特許第6011144号(P6011144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011144
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】金管楽器用弱音器
(51)【国際特許分類】
   G10D 9/06 20060101AFI20161006BHJP
   G10D 7/10 20060101ALI20161006BHJP
【FI】
   G10D9/06
   G10D7/10
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-178433(P2012-178433)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2013-54351(P2013-54351A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2015年6月22日
(31)【優先権主張番号】特願2011-175059(P2011-175059)
(32)【優先日】2011年8月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】特許業務法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 英之
(72)【発明者】
【氏名】末永 雄一朗
【審査官】 千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−132999(JP,U)
【文献】 特開2004−240347(JP,A)
【文献】 特開平05−143079(JP,A)
【文献】 特開2005−326810(JP,A)
【文献】 実開昭61−140396(JP,U)
【文献】 欧州特許第00029870(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10D 9/06
G10D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、
前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、
前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え
前記管部は、前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第2の開口部へ導く経路である主経路と、前記主経路から分岐し前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第3の開口部へ導く経路である副経路とを形成し、
前記管部は、前記副経路の少なくとも一部において、前記副経路を流れる空気の流れの上流側から下流側に向かい前記副経路の断面積が小さくなるように前記副経路を形成する
金管楽器用弱音器。
【請求項2】
前記管部は、前記副経路が前記主経路の外周を囲むように前記主経路および前記副経路を形成する
請求項に記載の金管楽器用弱音器。
【請求項3】
金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、
前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、

前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、
前記管部を前記ベル管のテーパ部に着脱可能に取り付ける固定部を更に備え、
前記固定部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の一部を前記管部を経由せずに前記ベル管内に導く経路を形成する
管楽器用弱音器。
【請求項4】
金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、
前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、
前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、
前記管部は、前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第2の開口部へ導く経路である主経路と、前記主経路から分岐し前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第3の開口部へ導く経路である副経路とを形成し、
前記管部は複数の前記副経路を形成する
管楽器用弱音器。
【請求項5】
前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向において互いに異なる位置に配置された複数の前記副経路を形成する
請求項に記載の金管楽器用弱音器。
【請求項6】
金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、
前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、
前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、
前記管部は、前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第2の開口部へ導く経路である主経路と、前記主経路から分岐し前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第3の開口部へ導く経路である副経路とを形成し、
前記管部は、前記主経路を形成する管体である主管部と、前記主管部から前記主管部の外側に分岐し前記副経路を形成する管体である副管部を有し、前記主管部の管軸方向と前記副管部の管軸方向は平行である
金管楽器用弱音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管楽器や金管楽器の弱音器であって、特にトランペットのベルのようなホーン形状の音響器に適用される金管楽器用弱音器に関する。
【背景技術】
【0002】
自然楽器における発音メカニズムをシミュレートして楽音を合成する技術が知られている。特許文献1にはマウスピース及び音響管を有する管楽器の発音メカニズムを励振部、ジャンクション、ウエーブガイドでシミュレートする楽音合成装置が開示されている。
【0003】
