(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011032
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】圧接端子
(51)【国際特許分類】
H01R 4/24 20060101AFI20161006BHJP
H01R 13/11 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
H01R4/24
H01R13/11 302A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-124639(P2012-124639)
(22)【出願日】2012年5月31日
(65)【公開番号】特開2013-251114(P2013-251114A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100103012
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 隆宣
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】的場 正人
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 隼祐
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−078164(JP,A)
【文献】
特開平09−232010(JP,A)
【文献】
実公昭50−003173(JP,Y1)
【文献】
特表平10−501094(JP,A)
【文献】
実公昭43−023629(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のバネ部の間に、直径の異なる電線を圧入保持可能なスリットを設けた圧接端子であって、
前記電線は、単線と、前記単線の外周を被覆する被覆層とを備え、
前記スリット内に圧入保持された前記電線の上端縁部より下方側に、前記電線の少なくとも片側に配置された前記バネ部の横断面の面積が、前記電線の上端縁部を横切る前記バネ部の横断面の面積よりも小さい領域を有し、
前記スリット内に圧入保持された前記直径の異なる電線の上端縁部が、前記スリットの開口から一定の位置に位置するときに、前記バネ部の内側面に設けた圧接部が前記単線に圧接して導通するように、前記単線の直径の大きさに応じ、前記単線が圧接される位置を横切る横断面の面積を異ならしめることを特徴とする圧接端子。
【請求項2】
前記スリットが、一端に前記開口を有する第1スリットと、前記第1スリットの他端から延在し、奥側に向かって幅広になる第2スリットとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の圧接端子。
【請求項3】
前記スリットに沿って延在する孔部を設け、前記孔部と前記スリットとの間に前記電線を圧接する前記圧接部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の圧接端子。
【請求項4】
前記バネ部の外縁から内方に向かって切欠かれた細首部を設け、前記細首部の上方に前記電線を圧接する前記圧接部を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の圧接端子。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の圧接端子を備えたことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、センサー等の中継接続において、電線などをU字形状の圧入用スリット内に圧入して接続する圧接端子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線を接続するコネクタに用いるため、異なる直径を有する複数の電線を圧接する種々の端子が提案されている。
このような端子として、例えば、特許文献1には、スリットが一定幅に形成された圧接端子を用いたコネクタが記載されている。しかし、この圧接端子では、細い直径の電線を圧接する場合には圧接力が不足し、接触信頼性が得られないという問題があった。他方、太い直径の電線を圧接する場合には圧接端子が塑性変形したり、圧接力が強くなりすぎて電線が切断するという問題があった。
【0003】
そこで、特許文献2では、電線圧入溝の側方に肉抜き部が開口された圧接端子金具が提案されている。しかし、この圧接端子金具では、左右両側壁の間に圧接部を設けているので圧接部が変形しにくく、電線圧入溝と肉抜き部との幅よりも大きな直径の電線を圧入できなかった。
【0004】
また、特許文献3には、幅が段階的に狭くなるように形成されたスロットを有する圧接端子が記載されている。しかし、この圧接端子では、スロットに直径の異なる電線を圧入するときに開口からの押し込み量が異なるため、押し込み量が一定のコネクタに用いる圧接端子には適用できないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−166653号公報
