特許第6010924号(P6010924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010924
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】収納庫
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/36 20060101AFI20161006BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20161006BHJP
   E06B 5/00 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   E06B3/36
   A47B55/00
   E06B5/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-42700(P2012-42700)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-177780(P2013-177780A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】今高 広晃
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−182721(JP,A)
【文献】 特開2008−159904(JP,A)
【文献】 実開昭52−134425(JP,U)
【文献】 特開2003−008251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/04− 3/46
E05F 1/00−17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納空間に収納物を出し入れ可能に収納する収納庫本体と、この収納庫本体の開口部に開閉可能に設けられこの開口部の開口端面をも塞ぐ閉止位置からこの開口部を開放する開成位置との間で開閉動作する扉と、この扉を閉止位置に保持するためのラッチ機構と、前記扉に設けられ閉止位置において前記収納庫本体の開口部の内縁に係わり合う位置決め突起とを備えてなり、
前記扉が、面板と、この面板の縁部に設けられた補強枠とを備えたものであり、前記位置決め突起が、前記補強枠を利用して前記扉に取り付けられたものであり、
前記補強枠が、横枠部と、この横枠部の端部に連続する縦枠部とを備えたものであり、前記位置決め突起が、前記横枠部にスライド可能に係合する横枠係合部と、この横枠係合部に隣接して設けられ前記縦枠部に係合して前記位置決め突起のスライド移動を禁止する縦枠係合部とを備えたものであることを特徴とする収納庫。
【請求項2】
前記ラッチ機構が、前記扉の横枠部に設けられた切欠部分に取り付けられたラッチ爪保持体と、このラッチ爪保持体に保持されたラッチ爪とを備えたものであり、前記位置決め突起の横枠係合部が、前記ラッチ爪保持体が取り付けられていない状態の切欠部分を利用して前記横枠部にスライド可能に取り付けられるものである請求項記載の収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で使用される収納庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等で使用される収納庫として、収納空間に収納物を出し入れ可能に収納する収納庫本体と、この収納庫本体の開口部に開閉可能に設けられこの開口部の開口端面をも塞ぐ閉止位置からこの開口部を開放する開成位置との間で開閉動作する扉と、この扉を閉止位置に保持するためのラッチ機構とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、このように扉が収納庫本体内に入り込まず、開口端面を外側から覆うような形式のものおいては、大きな地震が発生した場合に、収納庫本体が左右方向に撓むことがあり、その結果、収納庫本体と扉との間に相対的な捻れが生じることがある。そのため、ラッチ機構に大きな負担が生じ、扉に設けられたラッチ爪が収納庫本体に設けられたラッチ受け部から外れたり、ラッチ爪自体が破損したりして、扉が開いてしまうことがある。