図19は、従来のテーパ管450を有する管楽器1000Aの構造を説明する図である。図20は、図19に示すテーパ管450の共鳴特性を近似したストレート管410、420を有する管楽器1000Bの構造を説明する図である。管楽器1000Aは、テーパ管450を有する管体400A、およびマウスピース500Aを有する。管楽器1000Bは、ストレート管410、420が分岐した構造の管体400B、およびマウスピース500Bを有する。ストレート管410、420の長さ、管の径を特許文献1に開示された技術を用いて設計すると、テーパ管450の共鳴特性を近似して再現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2707913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、演奏者は、金管楽器の演奏音量を小さくしたい場合には、ベル管部分に金管楽器用弱音器(ミュート)を取り付けた状態で演奏する場合がある。一般的な金管楽器用弱音器を取り付けた状態の金管楽器を演奏者が演奏すると、金管楽器用弱音器を取り付けることにより演奏音量が小さくすることができる一方、共鳴特性が大きく変化して所望する音質と大きく変わってしまうことがあった。
金管楽器を吹鳴した際の演奏音のピッチ、音質は、楽器の共鳴特性との関連が深い。従来の金管楽器用弱音器を装着した場合の共鳴特性は、金管楽器用弱音器を付けない場合の共鳴特性に比べ、低音域で余分な共鳴ピークが追加されるのが影響し、低音側の共鳴ピークが高周波数側に追いやられ、共鳴周波数が高くなってしまう。即ち、金管楽器に金管楽器用弱音器を取り付けると、低音域でピッチが高くなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、音を弱めることができるとともに、ピッチ、音色、音質を劣化することなく高精度に共鳴特性を再現することができる金管楽器に着脱可能な金管楽器用弱音器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明は、金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、前記管部は、前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第2の開口部へ導く経路である主経路と、前記主経路から分岐し前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第3の開口部へ導く経路である副経路とを形成し、前記管部は、前記副経路の少なくとも一部において、前記副経路を流れる空気の流れの上流側から下流側に向かい前記副経路の断面積が小さくなるように前記副経路を形成する金管楽器用弱音器を提供する。
【0008】
また、上述の金管楽器用弱音器において、前記管部は、前記副経路が前記主経路の外周を囲むように前記主経路および前記副経路を形成する、という構成が採用されてもよい。
【0009】
また、本発明は、金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、前記管部を前記ベル管のテーパ部に着脱可能に取り付ける固定部を更に備え、前記固定部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の一部を前記管部を経由せずに前記ベル管内に導く経路を形成する金管楽器用弱音器を提供する
【0010】
また、本発明は、金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、前記管部は、前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第2の開口部へ導く経路である主経路と、前記主経路から分岐し前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第3の開口部へ導く経路である副経路とを形成し、前記管部は複数の前記副経路を形成する金管楽器用弱音器を提供する
【0011】
また、上述の金管楽器用弱音器において、前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向において互いに異なる位置に配置された複数の前記副経路を形成する、という構成が採用されてもよい。
【0012】
また、本発明は、金管楽器のベル管内に配置される金管楽器用弱音器であって、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の移動経路を形成する管部を備え、前記管部は、前記金管楽器に吹き込まれる空気の少なくとも一部の流入を許容する第1の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気の一部の流出を許容する第2の開口部と、前記第1の開口部から流入した空気のうち前記金管楽器に吹き込まれる空気の流れの方向における前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の位置から分流する一部の空気の流出を許容する第3の開口部とを備え、前記管部は、前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第2の開口部へ導く経路である主経路と、前記主経路から分岐し前記第1の開口部から流入した空気の一部を前記第3の開口部へ導く経路である副経路とを形成し、前記管部は、前記主経路を形成する管体である主管部と、前記主管部から前記主管部の外側に分岐し前記副経路を形成する管体である副管部を有し、前記主管部の管軸方向と前記副管部の管軸方向は平行である金管楽器用弱音器を提供する
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、音を弱めることができるとともに、ピッチ、音色、音質を劣化することなく高精度に共鳴特性を再現することができる金管楽器に着脱可能な金管楽器用弱音器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における金管楽器用弱音器が取り付けられる管楽器の構成を説明する図である。
図2】実施形態における金管楽器用弱音器の構成を説明する図である。
図3図2における矢視A−A方向から見た断面図である。
図4】実施形態における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図5】変形例1における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図6】変形例2における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図7】変形例3における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図8】変形例4における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の第1の例を説明する断面図である。
