(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記印字用基材の表面には、後に選択的に非表示可能に、発払、コレクト、着払の配送サービス名が印刷されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシール付き配送伝票。
荷扱い指定シールが複数枚である場合に各シールが、2〜15mmの間隔を置くかまたは間隔を置かないで、平行隣接して設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか1の請求項記載のシール付き配送伝票。
配送伝票の印字用基材面が、縦横のハーフカット線により、配達票、貼付票、依頼主控え、届け先控えの4つの領域に分割されていて、荷扱い指定シールが、貼付票となる領域面下に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1の請求項記載のシール付き配送伝票。
【背景技術】
【0002】
複写式の多パート(part)方式の配送伝票に代わり、ノンインパクトプリンタにより、配達票、貼付票、依頼主控、届け先控等の各票を最表面の印字用基材に印字して使用する1パートタイプの配送伝票が用いられている。
1パートタイプ配送伝票は、印字用基材とタックシートが部分的に擬似接着した構成となっており、印字用基材とタックシートという観点から見れば2パートであり、タックシート自体がタック基材と剥離紙が積層されていることから考えれば3パートと言うこともできるが、ここでは、外観的に密着した一枚の枚葉状態である形態的な特徴から、当業者の呼称である「1パート」または「1pt」と言うことにする。
配送伝票の1パート化はEDI(電子データ交換)によって、1回の印字で全て処理できる利点があり、配送業者には伝票のコストダウン、EDIによる一括精算化、配送ドライバーには業務負荷軽減のメリットがある。また、荷主には手書き不要、汎用プリンタでの印字、投資せずに電子データ化が図れるために、従来の多パート複写伝票から、通信販売会社や百貨店等のギフト配送の大口荷主、中口荷主に展開され、さらに小口荷主、個人荷主までサービスが広まりつつある。
【0003】
従来の1パート配送伝票は、A5カット紙程度の大きさの用紙に、配達票、貼付票、ご依頼主控、お届け先控等の部分が、ハーフカット線により区画されたものが、それぞれ冷凍用、冷蔵用、常温用等の用途別に用意されていた。この種のものでは、多種類の配送伝票を荷主側で揃えておかなければならない問題があった。
単純に、伝票を共通化させ、当該伝票内に「冷蔵」、「冷凍」といった文字を印字すればよいように考えられるが、「冷蔵」、「冷凍」の文字を黒色の単色で印字した場合は見分け難く、毎日多量の荷物を扱う人間からすると、一目で容易に確認できる伝票と、よく見ないと確認できない伝票では、荷物の処理能力に影響することに加え、見誤りによりサービスレベル(配送品質)が低下する問題がある。
【0004】
1パート配送伝票の問題点として、冷凍、冷蔵等の配送指定荷扱いも配送情報プリント時に同時に印字するが、伝票面積の関係から、その表示を小さく印字しなければならない。そのため、表示が目立ち難く誤った配送荷扱いがされる場合があることである。
冷凍、冷蔵等の指定荷扱いがある場合は、配送伝票面以外にも明示のシール表示を荷物に付することが、荷物を伝票面以外からも確認可能であって好ましい。
しかし、そのようなシールを伝票とは別に備えるのは、常時携帯するか、一定箇所に定め置きしなければならない不便があるし、それらの場合には散逸し易い問題もある。
【0005】
また、配送サービスの種類として、配送費用の決済種別を示す、発払、コレクト、着払などの種類がある。大口荷主であれば、これらの専用配送伝票を作れる。しかし、小口や個人荷主では規模が小さく専用配送伝票を作ると、荷主及び伝票製造者の双方で複数配送伝票の用意、在庫管理、伝票単価のアップとコストが増大するという欠点がある。
1パート伝票の場合、単純に配送伝票を共通化させ、当該配送伝票内に発払、コレクト、着払などといった文字を印字すれば良いように思えるが、よく見ないと確認できないことは同じで、前記のように処理能力やサービスレベルが低下する問題がある。
【0006】
