特許第6011105号(P6011105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011105ホイール荷重算出方法、この算出方法を有する車両走行制御装置、およびこの制御装置を有する車両用走行装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011105
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】ホイール荷重算出方法、この算出方法を有する車両走行制御装置、およびこの制御装置を有する車両用走行装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/20 20060101AFI20161006BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20161006BHJP
   B62D 6/00 20060101ALN20161006BHJP
   B60K 7/00 20060101ALN20161006BHJP
【FI】
   G01L5/20
   G01L5/00 H
   !B62D6/00
   !B60K7/00
【請求項の数】10
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-165251(P2012-165251)
(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公開番号】特開2014-25767(P2014-25767A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年6月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】河内 達磨
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−119204(JP,A)
【文献】 特開平04−330608(JP,A)
【文献】 特開2005−207953(JP,A)
【文献】 特開2008−126733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00, 5/20
G01G 19/02
B60K 7/00
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インホイールモータにより駆動されるホイールに作用する垂直荷重を作用垂直荷重と規定し、前記インホイールモータに供給される電流の大きさを示すモータ供給電流、前記インホイールモータのトルク定数、車両が走行する路面の摩擦係数を示す路面摩擦係数、および前記ホイールの半径を示す回転半径に基づいて、前記作用垂直荷重を算出し、
車上重量物が存在していない状態において前記ホイールに作用する垂直荷重を初期垂直荷重と規定し、加速度に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を動的垂直荷重と規定し、車上重量物の重量に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を付加垂直荷重と規定し、前記作用垂直荷重、前記動的垂直荷重、および前記初期垂直荷重に基づいて前記付加垂直荷重を算出する
ホイール荷重算出方法。
【請求項2】
インホイールモータにより駆動されるホイールに作用する垂直荷重を作用垂直荷重と規定し、前記インホイールモータに供給される電流の大きさを示すモータ供給電流、前記インホイールモータのトルク定数、車両が走行する路面の摩擦係数を示す路面摩擦係数、および前記ホイールの半径を示す回転半径に基づいて、前記作用垂直荷重を算出し、
前記車両は、車両挙動制御装置を有し、
前記車両挙動制御装置は、車両モデル記憶部を有し、
前記車両モデル記憶部は、車両モデルを記憶し、
前記車両モデルは、前記ホイールに作用する垂直荷重の設定値を示す垂直荷重設定値を有し、
前記垂直荷重設定値を前記作用垂直荷重により更新する
ホイール荷重算出方法。
【請求項3】
インホイールモータにより駆動されるホイールに作用する垂直荷重を作用垂直荷重と規定し、前記インホイールモータに供給される電流の大きさを示すモータ供給電流、前記インホイールモータのトルク定数、前記インホイールモータの回転を減速して前記ホイールに伝達する減速機の減速比、車両が走行する路面の摩擦係数を示す路面摩擦係数、および前記ホイールの半径を示す回転半径に基づいて、前記作用垂直荷重を算出する
ホイール荷重算出方法。
【請求項4】
前記ホイール荷重算出方法は、
前記モータ供給電流の演算値を示す供給電流演算値(eIS)と、
前記トルク定数の演算値を示すトルク定数演算値(eK)、または前記トルク定数の設定値を示すトルク定数設定値(eK)と、
前記減速比の演算値を示す減速比演算値(eN)、または前記減速比の設定値を示す減速比設定値(eN)と、
前記路面摩擦係数の演算値を示す摩擦係数演算値(eμ)、または前記路面摩擦係数の設定値を示す摩擦係数設定値(eμ)と、
前記回転半径の演算値を示す回転半径演算値(eR)、または前記回転半径の設定値を示す回転半径設定値(eR)と、
下記計算式と
に基づいて、前記作用垂直荷重の演算値を示す作用荷重演算値(eWW)を算出する

eWW = (eK×eIS×eN)/(eμ×eR)

請求項3に記載のホイール荷重算出方法。
【請求項5】
前記ホイール荷重算出方法は、車上重量物が存在していない状態において前記ホイールに作用する垂直荷重を初期垂直荷重と規定し、加速度に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を動的垂直荷重と規定し、車上重量物の重量に基づいて前記ホイールに作用する
垂直荷重を付加垂直荷重と規定し、前記作用垂直荷重、前記動的垂直荷重、および前記初期垂直荷重に基づいて前記付加垂直荷重を算出する
請求項3または4に記載のホイール荷重算出方法。
【請求項6】
前記ホイール荷重算出方法は、前記付加垂直荷重に基づいて乗員の乗車類型を判定する
請求項5に記載のホイール荷重算出方法。
【請求項7】
前記車両は、
前記ホイールとして、右フロントホイール、左フロントホイール、右リアホイール、および左リアホイールを有し、
前記ホイール荷重算出方法は、
前記初期垂直荷重として、前記右フロントホイールの初期垂直荷重を示す右前初期垂直荷重、前記左フロントホイールの初期垂直荷重を示す左前初期垂直荷重、前記右リアホイールの初期垂直荷重を示す右後初期垂直荷重、および前記左リアホイールの初期垂直荷重を示す左後初期垂直荷重を記憶し、
前記右フロントホイールの作用垂直荷重を示す右前作用垂直荷重、前記左フロントホイールの作用垂直荷重を示す左前作用垂直荷重、前記右リアホイールの作用垂直荷重を示す右後作用垂直荷重、および前記左リアホイールの作用垂直荷重を示す左後作用垂直荷重を算出し、
前記右フロントホイールの動的垂直荷重を示す右前動的垂直荷重、前記左フロントホイールの動的垂直荷重を示す左前動的垂直荷重、前記右リアホイールの動的垂直荷重を示す右後動的垂直荷重、および前記左リアホイールの動的垂直荷重を示す左後動的垂直荷重を算出し、
前記右前作用垂直荷重、前記右前動的垂直荷重、および前記右前初期垂直荷重に基づいて、前記右フロントホイールの付加垂直荷重を示す右前付加垂直荷重を算出し、
前記左前作用垂直荷重、前記左前動的垂直荷重、および前記左前初期垂直荷重に基づいて、前記左フロントホイールの付加垂直荷重を示す左前付加垂直荷重を算出し、
前記右後作用垂直荷重、前記右後動的垂直荷重、および前記右後初期垂直荷重に基づいて、前記右リアホイールの付加垂直荷重を示す右後付加垂直荷重を算出し、
前記左後作用垂直荷重、前記左後動的垂直荷重、および前記左後初期垂直荷重に基づいて、前記左リアホイールの付加垂直荷重を示す左後付加垂直荷重を算出し、
複数の乗車類型と、前記右前付加垂直荷重、前記左前付加垂直荷重、前記右後付加垂直荷重、および前記左後付加垂直荷重との関係を示す対応類型情報に基づいて、前記乗員の乗車類型を判定する
請求項6に記載のホイール荷重算出方法。
【請求項8】
前記車両は、車両挙動制御装置を有し、
前記車両挙動制御装置は、車両モデル記憶部を有し、
前記車両モデル記憶部は、車両モデルを記憶し、
前記車両モデルは、前記ホイールに作用する垂直荷重の設定値を示す垂直荷重設定値を有し、
前記ホイール荷重算出方法は、前記垂直荷重設定値を前記作用垂直荷重により更新する
請求項3〜7のいずれか一項に記載のホイール荷重算出方法。
【請求項9】
作用垂直荷重を算出する作用荷重演算部を有する車両走行制御装置であって、
前記作用荷重演算部は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のホイール荷重算出方法を用いて前記作用垂直荷重を算出する
車両走行制御装置。
【請求項10】
インホイールモータと、
ホイールと、
請求項9に記載の車両走行制御装置と
を有する車両用走行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールに作用する垂直荷重を算出するホイール荷重算出方法、およびこの荷重算出方法を有する車両走行制御装置、およびこの制御装置を有する車両用走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両走行制御装置は、ホイールに作用する垂直荷重を測定する荷重センサを有する。特許文献1は、荷重センサを有する車両走行制御装置の一例を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−111246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の車両走行制御装置は、荷重センサを使用することができない状況のとき、ホイールに作用する垂直荷重を算出することができない。なお、荷重センサを使用することができない状況としては、例えば荷重センサに異常が発生した場合、および車両走行制御装置の入力部に荷重センサが接続されていない場合などが挙げられる。
【0005】
本発明は、以上の背景を踏まえて創作されたものであり、荷重センサの出力を用いることなく、ホイールに作用する垂直荷重を算出することを可能にするホイール荷重算出方法を提供することを目的とする。また、本発明は、この算出方法を有する車両走行制御装置、およびこの制御装置を有する車両用走行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
・第1の手段は、請求項1に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「インホイールモータにより駆動されるホイールに作用する垂直荷重を作用垂直荷重と規定し、前記インホイールモータに供給される電流の大きさを示すモータ供給電流、前記インホイールモータのトルク定数、車両が走行する路面の摩擦係数を示す路面摩擦係数、および前記ホイールの半径を示す回転半径に基づいて、前記作用垂直荷重を算出し、車上重量物が存在していない状態において前記ホイールに作用する垂直荷重を初期垂直荷重と規定し、加速度に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を動的垂直荷重と規定し、車上重量物の重量に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を付加垂直荷重と規定し、前記作用垂直荷重、前記動的垂直荷重、および前記初期垂直荷重に基づいて前記付加垂直荷重を算出するホイール荷重算出方法」を含む。
【0007】
インホイールモータを有し、かつインホイールモータの回転を減速する減速機を有していない車両においては、ホイールのトルク反力およびモータトルクが以下に説明する関係を有する。
【0008】
ホイールのトルク反力は、ホイールと路面との間の摩擦に基づいてホイールに作用するトルクの反力を示す。ホイールのトルク反力は、作用垂直荷重、路面摩擦係数、および回転半径と相関を有する。このため、ホイールのトルク反力を「TW」、作用垂直荷重を「WW」、路面摩擦係数を「μ」、および回転半径を「R」と規定したとき、ホイールのトルク反力は、以下の(式A)により記述することができる。
【0009】

