(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱可塑性樹脂からなる連続線条体を曲がりくねらせランダムル−プを形成し、夫々のル−プを互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなる三次元ランダムル−プ接合構造体と、
前記三次元ランダムループ接合構造体を包み込む包装体と、を備え、
前記三次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度が0.005〜0.200g/cm3であり、
前記三次元ランダムル−プ接合構造体の単位重さあたりの接合点数が500〜1200個/gである、寝具。
前記熱可塑性樹脂が、軟質ポリオレフィン、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、及びポリアミド系熱可塑性エラストマーからなる群より少なくとも一つ選ばれる熱可塑性樹脂である、請求項1〜3のいずれかに記載の寝具。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0018】
<寝具>
図1に、本発明の寝具の一例である実施の形態の寝具の模式的な斜視図を示し、
図2に
図1のII−IIに沿った模式的な拡大断面図を示す。
図1および
図2に示すように、本実施の形態の寝具1は、三次元ランダムループ接合構造体10と、三次元ランダムループ接合構造体10を包み込む包装体11と、を備えている。
【0019】
三次元ランダムループ接合構造体10としては、線条(連続線状体21)を曲がりくねらせランダムループ22を形成し、夫々のループ22を互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなるものが用いられる。
【0020】
包装体11としては、三次元ランダムループ接合構造体10を包み込むことができるものであれば特に限定なく用いることができ、たとえば従来から寝具に用いられているカバーを好適に用いることができる。
【0021】
実施の形態の寝具1においては、三次元ランダムループ接合構造体10が以下の(i)〜(iii)の3つの要件を備えている。そのため、良好なクッション性を有するとともに、従来よりも静粛性に優れた寝具とすることができる。
【0022】
(i)連続線状体21が熱可塑性樹脂からなる。
【0023】
(ii)三次元ランダムループ接合構造体10の見掛け密度が0.005〜0.200g/cm3である。
【0024】
(iii)三次元ランダムループ接合構造体10の単位重さあたりの接合点数が500〜1200個/gである。
【0025】
本発明者らは、三次元ランダムループ接合構造体10が、上記(i)〜(iii)の用件を同時に満たすことにより、はじける音やこすれる音のような圧縮時および回復時の音が低減されながらも、弾性が確保されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0026】
たとえば特許文献1や特許文献2に記載されているような従前の網状構造体は、ランダムループ同士が擦れたような音やランダムループ同士が弾けるような音が圧縮時や圧縮回復時に発生していたが、本実施の形態の寝具1においては、上記の(i)〜(iii)の3つの要件を備えた三次元ランダムループ接合構造体10を備えているため、これらの音を大幅に低減しつつ、圧縮時の弾性を従前の網状構造体と同レベルに保つ点で優れた効果を有する。
【0027】
<連続線状体の構造>
図3(a)に、実施の形態の寝具1に用いられる三次元ランダムループ接合構造体10の一例の模式的な斜視図を示し、
図3(b)に、
図3(a)に示す三次元ランダムループ接合構造体10の模式的な拡大斜視図を示す。
【0028】
図3(a)および
図3(b)に示すように、三次元ランダムループ接合構造体10は、熱可塑性樹脂からなる線条(連続線状体21)を曲がりくねらせ、連続線状体21同士がその少なくとも一部において接合された3次元網状構造を有している。
【0029】
連続線状体21は、連続線状体21の曲がりくねりによって、完全な輪状または完全な輪にはなっていない曲線状のランダムループ22を有している。そして、三次元ランダムループ接合構造体10は、連続線状体21のランダムループ22が他の連続線状体21のランダムループ22と接合している接合部を有している。ここで、ランダムループ22の接合部は、連続線状体21のランダムループ22を互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させることによって形成されている。このことで、非常に大きい応力で、大変形を与えても、融着一体化した三次元ランダムループからなる網状構造全体が変形して応力を吸収し、応力が解除されると、熱可塑性樹脂の弾性力によって構造体は元の形態に回復することができる。
【0030】
<連続線条体の材料>
連続線状体21を構成する熱可塑性樹脂としては、線条を曲がりくねらせ、連続線条体同士を接触させ、接触部を融着できるものであれば特に限定されるものではないが、クッション性と静粛性の両立という観点から、軟質ポリオレフィン、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーが好ましく、軟質ポリオレフィン、ポリエステル系熱可塑性エラストマーがより好ましい。さらに、クッション性と静粛性を両立させつつ、耐熱性と耐久性を高めるためには、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが特に好ましい。
【0031】
軟質ポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレンと炭素数3以上のαオレフィンのランダム共重合体、エチレンと炭素数3以上のαオレフィンのブロック共重合体が好ましい例として例示できる。炭素数3以上のαオレフィンとしてはプロピレン、イソプレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−1−ペンテン、へプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1、トリデセン−1、テトラデセン−1、ペンタデセン−1、ヘキサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1、ノナデセン−1、エイコセン−1が好ましい例として例示でき、プロピレン、イソプレンがより好ましい例として例示できる。また、これらαオレフィンは2種類以上を併用することもできる。