1パート方式の配送伝票は、配達票、貼付票、依頼主控、お届け先控、等の個別配送情報がデジタルデータ化され、これまでの物理的複写に代えて、最初にすべてのデータを最表面に印字すればよく、インパクトプリンタによる複写を必要としない利点がある。
従って、配送伝票への個別配送情報の印字には、比較的安価で騒音の少ないインクジェットプリンタの使用が多く、またレーザビームプリンタ、サーマルプリンタなども用いられている。
【0007】
本願に多少とも関連する先行文献として、特許文献1と特許文献2がある。
特許文献1は、ラベル基材と、タックシートが擬似接着構造及び/又は接着構造を介して、貼り合わされた1パートタイプの積層ラベルであって、前記剥離シートの裏面に印字して利用できるものを記載している。しかし、剥離紙を剥離した際に、通常は廃棄することになる剥離紙裏面に、出荷控え、デポ控え、売上票などを印刷して、二次使用可能にしているが、ラベル基材表面と剥離紙裏面の両面印刷を可能にする処理や両面印刷自体の手数がかかる問題がある。
特許文献2も1パートタイプの配送伝票に関し、配送サービスの種別である「冷蔵」、「冷凍」、「常温」といった文字を伝票表面に印字することと、隠蔽片部を剥離すると印字用基材に形成された鮮やかな色彩の「クール冷蔵」、「クール冷凍」などの配送サービス表示が見られることを記載している。しかし、この「クール冷蔵」、「クール冷凍」などの表示は伝票面に表示されているので、表示が小さく、配送荷物の伝票面方向からしか確認できず、配送荷扱い指定の種別区分や確認に手間がかかることに変わりない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態のシール付き配送伝票の平面図である。シール付き配送伝票10は、汎用プリンタで印字する前はほぼ白紙の状態であって、縦横に交差するハーフカット線h1、h2で区切られた4つの領域を一般に有している。ただし、4つの領域を有することには限定されず、2つまたは3つの領域にする場合もある。
図1の場合、配送伝票10の左側に縦のハーフカット線h3を有していて細い帯状の領域を形成している。この領域は必須の構成ではないが、設ける場合は、プリント(印字)時の給紙方向を示す表示印刷P1を注意的に印刷しておくことができる。この帯状の領域を加える場合は5つの領域になるが、印字後に除去されるので荷物には付されない。ハーフカット線h3は、横のハーフカット線h2と接するが交差しないようにされる。
お届け先や依頼主等の事項を印字前の配送伝票10は、
図1のように、殆ど白紙であるが、配送費用の決済方法を選択する、「発払」、「コレクト」、「着払」等のサービス種の表示印刷P2を、着色して目立つように設けておくことができる。該表示は後に不要部分を黒色ドット等の印字で抹消して、必要な表示だけを残すものである。
【0015】
図1において、右上の領域に鎖線で示した矩形状のハーフカット線h4は、冷凍シールS1、冷蔵シールS2が印字用基材11の背面にあることを示している。なお、以下では、2つのシールを、「冷凍冷蔵シールS」として簡略化して説明する場合もある。
また、本明細書では、「冷凍シール」「冷蔵シール」を例として記載しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、実際の荷扱い指定に応じて、「われもの注意シール」、「天地無用シール」、「配達日時指定シール」等の表示シールに適用できることは、当業者には自明のことである。
この荷扱い指定シールやハーフカット線h4は印字用基材11の背面に有るので表面からは明瞭には見えない。
【0016】
図2は、
図1のシール付き配送伝票のA−A線に沿う断面構造を示す図である。
本実施形態の配送伝票は、印字用基材11とタックシート20のタック基材21間が、荷扱い指定シール
面を除き、擬似接着部と強接着部により接着している。強接着部のタック基材21面には、必要により目止め層21mを設けることができる。
ただし、冷凍冷蔵シールS面は弱接着部14になっており、冷凍シールS1、冷蔵シールS2のハーフカット線h4の外周の幅2〜4mm部分は接着剤を用いない無接着部にされている。無接着部はシール面に多少かかっても良い。無接着部を設けるのは、シールを剥がし易くするためであるが、この無接着部はなくてもよい。
【0017】
タックシート20は、タック基材21と粘着剤層22、及び剥離紙23からなっている。粘着剤層22は、タック基材21と剥離紙23の間に全面に塗布されている。
