(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1はスロットマシン10の正面図、
図2はスロットマシン10の斜視図、
図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、
図4は前面扉12の背面図、
図5は筐体11の正面図である。
【0014】
図1〜
図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11dおよび右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着剤等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
【0015】
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
【0016】
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。
【0017】
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明または半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
【0018】
図3に示すように、筐体11は仕切板11fによりその内部が上下2分割されており、仕切板11fの上部には、可変表示手段を構成するリールユニット60が取り付けられている。リールユニット60は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール61L,中リール61M,右リール61Rを備えている。なお、各リール61L,61M,61Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール61L,61M,61Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール61L,61M,61Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール61L,61M,61Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール61L,61M,61Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール61L,61M,61Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール61L,61M,61Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
【0019】
図6は左リール61Lの分解斜視図である。同図に示すように、これら各リール61L,61M,61Rは、それぞれがステッピングモータ62L,62M,62R(
図6においては左リール用ステッピングモータ62Lのみ図示)に連結されており、各ステッピングモータ62L,62M,62Rの駆動により各リール61L,61M,61Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
【0020】
左リール61Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51が形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ62Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ62Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール61Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
【0021】
左リール用ステッピングモータ62Lは、リールユニット60内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール61Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール61Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール61Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
【0022】
ステッピングモータ62Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ62Lの回転位置、すなわち左リール61Lの回転位置が制御される。
【0023】
各リール61L,61M,61Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
【0024】
各リール61L,61M,61Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施の形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール61L,61M,61Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
【0025】
なお、リールユニット60の各リール61L,61M,61Rは識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、主表示部を構成する。但し、可変表示手段は、図柄を周方向に可変表示する構成であれば、これ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
【0026】
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ラインおよび下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりラインおよび右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル数の払出処理や、特別遊技状態たるBBゲーム等のボーナスゲームへの移行処理などが実行される。
【0027】
遊技パネル30の下方左側には、各リール61L,61M,61Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール61L,61M,61Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段または始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー71が操作されると、各リール61L,61M,61Rが一斉に回転を始める。
【0028】
スタートレバー71の右側には、回転している各リール61L,61M,61Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール61L,61M,61Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ72が操作された場合には左リール61Lの回転が停止し、中ストップスイッチ73が操作された場合には中リール61Mの回転が停止し、右ストップスイッチ74が操作された場合には右リール61Rの回転が停止する。
ストップスイッチ72,73,74はリール61L,61M,61Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール61Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
【0029】
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ83によって、ホッパ用通路81か皿用通路82のいずれかへ導かれるようになっている。
【0030】
[セレクタ]
ここで、セレクタ83について説明をする。
図7は、セレクタ83の正面図である。
図8は、セレクタ83の基部84から、切替部材85とカバー部材86を取り外して示す分解斜視図である。
図9は、セレクタ83の内部構造を説明する図であり、(a)は、カバー部材86を取り外した状態の基部84の正面図であり、(b)は、さらに切替部材85を取り外した状態の基部84の正面図である。
【0031】
セレクタ83は、メダル投入口75から投入されたメダルMの移動先を切り替えるものである。
図7に示すように、実施の形態のスロットマシン10では、メダル投入口75から投入されたメダルの移動先が、このセレクタ83により、ホッパ用通路81(
図3、
図4参照)と、皿用通路82(
図3、
図4参照)の何れかに切り替えられるようになっている。
【0032】
セレクタ83は、メダルMの誘導路840が表面に形成された基部84と、基部84に取り付けられて、誘導路840の一部を覆うカバー部材86と、メダルMの移動先を切り替えるための切替部材85と、を備える。
【0033】
図8および9に示すように、基部84は、平面視において矩形形状を有しており、この基部84の幅方向における両縁には、図中手前側に延びる側壁部841、842が設けられている。
側壁部841、842は、それぞれ基部84の高さ方向の全長に亘って設けられており、これら側壁部841、842の間に、カバー部材86が位置するようになっている。
【0034】
メダルMの誘導路840は、基部84のカバー部材86との対向面に形成されている。
図9に示すように、正面視においてこの誘導路840は、基部84の左上から、側壁部842に沿って下方に延びる導入部840aと、導入部840aの下端から右下方向に湾曲する湾曲部840bと、湾曲部840bの先端から、側壁部841に向けて右斜め下方に延びる直線部840cとを備えて構成される。
【0035】
図8に示すように、側壁部841における直線部840cとの交差位置には、スリット841aが形成されており、誘導路840に沿って移動したメダルMが、スリット841aを通って、ホッパ用通路81(
図7参照)に排出されるようになっている。
【0036】
図9の(a)に示すように、基部84の上縁には、図中手前側に立ち上がるリブ843が形成されている。リブ843は、基部84の上縁に沿って側壁部841から誘導路840側(反対側の側壁部842側)に延びており、誘導路840の幅方向における一側に設けられた壁部844に接続している。
壁部844は、リブ843と同様に図中手前側に延出して形成されている。この壁部844は、誘導路840の導入部840aの右辺に沿って延びており、直線部840cの上辺に沿って設けられた壁部845の一端に接続している。
壁部845の他端は、側壁部841に接続しており、壁部844と壁部845とにより、誘導路840における導入部840aから直線部840cまでの範囲の一方の壁を構成している。
【0037】
基部84において、誘導路840の湾曲部840bと直線部840cの下側には、金属プレート846が取り付けられており、この金属プレート846の上辺846aは、誘導路840における湾曲部840bから直線部840cまでの範囲の図中下側の壁を構成している。そして、実施の形態では、側壁部842と、この金属プレート846の上辺846aにより、誘導路840における導入部840aから直線部840cまでの範囲の他方の壁を構成している。
【0038】
実施の形態では、誘導路840の幅を規定する側壁部842と壁部844との離間距離Daと、壁部845と金属プレート846の上辺846aとの離間距離Dbとが、それぞれ、メダルの直径D(
図7参照)よりも僅かに広くなるように設定されている(D>Da=Db)。さらに、誘導路840におけるカバー部材86で覆われた部分では、誘導路840とカバー部材86の最小の離間距離が、メダルMを一枚のみ通過可能な距離に設定されている。
これにより、メダル投入口75(
図1参照)から投入されてセレクタ83に誘導されたメダルMが、誘導路840内を1列に並んで流下するようになっている。
【0039】
誘導路840内には、図中手前側に突出する突状帯840dが、誘導路840の長手方向の略全長に亘って設けられている。突状帯840dは、誘導路840の幅方向で、所定間隔で複数設けられており、メダルMと誘導路840との接触面積を少なくして、誘導路840内を通過するメダルMの摺動抵抗を小さくするために設けられている。
【0040】
図8および
図9に示すように、基部84における右上側には、カバー部材86を回転可能に支持するための支持部847、847が形成されている。支持部847、847は、前記した側壁部841と同方向に延出して形成されており、この支持部847、847の先端には、カバー部材86の支持軸860が係合する凹状の係合部847aが設けられている。
【0041】
カバー部材86の支持軸860には、スプリング861が取り付けられており、このスプリング861は、基部84の貫通穴84aを貫通して基部84の裏面に係止される係止部861aを有している(
図8の(b)参照)。
カバー部材86の支持軸860は、スプリング861の付勢力により、係合部847a、847aに係合した状態で保持されており、この状態においてカバー部材86は、基部84の表面に当接した状態で配置されると共に、支持軸860の軸線X1周りに回動可能となっている。
【0042】
図9の(b)に示すように、基部84の導入部840a側の近傍の貫通穴84b内には、カバー部材86を基部84から離れる方向に押圧する押圧部材848が位置している。押圧部材848は、貫通穴84bから基部84の表面側に出没自在に設けられており、図示しないリンク機構を介して、スロットマシン10の返却スイッチ76(
図1参照)と接続されている。
実施の形態では、この返却スイッチ76が押圧されると、リンク機構を介して押圧部材848が駆動されて、貫通穴84bから突出するようになっており、この突出する押圧部材848によりカバー部材86が押圧されて、軸線X1周りに回動するようになっている。
【0043】
よって、誘導路840内にメダルMの詰まりが発生した場合に、返却スイッチ76が押圧されると、カバー部材86の下方(後記する第2カバー部865側)が基部84から離れる方向に移動し、誘導路840内に詰まっていたメダルMが、セレクタ83の下部の皿用通路82に落下して、最終的にメダル受け皿18(
図1参照)に排出されるようになっている。
【0044】
カバー部材86は、支持軸860の取付部863と、誘導路840の導入部840aの前面を覆う第1カバー部864と、金属プレート846の表面を覆う第2カバー部865と、誘導路840の直線部840cの下流側の表面を覆う第3カバー部866と、を備えており、これらは、カバー部材86の中央に形成された開口部867の周りに、反時計回り方向の並びで配置されている。
【0045】
開口部867は、誘導路840の一部と切替部材85を露出させる範囲に形成されており、正面視において開口部867内には、誘導路840の湾曲部840bと直線部840cの一部が露出している(
図7参照)。
【0046】
正面視において第1カバー部864は、誘導路840の導入部840aと押圧部材848(
図9の(b)参照)の前面を覆う範囲に形成されており、開口部867の左上側に位置している。
【0047】
図10は、
図7におけるA−A断面図である。
図10に示すように、第1カバー部864の導入部840aとの対向面864aは、導入部840aの表面に沿って湾曲しており、導入部840aとの間にメダルMが通過可能な隙間Sを確保している。
第1カバー部864において、前記した壁部844に重なる位置には、直線部840c側の下方に延出して延出部864b(
図7参照)が設けられており、この延出部864bの先端864cは、直線部840c内に突出している。
【0048】
正面視において第2カバー部865は、誘導路840の湾曲部840bから直線部840cの上流側までの範囲に形成されており、金属プレート846の表面の誘導路840側の一部を覆う範囲に設けられている(
図7参照)。
第2カバー部865の誘導路840側の上縁865aは、金属プレート846の誘導路840側の上辺846aよりも、誘導路840内に突出している(
図10参照)。
正面視において第2カバー部865の上縁865aは、直線部840cに対して平行に設けられており、この上縁865aと、前記した延出部864bの先端864cとの離間距離Dx(
図10参照)は、メダルMの直径Dよりも小さくなるように設定されている。これにより、誘導路840における湾曲部840bと直線部840cとの接続部とその近傍では、誘導路840を流下するメダルMが、カバー部材86の開口部867から外部に飛び出さないようにされている。
【0049】
図7に示すように、第3カバー部866は、直線部840cの下流側の前面を覆う範囲に形成されている。
図11は、
図7におけるC−C断面図である。
図11に示すように、断面視において第3カバー部866は、直線部840cの前面を覆う平板部866aと、後記するフォトセンサ87の突出部873の前面を覆う膨出部866bとを備える。
平板部866aは、直線部840cから所定距離離間した位置に、直線部840cに対して平行に配置されており、直線部840cとの間にメダルが通過する空間Sを確保している。
【0050】
膨出部866bは、フォトセンサ87の突出部873との干渉を避けるために、直線部840cから離れる方向に膨出して形成されており、断面視において略コ字形状を成している。
実施の形態では、セレクタ83を正面から見て、第3カバー部866は、後記する切替部材85の接触部851の前面側に及んで形成されている(
図7参照)。
そのため、膨出部866bにおける平板部866a側の斜面部866b2は、切替部材85の動作を阻害しないようにするために、誘導路840(直線部840c)の上辺を規定する壁部845から図中下側に所定距離h離間した位置で、平板部866aに接続して、斜面部866b2の内側に、切替部材85の動作を許容する空間S1が確保されている。
【0051】
図8および
