(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設定手段は、前記出力色域の予め定めた色空間における無彩色軸上の最低明度が、前記出力色域の最大彩度の色の明度以下となる前記滴径の組み合わせを前記対応関係に基づいて設定する
請求項1記載の色処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態に係る色処理装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0016】
色処理装置10は、入力機器20と出力機器30間に設けられて入力機器20から入力される画像データの色変換処理を行う色変換部16、色変換部16が画像データの色変換に際して参照する参照テーブル(色変換プロファイル)を記憶する色変換プロファイル記憶部15、色変換プロファイル記憶部15に記憶する色変換プロファイルを生成する色変換プロファイル生成部11を具備して構成される。
【0017】
この色処理装置10は、出力機器30に内蔵することにより実現される。本実施形態では、一例として、出力機器30として、CMYK各色のインクを用いてカラー画像を用紙上に形成させるカラーインクジェットプリンタであって、各色のインクの滴径を異ならせることが可能なカラーインクジェットプリンタを用いた場合について説明する。また、本実施形態では、各色のインクについて大滴、中滴、小滴の3種類の滴径を選択して吐出可能なカラーインクジェットプリンタを用いた場合について説明する。
【0018】
入力機器20としては、例えば、PC(パーソナル・コンピュータ)等で実現される情報処理端末(クライアント)や、あるいは出力機器30とは異なる色域を有する画像形成装置(カラー複写機)等を想定している。
【0019】
入力機器20を上記クライアントとした場合は、当該クライアントにおいてディスプレイ上で色を確認しながら作成されたRGB色空間上の画像データが、また、入力機器20を他の画像形成装置とした場合は、当該画像形成装置からCMYK色空間上の画像データが、それぞれ、色域変換対象として色変換部16に入力される。
【0020】
この色処理装置10において、色変換プロファイル生成部11は、入力機器20から入力される画像データの色値(例えば、R,G,B)を、入力機器20、及び、複数の色(この例では、CMYK色)要素に基づいて複数色を再現する出力機器30に依存しないデバイス非依存色空間(例えば、L*a*b空間)上の色値に変換する第一色変換条件生成部12、第一色変換条件生成部12で変換された入力画像データの色値を、同じ色空間(L*a*b空間)上の、出力機器30における出力色域の色値に変換する色域変換条件生成部13、色域変換条件生成部13による色域変換後のL*a*b空間上の色値を出力機器30が再現可能な例えば、CMYK色空間上の色値に変換する第二色変換条件生成部14を備えている。
【0021】
色変換プロファイルの生成処理に際し、色変換プロファイル生成部11は、例えば、ネットワークを介して、入力機器20の上記デバイス非依存色空間における再現色域(入力色域)外郭を算出するために必要な情報を含む入力機器特性データと、出力機器30の上記デバイス非依存色空間における再現色域(出力色域)外郭を算出するために必要な情報を含む出力機器特性データを取得する。
【0022】
色変換プロファイル生成部11において、色域変換条件生成部13は、入力機器特性データに基づいて入力機器20が再現可能な色域内における画素(色値)を算出するとともに、出力機器特性データに基づいて出力機器30の出力色域外郭を算出する色域外郭算出部131、CMYKのインクの総量制限値と、当該総量制限値を満たすよう吐出可能なCMYK各色のインクの各々の滴径のうち少なくとも2以上のインクの滴径を揃えた組み合わせによる対応関係を予め定めた組み合わせテーブルを取得する組み合わせテーブル取得部132、上記入力色域内の全画素の色値を上記出力色域の色値に変換(マッピング)する色域マッピング部135を具備している。なお、総量制限値とは、CMYKの各色材の総量を制限するための値であり、例えばユーザーにより設定される。例えばCMYK全ての色を100%使用したい場合は、総量制限値は400に設定され、インクの総量を制限したい場合は、これより小さい値に設定される。
【0023】
