特許第6011198号(P6011198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6011198
(24)【登録日】2016年9月30日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】車両の後部荷室構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/08 20060101AFI20161006BHJP
【FI】
   B60R13/08
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-209658(P2012-209658)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-61859(P2014-61859A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】清水 貞明
(72)【発明者】
【氏名】松尾 茂樹
【審査官】 谷治 和文
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭55−014587(JP,Y2)
【文献】 実公平04−036984(JP,Y2)
【文献】 特開2009−132233(JP,A)
【文献】 特開2007−197005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部荷室構造であって、
後部荷室の床面を形成するフロアパネルと、
前記後部荷室の車幅方向の側壁を形成する一対のサイドパネルと、
前記フロアパネルの上面に敷設されるフロアカーペットと、
シート状のカバーを引き出して荷室の上部を覆うことが可能なトノカバー装置を保持し、一対の前記サイドパネルにそれぞれ取り付けられた一対の固定機構と、を備え、
前記フロアカーペットの車幅方向長さを前記一対のサイドパネルの離間距離よりも長く形成すると共に、その車幅方向両端を前記フロアパネルと前記一対のサイドパネルとの間にそれぞれ差し込んで挟持させ、
前記フロアカーペットの車幅方向両端を、前記フロアパネルと一対の前記固定機構との間にそれぞれ差し込んで挟持させた
ことを特徴とする車両の後部荷室構造。
【請求項2】
車両の後部荷室構造であって、
後部荷室の床面を形成するフロアパネルと、
前記後部荷室の車幅方向の側壁を形成する一対のサイドパネルと、
前記フロアパネルの上面に敷設されるフロアカーペットと、を備え、
前記フロアカーペットの車幅方向長さを前記一対のサイドパネルの離間距離よりも長く形成すると共に、その車幅方向両端を前記フロアパネルと前記一対のサイドパネルとの間に差し込んで挟持させ、
前記フロアカーペットは、その車幅方向の少なくとも一方の端部を上方に折り曲げて形成され、
前記一対のサイドパネルよりも車幅方向外側に位置する前記フロアパネルの上面に、前記フロアカーペットの折り曲げ部分と当接するブラケットを設けたことを特徴とする車両の後部荷室構造。
【請求項3】
ケース内に巻き取り収容されたシート状のカバーを引き出して荷室の上部を覆うことが可能なトノカバー装置をさらに備え、
前記一対のサイドパネルに、前記ケースの端部と係合して前記トノカバー装置を着脱可能に保持する凹部を有する固定機構をそれぞれ設けた請求項2記載の車両の後部荷室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部荷室構造に関し、特に、ケース内に巻き取り収納されたシート状のトノカバーを引き出して荷室の上部を被覆可能なトノカバー装置を備えた車両の後部荷室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の床面を形成するフロアパネル上面には、車室内の装飾機能や緩衝(衝撃吸収)機能及び、防音(遮音・吸音)機能を果たすフロアカーペットが敷設される。このようなフロアカーペットの敷設構造は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
また、車両の後部荷室構造として、ケース内に巻き取り収納されたシート状のトノカバーを、使用時にケースから引き出して荷室の上部を被覆するトノカバー装置を備えたものも知られている。このようなトノカバー装置を備えた車両の後部荷室構造は、例えば特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−61911号公報