【0032】
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリアルキレンジオールをソフトセグメントとするポリエステルエーテルブロック共重合体、または脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエステルエステルブロック共重合体が好ましい例として例示できる。ポリエステルエーテルブロック共重合体のより具体的な構成としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1・4シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸ダイマ−酸等の脂肪族ジカルボン酸または、これらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、またはエチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などから選ばれたポリアルキレンジオールのうち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合体である。ポリエステルエステルブロック共重合体としては、上記ジカルボン酸とジオール及び平均分子量が約300〜5000のポリラクトン等のポリエステルジオールのうち少なくとも1種から構成される三元ブロック共重合体が例示される。熱接着性、耐加水分解性、伸縮性、耐熱性等を考慮すると、好ましくは、(1)ジカルボン酸としてテレフタル酸及び/又はイソフタル酸、ジオ−ル成分として1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンジオールとしてポリテトラメチレングリコールからなる3元ブロック共重合体、および(2)ジカルボン酸としてテレフタル酸または/およびナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジオ−ル成分として1,4−ブタンジオール、ポリエステルジオールとしてポリラクトンからなる3元ブロック共重合体である。特に好ましくは、(1)ジカルボン酸としてテレフタル酸及び/又はイソフタル酸、ジオ−ル成分として1,4−ブタンジオール、ポリアルキレンジオールとしてポリテトラメチレングリコールからなる3元ブロック共重合体である。特殊な例では、ポリシロキサン系のソフトセグメントを導入したものも使うことができる。
【0033】
ポリスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレンとブタジエンのランダム共重合体、スチレンとブタジエンのブロック共重合体、スチレンとイソプレンのランダム共重合体、スチレンとイソプレンのブロック共重合体、あるいはそれらに水素添加したものが好ましい例として例示できる。
【0034】
ポリウレタン系熱可塑性エラストマーとしては、通常の溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)の存在または不存在下に、(A)数平均分子量1000〜6000の末端に水酸基を有するポリエーテル及び/又はポリエステルと(B)有機ジイソシアネートを主成分とするポリイソシアネートを反応させた両末端がイソシアネート基であるプレポリマーに、(C)ジアミンを主成分とするポリアミンにより鎖延長したポリウレタンエラストマーを代表例として例示できる。(A)のポリエステル、ポリエーテル類としては、平均分子量が約1000〜6000、好ましくは1300〜5000のポリブチレンアジペート共重合ポリエステルやポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンジオールが好ましい。(B)のポリイソシアネートとしては、従来公知のポリイソシアネートを用いることができるが、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートを主体としたイソシアネ−トを用い、必要に応じ従来公知のトリイソシアネート等を微量添加使用してもよい。(C)のポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン等公知のジアミンを主体とし、必要に応じて微量のトリアミン、テトラアミンを併用してもよい。これらのポリウレタン系熱可塑性エラストマーは単独又は2種類以上混合して用いてもよい。また、上記エラストマーに非エラストマー成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も本発明の熱可塑性エラストマーに包含される。
【0035】
ポリアミド系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントにナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等およびそれらの共重合ナイロンを骨格とし、ソフトセグメントには、平均分子量が約300〜5000のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体等のポリアルキレンジオールのうち少なくとも1種から構成されるブロック共重合体を単独または2種類以上混合して用いたものが好ましい例として例示できる。更には、非エラストマー成分をブレンドされたもの、共重合したもの等も本発明に使用できる。
【0036】
連続線状体21の樹脂部分は、目的に応じて異なる2種以上の熱可塑性樹脂の混合体で構成することができる。異なる2種以上の熱可塑性樹脂の混合体で構成する場合は、軟質ポリオレフィン、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、及びポリアミド系熱可塑性エラストマーからなる群より少なくとも一つ選ばれる熱可塑性樹脂を50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがさらに好ましい。