また、色変換プロファイル生成部11において、第二色変換条件生成部14は、例えば、出力機器30において予め設定されている(あるいは、メモリ等に記憶されている)総量制限値から墨量を算出する墨量算出部141、色域変換条件生成部13において色域マッピング部135により出力機器30の出力色域にマッピングされた色値を墨量算出部141により算出された墨量を反映させて出力機器30のCMYK色空間の値に変換する色変換部142を具備して構成される。
【0024】
なお、「黒」という用語は色材の黒100パーセントの色という意味もあるが、本実施形態では、これとは異なり、後述する“出力機器30の色域断面”において、“色域断面における出力機器30で再現可能な最低明度となる色”という意味合いで用いられるものである。
【0025】
次に、本実施形態の作用として、色変換条件生成処理について
図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0026】
図2に示すように、色域変換条件生成部13は、入力機器特性データ及び出力機器特性データを取得する(ステップS100)。
【0027】
次に、色域変換条件生成部13は、インクの総量制限に関する情報として総量制限値を取得する(ステップS102)。総量制限値は、例えばユーザーが設定するようにしてもよいし、例えば予め印刷用途や印刷用紙と総量制限値との対応関係を定めておき、設定された印刷用途や印刷用紙に応じた総量制限値を自動で設定するようにしてもよい。
【0028】
次に、色域変換条件生成部13は、組み合わせテーブルを取得する(ステップS104)。
図3には、組み合わせテーブルの一例を示した。同図に示すように、組み合わせテーブルTBLは、CMYKのインクの総量制限値と、当該総量制限値を満たすよう吐出可能なCMYK各色のインクの各々の滴径のうち少なくとも2以上のインクの滴径を揃えた組み合わせによる対応関係を予め定めたテーブルである。同図に示すように、例えばNo.1の組み合わせは、CMYK各色のインクの滴径が全て大滴であり、総量制限値が400に設定された場合に対応した組み合わせである。この総量制限値と滴径の組み合わせとの対応関係は、最適な組み合わせとして予め定められたものである。なお、組み合わせテーブルTBLは、装置内部に予め記憶しておいてもよいし、例えばネットワークを介して外部機器から取得するようにしてもよい。
【0029】
そして、色域変換条件生成部13は、取得した組み合わせテーブルTBLに基づいて、インクの総量制限値に対応した滴径の組み合わせを設定する(ステップS106)。例えば
図3に示すように、総量制限値が360であった場合は、C,M,Kが大滴でYが中滴の組み合わせが設定される。
【0030】
なお、滴径の組み合わせを組み合わせテーブルTBLに基づいて設定する際に、Kは大滴で固定した上で、総量制限値を満たすCMYの滴径の組み合わせを設定するようにしてもよい。これにより、印刷対象がテキスト文書等の場合には、黒の文字が濃く印刷される。
【0031】
また、滴径の組み合わせを組み合わせテーブルTBLに基づいて設定する際に、CMYは大滴で固定した上で、総量制限値を満たすKの滴径を設定するようにしてもよい。これにより、印刷対象がバーコード等の場合には、バーコードににじみが発生するのが抑制される。
【0032】
また、2次色で、文字や線画質の再現を低下させずに、低明度領域の階調段差を改善した色再現を実現するために、印刷対象に含まれる文字や線が含まれる場合、総量制限値を満たす条件でCMYKの滴径を全て同一にするようにしてもよい。
【0033】
次に、色域変換条件生成部13は、設定されたCMYKのインクの滴径の組み合わせに応じた出力色域を出力機器特性データに基づいて算出する(ステップS108)。
【0034】
次に、色域変換条件生成部13は、色域変換対象の画像データである入力色域内の全ての画素中から処理順番(例えば、画素カウンタによりカウントする)に対応する画素を1画素ずつ取り出し(ステップS110)、当該各画素を出力色域内の値に変換する色域変換処理(ステップS112〜S116)を実行する。
【0035】
この色域変換(マッピング)処理においては、例えば予め定めた色差式を用いて変換前と変換後の色差が最小となるようにマッピング処理を行なう(ステップS112)。なお、マッピング方法は、これに限定されるものではなく、種々公知の手法が用いられる。
