【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ又は本体装置という)の内部構成を説明する断面図である。尚、本例のプリンタにおいて、一次転写では直圧式ではなくシフト式を採用している。
【0023】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0024】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の中間転写ベルト8の下部走行面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設して構成される。この画像形成部2は、
図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0025】
上記4個の現像装置9のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置9c、9m及び9yは、それぞれ減法混色の三原色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0026】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の現像装置9yを例にしてその構成を説明する。
【0027】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0028】
現像器14は、外部を覆う外壁フレーム16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の螺旋型回転搬送部材18、及び第2の螺旋型回転搬送部材19を備えている。第1及び第2の螺旋型回転搬送部材18及び19は、詳しくは後述するが、回転軸と、この回転軸と一体に構成されて回転する螺旋型の羽根から成る。
【0029】
この現像器14には、トナー供給部4の4個のトナーカートリッジ28から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0030】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した中間転写ベルト8と、この中間転写ベルト8を掛け渡されて中間転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0031】
転写ベルトユニット3は、更に、駆動ローラ21の上方で中間転写ベルト8を掛け渡されている二次転写バックアップローラ23を備えている。二次転写バックアップローラ23には、中間転写ベルト8を介して二次転写ローラ24が圧接して、二次転写部を形成している。
【0032】
上記の中間転写ベルト8には、一次転写ローラ25がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ25は感光体ドラム10に対し中間転写ベルト8の循環移動方向下流側にややシフトした位置で中間転写ベルト8を挟むように配置されている。
【0033】
一次転写ローラ25は、下方を循環移動するベルト表面にトナー像を直接転写(一次転写)する。中間転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、二次転写ローラ24が中間転写ベルト8を介して二次転写バックアップローラ23に圧接する、二次転写部まで搬送する。
【0034】
中間転写ベルト8には、従動ローラ22に掛け渡されている表面に当接してベルトクリーナ26が配置されている。ベルトクリーナ26の下方には、ベルトクリーナ26が中間転写ベルト8から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器27が着脱自在に配置されている。
【0035】
トナー供給部4は、中間転写ベルト8の上部走行面の上方に配置されている4個のトナーカートリッジ28で構成される。4個のトナーカートリッジ28には、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の補給用トナーが収容されている。
【0036】
これら4個のトナーカートリッジ28は、後述するトナー供給路(
図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えない)により、収容しているトナーの色に対応する現像装置9の現像器14と連結されている。
【0037】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ26の左方から従動ローラ22の上方にかけて2つの電装部29が配設されている。電装部29には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0038】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット31(31a、31b)を備えている。2個の給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0039】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部が形成されている。この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0040】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0041】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0042】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する返送開始路39a、それから下方に曲がる返送中間路39b、更に左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路39cを有する返送路39を備えている。