【特許文献2】特開2000−33837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的にトノカバー装置は、荷室の左右側壁を形成する一対のクウォータロアトリムにそれぞれ設けられた固定機構によって荷室内に着脱可能に保持される。この固定機構は、クウォータロアトリムの開口部に嵌合されたパネルに凹部を形成し、係る凹部にケース両端の凸部を係合させることでトノカバー装置を固定する。
【0006】
トノカバー装置が固定機構によって荷室内に保持されている時は、ケースを介して固定機構に車幅方向の反力が作用する。すなわち、トノカバー装置のケースが突っ張り構造となって、固定機構やクウォータロアトリムの振動は効果的に抑制される。しかしながら、トノカバー装置が固定機構によって保持されていない時は、この固定機構に反力が作用しない。そのため、車両の振動等が固定機構やクウォータロアトリムを振動させて、低級音を生じさせる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、クウォータロアトリムの振動を防止して、低級音の発生を効果的に抑制することができる車両の後部荷室構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の後部荷室構造は、車両の後部荷室構造であって、後部荷室の床面を形成するフロアパネルと、前記後部荷室の車幅方向の側壁を形成する一対のサイドパネルと、前記フロアパネルの上面に敷設されるフロアカーペットとを備え、前記フロアカーペットの車幅方向長さを前記一対のサイドパネルの離間距離よりも長く形成すると共に、その車幅方向両端を前記フロアパネルと前記一対のサイドパネルとの間に差し込んで挟持させたことを特徴とする。
【0009】
また、前記フロアカーペットは、その車幅方向の少なくとも一方の端部を上方に折り曲げて形成され、前記一対のサイドパネルよりも車幅方向外側に位置する前記フロアパネルの上面に、前記フロアカーペットの折り曲げ部分と当接するブラケットを設けてもよい。
【0010】
また、ケース内に巻き取り収容されたシート状のカバーを引き出して荷室の上部を覆うことが可能なトノカバー装置をさらに備え、前記一対のサイドパネルに、前記ケースの端部と係合して前記トノカバー装置を着脱可能に保持する凹部を有する固定手段をそれぞれ設けてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の車両の後部荷室構造によれば、クウォータロアトリムの振動を防止して、低級音の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る車両の後部荷室構造を示す模式的な斜視図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る後部荷室構造のクウォータロアトリムを裏面側から視た模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係る車両の後部荷室構造を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の車両の後部荷室構造1は、荷室の右側壁面を形成する右側クウォータロアトリム(サイドパネル)2と、荷室の左側壁面を形成する左側クウォータロアトリム(サイドパネル)3と、荷室の床面を形成するフロアパネル4と、フロアパネル4の上面に敷設されたフロアカーペット5と、一対の右側ブラケット6(図2,3参照)及び左側ブラケット7と、トノカバー装置(不図示)を荷室内に保持する一対の右側固定機構10及び左側固定機構11とを備えている。
【0015】
なお、本実施形態の車両の後部荷室構造1は左右対称に構成されているため、左側に配置された構成(左側クウォータロアトリム3、左側ブラケット7、左側固定機構11)については詳細な説明を省略する。
【0016】
右側クウォータロアトリム2は、例えば合成樹脂材料等で形成されており、何れも図示しない車両のフレームにクリップ等で固定されている。この右側クウォータロアトリム2の下端縁部とフロアパネル4との間には、フロアカーペット5の厚さよりも小さく、かつ、フロアカーペット5の差し込みを許容する微小クリアランスが形成されている(図2参照)。
【0017】
フロアパネル4は、荷室の床面全体を構成するように略矩形平板状に形成されている。このフロアパネル4の車幅方向(左右方向)の長さは、右側クウォータロアトリム2と左側クウォータロアトリム3と離間距離よりも長く形成されている。
【0018】
