特許第6011139号(P6011139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6011139アクチュエータおよびこれを備えた工作機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011139
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】アクチュエータおよびこれを備えた工作機械
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/18 20060101AFI20161006BHJP
   F16H 7/14 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   F16H7/18 A
   F16H7/14 A
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-177260(P2012-177260)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-35037(P2014-35037A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊徳
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−042887(JP,A)
【文献】 実開昭58−036043(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/18
F16H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールと、
前記ガイドレールの長手方向一端に配置された駆動プーリと、
前記ガイドレールの長手方向他端に配置された従動プーリと、
前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛け渡されて、前記駆動プーリの回転に伴って回転するベルトと、
前記ベルトが固定されて、前記ガイドレールに沿って往復運動するスライダと、
前記ベルトの張力をベルト幅方向両端の各側で調整する張力調整機構と、
を有し、
前記ガイドレールは、上側が開放された凹状の断面形状を有し、対向する二つの側部材と底板部とからなり、
前記スライダは、前記往復運動する方向に沿って配置された搭載物固定用軸受およびベルト固定用軸受を有し、
前記搭載物固定用軸受および前記ベルト固定用軸受は、前記ガイドレールの上側に配置される上板と、前記底板部の下側に配置される底板と、 前記側部材の外側に配置される一対の側板と、前記側部材との間に静圧空気軸受を形成する静圧パッドと、を有し、
前記搭載物固定用軸受は、前記方向の両端に、前記ベルト固定用軸受との間に隙間を開けて配置され、
前記スライダは、前記両端の前記搭載物固定用軸受を前記二つの側部材の外側で連結する一対の連結板であって、前記搭載物固定用軸受にのみ固定された連結板を有し、
前記ベルトの下側部は、前記ガイドレールの前記側部材と前記底板部とで形成された凹部内に配置され、
前記凹部内に配置された平板ばねで、前記両端の前記搭載物固定用軸受と前記ベルト固定用軸受と前記ベルトの下側部とが固定され、
前記凹部内に配置された板ばねで、前記搭載物固定用軸受と前記平板ばねとが結合され、前記凹部内に配置された別の板ばねで、前記ベルト固定用軸受および前記ベルトの下側部と前記平板ばねとが結合され、
前記両端の前記搭載物固定用軸受と前記ベルト固定用軸受とが、前記平板ばねと前記板ばねにより、前記スライダの運動方向には変形せず、前記スライダの運動方向以外の方向には弾性変形自在に結合され、
前記ベルトの下側部は、前記平板ばねと前記板ばねを介して前記スライダの重心位置で前記ベルト固定用軸受に固定されているアクチュエータ。
【請求項2】
前記ベルトがガイドレールの幅方向に二本以上配置されている請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ベルトがガイドレールの幅方向に一本配置されていて、前記ベルトの幅が前記従動プーリの外径の0.5倍以上である請求項1記載のアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のアクチュエータを備えた工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ベルト駆動でガイドレールに沿って往復運動するスライダを備えたアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高精度な製造装置、検査装置、搬送装置等では、回転モータによるベルト駆動で、スライダがガイドレールに沿って往復運動するアクチュエータが使用されている。このアクチュエータを構成するスライダはガイドレールに対する軸受を備えている。 このようなアクチュエータの従来例としては、特許文献1および2に記載されたものが挙げられる。
【0003】
