【文献】
井上光平, 外1名,”バイラテラルボロノイ分割によるステンドグラス風画像の生成”,画像ラボ,日本,日本工業出版株式会社,2008年 2月 1日,第19巻, 第2号,p.40-44
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。図中の10は画像処理装置全体を示す。
図2は画像処理装置10に備えられたCPU11の機能構成を示すブロック図、
図3は画像処理装置10に備えられたRAM14のワークエリアの構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、画像処理装置10は、CPU11と、このCPU11にシステムバス12を介して接続されるROM13、RAM14、表示部15、入力部16、元画像取得部17を備える。
【0013】
CPU11は、ROM13から画像変換プログラム13aを含む各種プログラムを読み出し、RAM14上に展開して記憶させた上でそれらを順次実行する。
図2に示すように、このCPU11には、画像変換プログラム13aによって実現される機能として、画像分離部21、特徴形状決定部22、線画変換部20、画像変換部23、着色部24、フレーム画像作成部26、画像合成部27が備えられている。
【0014】
画像分離部21は、変換対象となる元画像から少なくとも主要な被写体画像を含む特定画像を分離する。より詳しくは、画像分離部21は、変換対象となる元画像から主要な被写体画像と当該被写体画像を除く背景画像を特定画像として分離する。
【0015】
特徴形状決定部22は、画像分離部21によって元画像から分離された特定画像(被写体画像と背景画像)の特徴形状を決定する。「特徴形状」とは、その画像に写されている物体の特徴的な形のことである。また、この特徴形状決定部22は、被写体画像または背景画像の特徴形状を決定できない場合に、予め用意された複数種類の特徴形状のパターンから任意の1つを選択する特徴形状選択部22aを有する。
【0016】
線画変換部20は、元画像を線画変換する。より詳しくは、線画変換部20は、画像分離部21によって元画像から分離された特定画像を線画変換する。この線画変換部20は、後述する画像変換部23と着色部24と共にステンドグラス変換部25を構成している。
【0017】
画像変換部23は、線画変換部20により線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成する。なお、ここで言う「幾何学的な形状」とは、方形、三角形、菱形、多角形、円形などの様々な形状のことである。また、この画像変換部23は、特定画像の特徴形状に基づいて線画の各線を加工処理する加工処理部23aを有する。
【0018】
着色部24は、画像変換部23によって形成された各分割画像内の領域を、それぞれ特定の色で着色する。詳しくは、被写体画像と背景画像に形成された各分割画像を当該分割画像部分の元画像の色に応じた透過色で着色する。このように、線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成し、これらの分割画像を透過色で着色するまでの処理のことを「ステンドグラス変換」と呼ぶ。
【0019】
フレーム画像作成部26は、特徴形状決定部22によって決定された特定画像の特徴形状に基づいて複数のフレーム素材からなるフレーム画像を作成する。また、このフレーム画像作成部26は、特定画像の特徴形状を決定できない場合に、予め用意された複数種類のフレーム素材から任意の1つを選択するフレーム素材選択部26aを有し、このフレーム素材選択部26aによって選択されたフレーム素材を予め設定されたフレームエリアに並べてフレーム画像を作成する。
【0020】
画像合成部27は、着色部24による着色後の特定画像とフレーム画像作成部26によって作成されたフレーム画像を合成して1枚のステンドグラス風の画像を作成する。また、この画像合成部27は、被写体画像を予め設定された倍率だけ拡大する画像拡大部27aを有し、この画像拡大部27aによって拡大された被写体画像を用いて、背景画像、被写体画像、フレーム画像の順で重ね合わせる。
【0021】
ROM13には、本発明を実現するための画像変換プログラム13aを含む各種制御プログラムが記憶されている。
【0022】