TW = WW×μ×R …(式A)

モータトルクは、インホイールモータがホイールに伝達するトルクであって、トルク反力が作用するホイールを任意の回転速度で回転させるトルクを示す。モータトルクは、モータ供給電流およびトルク定数と相関を有する。このため、モータトルクを「TM」、トルク定数を「K」、およびモータ供給電流を「IS」と規定したとき、モータトルクは、以下の(式B)により記述することができる。
【0010】

TM = K×IS …(式B)

上記車両においては、ホイールのトルク反力およびモータトルクが実質的に同じ大きさを有する。このため、(式A)および(式B)から計算式「WW×μ×R=K×IS」が導き出される。このため、モータ供給電流(IS)、トルク定数(K)、路面摩擦係数(μ)、および回転半径(R)に基づいて作用垂直荷重(WW)を算出することができる。このため、第1の手段のホイール荷重算出方法によれば、荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重を算出することができる。
初期垂直荷重は、車両の構造と相関を有する。動的垂直荷重は、車両の加速度と相関を有する。作用垂直荷重は、車上重量物の重量に基づく垂直荷重の変化、および車両の加速度に基づく動的垂直荷重の変化が反映された値を示す。このため、既知の値としての初期垂直荷重、動的垂直荷重、および作用垂直荷重に基づいて、付加垂直荷重を算出することができる。なお、車上重量物は、車両の乗員および車両に搭載される物品の少なくとも一方を含む。
【0011】
・第2の手段は、請求項2に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「インホイールモータにより駆動されるホイールに作用する垂直荷重を作用垂直荷重と規定し、前記インホイールモータに供給される電流の大きさを示すモータ供給電流、前記インホイールモータのトルク定数、車両が走行する路面の摩擦係数を示す路面摩擦係数、および前記ホイールの半径を示す回転半径に基づいて、前記作用垂直荷重を算出し、前記車両は、車両挙動制御装置を有し、前記車両挙動制御装置は、車両モデル記憶部を有し、前記車両モデル記憶部は、車両モデルを記憶し、前記車両モデルは、前記ホイールに作用する垂直荷重の設定値を示す垂直荷重設定値を有し、前記垂直荷重設定値を前記作用垂直荷重により更新する」を含む。
【0012】
第2の手段によれば、第1の手段と同様に荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重を算出可能であり、第8の手段と同様に車両挙動制御における制御量が過度に大きくなることを抑制できる。
【0013】
・第3の手段は、請求項3に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「インホイールモータにより駆動されるホイールに作用する垂直荷重を作用垂直荷重と規定し、前記インホイールモータに供給される電流の大きさを示すモータ供給電流、前記インホイールモータのトルク定数、前記インホイールモータの回転を減速して前記ホイールに伝達する減速機の減速比、車両が走行する路面の摩擦係数を示す路面摩擦係数、および前記ホイールの半径を示す回転半径に基づいて、前記作用垂直荷重を算出するホイール荷重算出方法」を含む。
【0014】
インホイールモータを有し、かつインホイールモータの回転を減速する減速機を有する車両においては、ホイールのトルク反力およびモータトルクが以下に説明する関係を有する。なお、ホイールのトルク反力は、上記(式A)により記述される。
【0015】
モータトルクは、インホイールモータがホイールに伝達するトルクであって、トルク反力が作用するホイールを任意の回転速度で回転させるトルクを示す。モータトルクは、モータ供給電流、トルク定数、および減速機の減速比と相関を有する。このため、モータトルクを「TM」、トルク定数を「K」、モータ供給電流を「IS」、および減速機の減速比を「N」と規定したとき、モータトルクは、以下の(式C)により記述することができる。
【0016】

TM = K×IS×N …(式C)

