(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6010977
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】蒸気抜き蓋材およびそれを用いた密封容器
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-80870(P2012-80870)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209127(P2013-209127A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 淑希子
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−290725(JP,A)
【文献】
特開2000−118546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の開口部の周縁部にヒートシールされて該開口部を密封する蓋材であって、
前記蓋材が、紙層/プラスチックフィルム層/剥離層/接着層/シーラント層と、が順次積層され、
前記剥離層と接着層との層間で剥離される積層体で構成され、
前記剥離層が、前記蓋材の周縁部の一部に形成され、
該剥離層に面する前記接着層および前記シーラント層に、シーラント層側からの切込みからなり、電子レンジにて加熱した際の蒸気を容器外へ排出するためのハーフカットが形成され、
前記剥離層が、ドット状のパターンであることを特徴とする蒸気抜き蓋材。
【請求項2】
前記プラスチックフィルム層が、無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の蒸気抜き蓋材。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蒸気抜き蓋材を用いたことを特徴とする密封容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品、飲料などの内容物を収納する密封容器において、内容物を収納した状態で、電子レンジにて加熱できる蓋材およびそれを用いた密封容器に関するものである。特に蒸気抜き機能を有する蓋材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、レトルト食品、冷凍食品、飲料等を食する際に、容器のまま加熱できる電子レンジ調理向け容器が広く使用されている。しかしながら、水分を含んだ物体を収容し密封した容器を電子レンジなどで加熱すると、物体に含まれる水分が蒸気となる為、容器の内圧の上昇により容器が破損して加熱された内容物が飛散し、電子レンジ内を汚したり、火傷等の危害を与える恐れがある。
【0003】
このため水分を含む固形物を収納し密封した容器を加熱する際は、加熱前に蓋材を部分的に剥がすなどして容器を開封する必要があるが、このような作業は、一般消費者にとっては手間の掛かるものであり、利便性を損なうという欠点がある。また、電子レンジ加熱により発生した蒸気が直ちに容器外へ排出されるために、蒸気による内容物の蒸し効果が低減し、その食味が落ちるという欠点もある。
【0004】
また、蓋材の一部に孔を設けた後、シール等で塞いで密封性を維持し、同様に加熱時の内圧上昇によって、容器内の蒸気を容器外へ排出することにより、同様の機能を持たせることも可能であるが、シール材の材料や製造工程の増加により生産コストがアップする問題がある。
【0005】
そこで、樹脂フィルムの内面同士を対向させて突合せ部を形成し、前記突合せ部の基部となる一辺を除いて突合せ部の周縁部をヒートシールすることにより、容器本体内部と連通する未シール部を形成し、前記突合せ部に蒸気抜きシール部を設けた上部材、および前記上部材の下面を覆い、前記突合せ部の基部またはその近傍に容器本体内部と連通する蒸気誘導部を有する下部材により構成した蓋材の提案がある(特許文献1)。
【0006】
しかしこの提案は、製造工程が複雑であり、また蓋材が嵩張る為、充填適性が劣る等の欠点がある。
【0007】
また蓋材のシーラント側からハーフカットを設け、異なる樹脂間の界面剥離機構を利用して蓋材端部から蒸気を排出する提案がある(特許文献2)。
【0008】
ハーカットの部位が、容器本体の開口中心付近に形成されているため、蒸気が抜けるのに時間が掛かるなどの問題がある。
【0009】
よって、内容物を収納した状態で電子レンジにて加熱できる密封容器、即ち、蒸気抜き機能を有する蓋材およびそれを用いた密封容器の要望がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2007/020854号公報
【特許文献2】特許第4825587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
内容物を収納した状態で電子レンジにて加熱できる密封容器、即ち蒸気抜き機能を有する蓋材およびそれを用いた密封容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0013】
本発明の請求項1に係る発明は、容器の開口部の周縁部にヒートシールされて該開口部を密封する蓋材であって、
前記蓋材が、紙層/プラスチックフィルム層/剥離層/接着層/シーラント層と、が順次積層され、