RAM14は、CPU11の動作に伴う各種データを記憶するためのワークエリアとして用いられる。
図3に示すように、このRAM14には、元画像エリア31、被写体画像エリア32、背景画像エリア33、特徴形状エリア34、フレーム画像エリア35、変換背景画像エリア36、変換被写体画像エリア37、合成画像エリア38、フレーム素材エリア39、背景画像サンプルエリア40、特徴形状サンプルエリア41が設けられている。
【0023】
元画像エリア31には、元画像取得部17によって取得された元画像が記憶される。被写体画像エリア32には、CPU11の画像分離部21によって元画像から分離された被写体画像が記憶される。背景画像エリア33には、CPU11の画像分離部21によって元画像から分離された背景画像が記憶される。
【0024】
特徴形状エリア34には、CPU11の特徴形状決定部22によって決定された被写体画像と背景画像のそれぞれの特徴形状が画像種毎に区別して記憶される。フレーム画像エリア35には、CPU11のフレーム画像作成部26によって作成されたフレーム画像が記憶される。
【0025】
変換背景画像エリア36には、ステンドグラス変換部25によって得られた変換後の背景画像が記憶される。変換被写体画像エリア37には、ステンドグラス変換部25によって得られた変換後の被写体画像が記憶される。合成画像エリア38には、画像合成部27によって作成された合成画像が記憶される。
【0026】
フレーム素材エリア39には、フレーム画像を構成するための複数種類のフレーム素材が記憶されている。具体的には、丸、三角、四角などの様々な形状を有する小片のパターンがフレーム素材として記憶されている。
【0027】
背景画像サンプルエリア40には、複数種類の背景画像のサンプルが記憶されている。この背景画像のサンプルは、元画像から背景画像を抽出できない場合や背景画像をステンドグラス変換できない場合に使用される。また、特徴形状サンプルエリア41には、複数種類の特徴形状のサンプルが記憶されている。この特徴形状のサンプルは、画像の特徴形状を判別できない場合に使用される。
【0028】
図1に戻って、表示部15は、例えばLED(light emitting diode)などで構成され、画像などの各種データの表示を行う。入力部16は、例えばキーボート、スイッチ、マウス、タブレットなどで構成され、ユーザによる各種データの入力や指示操作のために用いられる。
【0029】
元画像取得部17は、変換対象となる元画像として取得する部分である。この元画像の取得方法としては、例えばデジタルカメラで撮影された画像を直接取り込む方法の他、記録メディアから画像を読み出す方法、あるいは、通信ネットワークを介して外部から画像を取り込む方法などがある。
【0030】
次に、本実施形態における画像処理装置10の動作について、(a)全体の流れ、(b)特徴形状決定処理、(c)ステンドグラス変換処理、(d)合成処理に分けて詳しく説明する。
【0031】
(a)全体の流れ
図4は画像処理装置10の処理動作を示すフローチャートであり、任意の画像を用いてステンドグラス風の画像を作成するための処理の流れが示されている。なお、このフローチャートに示される処理は、コンピュータであるCPU11がROM13に記憶された画像変換プログラム13aを読み込むことにより実行される。
【0032】
入力部16の操作により画像処理装置10のステンドグラス機能が起動されると、CPU11は、RAM14の内容をクリアするなどのイニシャライズを実行した後(ステップS101)、元画像取得部17を通じて変換対象となる元画像を取得してRAM14の元画像エリア31に格納する(ステップS102)。
【0033】
変換対象となる元画像が得られると、CPU11は画像分離部21を起動して、元画像エリア31に格納された元画像を被写体画像と背景画像とに分離する(ステップS103)。
【0034】
なお、被写体画像と背景画像の分離方法としては、例えば元画像の中心部分に存在する物体を主要な被写体画像として判断し、その物体の輪郭を追跡として切り出す方法などがある。また、ユーザが被写体画像に当たる部分を所定の操作により明示的に指示することでも良い。画像分離部21によって分離された被写体画像と背景画像は、特定画像として、それぞれRAM14の被写体画像エリア32と背景画像エリア33に格納される。