図9】変形例4における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の第2の例を説明する断面図である。
図10】変形例4における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の第3の例を説明する断面図である。
図11】変形例5における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の第1の例を説明する断面図である。
図12】変形例5における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の第2の例を説明する断面図である。
図13】変形例5における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の第3の例を説明する断面図である。
図14】変形例6における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図15】変形例6における固定部の他の例を説明する断面図である。
図16】変形例7における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図17】変形例7における管楽器に取り付けられた金管楽器用弱音器の他の例を説明する断面図である。
図18】変形例8における金管楽器用弱音器を説明する断面図である。
図19】従来のテーパ管を有する管楽器の構造を説明する図である。
図20図19に示すテーパ管の共鳴特性を近似したストレート管を有する従来の管楽器の構造を説明する図である。
図21図11に示す金管楽器用弱音器を用いた金管楽器における共鳴ピークの特性カーブを示すグラフである。
図22】従来の金管楽器用弱音器を用いた金管楽器における共鳴ピークの特性カーブを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
図1は、実施形態における金管楽器用弱音器100が取り付けられる管楽器1の構成を説明する図である。管楽器1は、一般的なトランペット、トロンボーンなどの金管楽器であり、音高調整部41、マウスピース51およびベル管71を有する。音高調整部41は、操作されることにより迂回管への経由の有無を変化させて管楽器1における管長を変化させるピストンバルブおよび迂回管を有する。音高調整部41は、予め決められた音階のいずれかの音高の発音をするように、管楽器1において共鳴する気柱の長さを調整する。
ベル管71は、テーパ部72とベル部73とを有する。テーパ部72は、ベル管71のうち、予め決められたテーパ率のテーパ管の形状をしている部分をいう。ベル部73は、ベル管71のうち、管軸方向の位置が変化するとテーパ率が変化していく形状、すなわち、ある曲率(曲率が位置によって変化してもよい)を有するベルの形状をしている部分をいう。以下の説明において、ベル管71のベル部73側の開口部分を端部75Lという。演奏者によってマウスピース51から吹き込まれる息は、管楽器1の内部空間に流入し、端部75Lから外部に流出する。なお、マウスピース51から吹き込まれる息は、演奏者によるものに限らず、機械的に吹き込まれた気体であってもよい。
続いて、管楽器1に着脱可能に取り付けられる金管楽器用弱音器100について説明する。
【0017】
図2は、実施形態における金管楽器用弱音器100の構成を説明する図である。図3は、図2における矢視A−A方向から見た断面図である。図3に示す断面図においては、各構成の特徴がわかりやすいように、模式的に示した図としている。金管楽器用弱音器100は、主管部10および副管部21を有する分岐管110と、固定部31とを有する。主管部10および副管部21は、それぞれ断面形状が円形のストレート管である。ストレート管は、管軸方向のどの位置においても管体の断面形状が変化しないように形成された管体であり、真っ直ぐな管体であってもよいし曲がった形状の管体であってもよい。そのため、ストレート管において、管軸方向を法線とする面で切った場合の開口面積(以下、単に断面積といった場合には、この開口面積をいう)は、管軸方向のどの位置においても変化しない。
【0018】
主管部10は、金管楽器用弱音器100が管楽器1に取り付けられた状態において、演奏者の息が吹き込まれる側(以下、上流側という)の一端部である上流側端部15U(第1の開口部)と、息が抜ける側(以下、下流側という)の開口した他端部である下流側端部15L(第2の開口部)とを有する。この例においては、上流側端部15Uおよび下流側端部15Lのそれぞれが形成する開口面は、管軸を法線とする面であるものとする。
副管部21は、主管部10と内部空間が連結されている。副管部21は、その管軸方向が主管部10の管軸方向と平行になるように、曲がった形状の管体である。副管部21は、下流側の端部(第3の開口部)が開口している。
主管部10に流入する演奏者の息は、主管部10と副管部21との内部空間の連結部分である連結部分P1において副管部21に分岐して流入する。図3(以降の図についても同様)におけるFは、息の流れを示している。したがって、主管部10の上流側端部15Uから流入する演奏者の息は、主管部10の下流側端部15L、および副管部21の下流側端部から外部に流出する。
【0019】
固定部31は、主管部10の上流側端部15U側に設けられたコルク、ゴムなどの主管部10などの管体より柔らかい部材で構成されている。この例においては、固定部31は、主管部10の管軸方向から見て、主管部10の外周を覆うように主管部10に接着されている。また、固定部31の厚さは、上流側端部15U側ほど薄くなっているため、表面形状は、円錐の頂点部分を切り取った形状となっている。この形状におけるテーパ率は、管楽器1のテーパ部72におけるテーパ率と概ね一致している。固定部の位置は、第1の開口部と第3の開口部の間であれば、どこにあっても良い。
また、金管楽器用消音器100は必ずしも固定部31を備えていなくてもよく、例えば別部品として用意され予め管楽器内に挿入された固定部に対し主管部10が挿入されることで、管楽器1に対し金管楽器用消音器100が固定される構成が採用されても良い。
続いて、金管楽器用弱音器100が管楽器1に取り付けられた状態について説明する。
【0020】