なお、ハーフカット線h1、h2は、印字用基材11と擬似接着部12と強接着部13の接着剤層を切断し、タック基材21には及ばないようにされている。ハーフカット線h3は印字用基材11から粘着剤層22の間を切断している。
図2から明らかなように、冷凍冷蔵シールSは、タック基材21と粘着剤層22を貫通するハーフカット線h4により打ち抜きされている。
【0018】
図3は、印字用基材とタック基材間の接着強度の状態を示す図である。接着強度とは、具体的には剥離強度のことであり、実際に測定される数値については後述する。
図3において、網点状のハッチングを施した部分A1は、印字用基材11とタックシート20のタック基材21間が擬似接着している部分であり、配送伝票10面上の右上の領域と左側の細い帯状の領域を除く、3つの領域が擬似接着部12になっている。この部分は、配達票(左上)、ご依頼主控え(左下)、お届け先控(右下)であって、配送伝票の使用上、いわゆる剥離片となる部分である。剥離片は、剥離した後の元の接着面に粘着性を伴う物質が残らず、剥ぎ取った配達票等は、普通紙並みに扱いできるようになっている。
【0019】
図3において、斜め線ハッチングを施した部分A2は、印字用基材11とタックシートのタック基材21間が強接着している部分であり、擬似接着部12に代えて強接着部13に置換されている。配送伝票10面上の右上の領域(冷凍冷蔵シールS部を除く域)と左側の細い帯状の領域が強接着していることになる。右上の領域は貼付票となり印字用基材11に印字した事項が最後まで配送荷物に残らなければならないから、タックシート20と強接着させる必要があるからである。左側の細い帯状部分は、ハーフカット線h3が剥離紙23の上までを切断しているので、剥離紙23の剥離と同時に廃棄される。
図3において、斜め一点鎖線ハッチングを施した部分A3は、印字用基材11とタックシートのタック基材21が弱く接着している弱接着部14である。冷凍シールS1と冷蔵シールS2の表面部のみが弱接着していることになる。剥離後、タック基材21からなるシール表面には粘着性物が残らないようにする。
図3において、ハッチングを施していない部分A4は、接着剤が施されていない無接着部15である。冷凍シールS1と冷蔵シールS2を囲むハーフカット線h4の外周部分には接着剤が用いられない無接着部にされている。シールを剥離し易くするためである。
【0020】
擬似接着部12には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のオレフィン系の接着性の低い樹脂を使用することもできるが、酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル系の接着剤を使用することが好ましい。1種類の接着剤で塗布量を調整するか、スポット状塗布を行うか、または剥離剤や目止め剤を併用することで、接着強度を調整できるからである。
【0021】
図3に施したハッチングは、
図2の断面構造を示す図にも同様に施されている。
図2から明らかなように、冷凍冷蔵シールSのハーフカット線h4の外周域には接着剤が施されていないが、冷凍冷蔵シールSの面上は、弱接着部14にされている。弱接着部14とすることにより、剥離紙23を印字用基材11から剥離した際に、冷凍冷蔵シールSは、剥離紙23側に残って剥離されるからである。
また、このようにシール面上を、僅かな接着を生じる弱接着部14とする場合は、完全に接着剤のない無接着部とする場合に比較して、配送伝票に印字する際に印字用基材11と冷凍冷蔵シールS間のズレにより、印字不良を生じる危険を少なくできる。
【0022】
図4は、剥離紙面上での冷凍冷蔵シールを示す図である。貼付票部分のみを示しているが、配送伝票全体の剥離紙はより大きい面積になる。
冷凍冷蔵シールSは、貼付票面下に設けることに限定されないが、貼付票は最後まで荷物に残るので、その下面のタック基材21が他の用途(宅配便の利用案内、問い合わせ先、連絡先等の表示印刷)に使われることがなく、シールの形成には適している。
冷凍冷蔵シールSは、貼付票等の下面のタック基材21面に、オフセット印刷等により印刷されている。冷凍冷蔵シールSの加工位置は、このように剥離することのない票部分が好ましいが、剥離片として使う他の区域を除外するものではない。2つのシールは、プリンタ搬送方向に対して直交方向に、平行して並べるようにするのが好ましい。プリンタ搬送中にしわが生じ印字かすれにならないようにするためである。