この場合には、収納物が収納空間から落下して復旧作業が大変なものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−182721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、収納庫本体や扉に特殊な形状や構造を採用することなく以上のような課題を解決し得る収納庫を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明に係る収納庫は、収納空間に収納物を出し入れ可能に収納する収納庫本体と、この収納庫本体の開口部に開閉可能に設けられこの開口部の開口端面をも塞ぐ閉止位置からこの開口部を開放する開成位置との間で開閉動作する扉と、この扉を閉止位置に保持するためのラッチ機構と、前記扉に設けられ閉止位置において前記収納庫本体の開口部の内縁に係わり合う位置決め突起とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、扉が閉止位置にある状態で、収納庫本体の開口部の内縁に扉の位置決め突起が係わり合うので、この状態で地震等が生じた場合に、収納庫本体と扉とが一体になって動くこととなる。そのため、従来生じていたような収納庫本体と扉との相対的な捩れの発生を防止または抑制できる。したがって、ラッチ機構の破損や不当な解除が防止できるため、扉が不意に開成状態となることがない。すなわち、本発明によれば、収納庫本体や扉に特殊な形状や構造を採用することなく、収納空間内の収納物が落下するという不具合を適切に防止することができる。
【0008】
前記扉が、面板と、この面板の縁部に設けられた補強枠とを備えたものであり、前記位置決め突起が、前記補強枠を利用して前記扉に取り付けられたものである。
【0009】
前記補強枠が、横枠部と、この横枠部の端部に連続する縦枠部とを備えたものであり、前記位置決め突起が、前記横枠部にスライド可能に係合する横枠係合部と、この横枠係合部に隣接して設けられ前記縦枠部に係合して前記位置決め突起のスライド移動を禁止する縦枠係合部とを備えたものである。
【0010】
具体的には、前記ラッチ機構が、前記扉の横枠部に設けられた切欠部分に取り付けられたラッチ爪保持体と、このラッチ爪保持体に保持されたラッチ爪とを備えたものであり、前記位置決め突起の横枠係合部が、前記ラッチ爪保持体が取り付けられていない状態の切欠部分を利用して前記横枠部にスライド可能に取り付けられるものであるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、収納庫本体や扉に特殊な形状や構造を採用することなく、収納空間内の収納物の落下防止を確実に行うことができる収納庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる収納庫の扉閉止状態を示す斜視図。
図2図1におけるA−A線断面図。
図3図1におけるB−B線断面図。
図4】同実施形態にかかる収納庫の扉開成状態を示す斜視図。
図5図4におけるC矢視図。
図6図5におけるD−D線断面図。
図7】同実施形態にかかる収納庫の位置決め突起を示す斜視図。
図8】同実施形態にかかる収納庫の位置決め突起取り付けの作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態について図1図8を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の収納庫Sは、図1図4に示すように、収納空間17に収納物を出し入れ可能に収納する収納庫本体1と、この収納庫本体1の開口部18に開閉可能に設けられた扉2、3と、この扉2、3を閉止位置(C)に保持するためのラッチ機構4とに加えて、位置決め突起5、6を備えたものである。
【0018】
収納庫本体1は、図1図4に示すように、左右の側板11、12と、これら側板11、12の下端部間に設けられた底板13と、前記側板11、12の上端部間に設けられた天板14と、前記側板11、12の後端部間に設けられた背面板15とを備えたスチール家具構造をなすものである。このような収納庫本体1の開口部18に、第1の扉2と第2の扉3とを観音開き式に設けている。この実施形態の収納庫Sは、扉2、3が収納庫本体1の開口部18内に侵入しない形式のもの、すなわち、前記収納庫本体1の開口端面181をも扉2、3で覆い隠すようにした形式のものである。
【0019】
第1の扉2は、図1及び図3に示すように、例えば、収納庫本体1の左の側板11に図示しない蝶番を介して開閉可能に取り付けられたもので、回動端23縁の内面側に突出片22を備えている。
【0020】
