090】
この
図11において、いずれの受光素子PD’,PDの場合も照射面Rsとの重複領域が受光面積の半分となるタイミング、つまり上記
図9、
図10における位置X4,X8,Y4,Y8のタイミングで受光光量が最大受光光量の半分となり、それぞれの特性線VX,VYが交差する。受光素子からのアナログ検出信号を2値化信号に変換するための閾値は、この最大受光光量の半分の値に設定されるのが望ましい。しかし、例えば光源131の経年劣化や製造個体差による照射光の光強度の変動、または受光素子の経年劣化や製造個体差による受光感度の変動などにより、受光光量の変化特性に対して閾値が相対的に変動する場合がある。この閾値の変動は、上述した最大受光光量の半分である基準値を中心とした変動幅ΔTの範囲で変動するが、受光素子PD’である場合には変化特性が一次関数的に増減変化するため、対応する変動幅Δtxで2値化信号の変化タイミングが変動する。
【0091】
これに対し、受光素子PDである場合には、上述したように最大受光光量の半分である基準値のタイミングで特性曲線の変曲点となり、その周囲は曲線が大きく傾斜している。このため、閾値の変動幅ΔTに対して、2値化信号の変化タイミングの変動を、受光素子PD’の場合の上記変動幅Δtxよりも十分狭い変動幅Δtyに抑えることができる。以上により、本実施形態における第1受光素子が尖端部Psを有する形状に形成されていることで、そのアナログ検出信号を2値化信号に変換する際には、閾値の変動による影響を抑える効果がある。
【0092】
<3.本実施形態による効果の例>
以上説明した実施形態では、エンコーダ100が、測定方向Cに沿って並べられ、光源131から出射されパターンSA1,SA2で反射された光を受光する受光アレイPA1,PA2を有する。そして、それら受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子(
図5等に示す例では受光素子P1〜P9)は、各々の測定方向Cの最大外形寸法及び幅方向Rの最大外形寸法が互いに等しく、且つ、各々の受光光量が互いに等しくなるように光源131からの距離が異なる受光素子同士が異なる形状を有する。これにより、受光アレイPA1,PA2の各々において、各受光素子の受光光量が均一になるので、1ビット1ビットの検出精度を均一化して絶対位置の誤検出を抑制でき、検出精度を向上できる。また、各受光素子の信号出力を調整する処理が不要となると共に、各受光素子からのアナログ検出信号を2値化信号に変換するための閾値を各受光素子で共通化できるので、信号処理や回路構成を単純化できる。
【0093】
また、受光アレイPA1,PA2が有する各受光素子の測定方向Cの最大外形寸法が互いに等しいので、各受光素子の測定方向Cの間隔を均一にすることができる。これにより、測定方向Cにおいて隣り合う各受光素子間のクロストーク量を均一化することができるので、各受光素子の受光光量の均一性を更に高めることができる。また、各受光素子の信号からクロストークによるノイズを除去する処理等が容易となる。
【0094】
また、前述のように、例えば光源131に近づくにつれ受光素子の幅方向Rの長さを短くした場合、幅方向Rの長さが短い受光素子ほど、ディスク110の偏心による光の幅方向Rの位置ずれの影響が大きくなり、検出誤差が生じ易くなる。本実施形態では、受光アレイPA1,PA2が有する各受光素子の幅方向Rの最大外形寸法を互いに等しくするので、上記偏心による影響を小さくすることができ、ディスク110に偏心が存在する場合でも絶対位置の検出誤差を生じにくくすることができる。
【0095】
また、本実施形態において、受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子が、光源131からの距離が異なると共に互いに面積が等しい複数の受光素子(
図5等に示す例では受光素子P3〜P7)を含む場合には、次のような効果を得る。つまり、互いに面積が等しい受光素子では接合容量(静電容量)が等しくなるので、それらの受光素子の間で応答速度を均一化できる。その結果、モータMの高速回転時の絶対位置の検出精度を向上できる。
【0096】
また、本実施形態において、受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子が、先細り形状の尖端部Psを幅方向Rの端部に備えた第1受光素子(
図5等に示す例では受光素子P2〜P8)を含む場合には、次のような効果を得る。つまり、尖端部Psを備えない(四角形の)第2受光素子の場合、測定方向Cのエッジが幅方向Rに平行なので、パターンによる照射領域Rsが通過する際のアナログ検出信号の出力変化は一次関数的な単調増加及び単調減少となる(上記