上記車両においては、ホイールのトルク反力およびモータトルクが実質的に同じ大きさを有する。このため、(式A)および(式C)から計算式「WW×μ×R=K×IS×N」が導き出される。このため、モータ供給電流(IS)、トルク定数(K)、減速比(N)、路面摩擦係数(μ)、および回転半径(R)に基づいて作用垂直荷重(WW)を算出することができる。このため、第3の手段のホイール荷重算出方法によれば、荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重を算出することができる。
【0017】
・第4の手段は、請求項4に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「前記ホイール荷重算出方法は、前記モータ供給電流の演算値を示す供給電流演算値(eIS)と、前記トルク定数の演算値を示すトルク定数演算値(eK)、または前記トルク定数の設定値を示すトルク定数設定値(eK)と、前記減速比の演算値を示す減速比演算値(eN)、または前記減速比の設定値を示す減速比設定値(eN)と、前記路面摩擦係数の演算値を示す摩擦係数演算値(eμ)、または前記路面摩擦係数の設定値を示す摩擦係数設定値(eμ)と、前記回転半径の演算値を示す回転半径演算値(eR)、または前記回転半径の設定値を示す回転半径設定値(eR)と、計算式「eWW=(eK×eIS×eN)/(eμ×eR)」とに基づいて、前記作用垂直荷重の演算値を示す作用荷重演算値(eWW)を算出する請求項3に記載のホイール荷重算出方法」を含む。
【0018】
第3の手段のホイール荷重算出方法は、供給電流演算値等と作用荷重演算値との関係を規定したマップに基づいて作用荷重演算値を算出する構成を含む。このホイール荷重算出方法に基づく演算処理を設計するとき、マップにおける供給電流演算値等と作用荷重演算値との関係を適合するための作業が必要になる。一方、第4の手段のホイール荷重算出方法は、上記計算式に基づいて作用荷重演算値を算出する。このため、このホイール荷重算出方法に基づく演算処理を設計するとき、上記関係を適合するための作業を省略することができる。このため、ホイール荷重算出方法に基づく演算処理の設計にかかる負荷が軽減される。
【0019】
・第5の手段は、請求項5に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「前記ホイール荷重算出方法は、車上重量物が存在していない状態において前記ホイールに作用する垂直荷重を初期垂直荷重と規定し、加速度に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を動的垂直荷重と規定し、車上重量物の重量に基づいて前記ホイールに作用する垂直荷重を付加垂直荷重と規定し、前記作用垂直荷重、前記動的垂直荷重、および前記初期垂直荷重に基づいて前記付加垂直荷重を算出する請求項3または4に記載のホイール荷重算出方法」を含む。
【0020】
初期垂直荷重は、車両の構造と相関を有する。動的垂直荷重は、車両の加速度と相関を有する。作用垂直荷重は、車上重量物の重量に基づく垂直荷重の変化、および車両の加速度に基づく動的垂直荷重の変化が反映された値を示す。このため、既知の値としての初期垂直荷重、動的垂直荷重、および作用垂直荷重に基づいて、付加垂直荷重を算出することができる。なお、車上重量物は、車両の乗員および車両に搭載される物品の少なくとも一方を含む。
【0021】
・第6の手段は、請求項6に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「前記ホイール荷重算出方法は、前記付加垂直荷重に基づいて乗員の乗車類型を判定する請求項5に記載のホイール荷重算出方法」を含む。
【0022】
車両においては、人が搭乗することにより作用垂直荷重が増加する。このため、乗員が存在するときの付加垂直荷重は、少なくとも乗員の重量に基づいて増加した垂直荷重が反映された値を示す。このため、付加垂直荷重に基づいて乗員の乗車類型を判定することができる。第6の手段は、この点を踏まえて、付加垂直荷重に基づいて乗員の乗車類型を判定する。このため、シートセンサを有していない車両において乗員の乗車類型を把握することが可能になる。なお、乗員の乗車類型は、乗員の乗車位置に応じて分類される複数の類型を含む。
【0023】
・第7の手段は、請求項7に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「前記車両は、前記ホイールとして、右フロントホイール、左フロントホイール、右リアホイール、および左リアホイールを有し、前記ホイール荷重算出方法は、前記初期垂直荷重として、前記右フロントホイールの初期垂直荷重を示す右前初期垂直荷重、前記左フロントホイールの初期垂直荷重を示す左前初期垂直荷重、前記右リアホイールの初期垂直荷重を示す右後初期垂直荷重、および前記左リアホイールの初期垂直荷重を示す左後初期垂直荷重を記憶し、前記右フロントホイールの作用垂直荷重を示す右前作用垂直荷重、前記左フロントホイールの作用垂直荷重を示す左前作用垂直荷重、前記右リアホイールの作用垂直荷重を示す右後作用垂直荷重、および前記左リアホイールの作用垂直荷重を示す左後作用垂直荷重を算出し、前記右フロントホイールの動的垂直荷重を示す右前動的垂直荷重、前記左フロントホイールの動的垂直荷重を示す左前動的垂直荷重、前記右リアホイールの動的垂直荷重を示す右後動的垂直荷重、および前記左リアホイールの動的垂直荷重を示す左後動的垂直荷重を算出し、前記右前作用垂直荷重、前記右前動的垂直荷重、および前記右前初期垂直荷重に基づいて、前記右フロントホイールの付加垂直荷重を示す右前付加垂直荷重を算出し、前記左前作用垂直荷重、前記左前動的垂直荷重、および前記左前初期垂直荷重に基づいて、前記左フロントホイールの付加垂直荷重を示す左前付加垂直荷重を算出し、前記右後作用垂直荷重、前記右後動的垂直荷重、および前記右後初期垂直荷重に基づいて、前記右リアホイールの付加垂直荷重を示す右後付加垂直荷重を算出し、前記左後作用垂直荷重、前記左後動的垂直荷重、および前記左後初期垂直荷重に基づいて、前記左リアホイールの付加垂直荷重を示す左後付加垂直荷重を算出し、複数の乗車類型と、前記右前付加垂直荷重、前記左前付加垂直荷重、前記右後付加垂直荷重、および前記左後付加垂直荷重との関係を示す対応類型情報に基づいて、前記乗員の乗車類型を判定する請求項6に記載のホイール荷重算出方法」を含む。
【0024】
・第8の手段は、請求項8に記載のホイール荷重算出方法すなわち、「前記車両は、車両挙動制御装置を有し、前記車両挙動制御装置は、車両モデル記憶部を有し、前記車両モデル記憶部は、車両モデルを記憶し、前記車両モデルは、前記ホイールに作用する垂直荷重の設定値を示す垂直荷重設定値を有し、前記ホイール荷重算出方法は、前記垂直荷重設定値を前記作用垂直荷重により更新する請求項3〜7のいずれか一項に記載のホイール荷重算出方法」を含む。
【0025】
車両の走行中における作用垂直荷重は、車上重量物および加速度等の影響を受けて変化する。このため、車両の走行中においては、車両モデルの垂直荷重設定値が実際の作用垂直荷重とは異なる値を示すことがある。そして、車両挙動制御においては、垂直荷重設定値と実際の作用垂直荷重との差が大きくなるにつれて、車両挙動制御の制御パラメータが目標値から乖離しやすくなる。このため、制御パラメータを目標値に近づけるために算出される制御量が大きくなる。第8の手段は、この点を踏まえて、作用垂直荷重により車両モデルの垂直荷重設定値を更新する。このため、垂直荷重設定値が更新されないと仮定した構成と比較して、垂直荷重設定値と実際の作用垂直荷重との差が小さくなる。このため、車両挙動制御における制御量が過度に大きくなることが抑制される。
【0026】
・第9の手段は、請求項9に記載の車両走行制御装置、すなわち「作用垂直荷重を算出する作用荷重演算部を有する車両走行制御装置であって、前記作用荷重演算部は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のホイール荷重算出方法を用いて前記作用垂直荷重を算出する車両走行制御装置」を含む。
【0027】
・第10の手段は、請求項10に記載の車両用走行装置、すなわち「インホイールモータと、ホイールと、請求項9に記載の車両走行制御装置とを有する車両用走行装置」を含む。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、荷重センサの出力を用いることなく、ホイールに作用する垂直荷重を算出することを可能にするホイール荷重算出方法、この算出方法を有する車両走行制御装置、およびこの制御装置を有する車両用走行装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態の車両走行制御装置に関する図であり、同装置を備える車両の構成を示す構成図。
図2】第1実施形態の車両走行制御装置における制御系の構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態の車両走行制御装置における統括制御ユニットの構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態の車両走行制御装置に記憶されるグラフであり、前後加速度演算値と前後動的荷重演算値との関係を示すグラフ。
図5】第1実施形態の車両走行制御装置に記憶されるグラフであり、左右加速度演算値と左右動的荷重演算値との関係を示すグラフ。
図6】第1実施形態の車両走行制御装置に記憶される乗車類型であり、(a)は第11乗車類型、(b)は第12乗車類型、(c)は第13乗車類型、(d)は第14乗車類型、(e)は第15乗車類型、(f)は第16乗車類型、(g)は第17乗車類型、および(h)は第18乗車類型を示すモデル図。
図7】第1実施形態の車両走行制御装置に記憶される乗車類型であり、(a)は第21乗車類型、(b)は第22乗車類型、(c)は第23乗車類型、(d)は第24乗車類型、(e)は第25乗車類型、(f)は第26乗車類型、(g)は第27乗車類型、および(h)は第28乗車類型を示すモデル図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1を参照して、車両1の構成について説明する。なお、以下の説明において、右は、車両1の進行方向を基準としたときの車幅方向の右を示す。また、左は、車両1の進行方向を基準としたときの車幅方向の左を示す。また、構成要素に関する1組は、同一または類似の機能を有する複数の構成要素により構成される組を示す。
【0031】
車両1は、図1に例示される構成を有する。車両1は、車両用走行装置10を有する。車両1は、車両用走行装置10を構成する1組の走行ユニット20の駆動力により走行する4輪駆動方式を有する。
