特許第6011197号(P6011197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011197
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】マルチレベル電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/483 20070101AFI20161006BHJP
【FI】
   H02M7/483
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2012-209368(P2012-209368)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-64431(P2014-64431A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】チャン フィ
(72)【発明者】
【氏名】宗島 正和
(72)【発明者】
【氏名】漆畑 正太
(72)【発明者】
【氏名】小倉 和也
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−508792(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/093504(WO,A1)
【文献】 特開2008−118728(JP,A)
【文献】 特開2004−40944(JP,A)
【文献】 特開2011−109789(JP,A)
【文献】 特開2008−92651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、
直列接続された3個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続された3個の第1基本セルを有する基本回路と、
負極側から見て3つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第13,第14スイッチング素子と、負極側から見て2つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第15,第16スイッチング素子と、負極側から見て1つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第17,第18スイッチング素子と、第13,第14スイッチング素子の共通接続点と第17,第18スイッチング素子の共通接続点との間に順次直列接続された第19,第20,第21,第22スイッチング素子と、第19,第20スイッチング素子の共通接続点と第21,第22スイッチング素子の共通接続点との間に順次直列接続された第1,第2ダイオードと、を有し、第15,第16スイッチング素子の共通接続点と、第1,第2ダイオードの共通接続点を接続し、前記各基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子を入力端子とし、第13〜第22スイッチング素子を選択的のON,OFFすることにより、この入力端子のうち何れかの端子の電位を選択して出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備えたことを特徴とするマルチレベル電力変換装置。
【請求項2】
直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、
直列接続された4個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続された4個の第1基本セルを有する基本回路と、
負極側から見て4つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第23,第24スイッチング素子と、負極側から見て3つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第25,第26スイッチング素子と、負極側から見て2つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第27,第28スイッチング素子と、負極側から見て1つ目のフライングキャパシタの両端子間に直列接続された第29,第30スイッチング素子と、第23,第24スイッチング素子の共通接続点と、第29,第30スイッチング素子の共通接続点の間に順次直列接続された第31,第32スイッチング素子と、第25,第26スイッチング素子の共通接続点と第31,第32スイッチング素子の共通接続点との間に接続された第1双方向スイッチと、第27,第28スイッチング素子の共通接続点と第31,第32スイッチング素子の共通接続点との間に接続された第2双方向スイッチとを有し、前記各第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子を入力端子とし、この第23〜第32スイチング素子および第1,第2双方向スイッチを選択的にON,OFFすることにより、この入力端子のうち何れかの端子の電位を選択して出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備えたことを特徴とするマルチレベル電力変換装置。
【請求項3】
直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、
直列接続されたN個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続されたN個(N≧2)の第1基本セルを有する基本回路と、
前記各第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子と、各直流電圧源の両端端子の全て又は何れかの端子を入力端子とし、前記各入力端子と出力端子の間にそれぞれスイッチング素子を有し、このスイッチング素子を選択的にON,OFF制御することにより、前記入力端子のうち何れかの端子の電位を出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備えたことを特徴とするマルチレベル電力変換装置。
【請求項4】
直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、
直列接続されたN個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続されたN個(N≧2)の第1基本セルを有する基本回路と、
前記各第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子を入力端子とし、前記各入力端子と出力端子の間にそれぞれスイッチング素子を有し、このスイチング素子を選択的にON,OFFすることにより、この入力端子のうち何れかの端子の電位を選択して出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備え、
前記基本回路は、
各第1基本セルのフライングキャパシタの両端端子のうち一方と、電圧選択回路の入力端子と、の間にスイッチング素子を備えたことを特徴とするマルチレベル電力変換装置。
【請求項5】
前記電圧選択回路は、
各第1基本セルのフライングキャパシタの両端端子と各直流電圧源の共通接続点を入力端子とし、
前記各共通接続点と電圧選択回路の出力端子との間のスイッチング素子は、互いに逆の耐圧方向に制御できる双方向スイッチであることを特徴とする請求項3記載のマルチレベル電力変換装置。
【請求項6】
前記電圧選択回路は、
各第1基本セルのフライングキャパシタの両端端子と、各直流電圧源を直列接続した直列回路の両端端子を入力端子とし、前記入力端子のうち第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子に接続されたスイッチング素子は、逆の耐圧方向に制御できる双方向スイッチであることを特徴とする請求項3記載のマルチレベル電力変換装置。
【請求項7】
前記基本回路もしくは前記電圧選択回路もしくは前記拡張回路内のスイッチング素子の一部又は全てを、直列数を2以上としたことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のマルチレベル電力変換装置。
【請求項8】