【0037】
連続線状体21の樹脂部分には、目的に応じて種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪酸系、エポキシ系、アジピン酸エステル系、ポリエステル系の可塑剤、公知のヒンダードフェノール系、硫黄系、燐系、アミン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、ニッケル系、サリチル系などの光安定剤、帯電防止剤、過酸化物などの分子調整剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物などの反応基を有する化合物、金属不活性剤、有機及び無機系の核剤、中和剤、制酸剤、防菌剤、蛍光増白剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、有機及び無機系の顔料などを添加することができる。
【0038】
連続線状体21の樹脂部分は、示差走査型熱量計にて測定した融解曲線において、融点以下に吸熱ピークを有するのが好ましい。融点以下に吸熱ピークを有するものは、耐熱耐へたり性が吸熱ピ−クを有しないものより著しく向上する。例えば、本発明の好ましいポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、ハードセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン−2,6−ジカルボン酸などを90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%含有するものとグリコ−ル成分をエステル交換後、必要な重合度まで重合し、次いで、ポリアルキレンジオールとして、好ましくは平均分子量が500以上5000以下、より好ましくは1000以上3000以下のポリテトラメチレングリコールを10重量%以上70重量%以下、より好ましくは20重量%以上60重量%以下で共重合させた場合、ハードセグメントの酸成分に剛直性のあるテレフタル酸やナフタレン−2,6−ジカルボン酸の含有量が多いとハ−ドセグメントの結晶性が向上し、塑性変形しにくく、かつ、耐熱抗へたり性が向上する。加えて、溶融熱接着後更に融点より少なくとも10℃以上低い温度でアニ−リング処理すると、より耐熱抗へたり性が向上する。圧縮歪みを付与してからアニ−リングすると更に耐熱抗へたり性が向上する。このような処理をした連続線状体21の樹脂部分は、示差走査型熱量計(DSC)で測定した融解曲線に室温以上融点以下の温度で吸熱ピークをより明確に発現する。なおアニ−リングしない場合は融解曲線に室温以上融点以下に吸熱ピ−クを発現しない。このことから類推するに、アニ−リングにより、ハ−ドセグメントが再配列され、疑似結晶化様の架橋点が形成され、耐熱抗へたり性が向上しているのではないかとも考えられる。(以下、このアニーリング処理を「疑似結晶化処理」ということがある。)この疑似結晶化処理効果は、軟質ポリオレフィン、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーにも有効である。
【0039】
<三次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度>
三次元ランダムループ接合構造体10の平均の見掛け密度の好ましい範囲は0.005g/cm
3 〜0.200g/cm
3である。前記範囲で寝具としての機能の発現が期待できる。0.005g/cm
3未満では反発力が失われるので寝具には不適当であり、0.200g/cm
3を越えると反発力が高すぎて寝心地が悪くなり好ましくない。本発明のより好ましい見掛け密度は0.010g/cm
3〜0.150g/cm
3であり、更に好ましい範囲は0.020g/cm
3 〜0.100g/cm
3である。
【0040】
<三次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数>
三次元ランダムループ接合構造体10の単位重さあたりの接合点数は500〜1200個/gであることが好ましい。接合点とは2本の線条間の融着部分のことを指し、単位重さあたりの接合点数(単位:個/g)とは、三次元ランダムループ接合構造体10を長手方向5cm×幅方向5cmの大きさで、試料表層面2面を含み、試料耳部を含まないように直方体形状に切断して作成した直方体状の個片において、個片中の単位体積あたりの接合点数(単位:個/cm3)をその個片の見掛け密度(単位:g/cm
3)で徐した値である。接合点数の計測方法は、2本の線条を引張ることで融着部分を剥離し、剥離回数を計測する方法で行う。尚、三次元ランダムループ接合構造体10が試料の長手方向あるいは幅方向において、見掛け密度にして0.005g/cm
3以上の帯状の疎密差のある場合は、密の部分と疎の部分の境界線が個片の長手方向あるいは幅方向の中間線となるように試料を切断し、単位重さあたりの接合点数を計測する。単位重さあたりの接合点数が多くなるほど線条は固定され、線条同士の衝突の頻度が下がり、網状構造体の静粛性が向上する。従前の網状構造体の単位重さあたりの接合点数は500個/g未満であるが、本発明では500個/g以上にすることにより所望の効果を得ることができる。一方、単位重さあたりの接合点数が1200個/gより大きいと通気性が悪くなって快適性を損ねるため、好ましくない。より好ましくは550〜1150個/gであり、さらに好ましくは600〜1100個/gであり、なおさらに好ましくは650〜1050個/gであり、特に好ましくは700〜1000個/gである。
【0041】
<連続線条体の繊度>
連続線状体21の繊度は特には限定されないが、繊度を小さくすることで線条同士のはじけ音の大きさを低減でき、上述の単位重さあたりの接合点数による効果と相まって網状構造体の静粛性をさらに高めることができる。ただし、繊度があまりに小さくなり過ぎると線条の硬度が極度に小さくなり、適度なクッション性を維持できなくなる。クッション性を適度に維持しつつ、静粛性をさらに高めるために、繊度を200〜10000デシテックスとすることが好ましく、200〜5000デシテックスとすることがより好ましく、200〜3000デシテックスとすることがさらに好ましい。なお、本発明において、単一繊度の線条からなる連続線条体だけでなく、繊度の異なる線条を使用し、見掛け密度との組合せで最適な構成とすることもできる。