図9に示すように、切替部材85は、直線部840cの長手方向に沿って延びる接触部851と、この接触部851を直線部840c側の下部に備える本体部852と、本体部852の幅方向における両側から、本体部852に直交する方向に延びる腕部853、853と、を備える。
腕部853、853は、基部84の貫通穴84c、84d(
図9の(b)参照)を貫通して、基部84の裏側に突出して設けられるようになっており、この腕部853、853の先端の貫通孔853aに、基部84の支持部849で保持された軸部材(図示せず)を挿通させて、基部84(支持部849)で揺動可能に支持されるようになっている。
【0052】
図12は、
図7におけるB−B断面図であって、切替部材85の動作を説明するための図であり、(a)は、切替部材85が、接触部851を壁部845の先端面845aに当接させた位置に配置された状態を示す図であり、(b)は、切替部材85が、接触部851を壁部845から離間させた位置に配置された状態を示す図である。
【0053】
図12に示すように、実施の形態において切替部材85は、基部84の支持部849(
図8参照)において、軸線X2周りに揺動可能とされている。
そして、接触部851を基部84の表面側から壁部845の先端面845aに接触させた位置(メダルMをホッパ用通路81側に排出させる位置)(
図12の(a)参照)と、接触部851を壁部845から離間させた位置(メダルMを皿用通路82側に排出させる位置)(
図12の(b)参照)との間で、往復移動するようになっている。
【0054】
切替部材85は、図示しないソレノイド(メダル通路切替ソレノイド83a)にリンク機構を介して接続される係合部854(
図8参照)を備えており、ソレノイドのオン/オフにより、接触部851を壁部845に対して接離させるようになっている。
【0055】
実施の形態では、接触部851が壁部845の先端面845aに当接した状態において、接触部851の下端851aは、壁部845の下端845bよりも誘導路840(直線部840c)側に突出しており、接触部851の下端851aと、第2カバー部865の上縁865aとの離間距離Dyが、メダルMの直径Dよりも小さくなるように設定されている。
そのため、切替部材85が、
図12の(a)に示す位置に配置されているときには、誘導路840を流下するメダルMの誘導路840からの脱落が切替部材85により防止された状態となるので、誘導路840を流下するメダルMは、誘導路840に沿って流下して、基部84の側壁部841に設けたスリット841a(
図8参照)から、ホッパ用通路81に向けて排出されるようになっている。
【0056】
一方、切替部材85が、
図12の(b)に示す位置に配置されているときには、接触部851の下端851aは、壁部845の下端845bよりも上方に位置しているので、直線部840cを流下するメダルMの図中上側が、接触部851により支持されない状態となる。
ここで、基部84における誘導路840は、鉛直線Vに対して所定角度θ傾けて設けられているので、接触部851によるメダルMの図中上側の支持がされないと、メダルMは、重力により開口部867側に倒れ込むことになり、メダルMは、最終的にカバー部材86の開口部867から誘導路840の外部に排出されて、皿用通路82に排出されるようになっている。
【0057】
なお、直線部840cにおける後記する貫通穴84fよりも上流側では、金属プレート846側(図中下側)の突状帯840dが省略されており、開口部867から離れる方向に窪んだ窪み部840eが形成されている。
この窪み部840eは、メダルMが開口部867側に倒れ込むときに、メダルMの下側が、直線部840c(突状帯840d)と干渉してメダルMの倒れ込みが阻害されないようにするために設けられている。
【0058】
基部84の説明に戻って、
図8および
図9に示すように、誘導路840の直線部840cの下流側では、その誘導路840の幅方向における一方側(図中上側)に、開口部84eが設けられている。
開口部84eは、基部84を厚み方向に貫通して形成されており、この開口部84e内には、フォトセンサ87の一対の受光素子870a、870bが、その受光面を誘導路840(直線部840c)側に向けて配置されている。
【0059】
図11に示すように、フォトセンサ87は、基部84の誘導路840とは反対側の面84iに取り付けられた本体部872と、本体部872から基部84の直交方向に延びる突出部873とを備えて構成される。
【0060】
本体部872は、一対の受光素子870(870a、870b)を、前記した開口部84eと整合する位置に備えており、誘導路840側から見て、受光素子870a、870bは、開口部84e内で、誘導路840(直線部840c)の長手方向で並んで配置されている。
突出部873は、基部84を貫通して設けられており、当該突出部873に設けられた発光素子871(871a、871b)とミラー874を、基部84の誘導路840側に位置させている。
【0061】
フォトセンサ87では、発光素子871(871a、871b)から照射された光がミラー874により反射されて、それぞれ対応する受光素子870(870a、870b)で受光されるようになっており、誘導路840を通過するメダルMにより受光素子870での受光が妨げられるとオフ信号(以下、オフ)を出力し、妨げられないとオン信号(以下、オン)を出力するようになっている。
【0062】
実施の形態では、受光素子870a、870b毎にオン/オフ信号が出力されるようになっており、何れの受光素子870a、870bでの受光が妨げられたのかが、特定できるようになっている。そして、フォトセンサ87の出力信号から、以下の(1)から(3)の組合せが連続して検出されると、メダルMの1枚としてカウントされるようになっている。
(1)受光素子870a:オフ、受光素子870b:オン、(2)受光素子870a:オフ、受光素子870b:オフ、(3)受光素子870a:オン、受光素子870b:オフ
【0063】
そして、メダルMがメダル投入口75から連続して投入されて、複数枚のメダルが互いに接した状態で誘導路840内を移動した場合でも各メダルを区別してカウントできるようにするために、受光素子870a、870bの離間距離D(
図13参照)は、互いに接した状態で連なるメダルM1、M2が、それぞれ同時に受光素子870a、870bの受光を妨げることがない距離に設定されている。
【0064】
図13は、誘導路840の直線部840c側の拡大図である。
図13に示すように、誘導路840の直線部840cでは、開口部84eよりも上流側に、貫通穴84fが設けられている。貫通穴84fは、基部84を厚み方向に貫通して形成されており、平面視において矩形形状を有している。
貫通穴84fは、直線部840cにおけるメダルMの移動方向(流下方向)に対して直交する方向に延びており、直線部840cの幅Dbよりも僅かに狭い幅Dcで形成されている。
【0065】
貫通穴84fには、平面視において、貫通穴84fと略整合する形状の直動部材88が位置しており、この直動部材88(本体部880)は、誘導路840を横断する方向(
図13では、紙面に対して前後方向)に進退移動可能に設けられている。
【0066】
図14は、
図7におけるD−D断面を模式的に示した図であって、直動部材88の動作を説明するための図であり、(a)は、直動部材88が、初期位置に配置された状態を示す図であり、(b)は、直動部材88が駆動位置に配置された状態を示す図であり、(c)は、誘導路840(直線部840c)内に不正用治具Uが挿入されているときに、直動部材88が駆動位置に向けて駆動された場合を説明する図である。
図15の(a)は、
図13におけるA−A断面図であり、(b)は、直動部材88の変形例を示す図である。
【0067】
直動部材88の本体部880は、金属製の板状部材であり、その先端部に尖状の刃部881が設けられている。
実施の形態では、直動部材88は、リンク部材100を介して接続したソレノイドSolにより、誘導路840(直線部840c)に対して出没自在とされている。
【0068】
リンク部材100は、回転中心軸X3周りに回動可能に設けられており、リンク部材100の一端100aに、直動部材88の基端部882が回転可能に連結されている。
リンク部材100の他端100bには、ソレノイドSのスプール101が回転可能に連結されていると共に、スプリングSpが連結されている。リンク部材100には、このスプリングSpにより、他端100b側を基部84に近づける方向の力が作用している。
【0069】
実施の形態では、ソレノイドSolが駆動されていないときには、直動部材88は、スプリングの圧縮力で
図14の(a)に示す初期位置に配置されるようになっている。
なお、この初期位置において直動部材88は、先端の刃部881を直線部840cに突出させない位置に配置されており、直線部840cを流下するメダルMの移動が、刃部881により阻害されないようにされている。
【0070】
そして、ソレノイドSが駆動されて、スプール101が基部84から離れる方向に移動すると、リンク部材100がスプリングSpの張力に抗して、回転軸X3周りに時計回り方向に回転して、直動部材88が、直線部840cを横断する方向(メダルMの流下方向に対して直交する方向)に駆動されるようになっており、最終的に直動部材88は、
図14の(b)に示す駆動位置まで移動するようになっている。
【0071】
実施の形態では、直線部840cの貫通穴84fに対向する位置に、前記した第3カバー部866の平板部866aが位置しており、この平板部866aでは、貫通穴84fに整合する位置に、直動部材88を挿通させるためのスリット866cが設けられている。
メダルの流下方向(直線部840cの長手方向)におけるスリット866cの幅は、同方向における貫通穴84fの幅W2と略整合する幅であって、同方向における直動部材88の幅W1よりも僅かに広い幅に設定されている。
これにより、直線部840cを横断した直動部材88の先端側のみが、このスリット866cに挿入されて、その先端側の刃部881が、平板部866aの基部84とは反対側に突出するようになっている。
【0072】
平板部866aの基部84とは反対側の面866a1には、スリット866cを貫通した直動部材88の先端側を検出するためのセンサ89が取り付けられている。
このセンサ89は、直動部材88が挿入されるスリット部890を、平板部866aとの対向面に備えており、このスリット部890を挟んで一方側と他方側に、発光素子89aと受光素子89bが設けられている。
【0073】
実施の形態では、直動部材88が駆動位置(
図14の(b))に達すると、平板部866aのスリット866cを貫通した直動部材88の先端側が、スリット部890内に挿入されるようになっている。そして、このスリット部890内に挿入された直動部材88により、受光素子89bの受光が妨げられると、センサ89が、直動部材88の検出を示す信号(オフ信号)を出力するようになっている。
【0074】
ここで、フォトセンサ87にメダルMを誤検出させるための不正用治具Uは、フォトセンサ87に誤検出させるための本体部U1と、この本体部U1を誘導路840から取り出し可能にするための接続片U2を少なくとも有しており、この接続片U2は、不正用治具Uをメダル投入口75から取り出し可能とするために、本体部U1からメダル投入口75の外部まで延びている。
そのため、不正用治具Uが誘導路840に挿入されているときに、直動部材88が駆動されると、当該直動部材88の駆動位置への移動が、例えば接続片U2により妨げられて、直動部材88が、センサ89で検出されなくなるようになっている。
実施の形態では、かかる場合に異常が報知されるようになっており、誘導路840内への不正用治具Uの挿入が、異常として報知されるようになっている。
【0075】
なお、不正用治具Uには様々な種類があり、例えば、不正行為者が隠し持つリモートコントローラから無線送信される制御信号で本体部U1を駆動して、フォトセンサ87にメダルを誤検出させるようにした仕様の不正用治具や、本体部U1に有線接続されたコントローラから、信号線を介して伝送される制御信号で本体部U1を駆動して、フォトセンサ87にメダルを誤検出させるようにした仕様の不正用治具、などがある。
ここで、前者の不正用治具の場合には、接続片U2は、メダル投入口75(
図1参照)に係止された係止片(図示せず)と本体部U1とを単純に接続して、メダル投入口75から取り出し可能にするためのひも状の部材となる。
また、後者の不正用治具の場合には、接続片U2は、本体部U1に制御信号を伝送するための信号線であって、本体部U1をメダル投入口75から取り出し可能にするひもを兼ねた部材となる。
【0076】
ここで、実施の形態では、直線部840cの貫通穴84fに対向する位置に、カバー部材86の平板部866aが位置しており、この平板部866aは、直線部840cの長手方向に沿って、直線部840cに対して平行に位置している。そして、この平板部866aにおける貫通穴84fに対向する位置には、直動部材88のみを挿通可能なスリット866cが設けられている。
よって、不正用治具U(本体部U1、接続片U2)が、可撓性に富む材料から構成されており、駆動位置に向けて移動する直動部材88が接触した際に、直動部材88の形状に合わせて変形するようになっていても、スリット866cの幅W2が直動部材88のみを通過可能な幅に設定されているので、直動部材88のスリット866cへの挿入が、不正用治具Uにより阻止されることになる。これにより、直動部材88を駆動位置に向けて駆動したにもかかわらず、センサ89がスリット866cを通過した直動部材88を検知できないので、異常の発生を確実に報知できることになる。
【0077】
さらに、
図15に示すように、直線部840cの幅方向(メダルの流下方向の直交方向)における直動部材88の幅W3が、直線部840cの幅Dbよりも僅かに狭くなっており、直動部材88が、直線部840cの幅方向における略全長に及ぶ幅W3を有している。
そのため、例えば不正用治具Uの接続片U2が極細い糸状のものであって、直線部840cの幅方向における一方に偏って位置している場合であっても、直線部840c内に突出させた直動部材88を、ほぼ確実に接続片U2に対して接触させることができるようになっている。
【0078】
なお、直動部材88の接続片U2への接触を確実に行えるようにするために、直線部840cでの貫通穴84fの幅(メダルの流下方向の直交方向の幅)を広く取って、直動部材88の幅が、直線部840cの幅Dbよりも大きい幅となるようにしても良い。
この場合、例えば図中上方向に貫通孔84fを広げて、直動部材840cの幅が、図中仮想線で示す幅W3’となるようにすると、切替部材85やカバー部材86の形状などを変更する範囲を最小限に抑えつつ、接続片U2への接触を確実に行えるようにすることができる。
【0079】
また、直動部材88の刃部881は、その先端側に向かうにつれて厚みが薄くなる尖状に形成されているので、不正用治具Uが直線部840c内に位置している場合に直動部材88が駆動されると、直動部材88が不正用治具Uに少なくとも突き刺さり、接続片U2を引っ張っても、本体部U1が誘導路840から容易に取り出せないようになっている。
よって、異常が報知されたあとに不正用治具Uを誘導路840から抜き取ろうとしても、刃部881が不正用治具Uに食い込んで、不正用治具Uを容易に抜き取ることができないので、スロットマシン10内に不正の証拠を残すことができるようになっている。
【0080】
さらに、実施の形態では、ソレノイドSolがオン駆動されたときに、直動部材88が駆動位置に向けて移動するようになっており、ソレノイドSolの駆動力が、不正用治具Uを直動部材88(刃部881)で貫くときの駆動力として作用するようにされている。そのため、直動部材88(刃部881)で不正用治具Uを貫くことができるようになっており、不正用治具Uの誘導路840からの抜き取りが、いっそう困難になるようにされている。
そして、直動部材88の刃部881が不正用治具Uを貫通した場合でも、スリット866cの幅が直動部材88のみを通過可能な最小の幅に設定されているので、直動部材88のスリット866cへの完全な挿入が阻害されて、異常が報知されることになる。
【0081】
なお、直動部材88が駆動された際に、直動部材88の先端に設けた刃部881により、不正用治具油Uの接続片U2が切断されることがある。
ここで、誘導路840の直線部840cにおいて不正用治具Uの本体部U1は、接続片U2により、フォォトセンサ87にメダルを誤検出させるのに最適な位置に配置されるようになっている。そのため、接続片U2が切断されると、直線部840cがメダルの流下を促進するために傾斜している(
図9参照)こともあって、本体部U1が、前記した最適な位置に留まることができなくなる。よって、仮に不正用治具Uが、不正行為者が隠し持つリモートコントローラから無線送信される制御信号で本体部U1を駆動する仕様のものであっても、以降、不正行為が継続して行われることを好適に防止できる。
【0082】
さらに、不正用治具Uが、本体部U1に有線接続されたコントローラから、信号線を介して伝送される制御信号で本体部U1を駆動する仕様のものである場合には、信号線を兼ねた接続片U2が切断されることにより、本体部U1を駆動するための制御信号の送信が妨げられるので、以降、不正行為が継続して行われることを確実に防止できる。
ここで、接続片U2が切断された場合には、当該直動部材88の駆動位置への移動が妨げられずに、センサ89で直動部材88が検出されて、異常が報知されない場合がある。
かかる場合であっても、少なくとも不正用治具Uによる不正行為が継続される可能性を抑えることができ、さらに不正用治具Uの本体部U1が接続片U2から切り離されるために、本体部U1の回収が困難になる。
このことが、不正行為を行うものにとって心理的な負担となり得るので、不正行為の抑制に寄与することができる。
【0083】
なお、
図15の(b)に示すように、直動部材88の先端側に、刃先の向いている方向と逆の方向に尖ったかえし881aを設けて、不正用治具Uを貫いた直動部材88が、不正用治具Uから容易に外れないようにしても良い。かかる場合には、不正用治具Uの誘導路840からの抜き取りがさらに困難になるので、このことが不正行為を行う者に対する心理的な負荷となって、不正行為を抑制する効果が奏されることになる。
【0084】
スロットマシン10の説明に戻って、
図3および