フロアカーペット5は公知の構造であって、防音材や緩衝材及び断熱材等を含み構成されている。このフロアカーペット5の車幅方向(左右方向)の長さは、右側クウォータロアトリム2と左側クウォータロアトリム3と離間距離よりも長く形成されている。すなわち、フロアパネル4の上面に敷設された状態で、フロアカーペット5の右端部は右側クウォータロアトリム2とフロアパネル4との間に差し込まれて挟持されると共に、フロアカーペット5の左端部は左側クウォータロアトリム3とフロアパネル4との間に差し込まれて挟持される。また、フロアカーペット5の左右両端部(左右のクウォータロアトリム2,3よりも荷室外側に位置する両端部)は、それぞれ上方に向けて折り返して形成されている。
【0019】
図2,3に示すように、右側ブラケット6は、縦断面形状を略L字状に形成されており、その横板部6aを右側クウォータロアトリム2よりも荷室外側に位置するフロアパネル4上に固定されている。また、右側ブラケット6の縦板部6bには、上方に折り返されたフロアカーペット5の右端部が当接する。このように、フロアカーペット5の左右両端に形成された折り返し部分を左右のブラケット6,7に当接させることで、フロアカーペット5をフロアパネル4上の所定位置に正確かつ容易に敷設することが可能になる。
【0020】
図2に示すように、右側固定機構10は、右側クウォータロアトリム2の開口部に嵌合された右側固定パネル10aと、右側固定パネル10aから外側(右側)に窪む第一の凹部10bと、第一の凹部10bからさらに外側(右側)に窪む第二の凹部10cとを備えている。トノカバー装置20を荷室内に保持する際は、ケース21の右端部を第一の凹部10b内に収容させると共に、ケース21の右端部に形成された凸部21aを第二の凹部10cと係合させる。これにより、トノカバー装置20は、右側固定機構10(及び、左側固定機構11)によって、荷室内に着脱可能に保持される。なお、トノカバー装置20を保持させた状態で、右側固定機構10の裏面は右側ブラケット6の縦板部6bに接触し、かつ、左側固定機構11の裏面は左側ブラケット7の縦板部7bに接触することで、トノカバー装置20の反力を支えるように構成されている。
【0021】
次に、本実施形態に係る車両の後部荷室構造1による作用効果を説明する。
【0022】
トノカバー装置20が左右の固定機構10,11によって荷室内に保持されている時は、これら左右の固定機構10,11にケース21を介して車幅方向の反力が作用する。すなわち、トノカバー装置20のケース21が突っ張り構造となり、左右の固定機構10,11及びクウォータロアトリム2,3の振動は効果的に防止される。一方、トノカバー装置20が左右の固定機構10,11によって保持されていない(取り外されている)時は、ケース21を介した車幅方向の反力は左右の固定機構10,11に作用しない。
【0023】
ここで、本実施形態の後部荷室構造1は、フロアパネル4と左右のクウォータロアトリム2,3との間の微小クリアランスに、フロアカーペット5の左右両端をそれぞれ差し込んで挟持させている。すなわち、左右のクウォータロアトリム2,3(及び固定機構10,11)の下端縁部は、緩衝材等を含むフロアカーペット5上に置かれて、振動が効果的に抑制されるように構成されている。
【0024】
したがって、本実施形態の後部荷室構造1によれば、トノカバー装置20が取り外されて、左右の固定機構10,11に突っ張り構造としてのケース21の反力が作用しない場合においても、左右の固定機構10,11やクウォータロアトリム2,3の振動を抑制することが可能となり、低級音の発生を効果的に防止することができる。
【0025】
また、フロアカーペット5の左右両端は折り返し形成されると共に、この折り返し部分には、左右のブラケット6,7がそれぞれ当接される。
【0026】
したがって、本実施形態の後部荷室構造1によれば、フロアパネル4上にフロアカーペット5を敷設する際の位置決めを正確かつ容易に行うことが可能となり、後部荷室構造1の組立性を効果的に向上することができる。
【0027】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0028】
例えば、フロアカーペット5端部の折り返しやブラケット6,7は、必ず左右両方を備える必要はなく、左右何れか一方のみで構成することもできる。この場合も上述の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 後部荷室構造
2 右側クウォータロアトリム(サイドパネル)
3 左側クウォータロアトリム(サイドパネル)
4 フロアパネル
5 フロアカーペット
6 右側ブラケット(ブラケット)
7 左側ブラケット(ブラケット)
10 右側固定機構(固定手段)
11 左側固定機構(固定手段)
20 トノカバー装置
21 ケース
図1
図2
図3