【0035】
次に、CPU11は特徴形状決定部22を起動して、被写体画像エリア32に格納された被写体画像と背景画像エリア33に格納された背景画像の特徴形状をそれぞれに決定する(ステップS104)。特徴形状決定部22によって決定された被写体画像と背景画像の特徴形状は、それぞれにRAM14の特徴形状エリア34に画像種毎に区別して記憶される。なお、この特徴形状を決定する処理については、後に
図5を参照して説明する。
【0036】
また、CPU11はステンドグラス変換部25(線画変換部20と画像変換部23と着色部24)を起動して、被写体画像エリア32に格納された被写体画像と背景画像エリア33に格納された背景画像を線画変換し、その線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成すると共に、これらの分割画像内の領域を透過色で着色する(ステップS105)。
【0037】
上述したように、線画変換から分割画像の形成、透過色での着色までの処理のことを「ステンドグラス変換」と呼ぶ。ステンドグラス変換部25によって変換された背景画像と被写体画像は、RAM14の変換背景画像エリア36、変換被写体画像エリア37にそれぞれ記憶される。なお、このステンドグラス変換については、後に
図6を参照して説明する。
【0038】
また、CPU11はフレーム画像作成部26を起動して、被写体画像を含む画像全体の周囲を囲むフレーム画像を作成する(ステップS106)。フレーム画像作成部26によって作成されたフレーム画像は、RAM14のフレーム画像エリア35に記憶される。なお、このフレーム画像を作成する処理については、後に
図7を参照して説明する。
【0039】
このようにして、変換後の背景画像と被写体画像、フレーム画像が得られると、CPU11は画像合成部27を起動し、これらの画像を所定の順で合成することにより、その合成画像を1枚のステンドグラス風の画像として作成する(ステップS107)。この画像合成部27によって作成された合成画像(ステンドグラス風の画像)は、RAM14の合成画像エリア38に記憶される。なお、この合成画像を作成する処理については、後に
図8を参照して説明する。
【0040】
(b)特徴形状決定処理
図5は画像処理装置10の特徴形状決定処理の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、CPU11に備えられた特徴形状決定部22によって
図4のステップS104で実行される。
【0041】
まず、特徴形状決定部22は、元画像から特定画像として分離された被写体画像をRAM14の被写体画像エリア32から読み出し、その被写体画像の特徴形状を判別する(ステップS201)。これは、被写体画像の輪郭を追跡することで行う。輪郭を追跡できなかった場合、あるいは、輪郭を追跡できても、その形状を特定できなかった場合には判別不可となる。
【0042】
特徴形状を判別できなかった場合には(ステップS202のYES)、特徴形状決定部22は、特徴形状選択部22aを通じてRAM14の特徴形状サンプルエリア41の中からランダムに特徴形状のパターンの1つを選択する(ステップS203)。特徴形状決定部22は、この特徴形状サンプルエリア41から選択した特徴形状を当該被写体画像の特徴形状としてRAM14の特徴形状エリア34に記憶する(ステップS204)。
【0043】
特徴形状を判別できた場合には(ステップS202のNO)、特徴形状決定部22は、当該被写体画像の特徴形状としてRAM14の特徴形状エリア34に記憶する(ステップS204)。
【0044】
背景画像についても同様である。
すなわち、特徴形状決定部22は、元画像から特定画像として分離された背景画像をRAM14の背景画像エリア33から読み出し、その背景画像の特徴形状を輪郭追跡により判別する(ステップS205)。
【0045】
特徴形状を判別できなかった場合には(ステップS206のYES)、特徴形状決定部22は、特徴形状選択部22aを通じてRAM14の特徴形状サンプルエリア41からランダムに特徴形状のパターンの1つを選択し(ステップS207)、これを当該背景画像の特徴形状としてRAM14の特徴形状エリア34に記憶する(ステップS208)。
【0046】