第2の扉3は、図1図6及び図8に示すように、例えば、収納庫本体1の右の側板12に蝶番31を介して開閉可能に取り付けられたもので、面板32と、この面板32の縁部35に設けられた補強枠34とを備えたもので、板金素材により一体に形成されている。補強枠34は、上下の横枠部341、342と、これら横枠部341、342の端部に連続する縦枠部343とを備えたものであり、上下の横枠部341、342に後述するラッチ機構4のラッチ爪保持体42、43及びラッチ爪44、45が設けられている。
【0021】
詳述すれば、下の横枠部342は、図1図6及び図8に示すように、面板32から屈曲して内方に延出する外壁部分342aと、この外壁部分342aの先端縁から上方に起立する背面壁部分342bと、この背面壁部分342bの上縁から屈曲して面板32方向に延出する内壁部分342cとを備えている。この下の横枠部342の所定箇所には、切欠部分342dが形成されており、この切欠部分342dに前記ラッチ爪保持体43が装着されている。この切欠部分342dは、前記内壁部分342cと、前記背面壁部分342bの一部とを切除することにより形成されたもので、この切欠部分342dの両側には、前記ラッチ爪保持体43を固定するための取付孔342eが形成されている。
【0022】
上の横枠部341は、図2及び図4に示すように、面板32から屈曲して内方に延出する外壁部分341aと、この外壁部分341aの先端縁から下方に垂下する背面壁部分341bと、この背面壁部分341bの下縁から屈曲して面板32方向に延出する内壁部分341cとを備えている。この上の横枠部341の所定箇所には、切欠部分341dが形成されており、この切欠部分341dに前記ラッチ爪保持体42が装着されている。この切欠部分341dは、前記内壁部分341cと、前記背面壁部分341bの一部とを切除することにより形成されたもので、この切欠部分341dの両側には、前記ラッチ爪保持体42を固定するための図示しない取付孔が形成されている。
【0023】
前記縦枠部343は、図2図6及び図8に示すように、面板32から屈曲して内方に延出する外壁部分343aと、この外壁部分343aの先端縁から内側方に延出する背面壁部分343bと、この背面壁部分343bの内方端縁から屈曲して面板32方向に延出する内壁部分343cとを備えている。前記面板32には、ラッチ機構4に関連した操作用窓部33が設けられている。
【0024】
ラッチ機構4は、図1図5及び図8に示すように、前記収納庫本体1の天板14及び底板13の前面にそれぞれ設けられた係合窓41と、これら係合窓41に対応させて第2の扉3の上端部及び下端部にそれぞれ設けられた上下のラッチ爪保持体42、43と、これらラッチ爪保持体42、43にそれぞれ水平旋回可能に保持された上下のラッチ爪44、45と、これらラッチ爪44、45を閉止方向に弾性付勢する図示しないバネと、これらバネの付勢力に抗して前記ラッチ爪44、45を開成方向に作動させるための操作ユニット47とを具備してなる。操作ユニット47は、前記第2の扉3の操作用窓部33に対応する内面側に装着されたハウジング48と、このハウジング48に回動可能に支持されて前記操作用窓部33を介して外部に臨む操作レバー49と、この操作レバー49に加えられる操作力を前記ラッチ爪44、45に伝達する伝達ロッド40とを具備してなる通常のもので、前記操作レバー49を操作した場合に前記ラッチ爪44、45がバネの付勢力に抗して係合窓41から外れる方向に回動するようになっている。
【0025】
下のラッチ爪保持体43は、図3図5及び図8に示すように、前記切欠部分342dにおいて、前記横枠部342の背面壁部分342bと面板32との間に嵌入可能な枠状のもので、内部に、前記ラッチ爪45の基端部を回動可能に支持するための支軸と、このラッチ爪45を回動付勢するバネと、伝達ロッド40の回動動作を前記ラッチ爪45に伝達するための伝達機構が収容されている。これらの内部構造は、通常のものであるため、図示及び詳細な説明を省略する。また、このラッチ爪保持体43の外面には、当該ラッチ爪保持体43を横枠部342に固定するための係合爪431が設けられている。これらの係合爪431は、ラッチ爪保持体43が横枠部342の切欠部分342dに挿入される段階で一時的に弾性退避し、ラッチ爪保持体43が所定の取付位置まで嵌入された段階で前記取付孔342eに係合するようになっている。しかして、このラッチ爪保持体43は、前記横枠部342に着脱可能に取り付けられている。具体的には、これらの係合爪431を内方に押し込んだ上でラッチ爪保持体43を内方に牽引することにより横枠部342からラッチ爪保持体43を取り外すことができるようになっている。