図5に示すように、仕切板11fの下部には、ホッパ装置91が設けられている。
メダルを遊技者に付与する排出手段としてのホッパ装置91は、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、皿用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、皿用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
【0085】
図1に示すように、メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ83内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ83が機械的に連動して動作され、当該セレクタ83内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
【0086】
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、仮想遊技媒体としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78および第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。
【0087】
スタートレバー71の左側には、ボタン状の精算スイッチ80が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状態で精算スイッチ80が押下操作されることで、仮想メダルが現実のメダルとして排出される。
【0088】
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、貯留記憶された仮想メダル数を表示するクレジット表示部35と、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部36とがそれぞれ設けられている。
【0089】
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
【0090】
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ラインおよび下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
【0091】
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときに貯留記憶されている仮想メダルが50枚未満であれば、スロットマシン内部に貯蓄されると共にクレジット表示部35の仮想メダル数が加算表示される。一方、仮想メダル数が50枚のときまたは50枚に達したときには、セレクタ83によりホッパ用通路81から皿用通路82への切替がなされ、メダル排出口17からメダル受け皿18へと余剰メダルが返却される。
【0092】
また、クレジット表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79の何れかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
【0093】
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が1つ減算され、第1有効ライン表示部32が点灯して中ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が2つ減算され、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が3つ減算され、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
【0094】
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79の何れかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えばクレジット表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、クレジット表示部35の数値が全て減算されて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
【0095】
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施の形態では表示内容の多様化および表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール61L,61M,61Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施の形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111(
図3参照)が設けられている。なお、上部ランプ13およびスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
【0096】
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122、リセットスイッチ123、および当選確率設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。リセットスイッチ123は、スロットマシン10のエラー状態をリセットするためのスイッチである。当選確率設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が当選確率設定キーを当選確率設定キー挿入孔124へ挿入してON操作することにより、スロットマシン10の当選確率を設定できるようになっている。
【0097】
図5に示すように、リールユニット60の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。
【0098】
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、
図16のブロック図に基づいて説明する。
【0099】
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定の上限値の範囲内で乱数を生成し適宜更新する乱数カウンタ154などが内部バスを介して接続されている。
かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。また、主制御装置131には、入出力ポート132が設けられており、当該入出力ポート132を介して各種信号の入出力が行われる。
【0100】
すなわち、主制御装置131の入力側には、駆動位置に配置された直動部材88を検出するためのセンサ89、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出するフォトセンサ87、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、精算スイッチ80の操作を検出する精算検出センサ80a、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、当選確率設定キー挿入孔124に当選確率設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する当選確率設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート132を介してCPU151へ出力されるようになっている。
【0101】
また、主制御装置131の入力側には、電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
【0102】
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151に供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
【0103】
電源部161aは、出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されている。この安定化電圧が出力される時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
【0104】
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、クレジット表示部35、獲得枚数表示部36、各リール61L,61M,61Rを回転させるための各ステッピングモータ62(61L,61M,61R)、セレクタ83に設けられたメダル通路切替ソレノイド83a、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171、そして直動部材88を進退移動させるためのソレノイドSol等が接続されている。
【0105】
表示制御装置111は、上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14および補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜36を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
【0106】
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路などが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成されている。
【0107】
RAM153について詳細に説明すると、RAM153には、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリや、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタの値を記憶しておくためのバックアップエリアが設けられている。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
【0108】
また、RAM153には、仮想メダルを貯留記憶するための仮想メダル記憶エリア153bなどの各種カウンタエリアが設けられている。
【0109】
<制御処理>
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を
図17〜
図28のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込処理とタイマ割込処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
【0110】
[NMI割込処理]
図17は、NMI割込処理の一例を示すフローチャートである。
停電の発生等により電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bから主制御装置131に停電発生信号が入力される。CPU151は、NMI端子を介して停電発生信号が入力されると、NMI割込処理を即座に実行する。
【0111】
NMI割込処理では、ステップ101において、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリア153aへ退避させる処理(レジスタ退避処理)が実行される。
ステップ102において、停電フラグをセットして、RAM153内に設けられた所定のワークエリアに、停電発生情報を設定する。
ステップ103において、バックアップエリア153aへ退避させたデータを、CPU151に搭載の使用レジスタに復帰させる処理(レジスタ復帰処理)を実行して、本ルーチンの処理を終了する。
【0112】
[タイマ割込処理]
図18は、主制御装置131で定期的(本実施の形態では、1.49msec毎)に実行されるタイマ割込処理のフローチャートである。
【0113】
ステップ201のレジスタ退避処理では、後述する通常遊技処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値を、RAM153のバックアップエリア153aに退避させる。
ステップ202では、停電フラグがセットされているか否かを確認し、セットされている場合には、
図19の停電時処理が実行され(ステップ203)、セットされていないときには、停電時処理は実行されずに、スキップされる。
そして、ステップ204以降の処理が順次実行される。
【0114】
ステップ204において、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理が実行される。
ステップ205では、CPU151自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。
ステップ206では、各リール61L,61M,61Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ62L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。
ステップ207では、各種スイッチのオン/オフ状態を読み込むスイッチ状態読み込み処理を行う。
【0115】
ステップ208では、メダル投入口から不正用治具が挿入されているか否かを確認するために直動部材検出処理を行う。なお、この不正判定処理は、後に詳細に説明をする。
ステップ209では、入出力ポートに接続された各種センサ(
図16参照)の状態を読み込むと共に、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。
【0116】
ステップ210では、各タイマの値の減算等を行うタイマ演算処理を行う。
ステップ211では、メダル投入口75から投入されたメダルの枚数、遊技においてベットされたメダルの枚数(ベット枚数)、そしてスロットマシン10から払い出されたメダルの枚数(払い出し枚数)をカウント(計数)し、カウントした結果を外部集中端子板171へ出力するIN・OUTカウンタ処理を行う。
【0117】
ステップ212では、各種コマンドを表示制御装置111へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップ213では、クレジット表示部35、獲得枚数表示部36などの各々に表示されるセグメントデータの設定処理(セグメントデータ設定処理)を行う。
ステップ214では、設定されたセグメントデータを、クレジット表示部35、獲得枚数表示部36などに出力して、数字や記号などの文字情報を表示させる処理(セグメントデータ表示処理)が実行される。
【0118】
ステップ215では、出力データ(制御信号、励磁データなど)を入出力ポート132から出力させるポート出力処理を行う。
ステップ216では、先のステップ201にてバックアップエリア153aに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる処理(レジスタ復帰処理)を行う。
ステップ217では、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、一連のタイマ割込処理を終了する。
【0119】
[停電時処理]
図19は、主制御装置131で実行される停電時処理のフローチャートである。
停電時処理は、前記したように、タイマ割込処理の中(
図18、ステップ203)で実行される。
この停電時処理は、タイマ割込処理のレジスタ退避処理処理(ステップ201)の直後に実行されるので、その他の割り込み処理を中断することなく実行できる。
そのため、復電コマンドなどの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み途中、カウンタの内容を更新中のように、それぞれの処理の途中に割り込んでこの停電時処理が実行されることはない。すなわち、イレギュラーなタイミングで停電時処理が実行されないので、イレギュラーなタイミングに実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これによって、停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。復電処理も同様である。
【0120】
また、停電時処理の実行後にタイマ割込処理に復帰(リターン)することもあるが、レジスタ退避処理の直後に停電時処理が実行されるので、この停電時処理の中で上述したレジスタ退避処理やその復帰処理を行う必要がない。その分だけ、停電時処理用の処理プログラムが簡略化されて、プログラム容量を削減できる。
【0121】
停電時処理では、ステップ301において、コマンド送信中であるか否かを、通常のコマンドを取り扱うコマンドカウンタ(図示せず)の値が奇数か否かに基づいて確認する。コマンド送信中である場合(ステップ301においてYes)、停電時処理を終了して、タイマ割込処理(
図18)にリターンする。
【0122】
コマンドデータは1バイト単位で送信されるので、1つのコマンド送信は2回のタイマ割り込みで完了する。コマンドをバッファリングするときに使用されるコマンドカウンタの値が奇数であるときには、コマンドデータのうち2バイト目のコマンドデータの送信が完了していないことになるので、この場合にはコマンド送信中であると判断されて、タイマ割り込み処理にリターンし、停電時処理は実行されない。
【0123】
なお、未送信となっているこの2バイト目のコマンドデータは、リターン後に実行される次のタイマ割込処理中に発生するコマンド出力処理(
図18、ステップ212)の中で送信処理されるから、その次のタイマ割込処理タイミングになると、このコマンドの送信処理は完了していることになる。
【0124】
このように停電時処理の最初に、コマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理が終了してから停電時処理を実行すれば、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムや復電処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してプログラムメモリ(ROM152)の小容量化を図れる。