前記剥離層と接着層との層間で剥離される積層体で構成され、
前記剥離層が、前記蓋材の周縁部の一部に形成され、
該剥離層に面する前記接着層および前記シーラント層に、シーラント層側から
の切
込みからなり、電子レンジにて加熱した際の蒸気を容器外へ排出するためのハーフカットが形成され
、
前記剥離層が、ドット状のパターンであることを特徴とする蒸気抜き蓋材である。
【0015】
本発明の請求項
2に係る発明は、前記プラスチックフィルム層が、無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項
1に記載の蒸気抜き蓋材である。
【0016】
本発明の請求項
3に係る発明は、請求項1
または2に記載の蒸気抜き蓋材を用いたことを特徴とする密封容器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の蒸気抜き蓋材は、電子レンジにて加熱した際の蒸気が、ハーフカットに誘導され、内圧上昇と蒸気の熱で、剥離層と接着層との層間を剥離し、該剥離した隙間を通って蓋材の端部から容器外へ排出されるものである。剥離層は、蓋材の周縁部に形成されているために、内圧上昇に伴って短時間で、かつ確実に蒸気を容器外へ排出できる蓋材である。また該蓋材を用いた密封容器は、利便性に富んだ密封容器である。
【0018】
本発明の請求項1によれば、本発明の蒸気抜き蓋材は、剥離層が、蓋材の周縁部の一部に形成され、該剥離層に面する接着層およびシーラント層には、シーラント層側から
の切
込みからなり、電子レンジにて加熱した際の蒸気を容器外へ排出するためのハーフカットが形成されている。電子レンジにて加熱した際の蒸気が、ハーフカットに誘導され、内圧上昇と蒸気の熱で、短時間で、かつ確実に剥離層と接着層とを剥離することができる。発生した蒸気は、剥離した隙間を通って、プラスチックフィルム層と接着層との層間をも剥離しながら、隙間を通って容器外へ排出される。内圧の上昇に伴って短時間でかつ確実に蒸気を容器外へ排出できる蓋材である。
【0019】
また本発明の請求項
1によれば、剥離層が、ドット状のパターンであることにより、蓋材を容器にシールする際のシール熱による浮きや、蓋材を剥離する際の浮きの発生を防ぐことができる。
【0020】
本発明の請求項
2によれば、前記プラスチックフィルム層が、無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることにより、酸素ガス、水蒸気などのガスバリア性を向上させることができるため、内容物の酸化劣化を抑制することができる。またハーフカットを通って内容物が紙層へ浸透することを防ぐことができる。また廃棄時には、アルミニウム箔を使用しないため、廃棄性も有している。
【0021】
本発明の請求項
3によれば、請求項1
または2に記載の蒸気抜き蓋材を用いたことを特徴とする密封容器である。本発明の蒸気抜き蓋材を用いた密封容器は、蓋材の一部を開封せず、そのままの状態で、電子レンジで加熱することができる。利便性に富んだ密封容器である。加熱後は、蓋材を容器から剥離して内容物を食することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の蒸気抜き蓋材の構成の一例を示す説明図である。
【
図2】
図1の蒸気抜き蓋材を用いた密封容器の一例を示す説明図である。
【
図3】
図1の蒸気抜き蓋材が電子レンジで加熱されている状態の一例を示す説明図である。
【
図4】
図2の密封容器が電子レンジで加熱されている状態の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための形態について具体的に説明する。
【0024】
図1は、本発明の蒸気抜き蓋材の構成の一例を示す説明図である。蒸気抜き蓋材1は、上側から順に、紙層2、プラスチックフィルム層3、剥離層4、接着層5、シーラント層6が積層された積層体からなっている。剥離層4は、蓋材1の周縁部の一部とする所定部位に形成されている。剥離層4と面する接着層およびシーラント層に蒸気を誘導するハーフカット7が、シーラント層6側から接着層5まで形成されている。
【0025】
図2は、
図1の蒸気抜き蓋材を用いた密封容器の一例を示す説明図である。容器10のフランジ部11とシーラント層6をヒートシールして蒸気抜き蓋材にて密封した密封容器20である。密封容器20には、電子レンジで加熱される内容物(図には示していない)が収納されている。
【0026】
図3は、
図1の蒸気抜き蓋材が電子レンジで加熱されている状態の一例を示す説明図である。蒸気抜き蓋材1は、蒸気がハーフカット7から誘導され、内圧上昇と蒸気の熱で、剥離層4と接着層5との層間で剥離する。この剥離した隙間8を蒸気Aが通る。剥離層4は、蒸気Aの通る発起点となり、剥離層がない部位でもプラスチックフィルム層3と接着層5を剥離させながら蒸気Aが通っていく。蓋材1の端部から蒸気Aが排出される状態を示している。
【0027】
図4は、
図2の密封容器が電子レンジで加熱されている状態の一例を示す説明図である。
電子レンジで加熱されると、密封容器20内の内圧が上昇し、蒸気Aがハーフカット7から誘導されて剥離層4に到達する、剥離層4は密封容器20内の内圧上昇と蒸気の熱で接着層5と剥離して、隙間8を形成する。蒸気Aは形成された隙間8を通って蓋材1の端部から密封容器20外へ排出される。