前記基本回路もしくは前記電圧選択回路もしくは前記拡張回路内のスイッチング素子の一部または全てを、並列数を2以上としたことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のマルチレベル電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電圧源から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマルチレベル電力変換装置として、例えば、特許文献1に記載の5レベルインバータが知られている。図16は、特許文献1に記載の5レベルインバータにおける主回路1相分の構成を示す回路図である。図16において、C1,C2は直流キャパシタ,C3,C4はフライングキャパシタ,Sはスイッチング素子(IGBT等の半導体スイッチ素子と逆並列にダイオードを接続したモジュール:以下同様)を示している。
【0003】
図16に示す5レベルインバータは、各スイッチング素子SをONOFF動作、および、各直流キャパシタC1,C2,各フライングキャパシタC3,C4の電圧Vc1,Vc2,Vc3,Vc4を、Vc1=Vc2=1/2E、Vc3=Vc4=1/4Eとなるように制御することによって、端子RO間に図17に示すような5レベルの相電圧を出力することができる。
【0004】
なお、直流キャパシタの電圧制御についての技術は特許文献2、フライングキャパシタの電圧制御についての技術は特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4369425号公報
【特許文献2】特開平7−75345号公報
【特許文献3】特許第3301761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図16に示すマルチレベル電力変換装置は5レベルの相電圧を出力でき、一相あたり2個のフライングキャパシタC3,C4と10個のスイッチング素子Sから構成されている。また、三相の場合は、図16に示す5レベル電力変換装置が3組必要となり、フライングキャパシタは6個,スイッチング素子は30個使用することとなる。
【0007】
このように、従来のマルチレベル電力変換装置では、フライングキャパシタの数が多く、装置が大型化する問題点があった。
【0008】
以上示したようなことから、マルチレベル電力変換装置において、フライングキャパシタの個数を低減し、装置の小型化を図ることが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、直列接続されたN個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続されたN個(N≧2)の第1基本セルを有する基本回路と、前記各第1基本セルにおけるフライングキャパシタに対して、それぞれスイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子を順次直列接続した第2基本セルを並列接続し、この第2基本セルのフライングキャパシタに対してさらに第2基本セルを並列接続し、これをK回繰り返してK(K≧1)個の第2基本セルを接続した拡張回路と、前記各拡張回路のK番目における第2基本セルのフライングキャパシタの両端端子を入力端子とし、前記各入力端子と出力端子間にそれぞれスイッチング素子を有し、このスイッチング素子を選択的にON,OFF制御することにより、前記入力端子のうち何れかの端子の電位を出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、その他の態様は、直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、直列接続されたN個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続されたN個(N≧2)の第1基本セルを有する基本回路と、前記各第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子を入力端子とし、前記各入力端子と出力端子の間にそれぞれスイッチング素子を有し、このスイチング素子を選択的にON,OFFすることにより、この入力端子のうち何れかの端子の電位を選択して出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、その他の態様は、直流電圧源の電圧から複数の電圧レベルに変換した交流出力を生成するマルチレベル電力変換装置であって、直列接続されたN個の直流電圧源の各正,負極間に、それぞれ順次スイッチング素子,フライングキャパシタ,スイッチング素子が直列接続されたN個(N≧2)の第1基本セルを有する基本回路と、前記各第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子と、各直流電圧源の両端端子の全て又は何れかの端子を入力端子とし、前記各入力端子と出力端子の間にそれぞれスイッチング素子を有し、このスイッチング素子を選択的にON,OFF制御することにより、前記入力端子のうち何れかの端子の電位を出力端子から出力するM相(M≧3)の電圧選択回路と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、前記基本回路は、各第1基本セルのフライングキャパシタの両端端子のうち一方と、電圧選択回路の入力端子と、の間にスイッチング素子を備えてもよい。
【0013】
また、前記電圧選択回路は、各第1基本セルのフライングキャパシタの両端端子と各直流電圧源の共通接続点を入力端子とし、前記各共通接続点と電圧選択回路の出力端子との間のスイッチング素子は、互いに逆の耐圧方向に制御できる双方向スイッチとしてもよい。
【0014】
また、前記電圧選択回路は、各第1基本セルのフライングキャパシタの両端端子と各直流電圧源を直列接続した直列回路の両端端子を入力端子とし、前記入力端子のうち第1基本セルのフライングキャパシタにおける両端端子に接続されたスイッチング素子は、逆の耐圧方向に制御できる双方向スイッチとしてもよい。
【0015】
また、前記基本回路もしくは前記電圧選択回路もしくは前記拡張回路内のスイッチング素子の一部または全てを、直列数を2以上としてもよい。
【0016】
さらに、前記基本回路もしくは前記電圧選択回路もしくは前記拡張回路内のスイッチング素子の一部または全てを、並列数を2以上としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マルチレベル電力変換装置において、フライングキャパシタの個数を低減し、装置の小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における基本セルを示す回路図である。
図2】本発明における基本回路を示す回路図である。
図3】本発明における拡張回路を示す回路図である。
図4】本発明における電圧選択回路を示す回路図である。
図5】実施形態1におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図6】実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図7】実施形態3におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図8】実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図9】実施形態4における基本回路部分のスイッチングパターンと端子に出力される電位を示す概略図である。
図10】実施形態5におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図11】実施形態6におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図12】実施形態7におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図13】実施形態8におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図14】実施形態9におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図15】実施形態10におけるマルチレベル電力変換装置を示す回路図である。
図16】特許文献1における5レベルインバータを示す回路図である。
図17】5レベルインバータにおける出力相電圧の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[基本構成]
図1は、本発明におけるマルチレベル電力変換装置に用いる基本セル1を示す回路図である。基本セル1は、1個のフライングキャパシタと2個のスイッチング素子(例えば、IGBT:以下、同様)で構成される。
【0020】
具体的には、図1に示すように、基本セル1は、端子1,3間にスイチング素子S1,1,フライングキャパシタCFC1,スイッチング素子S1,2が順次直列接続されて構成される。また、フライングキャパシタCFC1の両端端子を端子2,2’としている。
【0021】