【0042】
<連続線状体の断面形状>
図4(a)、
図4(b)は、連続線状体21の模式的断面図を示す。連続線状体21の断面形状は特には限定されないが、たとえば
図4(a)の模式的断面図に示すように、円形の中実断面を有してもよいし、
図4(b)の模式的断面図に示すように、内部に中空部33を有する中空断面を有していてもよい。また、
図5(a)〜
図5(c)の模式的断面図に示すように、三角形状(
図5(a))、Y字状(
図5(b))または星形状(
図5(c))のような円形断面とは異なる異形断面を有していてもよい。連続線状体21の断面形状を中空断面や異形断面にすることによって、連続線状体21に抗圧縮性や嵩高性を付与することができるとともに、繊度を低くすることができる。
【0043】
<三次元ランダムループ接合構造体の構成>
三次元ランダムループ接合構造体10は、たとえば繊度の異なる連続線状体21を用いた三次元ランダムループ接合構造体の複数層を積層してなる複数層構造としてもよい。この場合には、各層の見掛け密度を変えることによって、好ましい特性を付与することができる。たとえば、三次元ランダムループ接合構造体10が、繊度の大きい連続線状体21を用いた基本層と、基本層上に設けられた繊度の小さい連続線状体21を用いた表面層とからなる場合を考慮する。この場合には、表面層の見掛け密度をやや高くして連続線状体21の構成本数を多くし、連続線状体21の1本が受ける応力を小さくして効率的に応力を分散して、寝具1に良好なクッション性を付与するとともに、基本層は繊度の大きい連続線状体21を用いることによって少し硬くし、見掛け密度を表面層よりも高くして、寝具1の振動吸収と体型保持とを有する緻密な層とすることができる。
【0044】
このように、三次元ランダムループ接合構造体10が複数層からなる場合には、三次元ランダムループ接合構造体10を構成する各層は、その目的に応じて、好ましい見掛け密度と繊度とを任意に選択することができる。
【0045】
なお、三次元ランダムループ接合構造体10が複数層からなる場合の各層の厚みは、特に限定されないが、3mm以上とすることが好ましく、5mm以上とすることがより好ましい。この場合には、寝具1の良好なクッション性が発現しやすい傾向にある。
【0046】
三次元ランダムループ接合構造体10の外表面は、曲がりくねらせた連続線状体21が途中で30°以上、好ましくは45°以上曲げられ、連続線状体21同士の接触部の大部分が融着して実質的にフラット化されていることが好ましい。この場合には、三次元ランダムループ接合構造体10の外表面の連続線状体21の接触点が大幅に増加して接着点を形成するため、寝具1に圧縮力が加えられたときに、寝具1の外表面全体が変形して、これにより寝具1の内部構造全体も変形して応力を吸収し、応力が解除されると、連続線状体21のゴム弾性が発現して、寝具1は元の形態に回復することができる。
【0047】
三次元ランダムループ接合構造体10の外表面がフラット化された場合には、ワディング層を使用しないで、または非常に薄いワディング層を積層して、たとえばベッド用または布団用のマットレスとすることができる。
【0048】
三次元ランダムループ接合構造体10の外表面が実質的にフラット化されてない場合には、寝具1の外表面に局部的な外力が掛かり、三次元ランダムループ接合構造体10の外表面の連続線状体21および連続線状体21の接着点部分までに選択的に応力集中が発生して、応力集中による疲労により、寝具1の耐へたり性が低下する場合がある。また、三次元ランダムループ接合構造体10の外表面が実質的にフラット化されてない場合には、比較的厚め(好ましくは10mm以上)のワディング層を積層して、たとえばベッド用または布団用のマットレスを形成することもできる。また、三次元ランダムループ接合構造体10の外表面が実質的にフラット化されてない場合には、ワディング層との接着が不完全になるおそれがある。
【0049】
<三次元ランダムループ接合構造体の硬度>
三次元ランダムループ接合構造体10の25%圧縮時硬さは特には限定されないが、5kg/Φ200mm以上であることが好ましい。25%圧縮時硬さとは、網状構造体をΦ200mm径の円形状の圧縮板にて75%まで圧縮して得た応力−歪み曲線の25%圧縮時の応力である。25%圧縮時硬さが5kg/Φ200mmより小さいと、充分な弾発力を得ることができず、快適なクッション性が損なわれてしまう。より好ましくは、10kg/Φ200mm以上、特に好ましくは15kg/Φ200mm以上である。上限は特に規定されないが、好ましくは50kg/Φ200mm以下、より好ましくは45kg/Φ200mm以下、特に好ましくは40kg/Φ200mm以下である。50kg/Φ200mm以上であると硬くなりすぎ、クッション性の観点から好ましくない。
【0050】
<寝具の製造方法>
以下、
図6および
図7の模式的構成図を参照して、寝具1の製造方法の一例について説明する。
【0051】
まず、
図6に示すように、熱可塑性樹脂42をエクストルーダー43に投入する。そし熱可塑性樹脂は、エクストルーダー43から吐出装置46に排出される。
【0052】
そして、吐出装置46の複数のオリフィス45のそれぞれから熱可塑性樹脂なる連続線状体前駆体21aが下方に向けて吐出される。
【0053】
ここでは、オリフィス45から吐出された連続線状体前駆体21aを構成する熱可塑性樹脂42の融点より10〜120℃高い温度で連続線状体前駆体21aを吐出することが好ましい。
【0054】
また、オリフィス45の形状は特に限定されないが、オリフィス45を異形断面(たとえば、三角形、Y型、星型等の断面二次モーメントが高くなる形状)または中空断面(たとえば、三角中空、丸型中空、突起付きの中空等の形状)を有する形状とすることが好ましい。この場合には、溶融状態の連続線状体前駆体21aが流動緩和し難くなり、連続線状体前駆体21aの接触点での流動時間を長く保持することによって、連続線状体前駆体21aの接着点を強固にすることができる。また、この場合には、三次元ランダムループ接合構造体10の見掛けの嵩を高くすることができるとともに、軽量化することができ、また抗圧縮性が向上し、弾発性も改良することができるため、寝具1をへたりにくくすることができる。