【0028】
本発明の実施する形態をさらに詳しく説明する。
【0029】
紙層2としては、アート紙、コート紙、上質紙、晒クラフト紙、などが主に挙げられるが、特に限定されるものではない。紙坪量について特に規定はないが、50〜250g/m
2範囲が好ましく、80〜150g/m
2範囲がより望ましい。また、紙の表面に絵柄を印刷して使用することができる。また紙の裏面には、遮光性を向上させる印刷をしてもよい。また、紙層の表面の耐水性、耐湿性を向上させるためにポリエチレンなどのフィルムをラミネートしてもよい。
【0030】
プラスチックフィルム層3としては、内容物が紙層への侵入を防ぐ役目と蓋材としての剛性を備える役目を持っている。ポリエステル系フィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のフィルム)、ポリアミド系フィルム(ナイロン−6、ナイロン−66等などのフィルム)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどが使用できる。
【0031】
厚みについて特に規定はないが、9〜100μmの範囲のものが好ましく、9〜25μmの範囲がより好ましい。また、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの添加剤を加えることができ、必要に応じて適宜添加することができる。なお、これらのプラスチックフィルムの内面に遮光性を付与する印刷、若しくは遮光性材質のフィルムをラミネートしたものを用いても良い。
【0032】
また、プラスチックフィルム層として、酸素ガス、水蒸気などのガスバリア性を有するポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することによって、内容物の酸化劣化を抑制することができる。
【0033】
ガスバリア性を有するポリエチレンテレフタレートフィルムとしては、無機酸化物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムが使用できる。無機酸化物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが使用できる。無機酸化物の厚さとしては、20〜100nm程度の範囲が好ましく、30〜60nmの範囲がより好ましい。
【0034】
剥離層4としては、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等をバインダーとし、ポリエチレン系またはシリコン系ワックス成分を含有する剥離剤からなっており、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷等の公知の印刷方法で、プラスチックフィルム層の裏面に部分的に塗布する。即ち蓋材の周縁部の一部になる所定の部位に形成するようにする。剥離層は、ドット状またはグラデーション状に塗布することができる。特にドット状のパターンが好ましい。蓋材を容器にシールする際のシール熱による浮きや、蓋材を剥離する際の浮きの発生を防ぐことができる。塗布量は、剥離剤の種類により適宜選定すればよい。
【0035】
シーラント層6としては、低温シール性に優れたものが望ましく、シール温度の変化によらず、シール強度に変化のないものが好ましい。安定してイージーピールができるものが好ましい。
【0036】
シーラント層と容器との剥離特性についてはイージーピール性が必要である。シーラント層のタイプは、特に限定されず、凝集剥離タイプ、層間剥離タイプ、界面剥離タイプのいずれのタイプを用いてもよい。
【0037】
凝集剥離タイプは、シーラント層自体が凝集破壊するタイプで、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなどの樹脂を混合した樹脂を用いて、フィルム化して使用することができる。またこれらの混合樹脂を塗布液にして塗布して形成してもよい。
【0038】
層間剥離タイプは、共押出し法にて三層フィルムを形成し、三層フィルムの中間から剥離するものである。
【0039】
界面剥離タイプは、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂の酢酸ビニルの混合比率を上げた樹脂を用いて、フィルム化したものである。
【0040】
シーラント層の材質としては、例えば、容器がポリエチレン樹脂の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の混合組合せとしては、ポリエチレン樹脂/エチレン−メタ
クリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン樹脂/エチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂/エチレン−アクリル酸エチル共重合体の組合せが好ましい。
【0041】
容器がポリスチレン樹脂の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の混合組合せとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリブテン樹脂、ポリエチレン樹脂とエラストマーと石油樹脂の混合樹脂/ポリブテン樹脂の組合せが好ましい。
【0042】