前記端子1には直流電圧源の負極側が接続され、端子3には直流電圧源の正極側が接続される。この直流電圧源としては、例えば、直流キャパシタや直流電源等が挙げられる。
【0022】
図1に示す基本セル1において、スイッチング素子S1,2がONかつスイッチング素子S1,1がOFFのとき端子2’は端子3の電位を出力し、端子2は端子3の電位からフライングキャパシタCFC1の電圧を減算した電位を出力する。
【0023】
同様に、スイッチング素子S1,1がONかつスイッチング素子S1,2がOFFのとき端子2は端子1の電位を出力し、端子2’は端子1の電位からフライングキャパシタCFC1の電圧を加算した電位を出力する。
【0024】
図2は、図1に示す基本セル1をN個直列に接続した基本回路2の構成を示す回路図である。ここで、N≧2とする。また、端子1,…,2N−1には各直流電圧源の負極側が接続され、3,…,2N+1には各直流電圧源の正極側が接続される。
【0025】
ここで、各直流電圧源の電圧を2E,各フライングキャパシタCFC1…CFCNの電圧をEとすると、端子2p(p=1,…,N)にはそれぞれ端子1の電位に対して、2E(p−1)または2Ep−Eの電圧が出力され、端子2p’(p=1,…,N)には2Epまたは2Ep−Eの電圧が出力できる。
【0026】
その結果、図2に示す基本回路2はスイチング素子S1,1,S1,2,…,SN,1,SN,2を選択的にONOFFすることにより、端子2,2’,…,2N,2N’から2N+1レベルの電位を出力することができる。
【0027】
図3は、図1に示す基本セル1をK個接続した拡張回路3を示す回路図である。この拡張回路3は、図3に示すように、1番目の基本セル1におけるフライングキャパシタC1に対して、並列に2番目の基本セル1の両端を接続し、さらに2番目の基本セルにおけるフライングキャパシタC2に対し、3番目の基本セルの両端を接続し、これを繰り返してK個(K≧1)の基本セルを接続している。1番目の基本セルの両端子間を入力端子2N_1’,2N_1とし、K番目の基本セルにおけるフライングキャパシタCKの両端を出力端子2N_2’,2N_2とする。また、各フライングキャパシタの電圧は異なる値(例えば、C1=E,C2=E/2,CK=E/2K)とする。
【0028】
この拡張回路3におけるスイッチング素子を選択的にONOFFして電流経路を決定し、電流経路におけるフライングキャパシタの電圧を加算や減算した値が出力端子2N_2’,2N_2の電圧レベルとなる。この拡張回路により、出力する電圧レベル数を拡張することができる。
【0029】
次に、電圧選択回路について図4に基づいて説明する。電圧選択回路は、基本回路2の端子(2,2’,…,2N,2N’)または拡張回路3の端子(2_2,2_2’,…,2N_2,2N_2’)を入力端子とし、この入力端子のうちどの電位を出力端子から出力するかを選択するものである。電圧選択回路は図4の(a),(b),(c)またはこれらの回路の組み合わせなどによって構成される。各入力端子と出力端子との間にはスイッチング素子が設けられ、このスイッチング素子を選択的にONすることにより、入力端子((a)(b)では2_3,2_3’,4_3,4_3’,…,2(N−1)_3,2(N−1)3’,2N_3,2N_3’、(c)では2_3,2_3’,4_3,4_3’,6_3,6_3’)のうちいずれかの端子の電位を出力することができる。
【0030】
[実施形態1]
図5は、本実施形態1におけるマルチレベル電力変換装置の構成を示す概略図である。図5に示すように、本実施形態1におけるマルチレベル電力変換装置は、図2に示す基本回路,および図3に示す拡張回路,さらに図4に示す電圧選択回路を用いて構成したM相N段Kステージのマルチレベル電力変換装置である。また、ここでMは相数を示す。
【0031】
基本回路2の構成は、図2と同様であるため、ここでの説明は省略する。基本回路2の両端端子1,2N+1間にはN個の直流電圧源(直流キャパシタCDC1〜CDCN)が直列に接続され、基本回路の端子3,5,…,2N−1にはそれぞれ各直流キャパシタCDC1,CDC2,CDC3,…,CDCNの共通接続点が接続される。
【0032】
この基本回路の端子2,2’,…,2N,2N’には、相モジュール41,42,…,4Mが接続される。この相モジュール41,42,…,4Mは、それぞれ拡張回路3と、電圧選択回路5を備える。前記拡張回路3は、基本回路2内における基本セルと同数備えられ、基本回路の端子2,2’,…,2N,2N’と拡張回路の入力端子2_1,2_1’,…,2N_1,2N_1’とが接続される。また、拡張回路3の出力端子2_2,2_2’,…,2N_2,2N_2’と電圧選択回路41の入力端子2_3,2_3’,…,2N_3,2N_3’とが接続される。そして、相モジュール41,42,…,4M内の電圧選択回路5の出力端子がマルチレベル電力変換装置の出力端子OUT_1,OUT_2,…,OUT_Mとなる。
【0033】
ここで、各直流キャパシタCDC1,CDCNの電圧を2Eとし、基本回路2中のフライングキャパシタCFC1〜CFCNの電圧をEに制御すると、基本回路2における端子2,…,2(N−1),2Nにはそれぞれ端子1の電位に対して、(2p−2)Eまたは(2p−1)Eの電圧が出力でき、端子2’,…,2(N−1)’,2N’には2pEまたは(2p−1)Eの電圧が出力できる(p=1,…,N)。
【0034】
次に、端子2,2’,4,4’,…,2N,2N’から出力された電圧をそれぞれ相モジュール41,42,…,4Mに入力する。端子2,2’,4,4’,…,2N,2N’から出力された電圧は、まず拡張回路3に入力される。
【0035】
そして、拡張回路3中のフライングキャパシタCn(n=1,…,K)の電圧をE×(1/2)nに制御することにより、拡張回路3の出力端子2_2,2_2’,…,2N_2,2N_2’に(2N・2K+1)レベルの電圧を出力することが可能となる。
【0036】
そして、各相の電圧選択回路5はスイッチング素子を選択してONすることにより、入力端子2_3,2_3’…,2N_3,2N_3’のうちいずれかを選択し、出力端子OUT_1,OUT_2,…,OUT_Mから出力する。これにより、出力端子OUT_1,OUT_2,…,OUT_Mから(2N・2K+1)レベルのうちいずれかの電圧レベルを選択して出力することが可能となる。
【0037】
以上示したように、本実施形態1におけるマルチレベル電力変換装置によれば、フライングキャパシタCFC1,CFC2,…,CFCNをM相で共通化しているため、フライングキャパシタの個数を低減することができる。その結果、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0038】
また、基本セルをN個直列に接続して基本回路2を構成し、さらに、拡張回路3をKステージ接続することによって出力できる電圧レベル数を増加させ、電圧選択回路5において出力する電圧を選択することにより、2N・2K+1レベルの相電圧を出力することが可能となる。
【0039】
すなわち、本実施形態1によれば、M相の2N・2K+1レベルの電力変換装置をフライングキャパシタN+N・M・K個で実現することが可能となる。
【0040】
[実施形態2]
次に、本実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置を図6に基づいて説明する。図6に示すように、本実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態1におけるM相N段Kステージのマルチレベル電力変換装置の拡張回路を省略し、M相N段の構成にしたものである。すなわち、実施形態1におけるマルチレベル電力変換装置において、K=0とした構成である。その他の構成は実施形態1と同様である。
【0041】
本実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置は、基本回路をN個直列に接続することにより端子2,2’,…,2N,2N’から2N+1レベルの相電圧を出力できる。また、各相モジュール41,42,4Mにおいて電圧選択回路のスイッチング素子を選択的にON,OFFすることにより、端子2,2’,…,2N,2N’の電位のうちいずれかを選択して、出力端子OUT_1〜OUT_Mから出力する。
【0042】
その結果、本実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置では、(2N+1)レベルのうちいずれかの電圧レベルを選択して出力端子OUT_1〜OUT_Mから出力することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置によれば、フライングキャパシタCFC1,CFC2,…,CFCNをM相で共通化しているため、フライングキャパシタの個数を低減することができる。その結果、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0044】
