(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3つ以上の接続ポート(PA,PB,PC,PD)が周方向に並んで開口する弁座(40)を備え、且つ上記接続ポート(PA,PB,PC,PD)に連通する本体空間部(11)が形成されたケーシング(20)と、上記接続ポート(PA,PB,PC,PD)の開口間を連通する連通路(3a)が形成され且つ上記本体空間部(11)に収容された可動弁体(30)とを有し、
上記可動弁体(30)の回転に伴って、上記連通路(3a)が上記複数の接続ポート(PA,PB,PC,PD)の列に沿うように移動することによって複数の接続ポート(PA,PB,PC,PD)の連通状態を切り換えるロータリ弁であって、
上記複数の接続ポート(PA,PB,PC,PD)は、上記連通路(3a)が常に開口する第1の接続ポート(PA)と、該第1の接続ポート(PA)の両側にある一対の第2の接続ポート(PC,PD)とを含み、
上記可動弁体(30)は、上記連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)と一方の第2の接続ポート(PC)とを連通させる第1位置から、上記連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)とを連通させ且つ第2の接続ポート(PC,PD)が上記本体空間部(11)に連通することにより該第1の接続ポート(PA)と第2の接続ポート(PC,PD)と本体空間部(11)との間の差圧が生じない中間位置を経由して、上記連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)と他方の第2の接続ポート(PD)とを連通する第2位置へ回転移動することを特徴とするロータリ弁。
【背景技術】
【0002】
従来より、可動弁体を軸心回りに回転させて複数の接続ポートの連通状態を切り換えるロータリ弁が知られている。そして、これらのロータリ弁の中には、特許文献1に示すように、冷凍サイクルを行う冷媒回路の循環方向を可逆自在に切り換える四路切換弁として用いられるものがある。
【0003】
このロータリ弁は、ケーシング内に弁座と可動弁体とを備えている。弁座には平坦な弁座面が形成されている。この弁座面には複数の接続ポートが周方向に並んで開口している。また、可動弁体は、上記弁座面に直交する回転軸回りに回転自在に構成されている。この可動弁体はケーシング内の本体空間部に収容されている。この可動弁体には、連通路が形成されている。この連通路は、弁座面における接続ポートの開口間を連通するものであり、可動弁体の回転に伴って、上記複数の接続ポートの列に沿うように移動する。これにより、接続ポート間の連通状態が切り換わるように構成されている。
【0004】
特許文献1のロータリ弁の弁座面には、4つの接続ポートが開口している。これらの接続ポートは、上記冷媒回路の圧縮機の吐出口に連通する高圧側ポートと、該圧縮機の吸入側に連通する低圧側ポートと、上記冷媒回路の利用側熱交換器に連通する利用側ポートと、上記冷媒回路の熱源側熱交換器に連通する熱源側ポートである。
【0005】
上記可動弁体が第1位置のときに、上記連通路を通じて高圧側ポートと熱源側ポートとが連通し、上記連通路の外側で低圧側ポートと利用側ポートとが連通する。この状態では、熱源側熱交換器が放熱器となり且つ利用側熱交換器が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。上記可動弁体が第1位置から第2位置へ移動したときに、上記連通路を通じて高圧側ポートと利用側ポートとが連通し、上記連通路の外側で低圧側ポートと熱源側ポートとが連通する。この状態では、熱源側熱交換器が蒸発器となり且つ利用側熱交換器が凝縮器となって冷凍サイクルが行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のロータリ弁の場合、上記可動弁体が第1位置と第2位置との間の中間位置で、上記高圧側ポートのみに開口する状態がある。この場合、上記高圧側ポートを通じて上記連通路内が高圧状態になり、該連通路と連通路の外側の本体空間部との圧力差が大きくなってしまい、可動弁体を回転するために必要な駆動トルクが増大する。