【0055】
また、オリフィス45が中空断面を有する場合には、中空率が80%を越える場合には連続線状体前駆体21aの断面の中空部が潰れやすくなるため、オリフィス45に中空断面を採用する場合の中空率は、好ましくは軽量化の効果が発現できる10%以上70%以下であり、より好ましくは20%以上60%以下である。
【0056】
また、オリフィス45間のピッチは、3mm以上20mm以下であることが好ましく、5mm以上10mm以下であることがより好ましい。オリフィス45間のピッチが3mm以上20mm以下である場合、特に5mm以上10mm以下である場合には、連続線状体前駆体21aが形成するランダムループ同士を十分に接触させることができる。なお、三次元ランダムループ接合構造体10を密な構造にするためには、オリフィス45間のピッチは短い方が好ましく、粗な構造とするためには、オリフィス45間のピッチは長い方が好ましい。
【0057】
なお、オリフィス45の列間のピッチあるいは孔間のピッチを変えた構成、または列間のピッチと孔間のピッチとの双方を変えた構成とすることなどによって、三次元ランダムループ接合構造体10に異なる見掛け密度を設けることもできる。
【0058】
また、オリフィス45の断面積を変更することによって連続線状体前駆体21aの吐出時の圧力損失を付与した場合には、溶融状態の熱可塑性エラストマーを同一ノズルから一定の圧力で吐出した場合に、圧力損失の大きいオリフィス45ほど、連続線状体前駆体21aの吐出量が小さくなる。この原理を利用して、各オリフィス45から吐出される連続線状体前駆体21aによって形成される連続線状体21の異繊度化が可能となる。
【0059】
そして、
図7に示すように、連続線状体前駆体21aは、複数のオリフィス45から、その融点よりも高い温度の雰囲気に吐出され、曲がりくねらせることにより溶融状態でランダムループを形成する。そして、それぞれのランダムループが互いに接触し、融着しつつ、たとえば水などの冷却媒体53が収容された冷却槽54に設けられた対向する一対の引き取りコンベア51,52のエンドレスネット55間に挟み込まれ、引っ張られながら、冷却槽54中で冷却されて三次元ランダムループ構造体10が得られる。
【0060】
ここで、引き取りコンベア51,52において、溶融状態の三次元ランダムループ構造体10の両側の外表面の曲りくねった連続線状体前駆体21aを好ましくは30°以上、より好ましくは45°以上折り曲げて変形させ、三次元ランダムループ構造体10の外表面をフラット化すると同時に、曲げられていない連続線状体前駆体21aとの接触点で接着するように三次元ランダムループ構造体10を形成することが好ましい。
【0061】
このとき、オリフィス45の下面と冷却媒体53の水面との距離、熱可塑性樹脂の溶融粘度、オリフィスの孔径と吐出量などによりループ径と線条体の繊度および接合点数がきまる。
【0062】
その後、三次元ランダムループ構造体10をアニーリング処理することによって、疑似結晶化処理を行なうことが好ましい。疑似結晶化処理のための三次元ランダムループ構造体10のアニーリング温度は、Tanδのα分散立ち上がり温度(Tαcr)以上、かつ熱可塑性樹脂の融点(Tm)よりも10℃以上低い温度であることが好ましく、(Tαcr+10℃)以上(Tm−20℃)以下であることがより好ましい。この場合には、融点以下に吸熱ピ−クを有し、疑似結晶化処理しないもの(吸熱ピ−クを有しないもの)よりも、三次元ランダムループ構造体10の耐熱性および耐へたり性が著しく向上する。
【0063】
疑似結晶化処理は、単にアニーリング処理のみによって行なうこともできるが、三次元ランダムループ構造体10を一旦冷却した後に10%以上の圧縮変形を付与してからアニーリング処理を行なってもよい。また、三次元ランダムループ構造体10を一旦冷却した後に乾燥工程を経る場合には、乾燥温度をアニーリング温度とすることによって、乾燥と同時に三次元ランダムループ構造体10の疑似結晶化処理を行なうことができる。また、乾燥工程とは別にアニーリング処理を行なってもよい。
【0064】
そして、上記のようにして得られた三次元ランダムループ構造体10を所望の長さおよび形状に切断し、
図1に示す包装体11で包み込むことによって、本実施の形態の寝具1を製造することができる。
【0065】
三次元ランダムループ構造体10を寝具1に用いる場合には、その使用目的および使用部位に応じて、熱可塑性エラストマーの材質、連続線状体21の繊度、連続線状体21のランダムループ21の径、および三次元ランダムループ構造体10の見掛け密度等を適宜選択することができる。
【0066】
たとえば、三次元ランダムループ構造体10を寝具1の表層のワディングに用いる場合には、ソフトなタッチと、適度の沈み込みと、張りのある膨らみとを付与するために、低密度で、小さい繊度および小さいランダムループ21の径にすることが好ましい。また、たとえば、三次元ランダムループ構造体10を寝具1の中層のクッション体として用いる場合には、共振振動数を低くするとともに適度の硬さを付与し、圧縮時のヒステリシスを直線的に変化させて体型保持性を良くし、耐久性を保持させるために、中程度の見掛け密度で、太い繊度、やや大きいランダムループ21の径にすることが好ましい。
【0067】
また、用途との関係で、要求性能に合わせるべく、たとえば不織布等の短繊維の集合体からなる硬綿クッション材と組み合わせて三次元ランダムループ構造体10を用いることも可能である。
【0068】
また、熱可塑性エラストマーの製造工程以外でも、三次元ランダムループ構造体10の性能を低下させない範囲で、熱可塑性エラストマーの製造過程から三次元ランダムループ構造体10に加工し、寝具1を製品化する任意の段階で、寝具1の難燃化、防虫抗菌化、耐熱化、撥水撥油化、着色および芳香等の機能の付与を薬剤添加等の処理により行なってもよい。
【0069】
上記のようにして作製された寝具1は、就寝時に用いる用品であればよい。寝具1は、たとえば
図8の模式的斜視図に示すように、ベッド台61上に設置されることにより、ベッドのマットレスとして用いることができる。また、寝具1は、たとえば
