特許第6011025号(P6011025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011025
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】印刷物
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/14 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B41M3/14
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-118679(P2012-118679)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-244640(P2013-244640A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 稔
(72)【発明者】
【氏名】余吾 嘉夫
【審査官】 外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−213042(JP,A)
【文献】 特開2004−025464(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/110370(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 3/14
B42D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に潜像を有する印刷部を設けてなる印刷物において、
潜像を有する印刷部が、万線により構成される複数の背景画素と万線により構成される複数の潜像画素からなり、
背景画素を形成する万線の方向と潜像画素を形成する万線の方向が同じであり、
背景画素を形成する万線のピッチと潜像画素を形成する万線のピッチがずれて形成されてなり、
背景画素を形成する万線の線幅と潜像画素を形成する万線の線幅が略同一であり、
かつ該背景画素及び潜像画素の万線方向が同じである画素と画素との間に、非連続部を有することを特徴とする印刷物。
【請求項2】
前記複数の背景画素が、それぞれ万線の方向が異なる複数の背景画素を有し、
前記複数の潜像画素が、それぞれ万線の方向が異なる複数の潜像画素を有し、
背景画素及び潜像画素の万線方向が同じである画素と画素との間に、非連続部を有することを特徴とする請求項1に記載の印刷物。
【請求項3】
前記背景画素及び潜像画素の大きさが0.01〜1mmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷物。
【請求項4】
前記非連続部が、画素と画素の間隔が0.03〜0.3mmの範囲内であることを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の印刷物。
【請求項5】
前記画素が四角形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の印刷物。
【請求項6】
前記非連続部が、空白部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の印刷物。
【請求項7】
前記非連続部が、地紋を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の印刷物。
【請求項8】
前記複数の背景画素又は複数の潜像画素が、大きさの異なる画素を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、万線フィルター等の顕像具を用いて顕像化が可能な潜像を有する印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、万線で形成される背景と、一部にピッチのずれた万線からなる潜像を印刷した印刷物が知られている(特許文献1等)。これは、目視では潜像が不可能であるが万線フィルターを用いた時に潜像部分が顕像化が可能なため、セキュリティデバイスとして用いられている。
これは、背景と潜像のピッチがずれているため、万線フィルターを重ねた時に、背景部の万線と万線フィルタが重なり、ずれた潜像部が太って強調されて見える、また潜像部の万線と万線フィルタが重なり、ずれた部分が白抜きとして潜像が認識される、また潜像部と万線フィルタのモアレ現象により潜像が認識される、などにより潜像を確認できる技術である。
また、万線として方向の異なる複数の万線を用いることで複数種の潜像を設ける技術についても知られている(特許文献1等)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−213042
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の万線潜像では、例えば図9に示すように背景部と潜像部が連続しているため、慣れた人や、ルーペなどで注意深く見ると、万線のピッチのずれた部分を認識でき、潜像と背景の境界を確認されることがある。そのため、潜像の有無が確認され、また状況によっては潜像の内容まで判る場合もある。
そのため、目視では潜像の有無または潜像の内容が確認できないような万線潜像印刷物とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、基材上に印刷部を設けてなる印刷物において、印刷部が、万線状の背景画素と万線状の潜像画素からなり、背景画素を形成する万線の方向と潜像画素を形成する万線の方向が同じであり、背景画素を形成する万線のピッチと潜像画素を形成する万線のピッチがずれて形成されてなり、かつ万線の方向が同じである背景画素又は潜像画素と背景画素又は潜像画素とが連続していない非連続部を有することを特徴とする印刷物とする。