【0043】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記返送終端路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット31bに対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に合流している。
【0044】
図2は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。
図2に示すように回路ブロックは、CPU(central processing unit)42を中心にして、このCPU42に、それぞれデータバスを介してインターフェイスコントローラ(I/F_CONT)43及びプリンタコントローラ(PR_CONT)44が接続されている。PR_CONT44にはプリンタ印字部45が接続されている。
【0045】
また、CPU42には、ROM(read only memory)46、EEPROM(electrically erasable programmable ROM)47、本体操作部の操作パネル38、各部に配置されたセンサからの出力が入力されるセンサ部48が接続されている。
【0046】
ROM46には、システムプログラムが記憶され、CPU42は、このシステムプログラムに従って各部を制御して処理を行う。
【0047】
すなわち、各部において、先ず、I/F_CONT43は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給される印字データをビットマップデータに変換し、フレームメモリ49に展開する。フレームメモリ49は、ブラック(K)、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)ごとに記憶エリアが設定されており、各色のデータが対応するエリアに展開される。
【0048】
フレームメモリ49に展開されたデータはPR_CONT44に出力され、PR_CONT44からプリンタ印字部45に出力される。
【0049】
プリンタ印字部45は、エンジン部であり、PR_CONT44からの制御の下で、
図1に示した感光体ドラム10、一次転写ローラ21等を含む不図示の回転駆動系、帯電ローラ12、光書込ヘッド13等の被駆動部を有する画像形成部、転写ベルトユニット3の上下移動や転写ベルト8の回転を駆動する不図示の駆動部を備えている。
【0050】
更に、プリンタ印字部45は、ベルト式定着ユニット6のベルト駆動を行うベルト駆動部52や現像器14のモータ等を駆動するトナー供給部モータ駆動部53を備えている。
【0051】
また、プリンタ印字部45は、用紙取出ローラ22〜排紙ローラ対31等の回転駆動される各部からなる搬送機構、発熱駆動及び回転駆動されるベルト式定着ユニット6などのプロセス負荷への駆動出力を制御する。
【0052】
そして、PR_CONT44から出力されたブラック(K)、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各色の印字データは、プリンタ印字部45からそれぞれ対応する
図1に示した光書込ヘッド13に供給される。
【0053】
図3(a)は、上記の現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図であり、
図3(b)は上記の現像器14を
図3(a)の矢印cで示す方向に切断して内部構成と現像剤の還流経路とを示す断面図である。
【0054】
なお、
図3(a),(b)には、
図1と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。また、
図3(b)には、
図3(a)に示すドクターブレード、クリーニングブレードの図示を省略し、トナー濃度センサを簡略に示している。
【0055】
図3(a),(b)に示すように、現像器14は、外壁フレーム16と内部の隔壁17とで仕切られる2つの現像槽57(57a、57b)を備えている。
【0056】
上方の現像槽57aには、現像ローラ15と第2の螺旋型回転搬送部材19が配置されている。現像ローラ15には、ドクターブレード58が当接している。下方の現像槽57bには第1の螺旋型回転搬送部材18が配置されている。この現像槽57bにはトナー濃度センサ59がその検知面61を槽内に露出して配置されている。
【0057】
第1の螺旋型回転搬送部材18は、回転軸62とこの回転軸62に螺旋状に固設された螺旋状フィン63とで構成されている。第2の螺旋型回転搬送部材19は、回転軸64とこの回転軸64に螺旋状に固設された螺旋状フィン65とで構成されている。
【0058】
現像槽57bの現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ59がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーカートリッジ28から後述するトナー補給口を介してトナーが補給される。
【0059】
上記のトナー濃度センサ59の検知面61は現像槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面61に滞留しやすい。現像剤が検知面61に滞留するとトナー濃度センサ59の検知精度が低下する。