【0026】
上のラッチ爪保持体42は、図4に示すように、前記切欠部分341dにおいて、前記横枠部341の背面壁部分341bと面板32との間に嵌入可能な枠状のもので、前記下のラッチ爪保持体43に準じた構成をなすものである。上のラッチ爪保持部42は、内部に、前記ラッチ爪44の基端部を回動可能に支持するための支軸と、このラッチ爪44を回動付勢するバネと、伝達ロッド40の回動動作を前記ラッチ爪44に伝達するための伝達機構が収容されている。これらの内部構造は、通常のものであるため、図示及び詳細な説明を省略する。また、このラッチ爪保持体42の外面には、当該ラッチ爪保持体42を横枠部341に固定するための図示しない係合爪が設けられている。これらの係合爪は、ラッチ爪保持体42が横枠部341の切欠部分341dに挿入される段階で一時的に弾性退避し、ラッチ爪保持体42が所定の取付位置まで嵌入された段階で前記取付孔に係合するようになっている。しかして、このラッチ爪保持体42は、前記横枠部341に着脱可能に取り付けられている。具体的には、これらの係合爪を内方に押し込んだ上でラッチ爪保持体42を内方に牽引することにより横枠部341からラッチ爪保持体42を取り外すことができるようになっている。この上のラッチ爪保持体42に隣接させて上の位置決め突起5が設けられているとともに、下のラッチ爪保持体43に隣接させて下の位置決め突起6が設けられている。
【0027】
下の位置決め突起6は、図2図8に示すように、前記補強枠34を利用して前記扉3に取り付けられたもので、扉3が閉じられた状態において前記収納庫本体1の開口部18の内縁182に係わり合う突起本体61と、この突起本体61を保持するベース62と、このベース62の下端側に設けられた横枠係合部63と、前記ベース62の一側端側に設けられた縦枠係合部64とを備えたもので、合成樹脂等により一体に形成されている。突起本体61は、底板13の上面131に接触または近接する位置決め面65と、この位置決め面65に連続して設けられた案内傾斜面66とを備えた扁平箱状のものである。案内傾斜面66は、扉3の円滑な閉止動作を担保するものであり、先端に向かって漸次上昇するようになっている。ベース62は、厚肉板状のもので、面板32の背面に添接して配置される。横枠係合部63は、前記横枠部342にスライド可能に係合する形状をなしている。すなわち、横枠係合部63は、面板32と横枠部342の背面壁部分342bとの間に位置し得る寸法のもので、前記ベース62との境界部分に前記横枠部342の内壁部分342cがスライド可能に係合し得る溝67を備えている。縦枠係合部64は、前記横枠係合部63に隣接して設けられ前記縦枠部343に係合して前記位置決め突起6のスライド移動を禁止する形状をなしている。すなわち、縦枠係合部64は、面板32と縦枠部343の背面壁部分343bとの間に位置し得る寸法のもので、その背面に前記縦枠部343の内壁部分343cに一時的な弾性変形により係合する係合爪68が設けられている。
【0028】
上の位置決め突起5は、図2及び図4に示すように、前記補強枠34を利用して前記扉3に取り付けられたもので、前記下の位置決め突起6に準じた構成をなすものである。上の位置決め突起5は、扉3が閉じられた状態において前記収納庫本体1の開口部18の内縁182に係わり合う突起本体51と、この突起本体51を保持するベース52と、このベース52の下端側に設けられた横枠係合部53と、前記ベース52の一側端側に設けられた図示しない縦枠係合部とを備えたもので、合成樹脂等により一体に形成されている。突起本体51は、天板14の下面141に接触または近接する位置決め面55と、この位置決め面55に連続して設けられた案内傾斜面56とを備えた扁平箱状のものである。案内傾斜面56は、扉3の円滑な閉止動作を担保するものであり、先端に向かって漸次下降するようになっている。ベース52は、厚肉板状のもので、面板32の背面に添接して配置される。横枠係合部53は、前記横枠部341にスライド可能に係合する形状をなしている。すなわち、横枠係合部53は、面板32と横枠部341の背面壁部分341bとの間に位置し得る寸法のもので、前記ベース52との境界部分に前記横枠部341の内壁部分341cがスライド可能に係合し得る溝57を備えている。縦枠係合部(図示せず)は、前記横枠係合部53に隣接して設けられ前記縦枠部343に係合して前記位置決め突起5のスライド移動を禁止する形状をなしている。すなわち、縦枠係合部(図示せず)は、面板32と縦枠部343の背面壁部分343bとの間に位置し得る寸法のもので、その背面に前記縦枠部343の内壁部分343cに一時的な弾性変形により係合する図示しない係合爪が設けられている。