図9の模式的斜視図に示す形状の枕として用いることもできる。
【0070】
<合成例1>
ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMG=100/88/12mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−1)を得た。その特性を表1に示す。
【実施例】
【0071】
<合成例1>
ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMG=100/88/12mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−1)を得た。その特性を表1に示す。
【0072】
<合成例2>
ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMG=100/84/16mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−2)を得た。その特性を表1に示す。
【0073】
<合成例3>
ジメチルテレフタレート(DMT)と1,4−ブタンジオール(1,4−BD)とポリテトラメチレングリコール(PTMG:平均分子量1000)を少量の触媒と仕込み、常法によりエステル交換後、昇温減圧しつつ重縮合せしめ、DMT/1,4−BD/PTMG=100/72/28mol%のポリエステルエーテルブロック共重合エラストマーを生成させ、次いで抗酸化剤1%を添加混合練込み後ペレット化し、50℃48時間真空乾燥してポリエステル系熱可塑性エラストマー原料(A−3)を得た。その特性を表1に示す。
【0074】
<熱可塑性樹脂の特性の測定方法>
・ 融点(Tm)
島津製作所TA50、DSC50型示差熱分析計を使用し、10gの試料を昇温速度20℃/分で20℃から250℃まで測定した吸発熱曲線から吸熱ピーク(融解ピーク)温度を求めた。
・ 曲げ弾性率
射出成形機によって長さ125mm×幅12mm×厚み6mmの試験片を作成し、ASTM D790規格により測定した。
【0075】
【表1】
【0076】
<実施例1>
100kgの合成例1で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)および0.25kgのヒンダードフェノール系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブAO330」)、0.25kgの燐系酸化防止剤(ADEKA社製「アデカスタブPEP36」)をタンブラーにて5分間混合した後、スクリュー径φ57mmの二軸押出機でシリンダー温度220℃、スクリュー回転数130rpmにて溶融混練し、水浴にストランド状に押出して冷却後、樹脂組成物のペレットを得た。得られた樹脂組成物を幅66cm、長さ5cmのノズル有効面に孔径3.0mmの丸型中空形状オリフィスを6mmの間隔で配列したノズルより、240℃の温度で溶融して、単孔吐出量2.4g/分で吐出させ、35cm下に冷却水の水面に向けて、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−1)からなる連続線条体前駆体を吐出した。
【0077】
そして、ノズルから吐出された連続線条体前駆体を、水面の上方に一部を露出させた一対の引き取りコンベアに設けられた幅70cmのステンレス製エンドレスネットで引取った。ここで、ステンレス製エンドレスネットは、一対の引き取りコンベアのそれぞれに設けられており、互いに向かい合うようにして、平行に4cm間隔の間隔をあけるようにして配置された。
【0078】
ステンレス製エンドレスネットで引き取られて、曲がりくねった連続線状体前駆体にはランダムループが形成され、連続線状体前駆体のそれぞれのランダムループを互いに溶融状態で接触させ、接触部の大部分が融着することによって三次元ランダムループ接合構造体が形成された。
【0079】
このようにして形成された三次元ランダムループ接合構造体の両側の外表面をステンレス製エンドレスネットで挟み込みつつ、毎分2.2mの速度で25℃の冷却水中へ引込み固化させた。
【0080】
そして、冷却水から引き出された三次元ランダムループ接合構造体を、100℃の熱風乾燥機中で15分間乾燥および加熱することによって疑似結晶化処理した後、所定の大きさに切断した。そして、このようにして得られた三次元ランダムループ接合構造体について、以下のようにして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率および三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さを測定した。
【0081】
<3次元ランダムループ接合構造体の特性の測定方法>
(1)見掛け密度
試料を長手方向15cm×幅方向15cmの大きさで試料表層面2面を含み、試料耳部を含まないように直方体形状に切断し、直方体の4角の高さを測定した後、体積(cm
3)を求め、試料の重さ(g)を体積で徐することによって見掛け密度(g/cm
3)を算出した。尚、見掛け密度はn=4の平均値とした。
(2)単位重さあたりの接合点数
まず最初に、試料を長手方向5cm×幅方向5cmの大きさで、試料表層面2面を含み、試料耳部を含まないように直方体形状に切断して個片を作成した。次に、この個片の4角の高さを測定した後、体積(単位:cm
3)を求め、試料の重さ(単位:g)を体積で徐することによって見掛け密度を(単位:g/cm
3)を算出した。次に、この個片の接合点の数を数え、この数を個片の体積で除することによって単位体積あたりの接合点数(単位:個/cm
3)を算出し、単位体積あたりの接合点数を見掛け密度で除することによって単位重さあたりの接合点数(単位:個/g)を算出した。尚、接合点は2本の線条間の融着部分とし、2本の線条を引張って融着部分を剥離する方法で接合点数を計測した。また、単位重さあたりの接合点数はn=2の平均値とした。また、試料の長手方向あるいは幅方向に見掛け密度にして0.005g/cm
3以上の帯状の疎密差のある試料の場合は、密の部分と疎の部分の境界線が個片の長手方向あるいは幅方向の中間線となるように試料を切断し、同様の方法で単位重さあたりの接合点数を計測した(n=2)。