【0023】
タック基材21の冷凍冷蔵シールSの周囲には前記のようにハーフカット線h4が形成されているので、剥離紙23を剥離すると剥離紙23面上に冷凍冷蔵シールSが残って剥ぎ取られて現われる。貼付票部分での冷凍冷蔵シールSの位置は、貼付票の中央からやや下辺側が好ましい。シールが配送伝票の1辺に接するのは問題ないが、角を含む2辺に接する部分への加工は好ましくない。配送伝票が印字中に捲くれるからである。
図4の場合は、冷凍冷蔵シールSが貼付票の下辺側に形成されている例を示している。冷凍冷蔵シールSの各シールの大きさは、30〜40mm角程度の正方形か矩形状にし、角部を角丸にすることができる。あるいは円形であってもよい。
【0024】
冷凍冷蔵シールSは、
図4(A)のように、冷凍シールS1と冷蔵シールS2が、やや間隔(幅2〜15mm程度)を置いて形成されていても良く、
図4(B)のように、ハーフカット線h4のみで分離できるように形成されていても良い。
図4(B)では、冷凍シールS1が剥がされた状態を示している。
冷凍シールS1は、裏面の粘着剤層22により配送荷物に貼着される。1つの荷物に冷凍シールS1と冷蔵シールS2の双方を用いることはないし、通常便には使用しないので、使わない何れか一方または双方は廃棄されるか、貯め置いて他の用途に用いられる。
【0025】
次に、シール付き配送伝票の使用方法について説明する。
図5は、
図1のシール付き配送伝票に印字後の平面図である。
シール付き配送伝票10は、インクジェットプリンタ(以下、「IJP」とも記載する)、レーザビームプリンタ(以下、「LBP」とも記載する)等により、予め入力されたデジタルデータに基づき印字される。印字は配送伝票の最表面の印字用基材11にのみすればよいので、インパクトプリンタを用いる必要はない。
【0026】
図上、左上の領域は、配送荷物に貼付されて着荷の際、配達員が受領印欄11sに印を受けて回収する配達票11aである。下層のタック基材21とは擬似接着しているので剥離可能である。
右上の領域は、配送荷物に貼付される部分であって、前記冷凍冷蔵シールS部分とその周囲域を除いた部分がタック基材21に強接着している貼付票11bである。貼付票11bは粘着剤層22により配送荷物に貼着され、着荷後も配送荷物に残るのが原則である。
左下の領域は、ご依頼主控え11cであり、配送依頼主に控えとして渡され配送荷物には貼付されない。右下の領域は、お届け先控え11dであり、着荷後、受取人が剥離して保存する目的のものである。このように、左上と左右の下領域は、剥離する剥離片となるので、前記のように、タック基材21と容易に剥離できる擬似接着部12にされている。
ただし、配送伝票の全てがこの4票を備えるものとは限らず、ご依頼主控え11cやお届け先控え11dは省略される場合もある。
【0027】
各領域には、基本的に、お届け先の住所や氏名、郵便番号、電話番号、依頼主の住所や氏名、郵便番号、電話番号、品名、届け予定日、時間、配送荷扱い指定(冷蔵、冷凍、普通)、お問い合わせ伝票番号、受付日、バーコード、等が印字されるが、ご依頼主控え11cとお届け先控え11dは、ある程度省略印字される。
配送サービス種を選択する、「発払」、「コレクト」、「着払」の表示印刷P2は、予め印字用基材11に着色等で印刷されているが該当項目のみを残し、該当項目以外は黒ドット印字等して抹消するようにする。
図5の場合、「発払」を残して抹消されている。
【0028】
配送伝票を配送荷物に貼る際、剥離紙23を剥離すると、
図4で説明したように、冷凍冷蔵シールSが剥離紙23上に残って得られるので、冷凍シールS1か、冷蔵シールS2の何れかを剥がして配送荷物に貼着して使用することができる。貼着は伝票とは異なる位置の同一面でもよく、伝票を見る方向とは異なる(たとえば直交する)方向から見えるように貼り付けすることもできる。ただし、前記のように2種のシールを設けることに限られない。冷凍冷蔵シールSを抜き取った後の配送伝票10(ご依頼主控えを除く部分)は、配送荷物に貼着される。
ご依頼主控えやお届け先控えの裏面、あるいはそれらを剥離したタック基材21の表面には、宅配便の利用方法や連絡先、宣伝広告等の一般的事項をあらかじめ印刷しておいても良いものである。