【0060】
このトナー濃度センサ59の検知精度の低下を防止するために、現像槽57b内の第1の螺旋型回転搬送部材18の回転軸62には、トナー濃度センサ59の検知面61に対向して回転する位置に、ブレード保持部66とこのブレード保持部66に保持された弾性体シート(ブレード)67から成るクリーニングブレード68が固設されている。
【0061】
クリーニングブレード68は、第1の螺旋型回転搬送部材18の回転軸62と共に回転し、トナー濃度センサ59の検知面61を弾性体シート67により摺擦して、検知面61に滞留しようとする現像剤を払い飛ばし、直後に搬送されてくる現像剤と入替えて、トナー濃度センサ59の検知面61に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。
【0062】
図3(b)に示すように、現像ローラ15の両端部は、回転軸69を介し現像器14の外壁フレーム16の現像ローラ支持部16a、16bにより回転可能に支持されている。回転軸69の一方(
図3(b)では左方)の端部は、現像ローラ支持部16bよりも更に延び出して形成され、先端部にギア71を備えている。
【0063】
現像器14の外壁フレーム16は、現像ローラ15の回転軸69が現像ローラ支持部16bよりも更に延び出して形成されているのと同様に左方に延び出して、延出外壁フレーム16cによって延出槽72を形成している。
【0064】
延出外壁フレーム16cで形成される延出槽72は、現像槽57a、57b、及び隔壁17がそのまま延び出した形状になっている。ただし、延出槽72内の隔壁17にはトナー送戻口73が形成され、現像槽57bに連通する延出槽72の側面にはトナー補給口74が形成されている。
【0065】
上記第2の螺旋型回転搬送部材19の回転軸64は、一方の端部を、現像ローラ支持部16aと同じ側の外壁フレーム16に回転可能に支持され、他方の端部を延出外壁フレーム16cによって回転可能に支持されている。
【0066】
第2の螺旋型回転搬送部材19の回転軸64の延出外壁フレーム16cよりも外に出る外端部64aには駆動中継ギア76が固設されている。また、第1の螺旋型回転搬送部材18の回転軸62の延出外壁フレーム16cよりも外に出る外部軸62aには、外部係合ギア77と駆動伝達ギア78が固設されている。
【0067】
外部係合ギア77は、プリンタ1本体側の不図示の駆動系に係合して回転し、第1の螺旋型回転搬送部材18を回転させると共に駆動伝達ギア78を回転させる。駆動伝達ギア78は第2の螺旋型回転搬送部材19の回転軸64の駆動中継ギア76に噛合して、駆動中継ギア76に回転駆動を伝達する。
【0068】
駆動中継ギア76は、第2の螺旋型回転搬送部材19を回転させると共に、駆動伝達ギア78からの回転駆動をギア71に中継する。ギア71は現像ローラ15を回転させる。
【0069】
図3(a),(b)において、第2の螺旋型回転搬送部材19は、
図3(a)の矢印dで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽57a内の現像剤を螺旋状フィン65で攪拌しながら
図3(a)の矢印eで示すように図の紙面奥行き方向手前から向こう側へ(
図3(b)では矢印e1、e2、e3で示す左側)へ搬送する。
【0070】
第2の螺旋型回転搬送部材19は、上記のように現像剤を攪拌搬送しながら、その現像剤を現像ローラ15に供給する。現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを
図1及び
図3(a)に示す感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。
【0071】
トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽57a内の現像剤に混合される。その後、現像剤は矢印e4で示すようにトナー送戻口73から現像槽57bに送り戻される。
【0072】
この現像槽57b内の第1の螺旋型回転搬送部材18は、
図3(a)の矢印gで示すように
図3(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽57b内の現像剤を螺旋状フィン63で攪拌しながら矢印fで示すように
図3(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前側(
図3(b)では矢印f1、f2、f3、f4で示す右側)へ搬送する。
【0073】
第1の螺旋型回転搬送部材18は、現像剤を攪拌搬送しながら、
図3(a)の紙面奥行き方向手前側(
図3(b)では右側)のトナー送出口79から、矢印f5で示すように現像剤を現像槽57aに送り出す。
【0074】
トナー濃度が規定よりも低下したことがトナー濃度センサ59によって検知されると、トナー補給口74からトナーが補給される。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0075】
ところで、螺旋型回転搬送部材によって攪拌搬送されて現像槽内を循環している現像剤において、現像剤の濃度にムラがあると、印字結果にもその濃度むらが、そのまま影響してしまうという不具合が生じることは前述した。
【0076】
そこで、本例の画像形成装置では、トナー濃度を常に適正に保つように制御装置のCPU42が現像記14へのトナー補給を制御する。
【0077】