この結果、ロータリ弁の切換動作がスムーズに行われないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、可動弁体が中間位置にあるときの駆動トルクの上昇を抑えて、ロータリ弁の切換動作をスムーズに行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、3つ以上の接続ポート(PA,PB,PC,PD)が周方向に並んで開口する弁座(40)を備え、且つ上記接続ポート(PA,PB,PC,PD)に連通する本体空間部(11)が形成されたケーシング(20)と、上記接続ポート(PA,PB,PC,PD)の開口間を連通する連通路(3a)が形成され且つ上記本体空間部(11)に収容された可動弁体(30)とを有し、上記可動弁体(30)の回転に伴って、上記連通路(3a)が上記複数の接続ポート(PA,PB,PC,PD)の列に沿うように移動することによって複数の接続ポート(PA,PB,PC,PD)の連通状態を切り換えるロータリ弁を前提としている。
【0010】
そして、このロータリ弁において、上記複数の接続ポート(PA,PB,PC,PD)は、上記連通路(3a)が常に開口する第1の接続ポート(PA)と、該第1の接続ポート(PA)の両側にある一対の第2の接続ポート(PC,PD)とを含み、上記可動弁体(30)は、上記連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)と一方の第2の接続ポート(PC)とを連通させる第1位置から、上記連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)とを連通させ且つ第2の接続ポート(PC,PD)が上記本体空間部(11)に連通する
ことにより該第1の接続ポート(PA)と第2の接続ポート(PC,PD)と本体空間部(11)との間の差圧が生じない中間位置を経由して、上記連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)と他方の第2の接続ポート(PD)とを連通する第2位置へ回転移動することを特徴としている。
【0011】
第1の発明では、従来とは違い、上記可動弁体(30)が中間位置のときに、第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)とが連通する。これにより、上記可動弁体(30)が第1位置及び第2位置の一方から他方へ中間位置を経て移動するときに、上記可動弁体(30)の連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)のみに開口する状態がなくなる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、上記
弁座(40)に形成された弁座面(41)には、上記可動弁体(30)が中間位置のときに上記第1の接続ポート(PA)と上記第2の接続ポート(PC,PD)とを連通させるように、上記第2の接続ポート(PC,PD)から第1の接続ポート(PA)へ延びる溝部(2a,2b)が形成されていることを特徴としている。
【0013】
第2の発明では、上記溝部(2a,2b)を設けて、上記第2の接続ポート(PC,PD)における弁座面(41)側の開口面積を上記第1の接続ポート(PA)へ向けて広げるようにした。これにより、上記連通路(3a)が中間位置のときに、第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)とが連通するようになる。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、上記連通路(3a)は、上記可動弁体(30)が中間位置のときに一対の第2の接続ポート(PC,PD)と上記第1の接続ポート(PA)とに開口するように形成されていることを特徴としている。
【0015】
第3の発明では、上記可動弁体(30)が中間位置のときに、一対の第2の接続ポート(PC,PD)と上記第1の接続ポート(PA)とに開口するように上記連通路(3a)を広くした。これにより、上記連通路(3a)が中間位置のときに、第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)とが連通するようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記可動弁体(30)が中間位置のときに第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)とが連通するので、上記可動弁体(30)が第1位置と第2位置との間を移動する際に、上記可動弁体(30)の連通路(3a)が第1の接続ポート(PA)のみに開口する状態がなくなる。
【0017】