【特許文献2】特開2000−294307号公報
【特許文献3】特開2011−204399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、一定の押し込み量で異なる直径を有する複数種類の電線を所定の圧力で圧接、保持できる圧接端子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、
一対のバネ部の間に、
直径の異なる電線を圧入保持
可能なスリットを
設けた圧接端子
であって、
前記電線は、単線と、前記単線の外周を被覆する被覆層とを備え、
前記スリット内に圧入保持された前記電線の上端縁部より下方側に、
前記電線の少なくとも片側に配置された前記バネ部の横断面の面積が、前記
電線の上端縁部
を横切る前記バネ部の横断面の面積よりも小さい領域
を有し、
前記スリット内に圧入保持された前記直径の異なる電線の上端縁部が、前記スリットの開口から一定の位置に位置するときに、前記バネ部の内側面に設けた圧接部が前記単線に圧接して導通するように、前記単線の直径の大きさに応じ、前記単線が圧接される位置を横切る横断面の面積を異ならしめるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、導電体の上端縁部が常に同じ位置になるように導電体を圧入保持する圧接端子において、直径の異なる複数種類の導電体をバネ部だけで、またはバネ部とバネ部の横断面の面積を小さくした部分とで所望の保持力で圧接できる。
具体的には、標準よりも直径の小さい導電体を圧接端子に圧入した場合には、バネ部のみが弾性変形し、その反力で導電体を圧接するため、十分な圧接力を得ることができる。一方、直径が標準的な導電体および標準よりも直径の大きい導電体を圧接端子に圧入した場合には、バネ部に加えて横断面の面積を小さくした部分が弾性変形する。ただし、直径の大きい導電体を圧入した場合には、直径が標準的な導電体を圧入した場合に比べて横断面の面積を小さくした部分がより大きく弾性変形する。このため、横断面の面積を小さくした部分が弾性変形することで、バネ部の応力を低減でき、塑性変形を防止できる。
また、バネ部の応力を低減できることにより、圧入作業を繰り返した際の接触信頼性が確保できる。
更に、1種類の圧接端子で、直径の異なる複数種類の導電体を圧接でき、在庫管理も容易となる。
以上から、導電体の直径の違いによって押し込み量を変更したり、圧接力が異なる複数の圧接端子を準備する必要が無いので、導電体の直径に対応させてハウジングの形状を変更したり、導電体を押し込むための治具をそろえる必要が無い。
【0009】
本発明の他の実施形態において、
前記スリットが、一端に前記開口を有する第1スリットと、前記第1スリットの他端から延在し、奥側に向かって幅広になる第2スリットとを備えてもよい。
【0010】
上記構成により、直径の小さい導電体を第1スリットで圧接し、直径の大きい導電体を第2スリットで圧接することで、直径の異なる導電体を所望の保持力で圧接できる。また、圧接する導電体の直径によって、第1スリットおよび第2スリットの幅寸法を任意に設定することで、直径の大きい導電体を圧接する際に圧接力が過大になることを防止する。従って、導電体をスリットに挿入する際の押込力を小さくし、組立作業性を向上できる。
【0011】
本発明の異なる実施形態において、
前記スリットに沿って延在する孔部を設け、前記孔部と前記スリットとの間に前記
電線を圧接する
前記圧接部を形成してもよい。
これにより、圧接部が弾性変形しやすくなり、直径の大きい導電体を圧接端子に圧入した場合に導電体に負荷する過大な圧接力を低減できる。
【0012】
本発明の更に他の実施形態において、
前記バネ部の外縁から内方に向かって切欠かれた細首部を設け、前記細首部の上方に前記
電線を圧接する
前記圧接部を形成してもよい。
これにより、導電体を圧接したときに、バネ部に加えて細首部が弾性変形するので、直径の大きい導電体を圧接端子に圧入した場合に導電体に負荷する過大な圧接力を低減できる。
【0013】
本発明の更に異なる実施形態において、コネクタが前記圧接端子を備えてもよい。
これにより、1種類の圧接端子で、直径の異なる複数種類の導電体を圧接でき、在庫管理が容易となるコネクタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(A)は本願発明の第1実施形態に係る圧接端子を組み込んだプラグをソケットから分離した状態のコネクタを示す部分破断斜視図、(B)は(A)のソケット本体を下方から視た斜視図、(C)は(A)の圧接端子を上方から見た斜視図。
【
図2】
図1(A)のプラグとソケットとを接続した状態のコネクタを示す部分破断斜視図。
【
図3】(A)は本願発明の第1実施形態に係る圧接端子の斜視図、(B)は(A)の正面図。
【
図4】
図3の圧接端子に直径が標準よりも小さい電線を圧入する途中の正面図。
【
図5】
図4の圧接端子に直径が標準よりも小さい電線の圧入が完了した状態の正面図。