図4は、実施形態における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100は、ベル管71の内部空間に挿入されて取り付けられる。具体的には、演奏者は、主管部10の固定部31が取り付けられた側(上流端部15U側)がベル管の内部空間側に向くようにした状態の金管楽器用弱音器100を、端部75Lからベル管71の内部空間に挿入する。金管楽器用弱音器100がベル管71の内部空間に挿入されると、固定部31は、ベル管71のテーパ部72と主管部10との間に挟まれる。このように、固定部31は、ベル管71のテーパ部72と主管部10との間に挟まれた状態で、管楽器1に対する主管部10の位置、すなわち金管楽器用弱音器100の位置を固定することにより、金管楽器用弱音器100が管楽器1に取り付けられる。主管部10とテーパ部72とからの圧力を受けた固定部31により管楽器1に金管楽器用弱音器100が取り付けられているだけであるから、演奏者は、金管楽器用弱音器100を管楽器1から引き抜くことにより、管楽器1から取り外すこともできる。
【0021】
金管楽器用弱音器100が管楽器1に取り付けられた状態において、分岐管110を構成する各管体(主管部10および副管部21)がベル管71に接触しないように、金管楽器用弱音器100の各構成の形状が決められている。図4に示す例においては、主管部10の下流側端部15Lがベル管71の外側に位置して、金管楽器用弱音器100の一部がベル管71の内部空間に全て収まっていない状態である。なお、金管楽器用弱音器100が管楽器1に取り付けられた状態において、金管楽器用弱音器100の全てがベル管71の内部空間に収まっているようにしてもよい。この場合は、主管部10の管長が短くなるようにしてもよいし、主管部10を曲がった形状のストレート管としてもよい。曲がった形状には、螺旋形状なども含まれる。
【0022】
金管楽器用弱音器100が管楽器1に取り付けられた状態において、上述した音高調整部41は、主管部10の下流側端部15L、および副管部21の下流側端部が開口した状態で、共鳴する気柱の長さを予め決められた長さに調整する。管楽器1は、予め決められた長さに調整した気柱の共鳴により、特定の音階を構成する各音高で発音する。すなわち、音高調整部41は、主管部10の下流側端部15L、および副管部21の下流側端部が開口した状態で、予め決められた音階のいずれかの音高の発音をするように、共鳴する気柱の長さを調整する。
【0023】
このように、管楽器1に金管楽器用弱音器100が取り付けられているか、取り付けられていないかにかかわらず、音高調整部41によって、共鳴する気柱の長さが調整されると、予め決められた音階のいずれかの音高で発音するように、金管楽器用弱音器100における分岐管110の内部空間の形状が決められている。この例においては、分岐管110を構成する主管部10および副管部21の管長、断面積および連結位置が決められている。
なお、管楽器が、トロンボーンの場合には、音高調整部41によって、共鳴する気柱の長さを連続的に変更させることができるため、分岐管110を構成する主管部10および副管部21の管長、断面積および連結位置が決められる自由度が、トランペットにおける場合に比べて高くなる。すなわち、同じ音高を発音させるためのスライド管の位置は、管楽器1に金管楽器用弱音器100が取り付けられている場合と取り付けられていない場合とで異なっていてもよい。
【0024】
金管楽器用弱音器100の分岐管110は、副管部21の主管部10への連結位置(主管部10の管軸方向)、副管部21の形状(管長、内部空間の断面積)など、分岐管110の形状に関するパラメータの内容に応じて、様々な共鳴特性を持つ。例えば、このパラメータを適宜設定すれば、一般的なトランペットのベル形状を有するベル管71の共鳴特性を再現することもできる。また、主管部10の下流側端部15Lがベル形状のように広がっていないため、金管楽器用弱音器100を取り付けることで、管楽器1から発音される音量を抑えることもできる。すなわち、金管楽器用弱音器100によれば、管楽器1に取り付けることにより、管楽器1から発音される音量を抑えつつ、ベル管71の共鳴特性を再現することができる。
図4の金管楽器用弱音器100では、従来の金管楽器用弱音器と異なり、低音域で余分な共鳴ピークが追加されないので、特に低次ピークに対応するピッチや音色を良好に出来る。
図5の副管部21aは、図4の副管部21に比べ、その設置位置を楽器の手前側とする自由度を有する。これにより、副管21aの移動範囲が拡大し、所望のピッチや音色を発生するよう演奏性を向上する。
【0025】
また、従来の金管楽器用弱音器によれば演奏者の息の吹き抜けが強く抑えられるため、吹奏感が大きく変わってしまう。一方、本発明の実施形態における金管楽器用弱音器100によれば、急激に息の吹き抜けが抑えられる部分がない。したがって、金管楽器用弱音器100を取り付けた管楽器1と金管楽器用弱音器100を取り付けていない管楽器1との吹込み感の違いも少なくすることができる。
このように、演奏者は、管楽器1のベル管71に金管楽器用弱音器100を取り付けることにより、取り付ける前に比べて、音質が変化しないようにしつつ、音量を抑えた演奏をすることができる。また、演奏者に与える吹込み感の変化も少なくすることができる。また、固定部31がベル管71の奥にあるテーパ部72と接触して主管部10と管楽器1との間を閉塞するように金管楽器用弱音器100を固定し、分岐管110を支持することにより、金管楽器用弱音器100が管楽器1から脱落しにくくなる。
【0026】
また、上記のように、ベル管71を再現するのではなく、全く別の形状の管体を想定した共鳴特性を再現したい場合には、その管体の形状に応じた内部空間の形状を有する分岐管110を有する金管楽器用弱音器100を、管楽器1に取り付ければよい。これにより、様々な管楽器の音を再現することができる。
このような場合には、演奏者は、金管楽器用弱音器100を管楽器1に取り付けることにより、トランペットの演奏方法により様々な音での演奏をすることができる。
【0027】
<変形例>
以上、本発明の実施形態およびその実施例について説明したが、本発明は以下のように、さまざまな態様で実施可能である。
【0028】
[変形例1]
上述した実施形態においては、副管部21が主管部10の周囲を覆うように構成されていてもよい。
【0029】
図5は、変形例1における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100aを説明する断面図である。図5(a)に示すように、金管楽器用弱音器100aは、主管部10a、主管部10aと内部空間が連結部分P1で連結された副管部21aおよび固定部31aを有する。副管部21aは、主管部10aの一部を覆う形状になっている。この例においては、副管部21aは、主管部10aの管軸方向からみて主管部10aの周囲全体を覆い、副管部21aの内部空間は、主管部10aに表面形状に沿った形状になっている。