【0032】
車両用走行装置10は、1組の走行ユニット20および車両制御装置30を有する。車両用走行装置10は、4個の走行ユニット20により1組の走行ユニット20を構成する。車両用走行装置10は、車両制御装置30により各走行ユニット20を制御する。
【0033】
1組の走行ユニット20は、第1の走行ユニット20、第2の走行ユニット20、第3の走行ユニット20、および第4の走行ユニット20を含む。第1の走行ユニット20は、車両1の右フロント部分に配置される。第2の走行ユニット20は、車両1の左フロント部分に配置される。第3の走行ユニット20は、車両1の右リア部分に配置される。第4の走行ユニット20は、車両1の左リア部分に配置される。
【0034】
走行ユニット20は、ホイール21、ホイールハブ24、およびモータ25を有する。走行ユニット20は、モータ25によりホイール21を駆動する。走行ユニット20は、ホイール本体22およびタイヤ23によりホイール21を形成する。走行ユニット20は、ホイール本体22をホイールハブ24に連結する。
【0035】
モータ25としてのインホイールモータは、モータ本体26およびロータシャフト27を有する。モータ25は、ロータシャフト27をホイールハブ24に連結する。モータ25は、モータ本体26の全体がホイール21の外部に配置される。モータ25は、ホイール21に入力するトルクの大きさを他のホイールから独立して調整する機能を有する。なお、第1の走行ユニット20のホイール21は、右フロントホイールの一例に該当する。また、第2の走行ユニット20のホイール21は、左フロントホイールの一例に該当する。また、第3の走行ユニット20のホイール21は、右リアホイールの一例に該当する。また、第4の走行ユニット20のホイール21は、左リアホイールの一例に該当する。
【0036】
車両制御装置30は、図2に例示される構成を有する。車両制御装置30は、車両挙動制御装置40、車両走行制御装置50、操舵角センサ31、操舵トルクセンサ32、4個の電流センサ33、前後加速度センサ34、および左右加速度センサ35を有する。
【0037】
車両挙動制御装置40は、車両1の走行に関する挙動を制御するための演算を行う。車両挙動制御装置40は、車両挙動制御部41および車両モデル記憶部42を有する。車両挙動制御装置40は、車両モデル記憶部42により車両モデルを記憶する。
【0038】
車両挙動制御部41は、車両1の挙動を安定させるための車両安定化制御を行う。車両挙動制御部41は、車両モデルに基づいて車両1のヨーレートの演算値を算出し、目標のヨーレートとヨーレートの演算値とに基づいてヨーレートのフィードバック制御を実行する。車両モデルは、ホイール21の垂直荷重を規定した垂直荷重設定値eWWAを有する。垂直荷重設定値eWWAは、車両1の走行時においてホイール21に作用する垂直荷重の代表値として、試験の結果に基づいて予め設定されている。
【0039】
車両走行制御装置50は、図1に例示される構成を有する。車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100および1組の個別制御ユニット60を有する。車両走行制御装置50は、互いに独立した部品としての4個の個別制御ユニット60を有する。車両走行制御装置50は、通信回路により各個別制御ユニット60を統括制御ユニット100に接続する。
【0040】
1組の個別制御ユニット60は、第1の個別制御ユニット60、第2の個別制御ユニット60、第3の個別制御ユニット60、および第4の個別制御ユニット60を含む。第1の個別制御ユニット60は、第1の走行ユニット20を直接的に制御する。第2の個別制御ユニット60は、第2の走行ユニット20を直接的に制御する。第3の個別制御ユニット60は、第3の走行ユニット20を直接的に制御する。第4の個別制御ユニット60は、第4の走行ユニット20を直接的に制御する。各個別制御ユニット60は、モータ25および電流センサ33のそれぞれに接続される。各個別制御ユニット60は、モータ25に電流を供給することによりモータ25を駆動する。
【0041】
統括制御ユニット100は、図2に例示される構成を有する。統括制御ユニット100は、荷重演算部110、作用荷重反映部150、および乗車類型判定部160を有する。統括制御ユニット100は、操舵角センサ31、操舵トルクセンサ32、各電流センサ33、前後加速度センサ34、および左右加速度センサ35のそれぞれと接続される。統括制御ユニット100は、車両挙動制御装置40と接続される。
【0042】
図3を参照して、荷重演算部110の詳細について説明する。
荷重演算部110は、ホイール荷重算出方法に基づく演算を行う。荷重演算部110は、ホイール荷重算出方法において、モータ供給電流IS、トルク定数K、路面摩擦係数μ、回転半径R、前後方向加速度GX、および左右方向加速度GYを規定する。荷重演算部110は、ホイール荷重算出方法において、作用垂直荷重WW、初期垂直荷重WB、動的垂直荷重WG、前後動的荷重WX、左右動的荷重WY、および付加垂直荷重WHを規定する。荷重演算部110は、規定した各パラメータを用いて所定の演算を行う。荷重演算部110は、各パラメータに「i」の識別子を付与することにより、互いに対応するパラメータと構成要素とを紐付ける。
【0043】
モータ供給電流ISは、モータ25に供給される電流の大きさを示す。トルク定数Kは、モータ25のトルク定数を示す。路面摩擦係数μは、車両1が走行する路面の摩擦係数を示す。回転半径Rは、ホイール21の半径を示す。前後方向加速度GXは、車両1の前後方向において車両1に作用する加速度を示す。左右方向加速度GYは、車両1の左右方向において車両1に作用する加速度を示す。作用垂直荷重WWは、ホイール21に作用する垂直荷重を示す。初期垂直荷重WBは、車上重量物が存在していない状態においてホイール21に作用する垂直荷重を示す。動的垂直荷重WGは、車両1の加速度に基づいてホイール21に作用する垂直荷重を示す。前後動的荷重WXは、車両1の前後方向加速度GXに基づいてホイール21に作用する垂直荷重を示す。すなわち、前後動的荷重WXは、動的垂直荷重WGのうちの前後方向の成分を示す。左右動的荷重WYは、車両1の左右方向加速度GYに基づいてホイール21に作用する加速度を示す。すなわち、左右動的荷重WYは、動的垂直荷重WGのうちの左右方向の成分を示す。付加垂直荷重WHは、車上重量物の重量に基づいてホイール21に作用する垂直荷重を示す。なお、車上重量物は、車両1の乗員および車両1に搭載される物品の少なくとも一方を含む。
【0044】
荷重演算部110は、図3に例示される構成を有する。荷重演算部110は、制御情報記憶部111、摩擦係数演算部112、供給電流演算部113、前後加速度演算部114、左右加速度演算部115、動的荷重演算部130、作用荷重演算部120、および付加荷重演算部140を有する。荷重演算部110は、作用垂直荷重WWの演算値を示す作用荷重演算値eWWiをホイール21毎に算出する。荷重演算部110は、ホイール21毎の作用荷重演算値eWWiを作用荷重反映部150に出力する。荷重演算部110は、付加垂直荷重WHの演算値を示す付加荷重演算値eWHiをホイール21毎に算出する。荷重演算部110は、ホイール21毎の付加荷重演算値eWHiを乗車類型判定部160に出力する。
【0045】
制御情報記憶部111は、以下の各情報を記憶する。
制御情報記憶部111は、ホイール21に作用する初期垂直荷重WBの設定値である初期荷重設定値eWBiを記憶する。制御情報記憶部111は、ホイール21毎に設定された初期荷重設定値eWBiを記憶する。制御情報記憶部111は、第1〜第4の走行ユニット20のホイール21のそれぞれに対して、初期荷重設定値eWBiとして「eWB1」〜「eBW4」を割り当てる。制御情報記憶部111は、付加荷重演算部140にホイール21毎の初期荷重設定値eWBiを出力する。初期荷重設定値eWBiは、試験により測定された初期垂直荷重WBに基づいて設定される。
【0046】
なお、第1の走行ユニット20の初期垂直荷重WBは、右前初期垂直荷重の一例に該当する。また、第2の走行ユニット20の初期垂直荷重WBは、左前初期垂直荷重の一例に該当する。また、第3の走行ユニット20の初期垂直荷重WBは、右後初期垂直荷重の一例に該当する。また、第4の走行ユニット20の初期垂直荷重WBは、左後初期垂直荷重の一例に該当する。
【0047】
制御情報記憶部111は、モータ25のトルク定数Kの設定値であるトルク定数設定値eKiを記憶する。制御情報記憶部111は、モータ25毎に設定されたトルク定数設定値eKiを記憶する。制御情報記憶部111は、第1〜第4の走行ユニット20のモータ25のそれぞれに対して、トルク定数設定値eKiとして「eK1」〜「eK4」を割り当てる。制御情報記憶部111は、作用荷重演算部120にモータ25毎のトルク定数設定値eKiを出力する。トルク定数設定値eKiは、試験により測定されたトルク定数Kに基づいて設定される。
【0048】
制御情報記憶部111は、ホイール21の回転半径Rの設定値である回転半径設定値eRiを記憶する。制御情報記憶部111は、ホイール21毎に設定された回転半径設定値eRiを記憶する。制御情報記憶部111は、第1〜第4の走行ユニット20のホイール21のそれぞれに対して、回転半径設定値eRiとして「eR1」〜「eR4」を割り当てる。制御情報記憶部111は、作用荷重演算部120にホイール21毎の回転半径設定値eRiを出力する。回転半径設定値eRiは、ホイール21が車両1の車体に取り付けられていない状態において試験により測定された回転半径Rに基づいて設定される。
【0049】
摩擦係数演算部112は、操舵角センサ31の出力信号である操舵角信号SAを受信する。摩擦係数演算部112は、操舵トルクセンサ32の出力信号である操舵トルク信号SBを受信する。摩擦係数演算部112は、操舵角信号SAおよび操舵トルク信号SBに基づいて、路面摩擦係数μの演算値を示す摩擦係数演算値eμを算出する。摩擦係数演算部112は、作用荷重演算部120に摩擦係数演算値eμを出力する。
【0050】
供給電流演算部113は、電流センサ33の出力信号である電流信号SCを受信する。供給電流演算部113は、電流信号SCに基づいて、モータ供給電流ISの演算値を示す供給電流演算値eISiをモータ25毎に算出する。第1〜第4の走行ユニット20のモータ25のそれぞれに対して、供給電流演算値eISiとして「eIS1」〜「eIS4」を割り当てる。供給電流演算部113は、作用荷重演算部120にモータ25毎の供給電流演算値eISiを出力する。
【0051】
作用荷重演算部120は、トルク定数設定値eKi、供給電流演算値eISi、摩擦係数演算値eμ、回転半径設定値eRi、および下記(式1)に基づいて、ホイール21毎に作用荷重演算値eWWiを算出する。
【0052】