そして、上記可動弁体(30)が中間位置のときに、例えば、第1の接続ポート(PA)から流出した高圧流体は上記連通路(3a)を通じて第2の接続ポート(PC,PD)へ逃げ、第2の接続ポート(PC,PD)から本体空間部(11)へ逃げる。この結果、上記連通路(3a)と本体空間部(11)とが均圧し、上記連通路(3a)と本体空間部(11)との間に圧力差が生じなくなる。これにより、上記連通路(3a)の内外の圧力差に起因する駆動トルクの増大がなくなって、ロータリ弁の切換動作がスムーズに行われる。
【0018】
また、上記第2の発明によれば、上記弁座面(41)に上記溝部(2a,2b)を設けて、上記第2の接続ポート(PC,PD)における弁座面(41)側の開口面積を広げることによって、上記第2の接続ポート(PC,PD)のポート径を大きくしなくても、上記可動弁体(30)が中間位置の場合において、上記連通路(3a)を通じて第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)と連通させることができる。
【0019】
また、上記第3の発明によれば、一対の第2の接続ポート(PC,PD)と上記第1の接続ポート(PA)とに開口するまで上記連通路(3a)を広げることによって、上記第2の接続ポート(PC,PD)のポート径を大きくしなくても、上記可動弁体(30)が中間位置の場合において、上記連通路(3a)を通じて第1の接続ポート(PA)と両方の第2の接続ポート(PC,PD)と連通させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
本実施形態のロータリ弁(10)は、流体である冷媒(例えば二酸化炭素)を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路(75)に接続されて該冷媒回路(75)の循環方向を可逆自在に切り換えるものである。このロータリ弁(10)は、
図1に示すように、ケーシング(20)を備えている。
【0023】
ケーシング(20)は、胴体部(21)と第1弁座(弁座)(40)と蓋部(22)とを有している。該胴体部(21)は円筒状に形成されている。蓋部(22)は円盤状に形成されて胴体部(21)の上部開口を閉塞する。第1弁座(40)は円盤状に形成されて胴体部(21)の下部開口を閉塞する。蓋部(22)の上面には電動モータ(16)が取り付けられている。この電動モータ(16)に接続された第1駆動軸(18)が、上記蓋部(22)の中心部にある貫通孔に挿通されている。
【0024】
第1弁座(40)には、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、4つの接続ポート(PA,PB,PC,PD)が上下に貫通して形成されている。これらの接続ポート(PA,PB,PC,PD)は、上記第1弁座(40)の上面に形成された平坦な第1弁座面(弁座面)(41)に開口している。これらの開口形状は、平面視で全て同じ円形である。また、これらの接続ポート(PA,PB,PC,PD)は、後述する第2駆動軸(12)の軸心回りに90度の間隔で配列されている。また、この第1弁座面(41)には、均圧溝(2a,2b)が形成されている。この均圧溝(2a,2b)は、本願発明の特徴であり詳しく後述する。
【0025】
4つの接続ポート(PA,PB,PC,PD)は、高圧側ポート(第1の接続ポート)(PA)と低圧側ポート(PB)と室外熱交側ポート(第2の接続ポート)(PC)と室内熱交側ポート(第2の接続ポート)(PD)とで構成されている。高圧側ポート(PA)には冷媒回路(75)の圧縮機(70)の吐出配管(15a)が接続され、低圧側ポート(PB)には冷媒回路(75)の圧縮機(70)の吸入配管(15b)が接続され、室外熱交側ポート(PC)には熱源側熱交換器を構成する室外熱交換器(71)のガス側配管(15c)が接続され、室内熱交側ポート(PD)には利用側熱交換器を構成する室内熱交換器(72)のガス側配管(15d)が接続されている(
図4を参照)。
【0026】
このケーシング(20)の内部には、減速ギア(17)と第2弁座(50)と第2駆動軸(12)と可動弁体(30)とが収容されている。減速ギア(17)の上部に上記第1駆動軸(18)の下端が接続されている。減速ギア(17)の下部には第2駆動軸(12)の上端が接続されている。
【0027】
第2弁座(50)は、減速ギア(17)の下側に位置するとともに上記第1弁座(40)と対向するように胴体部(21)に固定されている。第2弁座(50)には、その中心部に貫通孔が形成され、この貫通孔に第2駆動軸(12)が挿通されている。
【0028】