【0030】
主管部10aは、互いに分離した第1主管部10a1と第2主管部10a2とにより構成されている。第1主管部10a1と第2主管部10a2との間に構成される連結部分P1において、主管部10aに流入する演奏者の息が分岐して副管部21aに流入する。副管部21aは、第1主管部10a1と接続されている。また、副管部21aは、内部空間に設けられた支柱を介して第2主管部10a2と接続されている。
【0031】
図5(b)は、図5(a)の矢視B−B方向から見た断面図である。図5(b)に示すように、第2主管部10a2とその周囲を覆う副管部21aとの間に支柱10a3が設けられている。このように、第1主管部10a1と第2主管部10a2とは、この支柱10a3および副管部21aを介して接続され、互いに支持する関係となる。なお、支柱10a3とともに、または支柱10a3に代えて、第1主管部10a1と第2主管部10a2とを接続する支柱を有していてもよい。
【0032】
図5(c)は、図5(a)の矢視B−B方向から見た断面図であり、図5(b)とは異なる例を示す。図5(c)に示す場合においては、副管部21aの内部空間は、副管部21aの管体と主管部10a(第2主管部10a2)の管体の一部により構成されている。この例においては、副管部21aは、第2主管部10a2の管軸方向からみて第2主管部
10a2のある角度範囲を覆い、副管部21aの内部空間は、第2主管部10a2の表面形状に沿った形状になっている。このような場合には、副管部21aは、第1主管部10a1および第2主管部10a2の双方と接続されているから、上記の支柱は不要である。
【0033】
[変形例2]
上述した実施形態においては、主管部10の側面に他の管体の連結部分P1が設けられていたが、主管部10の内部空間に連結部分が設けられるようにしてもよい。
【0034】
図6は、変形例2における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100bを説明する断面図である。金管楽器用弱音器100bは、主管部10b、主管部10bと内部空間が連結部分P1で連結された副管部21b、および固定部31bを有する。副管部21bは、主管部10bの内部空間に挿入されている。そのため、主管部10bと副管部21bとの内部空間における連結部分P1は、主管部10bの側面ではなく管体内部に存在している。
この場合、主管部10bに流入する演奏者の息は、連結部分P1において分岐して副管部21bに流入し、また、主管部10bと副管部21bとの間に形成される空間に流入する。副管部21bと主管部10bとは、変形例1における図5(b)に説明したように、支柱により接続されている。
【0035】
[変形例3]
上述した実施形態においては、主管部10の断面積は、連結部分P1の上流側と下流側とで断面積が変化していなかったが、変化してもよい。連結部分P1の上流側における主管部の外周と、下流側における主管部と副管部とをあわせた外周とが概ね一致した形状になるように構成されていてもよい。この場合、主管部10の内部空間の断面積が、連結部分P1の上流側と下流側とで異なっている。この場合の例について、図7を用いて説明する。
【0036】
図7は、変形例3における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100cを説明する断面図である。図7(a)に示すように、金管楽器用弱音器100cは、主管部10c、主管部10cと連結部分P1で連結された副管部21c、および固定部31cを有する。この例においては、主管部10cは、連結部分P1より上流側の第1主管部10c1と、下流側の第2主管部10c2とにより構成されている。第1主管部10c1は、断面形状が円形である。
【0037】
図7(b)は、図7(a)における矢視C−C方向から見た断面図である。図7(b)に示すように、第2主管部10c2と副管部21cとは、それぞれ内部空間の断面形状が半円形である。第2主管部10c2の平面部分が副管部21cの平面部分として用いられ全体として断面形状が円形となり、第1主管部10c1の断面形状と同じ形状になっている。
【0038】
[変形例4]
上述した実施形態においては、主管部10および副管部21は、内部空間の断面積が概ね変化しないストレート管であったが、テーパ管であってもよいし、ベル形状のように一定の曲率を有した管体であってもよいし、その他の形状の管体であってもよい。また、ストレート管とテーパ管などを組み合わせた管体であってもよいし、他の形状の管体であってもよい。以下、複数の例について説明する。まず、主管部10の一部がテーパ管である例について説明する。
【0039】
図8は、変形例4における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100dの例を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100dは、主管部10d、主管部10dと内部空間が連結部分P1で連結された副管部21dおよび固定部31dを有する。主管部10dは、連結部分P1より上流側の第1主管部10d1、および連結部分P1より下流側の第2主管部10d2により構成されている。図8に示す例において、第2主管部10d2は、内部空間の断面積の下流側が小さくなっているテーパ管(以下、逆テーパ管という)である。このように構成すると、管楽器1から発音される音量を、実施形態における場合に比べて、より抑えることができる。なお、第1主管部10d1と第2主管部10d2との境界は図8に示す例に限らず、より主管部10dの下流側であってもよいし、上流側であってもよい。
【0040】
図9は、変形例4における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100eの例を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100eは、主管部10e、主管部10eと内部空間が連結部分P1で連結された副管部21eおよび固定部31eを有する。主管部10eは、上流側に位置する第1主管部10e1、および下流側に位置する第2主管部10e2により構成されている。図9に示す例において、第2主管部10e2は、内部空間の断面積の下流側が大きくなっているテーパ管(以下、順テーパ管という)である。このように構成すると、管楽器1から発音される音量を、実施形態における場合に比べて、より増加させることができる。すなわち、実施形態における場合に比べて、金管楽器用弱音器を管楽器1に取り付けることによる音量の抑制量を少なくすることができる。