特許文献1および2に記載されたアクチュエータは、別々のガイドレールに沿って移動する主軸受(搭載物を固定するスライダ)とカウンタ軸受(スライダ)を有している。これらの軸受は、各ガイドレールとの間に静圧空気軸受を形成する静圧パッドを有する。特許文献1および2には、主軸受とカウンタ軸受とを逆方向に移動させることにより、加速時又は減速時などに生じる主軸受の反力が抑えられて、振動の抑制を図ることができると記載されている。
【0004】
特許文献3には、駆動ベルトが切断されても即座に急停止することなく、減速停止されるようにして訓練者の安全を図ることができる走行訓練機を提供するために、駆動ベルトを複数並設すると共に、各駆動ベルトの切断を検知するセンサーを設けることが記載されている。この走行訓練機は、センサーにより、いずれか一方の駆動ベルトが切断されたことが検出されると、駆動モータが緩停止される構造になっている。
【0005】
特許文献1〜3には、ベルトの張力調整に関する記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−248703号公報
【特許文献2】特開2008−101642号公報
【特許文献3】実開平7−13359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、ベルト駆動でガイドレールに沿って往復運動するスライダを備えたアクチュエータにおいて、ベルトがガイドレールの幅方向に二本以上配置されている場合、各ベルトで微妙な長さの違いおよび歯形の位相差が生じ易いことや、プーリの傾き等が影響して、各ベルトが同じ張力にならない恐れがある。ベルト間に張力差があると、張力が大きい方のベルトが延び、張力が小さい方のベルトが弛むため、ベルト駆動時にベルトの振幅が増大することにつながる。
この発明の課題は、ベルト駆動でガイドレールに沿って往復運動するスライダを備えたアクチュエータにおいて、ベルト駆動が安定的に行われるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明の一態様のアクチュエータは、ガイドレールと、前記ガイドレールの長手方向一端に配置された駆動プーリと、前記ガイドレールの長手方向他端に配置された従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に掛け渡されて、前記駆動プーリの回転に伴って回転するベルトと、前記ベルトが固定されて、前記ガイドレールに沿って往復運動するスライダと、前記ベルトの張力をベルト幅方向両端の各側で調整する張力調整機構と、を有することを特徴とする。
【0009】
この態様のアクチュエータによれば、ベルトの張力をベルト幅方向両端の各側で調整する張力調整機構を有するため、ベルトの幅方向で偏った張力調整がなされることが防止される。
この態様のアクチュエータは、前記ベルトがガイドレールの幅方向に二本以上配置されている場合や、前記ベルトがガイドレールの幅方向に一本配置されていて、前記ベルトの幅が前記従動プーリの外径の0.5倍以上である(ベルトが幅広である)場合に、好適に適用できる。
この態様のアクチュエータは工作機械用のアクチュエータとして好適である。
【発明の効果】
【0010】
この発明のアクチュエータによれば、ベルトがガイドレールの幅方向に二本以上配置されている場合や幅広のベルトが一本配置されている場合でも、従来品よりベルト駆動の安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態のアクチュエータを示す平面図である。
図2】実施形態のアクチュエータを示す側面図である。
図3】実施形態のアクチュエータを構成するスライダの平面図である。
図4図2のA−A断面図である。
図5図4のB矢視図である。
図6図4のC−C断面図である。
図7】実施形態のアクチュエータを構成する従動プーリのプーリボックス内を示す部分断面図である。
図8図2の一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施形態について説明するが、この発明はこの実施形態に限定されるものではない。
この実施形態のアクチュエータは、図1および2に示すように、二本のベルト1と、ガイドレール2と、スライダ3と、従動プーリ4と、駆動プーリ5と、駆動プーリ5を回転駆動するモータ6とで構成されている。ベルト1は、従動プーリ4と駆動プーリ5に掛け渡されている。ガイドレール2は、上側が開放された凹状の断面形状を有し、対向する二つの側部材21と底板部22とからなる。図1および3において、スライダ3の上側のベルト1は二点鎖線で示してある。
【0013】
従動プーリ4はプーリボックス41内に配置され、駆動プーリ5はプーリボックス51内に配置されている。プーリボックス41は支持台42の上に固定され、プーリボックス51は支持台52の上に固定されている。ガイドレール2の側部材21の長手方向一端が支持台42に、長手方向他端が支持台52に固定されている。
スライダ3は、図3〜6に示すように、運動方向に沿って配置された各二個の搭載物固定用軸受31およびベルト固定用軸受32と、ガイドレール2の各側部材21の外側で二個の搭載物固定用軸受31を連結する連結板33,34を有する。
【0014】
図3、5、6に示すように、二個の搭載物固定用軸受31は、スライダ3の運動方向に沿った両端に配置されている。二個のベルト固定用軸受32は、二個の搭載物固定用軸受31の間に配置されている。二個のベルト固定用軸受32は、それぞれ隣の搭載物固定用軸受31に対しては少しの隙間を開け、互いの間には前記隙間より大きな所定間隔を開けて配置されている。