容器がポリプロピレン樹脂の場合は、ベース樹脂/ブレンド用の熱可塑性樹脂の混合組合せとしては、ポリプロピレン樹脂/ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂/ポリエチレン樹脂の組合せが好ましい。
【0043】
シーラント層の厚さは、シール強度、イージーピール性、加工性を考慮すると、15〜100μmの範囲であることが好ましく、20〜40μmの範囲がより好ましい。
【0044】
また接着層5としては、プラスチックフィルム層とシーラント層とを接着させる役目を有している。また剥離層との疑似接着性も有するものである。接着層としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィン系の樹脂からなるフィルムが使用できる。
【0045】
接着層を形成する方法としては、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィン系の樹脂を用いたエクストルージョンラミネーション方法が好ましく、中でもポリエチレンが最も加工しやすい。その際、ハーフカットの加工精度を考慮すると、厚みは10〜50μmの範囲が好ましく、15〜30μmの範囲がより好ましい。
【0046】
例えば、ポリエチレンの押出し温度としては、280℃〜340℃が適しており、280℃より低い場合は製膜性が劣るだけでなく、ポリエチレン自身の表面酸化が不足し、ラミネート強度の低下を引き起こしてしまう。また、340℃よりも高い温度では樹脂の分解がすすんでしまうため、均一な加工ができないだけでなく、ラミネート強度の低下を引き起こしてしまう。即ち剥離強度の低下を引き起こす原因となる。
【0047】
紙層とプラスチックフィルム層の接着方法としては、例えば、ウエットラミネーション方法、ドライラミネーション方法、ノンソルベントドライラミネーション方法、ホットメルトラミネーション方法、エクストルージョンラミネーション方法、及び該エクストルージョンラミネーション方法を利用したサンドポリラミネーション方法などの公知の方法を使用することができる。
【0048】
ハーフカットの加工方法は、トムソン抜き型、ロータリーダイ、レーザーなどの公知の方法で可能である。積層体のシーラント層側から所定の部位にハーフカットを施し、その後、蓋材への外形抜き加工を行う。外形抜き加工自体は、充填時、充填後のいずれでもよく、限定されない。
【0049】
また外形抜き加工は、同様にトムソン抜き型、ロータリーダイ、レーザーなどの公知の方法で可能である。さらに、蓋材の外形抜きに際に、タブを設けることにより、剥離し易くなる。
【0050】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
【実施例1】
【0051】
坪量が105g/m
2の紙(グラビアアート紙)と、酸化アルミニウムを蒸着した厚さ
25μmのポリエチレンテレフタラートフィルムを、酸化アルミニウム蒸着面を貼り合せ面としてウレタン系接着剤を用いドライラミネート法にて貼り合わせた。酸化アルミニウムの蒸着厚さは30nmである。
【0052】
次にポリエチレンテレフタラートフィルム面に、ウレタン樹脂をバインダーとして、シリコン系ワックス成分を含有した剥離ニスを、蓋材の周縁部の一部になるようにグラビア印刷にて、剥離層をドット状にパターン印刷した。
【0053】
次に、剥離層を印刷したポリエチレンテレフタラートフィルム面に、ポリプロピレン樹脂/ポリスチレン樹脂を混合したポリプロピレン樹脂系シーラント層(フィルム)30μmを、サンドポリラミネート法により厚さ15μmのポリエチレン樹脂層を320℃で押出して貼り合わせた。
【0054】
次に、剥離層に面するポリエチレン樹脂層とシーラント層に、シーラント層側からハーフカット加工3本を施し、その後、蓋材形状に抜き加工を行い、蓋材を得た。
【0055】
次にポリプロピレン樹脂を用い、カップ状に成形した容器にコ―ンスープ150mlを充填した後、上記蓋材にてヒートシールし密封容器を作成した。
【0056】
<比較例1>
ハーフカットを施さない以外は、実施例1と同様に行い密封容器を作成した。
【0057】
<評価方法>
次に実施例1、比較例1の密封容器を、500W電子レンジを用い、150秒加熱して密封容器の蒸気抜き状態を確認した。蒸気がハーフカットから剥離層とポリエチレン樹脂層との隙間から排出されたものを○とした。また蒸気が排出されず、蓋材が破裂しそうになった状態を×とした。
【0058】
<評価結果>
実施例1は、蒸気がハーフカットから誘導され剥離層とポリエチレン樹脂とを剥離しながら蓋材の端部から排出された。蒸気抜きが良好であった。比較例1は、蒸気の抜ける部位がなく、蓋材が破裂しそう状態になり危険であった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の蒸気抜き蓋材およびそれを用いた密封容器は、主に食品、即ち水分を含む固形物や液体を収納するものに使用できる。電子レンジで加熱しても、蓋材の破裂や容器変形による内容物の漏れなどが生じないものである。安全に蒸気抜きを可能にした蒸気抜き蓋材およびそれを用いた密封容器である。
【符号の説明】
【0060】
1 本発明の蒸気抜き蓋材
2 紙層
3 プラスチックフィルム層
4 剥離層
5 接着層
6 シーラント層
7 ハーフカット
8 隙間
10 容器
11 フランジ部
20 本発明の密封容器
A 蒸気の流れ