図4は、制御装置のCPU42によるトナー濃度を常に適正に保つように現像器14へのトナー補給を制御する処理動作を説明するフローチャートである。なお、以下の処理では、トナー濃度センサ59の出力がトナー補給開始電圧を上回った場合にトナー補給が必要であると判断している。
【0078】
また、この処理では、一回のトナー補給指令でトナー補給を複数回に分けて補給する処理を制御するために、変数としてFLAG、WAIT_TIME、IGNORE_SENSORの3つの変数を使用する。また、累積ドットカウンタがEEPROM47の所定領域に設定される。
【0079】
FLAGはトナー補給回数を制御のため、WAIT_TIMEはトナー補給と次のトナー補給の間の待ち時間を制御するため、IGNORE_SENSORは複数回に分けて補給されるトナーの補給が完了するまでトナー濃度の誤検知を防止するためトナー濃度センサ59の出力を無効とするよう制御するための変数である。
【0080】
また、本発明を理解しやすくするために、具体的な変数その他の数値を具体例として示すと、現像器14を現像剤が1周するに掛かる時間は20秒、一回のトナー補給指令でトナー補給を複数回に分けて補給する回数は5回、補給から補給までの待ち時間は4秒とする。
【0081】
図4の処理において、制御部のCPU42は、
図1に示す本体装置1に電源が投入され、使用する用紙の紙質、枚数、印字モード、その他の指定がキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号として入力されると、印刷を開始する。
【0082】
印刷を開始するに先立って、CPU42は、まず、FLAG、WAIT_TIME、IGNORE_SENSORの3つの変数に対応するEEPROM47の所定領域に設定したレジスタ(以下、レジスタに代えて、FLAG、WAIT_TIME、IGNORE_SENSORの名称をそのまま用いる)に「0」を設定する(ステップS1)。
【0083】
続いて、CPU42は、FLAGの値が「0」で且つトナーの補給が必要か否かを判別する(ステップS2)。この処理は、FLAGの値が「0」であればトナー補給が終了している状態であるので、その後、トナーが消費されてトナー濃度センサ59の出力がトナー補給開始電圧を上回ったか否かを判別する処理である。
【0084】
ここで、トナー濃度センサ59の出力がトナー補給開始電圧以下であれば(S2の判別がNO)、CPU42は、直ちに次の判別処理であるステップS3の処理に移行する。
【0085】
しかし、トナー濃度センサ59の出力がトナー補給開始電圧を上回っており、トナーの補給が必要であるときは(S2の判別がYes)、この場合は、CPU42は、ステップS7に移行し、先ず、累積ドットカウンタの値すなわちトナー補給を実施しなかった期間中の累積ドットカウント数を参照する。
【0086】
次に、CPU42は、参照した累積ドットカウント数に基づいて、トナー補給回数(例えば5)を算出し、続いて、現像器14を現像剤が1周するに掛かる時間(この時間は既知とする)をトナー補給回数で割ることにより、待ち時間(補給から補給までの時間間隔)を算出する。
【0087】
更に、CPU42は、FLAGにトナー補給回数である「5」をセットする。更に、CPU42は、IGNORE_SENSORに「1」をセットする。これは5回のトナー補給が終わるまでは、トナー濃度が規定値よりも薄いので、トナー濃度センサのトナー濃度を誤検知するのを防止するためトナー濃度センサ59の出力を無効とする処理である。
【0088】
最後に、GCPU42は、累積ドットカウンタの値を「0」クリアして、ステップS3の処理に移行する。ステップS3では、WAIT_TIMEの値が「0」で且つFLAGの値が「1」以上であるか否かを判別する。
【0089】
ここで、FLAGの値が「1」以上でない、つまり「0」であれば(S3の判別がNO)、複数回に分けて補給すべきトナーの補給は終了しているので、CPU42は、次の判別処理であるステップS4の処理に直ちに移行する。
【0090】
一方、上記ステップS3の判別で、WAIT_TIMEの値が「0」で且つFLAGの値が「1」以上であるときは(S3の判別がYes)、トナー補給指令に対応する複数回のトナー補給が終了しておらず、待ち時間が「0」であるので、前回に続く次のトナー補給を行う必要がある。
【0091】
この場合は、CPU42は、トナー補給を1回実施し、FLAGの値を「1」減算し、WATE_TIMEに次の待ち時間である「4」秒を設定してから(ステップS8)、ステップS4の判別に移る。ステップS4では、CPU42は印字要求が有るか否か判別する。
【0092】
この処理は、ホスト機器からの印字指令が入力されているか否かの判別と、フレームメモリ49に展開されている印字データがあるか否かの判別を行う処理である。そして、印字要求が無ければ(S4の判別がNo)、CPU42は直ちに次の判別処理であるステップS5の処理に移行する。
【0093】
一方、上記ステップS4の判別で、印字要求有りなら(S4の判別がYes)、CPU42は、印字を実行し、その分の印字ドット数を、累積ドットカウンタの値に加算してから(ステップS9)、ステップS5の判別処理に移行する。
【0094】
ステップS5では、CPU42は、WAIT_TIMEの値が「1」以上であるか否か判別する。この処理は、補給回数が1回以上残っているか否かを判別する処理である。そして、WAIT_TIMEの値が「1」以上ではない、すなわち「0」なら(S5の判別がNo)、この場合は、CPU42は、直ちに次の判別処理であるステップS6の処理に移行する。
【0095】
一方、上記ステップS5の判別で、WAIT_TIMEの値が「1」以上なら(S5の判別がYes)、待ち時間がまだ有るので、待ち時間のうち現在まで経過時間を引くために、CPU42は、WAIT_TIMEの値を「1」減算してから(ステップS10)、ステップS6の判別に移る。