【0006】
また、前記背景画素が、万線の方向が異なる複数の背景画素を有し、前記潜像画素が、万線の方向が異なる複数の潜像画素を有し、万線の方向が同じである背景画素又は潜像画素と背景画素又は潜像画素とが連続していない非連続部を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記背景画素及び潜像画素の大きさが0.01〜1mm2の範囲内であることを特徴とする。
【0008】
また、前記非連続部が0.03〜0.3mmの範囲内であることを有することを特徴とする。
【0009】
また、前記画素が四角形状であることを特徴とする。
【0010】
また、前記非連続部が、空白部を有することを特徴とする。
【0011】
また、前記非連続部が、地紋を有することを特徴とする。
【0012】
また、前記非連続部が、万線の方向が異なる背景画素又は万線の方向が異なる潜像画素を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、目視では潜像の有無または潜像の内容が確認できないような万線潜像印刷物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る印刷物の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る印刷物の一例を示す断面概略図である。
図3】本発明に係る顕像具の一例を示す概略図である。
図4】本発明に係る印刷物の構成の一例を示す説明図である。
図5】本発明に係る印刷物の構成の一例を示す説明図である。
図6】本発明に係る印刷物の一例を示す概略図である。
図7】本発明に係る印刷物の構成の一例を示す説明図である。
図8】本発明に係る印刷物の構成の一例を示す説明図である。
図9】従来の印刷物の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係る印刷物の一例を示す概略図である。そして図2は本発明に係る印刷物の一例を示す断面概略図である。図4図5は本発明に係る印刷物の背景画素、潜像画素の一例を示す説明図である。
本発明の印刷物1は、基材2と基材2に設けられた印刷部3により構成される。
印刷部3は、背景画素4と潜像画素6を有し、背景画素4と潜像画素6はそれぞれ、一定のピッチで線を形成してなるいわゆる万線により構成される。
【0016】
背景画素4を構成する万線5と潜像画素6を構成する万線7は、同一の方向、同一のピッチで形成され、ピッチをずらして形成される。万線5と万線7の角度は±1°未満、好ましくは0.1°未満、さらに好ましくは0.01°未満である。万線5と万線7のピッチは、顕像具を用いて潜像を顕像化できるようにずれていれば特に限定するものではないが、典型的には半ピッチずらしてなる。
なお、万線5の線幅と万線7の線幅も略同一であることが好ましい。具体的には、万線5、万線7の線幅は0.01〜1mm程度で構成され、万線5の線幅に対する万線7の線幅は95〜100%の範囲内、好ましくは99〜101%の範囲内、さらには99.9〜100.1%の範囲内であることが好ましい。
万線6のピッチは0.01〜2mm程度で構成される。
【0017】
本発明では、万線で構成される背景と潜像が画素として形成され、さらに背景画素4と潜像画素6が連続していない非連続部8を有することを特徴とする。非連続部があるため、背景の万線と潜像の万線の境界が認識しづらくなり、結果潜像の有無を確認し難くすることができる。
【0018】
背景画素、潜像画素の大きさは0.01〜5mmの範囲内であることが好ましい。これ以下であると小さすぎて万線が中に入らない。また、これ以上であると潜像模様の画素が粗すぎて使いづらい。
画素の形状は四角形状、多角形状、丸形状など何でも良い。中でも四角形状、三角形状、六角形状であると隙間が均等になるため好ましい。さらに四角形状であると、中に万線を入れやすくて好ましい。四角形状である場合、一辺が0.2〜2mmの範囲内であることが好ましい。
【0019】
また、潜像画素、背景画素は複数種設けることが出来る。具体的には、万線の方向(角度)が異なる複数の背景画素と、万線の方向が異なる複数の潜像画素を用いることができる。
この場合、万線の方向が同じである背景画素と潜像画素が連続していない非連続部を有する。
【0020】
非連続部8としては、基材が露出した空白部を用いることができる。また、予め基材に地紋を設け、地紋が露出した部分を非連続部として用いてもよい。さらに、位置合わせを行い、背景画素、潜像画素が形成されていない部分のみ地紋を設けてもよい。
また、万線の方向(確度)が異なる複数の潜像画素、背景画素を有する場合、万線の方向が同じである背景画素と潜像画素が連続していなければよいため、万線の方向が同じである背景画素と潜像画素の間に万線方向が異なる背景画素又は潜像画素を設けることが出来る。
非連続部が空白部又は地紋である場合は、非連続部すなわち画素と画素の間隔が0.03〜0.3mmの範囲内であることが好ましい。この範囲であれば、隣り合う背景画素と潜像画素の万線のピッチがずれていても目視状態で認識する事が困難である。
なお、背景画素と潜像画素の間に万線の方向が異なる画素を設ける場合は隙間なく設けてもよい。
【0021】