【0015】
図4に示すように、搭載物固定用軸受31は、ガイドレール2の上側に配置される上板311と、ガイドレール2の底板部22の下側に配置される底板312と、ガイドレール2の各側部材21の外側に配置される一対の側板313,314とで構成されている。そして、上板311の下面の両端側(ガイドレール2の各側部材21の上面と対向する位置)、底板312の上面の両端側(ガイドレール2の各側部材21の上面と対向する位置)、一対の側板313,314の内面の上部及び下部に、それぞれグラファイト多孔質で形成された静圧パッド311a〜314aが配置されている。これらの静圧パッド311a〜314aとガイドレール2の各側部材21との間に、静圧空気軸受が形成される。
【0016】
搭載物固定用軸受31と同様に、ベルト固定用軸受32は、ガイドレール2の上側に配置される上板321と、ガイドレール2の底板部22の下側に配置される底板322と、ガイドレール2の各側部材21の外側に配置される一対の側板323,324とで構成されている。そして、上板321の下面の両端側(ガイドレール2の各側部材21の上面と対向する位置)、底板322の上面の両端側(ガイドレール2の各側部材21の上面と対向する位置)、一対の側板323,324の内面の上部及び下部に、それぞれグラファイト多孔質で形成された静圧パッド321a〜324aが配置されている。これらの静圧パッド321a〜324aとガイドレール2の各側部材21との間に、静圧空気軸受が形成される。
【0017】
図4、5に示すように、連結板33,34の長手方向両端が、スライダ3の運動方向両端に配置された両搭載物固定用軸受31の側板313,314に固定されている。連結板33,34の一方(この例では連結板33)に搭載物71が固定され、他方(この例では連結板34)にバランスウエイト72が固定される。
図3、4、6に示すように、搭載物固定用軸受31とベルト固定用軸受32は、平板ばね8と、板ばね81,82を用いて結合されている。また、平板ばね8、板ばね81,82、およびベルト1の下側部10は、ガイドレール2の凹部内に配置されている。平板ばね8の長さ(ガイドレール2に沿った長さ)は、運動方向に沿って配置された各二個の搭載物固定用軸受31およびベルト固定用軸受32の全体に渡る長さであり、平板ばね8の幅は、隙間を開けて配置される二本のベルト1の配置幅より少し大きい。
【0018】
図4に示すように、板ばね81,82は、頂板81a,82aと、一対の裾板81b,82bと、一対の斜板81c,82cとからなる。板ばね81は各搭載物固定用軸受31に配置される。板ばね82は、二個のベルト固定用軸受32に渡って配置される。板ばね81の長さは、搭載物固定用軸受31の長さより僅かに短い。板ばね82の長さは、隙間を開けて配置された二個のベルト固定用軸受32の両端部間の長さである。
【0019】
板ばね81の頂板81aが、搭載物固定用軸受31の上板311に、ボルト90で固定されている。板ばね82の頂板82aが、板ばね82の長手方向両端部において、ベルト固定用軸受32の上板321に、ボルト90で固定されている。また、板ばね81,82の一対の裾板81b,82bが、平板ばね8の上面に配置されている。
二個のベルト固定用軸受32の間に存在する平板ばね8の下側に、二本のベルト1を上下から挟む上板部材83および下板部材84が配置されている。下板部材84の上面には二本のベルト1をそれぞれ配置する凹部84aが形成されている。搭載物固定用軸受31とベルト固定用軸受32の位置に存在する平板ばね8の下面には、受け板85が配置されている。
【0020】
搭載物固定用軸受31の位置で平板ばね8は、板ばね81の一対の裾板81bと受け板85との間に配置されて、これらを貫通するボルト91で搭載物固定用軸受31に固定されている。ベルト固定用軸受32の位置で平板ばね8は、板ばね82の一対の裾板82bと受け板85との間に配置されて、これらを貫通するボルト92aでベルト固定用軸受32に固定されている。二個のベルト固定用軸受32の間で平板ばね8は、板ばね82の一対の裾板82bと上板部材83との間に配置されて、これらを貫通するボルト92でベルト固定用軸受32に固定されている。
【0021】
これにより、搭載物固定用軸受31とベルト固定用軸受32は、スライダ3の運動方向には実質的に変形せず、スライダ3の運動方向以外の方向には弾性変形自在に結合されている。
二本のベルト1は、下板部材84の各凹部84aに配置された状態で、上板部材83および下板部材84を貫通するボルト93により、上板部材83と下板部材84の間に固定されている。この上板部材83は平板ばね8と板ばね82に固定されている。よって、二本のベルト1の下側部10は、平板ばね8と板ばね82を介して、ベルト固定用軸受32の上板321に固定されている。これにより、ベルト1はスライダ3の重心位置近傍でベルト固定用軸受32に固定されている。
【0022】
図7に示すように、従動プーリ4の軸方向中央に、二本のベルト1の干渉を防止する凸部4aが形成されている。図7および8に示すように、従動プーリ4の回転軸4bの両端部は、転がり軸受43を介して回転自在にプーリボックス41に取り付けられている。プーリボックス41は、転がり軸受43のハウジングを兼ねた支持部材411と、二対四個の長穴412aが形成された底板部412と、底板部412の各長穴412aを通して支持台42に螺合される四本のボルト413を有する。各対の長穴412aは回転軸4bの端部を挟んだ両側に配置されている。