【0029】
次にシール付き配送伝票の製造方法について説明する。
図6は、配送伝票の製造工程を説明するフローチャートである。
まず、タックシート20のタック基材21面に冷凍冷蔵シールSのパターンをオフセット印刷等で印刷する(S1)。配送荷物に貼って目立つように着色印刷するのが好ましい。
タック基材21と印字用基材11を強接着または擬似接着させる部分のタック基材21面には、目止め層21m(
図2参照)を印刷する(S2)。従って、印字用基材11と弱接着させる冷凍冷蔵シールS面には、目止め層21mは印刷しない。剥離片となる配達票、ご依頼主控え、お届け先控え部分は、擬似接着部12とする。
次いで、冷凍冷蔵シールSの周囲にハーフカット線h4を入れる(S3)。ハーフカット線h4は、剥離紙23を除きタック基材21と粘着剤層22を切断するようにする。
【0030】
別の工程で、印字用基材11の表面に、給紙方向の表示印刷P1と「発払」、「コレクト」、「着払」の表示印刷P2を行う(S4)。
印字用基材11の裏面であって強接着部以外の部分に剥離層を全面に印刷し(S5)、剥離層の面上と強接着部となる部分の印字用基材11の裏面に接着剤を塗布する(S6)。ただし、冷凍冷蔵シールSのハーフカット線h4の外周に沿う、2〜4mm幅部分に対しては、接着剤を塗布しない。
【0031】
通常、1種類の接着剤のみを使用する場合には、目止め層21mと剥離層の有無で接着力の強弱を調整するが、強弱2種類の接着剤を使用することもでき、弱接着部だけを剥離層の塗布量を多くする方法や、ドットパターンで接着剤を塗布する方法も採用できる。一般に、擬似接着構造M=剥離層+接着剤層+タック基材の目止め層とし、
A=接着剤層+タック基材の目止め層、B=剥離層+接着剤層、とした場合、接着力は、Aが強接着構造で、Bを弱接着構造、と考えることができる。Mは中間の強度である。
冷凍冷蔵シールSの面上は、前記のように剥離層の塗布量を多くする等して、弱接着部にすることが、本発明の特徴である。
一般に、擬似接着構造Mの接着強度のめやすは、JIS K−6854−1994で規定するT型剥離において、10〜100mN/25mm程度である。
強接着構造Aは、Mよりも大きく、剥離すれば紙剥けや材質破壊を生じる程度が好ましい。弱接着構造Bは、Mより小さく、かつ剥離紙23の剥離力よりも小さいことが必要となる。なお、剥離紙23の剥離力は、500mN/50mm以下のものが好ましい。
【0032】
その後、タック基材21と印字用基材11をウェットラミネート工程で貼り合わせした後(S7)、縦横のハーフカット線h1、h2をタック基材に至らないように入れ、ハーフカット線h3を粘着剤層22まで入れる(S8)。ハーフカット線を入れる工程と同時に、折り出しを行う(S9)。折り出しとは、貼り合わせた後に、加工を加えてロール状の基材をジグザグ状に折りたたみし、箱に詰めることである。
【0033】
〈材質に関する実施形態〉
本発明で使用する各種材料について説明する。
(1)印字用基材
印字用基材11としては、十分な強度とIJPによる印字適性および搬送適性を有するものであれば使用でき、例えば、インクジェット用紙、上質紙、クラフト紙、複写用紙、グラシン紙、レーヨン紙、コート紙、合成紙、樹脂フィルムによりラミネートされた紙等が好適に使用できる。延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等の樹脂フィルムの場合はインクジェット受容層を設ければよい。
LBPを使用する場合、NIP上質紙を使用するのが好ましい。上質系インクジェット用紙を使用する場合には、IJP、LBPの両方に対応できる伝票にすることができる。
(2)タック基材
タック基材21には、印字用基材11と同様の紙や樹脂フィルムが使用できる。本実施形態のシール付き配送伝票では、タック基材に冷凍冷蔵シールSを印刷するが、その他の絵柄や説明文を印刷することも多い。従って、一般印刷適性が必要となる。
(3)目止め剤
タック基材への接着剤の浸透を防止し、接着力を安定させるために、前記のように目止め層が設けられる。目止め剤としては、従来公知の塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体などの熱可塑性、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。必要に応じて添加剤を加え公知のコーティング法または印刷方法で塗布または印刷する。