潜像画素、背景画素は複数種設けた場合の例として、図5のような構成をあげることができる。図5において、印刷部は、ある方向の万線から構成される背景画素4aと潜像画素6aと、背景画素4aと潜像画素6aとは万線方向の異なる背景画素4bと潜像画素6bを有する。
これらの画素は、背景画素4a又は潜像画素6aと背景画素4b又は潜像画素6bからなる画素群10として構成され、各画素群と画素群の間は非連続部として空白部または地紋を有する。画素群の中の画素は万線方向が異なる画素が隣あうことになる。
従って、ある方向の万線から構成される画素は、横方向において万線方向が同じ方向の画素は、間に万線方向の異なる画素と空白部または地紋を挟むことになる。
画素群は万線方向の異なる任意の数の画素で構成することが出来る。
【0022】
また、背景画素、潜像画素の大きさはランダムに変えることが出来る。例えば、ある画素を基準として、他の画素をランダムに70%〜130%程度、好ましくは90%〜130%程度の範囲内で変えることが出来る。このようにすることでより目視で潜像を分かりにくくすることが出来る。
例えば図7では、大きい画素12の中に小さい画素をランダムに散りばめた構成を例示している。
【0023】
また、本発明では、1の画素の中に方向の異なる複数の万線を設けることができる。例えば図では、1つの画素中に万線方向が90°異なる2種の万線を有する。このようにすることで、方向の異なる万線毎に別の画素をもちいるより、細かく解像度の高い潜像を設けることが出来る。しかし、反面見難くなる部分もあるため、線幅、ピッチ等に応じて1の画素に方向の異なる複数の万線を設けるか、方向の異なる万線毎に別の画素を用いるかを選択することができる。
【0024】
本発明に用いる基材2としては、主に紙基材を用いることができ、例えば、上質紙、普通紙などを用いることができる。また樹脂系材料などを用いてもよい。
【0025】
背景画素と潜像画素を含む印刷部3はインキを用いて印刷法により形成される。
印刷に用いるインキとしては通常の有色インキを用いることができる。なお、基材2の地色とは異なる色のインキを用いる。
印刷方法としてはオフセット、グラビア、スクリーン、凹版印刷などを用いることができる。
【0026】
本発明の印刷物は、顕像具を用いて潜像を顕像化することにより、目視では確認できない潜像を確認することができる。
顕像具としては、背景画素、潜像画素と線幅、ピッチ、万線方向の同じ万線からなるものを用いることができる。複数種の画素を有する場合は、1つの画素のと線幅、ピッチ、万線方向の同じ万線からなる顕像具を用いて、角度回すことによりそれぞれの潜像画素を顕像化させて潜像の確認することができる。
【実施例】
【0027】
<実施例1>
基材として上質紙を用い、黒色のオフセットインキを用いて、オフセット印刷法により、万線からなる背景画素と潜像画素を印刷した。画素の大きさは、0.5mm×0.5mmの四角形状で、画素と画素の間には非連続部として0.1mmの空白部を有するように形成した。万線の線幅は背景画素潜像画素共に0.1mmで、ピッチを0.2mmとし、背景画素と潜像画素は半ピッチずらした。
なお、図柄は図4のようにし、画素を縦6行、横5列で形成した。そして中の6つの画素をTの形状となるような潜像画素とした。
得られた印刷物を、目視でルーペを用いて観察したところ、潜像の有無は確認できなかったが、線幅0.1mm、ピッチ0.2mmの万線フィルターを重ねて観察したところ、潜像であるTの文字が確認できた。
【0028】
<実施例2>
基材として上質紙を用い、黒色のオフセットインキを用いて、オフセット印刷法により、万線からなる背景画素と潜像画素を印刷した。画素の大きさは、0.5mm×0.5mmの四角形状で、万線の方向の異なる画素(方向1と方向2)を2つセットにした画素群として、画素群と画素群の間には非連続部として0.1mmの空白部を有するように形成した。
万線の線幅は背景画素潜像画素共に0.1mm、ピッチ0.2mmとし、背景画素と潜像画素は半ピッチずらした。
なお、図柄は図5のようにし、方向の異なる画素を2つセットで縦6行、横5列で形成した。そして中の画素のうち、方向16つの画素をTの形状となるような潜像画素とし、
方向2の11の画素をEの形状となるような潜像画素とした。
得られた印刷物を、目視でルーペを用いて観察したところ、潜像の有無は確認できなかったが、線幅0.1mm、ピッチ0.2mmで方向1と同じ方向の万線フィルターを重ねて観察したところ、潜像であるTの文字が確認できた。また、この万線フィルターを方向2に合うように回転させて観察したところ、潜像であるEの文字が確認できた。
【0029】
<比較例1>
基材として上質紙を用い、黒色のオフセットインキを用いて、オフセット印刷法により、万線からなる背景と潜像を印刷した。万線の線幅は背景画素潜像画素共に0.1mmで、ピッチを0.2mmとし、背景画素と潜像画素は半ピッチずらした。
なお、図柄は図のようにし、全体のサイズを2.5mm×3mmとして、Tの形状となるような潜像を設けた。なお潜像のフォントサイズ1.5mm×2mmとした。
得られた印刷物を、目視でルーペを用いて観察したところ、背景と潜像の境界を確認でき、潜像があることが確認された。
【符号の説明】
【0030】
1・・・・印刷物
2・・・・基材
3・・・・印刷部
4・・・・背景画素
4a・・・背景画素
4b・・・背景画素
5・・・・背景画素を構成する万線
6・・・・潜像画素
6a・・・潜像画素
6b・・・潜像画素
7・・・・潜像画素を構成する万線
8・・・・非連続部
9・・・・地紋
10・・・画素群
11・・・顕像具
12・・・画素(大)
13・・・画素(小)
図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図9