図9参照)。一方、幅方向Rの端部に尖端部Psを備えた第1受光素子は、測定方向Cのエッジが幅方向Rに対して傾斜した形状となるので、パターンによる照射領域Rsが通過する際のアナログ検出信号の出力変化は二次関数的な増加及び減少となり、閾値付近におけるアナログ検出信号の出力変化の度合いを大きくする(傾きを急にする)ことができる(上記
図10参照)。これにより、閾値の変動に対する2値化信号の位相のずれが小さくなるので、閾値が変動した場合でも絶対位置の検出誤差を生じにくくすることができる(上記
図11参照)。
【0097】
また、本実施形態において、受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子のうち、互いに面積が等しい複数の第1受光素子(
図5等に示す例では受光素子P3〜P7)について、尖端部Psの幅方向寸法の合計Wo+Wnが互いに等しく、該合計Wo+Wnに対する光源131側の端部Eoに形成された尖端部Psの幅方向寸法Woの割合が測定方向Cにおいて光源131に近い第1受光素子ほど大きい場合には、次のような効果を得る。つまり、光は光路長に応じて減衰することから、光源131から出射されパターンSA1,SA2で反射された光の照射強度は光源131を中心として光源131から離れるほど減衰する同心円状の分布をとる。このような光強度分布において、光源131に近い第1受光素子ほど光源131側の尖端部Psの割合を大きくすることで、光源131から離れた第1受光素子については光強度が相対的に大きな領域の受光面積を確保しつつ、光源131に近い第1受光素子ほど光強度が相対的に大きな領域の受光面積を次第に減少させることができる。したがって、各受光素子の面積を均一にしつつ受光光量の均一化を実現できる。
【0098】
また、本実施形態において、受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子が、測定方向Cにおいて第1受光素子を間に挟んで配置され、尖端部Psを備えない2つの第2受光素子(
図5等に示す例では受光素子P1,P9)を含む場合には、次のような効果を得る。つまり、尖端部Psを備えない第2受光素子は、尖端部Psを備える第1受光素子よりも面積が大きい。このため、光源131より最も離れた位置となる受光アレイPA1,PA2の両端の受光素子を第2受光素子とし、その間に第1受光素子を配置することにより、受光アレイPA1,PA2の各々において複数の受光素子全体での受光光量を最大限確保しつつ、各受光素子の受光光量を均一化することができる。
【0099】
また、本実施形態において、第2受光素子(
図5等に示す例では受光素子P1,P9)が四角形状であり、第1受光素子(
図5等に示す例では受光素子P2〜P8)が四角形状の角部をトリミングした形状とする場合には、次のような効果を得る。つまり、各第1受光素子について、第2受光素子の四角形状を基準にトリミングの面積や位置等を調整すればよいので、第1受光素子の形状の設計を容易化できる。
【0100】
また、本実施形態において、受光アレイPA1,PA2が有する複数の受光素子が、光源131からの距離が異なると共に互いに面積が異なる複数の第1受光素子(
図5等に示す例では受光素子P2,P3と受光素子P7,P8)を含み、該面積が異なる複数の第1受光素子において、尖端部Psの幅方向寸法の合計Wo+Wnが測定方向Cにおいて光源131に近い第1受光素子ほど大きく設定された場合には、次のような効果を得る。つまり、上記光強度分布において、光源131に近い第1受光素子ほど尖端部Psの幅方向寸法を大きくすることで、光源131に近い第1受光素子ほど受光面積を次第に小さくすることができる。したがって、各受光素子の受光光量の均一化を実現できる。
【0101】
また、本実施形態において、受光アレイPA1,PA2の各々を構成する複数の受光素子が、光源131を挟むように幅方向Rに互いにオフセットした位置に2セット並列に配置された場合には、次のような効果を得る。つまり、一方の複数の受光素子(例えば受光アレイPA2)がアブソリュートパターンの変わり目に相当する等により検出信号の信頼性が低下した場合には、他方の複数の受光素子(例えば受光アレイPA1)からの検出信号を使用したり、その逆を行うことができる。これにより、受光素子の検出信号の信頼性を向上し、絶対位置の検出精度を向上できる。
【0102】