eWWi = (eKi×eISi)/(eμ×eRi) …(式1)

作用荷重演算部120は、第1〜第4の走行ユニット20のホイール21のそれぞれに対して、作用荷重演算値eWWiとして「eWW1」〜「eWW4」を割り当てる。作用荷重演算部120は、付加荷重演算部140にホイール21毎の作用荷重演算値eWWiを出力する。作用荷重演算部120は、作用荷重反映部150にホイール21毎の作用荷重演算値eWWiを出力する。
【0053】
なお、第1の走行ユニット20の作用垂直荷重WWは、右前作用垂直荷重の一例に該当する。また、第2の走行ユニット20の作用垂直荷重WWは、左前作用垂直荷重の一例に該当する。また、第3の走行ユニット20の作用垂直荷重WWは、右後作用垂直荷重の一例に該当する。また、第4の走行ユニット20の作用垂直荷重WWは、左後作用垂直荷重の一例に該当する。
【0054】
前後加速度演算部114は、前後加速度センサ34の出力信号である前後加速度信号SDを受信する。前後加速度演算部114は、前後加速度信号SDに基づいて、前後方向加速度GXの演算値を示す前後加速度演算値eGXを算出する。前後加速度演算部114は、正の前後加速度演算値eGXを前方向加速度として取り扱う。前後加速度演算部114は、負の前後加速度演算値eGXを後方向加速度として取り扱う。前後加速度演算部114は、動的荷重演算部130に前後加速度演算値eGXを出力する。
【0055】
左右加速度演算部115は、左右加速度センサ35の出力信号である左右加速度信号SEを受信する。左右加速度演算部115は、左右加速度信号SEに基づいて、左右方向加速度GYの演算値を示す左右加速度演算値eGYを算出する。左右加速度演算部115は、正の左右加速度演算値eGYを右方向加速度として取り扱う。左右加速度演算部115は、負の左右加速度演算値eGYを左方向加速度として取り扱う。左右加速度演算部115は、動的荷重演算部130に左右加速度演算値eGYを出力する。
【0056】
動的荷重演算部130は、図4に示される前後動的荷重算出マップ、および前後加速度演算値eGXに基づいて、前後動的荷重WXの演算値を示す前後動的荷重演算値eWXを算出する。動的荷重演算部130は、図5に示される左右動的荷重算出マップ、および左右加速度演算値eGYに基づいて、左右動的荷重WYの演算値を示す左右動的荷重演算値eWYを算出する。
【0057】
図4の前後動的荷重算出マップは、X軸として前後加速度演算値eGXを規定する軸を有し、Y軸として前後動的荷重演算値eWXを規定する軸を有する。前後動的荷重演算値eWXは、前後加速度演算値eGXの正の領域において、前後加速度演算値eGXの絶対値が大きくなるにつれて正の方向に増加する。前後動的荷重演算値eWXは、前後加速度演算値eGXの負の領域において、前後加速度演算値eGXの絶対値が大きくなるにつれて負の方向に増加する。前後動的荷重演算値eWXは、前後加速度演算値eGXが「0」のときに「0」を示す。なお、前後動的荷重算出マップの原点は「0」を示す。
【0058】
図5の左右動的荷重算出マップは、X軸として左右加速度演算値eGYを規定する軸を有し、Y軸として左右動的荷重演算値eWYを規定する軸を有する。左右動的荷重演算値eWYは、左右加速度演算値eGYの正の領域において、左右加速度演算値eGYの絶対値が大きくなるにつれて正の方向に増加する。左右動的荷重演算値eWYは、左右加速度演算値eGYの負の領域において、左右加速度演算値eGYの絶対値が大きくなるにつれて負の方向に増加する。左右動的荷重演算値eWYは、左右加速度演算値eGYが「0」のときに「0」を示す。なお、左右動的荷重算出マップの原点は「0」を示す。
【0059】
動的荷重演算部130は、前後動的荷重演算値eWX、左右動的荷重演算値eWY、および下記(式2)に基づいて、動的垂直荷重WGの演算値を示す動的荷重演算値eWGiをホイール21毎に算出する。動的荷重演算部130は、右フロントホイールとしてのホイール21の動的荷重演算値eWGiを算出するとき、マップから算出した前後動的荷重演算値eWXおよび左右動的荷重演算値eWYの符号を維持して(式2)の演算を行う。動的荷重演算部130は、左フロントホイールとしてのホイール21の動的荷重演算値eWGiを算出するとき、マップから算出した左右動的荷重演算値eWYの符号を反転して(式2)の演算を行う。動的荷重演算部130は、右リアホイールとしてのホイール21の動的荷重演算値eWGiを算出するとき、マップから算出した前後動的荷重演算値eWXの符号を反転して(式2)の演算を行う。動的荷重演算部130は、左リアホイールとしてのホイール21の動的荷重演算値eWGiを算出するとき、マップから算出した前後動的荷重演算値eWXおよび左右動的荷重演算値eWYの符号を反転して(式2)の演算を行う。
【0060】

eWGi = eWX+eWY …(式2)

動的荷重演算部130は、第1〜第4の走行ユニット20のホイール21のそれぞれに対して、動的荷重演算値eWGiとして「eWG1」〜「eWG4」を割り当てる。動的荷重演算部130は、付加荷重演算部140にホイール21毎の動的荷重演算値eWGiを出力する。
【0061】
なお、第1の走行ユニット20の動的垂直荷重WGは、右前動的垂直荷重の一例に該当する。また、第2の走行ユニット20の動的垂直荷重WGは、左前動的垂直荷重の一例に該当する。また、第3の走行ユニット20の動的垂直荷重WGは、右後動的垂直荷重の一例に該当する。また、第4の走行ユニット20の動的垂直荷重WGは、左後動的垂直荷重の一例に該当する。
【0062】
付加荷重演算部140は、初期荷重設定値eWBi、作用荷重演算値eWWi、動的荷重演算値eWGi、および下記(式3)に基づいて、付加垂直荷重WHの演算値を示す付加荷重演算値eWHiをホイール21毎に算出する。
【0063】

eWHi = eWWi−eWGi−eWBi …(式3)

付加荷重演算部140は、第1〜第4の走行ユニット20のホイール21のそれぞれに対して、付加荷重演算値eWHiとして「eWH1」〜「eWH4」を割り当てる。付加荷重演算部140は、乗車類型判定部160にホイール21毎の付加荷重演算値eWHiを出力する。
【0064】
なお、第1の走行ユニット20の付加垂直荷重WHは、右前付加垂直荷重の一例に該当する。また、第2の走行ユニット20の付加垂直荷重WHは、左前付加垂直荷重の一例に該当する。また、第3の走行ユニット20の付加垂直荷重WHは、右後付加垂直荷重の一例に該当する。また、第4の走行ユニット20の付加垂直荷重WHは、左後付加垂直荷重の一例に該当する。
【0065】
作用荷重反映部150は、作用荷重演算部120から作用荷重演算値eWWiを受信したとき、車両モデル記憶部42(図2参照)の垂直荷重設定値eWWAを更新する。作用荷重反映部150は、車両モデル記憶部42の垂直荷重設定値eWWAを新しい作用荷重演算値eWWiに置換することにより、垂直荷重設定値eWWAを更新する。
【0066】
図6および図7を参照して、乗車類型判定部160について説明する。
乗車類型判定部160は、付加荷重演算値eWHiに基づいて車両1の乗車類型を判定する。乗車類型は、車両1の各座席における乗員の乗車形態を示す。車両1は、運転席、助手席、右後部座席、および左後部座席を有する。図6(a)〜図6(h)および図7(a)〜図7(h)は、それぞれ車両1の座席のモデル図を示す。各モデル図の右上の四角は、運転席を示す。各モデル図の左上の四角は、助手席を示す。各モデル図の右下の四角は、右後部座席を示す。各モデル図の左下の四角は、左後部座席を示す。各モデル図のドット部分は、乗員が着座している座席を示す。
【0067】
乗車類型判定部160は、複数の乗車類型と各ホイール21の付加垂直荷重WHとの関係を示す対応類型情報を予め記憶している。対応類型情報は、運転席に乗員が着座している場合の乗車類型として、図6に示される第11乗車類型P11〜第18乗車類型P18を有する。対応類型情報は、運転席に乗員が着座していない場合の乗車類型として、図7に示される第21乗車類型P21〜第28乗車類型P28を有する。
【0068】
第11乗車類型P11は、図6(a)に示される乗員の乗車形態を示す。第11乗車類型P11は、運転席に乗員が着座し、助手席、右後部座席、および左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0069】
第12乗車類型P12は、図6(b)に示される乗員の乗車形態を示す。第12乗車類型P12は、運転席および助手席に乗員が着座し、右後部座席および左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0070】
第13乗車類型P13は、図6(c)に示される乗員の乗車形態を示す。第13乗車類型P13は、運転席および右後部座席に乗員が着座し、助手席および左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0071】
第14乗車類型P14は、図6(d)に示される乗員の乗車形態を示す。第14乗車類型P14は、運転席および左後部座席に乗員が着座し、助手席および右後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0072】
第15乗車類型P15は、図6(e)に示される乗員の乗車形態を示す。第15乗車類型P15は、運転席、助手席、および右後部座席に乗員が着座し、左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0073】
第16乗車類型P16は、図6(f)に示される乗員の乗車形態を示す。第16乗車類型P16は、運転席、助手席、および左後部座席に乗員が着座し、右後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0074】
第17乗車類型P17は、図6(g)に示される乗員の乗車形態を示す。第17乗車類型P17は、運転席、右後部座席、および左後部座席に乗員が着座し、助手席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0075】
第18乗車類型P18は、図6(h)に示される乗員の乗車形態を示す。第18乗車類型P18は、運転席、助手席、右後部座席、および左後部座席のそれぞれに乗員が着座している乗車形態を示す。
【0076】
第21乗車類型P21は、図7(a)に示される乗員の乗車形態を示す。第21乗車類型P21は、助手席に乗員が着座し、運転席、右後部座席、および左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0077】
第22乗車類型P22は、図7(b)に示される乗員の乗車形態を示す。第22乗車類型P22は、右後部座席に乗員が着座し、運転席、助手席、および左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0078】
第23乗車類型P23は、図7(c)に示される乗員の乗車形態を示す。第23乗車類型P23は、左後部座席に乗員が着座し、運転席、助手席、および右後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0079】
第24乗車類型P24は、図7(d)に示される乗員の乗車形態を示す。第24乗車類型P24は、助手席および右後部座席に乗員が着座し、運転席および左後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0080】
第25乗車類型P25は、図7(e)に示される乗員の乗車形態を示す。第25乗車類型P25は、助手席および左後部座席に乗員が着座し、運転席および右後部座席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0081】
第26乗車類型P26は、図7(f)に示される乗員の乗車形態を示す。第26乗車類型P26は、右後部座席および左後部座席に乗員が着座し、運転席および助手席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0082】
第27乗車類型P27は、図7(g)に示される乗員の乗車形態を示す。第27乗車類型P27は、助手席、右後部座席、および左後部座席に乗員が着座し、運転席に乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0083】
第28乗車類型P28は、図7(h)に示される乗員の乗車形態を示す。第28乗車類型P28は、運転席、助手席、右後部座席、および左後部座席のそれぞれに乗員が着座していない乗車形態を示す。
【0084】
対応類型情報は、1つの乗車類型と各ホイール21の付加荷重演算値eWHiの範囲とを互いに対応付けた荷重範囲情報を乗車類型毎に有する。荷重範囲情報は、1つの乗車類型に対して、付加荷重演算値eWH1の範囲、付加荷重演算値eWH2の範囲、付加荷重演算値eWH3の範囲、および付加荷重演算値eWH4の範囲を対応付けた情報を有する。例えば、第11乗車類型P11の荷重範囲情報は、本乗車類型に対応した演算値eWH1の範囲、本乗車類型に対応した演算値eWH2の範囲、本乗車類型に対応した演算値eWH3の範囲、および本乗車類型に対応した演算値eWH4の範囲を有する。
【0085】
乗車類型判定部160は、付加荷重演算部140から受信したホイール21毎の付加荷重演算値eWHi、および対応類型情報に基づいて、次の手順により付加荷重演算値eWHiに対応する乗車類型を判定する。
【0086】
乗車類型判定部160は、第1ステップにおいて、各付加荷重演算値eWH1〜eWH4が含まれる範囲を荷重範囲情報に基づいて判定する。乗車類型判定部160は、第2ステップにおいて、各付加荷重演算値eWH1〜eWH4が含まれる範囲の組み合わせと、各乗車類型の荷重範囲情報とをマッチングする。乗車類型判定部160は、第3ステップにおいて、各演算値eWH1〜eWH4が含まれる範囲の組み合わせに対応する乗車類型を確認したとき、この乗車類型を各付加荷重演算値eWHiに対応する乗車類型の判定結果として確定する。乗車類型判定部160は、第4ステップにおいて、確定した乗車類型を示す乗車類型判定値ePHを車両挙動制御装置40に出力する。車両挙動制御装置40は、乗車類型判定値ePHを車両挙動制御に反映する。
【0087】
車両1の作用について説明する。
車両1においては、ホイール21のトルク反力およびモータトルクが次に説明する関係を有する。ホイール21のトルク反力は、ホイール21と路面との間の摩擦に基づいてホイール21に作用するトルクの反力を示す。ホイール21のトルク反力は、作用垂直荷重WW、路面摩擦係数μ、および回転半径Rと相関を有する。このため、ホイール21のトルク反力を「TW」と規定したとき、ホイール21のトルク反力TWは、以下の(式A)により記述することができる。
【0088】