【0029】
次いで、これら位置決め突起5、6の取付手順を説明する。
【0030】
下の位置決め突起6は、図8に示すように、前記ラッチ爪保持体43が取り付けられていない状態の切欠部分342dを利用して前記横枠部342にスライド可能に取り付けられるものである。すなわち、横枠部342からラッチ爪保持体43が取り外されている状態で、横枠部342の切欠部分342dに位置決め突起6の横枠係合部63を上方から挿入し、図8の二点鎖線で示すように、この横枠部342の背面壁部分342bと面板32との間に位置させる。この状態で、位置決め突起6を横枠部342に沿った方向にスライド移動させると、位置決め突起6の溝67に横枠部342の内壁部分342cが嵌合することになり、位置決め突起6は上下方向への移動を禁止された状態で水平にスライド移動し得ることになる。この位置決め突起6を横枠部342に沿って扉3の回動端36側にスライド移動させると、図8の実線で示すように、縦枠係合部64が縦枠部343の背面壁部分343bと面板32との間に潜り込む。その途上において、位置決め突起6の係合爪68が一時的に弾性変形し、縦枠部343の内壁部分343cの内側に係合する。その結果、この位置決め突起6は、横枠部343に沿った方向へのスライド移動も禁止され、扉3に固定されることになる。その後、前記切欠部分342dにラッチ爪保持体43を装着すれば、図3図5に示すように、この位置決め突起6がラッチ爪保持体43に隣接した状態で扉3の回動端36部に配されることとなる。
【0031】
上の位置決め突起5についても、下の位置決め突起6の取り付け方法に準じて、横枠部341に取り付ける。すなわち、位置決め突起5を横枠部341に沿った方向にスライド移動させると、位置決め突起5の溝57に横枠部341の内壁部分341cが嵌合することになり、位置決め突起5は上下方向への移動を禁止された状態で水平にスライド移動し得ることになる。その後、この位置決め突起5を横枠部341に沿って扉3の回動端36側にスライド移動させると、縦枠係合部(図示せず)が縦枠部343の背面壁部分343bと面板32との間に潜り込むことになり、位置決め突起5は、横枠部343に沿った方向へのスライド移動も禁止され、扉3に固定されることになる。その後、前記切欠部分341dにラッチ爪保持体42を装着すれば、図4に示すように、この位置決め突起5がラッチ爪保持体42に隣接した状態で扉3の回動端36部に配されることとなる。
【0032】
以上に述べたように、本実施形態に係る収納庫Sによれば、収納空間18に収納物を出し入れ可能に収納する収納庫本体1と、この収納庫本体1の開口部18に開閉可能に設けられこの開口部18の開口端面181をも塞ぐ閉止位置(C)からこの開口部18を開放する開成位置(O)との間で開閉動作する扉2、3と、この扉2、3を閉止位置(C)に保持するためのラッチ機構4と、前記扉3に設けられ閉止位置(C)において前記収納庫本体1の開口部18の内縁182に係わり合う位置決め突起5、6とを備えている。
【0033】
すなわち、扉2、3の閉止状態において、扉3の位置決め突起5、6と収納庫本体1の開口部18の内縁182とが当接または近接した状態となる。そのため、地震等が生じて激しい揺れによって収納庫Sに大きな上下方向の力が加わった際に、扉2、3が収納庫本体1に対して変形しようとしても、前記位置決め突起5、6の存在により、扉2、3が収納庫本体1と一緒に動き、収納庫本体1と扉2、3との捩れが防止または抑制される。したがって、ラッチ機構4に無理な力が作用してラッチ爪44、45が変形したり、ラッチ爪44、45が係合窓41から外れたりすることを防止または抑制することができる。すなわち、このような構成により、ラッチ機構4の破損や不当な解除が防止できるため、扉2、3が不意に開成状態となることがない。したがって、収納庫本体1や扉2、3に特殊な形状や構造を採用することなく、収納空間18内の収納物が落下するという不具合を適切に防止することができる。
【0034】
換言すれば、本実施形態では、扉3の上下にガイド部材たる位置決め突起5、6をそれぞれ設け、これらの位置決め突起5、6が収納庫本体1に潜り込むようにして扉2、3の位置を規制し、ラッチ機構4に上下方向の負荷がかからないようにすることができる。