特徴形状を判別できた場合には(ステップS206のNO)、特徴形状決定部22は、当該背景画像の特徴形状としてRAM14の特徴形状エリア34に記憶する(ステップS208)。
【0047】
このように、被写体画像と背景画像のそれぞれの特徴形状を判別して、RAM14の特徴形状エリア34に記憶しておく。後述するように、この特徴形状はステンドグラスの小片に相当する分割画像を形成するときに参照される。また、被写体画像の特徴形状はステンドグラスのフレームを作成するときに参照される。
【0048】
また、被写体や背景の構図によっては特徴形状を判別できない場合があるが、その場合には特徴形状サンプルエリア41から任意の特徴形状を選択することで対応できる。
【0049】
(c)ステンドグラス変換処理
図6は画像処理装置10のステンドグラス変換処理の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、CPU11に備えられたステンドグラス変換部25によって
図4のステップS105で実行される。
【0050】
ステンドグラス変換部25は、線画変換部20と画像変換部23と着色部24とで構成される。線画変換部20は、元画像から分離された被写体画像をRAM14の被写体画像エリア32から読み出し、その被写体画像を線画変換する(ステップS301)。「線画変換」とは、元画像を白黒の輪郭線だけで表した線画に変換する手法である(
図15参照)。なお、この線画変換の手法について
は公知であるため、ここではその詳しい説明は省略するものとする。
【0051】
画像変換部23は、この線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成する(ステップS302)。この分割画像は、ステンドグラスを構成する各小片に相当するものであり、線画の各線のそれぞれを閉曲線になるように補正することで形成される(
図16参照)。その際、画像変換部23は、加工処理部23aを通じて線画の各線を被写体画像の特徴形状に応じて加工処理する(ステップS303)。
【0052】
例えば、被写体画像の特徴形状が丸の形であった場合には、丸みを帯びた分割画像となるように線画の各線を外側に若干湾曲させて円弧でつなぎ、直線的な形状が多い場合には直線でつなぐ。このような加工処理により、被写体の形状に近い小片を組み合わせたステンドグラスを作成することができる。
【0053】
このようにして、被写体画像における線画の各線を用いてステンドグラスの小片に相当する複数の分割画像が形成されると、続いて着色部24が起動される。着色部24は、画像変換部23によって形成された各分割画像(閉曲線エリア)の領域内を透過色で均等に着色する(ステップS304)。
【0054】
この場合、分割画像部分の元画像の色に応じた透過色を特定色として定め、分割画像の領域内を着色するものとする。例えば、分割画像部分に対応した元画像の色が赤色であった場合には、赤色に対応した透過色で着色する。このように、元画像の色に応じた透過色で着色することで、元画像の色調を大きく変えることなく、ステンドグラスを作成できる。各分割画像に対する透過色の着色が施された被写体画像は、ステンドグラス変換された被写体画像としてRAM14の変換被写体画像エリア37に記憶される。
【0056】
すなわち、画像変換部23は、元画像から分離された背景画像をRAM14の背景画像エリア33から読み出し、その背景画像を線画変換した後(ステップS305)、この線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成する(ステップS306)。その際、画像変換部23は、加工処理部23aを通じて線画の各線を背景画像の特徴形状に応じて加工処理する(ステップS307)。
【0057】
続いて、着色部24は、画像変換部23によって形成された各分割画像(閉曲線エリア)の領域内を分割画像部分の元画像の色に応じた透過色で均等に着色する(ステップS308)。各分割画像に対する透過色の着色が施された背景画像は、ステンドグラス変換された背景画像としてRAM14の変換背景画像エリア36に記憶される。
【0058】
(c)フレーム作成処理
図7は画像処理装置10のフレーム作成処理の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、CPU11に備えられたフレーム画像作成部26によって