続いて、副管部21の一部がテーパ管である例について説明する。
【0041】
図10は、変形例4における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100fの例を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100fは、主管部10f、主管部10fと内部空間が連結部分P1で連結された副管部21fおよび固定部31fを有する。図10に示す例において、図5に示す金管楽器用弱音器100aにおける場合の副管部21aを、逆テーパ管の副管部21fとしたものである。
なお、上記の例は、金管楽器用弱音器の分岐管が取りうる様々な形状のうちの一例である。その他の例として、主管部が順テーパ管と逆テーパ管とストレート管とが接続されたものであってもよい。また、連結部分P1は、主管部のストレート管部分に設けられるだけでなく順テーパ管、逆テーパ管に設けられていてもよい。なお、主管部からの分流箇所が1箇所である場合、固定部の位置は、第1の開口部と第3の開口部の間であれば、どこにあっても良い。
【0042】
[変形例5]
上述した実施形態においては、金管楽器用弱音器100の分岐管110は、主管部10と副管部21とを有し、1つの連結部分P1を有していたが、さらに多くの管体と連結されていてもよい。以下、副管部が2つある場合の分岐管を有する金管楽器用弱音器について、複数の例を用いて説明する。なお、副管部2つある場合には、分岐管を構成する管体は3つであるが、さらに多くの管体が接続されて分岐管を構成していてもよい。
【0043】
図11は、変形例5における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100gの例を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100gは、主管部10g、主管部10gと内部空間が連結部分P1で連結された第1副管部21g、主管部10gと内部空間が連結部分P2で連結された第2副管部22g、および固定部31gを有する。このように、主管部10gに流入する演奏者の息は、主管部10gと第1副管部21gとの内部空間の連結部分である連結部分P1において第1副管部21gに分岐して流入し、また、主管部10gと第2副管部22gとの内部空間の連結部分である連結部分P2において第2副管部22gに分岐して流入する。このように、金管楽器用弱音器100gは、演奏者に吹き込まれた息が分岐する部分として、連結部分P1、P2の2つが設けられた分岐管を有する。
【0044】
主管部10gは、互いに分離した第1主管部10g1、第2主管部10g2および第3主管部10g3により構成されている。第1主管部10g1と第2主管部10g2との間に構成される連結部分P1において、主管部10gに流入する演奏者の息が分岐して第1副管部21gに流入する。第2主管部10g2と第3主管部10g3との間に構成される
連結部分P2において、主管部10gに流入する演奏者の息が分岐して第2副管部22gに流入する。それぞれの管体の接続関係については、変形例1において説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
このような連結部分を複数設けた分岐管を持つ金管楽器用弱音器の場合、固定部の位置は、第1の開口部と最上流側の分岐管における第3の開口部の間であれば、どこにあっても良い。
このように、連結部分を複数設けた分岐管を持つ金管楽器用弱音器を用いると、連結部分が単数の分岐管に比べて、さらに様々な形状の管体における共鳴特性を再現することができる。
【0045】
図12は、変形例5における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100hの例を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100hは、主管部10h、主管部10hと内部空間が連結部分P1で連結された第1副管部21h、第1副管部21hと内部空間が連結部分P2で連結された第2副管部22h、および固定部31hを有する。このように、主管部10hに流入する演奏者の息は、主管部10hと第1副管部21hとの内部空間の連結部分である連結部分P1において第1副管部21hに分岐して流入し、また、第1副管部21hと第2副管部22hとの内部空間の連結部分である連結部分P2において第2副管部22hに分岐して流入する。それぞれの管体の接続関係については、変形例1において説明したものと同様であるため、その説明を省略する。
【0046】
図13は、変形例5における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100kの例を説明する断面図である。金管楽器用弱音器100kは、主管部10k、主管部10kと内部空間が連結部分P1で連結された第1副管部21k、主管部10kと内部空間が連結部分P2で連結された第2副管部22k、および固定部31kを有する。このように、主管部10kに流入する演奏者の息は、主管部10kと第1副管部21kとの内部空間の連結部分である連結部分P1において第1副管部21kに分岐して流入し、また、主管部10kと第2副管部22kとの内部空間の連結部分である連結部分P2において第2副管部22kに分岐して流入する。
【0047】
主管部10kは、連結部分P1より上流側の第1主管部10k1と、下流側の第2主管部10k2とにより構成されている。主管部10kと第1副管部21kとの関係については、変形例3において説明したものと同様であるため、その説明を省略する。第2副管部22kは、第2主管部10k2における平面の側面部分(図13における第2主管部10k2の下側)に接続されている。図13に示すように、第2主管部10k2は、ベル管71の管軸からずれた位置に設けられている。そのため、第2副管部22kは、第2主管部10k2からベル管71の管軸側に延びるようにすると、ベル管71の内部空間を有効に活用することができる。
なお、第2主管部10k2は、連結部分P2の上流側と下流側とで内部空間の断面積が異なる管体が接続されたものであってもよい。
【0048】
[変形例6]
上述した実施形態における固定部31は、演奏者によって吹き込まれた息を主管部10に全て流入させるように主管部10とベル管71との間を塞ぐように設けられていたが、一部の息が主管部10とベル管71との間に流入するように設けられていてもよい。
図14を用いて、一部の息を主管部10とベル管71との間に流入させる固定部を実現する例について説明する。
【0049】