すなわち、M相の2N+1レベルの電力変換装置をフライングキャパシタN個で実現することができる。
【0045】
[実施形態3]
次に、本実施形態3におけるマルチレベル電力変換装置を図7に基づいて説明する。図7に示すように、本実施形態3におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置に対して、各直流キャパシタCDC1,…,CDCNの両端端子1,3,…,2N−1,2N+1を冗長的に各相の相モジュール41,42,…,4Mに接続した構成である。
【0046】
すなわち、実施形態2では、フライングキャパシタCFC1,CFC2,…,CFCNの両端端子2,2’,…,2N,2N’のみ相モジュール41,42,…,4Mに接続していたが、本実施形態3では、各フライングキャパシタCFC1,CFC2,…,CFCNの両端端子2,2’,…,2N,2N’の他に、各直流キャパシタCDC1,…,CDCNの両端端子1,3,…,2N−1,2N+1も相モジュール41,42,…,4Mに接続したものである。
【0047】
このように、各直流キャパシタCDC1,…,CDCNの両端端子1,3,…,2N−1,2N+1も相モジュール41,42,…,4Mに接続することにより、電圧選択回路において電圧を選択できる端子が冗長的に増加する。すなわち、実施形態2では各相の電圧選択回路において、各フライングキャパシタCFC1,…,CFCNの両端端子2,2’,…,2N,2N’のうちいずれかの電位を選択して出力端子OUT_1〜OUT_Mから出力していたが、本実施形態3では各相の電圧選択回路において、各フライングキャパシタCFC1,CFC2,…,CFCNの両端端子2,2’,…,2N,2N’の他に、各直流キャパシタCDC1,…,CDCNの両端端子1,3,…,2N−1,2N+1の電位も選択して出力端子OUT_1〜OUT_Mから出力することができる。
【0048】
なお、図7では直流キャパシタCDC1,…,CDCNの両端端子1,3,…,2N−1,2N+1と各相モジュール41〜4Mとの接続線L1,L3,…,L2N-1,L2N+1を全て接続しているが、必ずしも全て接続する必要はない。
【0049】
以上示したように、本実施形態3におけるマルチレベル電力変換装置によれば、実施形態2と同様の作用効果を奏する。
【0050】
また、直流電圧源の両端端子と電圧選択回路を接続することによって、実施形態2と比較して電圧選択回路において選択できる電圧レベルのパターン数が増加する。
【0051】
[実施形態4]
(1)回路構成
次に、本実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置を図8,9に基づいて説明する。本実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態2におけるマルチレベル電力変換回路において、N=2,M=3としたものである。
【0052】
具体的には、前記基本セルを2つ直列接続して基本回路が構成される。基本回路の端子1,5間には直流キャパシタCDC1,CDC2が直列接続され、直流キャパシタCDC1,CDC2の共通接続点が基本回路の端子3と接続される。また、前記基本回路には、U相,V相,W相の電圧選択回路が接続される。
【0053】
電圧選択回路において、U相では、フライングキャパシタCFC2の両端端子4’,4間にスイッチング素子Su5,Su6が直列接続され、フライングキャパシタCFC1の両端端子2’,2間にスイッチング素子Su7,Su8が直列接続される。そして、スイッチング素子Su5,Su6の共通接続点と、スイッチング素子Su7,Su8の共通接続点との間にスイッチング素子Su9,Su10が直列接続される。このスイッチング素子Su9とスイッチング素子Su10との共通接続点がU相の出力端子OUT_Uとなる。また、V相,W相についても同様に電圧選択回路が構成される。
【0054】
(2)マルチレベル電力変換装置のスイッチングパターン生成
ここで、本実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置の動作について説明する。
【0055】
図9は、基本回路部分のスイッチングパターンとフライングキャパシタCFC2,CFC1の両端端子4’,4,2’,2に出力される電位を示す概略図である。ここで、直流キャパシタCDC1とCDC2の電圧を2E,フライングキャパシタCFC1とCFC2の電圧をEに制御する。なお、電位の基準点は直流キャパシタCDC1とCDC2の共通接続点である端子3とする。
【0056】
また、各パターン1〜4でのスイッチング素子S1,1,S1,2,S2,1,S2,2の状態と端子2,2’,4,4’の電位を表1に示す。なお、表1では、S1,1:OFF,S1,2:ONの状態の時S1,1(/S1.2)=0、S1,1:ON,S1,2:OFFの状態の時S1,1(/S1.2)=1と示す。なお、S2,1(/S2,2)についても同様である。
【0057】
【表1】
【0058】
〔パターン1〕S2,2:ON,S2,1:OFF,S1,2:ON,S1,1:OFF
端子4’は2E,端子4はE,端子2’は0,端子2は−Eの電位となる。
【0059】
〔パターン2〕S2,2:ON,S2,1:OFF,S1,2:OFF,S1,1:ON
端子4’は2E,端子4はE,端子2’は−E,端子2は−2Eの電位となる。
【0060】
〔パターン3〕S2,2:OFF,S2,1:ON,S1,2:ON,S1,1:OFF
端子4’はE,端子4は0,端子2’は0,端子2は−Eの電位となる。
【0061】
〔パターン4〕S2,2:OFF,S2,1:ON,S1,2:OFF,S1,1:ON
端子4’はE,端子4は0,端子2’は−E,端子2は−2Eの電位となる。
【0062】
上記のように、パターン1からパターン4により、端子4’には2EかEの電位を、端子4にはEか0の電位を、端子2’には0か−Eの電位を、端子2には−Eか−2Eの電位を出力することができる。すなわち、スイッチング素子S1.1,S1.2,S2.1,S2.2を選択的にON,OFFすることにより、端子2,2’,4,4’から−2E,−E,0,E,2Eの5レベルの電位を出力することができる。
【0063】
そのため、電圧選択回路によって端子4,4’,2,2’のうちいずれかの端子電位を選択することにより、2E,E,0,−E,−2Eの5レベルの電圧を出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wから出力することが可能となる。
【0064】
例えば、U相の電圧選択回路において、スイッチング素子Su8,Su10をONとし、その他のスイッチング素子をOFFとすることにより、端子2の電位を出力端子OUT_Uから出力することができる。同様に、スイッチング素子Su7,Su10をONとすることにより端子2’の電位を出力端子OUT_Uから出力し、スイッチング素子Su6,Su9をONとすることにより端子4の電位を出力端子OUT_Uから出力し、スイッチング素子Su5,Su9をONとすることにより端子4’の電位を出力端子OUT_Uから出力することができる。V相,W相についても同様である。
【0065】
以上示したように、本実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置によれば、フライングキャパシタCFC1,CFC2を三相で共通化しており、三相5レベルの電力変換装置を2個のフライングキャパシタで実現することができる。図16に示す特許文献1の5レベル電力変換装置とフライングキャパシタの個数を比較すると、特許文献1では三相合計で6個であるのに対し、本実施形態4では三相合計でも2個であるため、フライングキャパシタの個数を低減することができている。その結果、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0066】
なお、前記パターン1〜4には、フライングキャパシタの両端端子4’,4,2’,2から2E,0,−2Eの電位を同時に出力するパターンはない。したがって、図8に示す出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wから表2に示す組み合わせの電位を同時に出力することができない。
【0067】
【表2】
【0068】
そのため、本実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置では、出力できない電位の組み合わせがあることを考慮してU相,V相,W相の電圧選択回路におけるスイッチング素子を制御する必要があり、U相,V相,W相の各相で独立して電圧選択回路を制御することができない。
【0069】
また、図8に示す回路は一例であり、高電圧化のために各スイッチング素子を2直列以上にした回路でもよく、大電流化のために各スイッチング素子を2並列以上にした回路でもよい。