【0036】
次に、第二色変換条件生成部14は、総量制限値から墨量を算出する(ステップS114)と共に、算出された墨量を、出力機器30の出力色域にマッピングされた色値に反映させて出力機器30のCMYK色空間の値に変換する(ステップS116)。
【0037】
一般に、2つ以上の異なるインク滴で打滴すると、インクを吐出する記録ヘッドからの吐出速度のずれやスクリーンのムラの発生により文字や線再現でガタツキやムラが目立ち、画質が劣化する場合がある。これは、吐出するインクの滴径によってインクが飛び出す速度が異なるので、吐出されたインク滴の着弾位置がずれるためである。これに対し、本実施形態では、組み合わせテーブルTBLから総量制限値に適したCMYK各色のインクの滴径の組み合わせを設定し、設定された組み合わせに対応した出力色域を算出して色域マッピングするので、階調段差が発生するのが抑制される。
【0038】
なお、上記では、総量制限値は、例えばユーザーにより設定され、例えばCMYK全ての色を100%使用したい場合は、総量制限値は400に設定され、インクの総量を制限したい場合は、これより小さい値に設定されると説明したが、総量制限値の設定はこれに限られるものではない。例えばCMYK全ての色を100%使用し且つ総量制限値を200に設定する条件を許可するようにしてもよい。この場合、インクの総量が200を越えた場合のみ、インクの総量が200以下となるようにCMYKの少なくとも一つのインクのインク量を減らせばよい。これにより、2次色(2色のインクで再現する色)までは、各色のインクを100%使用可能となる。
【0039】
図4(A)には、CMYK全ての色を100%使用し(全て大滴を使用し)且つ総量制限値を200に設定することを許可した場合に用いる組み合わせテーブルTBLの一例を示した。また、同図(B)には、各色のインクの滴径とインク量との関係の一例を示した。この場合、任意の2色の組み合わせで総量制限値以下になるCMYKのインクの滴径の組み合わせを組み合わせテーブルTBLから選択する。例えば総量制限値が190の場合、CMYKの滴径は中中中大であるので、2色の総量が190以下となるCとM(C+M=165%)、CとY(C+Y=170%)、CとK(C+K=170%)、MとY(M+Y=175%)、MとK(M+K=185%)、YとK(Y+K=190%)の何れかを含む組み合わせからCMYKの滴径の組み合わせを選択する。ちなみに、色材総量制限値が180の場合、上記のようにY+K=190%で色材総量制限値を越えてしまうため選択できない。
【0040】
また、本実施形態では、インクの総量制限に関する情報として総量制限値を用いた場合について説明した。すなわち、本実施形態では、組み合わせテーブルTBLは、CMYKのインクの総量制限値と、当該総量制限値を満たすよう吐出可能なCMYK各色のインクの各々の滴径のうち少なくとも2以上のインクの滴径を揃えた組み合わせによる対応関係を予め定めたテーブルである場合について説明したが、インクの総量制限に関する情報として総量制限値に代えて印刷用途(例えばバーコード、テキスト、写真等)を用いて組み合わせテーブルTBLを定義してもよい。また、インクの総量制限に関する情報として総量制限値に代えて、総量制限値に対応したインクの総量(ピコリットル)を用いて組み合わせテーブルTBLを定義してもよい。また、例えば
図5に示すように、インクの総量をインク量条件としてN段階(Nは正数、
図5では一例としてN=10)に分けて、組み合わせテーブルTBLを定義してもよい。この場合、2次色以上で再現される色は制限されるものの、階調再現や線再現が劣化するのが抑えられる。すなわち、インクの吐出速度に違いによる線のずれ等が抑えられる。
【0041】
また、本実施形態では、
図2に示すように、最初のステップS100で入力機器特性データ及び出力機器特性データを取得する場合について説明したが、
図6に示すように、ステップS106で各色のインクの滴径の組み合わせを取得した後に入力機器特性データ及び出力機器特性データを取得するようにしてもよい。
【0042】
出力機器特性データの取得は、通常は例えば出力機器で出力した様々な滴径の濃度パッチ画像を測定することにより取得するが、この場合、各色のインクの滴径の組み合わせを設定した後で出力機器により出力して測定することにより、出力機器特性データを取得する。このように、インクの滴径の組み合わせを最適に設定した後で、出力機器特性データを取得することにより、インクシミュレーション精度(出力色を入力色と合わせるときの精度)が向上する。