【0125】
ここで、単位コマンドの送信を完了するには2回のタイマ割込処理の実行が必要なので、少なくとも3回以上タイマ割込処理を実行でき、しかも停電時処理の後記するステップ301以降のステップ308までの処理を実行するに十分な時間の間は、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持される必要がある。
【0126】
実施の形態では、タイマ割込処理の周期が1.49msecであるので、停電が発生してから(1.49msec×3回=4.47msec)+α以上、例えば30msecの間、電源装置161の電源部161aから駆動電圧が出力され続けるようになっている。
よって、主制御装置131は、コマンドの送信途中に停電が発生しても、停電時処理を正常に実行することができる。
【0127】
ステップ301においてコマンド送信中でない場合、ステップ302以降の中断処理が実行される。
ステップ302では、CPU151のスタックポインタの値を、RAM153内のスタックポインタ保存用メモリ領域に保存し、ステップ303において、チェックサム補正値用メモリ領域の値をクリア(=0)にすると共に、ステップ304において、入出力ポート132における出力ポートの出力状態をクリアして、全てのアクチュエータ(
図11において図示されていない)をオフ状態にする。
【0128】
ステップ305において、RAM153の全ての値を加算してチェックサムを算出し、ステップ306において、算出したチェックサムより2の補数を求めて、これをチェックサム補正値として新たにチェックサム補正値用メモリ領域に書き込む。
この算出処理によって得られた補正値を使用することで、RAM153のチェックサムはゼロになる。RAM153のチェックサムをゼロにすることで、それ以後のRAM153への書き込みが禁止される(ステップ307)。
【0129】
ステップ308において、停電発生信号が未だに入力されているか否かを確認する。
このステップ308の処理は、制御系の駆動電圧が安定化電圧(5ボルト)以下になるまで繰り返され、その間は無限ループ処理となる。
【0130】
ステップ308において、制御系の駆動電圧が安定化電圧(5ボルト)以下になる前に停電発生信号の入力がなくなると、この場合には停電状態が復旧したことになるので、ステップ309においてRAM153への書き込みを許可すると共に、ステップ310において、停電フラグをリセットしたのち、タイマ割込処理(
図18)にリターンする。
【0131】
[メイン処理]
図20は、電源投入時に主制御装置131で実行されるメイン処理のフローチャートである。電源スイッチ122がオン操作されてスロットマシン10の電源が投入されると(停電からの復旧による電源入を含む)、この処理が実行される。
【0132】
メイン処理では、ステップ401において、初期化処理が実行される。
具体的には、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などが実行される。
【0133】
ステップ401の初期化処理が終了すると、ステップ402では当選確率の設定キーが当選確率設定キー挿入孔124(
図3参照)に挿入されてON操作されているか否か、より詳しくは当選確率設定キー検出センサ124aからON信号を受信しているか否かを判定する。
当選確率設定キーのON操作がなされている場合にはステップ403に進み、強制的RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。続くステップ404ではいずれの当選確率に基づいて後述する抽選処理を実行させるのかを設定するための当選確率設定処理(6段階確率設定処理)を行う。ステップ404にて当選確率設定処理を行った後には、後記する通常遊技処理(ステップ405)に移行する。
【0134】
一方、ステップ402にて当選確率設定キーが挿入されていない場合には、ステップ406以降に示す復電処理を行う。復電処理とは、スロットマシン10の状態を電源遮断前の状態に復帰させる処理である。従って、復電処理では先ずRAM153のデータが正常かどうかを確認する必要がある。
【0135】
そこで、ステップ406では設定値が正常か否かを判定する。具体的には、当選確率設定値が「1」〜「6」のいずれかである場合に正常であると判定し、「0」または「7」以上である場合に異常であると判定する。設定値が正常である場合には、ステップ407にて停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされている場合には、さらにステップ408にてRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合、RAM153のデータは正常であると判定する。
【0136】
ステップ408においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップ409に進み、バックアップエリア153aに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。
次に、ステップ410において、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後、ステップ411にて遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い、ステップ412にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。続くステップ413では、停電フラグをリセットし、電源遮断前の番地に戻る。電源遮断前の番地に戻るための具体的な処理として、先に説明したタイマ割込処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップ204)が実行されることとなる。
【0137】
ステップ406〜ステップ408の何れかがNO、すなわち、当選確率設定値が異常である、電源遮断時にセットされる筈の停電フラグがセットされていない、またはRAM判定値が異常である場合には、RAM153のデータが破壊された可能性が高い。このような場合には、ステップ414〜ステップ416に示す動作禁止処理を行う。動作禁止処理として、先ずステップ414にて次回のタイマ割込処理を禁止し、ステップ415では入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ステップ416にてホール管理者等にエラーの発生を報知するエラー報知処理を行う。かかる動作禁止状態は、上述した当選確率設定処理が行われるまで維持される。
【0138】
[通常遊技処理]
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常遊技処理について
図21のフローチャートに基づき説明する。
【0139】
通常遊技処理では、メダルがベットされたのちにスタートレバー71が操作されるまでの間、ステップ501のメダル精算処理が繰り返し実行される。
そして、メダルがベットされたのちに、スタートレバー71が操作されると(ステップ502、ステップ503においてYes)、ステップ504のベット不許可処理と、ステップ505の抽選処理と、ステップ506のリール制御処理と、ステップ507のメダル払出処理と、ステップ508の特別遊技状態処理と、ステップ509のベット許可処理とが順番に実行されたのち、ステップ501の処理にリターンする。
【0140】
以下、通常遊技処理における各処理を説明する。
[メダル精算処理]
図22は、メダル精算処理の一例を示すフローチャートである。
メダル精算処理では、先ずステップ601にて、前回の遊技回において再遊技入賞が成立し、再遊技設定がなされているか否かを判定する。
再遊技入賞とは、抽選処理にて再遊技当選となり、有効ライン上に再遊技図柄の組合せが成立することにより発生する。そして、再遊技入賞が成立した場合には、遊技者にとっては、次の遊技回をメダルまたは仮想メダルの投入を要することなく開始させることができる。再遊技設定がなされている場合には、そのまま本メダル精算処理を終了し、再遊技設定がなされていない場合には、ステップ602に進む。
【0141】
ステップ602では、精算検出センサ80aからの検出信号に基づいて、精算スイッチ80が操作されたか否かを判定する。精算スイッチ80が操作されていない場合には、そのまま本メダル精算処理を終了する。精算スイッチ80が操作されている場合には、ステップ603に進む。
【0142】
ステップ603では、RAM153の仮想メダル記憶エリア153bを確認することで、仮想メダルが貯留記憶されているか否かを判定する。仮想メダルが貯留記憶されていない場合には、メダルを排出する(精算する)必要がないため、そのまま本メダル精算処理を終了する。
仮想メダルが貯留記憶されている場合には、ステップ604の排出制御処理を実行した後に、本メダル精算処理を終了する。
【0143】
ここで、排出制御処理を説明する。
図23は、排出制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0144】
排出制御処理では、先ずステップ701にてRAM153の仮想メダル記憶エリア153bを確認することにより、仮想メダル枚数が「0」か否かを判定する。仮想メダル枚数が「0」でないときには、ステップ702にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。
続くステップ703ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aからのメダル検出信号に応じて仮想メダル枚数を1減算する。その後、ステップ704にてクレジット表示部35の枚数を1減算する表示変更処理を行う。ステップ704にて表示部変更処理を行った後、再びステップ701に戻る。ステップ701で仮想メダル枚数が「0」となったときには、排出制御処理を終了する。
この排出制御処理は、メダル精算処理のサブルーチン(
図22、ステップ604)であるので、排出制御処理が終了すると、メダル精算処理にリターンすることになる。
しかし、メダル精算処理における排出制御処理は、メダル精算処理において一番最後の実行される処理であるので、かかる場合には、メダル精算処理もまた終了して、通常遊技処理のステップ502に移行することになる。
【0145】
[ベット不許可処理]
主制御装置131における処理が通常遊技処理(
図21)に戻ると、メダルがベットされたのちにスタートレバー71が操作されるまでの間、ステップ501からステップ503の処理が繰り返し実行される。
そして、メダルがベットされたのちにスタートレバー71が操作されると(ステップ502、503においてYes)、ステップ504のベット不許可処理が実行されることになる。
【0146】
このベット不許可処理(ステップ504)では、RAM153の遊技中フラグ格納エリアに遊技中フラグをセットする。
当該遊技中フラグがセットされることにより、クレジット投入検出センサ77a〜79aからのON信号が無効化される。
また、メダル通路切替ソレノイド83aが非励磁とされ、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたとしても皿用通路82を介して遊技者にかかるメダルが返却されるようになる。
【0147】
このベット不許可処理が終了すると、ステップ505の処理に移行して、抽選処理が実行される。
【0148】
[抽選処理]
ここで、ステップ504に続いて実行される抽選処理(ステップ505)を説明する。
図24は、抽選処理の一例を示すフローチャートである。
【0149】
抽選処理では、ステップ801において、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされたメダルの枚数、小役確率の高低等に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。
ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」の何れかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。
また、ベットされたメダルの枚数は1〜3枚の何れかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比べて3倍以上高い確率となっている。
さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在のメダルの払出率(出玉率)が所定の期待値を下回っているときには小役当選確率が高い乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには小役当選確率が低い乱数テーブルが選択される。
【0150】
ステップ802では、このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー71が操作されたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を照らして役の抽選を実行する。そして、ステップ803において、予め設定されている複数の入賞役のうちの何れかに当選したか否かを確認し、何れの入賞役にも当選していない場合には、そのまま処理を終了する。
【0151】
何れかの入賞役に当選した場合には、ステップ804において、当選した入賞役のフラグ(当選フラグ)をセットすると共に、図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。よって、当選した入賞役がBB(ビッグボーナス)である場合には、BB当選フラグがセットされる。
【0152】
ステップ805において、リール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納する。
ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄が所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
【0153】
この抽選処理(
図21、ステップ505)が終了すると、通常遊技処理にリターンして、リール制御処理(ステップ506)が実行される。
【0154】
[リール制御処理]
次に、通常遊技処理のリール制御処理を、
図25のフローチャートを参照して説明する。
【0155】
リール制御処理では、始めにステップ901においてウエイト処理が実行される。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまでの間、今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。
このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー71を操作したとしても、直ちに各リール61(61L、61M、61R)が回転しないことがある。
【0156】
ステップ901のウエイト処理が実行されると、ステップ902のリール回転処理が実行されて、各リール61(61L、61M、61R)が回転する。なお、リール回転処理は後で詳細に説明する。
【0157】
続くステップ903において、各リール61(61L、61M、61R)が回転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定し、経過していない場合には所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過した場合にはステップ904の処理に移行する。
ステップ904において、ストップスイッチ72〜74の何れかが押下操作されてリール61L〜61Rの停止指令が発生したか否かを確認する。停止指令が発生していない場合には、ステップ905において、予め定められた各リール61(61L、61M、61R)の最大回転時間(例えば40秒)が経過したか否かを確認する。
最大回転時間が経過していない場合にはステップ904の処理にリターンし、最大回転時間を経過している場合には、ステップ906において、回転中の全てのリール61(61L、61M、61R)を強制的に停止させる強制停止処理が実行される。
【0158】
ステップ904において停止指令が発生している場合には、ステップ907においてリール停止処理を行う。
このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチ72〜74に対応するリール61(61L、61M、61R)を、ストップスイッチ72〜74の操作タイミングに応じて停止させるための設定処理が行われる。
このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。
【0159】
続いて、ステップ908では今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第1停止指令の場合には、ステップ909に進み、スベリテーブル変更処理を行う。
このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。
【0160】
一方、ステップ908で今回の停止指令が第1停止指令でないときには、ステップ910に進み、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第2停止指令のときにはステップ911に進み、停止目判定処理を行う。
この停止目判定処理では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ14から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。
【0161】