図4のステップS106で実行される。
【0059】
まず、フレーム画像作成部26は、被写体画像から特徴形状を決定できたか否かを判断する(ステップS401)。これは、RAM14の特徴形状エリア34に被写体画像の特徴形状が記憶されているか否かをチェックすることで行う。
【0060】
特徴形状を決定できた場合、つまり、特徴形状エリア34に被写体画像の特徴形状が記憶されている場合(ステップS401のYES)、フレーム画像作成部26は、その特徴形状と一致するフレーム素材をRAM14のフレーム素材エリア39から取り出す(ステップS402)。
【0061】
例えば、被写体画像の特徴形状が丸であった場合には、フレーム素材エリア39から丸の形状を有するフレーム素材を取り出すことになる。フレーム画像作成部26は、このフレーム素材を予め画像の外周に設定されたフレーム作成エリアに並べてフレーム画像を作成する(ステップS404)。
【0062】
一方、特徴形状を決定できなかった場合、つまり、特徴形状エリア34に被写体画像の特徴形状が記憶されていない場合には(ステップS401のNO)、フレーム画像作成部26は、フレーム素材選択部26aを通じてRAM14のフレーム素材エリア39からランダムに1枚のフレーム素材を選択して取り出し(ステップS403)、これをフレーム作成エリアに並べてフレーム画像を作成する(ステップS404)。このようにして作成されたフレーム画像は、RAM14のフレーム画像エリア35に記憶される。
【0063】
このように、被写体画像から特徴形状を決定できている場合には、その特徴形状と一致したフレーム素材を用いることで、当該被写体画像に適したフレーム画像を作成することができる。また、被写体画像から特徴形状を
決定できない場合であっても、フレーム素材エリア39から任意のフレーム素材を選択することで、フレーム画像を作成することができる。
【0064】
(d)合成処理
図8は画像処理装置10の合成処理の動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、CPU11に備えられた画像合成部27によって
図4のステップS107で実行される。
【0065】
まず、画像合成部27は、RAM14の変換被写体画像エリア37から変換後の被写体画像を読み出し、画像拡大部27aを通じて当該被写体画像のサイズを110%〜120%の倍率で拡大しておく(ステップS501)。
【0066】
すなわち、1枚の元画像から被写体画像と背景画像とを分離してステンドグラス変換するため、変換後に重ね合わせたときに画像間に隙間が生じる可能性がある。このような画像間の隙間をなくすために、被写体画像のサイズを若干拡大しておく。また、主要画像である被写体画像を拡大しておくことで、被写体中心のステンドグラスが得られるといった効果もある。
【0067】
続いて、画像合成部27は、RAM14の変換背景画像エリア36から変換後の背景画像を読み出すと共にフレーム画像エリア35からフレーム画像を読み出し、これらの画像と上記拡大された変換後の被写体画像と合わせて1つの合成画像を作成する(ステップS502)。
【0068】
この場合、変換後の背景画像、変換後の被写体画像、フレーム画像の順で重ね合わせる。つまり、変換後の背景画像を最下層に置き、その背景画像の上に拡大された変換後の被写体画像を重ね、最後にフレーム画像を重ねる。このような順で各画像を重ね合わせることで、隙間のない合成画像を1枚のステンドグラス風の画像として得ることができる。
【0069】
このようにして作成されたステンドグラス風の画像はRAM14の合成画像エリア38に記憶され、表示部15にて確認することができ、また、必要に応じて図示せぬプリンタを通じて適宜印刷して窓などに貼ることができる。
【0070】
次に、具体例を挙げて説明する。
(具体例1)
図9はネコを撮影した画像の一例を示す図、
図10はその撮影画像を元画像としてステンドグラス変換して得られた画像の一例を示す図である。
【0071】
この例では、ネコが主要な被写体であり、点線51で示すように、そのネコの顔や目が丸い等の形状認識から被写体画像の特徴形状として「丸」が決定される。なお、背景画像の特徴形状は判別不可である。ステンドグラス変換では、被写体画像の特徴形状が反映される。その結果、