第2弁座(50)の下面には、平坦な第2弁座面(51)が形成されている。第1弁座(40)と第2弁座(50)は、第1弁座面(41)と第2弁座面(51)とが互いに対向するように配置されている。第2弁座(50)と第1弁座(40)との間に本体空間部(11)が形成され、この本体空間部(11)に可動弁体(30)が収容されている。
【0029】
この可動弁体(30)には、第2弁座(50)の貫通孔から延びる第2駆動軸(12)が固定されている。上記電動モータ(16)の駆動力は第1駆動軸(18)を介して減速ギア(17)へ伝達され、該減速ギア(17)で変速された後に、第2駆動軸(12)を介して可動弁体(30)へ伝達される。この可動弁体(30)は、第2駆動軸(12)の軸心回りに第1位置から中間位置へ経て第2位置へと回転移動する。
【0030】
可動弁体(30)は円盤状に形成されている。可動弁体(30)の上面は第2弁座面(51)に対向し、可動弁体(30)の下面は第1弁座面(41)に対向する。また、可動弁体(30)は、
図3に示すように、平面視で半円状の主弁部(31)と、平面視で半円状の副弁部(32)とを備えている。主弁部(31)は大径に形成され、副弁部(32)が主弁部(31)より小径に形成されている。主弁部(31)には連通路(3a)が形成されている。また、副弁部(32)には補助通路(3b)が形成されている。
【0031】
連通路(3a)は、主弁部(31)の下面に開口する。また、この連通路(3a)は、平面視で略円弧状に形成されている。この円弧の中心は上記第2駆動軸(12)の軸心と略一致し、この円弧の中心線に係る曲率は4つの接続ポート(PA,PB,PC,PD)の列に係る曲率と略一致している。この連通路(3a)に係る円弧の長さは、上記可動弁体(30)が中間位置にあるとき、連通路(3a)が室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)から延びる均圧溝(2a,2b)に開口するような長さに設定されている。また、連通路(3a)は、該連通路(3a)の横断面において第2弁座(50)側の上半面が円弧状に形成されている。
【0032】
上記可動弁体(30)が第1位置のとき、上記連通路(3a)を通じて高圧側ポート(PA)と室外熱交側ポート(PC)とが連通する。また、上記可動弁体(30)が中間位置のとき、上記連通路(3a)が両方の均圧溝(2a,2b)に開口して高圧側ポート(PA)が室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)に連通する。また、上記可動弁体(30)が第2位置のとき、上記連通路(3a)を通じて高圧側ポート(PA)と室内熱交側ポート(PD)とが連通する。上記可動弁体(30)の回転位置にかかわらず、高圧側ポート(PA)は上記連通路(3a)内に開口する。
【0033】
補助通路(3b)は、副弁部(32)の下面に開口する。また、補助通路(3b)は、平面視で略円弧状に形成されている。この円弧の中心は上記第2駆動軸(12)の軸心と略一致し、この円弧の中心線に係る曲率は4つの接続ポート(PA,PB,PC,PD)の列に係る曲率と略一致している。また、この補助通路(3b)に係る円弧の長さは、隣り合う2つの接続ポート(PB,PD,PC)を繋ぐ円弧長さに形成されている。さらに、補助通路(3b)は、該補助通路(3b)の横断面において第2弁座(50)側の上半面が円弧状に形成されている。
【0034】
上記可動弁体(30)が第1位置のとき、上記補助通路(3b)を通じて低圧側ポート(PB)と室内熱交側ポート(PD)とが連通する。また、上記可動弁体(30)が中間位置のとき、上記補助通路(3b)は低圧側ポート(PB)のみに連通する。また、上記可動弁体(30)が第2位置のとき、上記補助通路(3b)を通じて低圧側ポート(PB)と室外熱交側ポート(PC)とが連通する。上記可動弁体(30)の回転位置にかかわらず、低圧側ポート(PB)は上記補助通路(3b)に開口している。
【0035】
上記主弁部(31)には、シール部材(60)が設けられている。該シール部材(60)は、主弁部(31)の上下両面に設けられ、主弁部(31)における連通路(3a)の隅角部を切り欠いて形成された凹部に設けられている。そして、上記シール部材(60)は、可動弁体(30)と第1弁座面(41)および第2弁座面(51)との間に位置し、上記連通路(3a)と上記本体空間部(11)との間をシールしている。高圧側ポート(PA)は上記連通路(3a)に常に開口しているため、圧縮機(70)の運転中において、上記連通路(3a)内は、圧縮機(70)の吐出圧力と略同じ圧力であり、高圧状態である。
【0036】