そして、ステップ906の強制停止処理の後、ステップ909のスベリテーブル変更処理の後、ステップ910にて今回の停止指令が第2停止指令でなかったとき、またはステップ911の停止目判定処理を行った後には、ステップ912にて左、中、右リール61L,61M,61Rのすべての回転が停止したか否かを判定する。
ステップ912がNOの場合にはステップ704に戻り、YESの場合には続くステップ913にて払出判定処理を実行する。
【0162】
払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに「0」をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに「0」をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
【0163】
そして、ステップ913の払出判定処理が終了すると、本リール制御処理を終了して、通常遊技処理のメダル払出処理(
図21、ステップ507)が実行される。
【0164】
次に、ステップ507のメダル払出処理について、
図26のフローチャートに基づき説明する。
【0165】
メダル払出処理では、先ずステップ1001にて払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する。払出数と払出予定数とが一致していないときには、ステップ1002にてRAM153の仮想メダル記憶エリア153bの仮想メダル枚数が上限(貯留されている仮想メダル枚数が50枚)に達しているか否かを判定する。上限に達していないときには、ステップ1003,S1005にて仮想メダル記憶エリア153bの仮想メダル枚数および払出数をそれぞれ1加算する。その後、ステップ1006では、クレジット表示部35および獲得枚数表示部36の枚数をそれぞれ1加算するための表示部変更処理を行う。
【0166】
一方、ステップ1002にて仮想メダル記憶エリア153bの仮想メダル枚数が上限に達しているときには、ステップ1004にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。続くステップ1005ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aのメダル検出信号に応じて払出数を1加算する。その後、ステップ1006にて獲得枚数表示部36の枚数を1加算するための表示部変更処理を行う。
ステップ1006の表示部変更処理が実行されると、再びステップ1001の処理に移行する。そしてステップ1001で払出数と払出予定数とが一致したときには、ステップ1007にて払出終了処理を行った後に本メダル払出処理を終了する。払出終了処理では、払出予定数格納エリアや払出数カウンタの値を「0」にクリアする。
このメダル払出処理を終了すると、通常遊技処理にリターンして、特別遊技状態処理(
図21、ステップ508)と、ベット許可処理(
図21、ステップ509)が実行されたのち、ステップ501の処理にリターンすることになる
【0167】
なお、特別遊技状態処理は、BBゲームの開始、BBゲームの進行、およびBBゲームの終了に関する制御を行う処理であり、ここでは詳細な説明を省略する。
【0168】
ベット許可処理(ステップ509)では、RAM153の遊技中フラグ格納エリアの遊技中フラグをクリアする。
当該遊技中フラグがクリアされることにより、クレジット投入検出センサ77a〜79aからのON信号が有効化される。
また、メダル通路切替ソレノイド83aが励磁とされ、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたメダルMが、フォトセンサ87の前を通ってホッパ用通路81側に移動するようにされる。さらには、精算検出センサ80aからのON信号が無効化される。
【0169】
実施の形態にかかるスロットマシンでは、メダル投入口75からメダルが投入されていない所定のタイミングで、不正用治具Uがメダル投入口から誘導路840内のフォトセンサ87の近傍まで挿入されているか否かを確認するための処理(不正確認処理)が実行されるようになっている。
ここで、メダル投入口75からのメダルMの投入の有無は、上述したタイマ割込処理のセンサ監視処理(
図18、ステップ209)にて行われており、実施の形態では、不正行為の有無を確認するための所定の処理が、このセンサ監視処理における投入メダル検出処理の中で実行されている。
以下、この投入メダル検出処理の詳細を、
図27のフローチャートに基づき説明する。
【0170】
投入メダル検出処理では、ステップ1101において投入監視処理を実行する。
この投入監視処理では、フォトセンサ87の出力信号に基づいて、メダルMがフォトセンサ87で検出されたか否かを判定する。
前記したように、メダルMを検出するためのフォトセンサ87は、一対の受光素子870a、870bを備えており、(1)受光素子870a:オフ、受光素子870b:オン、(2)受光素子870a:オフ、受光素子870b:オフ、(3)受光素子870a:オン、受光素子870b:オフの組合せが連続して検出された場合に、1枚のメダルMが正常に検出されたと判定される。
【0171】
続くステップ1102では、ステップ1101の投入監視処理の結果、メダルMが検出されたか否かが確認される。
メダルMが検出された場合には、ステップ1103において、タイマTの値がセットされる。
このタイマTの値は、前回のメダルの検出から、新たにメダルが検出されないままで所定時間(例えば、0.5秒)が経過したか否かを確認するためにセットされる。
実施の形態では、メダルMが検出されたのち、新たにメダルが検出されないままで所定時間が経過した時点で、不正用治具Uが誘導路840に挿入されているか否かを確認するようになっており、このタイマTの値は、この確認を実行するタイミングを規定している。
なお、所定時間が経過した時点で確認するのは、メダルMが連続して投入されている場合に、直動部材88がメダルMに接触して、メダルMの誘導路840内の流下が妨げられないようにするためである。
【0172】
実施の形態では、タイマTの値は、タイマ割込処理(
図18参照)の実行間隔(1.49msec)毎に、タイマ演算処理(
図18のステップ210)で「1」ずつ減算されるようになっている。
そのため、所定時間が例えば0.5秒である場合には、タイマTの値に「336」がセットされる(336≒500msec/1.49msec)。
【0173】
タイマTの値がセットされると、ステップ1104において、遊技のために現時点でベットされているメダルの枚数が、上限のメダル枚数(最大ベット枚数)に達しているか否かが確認される。
ここで、この最大ベット枚数は、遊技の状態が、通常遊技状態である場合には「3」に設定されている。
【0174】
上限のメダル枚数に達していない場合(ステップ1104においてNo)には、ステップ1105の処理に移行して、ベットされているメダルMの枚数を記憶するカウンタ(ベット枚数カウンタ)の値が「1」加算される。
【0175】
上限のメダル枚数に達している場合(ステップ1104においてYes)には、ステップ1106の処理に移行して、仮想メダルとしてカウントされているメダルの枚数を記憶するカウンタ(仮想メダル枚数カウンタ)の値が「1」加算される。
実施の形態の遊技機では、遊技機に投入されたメダルの枚数が最大ベット枚数を超えた場合に、最大ベット枚数を超えた分のメダルが、仮想メダルとして記憶されるようになっているからである。
【0176】
そして、ステップ1105、ステップ1106の何れかの処理が実行されると、ステップ1107において、遊技のためにベットされているメダルの枚数と、仮想メダルとして記憶されているメダルの枚数が、それぞれ上限の枚数(上限数)に達しているか否かが確認される。
【0177】
ステップ1107の判定が肯定されると、ステップ1108の処理に移行して、メダルの投入が禁止される。
具体的には、投入されたメダルが、前記したセレクタ83により皿用通路82(
図3、
図4)に排出されるようにするために、切替部材85を
図13の(b)に示す位置(接触部851を壁部845に接触させない位置)に配置させるための制御信号が生成される。
なお、メダルの投入禁止は、ベットされているメダルの枚数と、仮想メダルの枚数のうちの少なくとも一方が、上限の枚数未満となった時点で解除されるようになっている。
【0178】
そして、ステップ1107の判定が否定された場合、またはステップ1108の処理が実行されると、投入メダル検出処理のルーチンを終了して、タイマ割込処理(
図18参照)にリターンすることになる。
【0179】
なお、この投入メダル検出処理は、タイマ割込処理の実行間隔毎に繰り返し実行されるようになっており、以降、新たにメダルMの投入が検出されると(ステップ1102においてYes)、タイマTの値に予め設定された所定時間がセットされることになる。
なお、新たなメダルMの投入が検出されない場合には、ステップ1102の判定が否定されて、ステップ1109の処理に移行して、タイマTの値が「0」であるか否かが確認されることになる。
ここで、前記したようにタイマTの値は、タイマ割込処理(投入メダル検出処理)の実行間隔で「1」ずつ減算されているので、新たなメダルMの検出がされない状態が続くと、タイマTの値はやがて「0」になる。そうすると、ステップ1109の判定が肯定されて、ステップ1110からステップ1111までの一連の処理(不正確認処理)が実行されることになる。
【0180】
具体的には、ステップ1110において、前記した直動部材88を、初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に移動させるために、ソレノイドSolをオン駆動させるための駆動信号(オン信号)が生成される。そして、続くステップ1111において、直動部材88を駆動位置に移動させるために駆動信号(オン信号)が生成されたことを示す(不正確認処理の実行)を示すフラグ(不正確認フラグ)がオンされることになる。
なお、ステップ1110からステップ1111までの不正確認処理は、
図27に示す投入メダル検出処理とは別の処理であるが、説明の便宜上、この
図27に纏めて示したものである。
【0181】
なお、投入メダル検出処理のステップ1109においてタイマTの値が「0」に達していない場合には、ステップ1110からステップ1111までの不正確認処理がスキップされて、投入メダル検出処理が終了することになる。
そのため、タイマの値が「0」になる前に、新たなメダルが検出された場合(ステップ1102においてYes)には、前記したステップ1103以降の処理が実行されて、新たにタイマTの値が設定されることになる。
【0182】
ステップ1109、ステップ1107の判定が否定された場合、ステップ1110からステップ1111までの不正確認処理が実行された場合、ステップ1108のメダルの投入禁止処理が実行された場合の何れかの場合には、投入メダル検出処理を終了する。
ここで、投入メダル検出処理は、タイマ割込処理におけるセンサ監視処理(
図18、ステップ209)において実行される処理であるので、投入メダル検出処理が終了すると、タイマ割込処理におけるステップ210以降の処理が実行されることになる。
【0183】
ここで、前記した不正確認処理が実行されていた場合には、ポート出力処理(ステップ215)において、直動部材88を、初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に移動させるための駆動信号(オン信号)が、ソレノイドSolに出力されることになる。
これにより、ソレノイドSolがオン駆動されて、直動部材88が初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に向けて駆動されることになる。
【0184】
実施の形態のタイマ割込処理(
図18)では、センサ監視処理(ステップ209)の前段に、直動部材88が駆動位置に移動したか否かを確認するための直動部材検出処理(ステップ208)が設定されている。
不正用治具Uが誘導路840内に挿入されている場合には、直動部材88の駆動位置への移動が不正用治具Uにより妨げられるので、直動部材が検出された否かに基づいて、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かを判定するためである。
そのため、投入メダル検出処理で不正確認フラグがセットされると、当該投入メダル検出処理を実行したタイマ割込処理ではなく、当該タイマ割込処理の次に実行される新たなタイマ割込処理において、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かの判定のために、直動部材検出処理(ステップ208)が実行されることになる。
【0185】
以下、
図28のフローチャートを参照して、直動部材検出処理を説明する。
直動部材検出処理では、ステップ1201において、不正確認フラグがセットされているか否かが確認される。
ここで、不正確認フラグは、前記した不正確認処理(
図27、ステップ1110、ステップ1111)においてセットされるフラグであり、直動部材88を初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に移動させるために、ソレノイドSolをオン駆動させるための駆動信号(オン信号)が生成された場合にオンされるフラグである。
【0186】
ステップ1201において、不正確認フラグがセットされている場合には、ステップ1202の処理に移行して、センサ89が直動部材88を検出したか否かが確認される。
前記したように、誘導路840内に、不正用治具Uが存在している場合には、直動部材88の誘導路840の横断が不正用治具Uにより阻害されるので、センサ89で直動部材88が検出されないことになる。
【0187】
よって、ステップ1202において直動部材が検出されない場合には、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されていることになるので、ステップ1203の処理に移行して、異常報知処理が実行されることになる。
この異常報知処理では、始めにタイマ割込処理(
図18参照)を禁止し、入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。そして、ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットスイッチ123がON操作されるまで、かかる状態を維持する。
このようにするのは、フォトセンサ87の付近で不正用治具Uを往復動などさせて、メダルを誤検出させる不正行為を抑制するためである。
【0188】
一方、ステップ1202において直動部材88が検出された場合には、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されていないことになる。かかる場合、ステップ1204において、前記した直動部材88を、駆動位置(
図14の(b))から初期位置(
図14の(a))に移動させるために、ソレノイドSolをオフさせるための駆動信号(オフ信号)が生成されたのち、ステップ1205において、不正確認フラグがクリアされて、直動部材検出処理が終了することになる。
これにより、不正確認フラグがクリアされた後に繰り返し実行されることになる投入メダル検出処理(
図27参照)において不正確認フラグが新たにセットされるまで、タイマ割込処理(
図18参照)の実行間隔で実行される直動部材検出処理(ステップ208)において、直動部材88の検出が行われずにスキップされることになる(
図28、ステップ1201においてNo)。
【0189】
ここで、直動部材88が検出された場合とは、直動部材88の誘導路840の横断が阻害されなかった場合を意味し、かかる場合には、誘導路840内に不正用治具Uが挿入されていないことになる。
そのため、終了処理を実行して、直動部材88を初期位置に復帰させて、メダル投入口75から投入されたメダルMが、フォトセンサ87側に移動できるようにされている。
【0190】
なお、直動部材検出処理は、タイマ割込処理(
図18参照)のサブルーチンなので、この直動部材検出処理が実行されたのちに、タイマ割込処理において実行されるポート出力処理(ステップ215)において、ソレノイドSolをオフにする駆動信号(オフ信号)が出力されて、直動部材88が初期位置(
図14の(a))に復帰することになる。
【0191】
以上の通り、実施の形態では、メダル投入口75から投入されたメダルMが通過(流下)する誘導路840(通路)に設けられて、投入されたメダルMを検出するフォトセンサ87(遊技媒体検出手段)と、フォトセンサ87で検出されたメダルMを、遊技に使用可能な仮想メダルとして貯留記憶するRAM153(仮想メダル記憶エリア153b:貯留記憶手段)と、を備えるスロットマシン10において、
誘導路840におけるメダルMの通過方向でフォトセンサ87よりも上流側に設けられて、誘導路840(直線部840c)を横断する方向に進退移動可能とされた直動部材88と、直動部材88を誘導路840外の初期位置(
図14の(a))から誘導路840を横断して誘導路840外に突出した駆動位置(
図14の(b))に駆動するソレノイドSol(駆動手段)と、誘導路840を横断して誘導路840外に突出した直動部材88を検出するセンサ89(検出手段)と、ソレノイドSolで直動部材88を駆動した際に、直動部材88がセンサ89で検出されない場合に異常を報知する異常報知手段と、を設けた構成のスロットマシン10とした。
【0192】
これにより、フォトセンサ87にメダルが投入されていると誤検出させるための不正用治具Uが誘導路840に挿入されている場合には、直動部材88の駆動位置への移動が不正用治具Uに妨げられて、センサ89が直動部材を検出できないので、異常が報知されることになる。よって、不正用治具Uを用いた不正行為を抑制できる。
【0193】
特に、CPU151(タイミング制御手段)が、フォトセンサ87でメダルMが検出されたのち、所定時間が経過しても新たなメダルMが検出されない場合に、直動部材88を駆動位置に向けて駆動させて、誘導路840内に不正用治具Uが挿入されているか否かを確認する構成とした。
【0194】