TW = WW×μ×R …(式A)

モータトルクは、モータ25がホイール21に伝達するトルクであって、トルク反力TWが作用するホイール21を任意の回転速度で回転させるトルクを示す。モータトルクは、モータ供給電流ISおよびトルク定数Kと相関を有する。このため、モータトルクを「TM」と規定したとき、モータトルクTMは、以下の(式B)により記述することができる。
【0089】

TM = K×IS …(式B)

車両1においては、ホイール21のトルク反力TWおよびモータトルクTMが実質的に同じ大きさを有する。このため、(式A)および(式B)から計算式「WW×μ×R=K×IS」が導き出される。このため、モータ供給電流IS、トルク定数K、路面摩擦係数μ、および回転半径Rに基づいて作用垂直荷重WWを算出することができる。このため、(式1)を有するホイール荷重算出方法によれば、荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重WWを算出することができる。
【0090】
本実施形態の車両1は、以下の効果を奏する。
(1)車両1は、車両走行制御装置50を有する。車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100を有する。統括制御ユニット100は、荷重演算部110を有する。荷重演算部110は、作用荷重演算部120を有する。作用荷重演算部120は、(式1)を用いて作用荷重演算値eWWiを算出する。この構成によれば、荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重WWを算出することができる。
【0091】
(2)初期垂直荷重WBは、車両1の構造と相関を有する。動的垂直荷重WGは、車両1の加速度と相関を有する。作用垂直荷重WWは、車上重量物の重量に基づく垂直荷重の変化、および車両1の加速度に基づく動的垂直荷重WGの変化が反映された値を示す。このため、既知の値としての初期垂直荷重WB、動的垂直荷重WG、および作用垂直荷重WWに基づいて、付加垂直荷重WHを算出することができる。
【0092】
車両走行制御装置50は、この点を踏まえて、作用垂直荷重WW、動的垂直荷重WG、および初期垂直荷重WBに基づいて付加垂直荷重WHを算出する。この構成によれば、荷重センサを有していない車両において、車上重量物の重量を検知することができる。また、荷重センサを有している車両において、荷重センサの出力信号を用いることなく車上重量物の重量を検知することができる。このため、荷重センサの異常発生時においても車上重量物の重量を検知することができる。
【0093】
(3)車両1においては、人が搭乗することにより作用垂直荷重WWが増加する。このため、乗員が存在するときの付加垂直荷重WHは、乗員の重量に基づいて増加した垂直荷重が反映された値を示す。このため、付加垂直荷重WHに基づいて乗員の乗車類型を判定することができる。
【0094】
車両走行制御装置50は、この点を踏まえて、付加垂直荷重WHに基づいて乗員の乗車類型を判定する。この構成によれば、シートセンサを有していない車両において、乗員の乗車類型を判定することができる。また、シートセンサを有している車両において、シートセンサの出力信号を用いることなく乗員の乗車類型を判定することができる。このため、シートセンサの異常発生時においても乗員の乗車類型を判定することができる。
【0095】
(4)車両1は、車両挙動制御装置40を有する。車両挙動制御装置40は、車両モデル記憶部42を有する。車両モデル記憶部42は、車両モデルを記憶する。車両モデルは、ホイール21に作用する垂直荷重の設定値を示す垂直荷重設定値eWWAを有する。
【0096】
一方、車両1の走行中における作用垂直荷重WWは、車上重量物および加速度等の影響を受けて変化する。このため、車両1の走行中においては、車両モデルの垂直荷重設定値eWWAが実際の作用垂直荷重WWとは異なる値を示すことがある。そして、車両挙動制御においては、垂直荷重設定値eWWAと実際の作用垂直荷重WWとの差が大きくなるにつれて、車両挙動制御の制御パラメータが目標値から乖離しやすくなる。このため、制御パラメータを目標値に近づけるために算出される制御量が大きくなる。
【0097】
車両走行制御装置50は、この点を踏まえて、作用荷重演算値eWWiにより垂直荷重設定値eWWAを更新する。この構成によれば、垂直荷重設定値eWWAが更新されないと仮定した構成と比較して、垂直荷重設定値eWWAと実際の作用垂直荷重WWとの差が小さくなる。このため、車両挙動制御における制御量が過度に大きくなることが抑制される。また、車両挙動制御における車両挙動に関する応答性が向上する。
【0098】
(第2実施形態)
第2実施形態の車両1は、第1実施形態の車両1と比較して、走行ユニット20および荷重演算部110の構成の一部が異なる。第2実施形態の車両1は、その他の部分において第1実施形態の車両1と同一の構成を有する。なお、第1実施形態の車両1と共通する構成については同一の符号を付して、その説明の一部または全部を省略する。また、以下の説明において、符号が付された各構成要素は、図1図3に記載される車両1の各構成要素を示している。
【0099】
第2実施形態の走行ユニット20は、ホイール21、ホイールハブ24、モータ25、およびロータシャフト27に加え、減速機(図示略)を有する。走行ユニット20は、モータ25の回転を減速機により減速してホイール21に伝達する。
【0100】
荷重演算部110は、ホイール荷重算出方法に基づく演算を行う。荷重演算部110は、ホイール荷重算出方法において、減速比Nをさらに規定する。荷重演算部110は、規定した各パラメータを用いて所定の演算を行う。減速比Nは、減速機の減速比を示す。
【0101】
制御情報記憶部111は、減速比Nの設定値である減速比設定値eNiを記憶する。制御情報記憶部111は、減速機毎に設定された減速比設定値eNiを記憶する。制御情報記憶部111は、第1〜第4の走行ユニット20の減速機のそれぞれに対して、減速比設定値eNiとして「eN1」〜「eN4」を割り当てる。制御情報記憶部111は、作用荷重演算部120に減速機毎の減速比設定値eNiを出力する。減速比設定値eNiは、試験により測定された減速比に基づいて設定される。
【0102】
作用荷重演算部120は、トルク定数設定値eKi、供給電流演算値eISi、減速比設定値eNi、摩擦係数演算値eμ、回転半径設定値eRi、および下記(式4)に基づいて、ホイール21毎に作用荷重演算値eWWiを算出する。
【0103】

eWWi = (eKi×eISi×eNi)/(eμ×eRi) …(式4)