図14は、変形例6における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100mの例を説明する断面図である。図14(a)に示すように、金管楽器用弱音器100mは、変形例5における金管楽器用弱音器100gの構成から第1副管部21gを取り除き、固定部31gの構成を変更している。すなわち、金管楽器用弱音器100mは、第1主管部10m1と第2主管部10m2とにより構成される主管部10m、主管部10mと内部空間が連結部分P2で連結された副管部22m、および固定部31m1、31m2m、31m3を有する。
【0050】
図14(b)は、図14(a)における矢視D−D方向から見た断面図である。金管楽器用弱音器100mにおける固定部は、この例においては、3つの固定部31m1、31m2m、31m3により構成されている。固定部31m1、31m2m、31m3は、ベル管71のテーパ部72と第1主管部10m1との間に挟まれた状態で、ベル管71のテーパ部72と第1主管部10m1との管壁、固定部31m1、31m2m、31m3におけるテーパ部72または第1主管部10m1と接していない側壁により、内部空間32m1、32m2、32m3が構成される。内部空間32m1、32m2、32m3の上流側の端部から、第1主管部10m1に流入する息は、内部空間32m1、32m2、32m3のそれぞれにも分岐して流入する。この例においては、内部空間32m1、32m2、32m3の上流側の端部における断面積の合計は、第1主管部10m1の断面積よりも小さくなるように構成されている。
続いて、固定部を用いて、第1主管部10m1とテーパ部72との間に内部空間が構成される他の例について図15を用いて説明する。
【0051】
図15は、変形例6における固定部31mの他の例を説明する断面図である。図15(a)に示す第1の例における固定部31maにより構成される内部空間32ma1、32ma2、32ma3は、管壁を用いていない。固定部31maは、内部空間32ma1、32ma2、32ma3を構成する。すなわち、内部空間32ma1、32ma2、32ma3は、その周囲を固定部31maに囲まれ、テーパ部72と第1主管部10m1とのいずれとも接していない。
【0052】
図15(b)に示す第2の例における固定部31mbにより構成される内部空間32mb1、32mb2、32mb3は、第1主管部10m1の管壁を用い、テーパ部72の管壁を用いていない。固定部31mbは、第1主管部10m1とともに、内部空間32mb1、32mb2、32mb3を構成する。すなわち、内部空間32mb1、32mb2、32mb3は、第1主管部10m1の管壁と固定部31mbとに囲まれ、テーパ部72と接していない。
【0053】
図15(c)に示す第3の例における固定部31mcにより構成される内部空間32mc1、32mc2、32mc3は、テーパ部72の管壁を用い、第1主管部10m1の管壁を用いていない。固定部31mcは、テーパ部72とともに、内部空間32mc1、32mc2、32mc3を構成する。すなわち、内部空間32mc1、32mc2、32mc3は、テーパ部72の管壁と固定部31mcとに囲まれ、第1主管部10m1と接していない。
【0054】
このように、固定部を用いて演奏者の息が流入する内部空間を形成する態様は様々である。なお、複数の内部空間における構成は、これらの例を組み合わせたものであってもよい。例えば、3つの内部空間が、それぞれ第1、第2、第3の例における構成であってもよい。このような内部空間を構成する固定部を用いる場合、その固定部の位置は、第1の開口部と第2の開口部の間のどこにあっても良い。
【0055】
変形例6の金管楽器用弱音器100mによれば、演奏者の息が全てまず主管部に流入するように固定部が主管部とベル管との間を塞ぐ構成の金管楽器用弱音器と比較し、演奏者の息の吹き抜けが抑えられる程度が小さくなる。その結果、演奏者は金管楽器用弱音器を用いない金管楽器を演奏する場合により近い吹奏感で演奏を行なうことができる。
【0056】
[変形例7]
上述した変形例5における金管楽器用弱音器100gにおいて、第1副管部21gおよび第2副管部22gは、内部空間が連結された管体により構成されてもよい。
【0057】
図16は、変形例7における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100pを説明する断面図である。金管楽器用弱音器100pは、主管部10p、主管部10pと内部空間が連結部分P1で
連結された第1副管部21p、第1副管部21pと内部空間が連結部分P2で連結された第2副管部22p、および固定部31pを有する。第1副管部21pと第2副管部22pとが連結された管体が、主管部10pを覆っている。主管部10pは、互いに分離した第1主管部10p1および第2主管部10p2により構成されている。この例においては、第1副管部21pは、第2主管部10p2の一部を覆う形状になっている。一方、第2副管部22pは、第1主管部10p1の一部を覆う形状になっている。
【0058】
第1主管部10p1と第2主管部10p2との間に構成される連結部分P1において、主管部10pに流入する演奏者の息が分岐して第1副管部21pに流入する。また、第1副管部21pと第2副管部22pとの連結部分P2において、第1副管部21pに流入する演奏者の息が分岐して第2副管部22pに流入する。
なお、第1副管部21pと第2副管部22pとが連結された管体と主管部10pとは、変形例1における図5(b)に説明したように、支柱により接続されている。
【0059】
図17は、変形例7における管楽器1に取り付けられた金管楽器用弱音器100qを説明する断面図である。金管楽器用弱音器100qは、主管部10q、主管部10qと内部空間が連結部分P1で連結された第1副管部21q、第1副管部21qと内部空間が連結部分P2で連結された第2副管部22q、および固定部31qを有する。このように、主管部10qに流入する演奏者の息が分岐して第1副管部21qに流入し、第1副管部21qに流入した演奏者の息が分岐して第2副管部22qに流入するように、それぞれの管体が連結されていてもよい。
【0060】
[変形例8]
上述した実施形態において、金管楽器用弱音器100を構成する管体は、分離可能に構成されていてもよい。例えば、主管部10が分離可能に構成された金管楽器用弱音器100rについて、図18を用いて説明する。
【0061】