【
図6】
図3の圧接端子に直径が標準の電線の圧入を完了した状態の正面図。
【
図7】
図3の圧接端子に直径が標準よりも大きい電線の圧入を完了した状態の正面図。
【
図8】(A)は本願発明の第2実施形態に係る圧接端子の斜視図、(B)は(A)の正面図。
【
図9】
図8の圧接端子に直径が標準よりも小さい電線の圧入が完了した状態の正面図。
【
図10】
図8の圧接端子に直径が標準の電線の圧入を完了した状態の正面図。
【
図11】
図8の圧接端子に直径が標準よりも大きい電線の圧入を完了した状態の正面図。
【
図12】第1実施形態に係る圧接端子を組み込んだハウジング状のコネクタに電線を圧入する前の斜視図。
【
図13】(A)は
図12の圧接端子に直径の小さい電線を圧入した状態の斜視図、(B)は
図12の圧接端子に直径の大きい電線を圧入した状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る圧接端子の実施形態を
図1ないし
図13の添付図面に従って説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態は、
図1(A)から
図1(C)および
図2に示すように、プラグ11とソケット21とを連結して形成したコネクタ10に、本願発明の圧接端子31を適用した場合である。
【0016】
プラグ11は、円筒形のプラグ本体12と、プラグ本体12に係合し上方に向かって延在する円筒形のプラグ用ハウジング13と、プラグ本体12の下端側にケーブル(図示せず)を締結する締結部14とを備えている。プラグ本体12の内部には本発明に係る4つの圧接端子31がそれぞれ、正方形の一辺をなすように配置固定されており(
図1(C)参照)、前記ケーブルと電気的に接続されている。また、
図1(A)に示すように、プラグ用ハウジング13の外周には雄ねじ15が刻設されている。なお、
図1(C)において、説明の便宜のためプラグ用ハウジング13を省略している。
【0017】
ソケット21は、内側に設けられた円筒形のソケット本体22と、ソケット本体22の上側に固定された保持部23と、ソケット本体22の外周に回転可能に配設された円筒形の螺合部29とを備えている。ソケット本体22の下側には、ケーブル16を構成する電線(導電体)17を保持するケーブル保持体24が形成されている(
図1(B)参照)。ケーブル保持体24は円筒形であり、その内部では、ケーブル16が中心から外方に向かって4本の電線17が分岐、延在している。なお、
図1(B)において、説明の便宜上、保持部23と螺合部29とを省略している。ケーブル保持体24の周壁26には、電線17を上端部で係止して保持する保持溝27が形成されている。また、ケーブル保持体24の周壁26には、プラグ11とソケット21とを連結したときに圧接端子31を挿入するための挿入スリット28が、保持溝27に沿って鉛直方向に形成されている。更に、螺合部29の内周面に雌ねじ25が刻設され、プラグ本体12の雄ねじ15と螺合するようになっている。
【0018】
プラグ11とソケット21とを連結するため、ケーブル保持体24の挿入スリット28に圧接端子31を挿入すると共に、螺合部29の内側にプラグ用ハウジング13を嵌合する。そして、ソケット21の保持部23を保持し螺合部29を回転させて、雄ねじ15と雌ねじ25とを螺合することで、ケーブル保持体24が圧接端子31に向かって移動する。これにより、
図2に示すように、プラグ11とソケット21とが連結され、電線17が圧接端子31の後述する圧入用スリット41に圧接されて導通する。このとき、プラグ11とソケット21とを連結した状態で、電線17の直径に関わらず、電線17の上端縁部は圧入用スリット41の開口42から常に一定の距離L1だけ押し込まれている(
図5ないし
図7参照)。
【0019】
圧接端子31は、
図3(A)および
図3(B)に示すように、左右対称に形成された一対のバネ部32,32と、一対のバネ部32,32の間に形成され、かつ、開口42から電線17を圧入して保持する略U字形状の圧入用スリット41と、を備えている。
【0020】
バネ部32は、開口42から下方に向かって幅寸法が同一もしくは大きくなるように形成された上下方向に延在する板状の弾性体であり、電線17を圧接するための第1圧接部39を備える。また、バネ部32の上端からは、
図4に示すように、斜め外方に向かって剥離部34が延在している。剥離部34の内側面には、電線17の被覆層19を削除する削除用テーパ面33が形成されている。また、バネ部32には、圧入用スリット41に沿って孔部36が形成されている。この孔部36の上端は、後述する電線17の上端縁部より下側に形成され、電線17の上端縁部の位置におけるバネ部32の横断面の面積よりも、上記孔部36におけるバネ部32の横断面の面積の方が小さくなる領域が存在するように孔部36の形状が定められている。
【0021】