【0043】
総量制限値を取得する前に濃度パッチ画像を出力して測定することにより出力機器特性データを取得した場合、例えば、インクシミュレーションに不要な滴径の濃度パッチ画像の測定をしてしまったり、逆に必要な滴径の濃度パッチ画像を測定しなかったりする場合がある。これに対して、上記のようにインクの滴径の組み合わせを最適に設定した後で出力機器特性データを取得することにより、インクの滴径の組み合わせに合わせた最適な濃度パッチ画像を出力して測定することが可能となる。
【0044】
なお、濃度パッチ画像の作成方法としては、例えばCMYKの滴径の組み合わせとして全て中滴に設定され、C,Mの中滴の最大適量値(大滴でベタ画像を出力したときの濃度100%に対する中滴でベタ画像を出力したときの濃度の割合)が90%、Y,Kの最大適量値が95%であった場合、元の濃度パッチ画像のC,Mのデータに対して0.9倍し、Y,Kのデータに対して0.95倍することにより、濃度パッチ画像を再計算する方法がある。なお、この場合、中滴、小滴の最大適量値は例えば予め測定した結果として予め記憶されているものとする。
【0045】
また、他の方法としては、各滴径の最大適量値に応じて色変換するルックアップテーブルを色変換部16に設けておき、設定された各色の滴径の組み合わせに応じて、入力されたCMYKの各色値を変換するようにしておいてもよい。例えば上記の例でCMYKの滴径の組み合わせとして全て中滴に設定され、C,Mの中滴の最大適量値が90%、Y,Kの最大適量値が95%であった場合、色変換部16において、上記のルックアップテーブルを用いて、入力されたC,Mの色値を0.9倍し、Y,Kを0.95倍する。また、設定された各色の滴径の最大適量値を出力機器16に出力し、出力機器16側で、各滴径の最大適量値に応じたスクリーンパターンを選択して濃度パッチ画像を出力するようにしてもよい。例えば上記の例でCMYKの滴径の組み合わせとして全て中滴に設定され、C,Mの中滴の最大適量値が90%、Y,Kの最大適量値が95%であった場合、出力機器16にこれらの最大適量値を出力し、出力機器16では、C,Mについては濃度が90%となるようなスクリーンパターンで濃度パッチ画像を出力し、Y,Kについては濃度が95%となるようなスクリーンパターンを選択して濃度パッチ画像を出力する。
【0046】
また、例えば
図7に示すように、ステップS108で算出した出力色域BのL*a*b空間におけるLC断面において最大彩度の色Cuspの明度L1がL軸上の最低明度L2よりも低く明度が逆転している場合には、このような明度の逆転が発生しない滴径の組み合わせ、すなわちL軸上の最低明度L2が最大彩度の色Cuspの明度L1以下となるような滴径の組み合わせを再設定するようにしてもよい。例えば、Kの小滴は使用しない組み合わせを設定する。また、Kで小滴を使用する場合は、CMYで大滴は使用せず、中滴を使用した組み合わせを設定する。
【0047】
また、本実施形態では、組み合わせテーブルTBLを装置内部に予め記憶した、ネットワークを介して外部機器から取得する場合について説明したが、所望の滴径の組み合わせでパッチ画像を印刷して測色し、この測色結果に基づいて組み合わせテーブルTBLを作成するようにしてもよい。
【0048】
なお、色処理装置10は、
図8に示すようなコンピュータ70を含む構成として実現される。
図14に示すコンピュータ70は、CPU(Central Processing Unit)70A、ROM(Read Only Memory)70B、RAM(Random Access Memory)70C、不揮発性メモリ70D、及び入出力インターフェース(I/O)70Eがバス70Fを介して各々接続された構成となっている。この場合、
図2に示した色域変換条件生成処理をコンピュータ70に実行させるプログラムを、例えば不揮発性メモリ70Dに書き込んでCPU70Aに実行させることにより、コンピュータ70が色処理装置10として機能する。また、プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体により提供するようにしてもよい。