【0034】
(4)接着剤
擬似接着部、強接着、弱接着部を形成する接着剤には、ウレタン系、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂及びこれらの混合物からなる樹脂を使用できる。擬似接着部、強接着、弱接着部を同一の接着剤を用いて、塗布量や塗布方式を変更して、あるいは
剥離層や目止め層を併用して形成することもでき、それぞれ異なる接着剤を用いても良い。
接着剤の塗布は、フレキソ法、グラビア法などの公知の印刷方法またはコーティング法で行うことができる。塗布厚みは、0.1〜20μm、好ましくは0.5〜10μmに塗布し、貼り合わせ前または後に必要に応じて乾燥させる。
タックシート20のタック基材21面と印字用基材11とを接着剤が乾燥していない状態で貼り合わせるウェットまたはセミウェットラミネート方式によって貼り合わせることが好ましいが、特に限定されない。
(5)剥離層形成剤
剥離層の形成には、オフセット印刷用の紫外線硬化型(UV型)インキにシリコーンオイルを添加したものや、シリコーンアクリレートを添加したものを使用する。通常の熱硬化型剥離インキを使用することもできる。
(6)粘着剤と剥離紙
粘着作用をする通常の粘着剤を粘着剤層22に広く使用できる。ただし、冷凍・冷蔵用途に供されるので、ある程度の耐寒性を有することが必要である。シリコーンゴム系粘着剤は耐寒性、耐熱性に優れることが知られている。
冷凍冷蔵シー
ルを分離し易くするためには剥離紙に重剥離セパレート紙を用いても良い。重剥離とは、粘着剤層から剥離するのに要する力が大きいことをいう。ただし、前記のように、本発明では、500mN/50mm以下のものが好ましい。
【実施例】
【0035】
剥離紙23とタック基材21を、耐寒性粘着剤を介して貼り合わせした重剥離タックシート20のタック基材21面に、オフセット印刷により、冷凍シールS1と冷蔵シールS2のパターンを、それぞれの1辺が30mmの正方形であるようにして、貼付票となる部分の下縁から15mmがシールの下辺になるように、平行に並べて着色印刷した。冷凍シールS1と冷蔵シールS2の間は、10mm離れるようにした。
【0036】
印字用基材11を強接着または擬似接着させる部分のタック基材21面に、オフセット印刷用の紫外線硬化型インキを用いて、目止め層21mを印刷した。従って、剥離片となる部分と貼付票の強接着部には目止め層21mを印刷したが、貼付票の冷凍シールS1と冷蔵シールS2面とその外周の幅3mmの範囲には、目止め層21mを印刷しなかった。
次いで、冷凍冷蔵シールSの周囲にハーフカット線h4を入れた。ハーフカット線h4は、剥離紙23を除きタック基材21と粘着剤層22を切断するようにした。シールの4隅は小さな角丸になるようにした。
【0037】
別の工程では、印字用基材11として、紙厚175μm(坪量165g/m
2程度)の上質系インクジェット用紙を使用して、表面に表示印刷P1,P2を行い、裏面の擬似接着部と弱接着部にオフセット印刷用の紫外線硬化型インキを用いて剥離層の印刷を行った。
【0038】
その後、印字用基材11の裏面の剥離層の面上と強接着部となる部分に、主成分がエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂系の接着剤を塗布しながら、タックシートのタック基材21とラミネートする加工を行った。この際の糊版は、各々のシールの周囲部分のみが、幅3mmの額縁状で糊抜きになるようにし、その他の部分は全面塗布されるようにした。
次いで、縦横のハーフカット線h1、h2をタック基材21に至らないように入れ、ハーフカット線h3を粘着剤層22まで入れた。ハーフカット線を入れる工程と同時に、折り出しを行ってシール付き配送伝票が完成した。
【0039】
完成したシール付き配送伝票の擬似接着部12の接着強度は、20〜100mN/25mmの範囲であり、荷扱い指定シールの表面と印字用基材間の弱接着部14は、10mN/25mm未満の接着強度であった。
完成したシール付き配送伝票は、A5カット紙サイズであり、IJPとLBPによる印字適性に優れ、冷凍冷蔵シールSが剥離紙23と共に容易に剥離し、便利に使用できるものであった。