【0070】
[実施形態5]
次に、本実施形態5におけるマルチレベル電力変換装置を図10に基づいて説明する。本実施形態5におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置に対し、各基本セルの端子2nと2n’の間に、スイッチング素子Sn,3を挿入した構成である。換言すると、フライングキャパシタCFCnの両端端子のうち一方と、電圧選択回路の入力端子との間にスイッチング素子Sn.3を挿入した構成である。
【0071】
本実施形態5では、端子2’とフライングキャパシタCFC1との間にスイッチング素子S1,3が介挿され、端子4とフライングキャパシタCFC2との間にスイッチング素子S2,3が介挿されている。その他の構成は実施形態4と同様である。
【0072】
この追加したスイッチング素子S1,3,S2,3によって、端子4’,4,2’,2から出力できる電位のパターン数が増加する。
【0073】
具体例について説明する。まず、直流キャパシタCDC1,CDC2の電圧を2E,フライングキャパシタCFC1,CFC2の電圧をEに制御する。なお、電位の基準点は直流キャパシタCDC1とCDC2の共通接続点である端子3とする。
【0074】
例えば、スイッチング素子S2,2:ON、S2,3:OFF,S2,1:ON、S1,2:ON、S1,3:OFF、S1,1:ONの時、各端子の電位は、4’:2E、4:0、2:0’、2:−2Eとなる。すなわち、端子5および端子1の電位と同時に直流キャパシタCDC1,CDC2の共通接続点(すなわち、端子3)の電位を、端子4’,4,2’,2に出力できる。この端子4’,4,2’,2から出力された2E,0,−2Eの電位を、電圧選択回路のスイッチング素子をON,OFFして選択することにより、実施形態4ではなかった電位(2E、0、−2E)の出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wからの同時出力が可能となる。
【0075】
したがって、本実施形態5では、2E,E,0,−E,−2Eの全ての組み合わせでの三相出力が可能となり、実施形態4ではできなかったU相,V相,W相の各相で独立して電圧選択回路を制御することが可能となる。
【0076】
また、実施形態4と同様に、3相5レベルの電力変換装置をフライングキャパシタ2個で実現できるため、装置の小型化が可能となる。
【0077】
[実施形態6]
次に、本実施形態6におけるマルチレベル電力変換装置を図11に基づいて説明する。
【0078】
本実施形態6におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態4におけるマルチレベル電力変換装置の電圧選択回路に対して、各相の出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wと端子3との間に、それぞれ互いに逆の耐圧方向に制御できる双方向スイッチを介挿したものである。双方向スイッチの構成方法は数種類ある。図11では、スイッチング素子Su11,Su12を逆向きに直列接続する構成の双方向スイッチを示す。V相,W相についても同様である。
【0079】
また、この構成は、実施形態3におけるマルチレベル電力変換装置において、M=3,N=2とし、各相の電圧選択回路との接続線L1,L5を未接続とし、接続線L3を接続した構成に相当する。
【0080】
このように、端子3、すなわち、直流キャパシタCDC1とCDC2の共通接続点と出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_W間を双方向スイッチで接続することにより、実施形態5と同様に2E,0,−2Eの同時出力パターンが可能となる。その結果、実施形態4と比較して基本回路から出力される電位のパターンが増加する。
【0081】
例えば、出力端子からOUT_U=0,OUT_V=2E,OUT_W=−2Eをそれぞれ出力するときの動作を説明する。ここで、実施形態5と同様に、直流キャパシタCDC1とCDC2の電圧を2E,フライングキャパシタCFC1とCFC2の電圧をEに制御する。また、電位の基準点は直流キャパシタCDC1とCDC2の共通接続点である端子3とする。
【0082】
[S2,2:ON、S2,1:OFF、S1,2:OFF、S1,1:ON]
上記のような場合、各端子の電位は、4’:2E、4:E、3:0、2’:−E、2:−2Eとなる。また、スイッチング素子Su11,Su12,Sv5,Sv9,Sw8,Sw10をONとし、その他のスイッチング素子をOFFさせることにより、各出力端子において、OUT_U=0,OUT_V=2E,OUT_W=−2Eを出力することが可能となる。
【0083】
また、上記の他にも電圧選択回路のスイッチングパターンを変えることにより、各出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wから他の組み合わせの2E,0,2Eの電位を同時に出力することが可能である(例えば、OUT_U=2E,OUT_V=0,OUT_W=−2E)。
【0084】
したがって、本実施形態6では、(2E,E,0,−E,−2E)の全ての組み合わせでの三相出力が可能となり、実施形態4ではできなかったU相,V相,W相の各相で独立して電圧選択回路を制御することが可能となる。
【0085】
また、実施形態4と同様に、3相5レベル電力変換装置をフライングキャパシタ2個で実現できるため、装置の小型化が可能となる。
【0086】
[実施形態7]
(1)回路構成
次に、本実施形態7におけるマルチ(7)レベル電力変換装置を図12に基づいて説明する。
【0087】
本実施形態7におけるマルチ(7)レベル電力変換装置は、実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置に対して、N=3,M=3とした構成であり、7レベルの相電圧を出力するものである。
【0088】
具体的には、基本回路は前記基本セルを3つ直列接続して構成される。基本回路の端子1,7間には直流キャパシタCDC1,CDC2,CDC3が直列接続され、直流キャパシタCDC1,CDC2の共通接続点が基本回路の端子3と接続され、直流キャパシタCDC2,CDC3の共通接続点が基本回路の端子5と接続される。
【0089】
また、前記基本回路には、U相,V相,W相の電圧選択回路が接続される。U相では、基本回路の端子6’と端子6との間にスイッチング素子Su13,Su14が直列接続され、端子4’と端子4との間にスイッチング素子Su15,Su16が直列接続され、端子2’と端子2との間にスイッチング素子Su17,Su18が直列接続される。そして、スイッチング素子Su13,Su14の共通接続点とスイッチング素子Su17,Su18の共通接続点との間にスイッチング素子Su19,Su20,Su21,Su22が直列接続される。さらに、スイッチング素子Su19,Su20の共通接続点とスイッチング素子Su21,Su22の共通接続点との間にダイオードDu1,Du2が介挿され、このダイオードDu1,Du2の共通接続点とスイッチング素子Su15,Su16との共通接続点とが接続される。また、スイッチング素子Su20とSu21との共通接続点がU相の出力端子OUT_Uとなる。また、V相,W相についても同様に電圧選択回路が構成される。
【0090】
(2)マルチレベル電力変換装置のスイッチングパターン生成
本実施形態7におけるマルチレベル電力変換装置の動作について説明する。ここで、直流キャパシタCDC1,CDC2,CDC3の電圧を2E、フライングキャパシタCFC1,CFC2,CFC3の電圧をEに制御する。なお、電位の基準点は端子1とする。
【0091】
また、基本回路における各パターンでのスイッチング素子S1.1,S1.2,S2.1,S2.2,S3.1,S3.2の状態と端子2,2’,4,4’,6,6’の電位を表3に示す。なお、表3では、S1,1:OFF,S1,2:ONの状態の時S1,1(/S1.2)=0、S1,1:ON,S1,2:OFFの状態の時S1,1(/S1.2)=1と示す。なお、S2,1(/S2,2),S3,1(/S3,2)についても同様である。
【0092】
【表3】
【0093】
〔パターン1〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:OFF,S3,2:ON
端子2はE,端子2’は2E,端子4は3E,端子4’は4E,端子6は5E,端子6’は6Eの電位となる。
【0094】
〔パターン2〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:OFF,S3,2:ON
端子2はE,端子2’は2E,端子4は2E,端子4’は3E,端子6は5E,端子6’は6Eの電位となる。
【0095】