メダルMをメダル投入口75から投入して遊技を行う正規の遊技者の場合、一定枚数の仮想メダルが貯留記憶されるまでメダルMを連続して投入したのちに遊技を開始し、以降、仮想メダルが遊技の開始に足りなくなるまでの間は、新たにメダルMを投入しないことが一般的である。
そのため、上記のように構成すると、投入されたメダルMと直動部材88とが干渉する可能性を抑えつつ、不正用治具Uが通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0195】
以下、不正確認処理の実行タイミングが異なる第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態のスロットマシン10では、遊戯を開始するためにスタートレバー71が操作されたタイミングで、不正確認処理が実行されるようになっている。
【0196】
スロットマシン10では、スタートレバー71が操作されて遊技が開始されたのちは、メダル投入口75からメダルが投入されても、投入されたメダルMがセレクタ83により皿用通路82に導かれて、最終的にメダル受け皿18に返却されるようになっている。
そのため、スタートレバー71が操作されたのちは、ホッパ用通路81に続く誘導路840の途上にあるフォトセンサ87の正面を、メダルMが通過しないようになっている。
誘導路840に挿入した不正用治具Uにより、フォトセンサ87にメダルを誤検出させつつ遊技を行う場合、メダル投入口75からの不正用治具Uの出し入れは周囲に気付かれる虞のある行為であるため、不正用治具Uを誘導路840に挿入したままで行うことが一般的である。
そのため、スタートレバー71の操作をトリガとして、フォトセンサ87の近傍にメダルMが位置することがない遊技の開始直後のタイミングで、不正確認処理を行うようにすると、正規に遊技を行っている遊技者の遊技を妨げることなく、不正確認処理と、不正用治具の挿入の有無の確認とが行えるようになる。
【0197】
なお、スタートレバー71の操作をトリガとして不正確認処理を実行する場合には、前記した投入メダル検出処理(
図27)とは別に用意したフローに従って、不正確認処理と直動部材による不正用治具の挿入の有無が確認される。
そのため、第2の実施形態の場合には、前記した投入メダル検出処理(
図27)において、ステップ1102、1103、1109、1110、1111の処理が省略される。
さらに、タイマ割込処理におけるセンサ監視処理と直動部材検出処理の順番が、第1の実施形態の場合と逆になっている(
図29、
図18参照)
【0198】
以下、第2の実施の形態の場合における直動部材検出処理を、
図30のフローチャートを参照して説明する。
第2の実施の形態における直動部材検出処理では、ステップ1301において、不正確認フラグがセットされているか否かが確認され、不正確認フラグがセットされていない場合には、ステップ1302において、スタートレバー71の操作の有無が確認される。
ここで、スタートレバー71の操作の有無は、センサ監視処理(
図29、ステップ208)の結果に基づき確認される。
【0199】
スタートレバー71の操作が確認されない場合には、本処理を終了し、スタートレバー71の操作が確認された場合には、ステップ1303からステップ1304までの一連の処理(不正確認処理)が実行される。
具体的には、前記した実施の形態の場合と同様に、前記した直動部材88を、初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に移動させるために、ソレノイドをオン駆動させるための駆動信号(オン信号)が生成される。そして、続くステップ1304において、オン信号が生成されたことを示すフラグ(不正確認フラグ)がオンされることになる。
【0200】
ステップ1303からステップ1304までの不正確認処理が実行されると、直動部材検出処理を終了する。
ここで、直動部材検出処理は、タイマ割込処理(
図29)のサブルーチンであるので、タイマ割込処理にリターンして、ステップ210以降の処理が実行されることになる。そうすると、このタイマ割込処理のポート出力処理(ステップ215)において、直動部材88を、初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に移動させるための駆動信号(オン信号)が、ソレノイドSolに出力されることになる。
これにより、ソレノイドSolがオン駆動されて、直動部材88が初期位置(
図14の(a))から駆動位置(
図14の(b))に向けて駆動されることになる。
【0201】
前記したようにタイマ割込処理は、所定時間間隔毎に繰り返し実行されているので、不正確認フラグがオンされたのちの次のタイマ割込処理において、再び直動部材検出処理(
図29、ステップ209)が実行されることになる。
そうすると、前回の直動部材検出処理において不正確認フラグがオンされているので、今回の直動部材検出処理ではステップ1301(
図30参照)の判定が肯定されることになる。
【0202】
かかる場合には、ステップ1305の処理に移行して、センサ89が直動部材88を検出したか否かが確認される。
前記したように、誘導路840内に、不正用治具Uが存在している場合には、直動部材88の誘導路840の横断が不正用治具Uにより阻害されるので、センサ89で直動部材88が検出されないことになる。
【0203】
よって、ステップ1305において直動部材88が検出されない場合には、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されていることになるので、ステップ1306の処理に移行して、異常報知処理が実行されることになる。
一方、直動部材88が検出された場合(ステップ1305においてYes)には、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されていないことになる。かかる場合、ステップ1307において、前記した直動部材88を、駆動位置(
図14の(b))から初期位置(
図14の(a))に移動させるために、ソレノイドSolをオフさせるための駆動信号(オフ信号)が生成されたのち、ステップ1308において、不正確認フラグがクリアされて、直動部材検出処理が終了することになる。
これにより、今回の直動部材検出処理が終了したのちに実行される、タイマ割込処理のポート出力処理(
図29、ステップ215)において、ソレノイドSolをオフにする駆動信号(オフ信号)が出力されて、直動部材88が初期位置(
図14の(a))に復帰することになる。
【0204】
以上の通り、CPU151(タイミング制御手段)が、スタートレバー71が操作されて遊技が開始されたのちに、直動部材88を駆動位置に向けて駆動する構成としたので、メダル投入口75から投入されたメダルM(遊技媒体)と直動部材88とが干渉する可能性を抑えつつ、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0205】
なお、第2の実施形態では、タイマ割込処理の直動部材検出処理(
図29、ステップ209)の中で、スタートレバー71の操作の有無の確認と、不正確認処理を実行する場合を例示した。しかし、不正確認処理を直動部材検出処理から切り離して、独立に実行するようにすることや、他の処理の中で実行するようにしても良い。
ここで、スタートレバー71の操作の有無は、タイマ割込処理とは独立に実行される通常遊技処理においても確認される(
図21、ステップ503)。よって、この通常遊技処理の中で不正確認処理を実行するようにしても良い、かかる場合、スタートレバー71の操作を確認した直後に実行されるベット不許可処理(
図21、ステップ504)の中またはその前後で、不正確認処理を行うことで、通常遊技処理とは別にスタートレバー71の操作の有無を検出する処理を実行する場合よりも処理の効率化が可能となる。
【0206】
上記した第2の実施形態では、スタートレバー71の操作をトリガとして不正確認処理(
図30参照)を実行する場合を例示したが、不正確認処理は、例えば精算スイッチ80が操作されたタイミングで実行されるようにしても良い。
【0207】
精算スイッチ80は、遊技者がスロットマシン10での遊技を終了する場合に操作されることが多いため、精算スイッチ80が操作された場合には、メダル投入口75からメダルが投入されることがほとんど無く、ホッパ用通路81に続く誘導路840の途上にあるフォトセンサ87の正面を、メダルMが通過する可能性が低くなっている。
不正用治具Uを用いる不正行為者は、一般に遊技を経ずにメダルを不正に獲得することを目的としており、フォトセンサ87にメダルを誤検出させつつ、メダルを効率的に不正に獲得するために、不正用治具Uを誘導路840に挿入したままで行うことが一般的である。
そのため、精算スイッチ80の操作をトリガとして、フォトセンサ87の近傍にメダルMが位置することがない精算スイッチ80の操作直後のタイミングで、不正確認処理を行うようにすることで、正規に遊技を行っている遊技者の遊技を妨げることなく、不正用治具Uの誘導路840内への挿入の有無(不正行為の有無)が確認できることになる。
【0208】
なお、かかる場合の直動部材検出処理は、前記したスタートレバー71の操作をトリガとして行う場合の直動部材検出処理(
図30参照)において、ステップ1302の処理を、精算スイッチ80の操作の有無を検出する処理に変更するだけで良いので、ここではその詳細な説明を省略する。
なお、精算スイッチ80の操作をトリガとして行う直動部材検出処理は、同じく精算スイッチ80の操作をトリガとして実行されるメダルの精算処理(
図22参照)の前に行うことが好ましい。
このように構成することで、仮に仮想メダルが不正に獲得されたとしても、仮想メダルが実際のメダルとして払い出される前に、異常を報知することができるので、遊技場側の損失を抑えることが可能となる。
【0209】
さらに、不正確認処理を実行するタイミングの別の変形例として、仮想メダルの枚数が所定の上限枚数(例えば50枚)に達した時点で、不正用治具Uが挿入されているか否かを確認するようにしても良い。かかる場合には、前記した投入メダル検出処理(
図27)のステップ1108において、メダルの投入を禁止したのちに、前記した不正確認処理(
図27、ステップ1110、1111)を行うことになる。
この場合、上限枚数に達した後、例えば上限枚数を超えたメダルMがメダル受け皿18に返却されるまでに要する時間(所定時間)が経過した後に、不正判定処理を行うことが好ましい。遊技者が、仮想メダルMの数が所定の上限数に達したことに気付く最小の時間を確保したうえで直動部材88が駆動されることになるので、投入口から正規にメダルMが投入されている場合に、投入されたメダルMと直動部材とが干渉することを防止できるからである。
【0210】
以下、直動部材の構成が異なる第3の実施形態を説明する。
図31は、第3の実施の形態にかかるセレクタ83Aの要部拡大図である。
図32は、
図31におけるA−A断面を模式的に示した図であって、セレクタ83Aにおける直動部材88Aの形状と動作を説明する図であり、(a)は、直動部材88Aが、初期位置に配置された状態を示す図であり、(b)は、直動部材88Aが、駆動位置に配置された状態を示す図であり、(c)は、直動部材が進入阻止部を備えていない場合を説明する図である。
【0211】
図31に示すように、セレクタ83Aの誘導路840における直線部840cでは、正面視において矩形形状の貫通口84gが、貫通穴84fに隣接して形成されている。
貫通口84gは、直線部840cにおけるメダルの流下方向(直線部840cの長手方向)で、貫通穴84fの上流側に設けられており、この貫通口84gと貫通穴84fとは互いに連通して、ひとつの開口を形成している。
貫通口84gは、貫通穴84fと同様に、基部84(
図32参照)を厚み方向に貫通して設けられており、正面視においてこの貫通口84g内には、直動部材88Aの進入阻止部883が位置している(
図31参照)。
【0212】
図32に示すように、進入阻止部883は、直動部材88Aの本体部880の長手方向における途中位置から、本体部880に直交する方向に延出しており、直動部材88A(本体部880)と一体に形成されている。
進入阻止部883は、直動部材88Aが駆動位置(
図32の(b)参照)に配置された際に、セレクタ83Aの基部84とカバー部材86の平板部866aとの間にメダルMが進入しないようにするために設けられている。
進入阻止部883が設けられていない場合、直動部材88Aが駆動位置に配置された直後にメダルMがメダル投入口75から投入されると、誘導路840を流下したメダルMがセレクタ83Aの基部84とカバー部材86の平板部866aとの間に挟まって(
図33の(c)参照)、メダルMが詰まる虞があるからである。
【0213】
そのため、直動部材88Aにおいて進入阻止部883は、当該直動部材88Aが駆動位置に配置された際に基部84と平板部866aとの間に位置する部分から、直線部840cを上流側に延びており、その先端883aが、平板部866aの端部866a2よりも直線部840cの上流側に所定距離h3だけ突出する長さL3を有している。
【0214】
ここで、
図31に示すように、直線部840cを流下するメダルMは、直線部840cの幅方向における中央部Mpが最も下流側に位置しており、この中央部Mpは、直線部840cの幅Dbの略中間(Db/2)に位置している。
そのため、実施の形態の進入阻止部883は、点Mpを通ると共に直線部840cに対して平行に延びる仮想線Aに重なる位置に設けられており、さらに、直線部840cを流下するメダルMとの衝突に耐え得る強度を発揮する最小の幅Wで形成されている。
進入阻止部883が大きくなると、直動部材88の進退移動速度が遅くなり、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているかを確認する際に支障をきたす虞があるからである。
【0215】
このように、直動部材88Aでは、直動部材88Aが駆動位置(
図32の(b))に駆動された際に、誘導路840(直線部840c)内に位置する部分に、上流側に向けて延びる進入阻止部883(延出部)が形成されており、進入阻止部883の先端883aは、誘導路840(直線部840c)におけるメダルMの通過(流下)方向で、平板部866aの端部866a2よりも上流側に及んでいる構成とした。
【0216】
このように構成すると、不正用治具Uの誘導路840内への挿入の有無を確認するために直動部材88Aが駆動位置に駆動されたのちに、メダルMがメダル投入口75から投入されても、メダルMがセレクタ83A内に詰まることを防止できる。
【0217】
以下、直動部材88の上流側に、メダルMの流下を阻止するための阻止部材90が設けられている第4の実施形態を説明する。
図33は、第4の実施形態にかかるセレクタ83Bの要部拡大図である。
図34は、
図33におけるA−A断面図を模式的に示した図であって、セレクタ83Bにおける直動部材88と阻止部材90の動作を説明する図であり、(a)は、直動部材88と阻止部材90が、初期位置に配置された状態を示す図であり、(b)は、阻止部材90のみが、駆動位置に配置された状態を示す図であり、(c)は、直動部材88と阻止部材90が、駆動位置に配置された状態を示す図である。
【0218】
図33に示すように、セレクタ83Bの誘導路840における直線部840cでは、正面視において矩形形状の貫通穴84hが、貫通穴84fの上流側に形成されている。
貫通穴84hは、フォトセンサ87の上流側の受光素子870aを基準として、直線部840cの上流側に、所定距離Dz離間した位置に設けられており、この貫通穴84h内には、阻止部材90が位置している。
【0219】
実施の形態では、複数のメダルM(M1〜M3)が誘導路840内を連なって流下した場合に、フォトセンサ87の正面を通過したメダルM1(メダルの一枚としてカウントされたメダルM1)から見て、2つ後側を流下するメダルM3の流下を、阻止部材90で止めることができる位置に、貫通穴84hが設けられている。
具体的には、上記した離間距離Dzは、メダルの幅D(
図7参照)よりも僅かに短い長さに設定されている。
【0220】
また、複数のメダルMが誘導路840内を連なって流下する場合、直線部840cの幅方向における両側に隙間Spが形成され、この隙間Spは、メダルMの流下と共に誘導路840(直線部840c)内を下流側に移動する。
そのため、貫通穴84hは、直線部840cの金属プレート846寄りの位置であって、流下するメダルMの隙間Spが通る位置に形成されている。
図33の場合には、直線部840cにおける窪み部840e内で金属プレート846に隣接して形成されている。
【0221】
図34に示すように、直動部材88および阻止部材90は、それぞれ別々のソレノイドSol_1、Sol_2で駆動されるようになっており、第4の実施形態では、阻止部材90のほうが直動部材88よりも先に駆動されるようになっている。
例えば、3枚のメダルM1〜M3が連なって流下している場合を挙げて説明すると、フォトセンサ87で、メダルM1が一枚のメダルとして検出された時点で、阻止部材90が
図34の(b)に示す駆動位置に向けて駆動される。これにより、阻止部材90が、メダルM2とメダルM3の間の隙間Spに挿入されて、メダルM3の流下が阻止された状態となる。
続いて、阻止部材90の駆動から所定時間(メダルM1が検出されたのち、メダルM2が1枚のメダルとして検出されるまでの時間)が経過した時点で、直動部材88が、
図34の(c)に示す駆動位置に向けて駆動されるようになっている。
【0222】
そして、直動部材88の駆動後に、センサ89により直動部材88が検出されると、直動部材88と阻止部材90とが、それぞれ
図34の(a)に示す初期位置に戻されて、阻止部材90で流下が阻止されていたメダルM3が、フォトセンサ87の正面を通過して、1枚のメダルとして検出されるようになっている。
【0223】
このように、阻止部材90と直動部材88とを異なるタイミングで駆動させているのは、メダルMが連続して投入されている途中で、前記した直動部材検出処理を実行して、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かを確認できるようにするためである。
【0224】
図35は、第4の実施の形態の場合における投入メダル検出処理を説明する図である。