【0096】
ステップS6では、CPU42は、WAIT_TIMEの値が「0」で且つIGNORE_SENSORの値が「1」であるかを判別する。
【0097】
この処理では、WAIT_TIMEの値が「0」ならトナー補給指令に対応する複数回のトナー補給が終了している。したがって、トナー濃度センサ59の出力無効は解除されていなければならないから、トナー濃度センサ59の出力無効が解除されているかを確認し、解除されていなければ解除しなければならない。
【0098】
すなわち、WAIT_TIMEの値が「0」で且つIGNORE_SENSORの値が「1」でない、つまり「0」なら(S6の判別がNo)、トナー濃度センサ59の出力無効は解除されているので、この場合は、CPU42は、ステップS2に戻ってステップS2以下の処理を行う。
【0099】
一方、WAIT_TIMEの値が「0」で且つIGNORE_SENSORの値が「1」なら(S6の判別がYes)、トナー濃度センサ59の出力無効が解除されていないので、この場合は、CPU42は、IGNORE_SENSORの値に「0」をセットしてから(ステップS11)、ステップS2に戻ってステップS2以下の処理を行う。
【0100】
このように、本例では、現像器14内のトナー濃度センサ59の出力がトナー補給開始電圧を上回ってトナー補給が必要であると判断されると、まずトナー補給を実施しなかった期間中の累積ドットカウント数からトナー補給回数を決定し、これをFLAGに設定する。
【0101】
次に現像器14を現像剤が1周する既知の時間をトナー補給回数で割って、補給から次の補給までの待ち時間を算出し、これをWAIT_TIMEに設定する。更に、複数回のトナー補給中はトナー濃度センサ59がトナー濃度が薄いと誤検知しないよう、その出力を無効にするフラグとしてIGNORE_SENSORに「1」を設定する。
【0102】
トナー補給を実施するたびに、FLAGを「1」減算し、WAIT_TIMEに待ち時間をセットする。WAIT_TIMEは処理のメインルーチンの最後のほうで「1」減算する。そしてWAIT_TIMEが「0」になった時に次のトナー補給を許可する。
【0103】
設定されたトナー補給回数だけトナーの補給が終わったら、IGNORE_SENSORに「0」を設定してトナー濃度センサ59の出力無効を解除する。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0105】
トナーを含む現像剤を循環可能に収容する現像槽と、
該現像槽の前記現像剤の循環経路中に配設され、前記現像剤中のトナーの濃度情報を出力するトナー濃度センサと、
該トナー濃度センサの出力値と比較基準値とを比較する比較部と、
前記循環経路中に配設され補給用トナーを補給する補給口と、
前記比較部の比較結果に基づいて補給の要否を判断し、補給要と判断された際に、前記補給口から補給用トナーを前記現像槽に補給するトナー補給部と、
前記トナー補給部による前回のトナー補給の完了時点から今回のトナー補給開始までの間の印字実績に基づくトナー消費量を算出する算出手段と、
前記算出手段の算出結果に応じて補給すべきトナー量を算出し、該算出された量の補給すべきトナーを、前記現像剤が前記循環経路を1周して循環するまでに前記補給口から複数回で補給するように、前記トナー補給部を制御するトナー補給量制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0106】
トナーを含む現像剤を循環可能に収容する現像槽を備えた画像形成装置におけるトナー補給方法であって、
該現像槽の前記現像剤の循環経路中に配設されたトナー濃度センサにより前記現像剤中のトナーの濃度情報を出力し、
該出力されたトナー濃度センサの出力値と比較基準値とを比較し、
該比較結果に基づいて補給の要否を判断し、補給要と判断された際に、前記循環経路中に配設された補給口から補給用トナーを前記現像槽に所定の補給量で補給し、
該補給に関連して前回のトナー補給の完了時点から今回のトナー補給開始までの間の印字実績に基づくトナー消費量を算出し、
該トナー消費量の算出結果に応じて補給すべきトナー量を算出し、該算出された量の補給すべきトナーを、前記現像剤が前記循環経路を1周して循環するまでに前記補給口から複数回で補給するよう、制御する
ことを特徴とするトナー補給方法。
[付記3]
トナーを含む現像剤を循環可能に収容する現像槽を備えた画像形成装置においてコンピュータにより読み取り可能に構成されたトナー補給プログラムであって、
該現像槽の前記現像剤の循環経路中に配設されたトナー濃度センサにより前記現像剤中のトナーの濃度情報を出力するトナー濃度情報出力手順と、
該トナー濃度情報出力手順によるトナー濃度センサの出力値と比較基準値とを比較するトナー濃度比較手順と、
該トナー濃度比較手順の比較結果に基づいて補給の要否を判断し、補給要と判断された際に、前記循環経路中に配設された補給口から補給用トナーを前記現像槽に補給するトナー補給手順と、
該トナー補給手順による前回のトナー補給の完了時点から今回のトナー補給開始までの間の印字実績に基づくトナー消費量を算出するトナー消費量算出手順と、
該トナー消費量算出手順の算出結果に応じて補給すべきトナー量を算出し、該算出された量の補給すべきトナーを、前記現像剤が前記循環経路を1周して循環するまでに前記補給口から複数回で補給するよう、前記トナー補給手順を制御するトナー補給量制御手順と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするトナー補給プログラム。