作用荷重演算部120は、第1〜第4の走行ユニット20のホイール21のそれぞれに対して、作用荷重演算値eWWiとして「eWW1」〜「eWW4」を割り当てる。作用荷重演算部120は、付加荷重演算部140にホイール21毎の作用荷重演算値eWWiを出力する。作用荷重演算部120は、作用荷重反映部150にホイール21毎の作用荷重演算値eWWiを出力する。
【0104】
車両1の作用について説明する。
車両1においては、ホイール21のトルク反力TWおよびモータトルクTMが次に説明する関係を有する。モータトルクTMは、モータ供給電流IS、トルク定数K、および減速機の減速比Nと相関を有する。このため、モータトルクTMは、以下の(式C)により記述することができる。
【0105】

TM = K×IS×N …(式C)

車両1においては、ホイール21のトルク反力TWおよびモータトルクTMが実質的に同じ大きさを有する。このため、(式A)および(式C)から計算式「WW×μ×R=K×IS×N」が導き出される。このため、モータ供給電流IS、トルク定数K、減速比N、路面摩擦係数μ、および回転半径Rに基づいて作用垂直荷重WWを算出することができる。このため、(式4)を有するホイール荷重算出方法によれば、荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重WWを算出することができる。
【0106】
本実施形態の車両1は、第1実施形態の車両1が奏する(1)〜(4)の効果に準じた効果、すなわち荷重センサの出力を用いることなく作用垂直荷重WWを算出することを可能にする旨の効果、およびその他の種々の効果を奏する。
【0107】
(その他の実施形態)
本発明は、第1および第2実施形態以外の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての第1および第2実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0108】
・第1および第2実施形態の荷重演算部110は、作用荷重演算部120の演算に用いるトルク定数Kに関する情報を、制御情報記憶部111においてトルク定数設定値eKiとして記憶する。ただし、荷重演算部110におけるトルク定数Kに関する情報の取得方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の荷重演算部110は、トルク定数演算部を有する。トルク定数演算部は、モータ供給電流ISおよびモータトルクに基づいてトルク定数Kの演算値を示すトルク定数演算値eKiを算出する。トルク定数演算部は、算出したトルク定数演算値eKiを作用荷重演算部120に出力する。
【0109】
・第1および第2実施形態の荷重演算部110は、作用荷重演算部120の演算に用いる回転半径Rに関する情報を、制御情報記憶部111において回転半径設定値eRiとして記憶する。ただし、荷重演算部110における回転半径Rに関する情報の取得方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の荷重演算部110は、回転半径演算部を有する。回転半径演算部は、付加荷重演算値eWHiに基づいて回転半径設定値eRiを補正することにより、回転半径Rの演算値を示す回転半径演算値eRiを算出する。回転半径演算部は、算出した回転半径演算値eRiを作用荷重演算部120に出力する。
【0110】
・第1および第2実施形態の荷重演算部110は、作用荷重演算部120の演算に用いる路面摩擦係数μに関する情報を、摩擦係数演算部112において摩擦係数演算値eμとして算出する。ただし、荷重演算部110における路面摩擦係数μに関する情報の取得方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の荷重演算部110は、路面摩擦係数μの設定値である摩擦係数設定値eμを制御情報記憶部111に記憶し、制御情報記憶部111から作用荷重演算部120に摩擦係数設定値eμを出力する。摩擦係数設定値eμは、試験により測定された路面摩擦係数μに基づいて予め設定される。なお、この変形例の荷重演算部110においては、摩擦係数演算部112を省略することができる。
【0111】
・第2実施形態の荷重演算部110は、作用荷重演算部120の演算に用いる減速比Nに関する情報を、制御情報記憶部111において減速比設定値eNiとして記憶する。ただし、荷重演算部110における減速比Nに関する情報の取得方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の荷重演算部110は、減速比演算部を有する。減速比演算部は、モータ供給電流IS等に基づいて減速比設定値eNiを補正することにより、減速比の演算値を示す減速比演算値eNiを算出する。減速比演算部は、算出した減速比演算値eNiを作用荷重演算部120に出力する。
【0112】
・第1および第2実施形態の制御情報記憶部111は、モータ25毎にトルク定数設定値eKiを記憶する。ただし、トルク定数設定値eKiの記憶方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の制御情報記憶部111は、各モータ25に共通する1個のトルク定数設定値eKを記憶する。
【0113】
・第1および第2実施形態の制御情報記憶部111は、ホイール21毎に回転半径設定値eRiを記憶する。ただし、回転半径設定値eRiの記憶方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の制御情報記憶部111は、各ホイール21に共通する1個の回転半径設定値eRを記憶する。
【0114】
・第1および第2実施形態の制御情報記憶部111は、ホイール21毎に初期荷重設定値eWBiを記憶する。ただし、初期荷重設定値eWBiの記憶方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の制御情報記憶部111は、各ホイール21に共通する1個の初期荷重設定値eWBを記憶する。
【0115】
・第2実施形態の制御情報記憶部111は、減速機毎に減速比設定値eNiを記憶する。ただし、減速比設定値eNiの記憶方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の制御情報記憶部111は、各減速機に共通する1個の減速比設定値eNを記憶する。
【0116】
・第1および第2実施形態の制御情報記憶部111は、予め設定された回転半径設定値eRiを記憶する。この回転半径設定値eRiは、ホイール21が車両1の車体に取り付けられていない状態において測定された回転半径Rに基づいて設定される。ただし、回転半径設定値eRiの設定方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の回転半径設定値eRiは、ホイール21が車両1の車体に取り付けられた状態、かつ車上重量物が存在している状態において測定された回転半径Rに基づいて設定される。また、別の変形例の回転半径設定値eRiは、ホイール21が車両1の車体に取り付けられた状態、かつ車上重量物が存在していない状態において測定された回転半径Rに基づいて設定される。
【0117】
・第1および第2実施形態の摩擦係数演算部112は、操舵角信号SAおよび操舵トルク信号SBに基づいて摩擦係数演算値eμを算出する。ただし、摩擦係数演算値eμの算出方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の摩擦係数演算部112は、操舵トルク信号SB、車両1の走行速度を検知するセンサの出力信号、およびホイール21の横加速度を検知するセンサの出力信号に基づいて、摩擦係数演算値eμを算出する。
【0118】
・第1および第2実施形態の供給電流演算部113は、電流信号SCに基づいてモータ25毎に供給電流演算値eISiを算出する。ただし、供給電流演算部113における供給電流演算値eISiの取得方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の供給電流演算部113は、個別制御ユニット60により算出された供給電流演算値eISiを取得し、この供給電流演算値eISiを作用荷重演算部120に出力する。
【0119】
・第1および第2実施形態の作用荷重演算部120は、(式1)または(式4)を用いて作用荷重演算値eWWiを算出する。ただし、作用荷重演算値eWWiの算出方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の作用荷重演算部120は、作用荷重演算マップを用いて作用荷重演算値eWWiを算出する。作用荷重演算マップの一例は、モータ供給電流IS、トルク定数K、路面摩擦係数μ、および回転半径Rと、作用荷重演算値eWWiとを互い対応付けた情報を有する。また、作用荷重算出マップの別の一例は、モータ供給電流IS、トルク定数K、減速比N、路面摩擦係数μ、および回転半径Rと、作用荷重演算値eWWiとを互い対応付けた情報を有する。
【0120】
・第1および第2実施形態の動的荷重演算部130は、(式2)を用いて動的荷重演算値eWGiを算出する。ただし、動的荷重演算値eWGiの算出方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の動的荷重演算部130は、動的荷重演算マップを用いて動的荷重演算値eWGiを算出する。動的荷重演算マップは、前後動的荷重演算値eWXおよび左右動的荷重演算値eWYと、動的荷重演算値eWGiとを互いに対応付けた情報を有する。
【0121】
・第1および第2実施形態の動的荷重演算部130は、図4の前後動的荷重算出マップを用いて前後動的荷重演算値eWXを算出する。ただし、前後動的荷重演算値eWXの算出方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の動的荷重演算部130は、前後方向加速度GXを変数とする関数を用いて前後動的荷重演算値eWXを算出する。
【0122】
・第1および第2実施形態の動的荷重演算部130は、図5の左右動的荷重算出マップを用いて左右動的荷重演算値eWYを算出する。ただし、左右動的荷重演算値eWYの算出方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の動的荷重演算部130は、左右方向加速度GYを変数とする関数を用いて左右動的荷重演算値eWYを算出する。
【0123】