この投入メダル検出処理は、前記した第1の実施の形態の場合と同様に、タイマ割込処理のセンサ監視処理(
図18、ステップ209)において実行される。
投入メダル検出処理では、投入監視処理(ステップ1401)の結果、メダルMが検出されると(ステップ1402においてYes)、ステップ1403において、仮想メダルとして記憶されているメダルの枚数が、規定枚数に達しているか否かが確認される。
ここで、規定枚数は、仮想メダルとして貯留記憶可能な枚数(上限枚数)よりも少ない、整数である。
【0225】
ステップ1403の判定が肯定されると、ステップ1404からステップ1406までの一連の処理(不正確認処理)が実行される。
具体的には、ステップ1404において、阻止部材90を駆動位置(
図34の(b)参照)に移動させたのちに、直動部材88を駆動位置(
図34の(c))に移動させるために、ソレノイドSol_1、Sol_2を、所定の時間差でオン駆動させるための駆動信号(オン信号)が生成される。そして、続くステップ1405において、不正確認処理の実行を示すフラグ(不正確認フラグ)がオンされることになる。
【0226】
さらに、ステップ1406において、阻止部材90でメダルMの流下を阻止しているときに、メダルMがカバー部材の開口部867を通って誘導路840から脱落しないようにするために、切替部材85を、
図12の(a)に示す位置(メダルMの上辺を直線部840cとの間で保持する位置)に配置させるための駆動信号(オン信号)が生成される。
実施の形態では、切替部材85は、メダル通路切替ソレノイド83a(
図16参照)により駆動されるようになっている。そのため、このステップ1406では、このメダル通路切替ソレノイド83aをオン駆動させるための駆動信号(オン信号)が生成される。
【0227】
ステップ1403の判定が否定された場合、またはステップ1404からステップ1406までの処理が実行されると、ステップ1407以降の処理が順番に実行されることになる。
なお、ステップ1407以降の処理は、前記した第1の実施形態の場合の投入メダル検出処理におけるステップ1104以降の処理(
図27参照)と同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0228】
この投入メダル検出処理における不正確認処理(
図35、ステップ1404〜ステップ1406)で生成された駆動信号(オン信号)は、この投入メダル検出処理の後に実行されるタイマ割込処理のポート出力処理(
図18、ステップ215)において、ソレノイドSol_1、Sol_2(
図34参照)や、切替部材85を駆動するメダル通路切替ソレノイド83a(
図16参照)に向けて出力されることになる。
【0229】
これにより、第4の実施の形態にかかるスロットマシン10では、仮想メダルの枚数が規定枚数(例えば10枚)になると、始めに、切替部材85が接触部851を壁部845に当接させた位置(
図12の(a)参照)に配置されると共に、阻止部材90が誘導路840(直線部840c)内に突出した位置(
図34の(b)参照)に配置されることになる。
この時点で、メダル投入口75から正規にメダルが投入されていた場合には、規定数に達したメダルM1から数えて2つ後に投入されたメダルM3(規定枚数が10枚である場合には、12枚目のメダル)が、直線部840c内に保持された状態で、フォトセンサ87側の下流への移動が阻止されることになる(
図34の(b)参照)。
【0230】
そして、阻止部材90の駆動から遅れて、メダルM1の検出からメダルM2がフォトセンサ87の正面を通過するのに必要な時間が経過した後に、直動部材88が、誘導路840(直線部840c)を横断した駆動位置(
図34の(c))に駆動されることになる。
【0231】
そして、次回のタイマ割込処理において直動部材検出処理(
図18、ステップ208)が実行されると、駆動位置に向けて駆動された直動部材88がセンサ89により検出されたか否かが確認され(
図28、ステップ1202)、検出されなかった場合には、前記した異常報知処理(ステップ1203)が実行されることになる。
そして、直動部材88が検出された場合には、阻止部材90と直動部材88を初期位置(
図34の(a)参照)に復帰させるために、ソレノイドSol_1、Sol_2をオフさせるための駆動信号(オフ信号)が生成(
図28、ステップ1204)されたのち、不正確認フラグがクリアされる(
図28、ステップ1205)ことになる。
【0232】
これにより、今回の直動部材検出処理が終了したのちに実行される、タイマ割込処理のポート出力処理(
図18、ステップ215)において、ソレノイドSol_1、Sol_2をオフにする駆動信号(オフ信号)が出力されて、直動部材88と阻止部材90とが初期位置(
図34の(a))に復帰することになる。
かかる場合に、直線部840c内においてメダルM3の移動が、阻止部材90により阻止されていた場合には、その状態から解放されて、直線部840c内をフォトセンサ87側に流下することになる。
よって、メダルM3以降にも連続してメダルが投入されている場合には、これらのメダルもまた、仮想メダルとして貯留記憶されることになる。
【0233】
以上の通り、第4の実施形態では、誘導路840の直線部840c内を通過するメダルMの移動を阻止する阻止部材90と、メダルMの直線部840cからの脱落を防止する切替部材85(保持部材)と、をさらに備え、
主制御装置131(タイミング制御手段)は、仮想メダルの枚数が、上限数よりも少ない規定枚数に達すると、阻止部材90と切替部材85とを同時に駆動して、誘導路840内を流下するメダルMの誘導路840からの脱落と下流側への移動を阻止する位置に配置し、阻止部材90と切替部材85の駆動から所定時間経過後に、直動部材88を駆動位置に向けて駆動する構成のスロットマシン10とした。
【0234】
このように構成すると、誘導路840を通過(流下)するメダルの移動を阻止しつつ、メダルの誘導路840からの脱落を防止できるので、正規の手順で誘導路840路内に投入されたメダルが直動部材88と干渉することを好適に防止できる。
また、メダルMを仮想メダルとして貯留記憶させている途中で、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かを確認できるので、不正用治具Uが使用されている場合には、不正に貯留記憶される仮想メダルの枚数を抑えることができる。
【0235】
なお、第4の実施形態では、直動部材88と阻止部材90とをそれぞれ異なるソレノイドで駆動させる場合を例示したが、
図36に示すように、直動部材88と阻止部材90とを接続して一体に構成し、共通のソレノイドSol_1で駆動するようにしても良い(第5の実施形態)。
かかる場合、阻止部材90のほうが誘導路840の直線部840cの近傍に位置するように、阻止部材90の先端91のほうを、直動部材88の刃部881よりも、直線部840c側に距離L4だけ突出させて形成されている。
【0236】
なお、距離L4は、阻止部材90の駆動から遅れて、メダルM1の検出からメダルM2がフォトセンサ87の正面を通過するのに必要な時間が経過した後に、直動部材88が、誘導路840(直線部840c)を横断した駆動位置(
図34の(c))に達する距離とすることで、前記した第4の実施の形態の場合と同様の効果が奏されることになる。
【0237】
なお、第4の実施形態では、規定枚数がひとつである場合を例示したが、上限数(50枚)までの任意のひとつ以上の整数としても良い。
例えば、規定枚数を、10枚、20枚、30枚、40枚として、仮想メダルの枚数が10枚増える毎に、直動部材88を駆動位置に向けて駆動して、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かを確認するようにしても良い。
【0238】
このように構成すると、不正用治具Uを用いる不正行為者は、異常が報知されないようにするために、不正用治具Uを誘導路840から頻繁に取り出す必要が生じる。そうすると、不正用治具Uが通路内に挿入されているか否かが確認されない場合に比べて、仮想メダルを上限数(50枚)まで不正にカウントさせるまでの労力が増すので、不正用治具Uを用いた不正行為を抑制することができる。そして、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かが確認される回数が増えるほど、不正行為者の労力が増すので、不正用治具を用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0239】
また、規定枚数を2枚、4枚、6枚、8枚、10枚、20枚、30枚、40枚として、貯留記憶される仮想メダルの枚数が少ないほど、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かを頻繁に確認することや、一枚おきに確認するようにしても良い。
何れの場合にも、不正用治具Uを用いた不正行為を抑制することができる。
【0240】
さらに、CPU151(規定枚数変更手段)により、規定枚数を所定のタイミングで変更するようにしても良い。
このように構成すると、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かが確認されるタイミングが適宜変更されるので、不正行為者が、異常が報知されないようにするために不正用治具Uを誘導路840から取り出そうとしても、どのタイミングで取り出せば良いのかを確実に把握することができなくなる。これにより、不正行為が行われていることを検知できる可能性が向上すると共に、不正用治具Uを用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0241】
この規定枚数を変更するタイミングは、仮想メダルMの枚数が、仮想メダルとして貯留記憶可能な上限枚数(例えば50枚)に達した時点、スタートレバー71が操作されて遊技が開始された時点、精算スイッチ80が操作された時点などに設定すること可能である。
このようにすることによっても、不正用治具Uが誘導路840内に挿入されているか否かが確認されるタイミングが、頻繁に変わるので、不正用治具Uを用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0242】
以下、直動部材の構成が前記した第1の実施形態と異なる第6の実施形態を説明する。
図37は、第6の実施形態にかかる直動部材88Bを説明する図である。
第6の実施形態にかかる直動部材88Bは、その先端部88B1が、直線部840cおよび平板部866aに直交する平坦面となっている。直動部材88Bは、前記した実施の形態の場合と同様に金属製の板状部材で構成されており、電源装置161(
図16参照)に接続されて、当該直動部材88Bに電流が印加されるようになっている。
【0243】
直線部840cの前面を覆う平板部866aでは、直線部840cに対向する位置に、図示しないアース線に接続された金属プレート97が設けられており、直動部材88Bは、ソレノイドSol_1のオン/オフ駆動により、その先端部88B1をこの金属プレート97に対して接離させるようになっている。
【0244】
第6の実施の形態にかかるスロットマシン10では、直動部材88Bが金属プレート97に接触したとき(
図37の(a)参照)の電流値Aと、直動部材88BがメダルMに接触したとき(
図37の(b)参照)の電流値BとがROM152(
図16参照)に記憶されており、直動部材88Bが駆動された後の電流値が、電流値Aまたは電流値Bを基準として所定範囲内にあるときには正常(異常なし)と判定され、所定範囲外であるときには異常が報知されるようになっている。
【0245】
スロットマシン10におけるメダル投入口75から誘導路840までの範囲は、複雑な通路構成となっているため、通常の不正用治具Uは、この複雑な通路内に挿入できるようにするために、可撓性に富む材料(例えば、樹脂材料)を基本として作られていることが多い。このような可撓性に富む材料に直動部材が接触したとき(
図37の(c)参照)の電流値は、上記した電流値A、Bとは異なる電流値となり、特に不正用治具Uが樹脂材料から構成されているときには、電流値A、Bとは大きく異なる電流値となる。
よって、直動部材88Bを駆動したときの電流値の変化を監視することで、不正用治具Uが挿入されているか否かを確認することができる。
これにより、直動部材88Bが駆動位置に配置されたか否かを確認するためのセンサ89を省略することが可能になるので、スロットマシン10の作製コストの低減に寄与できる。
【0246】
また、直動部材88BがメダルMに接触したとき(
図37の(b)参照)の電流値Bが記憶されているので、正規に投入されたメダルMが直動部材88Bと平板部866aとの間に挟まれた場合には、速やかにそのことを検知して、直動部材88Bを初期位置に復帰させて、メダルMをフォトセンサ87側に移動させることができるようになる。
【0247】
なお、直動部材88Bの先端側を誘導過熱する装置(例えば高周波誘導加熱装置)を、第6の実施形態の直動部材88Bに付加して、不正用治具Uが樹脂素材から構成されているときに、確実に破壊できるようにしても良い。
かかる場合、カバー部材86が基部84に対して着脱自在となっているので、樹脂素材が溶けてカバー部材85に溶着したとしても、新たなカバー部材86に簡単に交換できる。よって、不正用治具Uの使用が発覚しのちに、長時間に亘ってスロットマシンが使用不可能状態になることを防ぐことができる。
【0248】
また、実施の形態では、ソレノイドSolのスプール101の僅かな移動を、直動部材88の大きな移動に変換するために、リンク部材100(
図14参照)を設けた場合を例示したが、リンク部材100を介在させずに、ソレノイドSolのスプール101と直動部材88とを直接連結して、直動部材88をソレノイドSolで直接駆動するようにしても良い。
【0249】
さらに、ソレノイドSolがオン駆動されたときに、ソレノイドの駆動力で直動部材が駆動位置に配置され、ソレノイドSolがオフされたときに、スプリングSpの引っ張り力で、直動部材が初期位置に復帰される場合を例示したが、ソレノイドSolがオン駆動されたときに、ソレノイドの駆動力で直動部材が初期位置に復帰し、ソレノイドSolがオフされたときに、スプリングの圧縮力で直動部材が駆動位置に配置されるようにしても良い。
【0250】
なお、上記した実施の形態およびその変形例などは、それぞれ単独で用いても、不正用治具を用いた不正行為を抑制することができるが、他の実施の形態や変形例と組み合わせることによっても、不正用治具を用いた不正行為を抑制することができる。
【0251】
以下、上記の実施形態および変形例から抽出される発明の特長を、必要に応じて効果など共に記載する。
【0252】
本発明は、
(1)遊技媒体の投入口と、
前記投入口から投入された遊技媒体が通過する通路と、
前記通路に設けられて、前記投入口から投入された遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段と、
前記遊技媒体検出手段で検出された遊技媒体を、遊技に使用可能な仮想遊技媒体として貯留記憶する貯留記憶手段と、を備える遊技機において、
前記通路を横断する方向に進退移動可能とされた直動部材と、
前記直動部材を、前記通路外の初期位置から、前記通路を横断して前記通路外に突出した駆動位置に駆動する駆動手段と、
前記通路を横断して前記通路外に突出した前記直動部材を検出する検出手段と、
前記駆動手段で前記直動部材を駆動した際に、前記直動部材が前記検出手段で検出されない場合に、異常を報知する異常報知手段と、を設けたことを特徴とする遊技機。
【0253】
このように構成すると、直動部材が駆動された際に通路内に不正用治具が挿入されていると、直動部材の通路の横断が不正用治具により妨げられる。かかる場合には、直動部材が検出手段で検知されないことになるので、異常報知手段により異常が報知される。
よって、仮想メダルの不正な貯留記憶の行為を行うために不正用治具が通路内に挿入された場合には、異常が報知されることになるので、不正用治具を用いた不正行為を抑制することができる。
【0254】
(2)前記直動部材では、前記駆動方向における先端に、刃部が設けられていることを特徴とする(1)に記載の遊技機。
【0255】
このように構成すると、通路内に不正用治具が挿入されている場合には、不正用治具が刃部に貫かれるので、不正用治具を破壊できる。さらに、刃部で貫かれた不正用治具を通路から引き出すことが困難になるので、不正用治具を用いた証拠を遊技機内に残すことができる。よって、不正用治具の破壊の可能性と、不正行為を行ったことの証拠を残す可能性とが、不正行為を行う者にとって心理的な負担となるので、不正行為の抑制に寄与することができる。
【0256】
(3)前記刃部には、刃先の向いている方向と逆の方向に尖ったかえしが設けられていることを特徴とする(2)に記載の遊技機。
【0257】
このように構成すると、不正用治具が刃部に貫かれたのち、刃部が不正用治具から容易に外れないようにできるので、刃部で貫かれた不正用治具を通路から引き出すことがいっそう困難になる。
【0258】
(4)前記直動部材は、前記通路における前記遊技媒体の通過方向において、前記検出手段よりも上流側を横断する位置に設けられており、
前記直動部材は、前記遊技媒体の通過方向に直交する方向の前記通路の幅と略整合する幅で形成されていることを特徴とする(1)から(3)の何れか一項に記載の遊技機。
【0259】
このように構成すると、不正用治具が通路内の幅方向のどの位置にあっても、直動部材による通路の横断が不正用治具により妨げられることになる。
例えば、不正用治具が、遊技媒体検出手段に誤検出させる部位と、この部位からメダル投入口の外に延びる糸状の部位とで構成されていて、糸状の部位が通路内の幅方向のどの位置を通っているのか判らないような場合であっても、直動部材による通路の横断が不正用治具により妨げられることになる。
よって、通路内に挿入されている不正用治具であればどのようなものであっても、直動部材による通路の横断が妨げられて異常が報知されることになるので、不正行為を好適に抑制できるようになる。
【0260】
(5)前記通路と前記検出手段との間には、前記直動部材を挿通させるスリットを有するプレートが設けられており、