図18は、変形例8における金管楽器用弱音器100rを説明する断面図である。金管楽器用弱音器100rは、第1主管部10r1、第2主管部10r2、第3主管部10r3、第2主管部10r2と内部空間が連結された副管部21r、固定部31r、第1接続部33r1、および第2接続部33r2を有する。固定部31rは、第1主管部10r1の上流側端部15r1U側に設けられている。第1接続部33r1は、第1主管部10r1の下流側端部15r1L側に設けられ、第2主管部10r1と第2主管部10r2とを接続する。第2接続部33r2は、第2主管部10r2の下流側端部15r2L側に設けられ、第2主管部10r2と第3主管部10r3とを接続する。
【0062】
第1接続部33r1および第2接続部33r2により、第1主管部10r1、第2主管部10r2および第3主管部10r3を接続すると、実施形態における金管楽器用弱音器100と同様な構成となる。このように、管体が分離可能に構成されることにより、管体の収納が容易になる。
なお、第1主管部10r2と副管部21rとが分離可能に構成されていてもよい。
【0063】
[変形例9]
上述した実施形態においては、固定部31は、テーパ部72と主管部10との間に挟まれるようになっていたが、ベル部73と主管部10との間に挟まれるようになっていてもよい。この場合には、演奏者の息が、ベル管71の大きな断面積の内部空間に一旦広がった状態で、内部空間の断面積の小さい主管部10に流入することになるため、実施形態における構成の場合と比べて演奏者の吹き込み感を変化させることもできる。
【0064】
[変形例10]
上述した実施形態においては、金管楽器用弱音器100の分岐管110を構成する各管体は、端部においてのみ開口していたが、側面に開口部が設けられていてもよい。この場合、開口部が側面に設けられた管体の端部においては開口していなくてもよい。
【0065】
[変形例11]
上述した実施形態においては、主管部10および副管部21は、管長は変化しなかったが、管長が変化するように構成されてもよい。管長の変化は、例えば、スライド管により実現する。また、移動させたスライド管の位置を固定するストッパなどを有していてもよい。これにより、演奏者は、スライド管を移動させてから、ストッパなどによりその位置を固定しておくことで、金管楽器用弱音器の共鳴特性を変化させることができる。そのため、演奏者は、共鳴特性を変化させた金管楽器用弱音器を管楽器1に取り付けることで、様々な音で演奏することができる。
【0066】
[変形例12]
上述した実施形態においては、各管体の断面形状は円形であったが、楕円、多角形など他の形状であってもよい。また、管体の断面形状が管軸方向の位置により異なっていてもよい。なお、管体の内部空間の断面積が管軸方向に沿って連続的にまたは不連続的に変化するものであってもよい。
【0067】
[変形例13]
上述した実施形態または各変形例においては、各管体の管軸方向は、互いに垂直、または概ね平行の関係であったが、互いの管体における管軸のなす角は0度、90度以外であってもよい。例えば、主管部10の管軸方向に対して副管部21の管軸方向が斜め方向に伸びていてもよい。
【0068】
(実施形態の金管楽器用弱音器を用いた金管楽器の共鳴特性)
以下に、上述した実施形態およびその変形例の金管楽器用弱音器を用いた金管楽器の共鳴特性につき補足する。
図21は、本発明の実施形態およびその変形例の金管楽器用弱音器の一例として、変形例5の2つの分岐管を具備する金管楽器用弱音器100gを用いた金管楽器の共鳴特性を示すグラフである。図21において、P0は金管楽器用弱音器100gを用いない金管楽器の共鳴ピークを表す特性カーブを示し、Pmは金管楽器用弱音器100gを用いた金管楽器の共鳴ピークを表す特性カーブを示す。
図22は、従来の金管楽器用弱音器を用いた金管楽器の共鳴特性を示すグラフである。図22において、Cmは従来の金管楽器用弱音器を用いた金管楽器の共鳴ピークを表す特性カーブを示し、P0は金管楽器用弱音器を用いない金管楽器の共鳴ピークを表す特性カーブを示す。
図21から明らかなように、金管楽器用弱音器100gを用いた金管楽器の共鳴特性は、金管楽器用弱音器を用いない金管楽器の共鳴特性からのずれが小さい。
また、図22に示されるように、従来の金管楽器用弱音器を用いた金管楽器では、金管楽器用弱音器を用いない本来の金管楽器の共鳴特性に対して、ずれが大きく、また低音域において不要な共鳴ピークを生じさせている。これに対し、図21に示すように金管楽器用弱音器100gを用いた金管楽器においては不要な共鳴ピークが生じていない。
従って、金管楽器用弱音器100gによれば、金管楽器用弱音器を用いない場合の共鳴特性とのずれが小さく、また従来の金管楽器用弱音器を用いた場合のような不要な共鳴ピークが生じないため、従来の金管楽器用弱音器の使用に伴うピッチの不安定化や、音色変化等の不都合が少なく、、金管楽器用弱音器を用いない本来の金管楽器の共鳴特性をより忠実に再現することができる。
なお、金管楽器用弱音器100gにつき上述した共鳴特性に関する効果は、本発明の実施形態およびその変形例の他の金管楽器用弱音器100(例えば、単一の分岐管を有する変形例1の金管楽器用弱音器100a)においても同様に得られることが確認されている。
【符号の説明】
【0069】
1,1000A,1000B…管楽器、10,10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h,10k,10m,10p,10q…主管部、10a1,10c1,10d1,10e1,10f1,10g1,10k1,10m1,10p1,10r1…第1主管部、10a2,10c2,10d2,10e2,10f2,10g2,10k2,10m2,10p2,10r2…第2主管部、10g3,10r3…第3主管部、10a3…支柱、15L,15aL,15r1L,15r2L…下流側端部、15U,15r1U,15r2U,15r3U…上流側端部、21,21a,21b,21c,21d,21e,21f,21r…副管部、21g,21h,21k,21m,21p,21q…第1副管部、22g,22h,22k,22m,22p,22q…第2副管部、31,31a,31b,31c,31d,31e,31f,31g,31h,31k,31m1,31m2,31m3,31ma,31mb,31mc,31p,31q,31r…固定部、32m1,31m2,31m3,32ma1,32ma2,32ma3,32mb1,32mb2,32mb3,32mc1,32mc2,32mc3…内部空間、33r1…第1接続部、33r2…第2接続部、41…音高調整部、51…マウスピース、71…ベル管、72…テーパ部、73…ベル部、75L…端部、100,100a,100b,100c,100d,100e,100f,100g,100h,100k,100m,100p,100q,100r…金管楽器用弱音器、110…分岐管、400A,400B…管体、410,420…ストレート管、450…テーパ管
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