図10に示すように、被写体画像をやや丸みを帯びた複数の小片52で表したステンドグラス風の画像が得られる。また、フレーム画像にも被写体画像の特徴形状が反映され、丸形状のフレーム素材53が使われる。
【0072】
(具体例2)
図11は山を撮影した画像の一例を示す図、
図12はその撮影画像を元画像としてステンドグラス変換して得られた画像の一例を示す図である。
【0073】
この例では、山が主要な被写体であり、点線61で示すように、その山の形である三角が被写体画像の特徴形状として決定される。なお、背景画像の特徴形状は判別不可である。ステンドグラス変換では、被写体画像の特徴形状が反映される。その結果、
図12に示すように、被写体画像を三角形の小片62で表したステンドグラス風の画像が得られる。また、フレーム画像にも被写体画像の特徴形状が反映され、三角形のフレーム素材63が使われる。
【0074】
(具体例3)
図13は別のネコを撮影した画像の一例を示す図、
図12はその撮影画像を元画像としてステンドグラス変換して得られた画像の一例を示す図である。
【0075】
この例では、ネコが主要な被写体であり、その被写体画像71をダイナミックに切り出してステンドグラス変換している。なお、被写体画像71や背景画像72の特徴形状は判別不可であったとする。ステンドグラス変換では、
図14に示すように、被写体画像71を小片で細かく分割した変換画像7
3が得られる。
【0076】
背景画像72は変換できなかったため、予め用意された背景画像のサンプル74が用いられている。なお、この例では、飾りフレームが無しの場合を示している。
【0077】
ここで、上記具体例3について、ステンドグラス変換の手順について説明する。
【0078】
まず、元画像を被写体画像71と背景画像72とに分離し、それぞれに線画変換する。
図15は線画変換結果であり、図中の81が被写体画像71に対応した線画、82が背景画像72に対応した線画を示している。
【0079】
次に、
図16に示すように、被写体画像71に関し、線画81を構成する各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像83を形成する。これらの分割画像83がステンドグラスを構成する複数の小片に相当し、それぞれに元画像である被写体画像71の色に対応した透過色で着色することでステンドグラス風の画像が得られる。
【0080】
なお、例えば24色のカラーパレットなどを使って、例えばaの部分
84は青の透過色、bの部分
85は赤の透過色、cの部分
86は緑の透過色…といったように、ユーザが任意の色を指定することも可能である。
【0081】
背景画像72に関しても同様である。ただし、この例では、背景画像72に対応した線画82が細かすぎて、ステンドグラス変換が困難と判断されている。このような場合、
図17に示すような背景画像のサンプル74を用いて合成処理が行われ、最終的に
図14のようなステンドグラス風の画像が作成される。
【0082】
以上のように、元画像を被写体画像と背景画像に分け、それぞれにステンドグラス変換し、その変換後の被写体画像と背景画像と、別途作成されるフレーム画像とを合成することで、1枚のステンドグラス風の画像が作成される。この場合、変換対象となる元画像としては、被写体が判別可能に写っている物であれば、どのような画像であっても良い。したがって、ユーザがお気に入りの写真などを用いてステンドグラス風の画像を作成でき、窓に貼るなどして利用することができる。
【0083】
なお、ステンドグラス変換において、朝日や夕日等を透過する条件で配色を考慮するようにしても良い。このようにすれば、バックライトなどを用いて時間により朝日や夕日を再現した場合にステンドグラスとしての趣をより強く出すことができる。
【0084】
また、東西南北のどの配置で画像を飾るのかを変換パラメータとして予め入力しておくことにより、画像の配置に応じて配色
を変えるようにしても良い。
【0085】
また、本発明の画像処理装置は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯型の端末装置、デジタルカメラなど、画像データを扱う電子機器のすべてに適用される。
【0086】