(3)線条の繊度
まず最初に、試料を長手方向30cm×幅方向30cmの大きさで試料表層面2面を含み、試料耳部を含まないように直方体形状に切断し、均等な4マスに分割して各マス5か所、計20か所で採取した長さ1cmの線条体の40℃での比重を密度勾配管を用いて測定した。次に、上記20か所で採取した線条体の樹脂部分の断面積を顕微鏡で拡大した写真より求め、それより、線条体の長さ10000m分の体積を求めた後、得られた比重と体積を乗じた値を繊度(線条体10000m分のグラム重量:デシテックスdtex)とした。(n=20の平均値)。
(4)中空率
まず最初に、試料を長手方向30cm×幅方向30cmの大きさで試料表層面2面を含み、試料耳部を含まないように直方体形状に切断し、均等な4マスに分割して各マス5か所、計20か所で採取した長さ1cmの線条体を採取し、液体窒素で冷却した後に割断し、その断面を電子顕微鏡で倍率50倍にて観察し、得られた画像をCADシステムにて解析して樹脂部分の断面積(A)と中空部分の断面積(B)を測定し、{B/(A+B)}×100の式により中空率を算出した。(n=20の平均値)。
(5)25%圧縮硬さ
試料を長手方向30cm×幅方向30cmの大きさで試料表層面2面を含み、試料耳部を含まないように直方体形状に切断し、オリエンテック社製テンシロンにてφ200mm圧縮板にて75%まで圧縮して得た応力−歪み曲線の25%圧縮時の応力で示した。(n=3の平均値)
【0082】
また、上記のようにして作製した見掛け密度0.04〜0.05g/cm
3の三次元ランダムループ接合構造体を幅50cm×長さ50cm×厚さ5cmの大きさに切断し、布製のカバーで被覆して作製した寝具について、以下のようにして、クッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0083】
(6) クッション性および静粛性
体重40kg〜100kgの範囲にあるパネラー30名(20歳〜40歳の男性;5名、20歳〜40歳の女性:5名、40歳〜60歳の男性:5名、40歳〜60歳の女性:5名、60歳〜80歳の男性:5名、60歳〜80歳の女性:5名)に、上記のようにして作製した寝具に横たわってもらい、横たわって時の「どすん」と床に当たった感じの程度(クッション性)および発生音(静粛性)を感覚的に下記の分類で定性評価した。
A:感じない
B:ほとんど感じない
C:やや感じる
D:感じる
【0084】
<実施例2>
熱可塑性樹脂が合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。ノズルが幅64cm、長さ3.5cmのノズル有効面に孔径1.0mmの丸型中実形状オリフィスを4mmの間隔で配列したノズルであり、樹脂組成物の溶融温度が245℃であり、吐出時の単孔吐出量が2.2g/分であり、冷却水の水面がノズル面より50cm下にあり、エンドレスネットの間隔が3cm間隔であり、冷却水中へ引き込む速度が毎分2.6mであること以外は実施例1と同様にして実施例2の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。実施例2の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0085】
<実施例3>
熱可塑性樹脂がポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。樹脂組成物の溶融温度が230℃であり、単孔吐出量を2.4g/分で吐出させ、冷却水の水面がノズル面より37cm下にあり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.9mの速度であること以外は実施例1と同様にして実施例3の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。実施例3の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0086】
<実施例4>
熱可塑性樹脂が合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)であ点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。樹脂組成物の溶融温度が230℃であり、冷却水の水面がノズル面より32cm下にあり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.8mであること以外は実施例1と同様にして実施例4の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。実施例4の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0087】
<実施例5>
熱可塑性樹脂が合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)であり、二軸押出機のシリンダー温度が200℃である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。樹脂組成物の溶融温度が220℃であり、冷却水の水面がノズル面より37cm下にあり、エンドレスネットの間隔が4.5cm間隔であり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.8mであること以外は実施例1と同様にして実施例5の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。実施例5の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0088】
<実施例6>
熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製「ニポロンZ 1P55A」)をそのまま用いた。樹脂組成物の溶融温度が200℃であり、吐出時の単孔吐出量が2.0g/分であり、冷却水の水面がノズル面より37cm下にあり、エンドレスネットの間隔が4.5cm間隔であり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.7mであること以外は実施例1と同様にして実施例6の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。実施例6の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0089】