また、本実施形態において、エンコーダ100が、光源131がパターンSA1,SA2に拡散光を出射する点光源であり、パターンSA1,SA2が光源131より出射された光を反射するパターンであり、受光アレイPA1,PA2の複数の受光素子がパターンSA1,SA2で反射された光を受光する、反射型のエンコーダとして構成された場合には、次のような効果を得る。つまり、反射型のエンコーダでは、拡散光を出射する点光源を用いることでパターンSA1,SA2からの反射光の光量分布がパターンSA1,SA2に対応する照射領域からさらに広がる台形状となりやすいことから、測定方向Cに隣り合う受光素子間でクロストークが生じやすい。したがって、クロストーク量を均一化できる本構成は、反射型のエンコーダへ適用した場合により有効である。また、反射型のエンコーダとして構成することで、受光アレイPA1,PA2の複数の受光素子P1〜P9を光源131に近接して配置することが可能となるので、エンコーダ100を小型化できる。
【0103】
<4.変形例等>
以上、添付図面を参照しながら一実施の形態について詳細に説明した。しかしながら、技術的思想の範囲は、ここで説明した実施の形態に限定されないことは言うまでもない。実施形態の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、様々な変更や修正、組み合わせなどを行うことに想到できることは明らかである。従って、これらの変更や修正、組み合わせなどが行われた後の技術も、当然に技術的思想の範囲に属するものである。以下、そのような変形例を順を追って説明する。なお、以下の説明において前述の実施形態と同様の部分には同符号を付し、適宜説明を省略する。
【0104】
受光アレイPA1,PA2の各受光素子の形状は、上記実施形態の態様に限定されるものではなく、その他にも種々の態様が考えられる。以下、
図12〜
図18を用いて、これら受光素子の形状のバリエーションについて説明する。なお、
図12〜
図18では、受光アレイPA2の各受光素子の形状のみを示し、その他の構成については図示を省略している。また、実際には各受光素子は円弧状ラインLcpに沿って配置(測定方向Cに沿って配置)されるが、
図12〜
図18においては各受光素子間の形状関係の理解を容易とするために直線的な配置で模式的に示している。
【0105】
(4−1.実施形態の受光素子の形状:同一面積の受光素子が5つの場合)
比較のために、
図12に上記実施形態における受光アレイPA2の各受光素子の形状を示す。この例では、受光アレイPA2の両端に位置する2つの受光素子P1,P9が尖端部Psを有しない第2受光素子であり、その間に尖端部Psを有する第1受光素子P2〜P8が配置されている。また、第1受光素子P3〜P7については受光面積が等しく、これら第1受光素子P3〜P7では、前述のWo割合が測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きく設定されている。また、互いに面積が異なる第1受光素子P2,P3と第1受光素子P7,P8については、尖端部PsのWo+Wnが測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きくなっている。
【0106】
なお、各受光素子の測定方向Cの最大外形寸法及び幅方向Rの最大外形寸法が互いに等しく、且つ、各々の受光光量が互いに等しくなるように光源131からの距離が異なる受光素子同士が異なる形状を有する点については、以下に説明する各変形例についても同様である。
【0107】
(4−2.同一面積の受光素子が3つの場合)
図13に示すような形状としてもよい。この例では、受光素子P2〜P4,P6〜P8は、端部En側に尖端部Psを有する第1受光素子である。また、最も光源131に近い受光素子P5は、端部Eo側に尖端部Psを有する第1受光素子である。
【0108】
そして、3つの第1受光素子P4〜P6については受光面積が等しく、これら第1受光素子P4〜P6では、上記Wo割合が測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きく設定されている。また、互いに面積が異なる第1受光素子P2〜P4と第1受光素子P6〜P8については、尖端部PsのWo+Wnが測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きくなっている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
(4−3.同一面積の受光素子が7つの場合)
また、
図14に示すような形状としてもよい。この例では、受光素子P2,P8は、端部En側に尖端部Psを有する第1受光素子である。また、受光素子P3,P4,P6,P7は、端部Eo,Enの両側にそれぞれ尖端部Psを有する第1受光素子である。また、最も光源131に近い受光素子P5は、端部Eo側に尖端部Psを有する第1受光素子である。
【0110】