一方、上記副弁部(32)にはシール部材(60)が設けられていない。このため、上記補助通路(3b)と本体空間部(11)とはシールされていない。低圧側ポート(PB)は上補助通路(3b)に常に開口していることから、圧縮機(70)の運転中において、上記補助通路(3b)及び上記本体空間部(11)内は、圧縮機(70)の吸入圧力と同じ圧力であり、低圧状態である。
【0037】
尚、上記電動モータ(16)の駆動トルクは、上記連通路(3a)と上記本体空間部(11)との間の差圧により決まる。これらの圧力差が大きくなれば駆動トルクが大きくなり、圧力差が小さくなれば駆動トルクが小さくなる。
【0038】
また、上記シール部材(60)と主弁部(31)との間には、弾性体(61)が設けられている。該弾性体(61)は、上記シール部材(60)を第1弁座面(41)および第2弁座面(51)に押圧する押圧部材を構成し、Oリングなどで構成されている。
【0039】
なお、上記第1弁座(40)と第2弁座(50)との間には、可動弁体(30)が当接するストッパ(14)が設けられている。該ストッパ(14)は、主弁部(31)と副弁部(32)との段差部に当接する。
【0040】
〈均圧溝〉
上述したように、上記第1弁座(40)の第1弁座面(41)には2つの均圧溝(2a,2b)が形成されている(
図2、
図3を参照)。一方の均圧溝(2a)は、上記可動弁体(30)が中間位置のとき(
図3(b)を参照)、上記高圧側ポート(PA)と室外熱交側ポート(PC)とを連通させるように形成されている。具体的には、平面視で室外熱交側ポート(PC)から高圧側ポート(PA)へ向かって略円弧状に延びている。この均圧溝(2a)により、室外熱交側ポート(PC)における第1弁座面(41)側の開口面積が広くなって、上記高圧側ポート(PA)と室外熱交側ポート(PC)とが連通する。
【0041】
もう一方の均圧溝(2b)は、上記可動弁体(30)が中間位置のとき(
図3(b)を参照)、上記高圧側ポート(PA)と室内熱交側ポート(PD)とを連通させるように形成されている。具体的には、平面視で室内熱交側ポート(PD)から高圧側ポート(PA)へ向かって略円弧状に延びている。この均圧溝(2b)により、室内熱交側ポート(PD)における第1弁座面(41)側の開口面積が広くなって、上記中間位置において、上記高圧側ポート(PA)と室内熱交側ポート(PD)とが連通する。
【0042】
また、これらの均圧溝(2a,2b)は、共に、溝深さがa(
図2(a)を参照)であり且つ溝幅がb(
図2(b)を参照)である。溝深さ及び溝幅は、上述した中間位置で、高圧側ポート(PA)から連通路(3a)へ流入した高圧ガスが、均圧溝(2a,2b)と両方のポート(PC,PD)とを通じて、本体空間部(11)へスムーズに流れるように設定されている。つまり、上記連通路(3a)の出口側の開口面積が入口側の開口面積以上になるようにしている。本実施形態では、入口側の開口面積は上記高圧側ポート(PA)の開口面積であり、出口側の通路面積は、各均圧溝(2a,2b)の溝深さ及び溝幅の積(a×b)を加算した値である。
【0043】
−運転動作−
次に、上記ロータリ弁(10)の切換動作について、
図4及び
図5を用いて説明する。このロータリ弁(10)では、上記可動弁体(30)の回転に伴って、上記可動弁体(30)の連通路(3a)が4つのポート(PA,PB,PC,PD)の列に沿うように移動することによって、各ポート(PA,PB,PC,PD)間の連通状態を切り換える。
【0044】
具体的に、上記可動弁体(30)は、回転角度が0°から90°の間で回転する。尚、回転角度が0°からA1までの間に第1位置があり、回転角度がA1からA2までの間に中間位置があり、回転角度がA2から90°までの間に第2位置がある(
図5を参照)。
【0045】
上記可動弁体(30)の回転角度が0°のとき、
図4(a)に示すように、高圧側ポート(PA)と室外熱交側ポート(PC)とが連通路(3a)を通じて連通するとともに、低圧側ポート(PB)と室内熱交側ポート(PD)とが補助通路(3b)を通じて連通する。このとき、上記冷媒回路(75)では、室外熱交換器(71)が凝縮器となり、室内熱交換器(72)が蒸発器となって冷凍サイクルが行われる。このとき、連通路(3a)は高圧状態であり、連通路(3a)の外側の補助通路(3b)及び本体空間部(11)は低圧状態である。
【0046】
上記可動弁体(30)の回転角度が0°からA1まで移動する間、連通路(3a)の内側で高圧側ポート(PA)と室外熱交側ポート(PC)とが連通し、連通路(3a)の高圧状態が維持されるため、
図5に示すように駆動トルクは大きい。
【0047】