圧入用スリット41は、開口42から下方に向かって順に第1スリット43、第2スリット44および第3スリット45を有している。前記第1スリット43は上端に開口42が形成され、幅狭に幅寸法が一定に形成されている。前記第2スリット44は第1スリット43の下端から延在し、下方に向かって幅広になるように傾斜し、バネ部32の横断面の面積が小さくなっている。この第2スリット44と孔部36との間には、第2圧接部38が設けられている。第3スリット45は、第2スリット44の下端から下方に延在し、第1スリット43よりも幅寸法が大きいと共に、一定の幅寸法に形成されている。なお、第2スリット44と孔部36との間、もしくは第2スリット44および第3スリット45と孔部36との間には、第2圧接部38が設けられており、孔部36を挟んで第1圧接部39と第2圧接部38とで電線17を圧接可能としている。
【0022】
次に、圧入用スリット41への電線17の圧入動作について説明する。
【0023】
電線17(17a,17b,17c)は、導電性を有する単線18(18a,18b,18c)と、この単線18の外周を被覆する樹脂材からなる被覆層19とからなる。
ただし、電線17は前記構成に限定されず、複数本の撚り線からなる単線を用いてもよい。
【0024】
電線17は異なる種々の直径を有してもよく、まず、
図4に示すように、標準よりも直径の小さい電線17aを圧接端子31に圧入する場合について説明する。圧入用スリット41の上方から電線17aを圧入すると、まず、被覆層19が、削除用テーパ面33で削除されて単線18aが露出する。更に、電線17aを圧入用スリット41の下方に向けて圧入すると、単線18aが第1スリット43を外方に押し広げる方向に力を加えながら開口42から下方に導かれる。そして、
図5に示すように、圧入用スリット41内に圧入された電線17aは、その上端縁部が開口42から下方に距離L1だけ押し込まれた位置で保持される。このとき、単線18aは第1スリット43を介してバネ部32全体を外方に向けて押し広げる方向に力を加えると共に、バネ部32に備えられた第1圧接部39からの反力で圧接され導通する。
【0025】
同様に、
図6に示すように、直径が標準的な電線17bを圧接端子31に圧入すると、電線17bは、その上端縁部が開口42から下方に距離L1だけ押し込まれた位置で保持される。このとき、圧入用スリット41内に圧入された単線18bは第2スリット44を介して第1圧接部39と第2圧接部38とを外方に向けて押し広げる方向に力を加える。このため、単線18bは第1圧接部39と第2圧接部38とからの反力で圧接され導通する。
【0026】
同様に、
図7に示すように、標準よりも直径の大きい電線17cを圧接端子31に圧入すると、電線17cは、その上端縁部が開口42から下方に距離L1だけ押し込まれた位置で保持される。圧入用スリット41内に圧入された単線18cは、第2スリット44を介してバネ部32に備えられた第1圧接部39と第2圧接部38とを外方に向けて押し広げる方向に力を加える。このとき、孔部36を設けているので、直径が標準的な電線17bを圧入した場合と比べて、第2圧接部38はより一層、変形する。すなわち、第1圧接部39から受ける反力を緩和することができるため、直径の大きい電線17cを圧接端子31に圧入した場合に電線17cに負荷する過大な圧接力を低減でき、単線18cは第2圧接部38からの反力と、緩和された第1圧接部39からの反力とで圧接され導通する。
【0027】
以上のように、標準よりも直径の小さい電線17aを圧接端子31に圧入した場合には、バネ部32に備えられた第1圧接部39のみが変形し、第1圧接部39の反力で電線17aを圧接するため、十分な圧接力を得ることができる。また、直径が標準的な電線17bおよび標準よりも直径の大きい電線17cを圧接端子31に圧入した場合には、第1圧接部39に加えて第2圧接部38が変形する。更に、標準よりも直径の大きい電線17cを圧入した場合には、直径が標準的な電線17bを圧入した場合に比べて、第2圧接部38がより大きく変形する。このため、電線17cへの過大な圧接力を低減でき、圧接作業を繰り返した際の接触信頼性を確保できる。更に、第1圧接部39と第2圧接部38とが変形することで、第1圧接部39だけが大きく変形しすぎて、応力が集中することによる塑性変形を防止できる。従って、1種類の圧接端子31で直径の異なる複数種類の電線を圧接できるため、線径に対応させて圧接力の異なる圧接端子31を準備する必要がなくなり、在庫管理も容易となる。
【0028】
また、圧入用スリット41への電線17a,17b,17cの押し込み量L1が常に一定であるので、圧接する電線17a,17b,17cの直径によって圧接完了時の電線17a,17b,17cの位置が常に一定である。このため、第1圧接部39のみ、または第1圧接部39と第2圧接部38とを変形させるように第2圧接部38の変形量を任意に設定できる。
【0029】
更に、直径の小さい電線17aを第1スリット43で圧接する一方、直径の大きい電線17cを第2スリット44で圧接することで、直径の異なる電線17を所望の保持力で圧接できる。そして、圧接する電線17の直径によって、第1スリット43および第2スリット44の幅寸法を任意に設定してもよい。これにより、直径の大きい電線17cを圧接する際に圧接力が過大になることを防止し、電線17cを圧入用スリット41に挿入する際の押込力を小さくでき、組立作業性を向上できる。