【0023】
支持部材411の下部のガイドレール2とは反対側の端部には、幅方向(回転軸4bに沿った方向)の両端部に、支持部材411の外面から回転軸4bと直交する方向に延びる二個の雌ねじ411aが形成されている。これらの雌ねじ411aの位置に、基部44aと縦部44bとからなるL字形のブラケット44が配置されている。ブラケット44の基部44aは、ボルト45で支持台42に固定されている。ブラケット44の縦部44bに貫通穴44cが形成されている。
このアクチュエータのベルト張力調整機構は、支持部材411に形成された二個の雌ねじ411aと、二個のブラケット44と、二個の張力調整ボルト46とからなる。各張力調整ボルト46は、各ブラケット44の貫通穴44cに挿入されて、先端が各雌ねじ411aに螺合している。
【0024】
各張力調整ボルト46を締めると、支持部材411が各ブラケット44の位置で矢印方向に引っ張られ、回転軸4bの各端部が矢印方向に移動するため、従動プーリ4を介して二本のベルト1に独立に張力が付与される。これにより、張力を測定しながら各ブラケット44で張力調整ボルト46を締めることで、二本のベルト1で偏った調整がなされることが防止されるため、二本のベルト1の張力差を小さくすることができる。各張力調整ボルト46による張力調整が終了したら、それぞれボルト413を締めてプーリボックス41を支持台42に固定する。
【0025】
この実施形態のアクチュエータによれば、ベルトの幅方向両側で独立の張力調整機構を有さない従来品と比較して、ベルト駆動の安定性が向上する。
なお、初期調整を簡単に行うために、図7の二個のブラケット44の中央に、さらに上記と同様の張力調整機構を設け、これを用いて張力の初期調整を行うと組立作業性が向上するため好ましい。
【0026】
また、この実施形態のアクチュエータは、モータ6の駆動により駆動プーリ5が回転すると、ベルト1が駆動して従動プーリ4で案内される。これにより、ベルト1の駆動力がスライダ3のベルト固定用軸受32に伝達されて、スライダ3がガイドレール2に沿って往復運動する。搭載物71は、搭載物固定用軸受31にのみ固定された連結板33に固定されるため、スライダ3の走行中にベルト1に発生する振動の殆どは、ベルト1が固定されたベルト固定用軸受32に伝わり、搭載物71に伝わる振動が抑制される。
【0027】
また、搭載物固定用軸受31とベルト固定用軸受32が、平板ばね8と板ばね81,82とにより、スライダ3の運動方向には実質的に変形せず、スライダ3の運動方向以外の方向には弾性変形自在に結合され、ベルト1がベルト固定用軸受32に対して、スライダ3の重心近傍で固定されているため、スライダ3の高加減速に対する耐性が高くなる。
また、平板ばね8と搭載物固定用軸受31およびベルト固定用軸受32との結合に、軽量の板ばね81,82を用いることにより、ベルト1が蛇行する等のミスアライメントや微振動がキャンセルされる。
【0028】
なお、上記実施形態では、ガイドレール2の幅方向に二本のベルト1が配置されているアクチュエータについて述べている。ベルト1の幅は従動プーリ4の外径(直径)の0.5倍より小さい。この実施形態のアクチュエータにおいて、二本のベルト1に代えて従動プーリ4の幅(軸方向寸法)と略同じ一本のベルトを使用した場合、ベルトの幅はプーリ外径の0.5倍以上となる。このように、ベルトが一本でも幅広である場合は、張力調整時にベルトの幅方向で張力に差が生じて、ベルト駆動が不安定になることがあるため、上述の張力調整機構を設けて、ベルトの幅方向両側で独立に張力調整を行うことにより、ベルト駆動の安定性を向上できる。
また、上記実施形態では、従動プーリ4に引張力を加えることでベルトに張力を付与しているが、アイドラをベルトに押し付けることでベルトに張力を付与してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ベルト
10 ベルトの下側部
2 ガイドレール
21 側部材
22 底板部
3 スライダ
31 搭載物固定用軸受
311 搭載物固定用軸受の上板
312 搭載物固定用軸受の底板
313,314 搭載物固定用軸受の側板
311a〜314a 搭載物固定用軸受の静圧パッド
32 ベルト固定用軸受
321 ベルト固定用軸受の上板
322 ベルト固定用軸受搭載物の底板
323,324 ベルト固定用軸受の側板
321a〜324a ベルト固定用軸受の静圧パッド
33,34 連結板
4 従動プーリ
41 プーリボックス
411 支持部材
412 底板部
412a 長穴
413 ボルト
42 支持台
43 転がり軸受
44 ブラケット
45 ボルト
46 張力調整ボルト
5 駆動プーリ
6 モータ
71 搭載物
72 バランスウエイト
8 平板ばね
81,82 板ばね
81a,82a 頂板
81b,82b 裾板
81c,82c 斜板
83 上板部材
84 下板部材
84a 凹部
85 受け板
90 ボルト
91 ボルト
92 ボルト
93 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8