<比較例1>
ノズルが幅64cm、長さ4.8cmのノズル有効面に孔径5.0mmの丸型中空形状オリフィスを4mmの間隔で配列したノズルであり、樹脂組成物の溶融温度が245℃であり、吐出時の単孔吐出量が3.6g/分であること以外は実施例1と同様にして比較例1の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。比較例1の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0090】
<比較例2>
熱可塑性樹脂が合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。ノズルが幅66cm、長さ3.5cmのノズル有効面に孔径1.0mmの丸型中実形状オリフィスを6mmの間隔で配列したノズルであり、樹脂組成物の溶融温度が235℃であり、吐出時の単孔吐出量が1.6g/分であり、冷却水の水面がノズル面より30cm下にあり、エンドレスネットの間隔が3cm間隔であり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.0mであること以外は実施例1と同様にして比較例2の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。比較例2の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0091】
<比較例3>
熱可塑性樹脂が合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。ノズルが幅64cm、長さ4.8cmのノズル有効面に孔径5.0mmの丸型中実形状オリフィスを8mmの間隔で配列したノズルであり、吐出時の単孔吐出量が3.6g/分であり、冷却水の水面がノズル面より38cm下にあり、冷却水中へ引き込む速度が毎分2.0mであること以外は実施例1と同様にして比較例3の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。比較例3の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0092】
<比較例4>
熱可塑性樹脂が合成例2で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−2)である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。ノズルが幅64cm、長さ4.8cmのノズル有効面に孔径3.0mmの丸型中実形状オリフィスを6mmの間隔で配列したノズルであり、吐出時の単孔吐出量が1.6g/分であり、冷却水の水面がノズル面より25cm下にあり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.4mであること以外は実施例1と同様にして比較例4の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。比較例4の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0093】
<比較例5>
熱可塑性樹脂が合成例3で得られたポリエステル系熱可塑性エラストマー(A−3)であり、二軸押出機のシリンダー温度が200℃である点以外は実施例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。ノズルが幅64cm、長さ4.8cmのノズル有効面に孔径5.0mmの丸型中実形状オリフィスを8mmの間隔で配列したノズルであり、樹脂組成物の溶融温度が230℃であり、吐出時の単孔吐出量が3.6g/分であり、冷却水の水面がノズル面より38cm下にあり、冷却水中へ引き込む速度が毎分2.0mであること以外は実施例1と同様にして比較例5の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。比較例5の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0094】
<比較例6>
熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン(東ソー株式会社製「ニポロンZ 1P55A」)をそのまま用いた。ノズルが幅64cm、長さ4.8cmのノズル有効面に孔径5.0mmの丸型中実形状オリフィスを8mmの間隔で配列したノズルであり、樹脂組成物の溶融温度が200℃であり、吐出時の単孔吐出量が3.0g/分であり、冷却水中へ引き込む速度が毎分1.5mであること以外は実施例1と同様にして比較例6の三次元ランダムループ構造体および寝具を作製した。比較例6の三次元ランダムループ接合構造体および寝具について、実施例1と同様にして、3次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度、3次元ランダムループ接合構造体の単位重さあたりの接合点数、連続線状体の繊度、連続線状体の中空率、三次元ランダムループ接合構造体の25%圧縮時硬さ、寝具のクッション性および静粛性を測定した。その結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表2に示すように、熱可塑性樹脂からなる連続線条体を曲がりくねらせランダムル−プを形成し、夫々のル−プを互いに溶融状態で接触せしめて、接触部の大部分を融着させてなる三次元ランダムル−プ接合構造体と、三次元ランダムループ接合構造体を包み込む包装体と、を備え、三次元ランダムループ接合構造体の見掛け密度が0.005〜0.200g/cm3であり、三次元ランダムル−プ接合構造体の単位重さあたりの接合点数が500〜1200個/gである実施例1〜6の寝具は、比較例1〜6の寝具と比較して、クッション性および静粛性に優れていることが確認された。