【0030】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る圧接端子51は、
図8(A)および
図8(B)に示すように、左右対称に形成された一対のバネ部52,52と、一対のバネ部52,52の間に形成され、開口42から電線17を圧入して保持する略U字形状の圧入用スリット41と、を備えている。
【0031】
バネ部52は、圧入用スリット41の開口42から奥側端部に至るまで上下方向に延在する板状の弾性体である。バネ部52の略中央には、外縁が内方に向かって湾曲するように切欠かれた細首部54が設けられ、バネ部52の横断面積が小さくなっている。バネ部52の細首部54よりも上側には、所定の直径を有する電線17を圧入したときに細首部54から変形して外方に撓むことにより、電線17を圧接、保持する圧接部56が形成されている。その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
次に、圧接端子51への電線17の圧入動作について説明する。
【0033】
図9に示すように、標準よりも直径の小さい電線17aを圧入用スリット41に圧入すると、電線17aはその上端縁部が開口42から下方に距離L1だけ押し込まれた位置で保持される。このとき、単線18aは第1スリット43を介してバネ部52全体を外方に向けて押し広げる方向に力を加えると共に、バネ部52に備えられた圧接部56からの反力で圧接され導通する。
【0034】
同様に、
図10に示すように、直径が標準的な電線17bを圧接端子51に圧入すると、電線17bは、その上端縁部が開口42から下方に距離L1だけ押し込まれた位置で保持される。このとき、圧入用スリット41内に圧入された単線18bは第2スリット44を介してバネ部52と圧接部56とを外方に向けて押し広げる方向に力を加えることで、バネ部52と細首部54とが変形する。このため、単線18bはバネ部52に備えられた圧接部56と細首部54との反力で圧接され導通する。
【0035】
同様に、
図11に示すように、標準よりも直径の大きい電線17cを圧接端子51に圧入すると、単線18cは、その上端縁部が開口42から下方に距離L1だけ押し込まれた位置で保持される。このとき、圧入用スリット41内に圧入された単線18cは第2スリット44を介してバネ部52と圧接部56とを外方に向けて押し広げる方向に力を加えることで、バネ部52と細首部54とが変形する。なお、標準的な直径の電線17bを圧入した場合と比べて、細首部54が外方により大きく変形しているので、圧接部56はより大きく外方に移動している。このため、直径の大きい電線17cを圧接端子51に圧入した場合に電線17cに負荷される過大な圧接力を低減できる。また、単線18cはバネ部52に備えられた圧接部56と細首部54からの反力で圧接され導通する。
【0036】
なお、前記実施形態では圧接端子31,51をプラグ11とソケット21とからなるコネクタ10に適用したが、これに限定されない。例えば、
図12に示すように、圧接端子31をハウジング61からなるコネクタ60に適用してもよい。このコネクタ60は、凹部62を有する箱形状のハウジング61と、内部に電線17を保持する保持孔65を設けた電線保持部材66とを有している。本発明の複数の圧接端子31が、ハウジング61の底部に形成された固定溝63に並設されている。
【0037】
そして、
図13(A)に示すように、直径の小さい電線17aを圧接端子31に圧接する場合には、電線保持部材66をハウジング61の凹部62に圧入することにより、電線17aが圧接端子31に圧入すると共に、保持孔65の内周面の上端に保持される。
【0038】
同様に、
図13(B)に示すように、直径の大きい電線17cを圧接端子31に圧接する場合には、電線保持部材66をハウジング61の凹部62に圧入することにより、電線17cが圧接端子31に圧入すると共に、保持孔65の内周面の上端に保持される。従って、直径の小さい電線17aおよび直径の大きい電線17cのいずれを圧接端子31に圧入しても、圧接端子31の開口42から所定の距離だけ押し込まれて圧接、保持される。
このように、電線17の直径の違いによって押し込み量を変更したり、圧接力が異なる複数の圧接端子31を準備する必要が無いので、電線17の直径に対応させてハウジング61の形状を変更したり、電線17を押し込むための治具をそろえる必要が無い。
【産業上の利用可能性】
【0039】
1種類の圧接端子で、直径の異なる複数種類の電線を圧接できる限り、前記実施形態に限定されないのは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
10 コネクタ
17(17a,17b,17c) 電線(導電体)
31 圧接端子(第1実施形態)
32 バネ部
36 孔部
38 第2圧接部
41 圧入用スリット
42 開口
43 第1スリット
44 第2スリット
51 圧接端子(第2実施形態)
52 バネ部
54 細首部
56 圧接部
60 コネクタ