・第1および第2実施形態の付加荷重演算部140は、(式3)を用いて付加荷重演算値eWHiを算出する。ただし、付加荷重演算値eWHiの算出方法は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の付加荷重演算部140は、付加荷重演算マップを用いて付加荷重演算値eWHiを算出する。付加荷重演算マップは、初期荷重演算値eWBi、作用荷重演算値eWWi、および動的荷重演算値eWGiと、付加荷重演算値eWHiとを互いに対応付けた情報を有する。
【0124】
・第1および第2実施形態の作用荷重反映部150は、車両挙動制御装置40の車両モデルに作用荷重演算値eWWiを反映する。ただし、作用荷重反映部150における作用荷重演算値eWWiの反映対象は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の作用荷重反映部150は、電動パワーステアリング装置の制御装置が実行するアシスト制御に作用荷重演算値eWWiを反映する。
【0125】
・第1および第2実施形態の乗車類型判定部160は、4個の座席を有する車両1の乗車類型を予め記憶する。ただし、乗車類型判定部160が記憶する乗車類型の内容は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の乗車類型判定部160は、1個〜3個のいずれかの個数、または5個以上のいずれかの個数の座席を有する車両1の乗車類型を予め記憶する。
【0126】
・第1および第2実施形態の乗車類型判定部160は、運転席に乗員が着座している場合の複数の乗車類型、および運転席に乗員が着座していない場合の複数の乗車類型を予め記憶する。ただし、乗車類型判定部160が予め記憶する乗車類型の内容は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の乗車類型判定部160は、運転席に乗員が着座している場合の複数の乗車類型を記憶し、運転席に乗員が着座していない場合の複数の乗車類型を記憶しない。また、別の変形例の乗車類型判定部160は、運転席に乗員が着座していない場合の複数の乗車類型を記憶し、運転席に乗員が着座している場合の複数の乗車類型を記憶しない。
【0127】
・第1および第2実施形態の統括制御ユニット100は、動的荷重演算部130、付加荷重演算部140、作用荷重反映部150、および乗車類型判定部160を有する。ただし、統括制御ユニット100が有する各機能部分に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の統括制御ユニット100は、動的荷重演算部130、付加荷重演算部140、作用荷重反映部150、および乗車類型判定部160の少なくとも1つの機能部分が省略された構成を有する。
【0128】
・第1および第2実施形態の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100に作用荷重演算部120を有する。ただし、作用荷重演算部120に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100の作用荷重演算部120に代えて、または統括制御ユニット100の作用荷重演算部120に加えて、各個別制御ユニット60に作用荷重演算部120を有する。この個別制御ユニット60は、作用荷重演算部120の存在に併せて制御情報記憶部111および摩擦係数演算部112を有する。
【0129】
・第1および第2実施形態の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100に動的荷重演算部130を有する。ただし、動的荷重演算部130に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100の動的荷重演算部130に代えて、または統括制御ユニット100の動的荷重演算部130に加えて、各個別制御ユニット60に動的荷重演算部130を有する。この個別制御ユニット60は、動的荷重演算部130の存在に併せて前後加速度演算部114および左右加速度演算部115を有する。
【0130】
・第1および第2実施形態の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100に付加荷重演算部140を有する。ただし、付加荷重演算部140に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100の付加荷重演算部140に代えて、または統括制御ユニット100の付加荷重演算部140に加えて、各個別制御ユニット60に付加荷重演算部140を有する。この個別制御ユニット60は、付加荷重演算部140の存在に併せて作用荷重演算部120および動的荷重演算部130を有する。
【0131】
・第1および第2実施形態の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100に作用荷重反映部150を有する。ただし、作用荷重反映部150に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両走行制御装置50は、統括制御ユニット100の作用荷重反映部150に代えて、または統括制御ユニット100の作用荷重反映部150に加えて、各個別制御ユニット60に作用荷重反映部150を有する。この個別制御ユニット60は、作用荷重反映部150の存在に併せて作用荷重演算部120を有する。
【0132】
・第1および第2実施形態の車両制御装置30は、操舵角センサ31、操舵トルクセンサ32、各電流センサ33、前後加速度センサ34、および左右加速度センサ35を有し、荷重センサを有していない。ただし、車両制御装置30が有するセンサの種類は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両制御装置30は、荷重センサを有する。この車両制御装置30は、荷重センサの存在に併せて第2作用荷重演算部を有する。第2作用荷重演算部は、荷重センサの出力信号に基づいて作用荷重演算値eWWiを算出する。すなわち、この変形例の車両制御装置30は、作用荷重演算部120および第2作用荷重演算部の少なくとも一方により、作用荷重演算値eWWiを算出することができる。
【0133】
・第1および第2実施形態の車両制御装置30は、操舵角センサ31、操舵トルクセンサ32、各電流センサ33、前後加速度センサ34、および左右加速度センサ35を有し、シートセンサを有していない。ただし、車両制御装置30が有するセンサの種類は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両制御装置30は、シートセンサを有する。この車両制御装置30は、シートセンサの存在に併せて第2乗車類型判定部を有する。第2乗車類型判定部は、シートセンサの出力信号に基づいて乗車類型を判定する。すなわち、この変形例の車両制御装置30は、乗車類型判定部160および第2乗車類型判定部の少なくとも一方により、乗車類型を判定することができる。
【0134】
・第1および第2実施形態の車両制御装置30は、互いに独立した部品としての1組の個別制御ユニット60が通信回路により統括制御ユニット100に接続された構成を有する。ただし、車両制御装置30の構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両制御装置30は、1個の制御ユニット内に1組の個別制御ユニット60が組み込まれた構成を有する。
【0135】
・第1および第2実施形態の走行ユニット20は、モータ本体26の全体がホイール21の外部に配置された構成を有する。ただし、走行ユニット20のハード構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の走行ユニット20は、モータ本体26の全体がホイール21の内部に配置された構成を有する。また、別の変形例の走行ユニット20は、モータ本体26の一部分がホイール21の内部に配置され、モータ本体26の残りの部分がホイール21の外部に配置された構成を有する。
【0136】
・第1および第2実施形態の車両1は、駆動輪としての4個のホイール21を有し、従動輪としてのホイールを有していない。ただし、車両1の車輪に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両1は、1個以上のいずれかの個数の従動輪を有する。
【0137】
・第1および第2実施形態の車両1は、4個の走行ユニット20を有する。ただし、車両1の走行ユニット20に関する構成は、実施形態に例示される内容に限られない。例えば、変形例の車両1は、1個〜3個のいずれかの個数の走行ユニット20、または5個以上のいずれかの個数の走行ユニット20を有する。
【符号の説明】
【0138】
1…車両
10…車両用走行装置
20…走行ユニット、21…ホイール、22…ホイール本体、23…タイヤ、24…ホイールハブ、25…モータ、26…モータ本体、27…ロータシャフト
30…車両制御装置、31…操舵角センサ、32…操舵トルクセンサ、33…電流センサ、34…前後加速度センサ、35…左右加速度センサ
40…車両挙動制御装置、41…車両挙動制御部、42…車両モデル記憶部
50…車両走行制御装置
60…個別制御ユニット
100…統括制御ユニット
110…荷重算出部、111…制御情報記憶部、112…摩擦係数演算部、113…供給電流演算部、114…前後加速度演算部、115…左右加速度演算部、120…作用荷重演算部、130…動的荷重演算部、140…付加荷重演算部、150…作用荷重反映部、160…乗車類型判定部
SA…操舵角信、SB…操舵トルク信号、SC…電流信号、SD…前後加速度信号、SE…左右加速度信号
WB…初期垂直荷重、WW…作用垂直荷重、WG…動的垂直荷重、WX…前後動的荷重、WY…左右動的荷重、WH…付加垂直荷重、GX…前後方向加速度、GY…左右方向加速度、IS…モータ供給電流、K…トルク定数、N…減速比、R…回転半径、μ…路面摩擦係数
eWWi…作用荷重演算値、eWBi…初期荷重設定値、eWGi…動的荷重演算値、eWHi…付加荷重演算値、eWX…前後動的荷重演算値、eWY…左右動的荷重演算値、eGX…前後加速度演算値、eGY…左右加速度演算値、eISi…供給電流演算値、eKi…トルク定数設定値、eKi…トルク定数演算値、eNi…減速比設定値、eNi…減速比演算値、eRi…回転半径設定値、eRi…回転半径演算値、eμ…摩擦係数設定値、eμ…摩擦係数演算値、ePH…乗車類型判定値、eWWA…垂直荷重設定値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7