【0035】
前記扉3が、面板32と、この面板32の縁部35に設けられた補強枠34とを備えたものであり、前記位置決め突起5、6が、前記補強枠34を利用して前記扉3に取り付けられたものであるので、扉3に特殊な加工を施すことなく位置決め突起5、6を取り付けることができる。すなわち、既存の収納庫Sの扉3にも後付け加工することができる。
【0036】
前記補強枠34が、横枠部341、342と、これら横枠部341、342の端部に連続する縦枠部343とを備えたものであり、前記位置決め突起5、6が、前記横枠部341、342にそれぞれスライド可能に係合する横枠係合部53、63と、これら横枠係合部53、63にそれぞれ隣接して設けられ前記縦枠部343に係合して前記位置決め突起5、6のスライド移動を禁止する縦枠係合部64(上の位置決め突起5の縦枠係合部については図示せず)とを備えたものであるので、位置決め突起5、6をこれらの補強枠34を利用して取り付けることができる。そのため、扉3に特殊な加工を施す必要なしに、横枠部341、342と縦枠部343が交差する扉3の角部、すなわち、蝶番31から最も離れた扉3の回動端36に位置決め突起5、6を取り付けることができる。
【0037】
特に本実施形態においては、これら位置決め突起5、6をそれぞれラッチ爪保持部42、43に隣接させて設けているので、これらラッチ爪保持部42、43にそれぞれ保持されたラッチ爪44、45に上下方向の大きな変位が及ばず、ラッチ爪44、45の破損や不意の解除を適切に防止または抑制できる。
【0038】
前記ラッチ機構4が、前記扉3の横枠部341、342にそれぞれ設けられた切欠部分341d、342dに取り付けられたラッチ爪保持体42、43と、これらラッチ爪保持体42、43にそれぞれ保持されたラッチ爪44、45とを備えたものであり、前記位置決め突起5、6の横枠係合部53、63が、前記ラッチ爪保持体42、43が取り付けられていない状態の切欠部分341d、342dを利用して前記横枠部341、342にスライド可能に取り付けられるものであるので、特殊な工具を用いることなく容易に位置決め突起5、6を取り付けることができる。
【0039】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0040】
上記実施形態においては、位置決め突起を扉に設けて、この位置決め突起を収納庫本体の開口部の内縁に係わり合うように構成していたが、逆に、位置決め突起を収納庫本体に設けて、この位置決め突起を扉の補強枠の内縁に係わり合うように構成してもよい。すなわち、本発明の収納庫は、収納空間に収納物を出し入れ可能に収納する収納庫本体と、この収納庫本体の開口部に開閉可能に設けられこの開口部の開口端面をも塞ぐ閉止位置からこの開口部を開放する開成位置との間で開閉動作する内面縁部に補強枠を備えた扉と、この扉を閉止位置に保持するためのラッチ機構と、前記収納庫本体に設けられ閉止位置において前記扉の補強枠の内縁に係わり合う位置決め突起とを備えたものであってもよい。このようなものであれば、上述した実施形態と同一またはこれに準じた効果が得られる。
【0041】
上述した実施形態では、扉の上端部及び下端部の両側に位置決め突起を設けていたが、少なくとも扉の上端部に位置決め突起を設けておけば、本発明の課題を解決し得る。すなわち、位置決め突起の数は、収納庫に対して1つでもよく、また、3つ以上設けてもよい。さらに、位置決め突起を設ける場所も、扉の回動端部には限られず、種々変更可能であるが、収納庫本体に対して一番変位が生じやすい扉の回動端部に設ければ、より有効である。
【0042】
位置決め突起は、扉または収納庫に後付けされるものには限らない。扉または収納庫に最初から突起を一体的に設けたものであってもよい。
【0043】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0044】
S…収納庫
1…収納庫本体
17…収納空間
18…開口部
181…開口端面
182…内縁
2、3…扉
(C)…閉止位置
(O)…開成位置
32…面板
34…補強枠
341、342…横枠部
341d、342d…切欠部分
343…縦枠部
35…縁部
4…ラッチ機構
42、43…ラッチ爪保持体
44、45…ラッチ爪
5、6…位置決め突起
53、63…横枠係合部
64…縦枠係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8