〔パターン3〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:ON,S3,2:OFF
端子2はE,端子2’は2E,端子4は3E,端子4’は4E,端子6は4E,端子6’は5Eの電位となる。
【0096】
〔パターン4〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:ON,S3,2:OFF
端子2はE,端子2’は2E,端子4は2E,端子4’は3E,端子6は4E,端子6’は5Eの電位となる。
【0097】
〔パターン5〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:OFF,S3,2:ON
端子2は0,端子2’はE,端子4は3E,端子4’は4E,端子6は5E,端子6’は6Eの電位となる。
【0098】
〔パターン6〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:OFF,S3,2:ON
端子2は0,端子2’はE,端子4は2E,端子4’は3E,端子6は5E,端子6’は6Eの電位となる。
【0099】
〔パターン7〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:ON,S3,2:OFF
端子2は0,端子2’はE,端子4は3E,端子4’は4E,端子6は4E,端子6’は5Eの電位となる。
【0100】
〔パターン8〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:ON,S3,2:OFF
端子2は0,端子2’はE,端子4は2E,端子4’は3E,端子6は4E,端子6’は5Eの電位となる。
【0101】
上記のように、パターン1からパターン8により、端子2には0かEの電位を、端子2’には2EかEの電位を、端子4には2Eか3Eの電位を、端子4’には3Eか4Eの電位を、端子6には4Eか5Eの電位を、端子6’には5Eか6Eの電位を出力できる。そのため、電圧選択回路によって端子2,2’,4,4’,6,6’のうちいずれかを選択することにより、0,E,2E,3E,4E,5E,6Eの7レベルの電位を出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wから出力することが可能となる。
【0102】
例えば、U相の電圧選択回路におけるスイッチング素子のうちSu13,Su19,Su20をONとし、その他のスイッチング素子をOFFとすることにより、端子6’の電位をU相の出力端子OUT_Uから出力させることができる。また、電圧選択回路のスイッチング素子を選択してONすることにより、その他の端子(6,4’,4,2’,2)の電位をU相の出力端子OUT_Uから出力することができる。V相,W相についても同様である。
【0103】
以上示したように、本実施形態7におけるマルチ(7)レベル電力変換装置によれば、フライングキャパシタCFC1,CFC2,CFC3を三相で共通化しており、三相7レベルの電力変換装置を3個のフライングキャパシタで実現することができる。そのため、フライングキャパシタの個数を低減させることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0104】
[実施形態8]
次に、本実施形態8におけるマルチレベル電力変換装置を図13に基づいて説明する。
【0105】
本実施形態8におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態2におけるマルチレベル電力変換装置に対して、N=4,M=3とした構成である。
【0106】
具体的には、基本回路は前記基本セルを4つ直列接続して構成される。基本回路の端子1,9間には直流キャパシタCDC1,CDC2,CDC3,CDC4が順次直列接続され、直流キャパシタCDC1,CDC2の共通接続点が基本回路の端子3と接続され、直流キャパシタCDC2,CDC3の共通接続点が基本回路の端子5と接続され、直流キャパシタCDC3,CDC4の共通接続点が基本回路の端子7と接続される。
【0107】
また、前記基本回路には、U相,V相,W相の電圧選択回路が接続される。
【0108】
電圧選択回路は、U相において基本回路の端子8’と端子8との間にスイッチング素子Su23,Su24が直列接続され、端子6’と端子6との間にスイッチング素子Su25,Su26が直列接続され、端子4’と端子4との間にスイッチング素子Su27,Su28が直列接続され、端子2’と端子2との間にスイッチング素子Su29,Su30が直列接続される。そして、スイッチング素子Su23,Su24の共通接続点とスイッチング素子Su29,Su30の共通接続点との間にスイッチング素子Su31,Su32が直列接続される。
【0109】
さらに、スイッチング素子Su25,Su26の共通接続点とスイッチング素子Su31,Su32の共通接続点との間にスイッチング素子Su33,Su34を逆向きに直列接続した双方向スイッチが介挿され、スイッチング素子Su27,Su28の共通接続点とスイッチング素子Su31,Su32の共通接続点との間にスイッチング素子Su35,Su36を逆向きに直列接続した双方向スイッチが介挿される。また、スイッチング素子Su31とSu32との共通接続点がU相の出力端子OUT_Uとなる。また、V相,W相についても同様に電圧選択回路が構成される。
【0110】
(2)マルチレベル電力変換装置のスイッチングパターン生成
本実施形態8におけるマルチレベル電力変換装置の動作について説明する。ここで、直流キャパシタCDC1,CDC2,CDC3,CDC4の電圧を2E、フライングキャパシタCFC1,CFC2,CFC3,CFC4の電圧をEに制御する。なお、電位の基準点は端子5とする。
【0111】
また、基本回路における各パターンでの各スイッチング素子S1.1,S1.2,S2.1,S2.2,S3.1,S3.2,S4.1,S4.2の状態と各端子2,2’,4,4’,6,6’,8,8’の電位を表4に示す。なお、表4では、S1,1:OFF,S1,2:ONの状態の時S1,1(/S1.2)=0、S1,1:ON,S1,2:OFFの状態の時S1,1(/S1.2)=1と示す。なお、S2,1(/S2,2),S3,1(/S3,2),S4,1(/S4,2)についても同様である。
【0112】
【表4】
【0113】
〔パターン1〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−E,端子4’は0,端子6はE,端子6’は2E,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0114】
〔パターン2〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−E,端子4’は0,端子6はE,端子6’は2E,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0115】
〔パターン3〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−E,端子4’は0,端子6は0,端子6’はE,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0116】
〔パターン4〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−E,端子4’は0,端子6は0,端子6’はE,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0117】
〔パターン5〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6はE,端子6’は2E,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0118】
〔パターン6〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6はE,端子6’は2E,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0119】
〔パターン7〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6は0,端子6’はE,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0120】
〔パターン8〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−3E,端子2’は−2E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6は0,端子6’はE,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0121】