前記通路における前記遊技媒体の通過方向での前記スリットの幅は、前記通過方向での前記直動部材の幅と整合する幅に設定されており、
前記検出手段は、前記通路外に突出して前記スリットを通過した前記直動部材を、検出することを特徴とする(1)から(4)の何れか一項に記載の遊技機とした。
【0261】
このように構成すると、不正用治具が柔軟性に富む材料から構成されており、通路を横断する直動部材の形状に合わせて変形するような場合であっても、かかる不正用治具が厚みを有している以上、直動部材と略整合する幅のスリットを、直動部材と共に通過することができない。かかる場合には、検出手段により直動部材の検出ができないために、異常が報知されることになるので、不正用治具を用いた不正行為を抑制することができる。
【0262】
(6)前記直動部材では、当該直動部材が前記駆動位置に駆動された際に前記通路内に位置する部分に、前記上流側に向けて延びる延出部が形成されており、前記延出部は、前記通路における前記遊技媒体の通過方向で、前記プレートよりも上流側に及んで形成されていることを特徴とする(1)から(5)の何れか一項に記載の遊技機。
【0263】
直動部材が駆動位置に駆動された状態のときに、遊技媒体が通路内を流下してくると、遊技媒体の流下が直動部材により妨げられて、遊技媒体が通路とプレートとの間に挟まれた状態になることがある。上記のように構成して、直動部材の延出部がプレートよりも上流側に及んでいると、遊技媒体が通路とプレートとの間に進入して挟まれることを防止できる。
【0264】
(7)前記遊技媒体の通過方向に直交する方向の前記延出部の幅は、前記通路の幅よりも小さく設定されていることを特徴とする(6)に記載の遊技機。
【0265】
このように構成すると、通路内を流下する遊技媒体が通路とプレートとの間に挟まれることを防止しつつ、直動部材の重量の増加を抑えることができるので、直動部材の駆動位置への移動速度が低下することを防止できる。
【0266】
(8)遊技媒体は、側面視において円形のメダルであり、前記延出部は、前記通路の幅方向における略中央部を前記上流側に向けて延びていることを特徴とする(7)に記載の遊技機。
【0267】
遊技媒体が円形のメダルであると、通路を流下するメダルは、通路の幅方向における中央部が最も下流側に位置することになる。上記のように構成すると、延出部の大きさを必要最低限に抑えつつ、メダルの最も下流側に位置する部分に接触されることができる。これにより、直動部材の重量の増加を抑えて、直動部材の移動速度の低下をいっそう防止できる。
【0268】
(9)前記駆動手段は、オン/オフ駆動されるソレノイドであり、
前記直動部材は、
前記ソレノイドがオンされたときに、前記ソレノイドの駆動力で、前記初期位置から前記通路を横断する方向に駆動され、
前記ソレノイドがオフされたときに、付勢手段による付勢力で、前記初期位置に復帰することを特徴とする(1)から(8)の何れか一項に記載の遊技機とした。
【0269】
このように構成すると、ソレノイドの駆動力が、不正用治具を直動部材(刃部)で貫くときの駆動力となるので、直動部材(刃部)により不正用治具をより確実に貫くことができる。
【0270】
(10)前記通路を通過する遊技媒体の移動を阻止する阻止部材と、
前記遊技媒体の前記通路からの脱落を防止する保持部材と、をさらに備え、
前記阻止部材と前記保持部材は、前記直動部材よりも前記上流側に設けられていると共に、
前記阻止部材は、前記通路における前記遊技媒体の通過方向で、前記保持部材により前記遊技媒体の前記通路からの脱落が防止される範囲内に設けられていることを特徴とする(1)から(9)の何れか一項に記載の遊技機。
【0271】
このように構成すると、直動部材を駆動位置に向けて駆動させる前に、通路を流下するメダルの移動を止めることができるので、正規の手順で通路内に投入されたメダルが直動部材と干渉することを好適に防止できる。
また、異常報知手段で異常が報知されなかった場合に、阻止部材による遊技媒体の移動の阻止を解除することで、投入口から投入されたメダルを、払い戻すことなく、仮想遊技媒体として貯留記憶させることができる。
【0272】
(11)前記阻止部材は、
前記通路を横断する方向に進退移動可能に設けられていると共に、
前記直動部材を駆動する駆動手段とは別の駆動手段により、前記通路外の初期位置から、前記通路内に突出した駆動位置に駆動されることを特徴とする(10)に記載の遊技機。
【0273】
このように構成すると、直動部材の駆動とは異なるタイミングで、阻止部材を駆動させることができると共に、阻止部材の駆動タイミングを細かく調整できる。
よって、例えば直動部材を駆動位置に向けて駆動させる前に阻止部材を駆動させることで、正規の手順で通路内に投入されたメダルが直動部材と干渉することを好適に防止できる。特に、遊技媒体が投入口から連続して投入されている途中の所定のタイミングで、阻止部材を駆動して、遊技媒体が阻止部材の下流側に移動することを一時的に止めることが可能になるので、不正用治具が通路内に挿入されているときには、仮想遊技媒体の枚数が不正に加算されることを防止でき、正規の手順でメダルが投入されているときには、直動部材とメダルとの干渉を防止しつつ、連続して投入されたメダルを払い戻すことなく、仮想遊技媒体として貯留記憶させることができる。
【0274】
(12)前記阻止部材は、前記直動部材と一体に形成されて、前記直動部材を駆動する駆動手段により、前記通路を横断する方向に駆動されるようになっており、
前記阻止部材の初期位置は、前記直動部材の初期位置よりも前記通路の近傍に設定されていることを特徴とする(10)に記載の遊技機。
【0275】
このように構成すると、直動部材が通路内に突出する前に、阻止部材を通路内に突出させて、遊技媒体の下流側への移動を阻止することができるので、正規の手順で通路内に投入されたメダルが直動部材と干渉することを好適に防止できる。
阻止部材と直動部材とを駆動させる駆動手段が一つで済むので、阻止部材と直動部材を別々の駆動手段で駆動させる場合よりも安価に構成できる。また、遊戯機内の限られた空間に二つの駆動手段を設ける必要がないので、二つの駆動手段を設けるために、遊技機の他の部品の配置が制限される虞がない。
【0276】
(13)遊技媒体の投入口と、
前記投入口から投入された遊技媒体が通過する通路と、
前記通路に設けられて、前記投入口から投入された遊技媒体を検出する遊技媒体検出手段と、
前記遊技媒体検出手段で検出された遊技媒体を、遊技に使用可能な仮想遊技媒体として貯留記憶する貯留記憶手段と、
前記通路を横断する方向に進退移動可能とされた直動部材と、
前記直動部材を、前記通路外の初期位置から前記通路を横断して前記通路外に突出した駆動位置に駆動する駆動手段と、
前記通路を横断して前記通路外に突出した前記直動部材を検出する検出手段と、
前記直動部材を駆動した際に前記直動部材が前記検出手段で検出されない場合に、異常を報知する異常報知手段と、を備える遊技機において、
前記直動部材の駆動のタイミングを制御するタイミング制御手段をさらに備え、
前記タイミング制御手段は、
前記遊技媒体検出手段で遊技媒体が検出されたのち、所定時間が経過するまでの間に新たな遊技媒体が検出されない場合に、前記直動部材を前記駆動位置に向けて駆動させることを特徴とする遊技機。
【0277】
このように構成すると、直動部材が駆動された際に通路内に不正用治具が挿入されていると、直動部材の通路の横断が不正用治具により妨げられる。かかる場合には、直動部材が検出手段で検知されないことになるので、異常報知手段により異常が報知される。
よって、仮想メダルの不正な貯留記憶の行為を行うために不正用治具が通路内に挿入された場合には、異常が報知されることになるので、不正用治具を用いた不正行為を抑制することができる。
また、遊技媒体を投入口から投入して遊技を行う正規の遊技者の場合、一定枚数の仮想遊技媒体が貯留記憶されるまで遊技媒体を連続して投入したのちに遊技を開始し、以降、仮想遊技媒体が遊技の開始に足りなくなるまでの間は、新たに遊技媒体を投入しないことが一般的である。
そのため、遊技媒体が検出されたのち所定時間が経過するまでの間に新たな遊技媒体が検出されないことをもって、直動部材を駆動位置に向けて駆動するようにすると、遊技に投入された遊技媒体と直動部材とが干渉する可能性を抑えつつ、不正用治具が通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0278】
(14)前記タイミング制御手段は、前記貯留記憶手段に記憶された仮想遊技媒体の数が上限数に達したのちに、前記直動部材を前記駆動位置に向けて駆動させることを特徴とする(13)に記載の遊技機。
【0279】
仮想遊技媒体の数が上限数に達したのちは、仮想遊技媒体の貯留ができなくなるので、新たに遊技媒体が投入口から投入されることがない。
上記のように構成すると、投入口から投入された遊技媒体と直動部材とが干渉する可能性を抑えつつ、不正用治具が通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0280】
(15)前記遊技機は、前記貯留記憶手段に記憶された仮想遊技媒体の数が前記上限数に達したのちに、前記上限数を超えた遊技媒体を払い戻す払戻機構をさらに備え、
前記タイミング制御手段は、前記貯留記憶手段に記憶された仮想遊技媒体の数が前記上限数に達したのち、所定時間経過後に前記直動部材の前記駆動位置に向けた駆動を開始することを特徴とする(13)または(14)に記載の遊技機。
【0281】
投入口から遊技媒体を連続して投入する場合、遊技者は、遊技媒体が払い戻されたことを以って仮想遊技媒体の数が上限数に達したことに気付く場合が多い。かかる場合、遊技者は、遊技媒体が払い戻されたことをもって、投入口からの遊技媒体の投入を終了することが多い。一方、投入口から挿入した不正用治具を用いて仮想遊技媒体を貯留させる場合には、遊技媒体の数が所定の上限数に達したのちも、不正用治具を投入口から挿入したままにすることが多い。
上記のように構成すると、投入口から投入された遊技媒体と直動部材とが干渉する可能性をいっそう抑えつつ、不正用治具が通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0282】
(16)前記所定時間は、前記貯留記憶手段に記憶された仮想遊技媒体の数が前記上限数に達したのち、前記投入口から新たに投入された遊技媒体が払い戻されるのに要する時間よりも長い時間に設定されていることを特徴とする(15)に記載の遊技機。
【0283】
仮想遊技媒体の数が上限数に達したのち、直動部材が駆動されるまでの時間が長くなりすぎると、挿入された不正用治具が投入口から取り出されてしまう可能性がある。
上記のように構成すると、遊技者が、仮想遊技媒体の数が所定の上限数に達したことに気付く最小の時間を確保したうえで直動部材が駆動されることになるので、投入口から投入された遊技媒体と直動部材とが干渉する可能性をいっそう抑えつつ、不正用治具が通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0284】
(17)前記払戻機構は、前記遊技機における遊技が開始されたのちに前記投入口から投入された遊技媒体を払い戻すように構成されており、
前記タイミング制御手段は、前記遊技が開始されたのちに、前記直動部材を前記駆動位置に向けて駆動させることを特徴とする(16)に記載の遊技機。
【0285】
遊技が開始されたのちは新たな仮想遊技媒体の貯留ができなくなるので、投入口から遊技媒体が新たに投入されることがない。さらに正規の遊技者は、遊技が開始されたのちは、遊技に集中するために新たに投入口から遊技媒体を投入することがない。一方、投入口から挿入した不正用治具を用いて仮想遊技媒体を貯留させる場合には、遊技が開始されたのちも不正用治具を投入口から挿入したままにすることが多い。
よって、遊技が開始されたのちに直動部材が駆動されるようにすることで、投入口から投入された遊技媒体と直動部材とが干渉する可能性をいっそう抑えつつ、不正用治具が通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。
【0286】
(18)前記通路を通過する遊技媒体の移動を阻止する阻止部材と、
前記遊技媒体の前記通路からの脱落を防止する保持部材と、をさらに備え、
前記タイミング制御手段は、前記貯留記憶手段に記憶された仮想遊技媒体の数が、規定枚数に達すると、前記阻止部材と保持部材とを同時に駆動したのち、所定時間経過後に前記直動部材を駆動することを特徴とする遊技機。
【0287】
このように構成すると、直動部材を駆動位置に向けて駆動させる前に、通路を通過(流下)するメダルの移動を阻止しつつ通路からの脱落を防止できるので、正規の手順で通路内に投入されたメダルが直動部材と干渉することを好適に防止できる。
また、異常報知手段で異常が報知されなかった場合に、阻止部材による遊技媒体の移動の阻止を解除することで、投入口から投入されたメダルを、払い戻すことなく、仮想遊技媒体として貯留記憶させることができる。
さらに、仮想遊戯媒体として記憶される遊戯媒体の数が上限数よりも少ない規定枚数達した時点で、遊技媒体が阻止部材の下流側に移動することを一時的に止めることが可能になるので、遊技媒体が投入口から連続して投入されている途中で、不正用治具が通路内に挿入されているか否かを確認することができることになる。これにより、不正用治具が通路内に挿入されているときには、仮想遊技媒体の枚数が不正に加算されることを好適に防止できる。
【0288】
(19)前記規定枚数は、前記上限数までのうちの任意のひとつ以上の整数に設定されていることを特徴とする遊技機。
【0289】
このように構成すると、仮想遊戯媒体として記憶される遊戯媒体の数が上限数に達するまでに、少なくとも1回、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認される。そのため、不正用治具を用いる不正行為者は、異常が報知されないようにするために、少なくとも一回、不正用治具を通路から取り出す必要がある。そうすると、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認されない場合に比べて、仮想遊戯媒体を上限数まで不正にカウントさせるまでの労力が増すので、不正用治具を用いた不正行為を抑制することができる。そして、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認される回数が増えるほど、不正行為者の労力が増すので、不正用治具を用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0290】
(20)前記規定枚数を所定のタイミングで変更する、規定枚数変更手段をさらに備えることを特徴とする(18)または(19)に記載の遊技機。
【0291】
このように構成すると、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認されるタイミングが適宜変更されるので、不正行為者が、異常が報知されないようにするために不正用治具を通路から取り出そうとしても、どのタイミングで取り出せば良いのかを確実に把握することができなくなる。これにより、不正行為が行われていることを検知できる可能性が向上すると共に、不正用治具を用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0292】
(21)前記規定枚数変更手段は、前記仮想遊技媒体の枚数が前記上限数に達する毎に、前記規定枚数を新たな規定枚数に変更することを特徴とする(20)に記載の遊技機。
【0293】
このように構成すると、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認されるタイミングが適宜変更されるので、不正行為者が、異常が報知されないようにするために不正用治具を通路から取り出そうとしても、どのタイミングで取り出せば良いのかを確実に把握することができなくなる。これにより、不正行為が行われていることを検知できる可能性が向上すると共に、不正用治具を用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0294】
(22)前記規定枚数変更手段は、前記遊技が開始される毎に、前記規定枚数を新たな規定枚数に変更することを特徴とする(20)または(21)に記載の遊技機。
【0295】
このように構成すると、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認されるタイミングが頻繁に変更されるので、不正行為者が、異常が報知されないようにするために不正用治具を通路から取り出そうとしても、どのタイミングで取り出せば良いのかを把握できる可能性が低くなる。これにより、不正行為が行われていることを検知できる可能性が向上すると共に、不正用治具を用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0296】
(23)前記規定枚数変更手段は、貯留記憶された仮想遊技媒体を遊戯媒体として払い戻すための払戻しボタンが操作される毎に、前記規定枚数を新たな規定枚数に変更することを特徴とする(20)から(22)の何れか一項に記載の遊技機。
【0297】
このように構成すると、不正用治具が通路内に挿入されているか否かが確認されるタイミングが、精算ボタンが頻繁に変更されるので、不正行為者が、異常が報知されないようにするために不正用治具を通路から取り出そうとしても、どのタイミングで取り出せば良いのかを把握できる可能性が低くなる。これにより、不正行為が行われていることを検知できる可能性が向上すると共に、不正用治具を用いた不正行為をいっそう抑制することができる。
【0298】
(24)上記の(1)から(23)の何れかの遊技機において、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
なかでも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に、識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体は、メダルなどが代表例として挙げられる。