上記可動弁体(30)の回転角度がA1を超えると、室外熱交側ポート(PC)の一部が本体空間部(11)に位置するようになり、連通路(3a)の高圧ガスが均圧溝(2a)と室外熱交側ポート(PC)とを介して本体空間部(11)へ逃げて、連通路(3a)と本体空間部(11)とが均圧する。このため、駆動トルクは、
図5に示すように小さい。
【0048】
上記可動弁体(30)の回転角度が45°のとき、
図4(b)に示すように、上記均圧溝(2a,2b)を通じて高圧側ポート(PA)が室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)に連通する。これにより、上記高圧側ポート(PA)は閉鎖されず、該高圧側ポート(PA)から上記連通路(3a)へ流入した高圧冷媒は、連通路(3a)から室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)へ流出し、連通路(3a)と本体空間部(11)との均圧状態が維持される。このときも、このため、駆動トルクは、
図5に示すように小さい。この均圧状態は、上記可動弁体(30)の回転角度がA2まで維持される。
【0049】
上記可動弁体(30)の回転角度がA2を超えると、連通路(3a)の内側で高圧側ポート(PA)と室内熱交側ポート(PD)とが連通するようになり、再び連通路(3a)の高圧状態が維持されるため、
図5に示すように駆動トルクが大きくなる。この状態は、上記可動弁体(30)の回転角度が90°になるまで維持される。
【0050】
−実施形態の効果−
本実施形態によれば、上記可動弁体(30)の回転角度がA1からA2までの間、上記均圧溝(2a,2b)を通じて高圧側ポート(PA)が室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)の少なくとも一方に連通するため、連通路(3a)と本体空間部(11)との均圧状態が維持される。一方、従来のロータリ弁の場合、上記可動弁体(30)の回転角度が45°前後で、連通路(3a)が高圧側ポート(PA)のみに開口して連通路(3a)が高圧状態となるため、連通路(3a)の内外の圧力差が大きくなって、駆動トルクが上昇していた。
【0051】
このように、本実施形態では、従来とは違い、上記可動弁体(30)の回転角度が45°前後でも、連通路(3a)の内外の均圧状態が維持されるため、駆動トルクの増大がなくなって、ロータリ弁の切換動作がスムーズに行われる。
【0052】
また、本実施形態によれば、上記第1弁座面(41)に上記均圧溝(2a,2b)を設けて、室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)における弁座面(41)側の開口面積を広げることによって、室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)のポート径を大きくしなくても、上記可動弁体(30)の回転角度がA1からA2までの間において、上記連通路(3a)を通じて3つのポート(PA,PC,PD)と連通させることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、上記均圧溝(2a,2b)の長さを上記高圧側ポート(PA)側へ延ばした場合、その延ばした分だけ上記連通路(3a)の長さを短くして、上記可動弁体(30)の回転角度がA1からA2までの間において、3つのポート(PA,PC,PD)と連通させることができる。こうすると、連通路(3a)の長さを短くできるので、上記可動弁体(30)に作用する高圧圧力の領域が小さくなって、上記電動モータ(16)の駆動トルクを小さくすることができる。
【0054】
−実施形態の変形例−
図6に示す実施形態の変形例では、上述した実施形態とは違い、上記均圧溝(2a,2b)で室外熱交側ポート(PC)及び室内熱交側ポート(PD)の開口面積を広げるのではなく、平面視で上記シール部材(60)のサイズを大きくして、連通路(3a)の範囲を広げることによって、3つのポート(PA,PC,PD)を連通させてもよい。この場合であっても、上記実施形態と同様に、ロータリ弁の切換動作をスムーズに行うことができる。
【0055】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0056】
本実施形態では、上記第2駆動軸(12)に1つの可動弁体(30)が固定されていたが、これに限定されず、上記第2駆動軸(12)に2つ以上の可動弁体(30)が上下に直列に固定されていてもよい。この場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。