〔パターン9〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−E,端子4’は0,端子6はE,端子6’は2E,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0122】
〔パターン10〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−E,端子4’は0,端子6はE,端子6’は2E,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0123】
〔パターン11〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−E,端子4’は0,端子6はE,端子6’は2E,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0124】
〔パターン12〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−E,端子4’は0,端子6は0,端子6’はE,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0125】
〔パターン13〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−E,端子4’は−E,端子6はE,端子6’は2E,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0126】
〔パターン14〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:OFF,S3,2:ON,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6はE,端子6’は2E,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0127】
〔パターン15〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:OFF,S4,2:ON
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6は0,端子6’はE,端子8は3E,端子8’は4Eの電位となる。
【0128】
〔パターン16〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,S3,1:ON,S3,2:OFF,S4,1:ON,S4,2:OFF
端子2は−4E,端子2’は−3E,端子4は−2E,端子4’は−E,端子6は0,端子6’はE,端子8は2E,端子8’は3Eの電位となる。
【0129】
上記のように、パターン1からパターン16により、端子2には−3Eか−4Eの電位を、端子2’には−2Eか−3Eの電位を、端子4には−Eか−2Eの電位を、端子4’には0か−Eの電位を、端子6には0かEの電位を、端子6’にはEか2Eの電位を、端子8には2Eか3Eの電位を、端子8’には3Eか4Eの電位を出力できる。そのため、電圧選択回路によって端子2,2’,4,4’,6,6’,8,8‘のうちいずれかを選択することにより、−4E,−3E,−2E,−E,0,E,2E,3E,4Eの9レベルの電位のうちいずれかの電位を出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wに出力することが可能となる。
【0130】
例えば、U相の電圧選択回路におけるスイッチング素子のうちSu23,Su31をONとし、その他のスイッチング素子をOFFとすることにより端子8’の電位をU相の出力端子U_OUTから出力させることができる。また、電圧選択回路のスイッチング素子を選択してONすることにより、その他の端子(8,6’6,4’,4,2’,2)の電位を出力端子から出力することができる。
【0131】
以上示したように、本実施形態8におけるマルチ(9)レベル電力変換装置によれば、フライングキャパシタCFC1,CFC2,CFC3,CFC4を三相で共通化しており、三相9レベルの電力変換装置を4個のフライングキャパシタで実現することができる。そのため、フライングキャパシタの個数を低減させることができ、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0132】
[実施形態9]
次に、本実施形態9におけるマルチレベル電力変換装置を図14に基づいて説明する。
【0133】
(1)回路構成
本実施形態9におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態3におけるマルチレベル電力変換装置において、基本セルを2つ直列に接続した基本回路(N=2)とし、この基本回路に対して3相の電圧選択回路を接続したものである。なお、接続線L1,L5を接続しL3を未接続としている。
【0134】
前記電圧選択回路は、U相において、端子4’に2つのスイッチング素子Su37,Su38を逆向きに直列接続した双方向スイッチの一端が接続される。また、同様に、端子4にはスイッチング素子Su39,Su40で構成された双方向スイッチの一端が接続され、端子2’にはスイッチング素子Su41,Su42で構成された双方向スイッチの一端が接続され、端子2にはスイッチング素子Su43,Su44で構成された双方向スイッチの一端が接続される。
【0135】
また、端子5と端子1との間には、スイッチング素子Su45,Su46,Su47,Su48が直列接続される。前記スイッチング素子Su37,Su38で構成された双方向スイッチとスイッチング素子Su39,Su40で構成された双方向スイッチの他端は、スイッチング素子Su45,Su46の共通接続点と接続され、前記スイッチング素子Su41,Su42で構成された双方向スイッチとスイッチング素子Su43,Su44で構成された双方向スイッチとの他端はスイッチング素子Su47,Su48の共通接続点と接続される。
【0136】
また、スイッチング素子Su46とSu47との共通接続点がU相の出力端子OUT_Uとなる。また、V相,W相についても同様に電圧選択回路が構成される。
【0137】
(2)マルチレベル電力変換装置のスイッチングパターン生成
本実施形態9におけるマルチレベル電力変換装置によれば、実施形態5,6と同様に、2E,0,−2Eの同時出力パターンが可能となる。
【0138】
例として、出力端子OUT_U=0,OUT_V=2E,OUT_W=−2Eを出力するときの動作を説明する。なお、電位の基準点は端子3とする。ここで、実施形態5、6と同様に、直流キャパシタCDC1とCDC2の電圧を2E,フライングキャパシタCFC1とCFC2の電圧をEに制御する。
【0139】
基本回路のスイッチング素子がS2,2:OFF、S2,1:ON、S1,2:ON、S1,1:OFFの時、各端子の電位は、5:2E、4’:E、4:0、2’:0、2:−E、1:−2Eとなる。そして、電圧選択回路においてスイッチング素子Su39,Su40,Su41,Su42,Su46,Su47,Sv45,Sv46,Sw47,Sw48をONさせることにより、出力端子において、OUT_U=0,OUT_V=2E,OUT_W=−2Eが出力できる。
【0140】
また、電圧選択回路のスイッチング素子を選択的にONすることにより、U,V,W各相と2E,0,−2Eの出力電圧との他の組み合わせも可能である。
【0141】
すなわち、フライングキャパシタCFC1とCFC2両端の電位を双方向スイッチにより、出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wに独立に接続させることができる。
【0142】
したがって、本実施形態9では、2E,E,0,−E,−2Eの全ての組み合わせで三相出力が可能となり、実施形態4ではできなかったU相,V相,W相各相で独立してのパターン選択が可能となる。
【0143】
また、本実施形態9では、フライングキャパシタCFC1,CFC2をU,V,W相の三相で共通化しており、3相5レベルの電力変換装置をフライングキャパシタ2個で実現できるため、装置の小型化が可能となる。
【0144】
[実施形態10]
次に、本実施形態10におけるマルチレベル電力変換装置を図15に基づいて説明する。
【0145】
(1)回路構成
本実施形態10におけるマルチレベル電力変換装置は、実施形態1におけるマルチレベル電力変換装置において、基本セルを2つ直列に接続した基本回路(N=2)とし、この基本回路に対して1ステージの拡張回路(K=1)と電圧選択回路から構成された相モジュールを3相(M=3)接続したものである。
【0146】