要するに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0087】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0088】
[1]
元画像を線画変換する線画変換手段と、
この線画変換手段により線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成する画像変換手段と、
この画像変換手段によって形成された上記各分割画像内の領域を、それぞれ特定の色で着色する着色手段と、
を具備したことを特徴とする画像処理装置。
【0089】
[2]
上記元画像から少なくとも主要な被写体画像を含む特定画像を分離する画像分離手段をさらに有し、
上記線画変換手段は、上記元画像から分離された特定画像を線画変換することを特徴とする[1]記載の画像処理装置。
【0090】
[3]
上記画像分離手段は、変換対象となる元画像から主要な被写体画像と、当該被写体画像を除く背景画像を特定画像として分離することを特徴とする[2]記載の画像処理装置。
【0091】
[4]
上記着色手段は、
上記画像変換手段によって形成された上記各分割画像を当該分割画像部分の上記元画像の色に応じた色で着色することを特徴とする請求項[1]記載の画像処理装置。
【0092】
[5]
上記画像分離手段によって上記元画像から分離された上記特定画像の特徴形状を決定する特徴形状決定手段をさらに有し、
上記画像変換手段は、
上記特定画像の特徴形状に基づいて上記線画の各線を加工処理する加工処理手段を有することを特徴とする[2]記載の画像処理装置。
【0093】
[6]
上記特徴形状決定手段は、
上記特定画像の特徴形状を決定できない場合に、予め用意された複数種類の特徴形状のパターンから任意の1つを選択する特徴形状選択手段を有することを特徴とする[5]記載の画像処理装置。
【0094】
[7]
上記画像分離手段は、上記特定画像として、元画像から上記被写体画像と背景画像とを分離し、
上記着色手段による着色後の上記被写体画像と上記背景画像とを合成する画像合成手段を、さらに有することを特徴とする[2]記載の画像処理装置。
【0095】
[8]
上記画像合成手段は、
上記被写体画像を予め設定された倍率だけ拡大する画像拡大手段を有し、
上記背景画像、上記画像拡大手段によって拡大された上記被写体画像の順で重ね合わせることを特徴とする[7]記載の画像処理装置。
【0096】
[9]
上記特徴形状決定手段によって決定された上記特定画像の特徴形状に基づいて複数のフレーム素材からなるフレーム画像を作成するフレーム画像作成手段をさらに有することを特徴とする[5]記載の画像処理装置。
【0097】
[10]
上記着色手段による着色後の上記特定画像と上記フレーム画像作成手段によって作成された上記フレーム画像を合成する画像合成手段を、さらに有することを特徴とする[9]記載の画像処理装置。
【0098】
[11]
上記フレーム画像作成手段は、
上記特定画像の特徴形状を決定できない場合に、予め用意された複数種類のフレーム素材から任意の1つを選択するフレーム素材選択手段を有し、
このフレーム素材選択手段によって選択されたフレーム素材を予め設定されたフレームエリアに並べてフレーム画像を作成することを特徴とする[9]記載の画像処理装置。
【0099】
[12]
変換対象となる元画像の画調を変換する画調変換方法において、
元画像を線画変換する線画変換ステップと、
この線画変換ステップにより線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成する画像変換ステップと、
この画像変換ステップによって形成された上記各分割画像内の領域を、それぞれ特定の色で着色する着色ステップと、
を有することを特徴とする画調変換方法。
【0100】
[13]
変換対象となる元画像を取得し、その元画像の画調を変換する機能を備えたコンピュータによって実行されるプログラムであって、
上記コンピュータに、
元画像を線画変換する線画変換ステップと、
この線画変換ステップにより線画変換によって得られた線画の各線をつないで幾何学的な形状を有する複数の分割画像を形成する画像変換ステップと、
この画像変換ステップによって形成された上記各分割画像内の領域を、それぞれ特定の色で着色する着色ステップと、
を実行させることを特徴とするコンピュータ読み取り可能なプログラム。