そして、7つの第1受光素子P2〜P8については受光面積が等しく、これら第1受光素子P2〜P8では、上記Wo割合が測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きく設定されている。なお、本変形例では、互いに面積が異なる第1受光素子については配置されていない。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0111】
(4−4.全受光素子が同一面積である場合)
また、
図15に示すような形状としてもよい。この例では、全ての受光素子P1〜P9が尖端部Psを有する第1受光素子であり、尖端部Psを有しない第2受光素子については配置されていない。また、両端に位置する2つの受光素子P1,P9は、端部En側に尖端部Psを有する第1受光素子である。また、受光素子P2〜P4,P6〜P8は、端部Eo,Enの両側にそれぞれ尖端部Psを有する第1受光素子である。また、最も光源131に近い受光素子P5は、端部Eo側に尖端部Psを有する第1受光素子である。
【0112】
そして、全ての第1受光素子P1〜P9について受光面積が等しく、これら第1受光素子P1〜P9では、上記Wo割合が測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きく設定されている。なお、本変形例でも、互いに面積が異なる第1受光素子については配置されていない。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
(4−5.受光素子を尖端部のみで構成する場合)
また、
図16に示すような形状としてもよい。この例では、全ての受光素子P1〜P9が尖端部Psのみで構成されている。すなわち、両端に位置する2つの受光素子P1,P9は、全体が端部En側に向けた尖端部Psだけで形成(つまりWn=WPA2で形成)された第1受光素子である。また、受光素子P2〜P8は、端部Eo,Enの両側に向けた尖端部Psだけで形成(つまりWo+Wn=WPA2で形成)された第1受光素子である。
【0114】
そして、全ての第1受光素子P1〜P9について受光面積が等しく、これら第1受光素子P1〜P9では、上記Wo割合が測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きく設定されている。なお、本変形例でも、互いに面積が異なる第1受光素子については配置されていない。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0115】
(4−6.全ての受光素子の面積が異なる場合)
また、
図17に示すような形状としてもよい。この例では、両端に位置する2つの受光素子P1,P9は、尖端部Psを有しない第2受光素子である。また、受光素子P2〜P8は、端部Eo側に尖端部Psを有する第1受光素子である。そして、全ての受光素子P1〜P9は、互いに受光面積が異なっている。そして、互いに受光面積が異なる第1受光素子P2〜P8においては、尖端部PsのWo+Wnが測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きくなっている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0116】
(4−7.光源と反対側のみに尖端部を形成する場合)
また、
図18に示すような形状としてもよい。この例では、両端の第2受光素子P1,P9を除く第1受光素子P2〜P8が、光源131とは反対側である端部En側だけに尖端部Psを有する。そして、上記変形例(4−6)と同様に、全ての受光素子P1〜P9は、互いに受光面積が異なっている。そして、互いに受光面積が異なる第1受光素子P2〜P8においては、尖端部PsのWo+Wnが測定方向Cにおいて光源131に近い受光素子ほど大きくなっている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0118】
また、以上の説明において、外観上の寸法や形状が「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【解決手段】測定方向Cに沿ったパターンSA1,SA2と、パターンSA1,SA2に光を出射する光源131と、測定方向Cに沿って並べられ、光源131から出射されパターンSA1,SA2で反射された光を受光する受光アレイPA1,PA2とを有し、受光アレイPA1,PA2の各々が有する複数の受光素子は、各々の測定方向Cの最大外形寸法TPA2及び測定方向に垂直な幅方向Rの最大外形寸法WPA2が互いに等しく、且つ、各々の受光光量が互いに等しくなるように光源131からの距離が異なる受光素子同士が異なる形状を有する。