ここで、本実施形態10における拡張回路について説明する。基本回路の端子4’,4,2’,2にはスイッチング素子Su1,Su2,Su3,Su4がそれぞれ接続される。そして、スイッチング素子Su3,Su4の間にフライングキャパシタCU1が介挿され、スイッチング素子Su1,Su2の間にフライングキャパシタCU2が介挿されている。
【0147】
また、フライングキャパシタCU1の両端が端子2_2,2_2’,フライングキャパシタCU2の両端が端子4_2,端子4_2’となる。なお、V相,W相についても同様に構成される。
【0148】
次に、電圧選択回路について説明する。U相において、前記端子4_2’と端子4_2との間にスイッチング素子Su5,Su6が直列に接続され、端子2_2’と端子2_2’との間にスイッチング素子Su7,Su8が直列に介挿される。そして、スイッチング素子Su5,Su6の共通接続点とスイッチング素子Su7,Su8の共通接続点との間にスイッチング素子Su9,Su10が直列に接続され、このスイッチング素子Su9,Su10の共通接続点がU相の出力端子OUT_Uとなる。なお、V相,W相についても同様に構成される。
【0149】
(2)マルチレベル電力変換装置のスイッチングパターン生成
ここで、本実施形態10におけるマルチレベル電力変換装置の動作について説明する。直流キャパシタCDC1,CDC2の電圧を2E,基本回路のフライングキャパシタCFC1,CFC2の電圧をE、拡張回路のフライングキャパシタCU1,CU2,CV1,CV2,CW1,CW2をE/2に制御する。なお、電位の基準点は端子3とする。
【0150】
また、基本回路とU相の拡張回路におけるスイッチング素子S1.1,S1.2,S2.1,S2.2,Su1,Su2,Su3,Su4の状態と、端子2_2,2_2’,4_2,4_2’の電位を表5に示す。なお、表5では、S1,1:OFF,S1,2:ONの状態の時S1,1(/S1.2)=0、S1,1:ON,S1,2:OFFの状態の時S1,1(/S1.2)=1と示す。なお、S2,1(/S2,2),Su1(/Su2),Su3(/Su4)についても同様である。
【0151】
【表5】
【0152】
〔パターン1〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−E,端子2_2’は−E/2,端子4_2はE,端子4_2’は3E/2の電位となる。
【0153】
〔パターン2〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−E/2,端子2_2’は0,端子4_2はE,端子4_2’は3E/2の電位となる。
【0154】
〔パターン3〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−E,端子2_2’は−E/2,端子4_2は3E/2,端子4_2’は2Eの電位となる。
【0155】
〔パターン4〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−E/2,端子2_2’は0,端子4_2は3E/2,端子4_2’は2Eの電位となる。
【0156】
〔パターン5〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−E,端子2_2’は−E/2,端子4_2は0,端子4_2’はE/2の電位となる。
【0157】
〔パターン6〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−E/2,端子2_2’は0,端子4_2は0,端子4_2’はE/2の電位となる。
【0158】
〔パターン7〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−E,端子2_2’は−E/2,端子4_2はE/2,端子4_2’はEの電位となる。
【0159】
〔パターン8〕S1,1:OFF,S1,2:ON,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−E/2,端子2_2’は0,端子4_2はE/2,端子4_2’はEの電位となる。
【0160】
〔パターン9〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−2E,端子2_2’は−3E/2,端子4_2はE,端子4_2’は3E/2の電位となる。
【0161】
〔パターン10〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−3E/2,端子2_2’は−E,端子4_2はE,端子4_2’は3E/2の電位となる。
【0162】
〔パターン11〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−2E,端子2_2’は−3E/2,端子4_2は3E/2,端子4_2’は2Eの電位となる。
【0163】
〔パターン12〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:OFF,S2,2:ON,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−3E/2,端子2_2’は−E,端子4_2は3E/2,端子4_2’は2Eの電位となる。
【0164】
〔パターン13〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−2E,端子2_2’は−3E/2,端子4_2は0,端子4_2’はE/2の電位となる。
【0165】
〔パターン14〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:OFF,Su2:ON,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−3E/2,端子2_2’は−E,端子4_2は0,端子4_2’はE/2の電位となる。
【0166】
〔パターン15〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:OFF,Su4:ON
端子2_2は−2E,端子2_2’は−3E/2,端子4_2はE/2,端子4_2’はEの電位となる。
【0167】
〔パターン16〕S1,1:ON,S1,2:OFF,S2,1:ON,S2,2:OFF,Su1:ON,Su2:OFF,Su3:ON,Su4:OFF
端子2_2は−3E/2,端子2_2’は−E,端子4_2はE/2,端子4_2’はEの電位となる。
【0168】
上記のように、パターン1からパターン16により、端子2_2には−2E,−3E/2,−E,−E/2のうちいずれかの電位を、端子2_2’には−3E/2,−E,−E/2,0のうちいずれかの電位を、端子4_2には0,E/2,E,3E/2のうちいずれかの電位を、端子4_2’にはE/2,E,3E/2,2Eのうちいずれかの電位を出力できるため、電圧選択回路によって端子2_2,2_2’,4_2,4_2’のうちいずれかを選択することにより、−2E,−3E/2,−E,−E/2,0,E/2,E,3E/2,2Eの9レベルの電圧を出力端子OUT_U,OUT_V,OUT_Wに出力することが可能となる。
【0169】
例えば、U相の電圧選択回路におけるスイッチング素子のうちSu5,Su9をONとし、その他のスイッチング素子をOFFとすることにより端子4_2’の電位をU相の出力端子U_OUTから出力させることができる。また、電圧選択回路のスイッチング素子を選択してONすることにより、その他の端子(4_2,2_2’2_2)の電圧を出力端子から出力することができる。
【0170】
以上示したように、本実施形態10におけるマルチ(9)レベル電力変換回路によれば、フライングキャパシタCFC1,CFC2をU,V,W相の三相で共通化しており、3相9レベルの電力変換装置をフライングキャパシタ8個で実現できるため、装置の小型化が可能となる。
【0171】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【符号の説明】
【0172】
DC1〜CDCN…直流電圧源
1.1,S1.2,S2.1,S2.2,Su1〜Su48…スイッチング素子
FC1〜CFCN,C1〜CK…フライングキャパシタ
1…基本セル
2…基本回路
3…拡張回路
5…電圧選択回路
41〜4M…相モジュール
1〜2N+1…基本回路における基本セルの両端(直流電圧源の両端)端子
2,2’〜2N,2N’…フライングキャパシタの両端端子
2_1,2_1’〜2N_1,2N_1’…拡張回路の入力端子
2_2,2_2’〜2N_2,2N_2’…拡張回路の出力端子
2_3,2_3’〜2N_3,2N_3’…電圧選択回路の入力端子
OUT1〜OUTM,OUT_U,OUT_V,OUT_W…出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17